壱岐市役所庁舎耐震改修基本計画
平成28年4月
壱岐市役所庁舎耐震改修基本計画 目 次 (頁) 1 はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 2 庁舎の概要と現状 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 (1)庁舎の概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 (2)庁舎の現状 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 (3)庁舎の老朽化・不具合箇所 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 3 庁舎の耐震性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 (1)耐震診断結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 (2)コンクリート劣化度調査結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 4 庁舎改修にかかる課題整理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 (1)財政的な課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 (2)市民目線での課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 (3)執務上の課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 (4)防災的な課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 5 耐震補強工法の選定方針 ・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・9 (1)工法の選定にあたっての基本的な考え方 ・・・・・・・・・・・・・9 (2)工法の選定方針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9 6 建物・設備の老朽化への対応 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・10 (1)改修にあたっての基本的な考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・10 (2)改修の概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10 7 事業計画 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12 (1)設計・施工者の選定及び発注方法 ・・・・・・・・・・・・・・・12 (2)事業費(概算) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12 (3)庁舎改修計画スケジュール ・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
- 1 - 1 はじめに 現在の市役所4庁舎は、建築後36年から43年経過している、新耐震基準(建 築基準法施行令昭和56年6月1日施行)以前の建築物です。 平成16年3月1日の市制発足当初は、当時の郡民センターを本庁舎、旧4町役 場を支所として活用し、平成19年1月から本庁分散方式を採用して4庁舎を活用 しています。このため、機能分散により各庁舎にどの部署が配置されているのか分 かりづらく、一つの庁舎で全ての行政サービスが受理できない不便さがあります。 また、部署間の連携においても、各庁舎間の移動が必要となり、迅速な事務処理や 意思決定に支障が生じる場合があります。 このような状況の中、庁舎それぞれ建築後約40年を経過して老朽化が進んでい ることや、合併特例債の発行期限が延長されたこと等により、平成25年度から新 庁舎建設について市議会と検討してきました。しかし、平成27年4月26日執行 の「壱岐市庁舎建設に関する住民投票」における市民皆様のご意見を尊重し、新庁 舎は建設せず、現4庁舎を改修して活用する方針を出しました。 今後、防災拠点施設となる庁舎の耐震性確保に加え、バリアフリー化や設備の老 朽化等への対応について、様々な課題を解決する必要があります。 郷ノ浦庁舎 勝本庁舎 (昭和50 年建築) (昭和 48 年建築) 芦辺庁舎 石田庁舎 (昭和54 年建築) (昭和 47 年建築)
- 2 - 2 庁舎の概要と現状 (1)庁舎の概要 現4庁舎の概要は、下表のとおりです。 庁舎名 郷ノ浦庁舎 勝本庁舎 芦辺庁舎 石田庁舎 建築年次 昭和50 年 昭和48 年 昭和54 年 昭和47 年 経過年数 築40 年 築42 年 築36 年 築43 年 構造 鉄筋コンクリート造 鉄筋コンクリート造 鉄骨鉄筋コンクリート造 鉄筋コンクリート造 階数 地上4 階 地下1 階 地上2 階 地下1 階 地上2 階 地下1 階 地上2 階 延床面積 約2,651 ㎡ 約2,695 ㎡ 約2,535 ㎡ 約1,429 ㎡ 職員数 148 人 50 人 77 人 62 人 入所部署名 総務部 企画振興部 市民部 会計課 郷ノ浦支所 建設部 勝本支所 保健環境部 教育委員会 芦辺支所 農林水産部 農業委員会事務局 石田支所 長崎県壱岐振興局 農林水産部 (2)庁舎の現状 ①耐震性の不足 平成27年度に耐震診断を行った結果、4庁舎は強大地震に対して倒壊する 危険性があると判定され、耐震補強が必要な状況です。 ②建物・設備の老朽化 庁舎は、それぞれ建築後40年前後を経過していることから、建物の老朽化に よる雤漏り、内外装及び建具の劣化、コンクリートのひび割れ等が見受けられ、 改修が必要な状況です。 設備関係では、電気設備や空調設備の老朽化が進み、衛生設備や給排水設備も 配管等の劣化が著しく、不衛生であり、故障や事故に繋がる恐れもあります。ま た、今後維持管理コストの増大が予想されることから、設備の更新が必要です。 ③バリアフリーへの対応不足 狭隘な玄関スロープや舗装劣化による玄関先の水たまり、庁舎内の段差等、障 がい者や高齢者が大きな負担を強いられ、一般の来庁者にとっても利用しにくい 施設となっています。 ④狭隘な執務スペース、個人情報等管理の不安 高度情報化社会の進展に伴う各種OA 機器の導入等により、執務スペースは狭 隘化し、露出配線、たこ足配線で対応している等、情報管理や執務環境の安全性 等の課題も有しています。
- 3 - (3)庁舎の老朽化・不具合箇所 次の写真は、庁舎の老朽化・不具合の様子です。 【本体屋上】 (石田庁舎) (勝本庁舎) 屋上防水シート膨れによる水溜り 屋上防水シートのめくれ 【外壁】 (石田庁舎) (勝本庁舎) 躯体コンクリートの剥離 モルタル仕上げの浮き (郷ノ浦庁舎) (芦辺庁舎) 外壁タイルの亀裂 外壁タイル破損落下
- 4 - 【吹付及び外部建具】 (芦辺庁舎) (郷ノ浦庁舎) 外部建具シーリング劣化 吹付材剥離 【外構】 (石田庁舎) (勝本庁舎) 外構玉石敷舗装 排水不良による玄関前水溜り 【床・壁・天井仕上げ】 (石田庁舎) (勝本庁舎) 床仕上げ劣化 壁仕上げ劣化
- 5 - (郷ノ浦庁舎) (郷ノ浦庁舎) 天井仕上げ劣化 広範囲にわたる天井雤漏り跡 【設備・その他】 (芦辺庁舎) (勝本庁舎) ロビーの段差 執務室内に露出・混在する配線 (石田庁舎) (勝本庁舎) 屋上に残存する未使用配管 老朽化した配管
- 6 - 3 庁舎の耐震性 「官庁施設の総合耐震・対津波計画基準」(国土交通省)において、災害応急対 策活動に必要な施設、避難所等多数の者が利用する施設、人命及び物品の安全性 確保が特に必要な施設は、耐震安全性の分類Ⅰ類またはⅡ類に位置づけられてい ます。防災拠点施設となる庁舎は、耐震安全性の分類Ⅰ類を適用し、耐震指標値 (以下「Is 値」)の 1.5 倍を確保することが望ましいとされています。 ※耐震安全性の分類と目標 I類・・・大地震動後、構造体の補修をすることなく建築物を使用できることを目標とし、 人命の安全確保に加えて十分な機能確保が図られるもの。 Ⅱ類・・・大地震動後、構造体の大きな補修をすることなく建築物を使用できることを目標と し、人命の安全確保に加えて機能確保が図られるものとする。 (1)耐震診断結果 平成27年度に実施した耐震診断結果におけるIs 値(最低値)は次のとおり です。 郷ノ浦庁舎 勝本庁舎 芦辺庁舎 石田庁舎 Is 値 (最低値) 0.30 0.37 0.55 0.41 今回の耐震診断結果を受け、「4庁舎とも耐震指標値を下回っており、防災拠 点施設として必要な耐震性能を満たすための改修工事が必要である。」と判断し ています。 耐震性能は、建物の強度と粘り強さ、形状や壁の配置バランス、経年劣化等から算出される耐 震指標値「Is 値」で表され、この数値が大きいほど耐震性が高いとされています。 震度6 強~7 程度の強大地震に対する Is 値の評価は、以下のように定められています。 Is 値が 0.6 以上 → 倒壊、又は崩壊する危険性が低い Is 値が 0.3 以上 0.6 未満 → 倒壊、又は崩壊する危険性がある Is 値が 0.3 未満 → 倒壊、又は崩壊する危険性が高い (2)コンクリート劣化度調査結果 コンクリート劣化度調査では、庁舎それぞれ各階3箇所のコンクリートコア を採取し、コンクリート圧縮強度試験及び中性化試験を行いました。
- 7 - ①コンクリート圧縮強度試験 各階毎に圧縮強度試験を実施した結果、最低値は次のとおりです。 設計基準強度 郷ノ浦庁舎 勝本庁舎 芦辺庁舎 石田庁舎 21.00 N/mm2 23.47 N/mm2 22.60 N/mm2 29.20 N/mm2 21.97 N/mm2 4庁舎は、コンクリート平均圧縮強度が設計基準強度を上回っており、コン クリートの著しい劣化は見受けられませんでした。 ②コンクリート中性化試験 コンクリート中性化試験の結果、4庁舎の中性化は進んでおらず、鉄筋の腐 食による著しい劣化は見受けられませんでした。 コンクリートの中性化とは、空気中の二酸化炭素や水が、コンクリートの小さな孔や空隙から 侵入することにより、コンクリートが酸化し鉄筋が錆び、その膨張力によってコンクリートが破 壊される現象。
- 8 - 4 庁舎改修にかかる課題整理 (1)財政的な課題 経済の長期低迷により市税収入は伸び悩む中、地方交付税の合併算定替え期 間終了に伴い財政状況は非常に厳しい状況を迎えるため、極めて有利な財源で ある合併特例債の活用を最大限考慮するとともに、庁舎に係る今後の維持管理 経費の抑制及び改修費用の抑制にも最大限努めなければなりません。 (2)市民目線での課題 東日本大震災の教訓から、庁舎は自然災害発生時の防災拠点施設として重要 性が再認識され、災害対策本部として十分に機能を発揮することが強く求めら れるようになっています。 財政が厳しい中、極力費用をかけずに耐震改修工事をすることが求められて います。 (3)執務上の課題 耐震性が不足しており、執務スペースの狭隘化や配線の露出等により執務環 境にも不安があります。また、定期点検等により確認された不具合箇所への対 応が必要です。 (4)防災的な課題 本市においては、1700年にM7の地震が発生し、2005年に発生した 福岡西方沖地震では震度5強を記録している等、過去に大きな地震が発生して います。 耐震診断結果によると、強大地震が発生した場合、現在の4庁舎では災害応 急対策活動に必要な施設として機能できない状況です。また、コンクリートの 中性化が徐々に進行し、耐久性が著しく低下しないよう対策を講じる必要があ ります。
- 9 - 5 耐震補強工法の選定方針 (1)工法の選定にあたっての基本的な考え方 耐震補強工法には、在来工法から施工者独自の特許技術を使用した特殊工法 まで様々な工法があり、4庁舎それぞれに最も適した工法を選定する必要があ ります。 補強工法の選定にあたっては、次の4つの視点を重視します。 (2)工法の選定方針 ①「居ながら施工」が可能な工法であること 仮庁舎を設置し行政機能を移動又は分散させると、市民サービス低下や工事 費用の増加につながるため、執務室の移動を最小限に抑え、執務を行いながら 施工する「居ながら施工」が可能な工法を基本に検討します。 ②耐震性能に優れた工法であること 来庁者の安全を確保し、自然災害発生時にも行政機能の保持、災害対策本部 としての機能を発揮できるよう、より耐震性に優れた工法を検討します。 ③執務スペースへの影響を最小限に抑える工法であること 高度情報化社会の進展に伴う各種OA 機器の導入等により、現在執務スペー スが不足している状況を考慮して、耐震補強工事に伴う執務スペースの減尐を 極力抑えることが可能な工法を検討します。 ④経済性に優れている工法であること 費用対効果を慎重に見極めながら、より経済的な工法を検討します。
- 10 - 6 建物・設備の老朽化への対応 4庁舎は、それぞれ建築後36年から43年経過しており、庁舎に求められる 機能は社会情勢と共に変化しています。また、設備の老朽化により改修時期を迎 えていることから、今回の耐震補強工事に合わせて改修を実施します。 (1)改修にあたっての基本的な考え方 防災拠点施設として求められている耐震性を確保します。また、情報管理・執 務環境の安全性を確保し、来庁者にとって利用しやすい施設となるよう、バリア フリー化やプライバシーに配慮した必要最小限の改修に努めます。 (2)改修の概要 ①耐震補強 必要な耐震性能確保のための補強等を行います。 ②外部改修 【屋根・屋上】 雤漏りが発生しているため、屋根・屋上の防水層を全面改修します。 【外壁】 浮きやクラックが発生しているため、外壁仕上げを全面改修します。 【外構】 舗装が劣化し排水不良となっている部分等を改修し、水道引込管の布設替 えを必要な箇所について行います。また、主に庁舎前の来客用駐車場区画線 を改修します。 ③内部改修 【玄関】 転倒防止のため、滑りにくい仕上げへ改修したり、スロープを拡幅して狭 隘を解消します。 【ロビー・窓口】 椅子との高さや距離が合っていないカウンターを改修します。また、プラ イバシー保護のため、仕切りを設置します。 【執務室】 床・壁・天井等の劣化・破損部を改修します。 【トイレ】 バリアフリーに全面改修します。 【給湯・手洗い】 各庁舎各階によって異なる給湯室や手洗いは、人員配置等を考慮して適切 に改修します。
- 11 - ④電気設備 【幹線設備】 保守の容易性等を考慮した全面改修を行います。 【電灯設備】 省エネ対策や長寿命化対策として、照明をLED に更新したり、不具合等に より支障を来している外灯を改修します。 【非常用電源設備】 防災拠点施設として災害発生時等に備え、整備を図ります。 【情報通信設備】 LAN 配線を全面改修し、情報管理の安全性を確保します。 【電話設備】 電話不通が頻繁に発生しているため、配線を全面改修します。 ⑤機械設備 【空気調和設備】 故障や不具合により効きが悪い箇所を改修します。 【給水設備】 腐食や詰まりが進行しているため、全面改修します。 【排水設備】 老朽化により排水不良となっているため、全面改修します。 ⑥その他 ・郷ノ浦庁舎執務室に設置されている水道テレメーターを移設し、狭隘な執 務スペースの改善を図ります。 ・郷ノ浦庁舎地下にある倉庫を会議室へ改修し、会議室不足を解消します。 ・石田庁舎に風除室を設置し、空調効率の改善を図ります。 ・石田庁舎外構の玉石敷舗装を改修し、来庁者歩行の安全性を確保します。 ・法改正や定期点検等により必要が生じたものは改修します。
- 12 - 7 事業計画 (1)設計・施工者の選定及び発注方法 ①設計・施工分離発注方式 設計・施工分離発注方式は、設計と施工をそれぞれ違う者に発注することで、 設計と施工をそれぞれが第三者の立場でお互いの業務のチェックをしながら進 める方法です。 設計・施工者の選定方法は、通常実施されている入札参加有資格者による指 名競争入札のほかに、設計ではプロポーザル方式による選定、施工では総合評 価落札方式による選定があります。 ②設計・施工一括発注方式 設計・施工一括発注方式は、対象施設における耐震性能確保上の制約、施工 上の制約、執務等環境上の制約など様々な条件が関連し、複雑な設計・施工と なる耐震改修事業には適した発注方式です。 選定方法は、総合評価落札方式となります。 ※ 設計・施工者の選定及び発注方法については、耐震補強内容、改修内容及び 施工条件等を総合的に判断し、詳細に検討を重ねた上で最も合理的な方式を採 用します。 なお、いずれの場合におきましても、市内企業が参加出来る条件を整えます。 (2)事業費(概算) 概算事業費を下記のとおり示します。財源については、発行期限が延長さ れ、最も有利とされる合併特例債の活用を基本とします。 耐震補強工事費 改修工事費 設計・監理費 郷ノ浦庁舎 約98百万円 約320百万円 約53百万円 勝本庁舎 約76百万円 約260百万円 約48百万円 芦辺庁舎 約93百万円 約290百万円 約51百万円 石田庁舎 約93百万円 約190百万円 約38百万円 合 計 約360百万円 約1,060百万円 約190百万円 備 考 耐震補強工事 外部改修工事 内部改修工事 電気設備工事 機械設備工事 設計・監理費
- 13 - (3)庁舎改修工事スケジュール 概略のスケジュールを下記のとおり示します。 平成27 年度 平成28 年度 平成29 年度 平成30 年度 市役所 4庁舎 耐震改修等工事 設計業務 耐震診断業務 基本計画策定