理学 療 法 学 第34巻第7ガ 294
〜
301頁 (2007年)研 究 報 告
移 乗 補 助
器 具
を
用
い
た
移 乗介 助 動 作
に お
け
る
介 助 者
の
腰 部負 担
に
つ
い
て
*佐
々木秀
明
1)#勝 平
純
司
2,渡
辺
仁 史
3)酉 條 富 美 代
4)齋 藤 昭 彦
5) 要 旨本 研 究の 目 的 は 移 乗 補 助 器 具 を 用い た 移 乗
介
助 動作
におい て介助
者の身 体
的負 担 軽 減
に着
目 し,
福 祉
川H
の 有 無 お よ び 種 類によ る 身 体 的 負 担へ の影 響 を 明 ら か に す るこ とであ る。
計 測 条 件 は 補 助 器 具 を 用いな い移 乗 動 作
,
トラ ン ス ファー
ボー
ドを用
いた移 乗 動 作
,
腰
ベ ル トを用
いた移 乗 動 作
と し た。
計 測
に は 這 次 元動 作 分析
装置
と床 反力 計
を用
い て腰 部
モー
メ ン ト,
体 幹
・
膝 関節 角 度
,
床
反力
を測定
し,
さ らに主観
的負 担
度 を測 定
し た。
その結 果
トランス フ ァー
ボー
ド を 川い た 移乗動 作
におい て主観
的 負 担 度,
腰 部 後 屈モー
メ ント
,
床 反 力
が他
の計 測 条 件
より有 意
に低 値 を示 し
た 。以
上の ことか
ら被 介 助 者
の体 重
を介助 者
が持
ち
上 げる か否
か が 腰 部負 担
に大
きく影 響
してお り,
ト ラン スフ ァー
ボー
ドの使
川が介 助 者
の身体 的負 担
の軽 減
につ なが る こ とが 明ら か と なっ た。
キ
ー
ワー
ド動 作 分 析
,
移 乗 介 助
,
腰 部 負 担
は じ め に現
在
我 が 国 は 「高齢
社会」
へ と突
人 し,
要介 護 高 齢 者
数 が 増 加 し
てい る。要 介 護 者 数
の増 加
は介 護 者
の介 助 負
担
を増 大
させ てお り,
人 間の生体 機 能 を踏
まえ
た合
理 的な介 助 技 術
の開発
・
改 良
,
あ
るいは最 適
な福 祉
川 具の使
川 は,
医療 施
設 や老
人 ホー
ムな ど に携
わ る臨 床 家
だ け で な く在 宅 介 護 者 に とっ て も必 要 性 が 高 まっ て い る。
介 助の
中
で も 移乗 介
助 動作
は 日常
生活
に おい て寝
室 や ト イ レ等
で繰 り
返 し 必要
と さ れ,
頻 度
が高 く
な る。
老 人保 健
施 設に勤務 す
る介 護 職 員
を対 象
と し た 西條
らの調
査 *Low Back Load of Carcgwcr During Transfer MQvcnlent Using
Assistive Devices
l〕「ll1那 須野マ ロニ エ訪 問 看 護ステ
ー
ショ ン〔〒329
−
2763栃 木 県IJI;須 塩 原 市 井囗537−
3 に しな すの総 合 ¥11宅ケ アセ ンタ
ー
内)Ilidcaki
Sasaki
,
RPT
.
MS:Nishinasuno
N工aronie
HQumon
Kallgo
SttltiOll
2 ) 国際 医療 福祉 大 学 保 健 医療学 部理学1蚕法 学科
JLmji
Ka[suhira,
PhD』
DeparLnlent of Physical Therapy,
FacuityDf Heaith
Scie
[Lce,
LnしernaしionalUniversi
しy of Hea1しh and Welfare3〕早稲田大 学 理工学 部 建 築 学 科
H[toshi Wa 亡anabe
.
PhD.
Eng: Departlment of Architcc匸ure、
Faculしy of Science and Engineering
.
Waseda Universiしy4〕文 京 学 院 大 学
Fum正yo SaijoしL RPT
.
PhD:Bunkyogakuin Universi匸y5) 東 京 福祉 大 学
Akihik〔〕Sa[toLl
.
RPT、
PhD:T〔〕ky匸〕Univcrs[ty of Social W「
eげare#
E
.
mail・
hsasaki(9)iuhw、
?lc.
jp
レ受
fJ
[「 2006イI」
6丿’
191]/
/「
受PIII:[ 200アイ「ミ9月26「「) で は,− H
の業 務
に お け る 移乗 介
助 動作
の回 数 は,
平 均18
.
6
回にお よぶ と報 告
さ れてい る 1)。
ま た,
移 乗 はいっ たん被 介 助者
の体 重 を 持 ち トげ る 作 業 が 必 要 と な る た め,
介 助 者
の身 体 負 担
を著
しく増 大
さ せて いる。疫 学 的
な 調査
に よ ると看 護 師
,
理学 療 法
上,
介 護 者
の約
7
〜
8
割
が腰 痛 経 験 者
であ
る と報 告
さ れ てい る2−
5)、
こ の腰 痛
の主
な 原 因の一・
つと
し て移 乗 介 助 動 作
が挙 げ
ら れて お りCi},
移 乗 介 助 動 作 時 に は 腰 部負
担 が 大 き な 問 題となる。
前
述 し た 背景
に 示 す よう
に 移 乗介助 動 作 時
に は介 助 者
の腰 部
負
担 が問
題 と な る た め,
移 乗 介 助 動作
を 分 析 し た研
究の有
用 性 が 高 まっ てお り,
近 年 移 乗 介 助 動 作 に お け る腰 部 負 担
をバ イ オメカニ クス の手法
を用
い て客 観 的
に明
ら かにし
た研 究
がな さ
れてい る。安 田
は筋 電 計
を用
い て大 殿 筋
と脊 柱 起
立筋
の平 均 放 電 時 問
を計 測
し,
移 乗 介
助 動 作
は介 助 量
の多
い動 作
であ
る ことを報 告 し
てい る7}。SkOtte
らと
山崎
ら は三次
元動 作 分 析 装 置
と床 反 力 計 を
使
用 し た 動作
分 析 手法
によ り 移 乗介
助 動 作にお ける腰 部負
担 を 分 析 し, 介 助 方 法の違
い が 腰 部負 担
に 及 ぼす 影 響
につ いて報
告
してい る8) F))。
介助 者
の身 体 的負 担
が大
きい移 乗 介 助
に おい ては 腰部
負 担 軽 減
を目的
と して リフ ト等
の編
祉 川具
が 用い ら れ る。 しか し,
リ フト を使 用 す
るた めには環 境
面の整備
が必 要
という
こ と,
予 問
や所 要 峙 間 が
か かっ て しま う
という
デメ リットもあ
る。ま
た,
ス リ ン グ着 脱 時
や リフ トの移 来 補 助 器 具 を 用い た移 乗 介 助 動 作に お け る介 助者の腰部 負 担につ い て 295
移 動 時
には,
リフト不 便 川 時
と同 等
の腰 部 負 坦
が か か る こ と が報 告 さ
れてい る ⊥O)c移 乗 介
助用
の福
祉 川具
の 中 に は,
リフ トに比べ 比較 的安 価
で簡 便
に使 用
で きる トラ ン スフ ァー
ボー
ド,
介 助 用
ベ ル ト等
があ り
,
移 乗 補 助 器
貝の利 川 は腰 痛
予防
・
介助 負 担 軽 減
に有 効
であ
るとい わ れてい る。
し か し移 乗 補助
器 具を
用い た際
の介 助 者
の身
体
的負 担
お よ び 有 効 性 を 客観
的 に 明 ら か に し た 研究
はま
だ 少 な く,
我 が 国で はこ の よう
な移 乗 補 助 器
具の使
用頻
度
は低
い状 況
で あ る。
そ
こ で木 研 究
では移 乗 介助 動 作
に お け る介
助者
の身休
的 負 担 軽 減
に着
目し,
リフ ト より
も簡 便
に使
川で きる移乗 補 助 器
具の有 無
お よびそ
の種 類
に よる介
助者
の身体 灼
負 担
へ の影 響 を
,
客 観 的
に明 ら
か にす
る ことを 凵的
と し た。
方
法
表1 マー
カーlll
「 1付 位 置 マー
カー
貼 付 位 置 頭 耶 頭頂、
側頭祁 (左 右 〕 肩111al〔左 有/,
肩 峰と外 側上顆の中 間 点 〔左 右 〕,
外 卜肢 側 ヒ顆 (左 右 },
尺 骨 茎 状 突起 (左 右 ) 研 究の 目 的・
方 法・
リスク 等 を 十 分 に 説 明 し,
同 意の得
ら れ た腰 痛 等
の既 往
歴の ない ユユ名
の若
年
健 常 男
竹
を対 象
と し た。 そのう
ち介
助者
10
名
(平
均身
長170
.
9
±5
,
8cm
平 均 体
重63
,
2
±54kg
平
均年 齢
22
±L6
歳 ),
被 介 助 者
1
名 (
身 長
ユ67cm
体 重
62
kg
年 齢
21
歳 )
と し た。
計 測 には
赤 外 線
カ メ ラ8
台
で構 成
さ れ る 三次
元動 作
分析
装置
VICQN612
(
VICON
PEAK
社 製 〉
と床 反 力 計
4
枚 (
AMTI
利
:製
) を 川 い た。
サ ンプ
リン グ周 波 数
は12011z
と し た。
赤 外 線
反射
マー
カー
は介
助者
に貼 付
し た。
貼 付 位 置
は 頭 頂,
側 頭部 (
左
右)
,左 右
の肩 峰
,左
右
の肩 峰
と外
側 上顆
の中
間 点,
左 右 の外 側 ヒ頌,
左
右の尺 骨 茎 状 突 起
,
L4
/5
閲
,
左右
の腸 骨 稜
,
左右
の上前 腸
骨 棘
,
左 右
の股 関 節
,
右
の股 関節
と膝 関 節
の中
間 点,
そ れと同 じ高
さで の大 腿 前 而
,
左右
の膝 関 節
,
左右
の足関
節 外
果,左 右 第
5
巾 足 趾 節 問 関節
とし
た(
表
1
)
。画
肩 峰
の マー
カー
は静 止
立位 時
の み貼 付
し,
.「
測 時
に はマー
カー
が 移 乗 動 作の 妨 げ に なる た め両肩 峰
は外
し たL 葭h
則後左
右の肩 峰
と外
側 上 顆の中
1
削点
のマー
カー
を
利 用 して計
測後
に肩峰
の位 置 を算 出
した (
図
1)。ま
た 右の股 関 節 と膝 関 節の中 聞 点,
そ れ と [司 じ 高 さでの大 腿前 而
につ い て は,
計
測1
[寺右 膝 関 節
のマー
カー
が 被介 助
者 に隠れ て し まい消
失 しやすい た め,
計 測後
右膝
関節
の位
置
を再 計 算 す
る際
に使
川 するた めに貼
付 し た.
マ
ー
カー
の消 失
を防 ぐ
た めエ レ ク ター
(
エ レク ター
株
式 会 社
) を 用い て2
つ の台
を作
成 し(
図
2
)
,
アー
ム レ ス トと レ ッ グ サ ポー
ト のな
い車 椅 子
とベ ッ ド を模
擬 し た。
同・
の床 反 力 計
F.
に被 介 助 者
,
介 助 者
の而 者
の足 部
が 乗っ て し まう
と介助 者
に生 じ る床 反 力
が正しく計 測
で きず
,
腰部
モー
メ ン トも
正 しく算 出 す
る こ と ができな
い。 以E
の こと か ら 図2
にPtす
よう
に,
被 介 助 者
の足 が 床 反
力 計 に 東 ら ない よう橋 渡 し を して介 助 者
の足部
の み が床
体 幹 L4/5間,
腸 骨 稜 (左右),
上 前 腸骨 棘 (左 右 } 股関 節 (左 右 ),
右の股 関 節 と 膝 関 節の中 間,
醸 と そ れ ト岐 と 同 じ高 さ での大 腿 前 面,
膝 関 節 (左 右 ),
足 関 節 外 呆 (左 右),
第5中 足 趾 節 問 関節 (左右 )鱗
鱇
、
數
霧
鍔7 鄒
髦
碇 鞍晒
竰 脇 郷伍
〃 艇 嘱 艇賜
器 嬲 貌 勲鯵
6
簸
拶
擁諺
協 蹴 図1
肩III季のマー
カー
の算 出方 法 図2 計 測 方 法反 力 計
の上に乗
る よう
に設 定
し た。介 助 者
の足
の位 置
は,
床
反力
計 ヒに 設 置 した板
上 の範
阻1
内
で自 山 (
各 介 助 者
の好
み)
かつ移 乗 動 作 を妨
げ ること
のない位 置 と
した。移
乗 を 行 う基 本的
な条件 と
し て,
移 乗
元 と移 乗 先
の高
さを
等 し く す るこ と,
ベ ッ ド と車 椅 子の 角 度 は30
°
とす るこ と が 良 好 と さ れ て お り11),
模
擬車
椅 予 とベ ッ ドの角
度 は30G
に固定
し,
ベ ッ ドの高 さ は 申椅
子の座 面 を想 定
し45cm
と し た。
ま た 被 介 助 者 が 移 乗 動 作の前 後 (端 座 位 の状 態 )
には毎 回 同
じ位 置
に 座 れ る よう実 験
装置
に印
を つ け た。
本 研 究
におい て移乗 介
助動 作
と は,
準 備 段
階 と して の車 椅 子
の セ ッ テ ィ ング や被 介助 者
の起 き
上 がり
,
靴
の着
脱 等
の介 助
は含
まず 移乗
元か ら移 乗 先
へ の乗 り
移 り動作
296
理学 療 法 学 第34
巻 第7
号 a )補 助 器 具な し b)トラ ン ス フ ァー
ボー
ド c 〕介
助ベ ル ト 図3
言1
測 条 件 の みと
し た。
移 乗 補 助 器
具 は ト ランスファー
ボー
ドと介
助
用ベ ル トを
用いた。
ま た各
移 乗介
助方
法 は 「移 乗の技術
・
考
え方
と方 法 」
の中
か ら選 択
,
参 考
に して以下
の3
条
件
で移 乗
介
助 動 作
を実 施
し た12)。介
助方法
:移
乗 補
助器 具
は用
いず
,
移 乗 介 助 動 作
を行
っ た。介 助 者
は被 介 助 者
の腰 部
のズ ボン
を把 持 し介 助 を 行
っ た。以 後 補助 器 具
な
しとす
る(
図3a
)
。
介助 方 法
:ト ラン ス フ ァー
ボー
ド(
MTS
ボー
ド,パ シフ ィッ ク サ
プ
ライ株 式 会社 ) を
用い て 移 乗 介 助 動 作 を 行っ た。
介 助 者 は 被 介助 者
の腋窩
に 両 上 肢 を 入 れ体 幹
を 挟 み 込む よ
う
に保 持
して介
助
を行
っ た。
以後
トランス フ ァ
ー
ボー
ド と する(
図3b
)
。
介 助 方法
:介 助 用
ベ ル ト(
MTS
サ ポー
ト,
パ シ フィッ クサ プライ
株 式 会 社 )
を被 介助 者
に装
着
し て移 乗 介 助 動 作
を行
っ た。介 助 者
は
介助 用
ベ ル トの取
っ手 を把 持
し介助 を
行
っ た。
以後 介 助
ベル トとする(
図3c
)
。
介 助 方 法
,
で は
被 介
助 者の両 上 肢 は介
助 者の頸 部
か ら肩
に掛
け て行
い,
介 助 方 法
で は
被 介
助者
の両E
肢 は 下 垂 し た 状 態で行 っ た。
今 回の 研 究では 移 乗 補 助 器 具 の な かで も比較 的普 及
してい るも
の で,
水 平 而
で の動 き
と矢
状面
で の動
き を代 表 す
る よう
な トラ ン スフ ァー
ボー
ド と介
助 川ベ ル ト を選 択
し 比較 検 刮
を行
っ た。
課 題 (
3
つ の介助 方 法 )
は ランダムに3
回ず
つ行
っ た。介 助 者
には 上記
の各移 乗 介 助 動 作 を理 学 療 法 上
が指 導
し た。被 介助 者
に は計
測 中脱 力
状態
を指
示 し, 極力 毎
回 同 じ状 態
と な る よう指 導
し, 十 分 練習
を 行っ た。
介
助 者,被 介 助 者 と も
に計
測前
に各
課 題 を 十 分 に 練 習後
,
20
分 間の安 静
を とり計
測 を聞 始
し た。
今
回の実 験
では右
足 を前 方
,
左 足 を後 方
と し,
左方 向
に回 旋 す
る方 法
に統
一
し,
介 助者
は 全員
同 じ方 向
に移 乗 動 作
を行
っ た。
計 測 項 目
は腰 部 関節
モー
メ ント
,
関節 角 度 (
体 幹
お よ び膝
)
,
床
反力
,
主
観
的負 担 度 (
Borg
scale)
13161と
し た。
腰 部モー
メン トの計算 方 法
につ い ては,
身体
に貼
り刊 け
た赤 外 線 反 射
マー
カー
の座標 値
と床
反力
デー
タ を 川 い てSkotte
ら8)と勝 「
えら17〕の方 法
を参 考
に し た。
身
体 各 部
に貼
っ たマー
カー
か ら13
リ ン ク セ グ メ ン トモ デ ルを 作 成 し
,
左 右
の足 部
,
ド腿
,
大 腿
,
骨 盤
にそ
れぞ
れ座 標 系 を定 義 し
た。そ
の後 身 体 各 部 位
の慣 性
モー
メ ント
,
質 量
,
質 量
中心 位 置 を算 出
し,
それ ら に床
反力
を組
み合
わ せ た逆 動 力 学 的 解 析 を
用いて腰 部
モー
メ ントを算 出
した
。第
4
,5
腰 椎 間
で多 く腰 痛
が発 生 す
ることが 報 告
さ れて い るこ と か ら,
勝 平 ら17)が 行 っ たMRI
画 像 撮 影 の デー
タ を 元 に 健常 成
人 男 性8
名 (
平 均身
長171,
3
±4
.
6cm
Y
一
均
体
重63
.
1
±6
.
9
kg
平
均 年齢 235
±4
.
0
歳 )
の体 表
か ら第
4
,
5
腰椎 椎 体
中 心 点 まで の平 均 内挿
距 離 を算 出
した。次
に第
4
,
5
腰 椎 問
に貼 付
し たマー
カー
と 左右
の腸 骨 陵
に貼 付
し たマー
カー
の中 点
で直 線
をつく
り
,
こ の直 線
上に算 出
した平 均 内 挿 距 離
を代 入
し各 被 験
者
の腰 部
モー
メ ン トの回転 中 心 を推 定 し
た。ま
た本研 究
で は この位
置 を 原点
としてXYZ
の座 標 系 を 定 義
し,
X
軸周
りの腰部
関 節 前 後 屈 方向
の モー
メ ン ト を腰 部負
担と し て定 義
し後
屈モー
メン トを+,
前
1
出モー
メ ン トを
一
と して 算III
し た (図4
)。
ま た,
腰 部 後 屈モー
メ ン トの最大値
を指 標
と して介 助 者
の腰 部 負 担
の評 価
を行
っ た。関
節 角 度
において は,
介 助 者
が被 介 助 者
を移乗 す
る と き に は身 体
が 座標 軸
ヒを 回旋
して し まう
た め,
二次 元で は角
度
b[
’
算
が出 来 な
い。 よっ て体 幹 関 節 角 度
は骨 盤座 標 系
に対 す
る体 幹 座 標 系
の角 度 変化 を
,
膝 関節 角 度
は大 腿 座 標
系
に 対 する下 腿座
慓系
の角 度 変 化 を
そ れ ぞ れ三次
元角 度
で あ る オ イ ラー
角 を 用いて 算 出 し た。
三次
元動作
分析
装 置に よ る各
条 件
の計 測終
了毎
にBorg
scale (工5
段
階)
を用
い てt
観 的
な負 担 度
を聴 取
し た。
腰 部
モー
メ ン トにおいては異
なっ た体
型の介
助者
の腰
部
モー
メ ン ト を 比校 す
るた めに身
長(
m)
と休
重(
kg
)
の積
でTll
規 化
し,
最 大 値
の平 均
を用
い た,閃 節 角 度 (
体
移 乗 補 助 器 具を用いた移 乗 介助動 作に お け る介助者の腰 部 負担 につ い て 297
幹
,左 右
の膝 )
に おい て は腰 部 後 屈
モー
メ ン ト が最 大 値
を
示 し たと き
の値 を 抽 出
し,
その値 を 平 均 し
て用
い た。床
反力 (
鉛 直 方 向成 分 )
に おいても腰 部 後屈
モー
メ ン ト が最
大f
直 を示
し たときの値
を抽 出 し た。
また, 異 なっ た体
型の介 助者
の床
反力
を 比 較 す る た め に体 重
(
kg
)
で 正規 化
し,
その値
を平 均
して用い た。
Borg
sca!e に おい て は3
つ の条 件
におけ
る各 介 助 者
の値
を平 均
して用
い た。各 条 件
と介 助 者
を2
要 因
と した二元 配 置 分 散 分 析
を用
い , その後 多 重 比 較 検 定 (
Tukey−Kramer
法 )
によりそ
れ ぞ れの群 間比 較 を行
っ た。なお
,
統 計 処 理
にお け
る有
図
4
リンクセグメ ン トモ デルと腰 部モ
ー
メ ン ト* の定 義 *L4
/5
問 の椎 体の中 心 点 を回転 中 心 とし て, 骨 盤 部に貼 り付 け たマー
カー
を も とに,
鉛 直 軸 をZ
,
前 後 軸 をY
,
左 右 軸 をX
と し て,
そのX
軸 回 り のモー
メ ン トすな わ ち前 後屈方 向の モー
メント を 腰 部モー
メ ント と し て定 義し た.
意性
は危 険 率
5
%水 準
で判 定
した。 結 果1
.
所
要時
間所 要 時
間 は動 作
開始 を介 助 者
の身体 重 心
に生
じ る加 速
度
の変 山 点
,
動 作 終
了を介 助 者
の身体 重 心
に生
じ る加 速
度
の安 定 点
と して抽
出 し た。
3
つ の条 件 閾
そ れ ぞ れに有
意 差 が み ら れ た(
p <0
.
05
)
。
トラ ンス フ ァー
ボー
ド に おい て所 要 時 間
が最 長
と なり
,
介 助
ベ ル トにおい て最 短
とな
っ た(
表
2
)
。2
,
腰 部
モー
メ ン ト各 条 件
に お け る 腰部
モー
メ ン トの代 表
例を
図5
に 示す
。
縦 軸
は後 屈 を
プラスと
して腰音
ll
モー
メ ン トを
,
横 軸
は 時 間 を 示 す、
補 助 器 具 な し と 介 助ベ ル トは 所 要 時 間 が 短く
,
モー
メン トの最
大値
が 大 きく
なっ た。
こ れ に対
し て トランス ファー
ボー
ドで は所
要時 問
が 長く
,
モー
メ ン トの最
大値
は補
助器 具
な し,
介
助ベル トに比べ小
さく
な菱
300T250
圖200
Σ
150 ハ ス 1001 屮
50 籠 竪 o 2 4 6 8
時
間(seG.
) 図5 腰 部モー
メ ン トの代 表 例 10 表2 言十i
則糸吉果 補 助 器 具 な し ト ランス ファー
ボー
ド 介 助ベ ル ト 腰 部 後 屈モー
メ ン ト:Nmfm・
kg 体 幹 前 屈 角 度 :°
右 膝 屈 曲角 度 :°
左膝 屈 曲角度 :°
* * 「一}
一一
] 「一
「 2.
03 ± O,
3 1.
45 ± 0.
2 2.
00± 0.
4 *一
49.
0
± 14,
0
46.
1± 10.
3
* 46,
0
± 12,
4床
反力
:N
/kg
Borg
scale 所 要 時 閲:sec.
一 一 一 41.
5± 7.
1 26.
2± 10.
7 37.
3± 8、
8 * 一 一 一45
.
7
±12
.
7
28
.
6
±15
.
6
42
、
4
±10
.
9
* 一 「一
「 「一一一
一一
「14
.
4
±D
.
8
1
ユ.
5
±0
.
6
14
、
4
±0
.
8
一 一 一 一12
.
1
±1
.
2
8
.
7
±1
.
7
11
.
4
±1
.
0
* [【
a9 ± 80 * p〈 0.
05298
理学 療 法 学 第34
巻 第7号 っ た。
各移 乗 方 法
の最 大 値
におい て,
補 助 器 具
な し と介
助ベ ル トでは どの介
助者
も被 介
助者
の殿 部
が持
ち 上 がっ た瞬 間
,
あるい は被 介 助 者
を移 乗 先
へ降
ろす 瞬 問
に最 大
とな
っ た。 トラ ン ス ファー
ボー
ド
で は,
いず れ
の介助 者
も被 介 助 者
の身体
を ト ラ ン スフ ァー
ボー
ド上で滑
ら せ て いる途 中
で腰 部
モー
メ ン トは最大
になっ た。補 助 器 具 な し
と トラン ス フ ァー
ボー
ド,
ト ラン スフ ァー
ボー
ド と介 助
ベ ル トa)
問 に有
意差
が 認め ら れた が(
p <0.
05
)
,
補 助 器
具 な し と介 助
ベ ル トの 間 に は有 意 差
が認
め ら れ な かっ た (表
2
)
。
:i
翻
的負
担度
と 同様
に,
腰 部 後 屈モー
メ ン トに おいて も トラ ン ス ファー
ボー
ドが他
の2
つ の方
法
よ り も有 意
に低 値
を示
し た。
3
,
関 節 角 度体 幹 前 屈 角 度
に おいては,
補 助 器 具 な し
とト
ランス フ ァー
ボー
ド,
補 助 器 具 な
し と介助
ベ ル トの間
に有 意 差
が み ら れ た が(
p
<0
.
05
)
,
ト ラ ン ス フ ァー
ボー
ドと介 助
ベ ルト
の問
には有 意 差 が 認
められ な か
った
。ま た補 助 器
具 な しが 最 も体 幹 を前 屈
している という結 果
が得
ら れた
(
表
2
)
。膝
関節 角 度
におい て は左 右
と も3
つ の 条件
問 に そ れ ぞ れ有 意 差
が み ら れ た(
p<0.
05
)
。
補 助
器 具 な し,
介 助
ベ ル ト,
トラン ス フ ァー
ボー
ドの 順に膝
屈 山角
度 が 大 き く な る という結 果
が得
ら れ た(
表
2
)
。
4
.
床 反 力床 反 力
におい て,
実 際
の介助 動 作
で の床 反 力
はXYZ
(
左右
,
前 後
,
鉛 直 )
のベ ク トル の合 成
とな
る。計 測 結
果
とし て はXYZ
す
べ て の値
が算 出
で きていたが,
前後
,
左 右 方 向
の床 反 力
は全 体 的
に小
さ な値 と
なっ た。
その た め今 回
の研 究
で は,
大 き な値
とな り腰 部
モー
メ ン トに大
き く影 響
を 与 え る 鉛 直 方 向 成 分の床 反 力 につ いて比 較 検 討 し た。
床
反力
に おい て も補
助器 具
な し と トランス ファー
ボー
ド,
トラ ン スフ ァー
ボー
ドと介
助ベ ル トの 間に有
意 差 が 認 め ら れ た が(
p
<0
.
05
)
,
補
助器 具
な し と介
助 ベ ル トの問
には有 意 差
が認
め ら れな
かっ た(
表
2
)
。 主観 的 負 担 度
,
腰 部 後 屈
モー
メ ン トと 同様
に ト ラ ン スファー
ボー
ド が他
の2
つ の方 法
より も有 意
に低 値 を
示 した。
5
.
主観 的 負 担 度
Borg
scale に おい て,
3
つ の条件 間
そ れ ぞ れ に有
意 差 が み ら れ た 〔p 〈0.
05
)
。
補 助 器 具 な し に おい て主観
的負
担 度 が 最 大 と な り,
トラン ス ファー
ボー
ドにおいて最低
と なっ た (表
2
)
。考
察
い
ず れ
の介 助 者
に おい ても補 助 器
具 な しと介 助
ベ ル ト は所 要 時 問 が 短 く
,
腰 部
モー
メン トの最 大 値
が大 き くな
っ た。 こ れ に対
して ト ラ ン ス ファー
ボー
ドで は所
要 時 問 が長 く
,
モー
メ ン トの最 大 値
は補 助 器 具 な
し,
介 助
ベ ル トに比べ小
さく
なっ た。
所 要 時 間
が短 く腰 部
モー
メン ト の最
大値
が大 き
い条 件
と,
所 要 時 間
が長 く腰 部
モー
メ ント
の最 大 値 が 小 さ
い条 件
で は,
どち
らの方 法 が
より大 き
な負 担
と なる か 比較 検 討 す
る の は困難
と なる。 し か し移
乗 介 助 動 作
は比較 的 短 時
間であ
り,
反復
さ れる瞬
間的
な負 荷
が身 体 的 負 担
に大 き く影 響 す
る動 作
であ
る。また
Magora
は 突 発 的 な 荷 重負
荷で は脊
椎 周 囲の軟
部 糸1
[織
へ の負 担
は 通常
の4
倍
以 上 で あ ると報 告
してお り18),移
乗介
助 動作
に おい て は瞬
発 的 な力
の観 点
か ら考 察 をす す
め る 方 が よ り 問 題 点 を 明 ら か に す るこ と がで き る と 考 え た。 さ ら に,
腰 部
モー
メ ン ト に よ る腰 部 負 担 検 討
の妥
当
性
につ い て 山崎
ら は,
介 護 動 作 時
の腰 椎
の圧 縮力
と 腰部
モー
メ ン ト を 腰部
負 担 と して使
用 してい るが,
腰椎
の圧縮 力 を 計 算 す
る には腰 部
モー
メントを利 用 し
,
さ
ら に腹
圧
や腹 部
と背 部
の筋 群
の レバー
アー
ムな
ど多 く
の推 定 式
を用
い て算 出 す
る必要
があ
る。 こ れ に対
し て腰 部
モー
メ ン トに よ る腰 部 負 担
の評 価
は,
腰 椎
の圧 縮 力 と比 較 し
て多 く
の推 定 式 を 含 まな
いた め生 体 力 学 的
に合 理 的
,
かつ 実 用 的 な 評 価 基準
であ ると報 告 してい る9)。
1
.
主観
的 評価
宅
観 的 負担 度
につ い ては トラン ス ファー
ボー
ド,
介
助 ベ ル ト,
補 助 器 具 な
しの順
にBorg
scale が低 値
を示
し た。
ト ラ ン ス フ ァー
ボー
ドに おいて は,
腰 部
モー
メ ン トが 他
の2
つ の方 法
よりも有 意
に低 値 を 示 し
ており
,
こ の結 果
が反 映 さ れ
ている と考 え
ら れる。補 助 器 具 な
し,
介
助
ベ ル ト に おいて は腰 部モー
メ ントで は有 意 差
は みら れ ないも
の の,介 助 者
の把 持
の仕 方
に大 き
な違
い があ
る。介 助
ベ ル トで は,
取
っ手 を
両 上肢
で把 持 す
る た め補 助 器
具 な し と ほ ぼli
.
ilじ位 置で移 乗 介 助 動 作 を 行 う が,
ベ ル ト を把 持 す
る こ とで被 介
助者
を介
助者
側へ引
き付
け や すく
なり
,
さ らには 被介
助者
の体
重 を安
定 し た 状 態で持 ち 上 げる こと がで きるた め,
卞観 的 負 担 度
で は有
意 差 がみ られ
たの ではな
いか と考 え
られ
る。こ の
結
果か ら,
主観 的 負担 度
と腰 部
モー
メ ン ト は同傾
向
にあ り,介 助 者
の卞観
的負 担
は福 祉
川 具 を 川い る こと で軽 減 す
ること
が考 え
ら れ る。ま
た,
ト ラン スフ ァー
ボー
ドの使 用 が 移 乗 介 助 動 作 時の 身 体負
担 を 軽 減 す るの に有 効
で あ ること が示 唆
さ れ た。
トラン ス フ ァー
ボー
ドの使
用 に よ る腰部
負 担の軽 減
要因
を 明 ら か に す る た め,
腰部
モー
メ ン トに影
響 する関節
角 度(
姿 勢)
と床 反 力 (鉛直 方向 成 分
;被 介 助 者 を持 ち
上げ
るカ )
をも
とに考 察
をす す
める。2.
体 幹 前
屈角 度
体 幹 前 屈 角 度
に おい て は トラン ス フ ァー
ボー
ド,
介 助
ベ ル トが 補 助 器 具 な しと比べ有 意
に低 値
を 示 した。
補 助
移 禾
fl11
助器 具を用いた移 斥 介助動 作に お ける介V
)1−
K’
の〕U
i.
risイ1担 につ い て 299 器 具 な しで は,介助 者
は被 介 助
呑の腰 部 を
両上肢
で把 持
し,
移乗 介助 動 作 を行 う
た め体 幹 を前
lu,
させ る必 要
があ
る。
こ れ に対
して トラ ン ス フ ァー
ボー
ドでは,
介 助 者
は被 介
助者
の服 窩
に両
卜肢
を 人 れ て 移 禾 介 助 動 作 を 行う
た め補
助器 具
な し に 比べ材
Al前 屈角
度 が減
少 す る。
介 助
ベ ル トで は,
介 助 者
は介
助 用ベ ル トの取
っ手
を両 上 肢で把
持 す
るた め補 助 器 具 な し
と ほ ぼ同
じ位 置
で移 乗 介助 動作
を行 う
。前 述 し
た よう
に,
ベル ト を把 付 す
るこ とで被 介
助 者 を介 助 者 側
へ 引き付 け
やす くな り
,
さ らには安 定
し た 状態
で移 乗
す ること
が でき
るた
め,
体 重 を支持 す
る際
に体 幹 前
屈角 度
が減 少
してい ると考 え
ら れ る。 この よう
に 体 幹前
屈角
度 が 大 き く な ると,
レバー
アー
ムが 延 長 し て腰 部
モー
メン トは 大 き く な り,体 幹 前
屈 角 度 が 小 さく
なると,
レバー
アー
ム が 短 縮 して腰 部モー
メ ン トは 小 さく
な ることが予 測
さ れ る。
しか し実 際の角
度の羊 は3D
程度
であ り腰 部
モー
メ ン トに大 き く影 響
して いる と は考
え ら れな
い。3.
月
ヨ
ミ関負
行角 度
膝 関 節 屈 曲 角 度 に おいて は
膝
関節 を
厄1曲 させれば体
r牟
が伸 展
し,膝
関節
を伸 展
させれ ば材 幹
が屈 曲 す
る という
よう
に,
腰部
モー
メ ン トに直 接
的 で は な く二次 的 に係
わ っ てい る。
結果
と しては トラン ス フ ァー
ボー
ド,
介 助ベ ル ト,
衲
助器 具
な しのJrl
貝に低
f
直
を 示 し た。
トラン ス フ ァー
ボー
ドでは重 心
を低 く
し ない分
,
袖 助 器 具
な し と介
助 ベ ル ト より屈 曲 角 度
が減 少 す
る。
介 助ベル トでは 介 助 者 が被 介 助 者
を しっか り
と引 き付 け
,
被 介 助 首
の体 重
を持
ち
E
げ
る こ とができ
るため,
膝
の屈 曲 角 度
は補 助 器 具 な
しよ りも減少
する と考 え
ら れ る。肢 柏 推
門板
の内
圧 を圧 ト ランデュー
サー
に より測 定
し たNachemson
らの研 究
で は,
椎
問板
にか か る 圧力 を立 位 と比 較
し休 幹 を
45
°
回旋
さ せ た場
合 は1
.
3
倍
,
膝 を屈
曲 させ体幹 伸
展 位の ま ま20kg
の重 り を持
ち 上 げ た 場 合 は2.
4
倍
, 膝 を 伸 展 さ せ体 幹 屈 曲 位
で20kg
の埀 り を 持 ち 上 げ た場
合 は3
.
8
倍のカ
が か かる と報 告
さ れて い るls))LO }。
さ らには 荒木
ら が行
っ た研 究
では合柱 起
立筋
祥 と腹 斜筋
群の筋 電 図 計
測 を行
い,
膝
関節伸
展位
で の リフ テ ィン グ に比べ,
膝 関 節
1
出
曲位
で のリフティ ングの方
が腰 椎
へ の負 担
が小
さい と≠艮
告
して い る2D 。介 助 動 作 を 行 う 際
の良 好 な 姿 勢
におい て も,
生 体力
学 的 に は 膝 関節 狆
展位
で体
弊 を前
屈 させ た姿 勢
よ りも膝
閃 節lui
山位
で体 幹 伸 展 位
の方
が,
腰椎
の負
担
が少
ない良 好
な姿 勢 と
し て推 奨
さ れて い る22,。 この よ う に,
膝 関即屈 山 角 度 が 小 さ く な る と 材 幹 が 屈 曲 し,
腰謳
モー
メン トが 大 き く な り, 反 対 に膝 関 節
屈 曲角
度 が 大 き く な る と体
幹 が 伸 展 し,
腰 部モー
メ ン トが 小 さく
な る とい うこ と が予
測 さ れ る。
し か し 本 研 究では 各 条 件 問 の体 幹 前 屈 角 度
差 が3D
存 度
で あ る 巾,
膝 開 節
が伸
展 傾向
である トランス ファー
ボー
ドにおい て腰部
後 屈モー
メ ン ト が小
さく
なり
,
さ ら に は膝
関節
が屈 曲
f
頃向
であ
る補
助 器 具 無
し に おい て腰 部 後 屈
モー
メ ン トが大 き くな
っ た。
この こと
か ら本研 究
に おいて膝
関節 角 度 も腰 部
モー
メ ン トに 大 き く影 響
してい る とは考
え ら れ ない。
4
.
床
反力
床 反 力 船 直方 向
成分 )
に おい ては,
トラ ン ス ファー
ボー
ドで有 意
に低 値
を示
しており補 助 器 具
な し と介
助ベ ル トで はA
’
S
一
差 が無
い こと が分
かる。 こ の結 果
には,
福
祉 用 具
の使 用 方 法
の IUTIいが 大 き く影 誓
して いる と考 え ら
れ
る。袖 助 器 具な し
と介 助
ベ ル トは介助 者 が 被 介 助 者
を把 持
し,
体 幹 を伸
展,
回旋
させ移乗
させ る。
す
なわち
一
反 被 介
助 者の体 重
を持
ち 上 げ 体 重 を 支 持 し な が ら 移乗 先
へ 降ろす 必 要 が あ る.
この よう
に移乗 介 助 動 作
では,
矢
状 面の動 き と水 平 面 での 動 き 両 方 が 必 要 と な る。
これ に対
して トラ ン ス フ ァー
ボー
ドは介 助 者
が被 介
助者
を把 持
し,
体 幹
を回旋
さ せ 移乗
さ せる。
す
な わ ち被 介
助者
を ト ラ ンス フ ァー
ボー
ドL
で滑
らせ る動 名
の た め,
被 介 助 者
の体 重 を持 ち
ヒげ
る矢 状 面
の動 き
がほ とん ど無
い。 こ の よう
に矢
状面
の動
きが必要
と なる動 作
(鋪 助 器
具 なし,
介助
ベ ル ト)
におい て は,度 被 介助 者
の体 市 を 持 ち
ト げ 支持
す る 必要
が あ る た め,
床
反力
〔鉛直方 向 成
分 ) が 大 き く な り腰 部 後 屈モー
メ ン ト も大 き く なっ た と4
え ら れ る。
ま た,
水 平
而での 動 き が 主で あ る トラ ン ス フ ァー
ボー
ドで は,
被 介
助者
の俳
重 を持
ち 上 けズ持 す
る 動作
を 彳一
i
わ ない 分,
床
反 力 (鉛 直 方向
成 分)
が 小 さ く な り腰 部後 屈
モー
メ ン トも小
さく
なっ た と煮
え ら れる。5
.
本 研 无
の限界
本研 究
の限界
と して腰 部
モー
メ ン トを前 後 屈
のみでし
か分 析 す
ること ができな
かっ たこと
,
床 反 力 を用
い た実
験の た め,介
助 者の足の位
置 を あ る 丕LE度 制 限 し な くて は な ら な かっ たこと, ま た 対象
が10
名
と 少 な く,介 助 者
,
被
介 助 者 と もに筱L
常成
人 男性
を 用い てい るこ と が 挙 げ ら れ る。今 後 水 平 面
での モー
メ ン トを加
え,
更
には 実際
に 介 助 を行 う
よう
な 女性
や 高齢 者
,
臨床 家
を対 象
と し検
討 を加
えて い き たい。
その他,
移 乗 介 助 動 作
の分 析
は介
助者
,
被 介 助 者
の力 関 係
が かな り複 雑
とな り
,一・
度
に両 者
の分 析
をす
るという
ことには限 界
があ
るた め今 回
の研 究
で は特
に介 助 者
の負担
という
こ と に着
目 した。
し か しな
が ら移 禾 介助 動 作
の分 析
では介 助 者
,
被 介 助 者
とも
に 評fllli
が 必 要
であ
る と思
わ れる。 より実 際
の臨 床
や介 護栃 面
に 近い環境
設定
を検 討
し,
介
助 者,
被 介 助 者
とも
に安 全
で効
率の よい適
切 な 移乗 介 助
方 法 を検
討 し てい き たい。
謝
辞 :オ 研 无 は 文 部 科 学 省の2003
年〜
2006
年
度の科
学研
究費 「
加 尚1対h
応 住毛に お け る 腰部 負
担軽
減 を 目 的 と し た 動 作 寸 法 体系
の研究 」
を受
けて行っ た。
300
理学
療法学 第
34
巻第
7
号文 献
1)
西 條 富美
代,
峯
島 孝 雄・
他:老
人 保健施
設に おける トランス フ ァ
ー
介助動
作の回数と所 要1
[寺間.
理学療 法
科 学 15(4): 工81−
186,
2000,
2)井上剛伸
,
関[進
・
他:リハ ビ リテー
シ ョ ン病院におけ る移 乗 介助 方 法と腰 痛に関 する調査.
国立身体 障 害 者リハ ビリテー
ショ ンセンター
研究 紀 要20:6
ユー
70,
2000.
3) 藤村 隆 :老人ホー
ム における介 護 作 業の問 題 点と腰 瘡 対策
.
労 働の科学 50(9
}:13
−
16
,
1995.
4
) 松 元征 徳 田 島直 也・
他:各 職 種 間にお ける作 業 姿 勢と腰痛につ いて
.
EI
本 腰 痛 研 究会 雑 誌4
〔/):31
−
35
,
1998
.
5
>村田昌 浩 :老 人ホー
ム介 護 者の腰 痛に 閧する疫 学 的 調 査.
日本 災 害 医 学 会 会 誌 42(2}190
−
91
,
1994,
6
) 小川鑛.
一
:介 護者の側 か ら みた 腰 部 負 担の軽 滅 策,
労 働の科
学52
(5
):276
−
279
,
上997
.
7) 安田大 典:施 設 介 護 職 員の介 護 動 作 負 担にお ける定 量 的 評 価の試 み.
作 業療法13
:90
.
1994
,
8
}Skotte
JH,
Essendrop
M
,
et α1
.
lA
dynamic
3D
biome
−
chanical evatuation of the
load
on thetow
back
during
different
patient.
handlTng
tasks.
J
Biomech
35
:1357
−
1366
,
2002
,
9
)IL
[r11奇信寿
,
山 本 真 路・
他:移 乗 介 助 動 作の計 測と腰 部負
担 の評価.
バイ オメ カニ ズム 16:195−
2Q5,
2002.
10)井
.
.
卜剛 仲,
Ge
。ff
Fernie・
他:介 助 用 リフ ト使 用 時の介 助者の腰 部 負 担
.
バ イ オメ カニ ズム 15:243−
254,
2000.
1])Andersson
GB
,
Ortengren
R.
et al.
;Intradiskal pressure,
intra
・
abdominal pressure and myoe ⊥ectricback
muscieactivity related to posture and Loading
.
ClinOrthop
Relat
Res
/29
:156
−
164
,
1977
,
/2) 市川 洌,
伊 藤かずみ・
他 :移 乗の技 術・
考 え方と方 法.
移 乗 技 術
検討
委員 会 (
編),
財 団 法 人テ クノエ イ ド協 会,2001
,
ppl8−
34
.
13) 服 部 洋 兒,
服 部 祐 兒・
他:車椅 子か らベ ッ ドへ の移 乗 動 作 時の介 助 作 業 者の負 担 感,
患 者の快 適 度・
安 全 性に関 する実 験 的 研 究
.
教 育 医 学 49{5)1285−
29,
3.
2004.
14) 堀 文 子,
蛭出秀一・
他:車椅 子 か らベ ッ ドへ の移 乗 介 助 に お け る補 助用 具の効 果の検 討.
産 業 衛牛学 雑 誌 45:707,
2003
,
15
)堀 文子,
小野雄.・
郎・
他 :車椅 子か らベ ッ ドへ の移 乗 介助に お け る
介
助者役
と患者
役の 自覚 的 評 価.
産 業 衛 生 学 雑 言志 42:294
,
2000
,
16).
西田征治
,
新川寿
子:移乗
介 助に お け る介 助者の腰 部 負 担度 と難
易度
一
表 面 筋 電 図,
Borg
scale を用い て一.
作 業 療 法 24;364,
2GO5.
17)1
勝平 純 司:昇 降 動 作に おける腰部
負 担の分析
一
高齢者
の在宅 生活を対 象と し て
一.
国 際 医 療 福 祉 大 学 大 学 院博士論 文 :3
−
10,
2003
,
18)Magora A:Investigatien of the relatien
between
Low
back
pain and occupation.
4physicaL requirernents ;bend
−
ing
,
rotation.
and sudden maximaL effort,
Scand
J
RehabLL
Med
5
;186
−
/90
,
/973
.
19
)Nachemson
Al
The
load
on lumbardiscs
in differentpositions of the
body
,
Clir10rthDp
Relat Res 45;107−
122,
1966
.
20
)
Nachemson
A
,
Elfstro
皿G
:Intravital
dynamicpressure
measurements
in
lumbar
discs
.
A
study of com 皿 onmovements
.
maneuvers and exercises.
Scand
J
Rehabil
Med
1:1−
40,
1970.
21
) 荒 木 秀 明,
山 崎肇
・
他 :腰 痛 と生 活環境 との関連一
介 護動 作 時の
体幹
の 三次元動作 解
析か ら一.
理 学 療 法13
〔Dl
55−
61,
1996.
22) 潮 見 泰 藏,
本 山仁 美・
他 :自
立.
支援のた め の 患者
ケ ア技術
.
潮 見 泰 藏,
齋 藤 昭 彦 (編 ),
医学 書院,
東 京,
2003
,
pp12Q−
131
.
i;RrarrinX;.&INvli]t]igftitrllbetfiil[tsC65trMg'a))]eei'1//Billte.ccovi'c
3o1<Abstract>
Low
Back
Load
ofCaregiver
During
Transfer
Movement
Using
Assistive
Devices
Hideaki
SASAKL
RPT,
MS
Nishinasuno
Mttronie
Hbumon
KLcngo
Station
Junji
KATSUHIRA,
PhD
Dqpart,nent
ofPhysical
71herapy.
Faculty
ofHealth
Science,
International
University
ofHbalth
and
IVlelfore
Hitoshi
WATANABE,
PhD,
Eng
Department
ofArchitecture,Faeully
of
Scienee
andEngineering
WLzseda
University
Fumiyo
SAIJOU,
RPT,
PhD
B"nkptQgakuin
Uhiversily