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東京理科大学 Ⅰ 部化学研究部 2016 年度春輪講書 ウリ科植物におけるアルコール分解酵素含有量の比較 2016 年火曜班 Tanaka,M.(2K),Baba,H.(2K),Sato,M.(2K) 1. 背景 酒は百薬の長 という言葉の通り, 少量の飲酒は血液の脂質代謝を改善し, 冠動脈疾患 (

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1 東京理科大学Ⅰ部化学研究部 2016 年度春輪講書

ウリ科植物における

アルコール分解酵素含有量の比較

2016 年火曜班 Tanaka,M.(2K),Baba,H.(2K),Sato,M.(2K) 1. 背景 「酒は百薬の長」という言葉の通り,少量の飲酒は血液の脂質代謝を改善し,冠 動脈疾患(狭心症・心筋梗塞)の危険性を下げるという調査結果がある.しかし日 本人はアルコール分解酵素である ALDH2 が低活性型もしくは非活性型であり,両 者合わせて日本人の半数が生まれつきお酒に弱いか全く飲めない体質であると言わ れているため,アルコールを摂取する際,ともに摂取するとアルコールの分解が促 進される,二日酔いを軽減する食品は需要が高いと言える. ウリ科植物であるキュウリはお酒と共に摂取すると二日酔いが軽減できるといわ れている.その効能は,キュウリ果実に含まれるアルコール分解酵素 ADH,ALDH が体内でアルコールおよびアルデヒドを分解することによって二日酔いの軽減に関 与するものと考えられる.他にアルコール分解酵素を持つことが分かっているウリ 科植物としてヘチマ,ニガウリ,トウガン,シロウリがある1)が,その他のウリ科植 物については分かっていない. よって本実験では様々なウリ科植物を用いて,アルコール分解酵素を抽出し,そ の活性を評価することにした. 2. 目的 各種ウリ科植物に含まれるアルコール分解酵素 ADH,ALDH の発見,抽出,及び 活性の評価をする. 3. 原理 3.1. アルコール分解酵素

ADH は,アルコール代謝の律速酵素である.ADH による反応は,可逆的で,NAD を特異的な酵素として利用し,①式で表せる.

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エタノール代謝により生成したアセトアルデヒドは ALDH によって分解される. ALDH は②式に従い,アセトアルデヒドを酢酸に不可逆的に酸化する.

CH3CHO+H2O+NAD+ → CH3COOH+NADH+H+ ②

このため,一般に ADH 及び ALDH 活性が高いほど,アルコールは効率的に分解 されるため,本実験では ADH 及び ALDH 活性を指標としてアルコール分解効果を 評価する. 3.2. 紫外可視分光光度計(UV-vis) 3.2.1. ランベルト-ベールの法則2) この法則は,紫外可視吸光度測定法,原子吸光光度法,蛍光光度法,赤外吸収 スペクトル測定法,旋光度測定法と,多くの分光分析法にあてはまる重要な法則 である.入射光の強度(I0)と透過光の強度(I)の比を透過度(t)といい,それを%で表 したものを透過率(T)という.吸光度(A)とは,透過度の逆数の常用対数である. 透過度の値が減少すると,吸光度の値は増加する.透過度が 1 のとき,吸光度は 0 であり,透過度が 0.1 のとき吸光度は 1 になる. t=Io/I ③ T= t×100= Io/I×100 ④ A=log Io/I ⑤ ランベルト-ベールの法則は,吸光度は層長の長さに比例するというランベル トの法則と,吸光度は試料の濃度に比例するというベールの法則を合体させたも のである.層長(l)と濃度(c)との積に定数であるモル吸光定数ε,または比吸光度 E を乗じたものが,吸光度(A)になる. A=εcl ⑥ A=Ecl ⑦

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3 3.2.2. 紫外可視吸光度測定法 基本構成は,光源→分光部→試料部→測光部,記録部である.特定波長の光を, 試料中の分子に照射してどのくらい吸収されたかを調べる装置になっている.光 源は通例,紫外線(200~400 nm)を出すためには重水素放電管を使用し,可視光線 (400~800 nm)を出すためにはタングステンランプやハロゲンタングステンラン プを使用する.分光部はプリズムや回折格子が利用されることが多い.簡易的に フィルターを使ったものは光電光度計と呼ばれ,取り出す波長が幅広く精密な測 定には不向きである.試料は通常,1 cm×1 cm の角型の二面が透明の容器に入れ る.また,ガラスは紫外線を通さないため,紫外線での測定の場合,石英製のセ ルを使用しなければならない.測光部で光強度を光電子増倍管で電気強度に変換 して,コンピュータで処理し吸光スペクトルを製作する. 4. 実験 4.1. 試薬 ・エタノール ethanol 分子式:C2H5OH 分子量:46.07 融点:-114.3 ℃ 沸点:78.37 ℃ 引火点:13 ℃ 危険性:引火性 用途:基質 ・NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド) nicotinamide adenine dinucleotide

分子式:C21H27N7O14P2 分子量:663.43 融点:160 ℃ 沸点:無 引火点:不燃性 危険性:無 用途:反応溶液中の補酵素

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4 ・グリシン glycine 分子式:NH2CH2COOH 分量:75.07 融点:232-236 ℃(分解) 沸点:無 引火点:不燃性 危険性:無 用途:溶媒 ・水酸化ナトリウム sodium hydroxide 分子式:NaOH 分子量:40.0 融点:318 ℃ 沸点:1388 ℃ 引火点:不燃性 危険性:腐食性 用途:溶媒 ・ピラゾール pyrazole 分子式:C3H4N2 分子量:68.08 融点:67-70 ℃ 沸点:186-188 ℃ 引火点:不燃性 危険性:無 用途:溶媒 ・EDTA(エチレンジアミン四酢酸)ethylenediaminetetraacetic acid 分子式:C10H16N2O8 分子量:292.24 融点:250 ℃(分解) 沸点:無 引火点:不燃性 危険性:刺激性 用途:溶媒

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・ピロリン酸ナトリウム(二リン酸ナトリウム十水和物) sodium diphosphate decahydrate

組成式:Na4P2O7・10H2O 分子量:446.06 融点:79 ℃ 沸点:94 ℃(分解) 引火点:不燃性 危険性:有害(経口),皮膚刺激 用途:溶媒 ・アセトアルデヒド acetaldehyde 分子式:C2H4O 分子量:44.05 融点:-123 ℃ 沸点:20.2 ℃ 引火点:-38 ℃ 危険性:引火性,発がん性,有害(経口,経皮,蒸気吸入) 用途:基質 ・塩酸 hydrochloric acid 化学式:HCl 分子量:36.46 沸点:100 ℃ 危険性:金属腐食性,皮膚腐食性/刺激性,目に対する重篤な損傷性,呼吸器 感作性,特定標的臓器毒性(単回暴露),特定標的臓器毒性(反復暴露), 水生環境有毒性(急性) 用途:酵素の酸耐性評価のため ・各種ウリ科植物 キュウリ,カボチャ,メロン,スイカ 以上 4 種に加え,経過を観察しながら他のウリ科植物についても実施予定. 4.2. 器具 ホームミキサー,ビーカー,遠心分離機,減圧濾過装置,濾紙,コニカルビーカ ー,ホールピペット,マイクロピペッター,ヨーグルトメーカー(恒温槽として用 いる),俎板,包丁

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6 4.3. 実験操作 4.3.1. 試料野菜のサンプリング方法4) 異なるスーパーマーケット及び青果専門店等を複数選択し,可能な範囲で産地 や品種の異なる試料を作製する.試料 1 点につき,同一日時,店舗,産地のもの を複数購入する.なお,同一種類の野菜でも時期により品質が変化し得ると考え られるため,数回の試料の採取,作製を予定している. 4.3.2. ADH 活性測定 (1)各種ウリ科植物の果実を予め冷却し,重量の 2 倍量の冷水を加えてミキサーで 1 分間粉砕し,遠心分離を行う.上清を減圧濾過して得られた濾液をウリ科植物 果実エキスとする. (2)粗酵素溶液 0.1 cm3および基質以外の反応溶液(終濃度で 2.4 cm3 NAD を含む 0.1 mol dm-3グリシン-NaOH 緩衝液,pH10)1.8 cm3を混和し,25 ℃で 3 分間プ レインキュベートする. (3)基質となるエタノール溶液(660 mmol dm-3)を 0.1 cm3 (終濃度で 33 mmol dm-3) を加えて直ちに温和(25 ℃)し,分光光度計を用いて 340 nm の吸光度を測定 し,生成された NADH を定量する. 4.3.3. ALDH 活性測定 (1)各種ウリ科植物の果実を予め冷却し,重量の 2 倍量の冷水を加えてミキサーで (1 分間)粉砕し,遠心分離を行う.上清を減圧濾過して得られた濾液をウリ科 植物果実エキスとする. (2)粗酵素溶液 0.1 cm3および基質以外の反応溶液(終濃度で 4 cm3 NAD,0.1mmol

dm-3ピラゾール及び 1 mmol dm-3 EDTA を含む 32 mmol dm-3ピロリン酸ナト

リウム緩衝液,pH8)0.8 cm3を混和し,37 ℃で 3 分間プレインキュベートす る. (3)基質となるアルデヒド溶液(80 mmol dm-3)を 0.05 cm3(終濃度で 4 mmol dm-3) を加えて直ちに温和(37 ℃)し,分光光度計を用いて 340 nm の吸光度を測定 し,生成された NADH を定量する. 4.3.4. 酸耐性評価 (1)1 mol dm-3塩酸を pH3.2 に調製後,濾過滅菌したものを用いる. (2)1 mol dm-3塩酸 9 cm3に 10 %ウリ科植物果実エキス 1 cm3を添加し,37 ℃で 20 分及び 60 分間温置し,酸処理溶液とする. (3)未処理のウリ科植物果実エキスに対する酸処理溶液の残存活性により,酸耐性を 評価する.

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7 5. 展望 参考文献で用いられているヘチマ,ニガウリなどに比べ,スイカ,メロンなどの他 のウリ科植物の ADH および ALDH 活性は低いと思われる. 酵素の活性実験が成功した場合,酸耐性についても評価をしていきたい. 参考文献 1) http://okinawa-repo.lib.u-ryukyu.ac.jp/handle/okinawa/14210,沖縄県産ウリ科 植物に含まれるアルコール及びアルデヒド分解酵素を利用した健康食品の開 発 http://okinawa-repo.lib.u-ryukyu.ac.jp/bitstream/okinawa/14210/1/Vol21No1p17.pdf 2016.2.26 取得 2)金子希代子,川原正博,神崎愷,小林茂樹,定金豊,馬渡健一,中込和哉,秋 澤俊史,『分析化学Ⅱ 機器分析編』,朝倉書店,2008,p112-116 3)中田宗隆,『なっとくする機器分析』,講談社,2007,p117-127 4)農林水産省,調理食品中のアクリルアミド含有実態調査で採用したサンプリン グ方法 http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/acryl_amide/a_syosai/nousui/ganyu/sa mpling.html 2016.4.12 取得 謝辞 春輪講にあたり,多くの意見をくださった先輩方,ご協力いただく東京理科大学 理学部第一部 応用化学科 鳥越研究室の皆さま,東京理科大学 理学部第一部 教養 学科 武村研究室の深谷先輩に御礼申し上げます.

参照

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