• 検索結果がありません。

香川県における水稲奨励品種決定現地試験の解析 I. 試験地の概括的環境評価-香川大学学術情報リポジトリ

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "香川県における水稲奨励品種決定現地試験の解析 I. 試験地の概括的環境評価-香川大学学術情報リポジトリ"

Copied!
10
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

9 香川大学農学部学術報告 欝30巻第63号 9∼18,1978

香川県における水稲奨励品種決定現地試験の解析

Ⅰ.試験地の概括的環境評価

−・井真比古,西池 孝則*,桑田 晃

ANALYSIS OFTHE PERFORMANCETESTFORRECOMMENDED

CULTIVARS OF RICE PALNTIN KAGAWA PREFECTURE

I.Gener・alAssessment for・a RegionalEnvironment

MasahikoIcHII,Takanor・iNISHIIXEand Hikar’u KuwADA

PerIformancetests for recommended cultivarsofriceplantshavebeencarriedoutin Kagawa

Pr・efectur・e Since1954.This paper evaluates the results of these tests for differentregions

and attempts to defineinterr・eg10nalrelationships・

Theeightregionsinthisstudyarethediluviums,theautumn−declines,thewester’nPlain$,

the easter・n hills,the wester・n hills,the eastem plains,the middle$and theislands・The

dataon plantsituation from these eightregion$Were Summari2:edannua11y for eachreglOn・

Of thevar・ious characteristics,grain weight,heading dateand paniclelength were selected

forstudyby meansof variance and corr・elation analysIS・Thefollowingbecameclearafter・

investigation of these three char・aCteristics・

Much grain weightis producedin the diluviums,the autumn−declines and the western

plains,Whilelittleisproducedinthewester・n hills,the easternplains・themiddles and the

islands.The eastern hills areinter・mediate.Annualvariation of gr.ain weightin the dilu−

viums differs from that of other・regions.However,in the we$tern hills this variationis

similar to that for the eastern plains. The heading date for the eastern hills is five days

earlier than those of the other・regions.The var・iationin the annualheadingdateis almost

the same for・a11regions,Other than the eastern hills and themiddles・The eastern hills

and theislands differ from any other regionsin paniclelength andits yearly variation・In

conclusion,itappearsthatthediluviums,theeastemhills,themiddles andtheislandshave

dilfer・ingindividualcharacteristics・Furthermore allthe charIaCterIistics and their yearly

var・iations are simi1ar for・the wester・n hiLIs and the eastem plains.

香川県における水稲奨励品種決定現地試験は1954年以来実施されている.それらの結果をもとに,県内各地域の環境 評価ならびに地域間の相互関係を明らかにしようとした

洪潰層,秋落,西部平坦,東部山間,西部山間,東部平坦,中間および良しょの8地域における試験から,枚魔のみ の結果を年次および地域どとに・まとめた,.多くの調査形質から分散分析ならびに相関分析にもとづき玄米重,出穂期お

(2)

・−・井其比舌,西地 学則,桑田 晃 香川大学農学部学術報告 10 よび穂長を選んだ.これら3形質の解析により以下のような結果が得られた. 玄米重は洪積層,秋落および西部平坦で多く,西部山間,東部平坦,中間および島しょで少なく,東部山間は中位で あった.また洪積層での玄米重の年次間変動のようすは他のいずれの地域とも異なっていたが,西部山間と東部平坦の それはほぼ同じであった.東部山間の出穂期は他地域より5日はど早く,その差は有意であった.東部山間および中間 を除く地域における出穂期の年次間変動のようすはきわめて類似していた“東部山間および島しょでの穂長は,その長 さならびに年次閤変動のようすのいずれもが他の地域に比べ異なっていた. 以上の結果を併せ考えると洪積層,東部山間,中間および島しょは調査形質のいずれかにおいてそれぞれ固有の特性 をもつと考え.られる.また西部山間および東部平坦でほいずれの調査形質においても,その特性ならびにその年次間変 動のようすがきわめで類似しているとみなすことができる. 緒 口 19弘年から実施されている水稲の奨励品種決定試験は地方番号系統の地域適応性とその優劣を当該都道府県内に.おい て検定することを目的としている..奨励品種決定試験は,通常当該都道府県の虚業試験場内で1∼3年間実施する予備 試験と,当該■都道府県内のいくつかの場所で2′・J3年間予備試験に引続き実施する現地試験にわけることができるい 後 者が奨励品種決定現地試験である. 奨励品種決定現地試験の結果により,地方番号系統の地域適応性を確認すると共に既存奨励品種との優劣壕普遍的 に,また地域的に明らかにしなければならない.そのための分析方法の基本的な考え方を奥野(1)が提案し,その考えを 具体化して大畠(2)が現地試験の解析を行なった−・方,当該都道府原内を地理的,土壌的および気象的条件により6∼ 10の地域に区分し,それぞれの地域にひとつずつ現地試験地が設定される.それゆえ地方番号系統の地域適応性および その判定に必要な情報をより効率よく得るため,水稲の生育結果にもとづき各地域の特性を評価することはきわめて畳 要であろう. このような観点から23年間にわたる香川県における水稲奨励品種決定現地試験によりそれぞれの地域の環境を評価 し,かつ地域間の相互関係を概括的に明らかにしようとするのが本研究のおもな目的である.. 試験実施の概要 水稲における奨励品種決定現地試験は1954年以来実施され,当初は原種決定現地試験と呼ばれたが,その後の名称変 更に基づき1962年より奨励品種決定現地試験として実施され現在に至っているい 香川県において−も県内各地域への育成 系統の適応性などを検定するため地理的,気象杓および土壌的条件の相違により県内を8地域に区分し,試験を実施し ている.8地域とは洪積層,秋落,西部平坦,東部山間,西部山間,東部平坦,中間および島しょであり,これらの地 域区分を図示したのが第1図であるり1地域につき1農家が試験栽培を担当し,2・・ノ3年おきに担当農家が替わること もある.したがって地域を代表する場所は第1区】に示すように必ずしも一・定していない.. 試験栽培に供される品種または系統の数は1場所につきほぼ8種であるが,いずれの場所においても必ずしも同じ品 種または系統が供試されているとは限らない= また標準品種として供試される場合を除けば,ひとつの品種または系統 の供試年数は通常2・・ノ5年である.なお試験栽培に供される品種または系統のうち,その大多数ほ板種であるが,糀種 を含むこともある.栽培条件,たとえば播種期,施肥鼠,移植期,栽植密度および病虫害防除対策などは,当該■地域な らびに担当農家の慣行法に準じている… それゆえ場所および年次により栽培条件が異なることもあるい たとえば播磁期 ならびに移植期の場所による差がほぼ2週間におよぶこともある∴また機械移植法の普及にともない,密植化が1974年 頃から見られる小 なお1品種当たりの供試面積はほぼ05aである..調査形質は玄米雷,1J乱1000粗重,出穂期, 成熟期,梓長,穂長,1株穂数,草丈(最高分けつ期),茎数(最高分けつ期),病虫害曜病程度,倒伏程度および品質 である.、しかしながら調査形質すべてが必ずしも調査されていないこともある. 解析の方法 1954∼1976年の試験結果にもとづき解析を進めた,.ただし供試品種または系統のなかに梗種および粍種が含まれてい たので,両省の異質性を考え,また糀種の試験結果がわずかであったので稲穂の試験結果を除いた.また調査形質のな

(3)

第30巻 欝63号(1978) 香川県における水稲奨励品種決定現地試験の解析(Ⅰ) 11 洪積層 秋 落 西部平坦東部山聞 西部山間 東部平坦 ロ日 昌ロロ 臼 ●:試験場所 第1園 地域区分および試験場所 かに病虫害罷病程度,倒伏程度および品質があったが,これらの形質の評価はしばしば主観的であり,かつ数盈化が困 難であるためこれらの形質を除き,玄米重,1J重,1000粒垂,出穂期,成熟期,稗長,穂長,1株穂数,草丈(最高 分けつ期)および茎数(最高分けつ期)の10形質により解析を進めたい このような10形質の試験結果は,それぞれの供試品種または系統,地域および年次どとに得られた.しかし概括的な 検討を行なうため供試品種または系統のすべてをこみにし,地域および年次別にそれぞれの形質の特性値を算出した. なお試験場所が年次により地域内で異なることもあったが,いずれの試験場所もその地域内を同等に代表するものとみ なした,.界出したこれらの特性値から分散分析および相関分析を利用して地域の環境を評価し,かつ地域間の相互関係 についての知見を得ようとした. 結 果 現地試験の結果により地域の環境を評価しようとした..そこで地域間で異なる表現型を示す形質により,地域の環境 を評価すべきであろうと考え,10形質,すなわち玄米重,1J重,1000粗蚕,出穂期,成熟期,梓長,穂長,1.株積 数,草丈(最高分けつ期)および茎数(最高分けつ期)における分散分析の結果を示したのが鮮1表である.なお分散 分析にあたっては年次を反復とみなした‖ 塞から明らかなように玄米盈,出穂期,稗長,穂長,1株穂数および茎数 (最高分けつ期)の6形質では地域間に有意羞が認められたが,その他の形質では認められなかったい それゆえ地域間 に有意差が認められた6形質により地域の環境を評価しようとした‖ しかしながらこれら6形質のうちいずれかの形質 間で密接な関連,すなわち年次間変動のようすがきわめて類似しているならば,密接な関連をもつ形質のなかからひと つを選び,その形質により地域の環境を評価したとしてもその評価は妥当であろう..このような考えのもとに地域間に 有意差の認められた6形質の相関を求め,その結果を示したのが第2表である、玄米垂,梓長,1株棟数および茎数 (最高分けつ期)では,相互にすべて有意義な正.の相関が認められたが,出穂期および穂長はいずれの形質とも有意な 相関を示さなかった.それゆえ相互に有意な相関の認められた形質から重要と考えられる玄米重,ならびにいずれの形

(4)

山井其比古,西池 孝則,桑田 晃 香川大学農学部学術報告 欝1表 分 散 分 析 表 12 形 質 要 因 自由度 平均平方 域差域差域差域差域差域差域差域芽域差域差 地誤地誤地誤地誤地誤地誤地誤地誤地誤地誤 136.84** 44い08 195 04 19645 0,81 1=02 64.62** 23.06 67い08 48い14 12540* 47い40 7 6573679 1 1 1 1 1 1 1 玄 米 重 1 J 重 1000粒. 出 穂

重 期 期

成 稗 長 穂 長 1 株 穂 数 等 文 (最高分けつ期) 茎 数 (最高分けつ期)

**

18錆お1991迅01亜 9︼0 ウ︼∩︶ ウ︼9 7つ︶ 41 09 31 1 * *,**:5または1%水準で有意 第2菱 形 質 問 の 相 関

玄米重 出穂期 梓長 穂長1株棟数(藁高射つ芸)

、→、−、−、−−→→、 0.16\\\\ 0.72* 一0い26

玄 米 重 出 穂 期 稗 長 穂 長

1 株 穂 数

茎数(壕高分けつ期)

\\\\

0。お 0け69 0.23 \、\ 0い86** 024 0.73* 0‖33 0い81* −0・・01 0い幻* 0・29 0小73*

*,**:5■または1%水準で有意 質とも有意な相関が認められなかった出穂期および穂長の3形質により地域の環境評価および地域間の相互関係につい て以下のような換討−を行なった. 1.地域の環境評価 公年間にわたる各地域での玄米畳,出穂期および頼長の特性値をそれぞれ図示したのが,第2,第3および第4図で ある.なお特性値の標準誤差を図申に示した.第2図より明らかなように地域による差異が顕著であり,洪積層,秋 落,西部平坦,東部山間,西部山間,東部平坦,中間および島しょの順に玄米重が少なくなる傾向がみられた.洪積 層,秋落および西部平坦ほ西部山間,東部平軌 中間および島しょに比べ多いようであった.なお東部山間は中位で あった.第3図より東部山間を除いた地域での出穂期は相似し,はば9月2日であったが,東部山間のそれは他のいず れの地域よりはぼ5日早かった.第4図では,東部山間での穂長がとくに短かく,ついで島しょが短かかった.東部山 間および島しょを除いた地域間には顕著な差異がないようであった. 各地域の環境について概略的な知見が第2∼4図の結果より得られたぃ しかしながら地域の環境をより明確にするた め,いずれの地域間に有意差があるかどうかを玄米重,出穂期および穂長のそれぞれについて検定(LいS∴D・・法)し, その結果を示したのが第3表である.玄米重において,洪積層,秋落および西部平坦の地域群ならびに西部山間,東部 平坦,中間および島しょの地域群のそれぞれの群内では有意差が認められなかったが,両者の群間では有意差が認めら

(5)

13 欝30巻滞63号(1978) 香川県における水稲奨励品種決定現地試験の解析(工) 良 し ょ 中 間 東部平盟 西部山間 東部山間 西部平坦 秋 落 洪積層 良し ょ 中 間 東部平坦 西部山間 東部山間 西部平坦 秋 落 洪積層 欝3図 各地域における出穂期 第2図 各地域における玄米望 島し ょ 中 間 東部平坦 西部山間 東部山間 西部平垣

秋 落

第 洪積層 各地域における穂長

(6)

ー・井真比古,西独 孝則,桑田 晃 香川大学農学部学術報告 第3表 地域問の差の検定 14 洪積層 秋 落 西部平坦 東部山間 西部山間 東部平増中 間 島しょ 洪積層 秋 落 西部平増 発部山間 西部山間 東部平坦 中 間 島しょ 洪積層 秋 落 西部平坦 東部山間 西部山間 東部平坦 中 間 島しょ

∴「\\

洪秋西東西未申島

層落坦間間坦間

\ \ 平山山乎 部部部部 NS NS \ * ** \\\ * \ 、→ \\ NS NS NS ** \\\\ NS NS NS ** NS \ 、、、、、 NS NS NS * NS

NS \

\ NS * NS NS NS NS \ NS *,**:5または1%水準で有意 NS:有意なでい れた.第2図の結果と併せ考えると,前者が高収地域群でその平均玄米重はほぼ52.5kg/aであり,後者が低収地域群 でその平均はほぼ476kg/aであった..なお東部山間はいずれの地域とも有意差は認められなかった.出穂期では, 第3図からも推察されるどとく東部山間はいずれの地域とも有意に異なったが,それ以外の7地域間には有意差が認め られなかった..穂長では,東部山間は島しょ以外のすべての地域と,また島しょは秋落とそれぞれ有意に異なった. しかしながら東部山間および島しょを除く6地域間には有意差が認められなかった. 2.試験地域間の相互関係 それぞれの地域における環境の特性を明らかにすることができたので,さらに地域間の相互関係を知るためのひとつ の手法である地域間の相関を玄米諷 出穂期および穂長のそれぞれについて求め,その結果を示したのが第4表であ る.玄米重では,西部平坦,東部山乱西部山間および東部平坦の相互間に,また中間と秋落および中間と島しょの問 に,それぞれ有意な正の相関が認められた.しかしながら洪積層はいずれの地域とも有意な相関を示さなかった.出穂 期では,東部山間は洪積層,西部山間および束部平坦との問に有意な正の相関を示した..また東部山間および中間を除 く6地域の相互間に有意な正の相関が認められた.しかしながら中間はいずれの地域とも有意な相関を示さなかった.

(7)

欝30巻 欝63号(1978) 香川県における水稲奨励品種決定現地試験の解析(エ) 寛4表 地 域 間 の 相 関 15 浜構層 秋 落 西部平坦 東部山間 西部山間 東部平坦 中 間 島しょ 】 洪頓層 秋 落 西部平坦 東部山間 西部山間 東部平坦 中 間 島しょ 洪積層 秋 落ニ‘西部平坦 東部山間 西部山間 東部平坦 中 間 島しょ *,**:5またはユ%水準で意有 穂長では,東部山間および島しょがいずれの地域とも有意な相関を示さなかったが,洪積層と西部山間,西部平坦と中 間ならびに東部平甥と中間の間にそれぞれ有意な正の相関を示した= また秋落,西部山間および東部平坦の相互間に有 意な正の相関が認められた. 考 察 現地試験において調査された多くの形質から分散分析ならびに相関分析により玄米重,出穂期および穂長を選び,地 域の環境ならびに地域間の相互関係を概括的に明らかにしようとした.第2∼4囲および第3∼4表より地域の環境評 価および試験地域問の相互関係に関する多くの知見が得られた‖ それらの理解をより簡明にするため第2∼4囲および 欝3′}4表を併せ考え,その結果を玄米壷,出穂期および穂長の形質別にそれぞれ図示したのが第5∼7図である,な おこれらの図では,差および相関の有意性換定の結果によりそれぞれの形質の特性値ならびに地域間の相関関係を2な いし3階級に区分したい筋5図から明らかなように玄米重の多かった洪積層,秋落および西部平場,すなわち高収地域 群では玄米壷がはぼ同じであるにもかかわらず玄米重の年次問変動のようすは相互に異なっている.とくに洪積層では

(8)

−・井真比古,西地 学則,桑田 晃 香川大学農学部学術報告

16掴00

相 関 −:1%水準で有意 出穂期 相 関 細寧 :l%水準で窮鳥 多 :5%水準で有意 :有意でない ∴:5%水準で有志 中

○ 少

‥有意で帥 第6図 出穂期における地域間の関係 欝5図 玄米重における地域間の関係 年次問変動のようすが他のいずれの7地域とも異なっている.西部平坦,西部山間,東部平坦および東部山間の4地域 間では,玄米重の変異が大きいにもかかわらず年次間変動のようすがきわめて類似している.とくに西部山間および東 部平坦では玄米重の盈ならびに年次問変動のようすのいずれにおいてもほぼ同じであるい このことは中間および島しょ についても同様である.第6図に示すどとく洪積層,秋落,西部平坦,西部山間,東部平坦および島しょでは出穂期が はぼ同じであり,年次問変動のようす−も相互に奮わめて類似しているようであるル しかしながら東部山間はその時低値 において,中間はその年次閤変動のようすにおいて,それぞれ他の地域とは異なっている小泉部山間での出穂期が他の いずれの地域のそれより早いのは,東部山間での播種期が通常ほぼ1週間以上早いことにおもに起因するのであろう. 帯7図からも明らかなように東部山間および島しょの穂長は,その長さならびに年次間変動のようすのいずれも特異で ある.束部山間および島しょを除く地域ではいずれもその長さがはぼ同じである.また年次間変動のようすも少なくと もいずれかの試験地域と類似している. 玄米重,出穂期および穂長により試験地域の特性ならびに地域間の相互関係について述べてきたが,それらの結果, すなわち第5′}7図の結果を併せ考えるならば洪積層,東部山間,中間および島しょではいずれかの形賀においてそれ ぞれ固有の静睦澄もつことが示唆される.・また西部山間および東部平坦ではいずれの形質においてもその特性ならびに その年次問変動のようすがきわめて類似しているようである. 現地試験で調査される形質の結果のみにもとづいて論議することは妥当でないかも知れないが,秋落では茎数一(最高 分けつ期)は多いが玄米歪も多く,いわゆる秋落現象が必ずしもみられないようである..このことは秋落の地域がすべ て‘秋落地帯”でなく,それゆえ試験場所が必ずしも“秋落田”ではなかったのかも知れない.なお現地試験での調査 形質のなかには登熟歩合はなかった.

(9)

欝30巻 欝亀号(1978) 香川県における水稲奨励品種決定現地試験の解析(Ⅰ) 17

⋮000

相 関 良 一Ⅷ:l%水準で有意 中 一:5%水準で有産 短 :有恵でをい 第7図 穂長における地域間の関係 ユJ藍,ユ000粒重,成熟期および草丈(最高分けつ期)は1第1表に示した分散分析の結果より地域間に有意差が認 められなかった.試験実施の概要でも明らかなように本試験では年次により供試品種群を構成する品種または系統が異 なったり,また同一・地域内でも試験場所が移動したりしている‖ このような事由によりいわゆる分散分析での誤差の増 大にともない,これらの形質では地域間に有意差が認められなかったとも考えられる.より整−・な実験計画のもとでの 解析が今後必要であろう. 本現地試験では同州の品種および系統群を必ずしも毎年供試しておらず,同一・地域での試験場所も年次により移動・す ̄ ることもあった.それゆえ本研究では詳細な険討が困難であり,概括的評価にとどめざるをえなかった.本現地試験を 通じて必要な情報をより効率よく得るため,同∼の品種群を同一・の数場所で数年にわたって試験したそれらの結果をも とに,地域の環境評価ならびに試験地域の相互関係をより詳細に検討することはきわめて重要であろう. 謝 辞 本研究を進めるにあたり,香川県農業試験場近井謙二主席研究員からは当該試験成緻を貸与されると共に,試験内容 について種々の有益な御教示をいただいた.また現地試験地における試験状況の観察に際し,香川県大川農薬改良普及 所佐藤初男主査ならびに同県農菜試験場西谷寛昭研究員の御指導と御協力をいただいた..これらの方々に深く感謝の意 を表する次第である

(10)

一発真比宙,西池 孝則,桑田 晃 香川大学農学部学術報告 18 引 用 文 献 (1)奥野忠一・:数ケ所で実施した同種の生産力換定試 走試験の統計的分析一関東東山地域の試験を対象 験の成繚を一億して分析する1つの方法につい として−,農業技術研究所報告A(9),69−151 て,農美技術,5,40一亜(1950). (1962). (2)大畠秀弥:麦類系統適応性検定試験並びに原種決 (1978年5月31日 受理)

参照

関連したドキュメント

自主事業 通年 岡山県 5名 岡山県内住民 99,282 円 定款の事業名 岡山県内の地域・集落における課題解決のための政策提言事業.

図および図は本学で運用中の LMS「LUNA」に iPad 版からアクセスしたものである。こ こで示した図からわかるように iPad 版から LUNA にアクセスした画面の「見た目」や使い勝手

本章における試験解析では、石垣島沖と仙台沖の 2 海域で解析を行った。石垣島沖のデー タでは解析により SDB(衛星海底地形図)が得られ、Lyzenga (1978)

大気中におけるめっきの耐久性は使用環境により大きく異なる。大気暴露試験結果から年間 腐食減量を比較すると、都市部や工業地域は山間部や田園地域の