発行 小林製薬株式会社 広報部 本社 〒541-0045 大阪府大阪市中央区道修町4-4-10 KDX小林道修町ビル TEL 06-6222-0142 FAX 06-6222-4261 東京 〒104-0032 東京都中央区八丁堀4-5-8 KDX八丁堀ビル6F TEL 03-5541-8016 FAX 03-3555-3380
特
集
現地法人と日本の連携で世界の新習慣を創る
─成長戦略の柱「海外事業」の取り組み─
》
6
ヶ国
2
地域の現地法人
を起点に
世界
20
ヶ国
に製品を供給
》 日本で培った
小林製薬流
マーケティング
を海外へ展開
》 中国・北米のカイロ市場で
シェア
No.1
を獲得
成長戦略の重要な柱
─ 海外事業とそのビジョン
1970年代から始まった海外展開の歴史 小林製薬の海外事業の歴史は1970年頃、当時ア メリカ領だった沖縄へ「アンメルツ」などの製品を輸 出したことから始まります。以降、エリアの拡大、事 業基盤の整備を進め、さまざまな製品を世界にお届け してきました。 2012年現在では、北米やヨーロッパ、中国、東 南アジアなど6ヶ国2地域に現地法人を設置。2ヶ国 に生産拠点を持ち、20ヶ国で製品の販売を行ってい ます。(P5 参考資料参照) 大きな飛躍を目指す海外事業の中期計画 徐々に拡大してきた海外事業の業績は、2010年 度に初の黒字化を達成しました。さらに、次の成長の 柱と位置づけ、2014年度に200億円の売上目標 を掲げる中期事業計画を推進しています。その第一歩 として、2012年度は前年比倍の広告費を投下し、 120億円の売上を目指します。 6つの注力分野 「グローバル6」 の選定 既存製品140ブランドの中から選定した、6カテゴ リーをグローバルブランドとして重点的に育成します。 「個人にとっての必需品であり、かつ機能的価値があ る製品」へのニーズはどの国にもあると考えており、 具体的には「Heat,Cool,Wipe,Oral,Scent,Medicine」 の6カテゴリーで世界の新習慣を創造してまいります。“KOBAYASHI” マーケティング ウェイで
世界に挑む
世界各地の潜在ニーズに応える製品で 200億円の市場を目指す 2014年度の売上目標200億円を達成するため には、現地のニーズに合った製品をいかに上市してい くかにかかっています。舞台が海外に変わっても、こ の小林製薬のマーケティングは変わりません。 「熱さまシート」や「サワデー」などで日本の新市場 を創造してきた小林製薬独自の手法を海外でも実践し、 世界中の“あったらいいな”に応えることが海外戦略 の要です。 海外での成功要因は 現地法人と日本の綿密な連携 海外事業において、重要エリアとしているのが中 国・東南アジアです。中でも、韓国・台湾で「カイ ロ」、香港で「アンメルツ」と「熱さまシート」が大 きくシェアを伸ばしています。その成功要因は、現地 法人と日本が綿密な連携を取り、現地で小林製薬の マーケティングウエイを取り入れ、戦略・施策を徹底 して実践していること。日本と現地法人、それぞれの 役割を明確にし、責任の所在を明らかにすることでよ り強い連携と効率化が図れるようになりました。まず、 現地法人では地域に密着したフィールド・マーケティン グで国や地域で異なる生活習慣・文化をリサーチし生 活者の潜在ニーズを探り、それを基に日本ではマーケ ティング戦略を練り、広告・メディアプランを作成し、 現地の営業がそれらを店頭で活かします。この綿密な 連携が小林製薬の海外事業の強みとなっています。 ■グローバル新製品開発の方向性 ■海外事業 売上推移45
62
65
65
78
81
200
0 50 100 150 200 250 06年度 07年度 08年度 09年度 10年度 11年度 14年度 (億円) 売上目標2012.6.27 【熱さまシート】 「おでこを冷やす」 新たな習慣 雨季と乾季の極端な季節変化で子どもを中心に体調 を崩す人が多く出る東南アジアでは、発熱時の対策は 必要不可欠なニーズでした。しかし「解熱鎮痛剤で熱 を下げる」ことが広く浸透した地域で、おでこを冷や す習慣は一般的ではありませんでした。テレビCMで “発熱時におでこを冷やす”という新習慣を徹底して 啓蒙。更に、現地に合わせた分かりやすいネーミン グ・パッケージを展開。その結果、マレーシア、イン ドネシア、タイなどを中心に売上が拡大し、現在では 額を冷やす新たな習慣として根付き始めています。
■事例-1: 東南アジア
多様な民族・言語・生活習慣に
更なる市場拡大のチャンスあり
東南アジアの拠点は、シンガポール・マレーシア・ タイ・インドネシア・香港・台湾の6ヶ所です。東南 アジアには、1つの国で複数の民族が暮らし、言語や 生活習慣が異なる場合も少なくありません。それだけ にきめ細やかなマーケティングが必要であり、また、 だからこそ未充足ニーズが多く存在すると考えます。 【アンメルツ】 痛み解消に医薬品の力を! 東南アジアでは、体の痛みを和らげる際、天然オイ ルを使用する民間療法が一般的で、医薬品の外用鎮痛 剤はあまり普及していませんでした。そこで「アンメ ルツ」がどんな症状に効果がある医薬品なのかや塗り やすい形状を、広告や店頭で積極的に訴求しました。 現在では、“痛みは医薬品のアンメルツで”といった 新習慣が根付き、タイ・インドネシアなどを中心に、 広く普及しています。各地の成功事例
台湾の熱さまシート 「小林退熱貼」 イラスト+一部日本語表記を残した表現に。 タイの熱さまシート 「KOOL FEVER」 イラストではなく、人物写真を使用して効果感を表現。 国・地域ごとの文化や生活習慣に対応 したパッケージやサブタイトル シンガポール タイ マレーシア 分かりやすいパッケージで何に効く医薬品なのかを訴求 2 シンガポールの店頭 2012.6.29 クール フィーバー シウラム トイイッティップ2012.6.27 3
■事例-2: 中国
沿岸地域から内陸地域へ拡大
消費市場として、生産拠点として、さらに重視
これまで中国では、高所得で生活文化への関心が強 い層が多く、流通などのインフラが整っている沿岸地 域を中心に展開してきました。しかし近年、内陸地域 の経済発展が著しく、需要が拡大しています。弊社が 現地で実施したカイロに関する調査によると、沿岸地 域に加え、内陸地域においても潜在的な購買層がいる ことが分かりました。現在売上10億円弱規模の「カ イロ」は、将来70億円程度までも拡大する可能性が あるという調査結果がでており、内陸部へも積極的に 拡販をしています。 消費市場としての期待に加え、生産拠点としても中 国はアジアのハブとなっており、上海工場に次いだ新 工場が安徽省で稼働の予定です(2013年9月)。 新工場では「カイロ」「冷却シート」「芳香消臭剤」 などを生産し、中国、東南アジアの事業拡大に向けて 生産体制を強化していきます。 【カイロ】 いち早い市場参入で No.1シェア獲得 比較的寒冷な地域の多い中国ですが、これまでカイ ロを防寒用として持つという習慣がありませんでした。 そこで「寒い時に暖かさを携帯する」という分かりや すい訴求を積極的に行い、いち早く市場に参入するこ とで中国のカイロ市場を創りました。テレビCMでは 有名タレントを起用し、店頭での大量陳列などのプロ モーションを行った結果、中国での製品名『暖宝宝』 の上海での認知率は90%を超え、多くの人に愛用さ れるようになりました(弊社調べ) 【芳香消臭剤】 経済成長で“香り”意識が向上 芳香剤を使う習慣がなかった中国ですが、近年の経 済成長・都市化で住居環境や暮らし方が大きく変わり、 “香り”に対する意識が高まっています。その変化を 捉え「消臭元」(現地名:香居減)を発売。好調に売 上を伸ばしています。さらに、多様な消臭ニーズに応 えるため、炭を使った新製品も投入。炭で消臭すると いう新習慣を提案しています。 【熱さまシート】 医療用具の認可取得で、 発熱時の対策定着を目指す 中国では体を冷やすことを一般的に嫌う傾向があり、 発熱時には解熱鎮痛剤を使用し、おでこを冷やすとい う対処方法は、日本ほど一般的ではありませんでした。 そこで、おでこを冷やして熱を下げることは薬の副作 用を心配することのない安全な解熱方法であることを 啓蒙してきました。 中国では、熱さまシートを医療用具として登録して おり、“発熱時におでこを冷やして対策する”という 新習慣の定着を目指しています。 中国の有名タレントを 起用したTVCM 店頭での プロモーションも 積極的に展開 右)中国で販売している「香居減」(消臭元)。現地に即したネーミング やパッケージで、“消臭をしながら香りを楽しむ”新習慣を提案。 左)中国の芳香消臭剤陳列棚 2012.6.29 シャンジュユエン シャンジュユエン 中国の熱さまシート「冰宝贴」 ビンバオティエ ヌァンバオバオ2012.6.27