Japanese Society for the Science of Design
NII-Electronic Library Service
Japanese Sooiety for the Soienoe of Design聴 覚 障 害 者
の
た め
の
教 育
コ
ン
テ
ン ツ
開発
目的
:聴 覚 障 害 者 を 支 援 す る た めの教 育コンテン ツ
開発
を 通 じて、
ヒュー
マ ンセ ン ター
ドデ
ザ イ
ン の概念
を学
ぶ。
授業 名
:情報 デ ザ
イ ンゼ
ミナ
ー
ル指
導教
員
:浅
野智
受
講者
:3
年
生授 業 期 間
:平成
12
年
10
月
〜
16
年
3
月授業 概
要本 授
業
は、
ゼミに お ける研 究
の一
環
と して リコー
ヒュー
マ ン クリエ イ ツ(
株 ) 社
の要 請
で、
同社
の 日常 業 務
に埋 没 し が ちの聴覚 障 害
を 持っ た社員
に、
同 じ聴覚 障害
を持
つ人達
に 貢献
し モ チベー
ショ ン を高
め て も ら う た め に始
め た プロジェ クト
で あった
。本研 究
室で は、
デ
ジタル マニ ュ ア ルの使
い勝
手の研究
を行
って いた た め、
ユー
ザ
が健常 者
よ り論 点
の絞
り込 み やす
い聴 覚 障
害者
を対 象
に教 育
コン テ ンツ の制 作
を試
み た。
手話
の演 者 と監修
を リコー
ヒニ1一
マ ン ク リエ イ ツ社
の聴覚 障害
を持
つ社
員 が担
当 し、
聴 覚 障 害 者
の コミュ ニ ケー
ション を 支 援 す る た めの教
育 コ ン テ ン ツを本研 究
室 が制 作
する こと となった
。
解 説
(
情 報デ ザ
イン の視
点
で指
導
し たポ
イ ン ト〉
聴
覚障害 者
が容 易
にE
メー
ル を活 用
するた めの教 育
コ ンテン ツ の開 発
に取
り組 ん
でき た が
、
調査 を続 け
てゆ く うち
に一
人
一
人
が持
っている障
害
の度 合
いや 受 け て き た教
育
に よっ て各個
人のイ
ン タフェー
スが異
な る とい う事 実
に突
き当た
った
、
本 授 業
は、
個 人
の障 害
や教 育
に合
っ た イ ン タフェー
ス を 選択
で き る教
育
コ ン テ ンツの 開発
を行
い、
更 に一
歩 進
め た、
聴
覚障害者
だ
けでは な く健 常 者
も含
め て、
障 害
の度 合
いや 教 育
の有 無 を越
える ことの でき
る極 力
言 語
に依 存
し ない ノ ンバー
バルな インタフェー
ス を持
っ た教 育
コン テン ツ開 発 を 行 お う と した。
プ
ロ セ ス本 プ
ロジェ ク トには3
段階
の ステップ
が あ り、
その段階
ご と に説 明
す る。
1
,
は じ め て のE
メー
ル13年
度 版
メ
ー
ルの基 礎 知 識 を平 易 な 文 章
で説 明 し
、
文 末
にあ
る 「手
」 のア イコン を ク リック
す
る と、
Windows
Media
Player
がS
[J
ウ イ ン ドウ で立
ち 上 が り、
手 話 映 像 が 始 ま る よ う に なっ て い る。
映 像
に は音声
とテ ロップが同
期
さ れており、
手 話
に習 熟
し て いない聴 覚 障 害者
にも 同時
に多様
な情 報
を与 え
ることが で き る。
2.
は じ め て のE
メー
ル14
年 度 版
13
年度 版
の評 価
を行
っ た際
に、
聴 覚 障 害 者
は単
に手 話(
伝 統 的
手 話・
日本 語 対 応 手 話 ) だ
け で は な く口話法
や指 文 字
を使
う 人 も お り。
ま た、
難聴
の方
は大
き な声
、
テロップ が出
る際
に手 話
と日本 語 を 同 時
に理 解
でき な
い人等
、
ユー
ザ
は一
人
一
人求
め る イ ン タ フェー
ス が異
な ること が実
感
され た。
そこで
14
年 度 版
を開発
するに あ た り、
本 教 育
コ ン テ ン ツ を使
用す
る前
に映像 設 定 画 面
で ユー
ザ
の求 め
る手 話 (
前
、
斜
め上
、
斜
め横 )
、
凵話 法
、
音声
、
文字 等
のイ ン タフェー
ス を自
由 に選 択
で き る よ う に し た。
62 SPECIALISSUEOFJSSDVol.
13No.
32006 デ ザ イン学 研 究 特 集号横 浜 デ ジ
タ
ル ア
ー
ツ
専
門
学校
は じ め て のE
メー
ル 13年 度 版 姦膿 鯵 鹸 鴛磯 俸 メ
刪焦
F嘩
t・
幡鏃
酵 σ薗 匸の鴎
〆濃磯
灘
i
灘難
寳
’
難
鰹
讐
怨
置
議
が 胤 脳 鞠 鵬.
孅 は じ め て のE
メー
ル14年 度 版 映 像 設 定画 面 瀬 きー
ン
ろ 謁 醜 鷺 靠 部 脳、
崋 吸 霞騰
灘
・…
鬢
.
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爨
ビデオ チャッ トAGo1Go1
N工 工一
Eleotronio LibraryJapanese Society for the Science of Design
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Japanese Soolety for the Solenoe of Deslgnビデオチ ャッ トAGo1GoiTOP デ ジ タルマ ニ ュ ア ル
謡
ムー
ビー
プロ トコ ル分 析暢
ロギングツー
ル平成
13
年
9
月
か ら平 成
15
年
7
月
ま で204
名
の被 験者
を対 象
に検 証
を行
な っ た。
概
ね チェ ッ ク リ ス ト式
のユー
ザ
テ ス トを行
ない、一
部
で はプ
ロ ト コル 分析
も行
っ た。
結果
として以下
の こ とが分
か っ た。
・
聴 覚 障害 者
に とっ て文 字
が最
も優
れ た情 報 源
では な かっ た。
・
手 話 に も方
言的
な表
現 が あ り、
ま た 受 け た教 育
の差
など
か ら全
ての聴
覚 障害 者
に 通 じ る ものは少 な
かった。
・
伝 統 的 手 話
の映像
を表 示 す
る時
に、
ま
るで違 う言 語体 系 を持
つ 日本 語
テキ
ストや 音 声
を同時
に表 現 す
る と言 語
コ ン フ リ ク ト を起
こす被 験 者
が見
られ た。
・
聴覚 障 害 者
は、
障 害
の レベル や 受 けてき た教 育
によっ てそれぞ
れ が 要求す
るインタフェー
スが 明らかに異
なる と いうこ とが確 認
さ れ た。
3,
ビデ オチ
ャッ トAGo
1
Go
1
は じ め て の
E
メー
ル14
年度 版
は、
ユー
ザ
の求
め る イ ン タフ ェー
ス を 選 べ る よ う にす
ること に よ り、
聴 覚 障害 者
のユー
ザ ビ
リ ティを高
め ること
がで きた。
しか し、
ユー
ザが求
めるイ
ンタフェー
ス の種 類
が増
え れ ば増
えるほ ど、
ユー
ザ ビ リテ ィが高
まるか と言
え ば、
そ う と は言
え ない場 合 も あ る。
操 作
の煩雑
さ が 増す
か らで あ る。
そこ で
本研 究
は、
はじめ
て のEメー
ル14
年度 版
で検 証
され た
「ユー
ザ
は個
々にお
い て求
めるイ
ンタ
フ ェー
スは多 様
であ
る 」 という結 論
を踏
ま えた
上 で、
逆 説 的
な取
り組
み を行
った
。
「全
ての ユー
ザ
が 理解
で き る、
万能
なユー
ザ
イ ン タフェー
スの開発
」 で あ る。
全て のユー
ザ
とい う と 語弊
が あ る が、
こ の場 合視 覚 障 害者
は除
い て考
え たい、
新
た なコン セ プト
として 「極 力言 語
に依 存
し ない 」教 育
コ ンテン ツ の開発
を目指
した。
具体 的
に は、
言 語
よ り も身
体 的
コ ミュ ニケー
ション を重 視
す る た め、4
年 間継
続 し て き た バー
バ ル イ ン タフェー
ス で あ る 「E
メー
ル」 の教 育
コ ン テ ン ツ か ら ノ ン バー
バ ル イ ン タフェー
スの側 面 も持
ち合
わせ る 「ビデ オ チ
ャッ ト」 の教 育
コ ン テ ン ツに対 象
を変 更
し た。
社
会
のネッ トワー
ク環境
が ブロー
ドバン ド化
し、
大 容 量のデー
タの送 受 信 が 比較 的 容
易 に なっ て き たこと もコ ン テ クス ト と し て大
きい。
健 常 者
・
聴 覚 障 害 者
・
老 人 幼 児 な ど
の情 報 弱 者
が、
ビデ オ チ
ャ ットを容 易
に学 ぶ
ことの でき
る、
極 力 言語
に依存
しない教育
コ ン テ ン ツ の開 発
を試行
した。
4.
ま と め聴 覚 障 害者
のた めの教 育
コ ンテンツ を 開発 す
る こ と に よ り、
以下
の こ とを理解 す
る ことが でき た。
・
シー
ケ ン シャル な テ キス ト主体
のコ ン テ ン ツ よ り、
ユー
ザ
が学 び
たい部
分
のみ 見 る こ と の で き るデ
ジ タ ルコ ン テ ン ツ は、
学習
に有効
であ
った。
・
複 雑 な 情 報
を一
度 言 語
に置
き換
え たコ ン テ ン ツよ りも
、
情 報
の姿 を変
える こと な く直 接 的
に伝
える ことの できる ノ ンバー
バ ル なコン テ ン ツ の方
が 人 に 伝 わ りや すい。
・
テキ
スト
に重
き を置
かな
い教 育
コ ン テ ン ツ は、
ユー
ザ
に苦 痛 な く学 習
を
促す
こと
ができた
。
*開発
に伴
い、
初 期
の段 階
か ら完
成後
の検
証
に 至 る まで、
多
くのプ
ロ ト コル 分析
を行
っ た。
多
くのプロ トコル分析
を行
う にあ
たり静 岡
工業技
術
セ ンター
で開発
さ れ た 「OBSERVANT
EYE
」 い うロギングツー
ル を使 用
し、
時 間
の効 率化
と正確
さの向
上 が図
れ た。
デザ イ ン学研究特 集号 SPECIAL ISSUE OF 亅SSD Vo1