産 婦 進 歩 第32巻2号 1980. 3. (pp.115∼129) 115-1
原
著
妊 娠 時 高 血 圧 発 症 の 成 因 に 関 す る 臨 床 的 な ら び に 実 験 的 研 究
大阪市立大学大学院医学研究科外科系産科婦人科学専攻(指 導教授 須川
信)
島
津
隆
(昭和54年12月14日受付)
Experimental
and
Clinical
Studies
of Pregnant
Hypertension
Takashi
SHIMAZU
Department of Obstetrics and Gynecology, Osaka City University Medical School
While the problem of late pregnant hypertension has been one of gravest concern to those specialized
in obstetrics and perinatal care, the pathophysiologic aspect of the problem is yet to be clarified today.
Proceeding under assumption that there is some casual relation between uterine wall and cavity from
clinical observation that relatively high incidence of hypertension is seen among the primipara and women
bearing twins and hydramnios, the author studied the relation between the hypertension of the pregnant
women and uterine muscle tension.
Utero-placental
and renal cortical blood flow were measured by
thermocouple method.
The following experiments demonstrate that (1) intrauterine pressure in 148 cases of primigravidas
and 74 cases of multigravidas tended to rise towards the onset of labor, with the mean blood pressure
inc-reasing in close relation to the intrauterine pressure, (2) the rise in intrauterine pressure caused byuterine
contraction in 46 cases of pregnant rabbits, 19 cases of pregnant dogs and 2 cases of pregnant monkeys
brought about a decrease in placental blood flow and at the same time, an increase in the systemic blood
pressure, but it did not show any definite pattern in renal cortical blood flow, (3) the rise of intrauterine
pressure with intraamniotic saline injection in 47 cases of pregnant animals gave rise to a decrease in the
placental blood flow and at the same time, caused the renal cortical blood flow to drop and the systemic
blood pressure to rise, respectively, (4) in 77 experiments in which catecholamine was admitted and in
7 cases, they were shivering at recovery for anesthesia, intrauterine pressure was noted to rise, and at the
same time, placental and renal cortical blood flows were seen to decrease, the effect of catecholamine on
the blood pressure and renal cortical blood flow were pronounced than that of the intraamniotic saline
injection given to induce a passive uterine wall tension.
緒 言
妊 娠 中 毒 症 な か で も高 血 圧 の 発 症 は, 妊 娠 固 有 の 合 併 症 と して, そ の 母 児 に 与 え る影 響 は 大 き く, 胎 盤 機 能 を介 しchronicあ る い はacute fetal distressの 危 険 性 が 潜 ん で い る もの で あ る. 今 日 そ の 病 態 生 理 は 未 だ 明 らか で は な く, renin-angiotensin-aldosteroneあ るい はprostaglandinsな ど の 内 分 泌 学 的 検 索 や, placental ischemiaを 主 体 と した, 血 管 感 受 性 や 母体 循 環 血 液 量 な ど, 循 環 面 か ら の 検 討 が行 われ て い る. しか し これ らの病 因 論 へ の取 り組 み方 は, 本 症 発 発症 に伴 な う母体 内 的循 環 の変 化 よ り逆 昇 り, その 引 き金 を探 り出す 努 力 が な され て お り, 結 果 として の 中毒 症 が 成 立 した反 応 を把 えて い る に過 ぎ ない こ と も否 定 はで きない. た と えば, この placental ischemiaが 何 故 もた ら され る の で あ ろ う か?そ れ は全 く明 らか と され てい な い. この 様 な こ とか ら, 妊 娠 中毒 症 が初 産 婦, 双 胎, 羊
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島津:妊 娠時高血圧発症 の成因に関す る臨床 的な らびに実験的研究
産婦進歩第32巻2号
水 過 多症 な どに比 較 的 多 く, かつ 妊 娠 末 期 に み られ る こ とか ら, 中毒 症 のtriggerと して, 子 宮 内循 環 の物 理 学 的 変 動 を取 り上 げ, そ れが 胎 盤, 腎循 環 動 態 を介 して 高 血 圧 発症 と何 らか の 因果 関 係 の存 在 す る可 能性 につ き, 基礎 的, 臨 床 的検 討 を加 えた. 実 験 方 法 と対 象 1. 動 物 実 験 実 験 対 象 として 妊 娠23∼30日 目の体 重2.5∼4.5kg 妊 娠 家 兎70羽 と, 体 重10∼20kgの 妊 娠 末 期 の犬17 頭, そ して体 重9∼10kgの 妊 娠 末 期 猿(マ カカ ・フ ス カー タ)2匹 を用 い, それ ぞれUrethane(1∼1.5 mg/kg腹 腔 内 投 与), Nembutal(R)(35mg/kgi.v.), Ketaral(R)(0.04∼0.2mg/kg i.v.+笑 気 ガ ス2∼41/m) 麻 酔 の も とに子 宮胎 盤 な らび に 腎皮 質 血 流 量, 全 身 血 圧 お よ び子 宮 内圧 を 同時 に 測定 した. 子 宮胎 盤 な らび に 腎皮 質 血 流量 の測 定 は, 交 叉 熱 電 対 式 組 織 血 流 計(ユ ニ ー ク × デ イ カル 製UM-meter CTE 201)(日 高, 1974). を用 い, 動 物 を仰 臥位 に固 定 し, 下 腹 部 に正 申切 開 を加 えて 妊 娠 子 宮 を露 出 し, 直 針 の 誘 導下 にwire type elementを 胎盤 に刺 入 し, 同時 に腎 皮質 に も刺 入 す る こ とに よ り血 流 量 を測 定 し た. 全 身 血 圧 は大 腿 動 脈 に, 子 宮 内 圧 は羊 膜 腔 内 に ポ リ エ チ レ ン管 を挿 入 し, それ ぞれ 電気 血 圧 計(日 本光 電 製MPU-0.5お よ びLPU-0.1)に 連 結 し, 連 続測 定 を行 った. な お羊 膜 腔 内生 理 的食 塩 水 注入 は体 温 と同程 度 の温 め た生 理 的 食 塩水 を用 い た. 薬物 は大 腿 静 脈 に挿 入 した ポ リエ チ レ ン管 を介 して 投 与 し, 補 液 の 目的 でRinger氏 液 を20ml/kg/hで 点滴 投 与 した. 2. 妊 婦 に お け る検 討 a)分 娩 統計 に お け る検 討 妊 娠 経 過 に お け る母 体 血圧 の変 動 につ き, 1836例 の 症 例 か ら, 初 産婦1028例 な らび に経 産 婦808例 にお け る収 縮 期 圧 お よ び拡 張 期圧 の推 移 を比 較検 討 した. b)妊 娠 中期 ∼末 期 妊 婦 に お け る子 宮 内圧 の検 討 妊 娠 経過 に お け る子 宮 内圧 の 変 動 と血 圧 との 関連 性 を検 討 すべ く, 妊 娠24週 か ら陣 痛 発 来 に至 る迄 の初 産 婦148例, 経 産 婦74例 を対 象 と した. 子 宮 内圧 はopen-end-catheter法 に よ り測 定 した. その 中, 妊 娠 末 期 妊 婦49例 にお い て は2回 以 上 にわ た って 測定 した. ま た妊 娠37週 以降 にお け る分 娩 発 来 前 の 妊 婦97人 を対 象 と して, oxytocinに よ り子 宮 内 圧 の変 動 を も検 討 した. c)帝 王 切 開分 娩 例 に お け る検 討 前 回帝 王切 開 あ るい は 狭 骨盤 の適 応 で(腰 部 持 続 硬 膜 外 麻 酔 あ るい は持 続 腰 髄麻 酔)帝 王 切 開が 施 行 され た妊 娠39週 よ り41週 で 臨床 的 に呼 吸 循環 器 系 等 に異 常 の認 め られ な い妊 婦49人 を対象 とし, 子宮 筋 あ るい は 胎 盤 血 流 量(交 叉 熱 電 対法)と 焼 骨 動脈 圧 お よび 子 宮 内圧 を同 時 に 測定 した. ま た胎 児 心 拍 はDoppler服 児 心 音 計 に て連 続 管 理 した. 実 験 成 績 A. 臨 床 的検 討 1, 妊 娠 経 過 にお け る母 体血 圧 の変 動 母体 血 圧 の 変 遷 推 移 を, 初 産 婦1028例 にお い て 妊 娠4ヵ 月 以 降, 産 褥1ヵ 月 に わた って 測定 した. 因 み に妊 娠4ヵ 月, 9ヵ 月, 分娩1週 間 前, 分 娩5時 間 前 の 収縮 期 圧, な らび に 拡 張 期圧 の 平 均 は, それ ぞれ 112/64mmHg(n=150), 114/66mmHg(n=1493), 117/77mmHg(n=660), 135/85mmHg(n=421)を 呈 した. さ らに 経 産 婦808例 にお い て も, それ ぞ れ 111/63mmHg(n=149), 112/65mmHg(n=1204), 115/69mmH9(n=512), 128/80mmHg(n=445)を 呈 した. Figure 1は これ らの 全 推 移 を示 して お り, 妊 娠 末 期 にお い て, 陣 痛 発 来 に近 づ くに 従 っ て収 縮 期圧, 拡 張 期 圧 と もに上 昇 す る傾 向 に あ り, そ して 初 産 婦 は経 産 婦 よ りも血 圧 上 昇 傾 向が 著 し く, その 差 は 次 第 に顕 著 に な る傾 向 に あ る. 2, 妊 娠 経 過 に お け る 子 宮 内 圧(resting uterine tonus)の 変 動 妊 娠24週 以 降 か ら陣痛 発 来 に至 る迄 の初 産 婦148例, 経産 婦74例 の 子 宮 内圧, す な わ ちresting uterine tonusの 変動 は, Frgure 2に おい て示 す如 く, 血 圧 の 変 動 と同 様, 陣痛 発 来 に近 づ くに従 って上 昇 す る傾 向 が 認 め られ, 下 段 の 経 産婦 よ り も上段 の初 産 婦 に お い て著 く, 殊 に初 産 婦 に おい て は陣 痛 発来2∼3週 前 頃 か ら, 顕 著 な上 昇 傾 向 を示 した. す な わ ち, 分娩 約3 週 間 前 と 分 娩 約5日 前 で のtonusの 変 動 は 初産 婦 で は10∼15mmHgか ら10∼20mmHgと, ま た経 産 婦 で も10mmHg前 後 か ら10∼15mmHgと た か ま りを示 して い る. この こ とか ら母 体 血 圧 と子 宮 内圧, 殊 にresting uterine tonusと の間 に 何 らか の 因 果 関 係 の存 在 を示 唆 す る もの で あ る.さ らに この 点 を 明 らか にす べ く, 妊娠 末 期 妊 婦49症 例 の子 宮 内 圧 と平 均 血 圧 との 関係 を, 同一 症 例 に関 し
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島津:妊 娠時高血圧発症の成因に関す る臨床的な らびに実験的研究
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Fig. 1. Changes of maternal blood pressure during pregnancy.
て2回 以 上 に わ た っ て 測 定 して み る とFigure 3に 示 す 如 く, 子 宮 内 圧 の た か ま り と と もに, 母 体 平 均 血 圧 も上 昇 し て い く 関 連 性 が 認 め られ る. 3. 子 宮 収 縮 が お よ ぼ す 母 体 血 圧 へ の 影 響 oxytocinに よ り 子 宮 収 縮 を 誘 発 せ し め た 際 の 母 体 血 圧 と 子 宮 内 圧 の 変 動 を 検 討 し た. 妊 娠37週 以 降 に お け る 陣 痛 発 来 前 の 無 麻 酔 の 妊 婦 166例 のresting utcrine tonusは12.5±2.3mmHg
(n=219)で あ り, そ の 際 の 母 体 血 圧 は, 128.1±17.9/ 80.0±19.0mmHg(n=219)を 呈 し た. こ の よ う な 状 態 にoxytocin 0.05i.u. iv. に よ り 誘 発 され た 子 宮 収 縮 はintensityに し て36.8±13.5mmHg(n=20)を,
母 体 血 圧 は135.0±19.0/87.0±15.2mmHg(n=201)
を 呈 し た. ま た0.1i.u. i.v. に お い て はintensity 43.9
±14.2(n=169), 母 体 血 圧137.0±18.9/88.0±17.2 mmHg(n=169)を 呈 し, さ ら に0.25 i.u. i.v. に お い て もintensity 49.8±13.0mmHg(n=98), 母 体 血 圧139.8±18.7/92.3±15.3mmHg(n=98)を 呈 し た. こ の 様 に 子 宮 収 縮 に よ り子 宮 内 圧 を 平 均37.3 mmHgた か め た 際, 母 体 平 均 血 圧 は 約12.5%上 昇 す る こ と が 認 め られ た. Figure 4の 左 は こ の 変 動 を 示 して お り, 同 一 症 例 毎 に お い て, 子 宮 収 縮 に よ る子 宮 内 圧 の 上 昇 に 従 っ て, 上 段 の 収 縮 期 な ら び に 下 段 の 拡 張 期 血 圧 と も に 上 昇 す る こ と が 認 め ら れ た. さ ら に 子 宮 収 縮 に よ る疼 痛 が 血 圧 に 影 響 す る 事 も考 え られ, こ の 影 響 の な い 状 態 で 検 討 す べ く49例 の 持 続 硬 膜 外 麻 酔 ま た は 持 続 腰 髄 麻 酔 の 帝 王 切 開 分 娩 例 に お い て 同 様 の 検 討 を 行 っ た. そ の 結 果 はFigure 4の 右
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島津:妊 娠時高血圧発症の成因に関す る臨床 的ならびに実 験的研究
産婦進歩第32巻2号
Fig. 2. Changes of uterine resting tonus during pregnancy.
に示 した が左 の無 麻 酔 の 場合 と同様 の 傾 向(子 宮 収 縮 よ り 子 宮 内圧 を 平 均28.5mmHgた か め た 際, 母 体 平 均 血 圧 は 約8.2%上 昇 す るこ とが 認 め られ た.)を 示 した. 次 に無 麻 酔 下 に おい てoxytocin 0.05i.u. に よ る子 宮 収縮 に よ って 生 じた血 圧 の 上 昇 を対 照 と して そ の後 さ らにoxytocinの 投 与量 を 増量 す る こ とに よ り引 き お こ され た 子 宮 内 圧 の増 加 率(X)と 平 均 血 圧上 昇 率 (Y)の 関係 をみ る とFigure 5の ご と く, y=0.242x +0.457, r=0.832, n=44, p<0.01の 相 関 係 関が 認 め られ た. B. 実 験 的検 討(動 物 実験) 1, 子 宮 収 縮 が お よぼ す 循環 動 態 へ の 影 響 1)自 然 発 来 子 宮 収 縮 に お け る検 討 妊 娠 末 期 家 兎25羽 に お け る 自然 発 来 子 宮 収 縮 は intensity 5.4±5.4mmHg(resting uterine tonus 4.8 ±4.3mmHg)で あ り, そ れ に よ り胎 盤 血 流 量 は 減 少 し, そ の 減 少 率 は23.7±9.2%で あ っ た. 一 方 腎 皮 質 血 流 量(そ の う ち16例 に 検 討 が 行 わ れ) は, 13羽(88%)に お い て そ の 変 化 を 認 め な か っ た が, 3羽(12%)に 減 少 す る傾 向 を 示 し, そ の 減 少 率 は16.2±11.3%で あ っ た, そ の 内2例 が 血 圧 上 昇 を み た. 母 獣 血 圧 の 面 か ら 検 討 を 加 え て み る と13羽(88%) は 血 圧 上 昇 を 認 め な か っ た. し か し3羽(12%)の 頻 度 で13.2±6.5%上 昇 を認 め た. そ して 血 圧 上 昇 を示
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Fig. 3. Individual follow up of uterine resting tonus and blood pressure in 3-rd trimester of pregnancy.
Fig. 4. Relationship between blood pressure and intrauterine pressure (amniotic
fluid pressure) during uterine contraction induced by oxytocin.
した 例, 3例 中2例 で は, そ の 際 の 胎 盤 な ら び に 腎 皮 質 血 流 量 減 少 率 は そ れ ぞ れ28.8∼34.8%, 20.0∼25.0 %で あ っ た.
一 方
, 妊 娠 末 期 犬8頭 に お け る 自 然 発 来 子 宮 収 縮 は intensity 5.5±2.6mmHg(resting uterine tonus 5.0
±3.2mmHg)で あ り, 同時 に 全 例 に胎 盤 血 流 量 の 減 少 が み られ, そ の減 少 率 は16.8±6.5%で あ った.
腎皮 質 血 流 量 は4頭(50%)で 特 に変 化 な く, 2頭 (33%)が 減 少 し, 1頭(12%)は 増 加 を示 した. その 変 化 率 は減 少 す る例 で は4.9∼7.3%, そ して 増加 す る
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島津:妊 娠時高血圧発症の成因に関する臨床的な らびに実験的研究
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Fig. 5. Correlation
between per cent increase in
intrauterine pressure and per cent increase
in systemic blood pressure in 44
experi-mental cases of oxytocin administration
(late pregnant women).
Table 1. Influence of Uterine Contraction on the Maternal Hemodynamics in Pregnant Animals.
場 合 は4.7%で あ っ た. 母 獣 血 圧 は7頭(87%)に 変 化 は な く, 1頭(13%) に 上 昇 が 認 め られ, そ の 上 昇 率 は4%で あ っ た. そ し て 血 圧 が 上 昇 す る 際, 胎 盤 血 流 量 は12.5%の 率 で 減 少 し, 腎 皮 質 血 流 量 は4.7%の 率 で 増 加 し た. さ ら に, 妊 娠 末 期 猿2匹 に お け る 自 然 発 来 子 宮 収 縮 はintensity 12∼18mmHg(resting uterine tonus 9∼10mmHg)で あ り, 同 時 に 胎 盤 血 流 量 が 減 少 し, そ の 減 少 率 は23.0∼24.0%で あ っ た. 腎 皮 質 血 流 量 は2例 中1例 に 変 化 な く, 他 の1例 は 増 加 を 示 し た. そ の 増 加 率 は22.5%で あ っ た. な お 母 獣 血 圧 に は 特 に 変 化 を認 め な か っ た(Table I). 2)oxytocin誘 発 子 宮 収 縮 に お け る検 討 妊娠 末 期 家 兎21羽 に お け るoxytocin誘 発 子 宮収 縮 はintensity 6.7±7.5mmHgで あ り, それ に よ り胎 盤 流量 は例 外 な く減 少 し, その減 少 率 は30.2±13.0 %を 示 した. 一 方 腎皮 質 血 流 量 は13羽(62%)で は特 に 変化 な く, 5羽(24%)に 減 少 を示 し, また3羽(14%)は 増 加 した. そ の変 化 率 は, それ ぞ れ20.6±3.6%の 減 少 率 と, 25.0%の 増 加 率 で あ った. 母 獣 血 圧 は9羽(43%)に 特 に変 化 な く, 12羽(57 %)に 上 昇 が 認 め られ, その上 昇 率 は13.2±6.0%で あ った が, そ の血 圧 上 昇 を示 した 家兎12羽 の 胎 盤血 流 量 減 少 率 は31.8±10.1%で あ った. し か し 腎 皮 質血 流 量 は6羽 で は変 化 な く, 3羽 は 減少 し, 3羽 は 増加 を示 した. そ の 腎 皮 質 血 流量 減 少 率 は21.9±11.9% で あ り, ま た増 加 率 は24.8±13.2%で あ った. 一 方 , 妊娠末期犬11頭 におけるoxytocin誘 発 子 宮 収 縮 はintensity 9.3±4.0mmHg(resting uterine tonus 5.1±1.2mmHg)で あ り, そ れ に よ り胎 盤 血 流 量 は全 例 に おい て減 少 し, そ の減 少 率 は21.4±15.5 %を 示 し, 腎 皮 質血 流 量 は6頭(55%)に 変 化 な く, 4頭(36%)に 減 少 し(そ の際 血 圧 は2頭 にお い て 無 変 化, 2頭 が 上 昇 した.), 1頭 に増 加 を認 めた. 減少 す る例 で は6.8±2.8%の 減少 率, そ して増 加 す る場合 は8.0%の 増 加 率 で あ った. 母 獣 血 圧 は5頭(45%)に 変 化 な く, 6頭(55%) に上 昇 が 認 め られ, その 上昇 率 は9.2±5.5%で あ っ た. そ して血 圧 上 昇 を示 した 犬 の 胎 盤血 流 量 減 少 率 は 27.8%で あ り, 腎 皮 質血 流量 は3頭 に無 変 化, 1頭 が 増 加, 2頭 が 減 少 を示 した. さ らに, 妊 娠 末 期 猿2匹 にお け るoxytocin誘 発 子
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Fig. 6. Influence of uterine contraction on maternal blood pressure,
placental blood flow, renal cortical blood flow and amniotic
fluid pressure (pregnant monkey).
Table II.
Influence of Intraamniotic
Saline Injecticn
on the
Maternal Hemodynamics in Pregnant Animals.
宮 収 縮 はintensity 24mmHg(resting uterine tonus11∼15mmHg)で あ り, そ れ に よ り 胎 盤 血 流 量 が2 例 と も減 少 し, そ の 減 少 率 は27.6∼48.8%を 示 した. 腎 皮 質 血 流 量 は, 1例 に お い て 変 化 な く, 他 の1例 は 増 加 し, そ の 増 加 率 は30.0%で あ っ た. 母 獣 血 圧 は1例 で 変 化 な く, 他 の1例 に 上 昇 が 認 め られ, そ の 上 昇 率 は2.7%で あ っ た. そ の 際 胎 盤 血 流 量 は27.6%の 減 少 率 を 示 し た(Table I). Figure 6の 妊 娠 猿 の 実 験 例 に お い て は, 自 然 発 来 子 宮 収 縮, oxytocinに よ る 子 宮 収 縮 い ず れ に お い て も胎 盤 血 流量 の減 少 は, それ ぞ れ25%, 35%と 明 ら か で あ るが, 血 圧 に お いて は 軽 度 の 上 昇 傾 向が み ら れ, 一 方 腎皮 質 血 流 量 は, 自然 発来 な らび にoxytocin に誘 発 され た 子 宮 収 縮 に よ り, 軽 度増 加 す る傾 向 が 認 め られ た. 2. 羊 膜 腔 内 生理 的食 塩 水 注 入 が お よ ぼす 循 環 動 態 へ の 影 響 妊 娠 末 期 家 兎38羽 に お い て4.6±2.2mmHgの resting uterine tonusを 呈 す る状 態 に羊 膜 腔 内生 理 的 食 塩 水 約20∼180ml注 入 を試 み る こ とに よ り10.1
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島津:妊 娠時高血圧発症 の成因に関す る臨床 的な らびに実験的研究
産婦進歩第32巻2号
±9.5mmHgに 内 圧 を た か め て み る と, 胎 盤 血 流 量 は93%の 頻 度 に お い て 減 少 し, そ の 減 少 率 は35.9± 26.3%を 示 し, 腎 皮 質 血 流 量 は97%の 頻 度 に お い て 減 少, そ の 減 少 率 は27.5±15.1%を 認 め る と と もに 母 獣 血 圧 は92%の 頻 度 に お い て 上 昇, そ の 上 昇 率 は 14.1±10.0%を 示 した(Table II). そ の1例 をFigure 7(家 兎)で 示 す. 生 理 的 食 塩 水 計50mlを3つ の 胎 胞 に 注 入 し, 子 宮 内 圧 を 約2mmHgた か め る こ と に よ り, 胎 盤 血 流 量 は 約35%, 腎 皮 質 血 流 量 は 約20%減 少 し, 同 時 に 約10%の 血 圧 上 昇 を認 め た. そ し て, 生 食 水 注 入 に よ りた か め られ た 子 宮 内 圧 の 上 昇 値(X)と 平 均 血 圧 上 昇 率 に お け る 関 係 はFigure 8の ご と く, y=1.683x +1.42, r=0.758, n=26, p<0.01の 相 関 関 係 を認 め た. 妊 娠 末 期 犬7頭 に お い て は4.9±0.9mmHgの resting uterine tonusを 呈 す る 状 態 に 羊 膜 腔 内 生 理 的 食 塩 水20∼180ml注 入 を試 み る こ と に よ り7.2±2.5 mmHgに 内 圧 を た か め て や る と, 胎 盤 血 流 量 は 全 例 に お い て 減 少 し, そ の 減 少 率 は32.1∼33.3%を 示 し, 腎皮 質 血 流量 は57%の 頻度 で 変 化 を認 めな い が, 43% に減 少 し, そ の減 少 率 は23.6±5.9%を 認 め, ま た母 獣 血 圧 は72%の 頻 度 にお いて 上 昇 し, その 上 昇 率 は 13.7±9.8%を 示 した. さ らに 妊 娠 末 期 猿2匹 に お い て は10mmHgの resting uterine tonusを 呈 す る状 態 に羊 膜 腔 内 生理 的 食 塩 水20∼120ml注 入 を 試 み る こ とに よ り, 内圧 を9.5∼13.0mmHgに た か めて や る と, 胎 盤血 流量 は 全 例 減少 し, その 減少 率 は25.4∼43.7%を 示 し, 腎 皮 質血 流量 も減 少 し, そ の減 少率 は54.5%で あ り, 母 獣 血 圧 もす べ て の例 で上 昇(上 昇 率 は17.1∼25.0%) を認 め た. Figure 9に お い て 妊娠 猿1例 を示 す と, 図左 端 の 自然 発来 子 宮 収 縮 に よ り胎 盤 血 流量 は約45%の 減 少 を 示 し, 腎皮 質 血 流 量 に は わず か に増 加 す る傾 向 が み ら れ, 一 方, 生 理 的 食塩 水40mlの 羊 膜 腔 内注 入 で約 10mmHg子 宮 内圧 をた か め る と, 約25%の 胎盤 血 流 量 な らび に50%以 内 の 腎 皮質 血 液量 の減 少 が 持 続 的 に み られ, そ して25%の 平 均 血 圧 の上 昇 が 持 続 して認 め られ た. 3. 血 圧 上 昇 を もた らす その他 の諸 因 子 に お け る検 討 さ らに その 他 の 血圧 上 昇 を も た ら す 因 子 で あ るFig. 7. Influence of intraamniotic
saline injection
on maternal
blood pressure,
placental
blood flow, renal cortical blood flow and
amniotic fluid pressure (pregnant rabbit).
Fig. 8. Correlation between elevated intrauterine
pressure by intraamniotic
saline injection
and per cent increase in systemic blood
pressure in 24 experimental cases of
intra-amniotic saline injection (pregnant rabbits).
産婦進歩第32巻2号
島津:妊 娠時高血 圧発症の成因に関す る臨床的な らびに実験的研究
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Fig. 9. Influence of intraamniotic
saline injection on maternal blood pressure,
placental blood flow, renal cortical blood flow and amniotic fluid pressure
(pregnant monkey).
Table III. Uteroplacental and Renal Hemodynamic Changes in the Condition of Induced Hypertension. hypervolemia, そ して カ テ コー ル ア ミンに よ る母 体 循 環へ の 影 響 を検 討 した. 1)hypervolemiaに 関 す る検 討 妊 娠 末 期 動 物(犬2頭, 家 兎8羽)を 用 い て 急 速 な 輸 液 を行 い循 環 器 系, 子 宮 内圧 へ お よ ぼす 影 響 を検 討 した. その 結 果(Table III), 子 宮 胎盤 な らび に腎 皮 質血 流 量 そ して 母 獣 血 圧 は ほぼ 全 例 に 上 昇 を認 め た が, 子 宮 内圧 に は変 化 を認 め る こ とは で きな い. Figure 10に そ の実 験 例 を示 して い る. 妊 娠 末 期 家兎 を用 い, 急 速 な輸 液 と羊 膜 腔 内生 理 的 食 塩 水 注 入 に よ る母 獣 循 環 へ の影 響 を対 比 させた 実 験 で あ る. 羊 膜 腔 内生 理 食 塩 水 注 入 に よ り, 子 宮 内圧 を5mm Hg上 昇 させ, そ の結 果 平 均 血 圧 が約27%の 上 昇 を示 し, 同 時 に胎 盤 な らび に 腎皮 質 血 流 量 の 減少 が認 め ら れ た.
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島津:妊 娠時高血圧発症 の成因に関す る臨床的な らびに実験的研究
産 婦進歩第32巻2号
Fig. 10. Influence of intraamniotic saline injection or rapid drip intravenous infusion
of 50ml saline on maternal blood pressure, placental blood flow, renal
cortical blood flow and amniotic fluid pressure (pregnant rabbits).
Fig. 11. Influence of shivering (recovering from anesthesia) on maternal blood pressure,
placental blood flow, renal cortical blood flow and amniotic fluid pressure
産婦進歩第32巻2号
島津:妊 娠時高血圧発症の成因に関す る臨床的な らびに実験的研究
125-11
次 に急速 輸 液 を行 うと脈 圧 の 増 大 を と もな った血 圧 上 昇 と同 時 に胎 盤, と くに 腎皮 質血 流 量 の 増 加 が認 め られ, 同 じ血 圧 の上 昇 が み られ る状態 で も両 循 環器 系 に全 く相 反 す る現 象 が認 め られ た. 2)shiveringを と もな う麻 酔 か らの覚 醒 に関 す る検 討 妊 娠 末 期動 物(犬5頭, 家 兎2羽)を 用 い て, 妊 娠 中毒症 患 者 にみ られ る如 きhyperirritabilityな 状 態 を 作 製す べ く, 麻 酔 の覚 醒 時 に み られ るshiveringの 状 態 で の検 討 を行 った. その結 果(Table III), 胎 盤 血 流 量 は, 犬 にお い て40%, 家 兎 にお い て50%の 頻度 で 減 少 を認 め, その 減少 率 は それ ぞ れ20∼40%と30% で あ った. 一 方, 腎皮 質 血 流 量 も犬 で60%, 家 兎 で50 %の 頻度 に おい て減 少 が 認 め られ, その 減 少率 は それ ぞれ15∼30%, 20%で あ った. 母獣 血 圧 は 犬 で80%, 家兎 で50%の 頻 度 にお い て上 昇 を認 め, そ の上 昇 率 は それ ぞれ6∼40%と30%で あ った. 子 宮 内圧 は20%の 頻 度 で上 昇が 認 め られ, そ の 上 昇率 は29%で あ り, 胎 盤 血 流量 や 腎皮 質 血 流量 の 減 少 した例 は, 全 例 に血 圧 の 上 昇 を認 めた. Figure 11に その1例 を示 してい る. 妊 娠 末 期 犬 に おい て, shiveringが み られ る際, 子 宮 内圧 のhypertonicityと 約40%の 平 均 血圧 上昇, 同 時 に 約40%の 胎 盤 な らび に 約10%の 腎皮 質 血 流 量 減少 率 を 認 め るこ とが 出 来 る. な お, この 時点 で pentobarbitalの 投 与 によ りshiveringは 消失 し, そ の結 果, 血 圧 と胎盤 な らびに 腎皮 質 血 流 量 の 回復 が み られ, さ らに 子宮 内圧 の 低 下 が認 め られ て い る. この よ うにshiveringに よ り内 因性 の カ テ コール ア ミンが 上 昇 した結 果 によ る影 響 が 考 え られ, 次 に カ テFig. 12. Influence of Neo-synesin(R)
drip intravenous infusion on maternal
blood pressure, placental blood flow, renal cortical blood flow
and amniotic fluid pressure (pregnant dog).
126-12 島 津:妊 娠 時 高 血圧 発 症 の成 因 に 関す る臨 床 的 な らび に 実 験 的研 究 産 婦 進歩 第32巻2号 コ ー ル ア ミン 投 与 に よ る検 討 を 加 え た. 3)カ テ コ ー ル ア ミ ン投 与 に 関 す る 検 討 妊 娠 末 期 動 物 にphenylephrine hydrochloride, ま た はnoradrenalineを 持 続 点 滴 投 与 し, 循 環 器 系 と子 宮 内 圧 へ お よ ぽ す 影 響 を 検 討 し た. そ の 結 果(Table III), 胎 盤 な ら び に 腎 皮 質 血 流 量 は 全 例 減 少 を 認 め, そ の 減 少 率 は そ れ ぞ れ 家 兎 に お い て39.1±13.9%, 39.3±8.5%, 犬 に お い て33.1±10.6%, 40.3±7.4% で あ っ た. 一 方, 母 獣 血 圧, 子 宮 内 圧 に お い て も全 て の 例 に 上 昇 が 認 め られ, そ の 上 昇 率 は 家 兎 に お い て37.0±20.8 %, 27.8±13.4%, 犬 に お い て39.7±12.3%, 40.0± 14.5%で あ っ た. Figure 12は 妊 娠 末 期 犬 を用 い た 実 験 例 で あ る が, phenylephrine hydrochloride(Neo-synesin(R))の 持 続 点 滴 に よ り 約70%の 著 明 な 高 血 圧 発 症 と と も に, 胎 盤, 腎 皮 質 血 流 量 が そ れ ぞ れ60%, 20%と 減 少 を 示 し, 同 時 に2.5mmHgの 子 宮 内 圧 の 上 昇 が 認 め られ た. Figure 13はnoradrenalineを 使 用 し た 同 様 な 実 験 例 で あ る が, 同 じ 様 な 結 果 が 得 られ, 投 与 を 中 止 す る こ と に よ り血 圧 の 下 降 に と も な っ て 胎 盤 な ら び に 腎 皮 質 血 流 量 の 明 らか な 回 復 と, 子 宮 内 圧 の 低 下 が 認 め ら れ た. 以 上 の 実 験 結 果 を ま と め て み る と, 急 速 な 輸 液, shivering, 昇 圧 薬 投 与 は と もに 血 圧 を 上 昇 さ せ る が shiveringと カ テ コ ー ル ア ミ ン投 与 は 胎 盤 な ら び に 腎 皮 質 血 流 量 を 減 少 さ せ る こ と が 明 らか で あ る. C. 羊 膜 腔 内 生 理 的 食 塩 水 注 入 と カ テ コ ー ル ア ミ ン 投 与 に お け る比 較 検 討 passive(子 宮 筋 伸 展 に よ る)な 子 宮 内 圧 の た か ま り と, カ テ コ ー ル ア ミン 投 与 が 同 様 な 循 環 器 へ の 影 響 を 認 め た こ と か ら, こ の 両 者 の 比 較 検 討 を 行 うた め, カ テ コ ー ル ア ミ ン投 与 は 妊 娠 末 期 家 兎10羽(の べ50検 体), 犬7頭(の べ27検 体)を 用 い, 羊 膜 腔 内 生 理 的 食 塩 水 注 入 は 妊 娠 末 期 家 兎23羽, 犬4頭 と 猿1匹 を 用 い て 行 っ た が, Table IVに 示 す 如 く, カ テ コ ー ル ア ミ ン投 与 群 と 羊 膜 腔 内 生 理 食 塩 水 注 入 群 との 血 圧 上 昇 率 は そ れ ぞ れ31.3±20.0%(4.9∼128.8%), 9.2士4.8 %(1.6∼23.1%)を 呈 し, 胎 盤 血 流 量 減 少 率 は そ れ ぞ れ39.2±17.5%(13.4∼75.0%), 36.9±22.0%(10.2 ∼87.5%)を 呈 し, ま た 子 宮 内 圧 の 上 昇 率 は それ ぞ れ 37.8±17.6%(6.7∼71.4%), 45.1±18.9%(20.0∼ 70.0%)を 示 し た. この よ うに, 両 者 の 胎 盤血 流 量 が 同程 度 の 減 少率, 即 ち約40%弱 の血 流 量 減少 率 を示 す 場合, 羊 膜 腔 内生 食 注 入 群 は カ テ コ ール ア ミン投 与 群 に比 し, 血圧 の上 昇 率 は 低 く, 約10%で あ り, また 腎皮 質 血 流 量 減少 率 も軽度 で あ る こ とが認 め られ た. 考 案 1. 妊 娠 経 過 にお け る母 体 血 圧 の変 動 妊 娠 の血 圧 変 動 に関 して は, 多 くは妊 娠 中期(16∼ 20週)で 収 縮 期 圧, 拡 張 期 圧 と も低 下 を 示 し(九 嶋 1954, Brehm 1955, Mac Gillivary 1965), 妊 娠 末 期
Fig. 13. Recovering from deteriorating effects of
noradrenaline
on placental
and renal
cortical blood flow (pregnant rabbit).
Table IV. Comparison
between
the
Influence
of
Intravenous
Vasopressor
Drip
Infusion
and
Intraamniotic
Saline
Injection.
産婦進歩第32巻2号
島津:妊 娠時高血圧発症の成因に関す る臨床的ならびに実験的研究
127-13
に 至 るに従 い ゆ るや か に上 昇 し, 非 妊 婦 レベ ル 回復 す る と報 告 され て い る. しか し何 ら変 化 が み られ ない と す る報 告 もあ る(Dieckmann 1952). そ こで著 者 は, 妊娠 経 過 に よ る初 産, 経 産 婦 別 に よ る血 圧 の変 動 につ きまず 検 討 を加 え た. 初 産 婦 にお い て は収 縮 期, 拡 張期 圧 と も20週 で最 低 を示 し, 経 産 婦 に おい て は24週 で収 縮 期 圧 の 低下 を認 め たが, それ 以 降 は分 娩 に至 るま で収 縮 期, 拡 張期 圧 と もに上 昇 し, 少 くと も産 後1カ 月 の 血 圧 よ りも高 い こ とを認 めた. そ して 注 目す べ き点 は, 経 産 婦 よ り も 初産 婦 に おい て 血圧 上 昇 傾 向 が 著 し く, その 差が 分 娩 発 来 に 向 か って 漸 次 ひ ろが って行 く傾 向 に あ る こ とで あ る. 妊 婦 血 圧 の 変 動 は, 妊 娠 に と もな うhypervolemia と心機 能 の増 大 に 対 し, 血 管 床 の増 加 や 血 管 拡 張 の相 互 干 渉 に よ り支 配 され, 妊 娠 中 期 に は比 較 的血 圧 の低 下 傾 向が み られ, 妊 娠 末 期 に至 るに つれ, 血圧 上昇 傾 向 が現 われ るが, この機 序 解 明は 少 く と も, 妊 娠 中毒 症 発症 の 本 態 へ の アプ ロー チ に な る もの と 考 え られ る. この様 な考 えか ら, 妊 娠 末 期 に み られ る子 宮 内環 境 の変 化 を重 視 し, それ が この よ うな 現 象 の 引 き金 とな って血 圧 の上 昇 を来 たす 可 能 性 に つ き検 討 を加 え た. 2. 妊 娠 経 過 にお け る子 宮 内 圧 の変 動 妊 娠 末 期 の 子 宮 内環 境 の 変 化 を考 え る と き, まず 子 宮 内圧 の変 動 を知 るこ とが 重要 で あ り, そ れ に は子 宮 内容 積 と子 宮 筋 性状 とが 関 与 して い る. この 子 宮 内圧 を, 妊 娠 経 過 を 追 って 特 に 分 娩 発 来 に 向 って 詳 細 に 検 討 した 研究 は み られ ず, わず か に Csapo(1970)ら に よ る, 妊 娠 時 のresting uterine tonusの 報 告 が み られ る にす ぎない. つ ま り, 妊 娠 中 期 に は 明 らか な変 化 が み られ ない が, 末 期, 殊 に陣 痛 発 来2∼3週 前 か ら, 漸 次 内 圧が たか ま る こ とを認 め, か つ この傾 向 は経 産 婦 に比 し初 産 婦 に著 し く認 め られ る こ とが 確 か め られた. そ して この よ うな現 象 は血 圧 の変 動 と相 関 を示 し, さ らに 同一 症 例 をfollow upす るこ と に よ り検討 を加 えて み たが, その 結 果, 子 宮 内 圧 の上 昇 に したが い 明 らか な母 体 平 均血 圧 の上 昇 が 認 め られ た こ とか ら, 母 体 血圧 と子 宮 内 圧 とに何 らか の 関連 性 が 示 唆 され る. そ こで 子 宮 内 圧 の たか ま りが もた らされ る要 因 とし て, 日高(1977)に よ ると, 子 宮筋 は妊 娠 後 半 期 まで hypertrophyやhyperplasiaに よ り許 容 力 が 増 加 し, そ の結 果 子 宮 壁 張 力 と, 胎 児 発育 に と もな う子 宮 内容 積 の 増 大 との 間 に一定 の バ ラ ンスが 保 た れ, その結 果 著 明 な 内圧 のた か ま りとはな らない が, や が て子 宮 筋 許容 力 に限 界 が あ らわれ は じめ る と(こ れ は 陣痛 発 来 2∼3週 間前 に相 当 す る), 子 宮 壁 張 力 の増 強 が 起 り, 子 宮 内圧 の上 昇 と して認 め られ る もの と説 明 され てい る. 3. 子 宮 収 縮 が お よぼ す 母 体血 圧 へ の 影 響 さ らに, 子 宮 内圧 の 上 昇 に 直接 関与 す る 因子 と し て, 子 宮 収 縮 の影 響が あ るが, 駒 谷(1976)が ヒ ト帝 王切 開分 娩 例14例 に お け る観 察 でoxytocin 0.05∼ 0.25i. u. 誘 発 に よ る子 宮 収 縮 に おい て, 内圧 は51± 11mmHg上 昇 し, それ に一 致 して21±10%の 全 身 血 圧 の上 昇 が み られ る こ とを 報 告 して い る. そ して本 研 究 に おい て も166例 無 麻 酔 の 状 態 で の子 宮 収 縮 に と もな い, 平 均37.3mmHgの 子 宮 内圧 の た か ま りと 平 均 血圧12.5%の 上 昇 が 認 め られ, 子 宮 収 縮 に よ り もた ら され る 子 宮 内 圧 の 増 加 率(X)と 平 均 血 圧上 昇 率(Y)と の 間 にy=0.242x+0.457な る 回帰 曲 線が 得 られ る. また麻 酔 下(持 続 硬膜 外, 持 続 腰 髄 麻 酔) におい て も, 28.5mmHgの 子 宮 内圧 の たか ま りで, 平 均血 圧 に して8.2%上 昇 す る こ とが 認 め られ た. さ らに 動物 実 験 にお い て も, 自然 発 来, oxytocin誘 発, い ず れ の 子 宮 収 縮 に おい て も, intensityが た か ま る につ れ母 獣 血 圧 の 上昇 す る頻 度 が高 くな る こ とが認 め られ た. さ ら に子 宮 収縮 は, 自然 発来, oxytocin誘 発 い ず れ も例 外 な く胎 盤血 流 量 を減少 させ, その 減少 率 は 家兎 で それ ぞ れ24%, 30%で あ り, 犬 で は17%, 21%で, 猿 で は23∼24%, 28∼49%で あ り, 子 宮収 縮 のintensityに 応 じて 血 流量 の減 少 率 も増加 し, 駒 谷 の成 績 と同 様 の傾 向が み られ た. 一 方 子 宮 収 縮 に よ る腎皮 質 血 流 量 に お よ ぼす 影 響 に関 して は, 家 兎 に お い て 多 くは無 変 化 で, わ ず か10∼20%の 頻 度 で血 流 量 減 少(減 少 率16∼21%)を 示 す 例 もみ られ た が, 一 方3羽(14%)のoxytocin誘 発 子 宮収 縮 にお い て, intensrtyが 強 い 際 む し ろ腎循 環 血 流 量 の 増 加(7%の 増 加 率)を 示 す こ と も認 め られ た. 犬 に おい て もほ と ん ど影 響 が み られ ない が, 自然 発 来, oxytocin誘 発 子 宮収 縮 で 腎 循 環血 流 量 増 加(増 加 率4.7%, 8%)を 示 す例 もみ られ, 猿 に おい て も, 自然 発 来, oxytocin 誘 発 いず れ の子 宮 収 縮 で も1例 ず つ 血 流量 増 加(増 加 率23%, 30%)を 認 め た. す な わ ち腎皮 質 血 流 量 の増 加 傾 向 は, 子 宮 収 縮 のintensityや 血 圧 が 強 力 に増 大 した 場合, 特 に犬 や猿 に それ を認 め る こ とが で き る. これ らの こ とか ら子 宮の 収 縮 は 血 圧 を上 昇(約10% 前後)さ せ, そのintensityと 血 圧上 昇 とには 一定 の 関 係 が み られ, 同 時 に 胎 盤 血 流 量 の 減 少(17∼30%) を伴 う こ とが 確 か め られ た. しか し腎循 環 血 流 量 に は128-14 島 津:妊 娠 時 高血 圧 発 症 の成 因 に関 す る臨 床 的 な らび に実 験 的研 究 産婦 進 歩 第32巻2号 殆 ん どに おい て, その 変化 が 認 め られず, わず か に intensityが 弱 い 時, 血 流 量 の減 少傾 向が み られ るが, む しろintensityが 強 く, 血 圧 が か な り上 昇 す る際 に は, 一過 性 の血 流 量 増 加 を招 く場合 もあ る. この こ と は そ の動 物 の 占 め る子 宮 胎 盤 血 流量 の割 合 が 大 きい 時, 子 宮 収 縮 に よ り子 宮(血)流 量 の全 身 へ のblood redistributionを 促 し, drip infusionの 成 績 の如 く一 過 性 のhypervolemiaの 影 響 が 顕 れ, 血 圧 上 昇 や腎 血 流増 加 が み られ る もの と解 釈 され る. 4. 羊 膜 腔 内 生理 的食 塩 水 注 入 が お よぼ す 循環 動 態 へ の影 響 一 方passiveに 子 宮 内圧 が た か め られ た 際, 即 ち子 宮 内容 積 の 増 大 に 対 す る 子宮 壁 張 力 とのunbalance に よ り, 子 宮 内圧 が たか ま る場合, 古 くは子 宮筋 伸 展 が 腎臓 にお け る皮 質 と髄 質 の 血 流 を変 化 させ る, い わ ゆ る"Trueta shunt機 序"の 考 え方(Trueta 1947) を発 端 として, Sophian 1955ら に よ り中 毒症 発 生 に 関す る子 宮 筋 のstretch theoryが 提 唱 され た. しか し 腎皮 質 血 流 量, 胎 盤血 流量, 子 宮 内圧, 母 体血 圧 の 同 時 測定 に よ り胎 盤 や 腎血 流 量 との 因果 関 係 を裏 付 け る 報 告 は ない. そ こで 著 者 は, 生 食 水 を注 入 し, 子 宮 筋 をstretch させ る こ とに よ り子 宮 内 圧 を た かめ, これ が お よぼす 循 環 動 態 へ の 影 響 を 検 討 した. 子 宮 内圧 の た か ま り は, 全 例 に胎 盤血 流量 の減 少 を, また 腎 皮質 血 流 量 も 多 くの 例 で 減 少す る こと を認 め た. そ して それ に と も な って 血 圧 が上 昇 す る(上 昇 率13.7∼25%)こ と も明 らか とな った. 子 宮 収 縮 に よ る血 圧 上 昇 で は, 胎 盤 血 流量 の減 少 を 招 くが, 腎 循環 系 に は多 くは著 変 が み られ ない こ とに よ り, 同 じ内圧 の たか ま りに おい て も(血 圧, 胎 盤血 流量 の反 応 性 に つい て は 同 一傾 向 を示 す が), 腎循 環 動 態 に異 りが み られ る こ とが 明 らか と され た. 妊 娠 中 毒 症 の 成 因 に, 動 脈 の 部 分 的clamp, 子 宮 腔 内 ヘ バ ル ー ン を 挿 入 しPlacental ischemiaを 作 製 し, その 結 果 血 圧 の 上 昇 が み ら れ た と い う報 告 (Gyongyassg 1958, Kumar 1962, Douglas 1967, Hodari 1969, Brinkman 1974 , Covanah 1974)が あ る. しか し このplacental ischemiaが 如 何 な る機 序 で もた らされ るの で あ ろ うか, その 点 に 関す る考 察 は 全 くされ て は い ない. そ こで 著 者 は, 内圧 のた か ま りを重 視 し, そ れ に よ るplacental ischemiaが 持 続 し, そ の結 果blood redistributionや, 子 宮 胎盤 血 管 抵 抗 の増 大 が 直 接 関与 す る もの と解 釈 す るが, 腎循 環 低 下 や反 応 が 即 時 的 で あ る こ とよ りneurogenic reflexや, つい で もた ら され るhumoral factorも 関 与 す る もの と考 案 され る. さ らに 腎循 環 に関 して は, ヒ ト妊 娠 中 毒 症 は 多 くは 腎循 環 血 液量 の低 下 が み られ る もの で あ るが 強 力 な子 宮収 縮 は, か え ってblood redistribution を招 き腎 血 流量 の一 過 性 の増 加 を示 す こ とに よ り, む し ろ子 宮 筋伸 展 に よ る子 宮 内圧 の た か ま りが 腎皮 質 循 環 血 流 量 の減 少 を もた らす こ とか ら, 子 宮 筋 過 伸 展 に よ る子 宮 内圧 のた か ま りが 妊 娠 中 毒症 の成 因 によ り重 要 な 因 子 とな るこ と を示 し得 た. さ らに, このresting uterine tonusの た か ま りは, 子 宮 内許 容 限 界 の存 在 が, そ のtriggerと な ってい る もの と推 察 され る. 5. 血 圧 上昇 作 用 を もた らす その 他 の 諸因 子 に関 す る 検討 内 圧-血 圧-腎 循 環相 関 にお け るhumoral factor の 関与 を知 る一 つ の 手段 として, 内因 性, 外 因 性 の カ テ コー ル ア ミンの 検討 を行 って み た. 臨 床 的 に妊 婦 の不 安, 興 奮, 疼 痛 な ど に よ る内 因 性 カ テ コー ル ア ミンの 影 響 を動 物 実 験 で検 討 す べ く, 麻 酔 覚 醒 時 のshiveringを と もな う条件 下 に観 察 し, 外 因性 カ テ コー ル ア ミン と してnoradrenaline, ま た は phenylephrine hydrochlorideの 持 続投 与 を行 な って みた が, い ずれ にお い て も血 圧 の 上昇 と子 宮 内 圧 の た か ま り, そ して 胎 盤 な らび に腎 皮質 血 流 量 の 減 少 が 認 め られ た こ とか ら, 妊 娠 中毒 症 発 症 の 因子 と して この 様 なhumoral factorの 関与 も無 視 す る こ と はで きな い. そ こで, カ テ コ ール ア ミン投 与 に よ る影 響 と生 食水 注 入 に よ る影 響 に関 し, 臨 床 的 に み られ る軽 症 妊 娠 中 毒 症 の状 態, 即 ち血 圧 の軽 度 上 昇 と腎皮 質 血 流 量 の軽 度 減 少(20∼30%, Greenhill)と 対 比 して 検 討 を加 え た が, 同程 度 の胎 盤血 流量 の減 少(35∼40%)に お い て, 生食 水 注 入 によ る場 合 が, 血 圧 の上 昇 率 と, 腎皮 質 減 少率 が カ テ コ ール ア ミン投 与 群 よ り軽 度 で あ り, 妊 娠 末 期高 血 圧 環 境 に類 似 して い る. つ ま り子 宮 内圧 の た か ま りに よ る 血 圧上 昇 は, それが 軽 度 で あ って も, 胎盤 循 環 に与 え る影 響 は, 著 しい こ とを銘 記 すべ きで あ る. 以 上妊 娠 末期 にお け る高 血 圧 発 症 の原 因 に関 し, 臨 床 統 計 的観 察 を もと として, 実 験 的な 検 討 を加 え, 妊 娠 末 期 に お け る子 宮 内環 境, 即 ち子 宮 内容 積 の増 大が 子 宮 内 許容 限 界 に接 近 し, 子 宮 壁 緊張 をpassiveに た か め, そ れが 子 宮 胎盤 血 流 量 の 持 続 的 低 下 を もた ら せ, 同 時 に 腎皮 質 血 流量 の減 少 と, 全 身 血 圧 の上 昇 を 誘 起 す る とい う解 釈 が成 立 し, placental ischemiaに よ る妊 娠 申毒 症 発 症 に 関す る実 験 的考 察 を加 え るこ と
産 婦 進 歩 第32巻2号 島 津::妊 娠 時 高血 圧 発 症 の 成 因 に関 す る臨床 的 な らび に実 験 的 研 究 129-15
が で きた. しか し子 宮 内圧 の たか ま りと高 血 圧 発 症 と の間 に腎皮 質 血 流 量 の 低下 が どの よ うな関 連 を示 す か は未 だ不 明 で あ り, い わ ゆ る"utero renal reflux"が どの よ うな媒 体 を介 して 制 御 され てい るの か, まだ 未 解 の 問題 として 残 る. 結 語 妊娠 末 期 にお け る高 血 圧 の 発症 に関 し臨 床 的 な らび に実 験 的 検 討 を加 えた 結 果, (1)妊 娠 末 期 に 向い 子 宮 内圧 は上 昇 傾 向 を示 し, そ れ と密 接 な 関 連 を示 しつ つ平 均 血 圧 の上 昇 を認 めた. (2)子 宮 筋 収縮 に よ る内圧 の上 昇 は, 胎 盤 血 流 量 の 低下 と全 身血 圧 上 昇 を もた らした が 腎皮 質 血 流 量 へ の 影響 は, 多 くは変 動 が 認 め られ な い. しか し妊 娠 猿 や 犬 で は 子 宮収 縮 のintensityが 強 力 な 際, 腎 皮 質血 流 量 の 増加 す る傾 向 が うかが わ れ た. (3)子 宮壁 過 伸 展 に よ る子 宮 内圧 のた か ま りは, 胎 盤 血 流量 の低 下 と同 時 に腎 皮 質血 流 量 を減 少 させ, ま た全 身血 圧 の上 昇 を もた らせ た. (4)昇 圧 物 質 とし ての カ テ コー ル ア ミン投与 や麻 酔 覚 醒 時(shivering)の 状 況 下 に おい て, 子 宮 内圧 の 上 昇 と と もに 胎 盤 な らび に 腎 皮質 血 流 量 の 減 少 を もた ら し, 同時 に全 身血 圧 の 上 昇 を来 した が, そ の効 果 は 羊膜 腔 内生 食 水 注入 に よ る受動 的子 宮 壁 緊張 の条 件 よ りも血 圧 上 昇, 腎皮 質 血 流量 の変 動 が 顕著 で あ った. 以 上 の こ とよ り子 宮 筋 過伸 展 を伴 う子 宮 内圧 の た か ま りが, 妊 娠末 期 高 血 圧 発症 の引 き金 とし て重 要 視 さ れ る もの で あ る. 稿 を終 るに臨 み終始御懇切 な御指導 と御校閲を賜わ った須 川信教授 に深甚 な謝意を捧 げると共 に, 終始御鞭撻 と種 々の 御便宜を与 えられ た本学麻酔学教室藤森貢教授, 薬理 学教室 山本研二郎教授 に深謝す る. なお本研究をすす めるにあた り, 直接 御指導いただいた産 科婦人科学教室 日高敦夫助教授, 駒谷美津男博 士に衷心 より 感謝す る. 本論文の要 旨は昭和49年第51回近畿産科婦人科学会 総会, 昭和50年第52回, 53回近畿 産科婦人科学会総会, 第27回 日本 産科婦人科学会総会, 昭和51年第55回近畿産科婦人科 学会総 会, 昭和52年第56回, 57回近 畿産科 婦人科 学会総会, 第29回 日本産科婦人科学会総会, 昭和53年第58回, 59回近畿産科婦 人科学会総会, 第30回日本産科婦人科学会総会, 第192回大 阪市医学会において発 表 した. 文 献 1)日 高 敦 夫, 黒住 晃 司, 駒 谷 美津 男, 清 水 博 幸, 須 川 信(1974):子 宮 胎 盤 循 環 の 持 続 的 測 定-交 叉 熱 電 対 法 と 電 磁 血 流 計 と の 比 較-, 日 産 婦 誌, 26:509 2)日 高 敦 夫, 駒 谷 美 津 男, 黒 住 晃 司, 島 津 隆, 須 川 信(1976):子 宮 収 縮 の 母 体, 胎 盤, 胎 児 循 環 へ お よ ぼ す 影 響, 日 産 婦 誌, 28:105. 3)九 嶋 璋 二(1954):妊 婦 血 圧 に 関 す る 推 計 学 的 研 究, 産 婦 世 界, 6:1385. 4)駒 谷 美 津 男(1976):子 宮 収 縮 が 子 宮 胎 盤 循 環 に 与 え る 影 響 と そ の 改 善 策 に 関 す る 研 究, 産 婦 進 歩, 28:37. 5)駒 谷 美 津 男, 日 高 敦 夫, 島 津 隆, 池 田 春 樹, 須 川 信(1977):妊 娠 末 期 に お け る 腎 血 流 量 の 変 動, 第56回 近 畿 産 科 婦 人 科 学 会 講 演 記 録. 6)Brehm, H. et al., (1955):Der Kreislauf
Wah-rend Schwanger Schaft and Wochenbctt. Archiv. Gynak 185:696,
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