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中国北部都市における住民の観光意識の調査 利用統計を見る

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tourism of cities in northern China

著者

張 長平

著者別名

Changping ZHANG

journal or

publication title

Journal of regional development studies

number

10

page range

35-46

year

2007-03

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00003714/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

(2)

中国北部都市における住民の観光意識の調査

長 平

1.はじめに

現代社会において、産業経済の高度成長に伴って大都市へ人口が集中し、都市人口や住宅の 布、 土地利用のアンバランスが生じ、都市地域の純自然地域は次第に縮小し、居住環境が悪化し、都市 住民が自然との接触を求めようとする傾向が強くなり、自然に恵まれた地域や外国への観光が盛ん に行われている。 その一方、都市はそれぞれに多種多様な機能を有し、観光機能がその 1つである。従来の外来観 光客目あての都市観光開発は一時的繁栄に終って、経営上永続に乏しいものが出ている。しかし、 都市住民のための観光開発は、住民参画によって地域の環境整備、観光休養地区の整備、住民の保 と福祉の促進、教養観光の充実が中心的事業となって、きれいで住みやすい都市ができるのであ る。そのために、まず、住民は自 の住んでいる街を観光という視点からどう評価するか、観光関 連のハードとソフト整備の必要性をどの程度認識するかについて、アンケート調査を通じて把握す る必要がある。 アンケート調査とは、事前に質問文を用意し、その質問に対する答え方を通じて回答者の意見や 感覚をとろうとするデータ収集方法である。今回のアンケート調査は、環日本海の 5カ国、日本・ 韓国・中国・モンゴル・ロシアの都市部を調査対象としてその観光現状を把握するため、実施され たものである 。中国においては、北部 4つの主要都市に住んでいる1,429人(天津410人、瀋陽336人、 長春343人、ハルビン340人)の住民を無作為に抽出し、調査員が個別訪問を行い、アンケートへの 質問紙を回収した。本稿は、これらのアンケート調査データに基づいて、まず、住民が自 の住ん でいる街の観光に関する人的と物質的サービスの評価を 析し、観光促進対策の必要性を明らかに する。次に、都市の必要な観光促進対策の因子構造を構築して、性別、年齢、職業、学歴、収入に 対する調査対象者の因子得点の平 値を算出し、それによって各階層の住民が最も求められる地元 の観光促進対策を確認することを試みる。

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2.調査対象の地域と個人属性

1)調査対象地域 天津、瀋陽、長春、ハルビン 4都市は中国北部に位置し、天津は渤海湾に面する中国直轄都市の 1つ 、瀋陽、長春、ハルビン市はそれぞれ中国東北地域の 寧省、吉林省、黒龍江省の省都であり、 各省の主要観光地でもある。2000年現在、都市の人口が100万以上を有し、中国都市の上位15以内に 入る特大都市である 。表 1に示されるように、国際観光収入、外国人旅行者数、ホテル数は共に天 津、瀋陽、ハルピン、長春の順に低下し、国際観光収入増加率は瀋陽(4.6%)を除いて年間10%以 上の速度で増加している。つまり、国際観光実績において、天津市が 4都市の中のトップであるこ とは観光インフラ整備が最も進んでいることが かる。一方、東北地域の 3省都、特にハルピン、 長春には近年多くのロシア・韓国の観光客やビジネスマンが訪れて観光業が速く発展してきている ことと えられる。 表1 環境に関係する都市基本状況(2000年現在) 天津市 瀋 陽 長 春 ハルビン 面積(km ) 386 217 159 168 人口(万人) 682 485 293 303 GDP(億元) 1,393 938 618 549 国際観光収入(百万ドル) 23,176 10,014 2,262 5,772 国際観光収入増加率(%) 10.9 4.6 13.5 29.9 外国人旅行者数(人) 356,203 172,766 55,734 155,083 ホテル数 121 107 54 72 出典:『中国都市統計年鑑2001』、『中国旅遊統計年鑑2001』による 2)調査対象者の個人属性 本調査では、調査対象個人に対する性別、年齢、職業、学歴、収入の 5つの属性を設定した。調 査結果は以下の通りである。 ① 性別 調査対象者の比率を性別でみると、男性は52.6%、女性は47.4%で、男性のほうが女性よりやや多 い。さらに、年齢階層別に けてみると、30歳以下では、女性の比率は50.5%で、男女の比率はほぼ 同じであるに対して、40歳以上では、男性の比率は58.7%と女性より多い。また、収入別をみると、 低所得の男性の比率は、月収2,000元以下で50.2%、月収3,000元以下で48.8%となり、男女間の大差 が大きく見られない。 ② 年齢 調査対象者の年齢 布をみると、30歳代以下が53.6%、31∼50歳代は39.2%、50歳以上7.2%であっ た。

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③ 職業 調査対象者のうち、最も多い職業は、学生20.2%であり、続いて国営企業従業員19.5%、 務員 14.7%、民間企業従業員10.8%、その他10%、医師・教師・軍人8.7%、会社経営者8.3%、外資系企 業従業員6.9%、農業従事者0.8%の順になった。 ④ 学歴 4年制大学生が42.4%と最も多く、短期大学・専門学 と大学院はそれぞれ23.7%と10%であった。 今回の調査は大学関係者を通じて実施したので、調査対象者が短期大学以上の学歴をもつ、比較的 高学歴者に偏ったことが かる。 ⑤ 収入 月収3,000元以下の調査対象者の比率66.5%に対して、月収10,000元以上の比率はわずか2.8%だけ で、高所得者がきわめて少ないことが かる。また、月収5,000元以上の男性の比率6.8%に対して、 女性は4.1%と男性より少ない。年齢別では、30歳代以下の調査対象者では、月収2,000元以下の低所 得者の比率が最も高く、43.4%で、30歳代以上の調査対象者では、月収3,000元以上の比率が42.4%で あった。

3.アンケート調査に基づく都市観光の評価

経済の発展につれ、人々が豊かになり、衣食住など日常生活に満足した後、より豊かな精神生活 を求める観光(ツーリズム、tourism)活動を行う。ツーリズム、特に国際ツーリズムは国境を越え、 グローバリゼーション現象の一つとして地球規模で盛んに行われており、自然が豊かで、文化遺産 が多く、食べ物が美味しく、いいサービスを提供できる国や地域に多くの観光客が訪れている。近 年、中国の都市住民は国内と国外へ旅行に出かけ、とくに欧米などの観光先進国に行って、その国 の観光サービスを受けた結果、自 の街の観光サービスと比べ、その差が かるようになっている。 本調査では、中国北部の 4都市の住民が観光という視点から自 の住んでいる街を評価することを 行った。調査質問 1(付録)に示されるように、都市の観光評価に関するアンケート質問は 5段階評 価項目( 1∼ 9 )と自由回答形式(10)が採用される。 1)評価方法と手順 都市の観光評価に都市 通や観光施設、食べ物など物質的なサービスが大きく寄与していること はいうまでもないが、人的なサービスや観光情報提供、住民の外来者に対する親切さなどのソフト パワーも大きく起因していると えられる。そこで、本研究では、アンケート資料を基に中国北部 の 4主要都市の住民が自 の街の観光事業を 合的にどう評価するか、そして、人的なサービスと 物質的サービスに けて系別的にどう評価するかを明らかにするために、主成 析(principal component analysis)を用いて研究を進める。 主成 析では、まず、各調査対象者を「行」、質問項目を「列」とするデータマトリクスを作成

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し、質問項目( 1∼ 9 )を 9 個の変量と えたとき、各変数の標準化(平 値=0、標準差=1)を 行う。次いで標準化後のデータマトリクスの主成 析を行い、主成 負荷量マトリクス、主成 得点マトリクスを算出する 。最後に、調査対象者の属性別主成 得点を計算し、その解釈を行う。 ここで、中国北部の 4主要都市に住んでいる1,429人の調査対象者と 9 つの変数(質問項目)から なる1,429行 9 列のアンケートデータ・マトリクスの主成 析である。 析の結果、固有値1.0以上 の固有ベクトルに対応する主成 として 2成 が抽出され、その 2主成 による説明量は、9 変数の もたらした全変動の47.46%に達する(表 2)。図 1は各主成 負荷量を大きい順に並べ替えて表示し ている。 表2 主成 負荷量マトリクス 項 目 主 成 1 2 1 (観光産業で働く人の)人的なサービスがよい 0.308 0.564 2 観光情報の無料提供があるなど観光情報を積極的に提供していてよい 0.436 0.605 3 観光施設や観光場所にガイド案内や説明看板などがあり かりやすい 0.445 0.527 4 商店やレストランなどの料金が安い 0.545 0.221 5 通の がよい 0.610 −0.218 6 地域住民が外来者に対して親切である 0.707 −0.193 7 観光する場所がたくさんある 0.683 −0.197 8 食べ物がおいしい 0.712 −0.268 9 観光土産品が多い 0.564 −0.351 固有値 2.94 1.33 寄与率(%) 32.70 14.76 累積寄与率(%) 32.70 47.46 図1 固有ベクトル 布

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第 1主成 は全変動の32.70%を説明し、主成 負荷量はいずれも0.3以上の正値であり、食べ物、 住民の親切さ、観光施設、 通 、観光土産、物価、ガイド案内、観光情報の提供、人的なサービ スの各変数と高い順相関の関係をもつ。この相関関係から、第 1主成 は物質的なサービスと人的 なサービスを通じて 合的な観光評価を表していると解釈される。 第 2主成 は全変動の14.76%を説明し、主成 負荷量は観光情報の提供、人的なサービス、ガイ ド案内で正の大きい値をとり、観光土産、食べ物、 通 で負の大きい値をとるようになる。これ より、第 2主成 は観光に関する人的なサービスと物質的なサービスの違いを表すものと解釈され る。 2)主成 得点評価 調査対象者の属性別の主成 平 得点が計算され、第 1∼ 2主成 平 得点 布が表 3に表され ている。表 3を見てみると、まず、第 1∼ 2主成 平 得点には男女の大差がともに見られない。 正の最も高い第 1主成 平 得点を示す者は、70歳以上の高齢者であり、彼(彼女)らは街に長く 住んできて、自 の故郷である都市を愛し、観光事業をも 合的に高く評価することが理解できる。 負の高い第 1主成 平 得点を示す者は、年齢でみると40歳代で、月収でみると10,000元以上の高所 得者である。この年齢とこの所得層の人は、旅行やビジネスで海外に出かける機会が多く、観光の 先進国の現状をよく知り、自 の街の観光に対して多少不満をもち 合的に低く評価することが かる。その一方、第 2主成 平 得点については、低い絶対値を示す者は、年齢が30歳以下、月収 が5,001∼10,000元の人である。つまり、30歳以下の比較的高所得者は都市の観光事業に対して物質 的なサービスと人的なサービスを区別して低く評価することを物語っている。 表3 調査対象者の属性別主成 平 得点 主 成 1 2 性 別 男性 −0.0098 0.0038 女性 0.0108 −0.0042 年 齢 20歳代以下 0.0502 −0.0275 21歳-30歳 0.0341 0.0181 31歳-40歳 0.0156 −0.0979 41歳-50歳 −0.1426 0.1224 51歳-69歳 −0.0953 0.0434 70歳以上 0.2411 0.0093 月 収 2,000元未満 −0.0005 −0.0692 2,001-3,000元 0.0134 0.0197 3,001-5,000元 −0.0213 0.0422 5,001-10,000元 0.1235 0.0156 10,000元以上 −0.3169 0.2225

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4.アンケート調査に基づく都市観光促進対策の 析

都市の観光レクリエーション施設は、都市住民によって利用されるウェイトが高く、地域外から の観光レクリエーション客と共用されるところに大きな特色があるから、都市観光事業を促進する ために、その対策がどの程度必要かをまず住民に問い合わせなければならない。 調査質問 2(付録)では、観光促進の必要な対策に関するアンケート質問は調査質問 1と同じく 5 段階評価項目( 1∼ 9 )と自由回答形式(10)が採用される。本研究では、この質問 1∼ 9 の回答 結果を用いて中国北部 4都市における観光促進対策の 析を進めていく。 1)観光促進対策の因子構造 因子 析法は、心理学の 野で開発された方法として20世紀はじめころから C.スピアマンをはじ めとする先達のすぐれた 意によって育てられてきた。因子 析の特徴は、多数の変数間相互の依 存関係を明らかにすること、多数の変数を少数の“因子”に束ねることによって変数の重複を避け、 科学的簡潔性を得ること、さらにまた、入力変数がいかなる基本構造を有するかを究明することに ある(Spence and Taylor,1970;田中・脇本,1983)。因子 析には種々の因子抽出法があるが、 本研究では、最も一般的な主因子 析法(principal factor analysis)を用いた。因子 析用のデータ は調査質問 3での 9 つの観光促進対策( 1∼ 9 )を変数とする。因子 析では、まず 9 つの変数を 基にして 9 × 9 の相関行列をつくり、主因子法によって主要因子を抽出し、解釈可能な因子につい てバリマックス(varimax)回転を行う。これにより新たな因子の負荷量を得る。次に、回帰法を用 いて1429人のアンケート対象者の各因子に対する因子得点を算出する。 表4 必要な対策項目と因子負荷量行列 項 目 因 子 1 2 3 1 ホテルなどの宿泊施設をつくる 0.728 2 博物館などの文化施設をつくる 0.766 3 テーマパークなどの娯楽施設をつくる 0.701 4 観光専門教育を行う教育機関をつくる 0.845 5 観光サービスを向上させる 0.414 6 観光業に携わる人材を育成する 0.717 7 観光宣伝を行う 0.695 8 観光地を整備し,保全する 0.665 9 街のセキュリティ面での安全性を高める 0.783 説明量 32.4 13.1 11.9 累積説明量 32.4 45.5 57.4 因子 析を援用して観光促進対策を解析する場合、因子の選択とその解釈は非常に重要である。 多くの研究は固有値1.0以上を取り上げている。ここでは、固有値1.0以上の因子が 3個ある。それら の因子は、表 4のとおりであり、正の因子負荷量が0.4以上の変数に基づいて全変動の57.4%を説明

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する。 全変動の32.4%を説明する第 1因子は、街のセキュリティ面での安全性強化(0.783)をはじめ、 観光宣伝(0.695)や観光サービスの向上(0.414)という観光地のソフト整備、観光地の整備・保全 (0.665)というハード整備が比較的大きい負荷量をもつ。それらをみると、第 1因子は観光関連の ハード・ソフト整備に関連するものである。つまり、観光を促進するためには、まず、街のセキュ リティ面での安全性を高め、観光サービス向上を図ると同時に、都市の観光名所・旧跡などを宣伝 する必要があり、観光地のまちづくりも欠かせないことが認められる。 第 2因子は全変動の13.1%を説明する。第 2因子に高い負荷量をもつ変数は、博物館などの文化施 設(0.766)、ホテルなどの宿泊施設(0.728)、テーマパークなどの娯楽施設(0.701)を充実する対策 である。したがって、第 2因子は観光関連の施設整備に関わる因子といえる。瀋陽、長春、ハルビ ン市が東北地域に位置し、東部 海の他の地域に比べて経済が比較的に立ち遅れている。中央政府 の東北地方再開発プロジェクトに対して地元住民が観光関連の施設整備を強く求めることが か る。 第 3因子は全変動の11.9%を説明し、主に観光教育と人材育成に密接に関係している。高い負荷量 をもつ変数は、観光専門教育を行う教育機関をつくる(0.845)と観光業に携わる人材を育成する (0.717)ことである。 2)因子得点 析 表 5は調査対象者属性と属性別因子得点の平 値を一覧表にしたものである。 表5 調査対象者属性別因子得点の平 値 因 子 1 2 3 性 別 1 男性 −0.0236 0.0149 0.0052 2 女性 0.0261 −0.0165 −0.0058 年 齢 1 20歳未満 0.0298 0.2515 −0.1577 2 21歳-30歳 0.0407 −0.0468 −0.0558 3 31歳-40歳 −0.0224 −0.0179 −0.0346 4 41歳-50歳 −0.0782 0.0484 0.2125 5 51歳-69歳 −0.0662 0.0834 0.2401 6 70歳以上 −0.1638 0.3222 0.2537 月 収 1 2000元未満 0.0291 0.0916 −0.0617 2 2001-3000元 0.0421 −0.0413 −0.0442 3 3001-5000元 −0.0688 −0.0130 0.0913 4 5001-10000元 0.0147 −0.1801 0.2245 5 10000元以上 −0.3353 −0.0746 −0.1362 表 5に示されるように、まず、因子の得点平 値を性別でみると、男性が正の因子 2と因子 3の 得点平 値を持ち、女性は正の因子 1の得点平 値を持っている。年齢でみると、正の因子 1の得 点平 値を示した者は30歳以下の若い者であり、因子 2のそれは20歳未満と40歳代以上の者であり、

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因子 3のそれは40歳以上の者である。収入によっては、3,000元以下の所得者が正の高い因子 1の得 点平 値を、2,000元未満の低所得者が正の因子 2の得点平 値を、3,000∼10,000元の比較的高所得 者が正の因子 3の得点平 値をそれぞれ示している。要するに、比較的低所得(3,000元以下)の若 い女性(30歳以下)は正の因子 1の得点平 値を持ち、観光宣伝や観光サービスの向上、観光地の 安全性を求めると同時に観光地のインフラ整備も重視している。しかし、低所得(2,000元未満)の 若い男性(20歳)と中年男性(40歳以上)は正の因子 2の得点平 値を持つため、ホテルや博物館、 テーマパークなど観光関連の施設整備を求めている。比較的高所得(3,000∼10,000元)の40歳以上 の男性は正の因子 3の得点平 値を持ち、観光教育と人材育成を最も重視し、観光関連のハード整 備より教育や人材育成などのソフト充実を望んでいる。その一方、10,000元以上の高所得者はすべて 負の因子の得点平 値を持ち、彼ら(彼女ら)は少人数で、旅行の際にはほとんど高級ホテルに泊 まり、世界の有名な旅行施設やリゾット地をよく利用し、地元の観光促進対策についてあまり関心 を持っていないことが かる。

5.おわりに

近年、中国は海外からの旅行者の受け入れ地の開放を進めてきたし、いま大連、青島、海南島で リゾット整備を進めている。このように中国はアジア最大の旅行目的地となっていく一方、13億の 国民が海外へ動き出すアジア最大の送り出し国にもなるだろう。本研究では、中国北部の 4主要都 市に実施された観光現状アンケート調査データを 析した結果、住民は地元の観光事業と観光促進 策に対して、その年齢、収入の差異によって評価が大きく異なることを明らかにした。すなわち、 70歳以上の高齢者は自 の住んでいる街の観光事業を高く評価することに対して、高所得の住民は 地元の観光事業をより低く評価する。その一方、都市の観光を促進するためのインフラ整備方策に 関しては、低所得の住民は観光施設などのハードインフラ整備を重視することに対して、女性と高 所得の中年男性はソフト・インフラの充実に関心を持っていることが かった。 今回のアンケート調査は、11の質問を設定して北東アジア 5カ国で同時に実施したもので、大量 の調査データが蓄積されている。本研究は、ごく一部のデータを活用してアンケートデータ 析を 試みた。他の 析法を用いれば、残る大量の調査データからまだたくさん貴重な情報を掘り出すこ とができると えられる。今後も、このような研究をさらに進めたいと思う。 注 1) このアンケート調査は平成16∼18年度科学研究費補助金(課題番号:16330106)研究の一環として研究グルー プメンバーによって平成17年から平成18年に実施された。アンケート調査の質問用紙には、観光に関する11問 と調査対象者の属性に関する 5問が含まれている。本研究では、その中の問 1と問 2(付録の調査質問 1、2を 参照したい)と調査対象者属性のデータを利用する。 2) 他の直轄市は、北京、上海、重慶である。

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3) 中国の都市は人口規模によって特大都市、大都市、中規模都市、小都市の 4ランクに区 される。すなわち、 特大都市(100万人以上)、大都市(50∼100万人)、中規模都市(20∼50万人)、小都市(20万人以下)(国家統 計局都市社会経済調査チーム,2002;周文 ・寧豊,2001)。 4 ) 主成 負荷量マトリクスは、主成 析によって抽出される主成 と変数との相関マトリクスであり、主成 得点マトリクスは主成 における調査対象者の値を要素とするマトリクスである。また、主成 負荷量マト リクスについては、成 解釈を容易にするために、一般にバリマックス法による直 回転が施される。 文 献 上田尚一(2003):『情報をよむ統計学 8 主成 析』朝倉書店。 内田 治(1997):『SPSSによるアンケート調査・集計・解析』東京図書。 高寺圭一郎(2006):『国際観光論』古今書院。 国家統計局都市社会経済調査 隊(2002):『中国城市統計年鑑 2001』中国統計出版社。 芝 祐順(1979):『因子 析法』東京大学出版会。 周 文 ・寧 豊(2001):『城市社区 設概論』中国社会出版社。 田中 豊・脇本和昌(1983):『多変量統計解析法』現代数学社。 中華人民共和国旅遊局(2001):『中国旅行統計年鑑 2001』中国旅遊出版社。 本達也(1993):『国際観光入門』高文堂出版社。 溝尾良隆(2003):『観光学―基礎と実践』古今書院。

Spence, N. A. and Taylor, P. J. (1970): Quantitative methods in regional. taxonomy. in Board, C. et al. (eds. ): Progress in Geography, 2, Edward Arnold, 1-64.

付 録 調査質問 1 あなたが現在住んでいる街を、「観光」という視点から評価すると、下表に書かれている評価につい て、どの程度そうだと思いますか。各項目について該当だと思う回答欄に○をつけてください。但 し、その他の場合は、あなたが必要だと える対策を具体的にお書きください。 必 要 な 対 策 全 然 必 要 で は な い あ ま り 必 要 で は な い ど ち ら と も い え な い 必 要 最 も 必 要 1 2 3 4 5 1 (観光産業で働く人の)人的なサービスがよい 2 観光情報の無料提供があるなど観光情報を積極的に提供していてよい 3 観光施設や観光場所にガイド案内や説明看板などがあり かりやすい 4 商店やレストランなどの料金が安い 5 通の がよい 6 地域住民が外来者に対して親切である 7 観光する場所がたくさんある 8 食べ物がおいしい 9 観光土産品が多い 10 その他(記述)

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調査質問 2 あなたが現在住んでいる街への観光を促進するためには、必要な政策として、下表に書かれている 対策について、どの程度必要だと思いますか。各項目について該当だと思う解答欄に○をつけてく ださい。ただし、その他の場合は、あなたが必要と える対策を具体的にお書きください。 必 要 な 対 策 全 然 必 要 で は な い あ ま り 必 要 で は な い ど ち ら と も い え な い 必 要 最 も 必 要 1 2 3 4 5 1 ホテルなどの宿泊施設をつくる 2 博物館などの文化施設をつくる 3 テーマパークなどの娯楽施設をつくる 4 観光専門教育を行う教育機関をつくる 5 観光サービスを向上させる 6 観光業に携わる人材を育成する 7 観光宣伝を行う 8 観光地を整備し,保全する 9 街のセキュリティ面での安全性を高める 10 その他(記述)

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Research on Inhabitants Perspective about Tourism

of Cities in Northern China

Changping ZHANG

Abstract

In resent years, the inhabitants perspective, infrastructure planning and town

image improvement are significantly emphasized to promote the tourism business of

city. In this study,we performed a questionnaire survey for 4 mega cities with the

population of over 1,000,000 in northern China. The number of interview objects

is 1,429 in which male is 52.6%, female 47.4% and the most persons are below 30

years old, education lever of over junior college, with monthly income of below

3,000 RMB.

The principal component analysis and factor analysis, which reduces a wide

array of descriptive measures of objects to a series of fundamental components or

factors,are used to extract perspective dimensions. The input variables for

princi-pal component analysis comprise nine items of evaluating tourism conditions: 1)

human service, 2) tourism information, 3) travel guidance, 4) prices, 5) traffic

service,6)kindness of inhabitants,7)tourist facilities,8)food,9)souvenir,and tow

major components are extracted. Component 1 is identified as general status of

tourism conditions and component 2 is interpreted as human service and substance

service.

From the comparison of averages of components score,the following facts are

recognized as the changes of age and income level of interview objects. The elderly

inhabitants of over 70 year old are highly evaluating the tourism condition of city,

since they have been living here for long time and warmly love their own town.

However,inhabitants of high income level judge it to be lower,since they have a lot

of chance to go to overseas and receive advanced tourist service in developed

countries.

The input variables for factor analysis are nine measures for promoting tourism

business: 1) tourist facilities, 2) cultural facilities, 3) entertainment facilities, 4)

tourism school, 5) tourist service, 6) talent resources, 7) advertising campaign, 8)

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infrastructure, 9) public safety, and three factors are extracted. They separately

indicate soft conditions, construction of facilities and education of tourism.

As results of factor analysis,differences of inhabitants perspective and assertion

corresponding to the personal attributes such as sex,age,income level are declared.

While younger men with low income are only concerning the construction of tourist

facilities such as museum,theme-park,hotel etc,younger women are concerning for

the construction of not only soft condition but also hard facilities. Although the

group of low income is requesting to construct more tourist facilities,the group of

middle age with higher monthly income is expressing more concern about the

maintenance of soft condition such as education,talent and service of tourism. On

the other hand, the rich group with monthly income of over 10,000 RMB does not

show a great interest in the tourism construction of own town.

Key words: tourism, questionnaire survey, inhabitants perspective, principal

component analysis, factor analysis, northern China

参照

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