Title
Synthesis of the intracatenary repeating unit of the O-
polysaccharide of Vibrio cholerae 0:1( 内容の要旨 )
Author(s)
後藤, 誠
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(農学) 乙第014号
Issue Date
1997-09-12
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/2259
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。氏 名(本籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件 学 位 論 文 題 目 事 査 委 且 後 藤 誠 (大阪府) 博士(農学) 農博乙第14号 平成9年9月12日 学位規則第4条第2項該当
Synthe$is of theintracatenary repeating unit
Of the O-pOlysaccharide ofγ払rわdiole間0:1
主査 岐 阜 大 学 教 授 木 曾 眞 副査 岐 阜 大 学 助教授 石 田 秀 治 副査 静 岡 大 学 教 授 碓 氷 泰 市 副査 信 州 大 学 教 授 茅 原 鉱 論 文 の 内 容 の 要 旨 コレラは、コレラ菌出血由抽0:1型菌で起こる急性消化器感染症で、免疫源と してコレラ菌の死曹操種が行われるが、効果は十分でなく現在も多数の感染者・死亡者が 報告されてい.る。グラム陰性菌表層上のLPS(リボ多糖)は、抗原性を発現する上で最 も重要な部分である。LPSは、リビッドAからコア部分を介して連続構造を有するオリ ゴ糖が結合しており、コレラ菌の場合その構造は、4.6-Dideoxy-4一(3-deoxy-L-glycero-tetronamido)-a-D-mannOpyranOSeであることが1979年に報告されている。この単糖の合 成は、1988年に発表されているが、この方法は大過剰のアシル化剤を使用しなければなら ないこと、最終反応後の精製が困難であること、また収率が低いこと等からオリゴ糖の合 成には応用できないと考えられる。第1章では、人工抗原の合成に応用可能なオリゴ糖構 築に遺した新合成法の開発について、第2章では、その合成法を応用した2糖の合成、ま た第3章では、連続構造を構成する糖のデオキシ類縁体の合成について述べている。 (第l章)アミノ糖のアシル化剤として新規な2-0-Acetyl-3-deoxy-L-glycero-tetrOnO -1actone⊥を使用することを考案し、その合成を行った。一方アミノ糖且はBundleらと Eis らの2つの合成法の混合ルートにより調製した。このようにして得られた且に⊥を用 いてアシル化するとアセチル基が4'位に転移した且を主生成物にアセチル基を2つ有す るA・且・且と目的化合物ユ、最終化合物且であった。即ち混合物を脱アセチル化すれば 且になると考えられ、脱保護したところ期待通り90%の高収率でNethy14.6-Dideoxy-4 -(3-deoxy-L-glycero-tetrOnamido)-a-D-mannOpyranOSid喧_を得た。また本化合物は、初 めて結晶化にも成功しX線構造解析も行った。 (第2章)2つのルートを考案し検討を行った。予め4・4一 位にアミノ基を持つ2糖 を合成しその後アシル化する方法と、それぞれアシル化した単糖同志を縮合する方法であ る。(A法)3位ベンジル体且を出発物質に2位をアセチル化後DCMMEでグルコシル クロル休止とすると54%の収率であるのに対し、且もしくは遁の1位を0-アセチル基 に変換した遮をクロル化すると84%で11が得られた。この且と旦上のグリコシル化反応に
-113-より待られた2樵週の2つのアジド基を還元によりアミノ基過とした後、アシル化を行っ た0アシル化剤として新たに⊥を脱アセチル化した遵とそれをベンジル化した遁も調製し 3つのラクトンで反応を試みた。その結果遁でのアシル化が79%と最も高収率であった 0アシル体il・iBはそれぞれ脱保護により最終2糖"ethy12-0-[4,6-Dideory-4-(3-de。Ⅹ y-L-glycero-tetrOna皿ido)-a-DlnannOPyranOSylト4.6-dideory-4-(3-deoxy-L-glycero-tetronamido)-a-D-ⅢannOpyranOSidei9を得た。(B法)3位0-ベンジル体且や2位を メトキシベンジルで保護(塑)の後、4位を遷元し、それに続くアシル化及びベンゾイル 化によって墨とした。塑はCANで2位の保護基を酸化的に外し(迦)、グリコシルアク セプターを得る○一方グリコシルドナーは、単糖最終物旦のベンゾイル誘導体益の1位を クロル化して塑を合成した。迦と塑はグリコシル化反応の後辺とし、順次脱保護すること により最終日的物週を得た。以上のように両法を検討の結果いずれも高収率で遵が得られ たが精製面からB法が優れていた。 (第3章)すべてのデオキシ休(塑・迎・匙)の合成を行った。 〔2'位デオキシ体の合成) γ-プチロラクトンとアミノ糖旦より1工程で鮎thy14 -dideoxy-4-(4-hydrobutyranido)-a-D-DannOpyranOSide29を得ることができた。 〔4'位デオキシ体の合成) 2,3位0-ベンジル体遊から4位をアミノ基とし盟、 次いでアシル化した虚塾。4'位をDMF-メシルクロライドにてタロル化した後塵、 炭素一塩素結合の接触水素化分解と脱ベンジル化を同時に行い4.6-Dideoxy-4-(3,4-dideo Xy-L-glycero-tetrOnaJDido)-α-D-mnnOpyranOSide遡が得られた。 (3位デオキシ体の合成)遡を出先物質に3位水酸基をメトキシベンジル化虚訟、4 位還元後虚艶、アシル化して遡とする。4し'位の保養地に掛、て3位の脱保護出立の後 、3位をN.N'-チオカルポニルジイミダゾールを作用させ活性化させる幽艶。これをトリ プチルチンヒドリドにてデオキシ糖過とした。最後に保護基を外して鮎thy13.4,6-tride_ OXy-4-(4-deory-L-glycero-tetrOn&Jnido)-a-DID&nnOPyranOSide匙を得た。 (まとめ) コレラ抗原のリボ多糖の連続構造単位糖の高収率な合成法を確立すること に成功した。この合成法により、コレラのリボ多糖ひいては人工ワクチン開発に道を開く ことができた。本研究が、きっかけとなり多糖化は急速に進んでおり現在NIHでは、1 2糠星4までの合成に成功している。
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コレラは、コレラ菌Vibrio Cholerae O:1塑菌で起こる急性消化器感染症で、現在も
発展途上国を中心に多数の感染者・死亡者が報告されている。免疫源としてコレラ菌の 死菌接種が行われるが、効果は十分でなくアメリカ国立衛生研究所(NIH)において 基礎研究が必要な重要疾患に指定されている。本論文は、そのプログラムに基づきNI Hで行った研究成果について論述したもので、化学合成によるコレラの人口抗原の開発 の可能性を示したきわめて重要な成果と言える。 グラム陰性菌表層上のLPS(リボ多糖)は、抗原性を発現する上で最も重要な部分 である。LPSは、リビッドAからコア部分を介して連接棒造を有するオリゴ糖が結合 しており、コレラ菌の場合その構造は、4.6-Dideoxy-4-(3-deoxy-L-glycero-tetrOnami do)-α一D-mannOpyranOSeであることが1979年に報告されている。この単糖の合成は、19 摘年に発表されているが、この方法は大過剰のアシル化剤を使用しなければならないこ と、最終反応後の精製が困難であること、また収率が低い(45%)こと等からオリゴ 糖の合成には応用できないと考えられる。そこで本研究では、人工抗原の合成に応用可 能なオリゴ糖構築に適した新合成法を開発することを目的としている。さらにその手法 を用いての単糖と2糖の合成、免疫反応の分子間相互作用の基礎研究に必要なデオキシ 祭縁体についても合成を成功させている。
-115-第1章では新合成法について述べている。アミノ糖のアシル化剤として新規な2-0-Ac etyl-3-deoxy-L-glycero-tetrOnO-lactoneを使用することを考案し、その合成を行った 。一方アミノ糖は8undleらとEisらの2つの合成法の混合ルートにより調製した。この ようにして得られたアミノ塘を用いてアシル化後、脱保護したところ90%の高収率で Methy14.6-dideoxy-4-(3-deoxy-L-glycero-tetrOnamido)-a-D-mannOpyranOSideを得 ることができた。この合成法は、収率は勿論のこと縮合剤が不要なことから精製の容易 さ、コスト面、また第3章でのデオキシ類縁体の合成においても利点を発揮し、大変優 れている。本化合物は、初めて結晶化にも成功しⅩ線構造解析をおこなったことも大き な成果である。 2糖合成は、オリゴ糖の構築にとってきわめて重要な知見となる。第2章では、2つ のルートを考案しそれぞれの検討を行なっている。予め4・4'位にアミノ基を持つ2 糖を合成しその後アシル化する方法と、それぞれアシル化した単糖同志をグリコシル化 する方法である。検討の結果、2ルートとも高収率で最終物が得られ、また後者が精製 面で若干良い結果であった。2塘の合成に成功したことで、オリゴ糖構築に道が軌ナた ことは、高く評価できる。 抗休とリガンドとの分子間相互作用を考える時、榛のどの水酸基が抗体蛋白と水素結 合しているのかは興味深く、また人口抗原を合成する上でも大変重要な知見となる。第 3章では、考え待るすべてのデオキシ体(2'、4'、3位)の合成に着手し、いずれ もMethylα-D-perOSaminideの誘導体を出発物質として見事に成功させている0これら は、今後NIHで予定されている蛍光強度法による抗体とのバインディングスタディに おいて大変貴重な化合物となる。またここでも第1章でのアシル化法が生かされ、応用 範囲の広さも立証している。 このように本研究では、コレラ抗原のリボ多糖の連続構造単位糖であるNethy14.6-d ideoxy-4一(3-deoxy-L-glycero-tetrOnaZnido)-a-D-nannOpyranOSideとその2糖の高収 率かつ簡便な合成法を確立し、さらにすべてのデオキシ誘導体を合成することに成功し た。これらは、リボ多糖の合成ひいては人工抗原開発に遭を開き、コレラの基礎研究発 展に大きく貢献するものである。そのことは本研究が、きっかけとなり多糖化は急速に 進歩し現在NIHでは、12糖までの合成に成功していることからも証明されている。 以上について、審査委鼻全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合農学研究科の学位論 文として十分価値のあるものとして認めた。
学位論文の基礎となる学術論文
1.u.Gotoh,C.L.8arnes,P.Kovac
Improved synthesis and the crystalstructure of
methy14,6-dideoxy-4-(3-deoxy-L-glycero-tetrOnan)ide)-α-D-n)annOpyranOSide,the皿ethyla-glycoside
Of theintracatenary repeating unit of the O-pOlysaccharide of Vibrio
Cholerae O:l.
Carbohydrate Research,260,203-218(1994).
2.M.Gotoh,P.Kovac
Synchesis of the皿ethylα-glycoside of theintracatenary disaccharide
repeating unit of the O-pOlysaccharide of Vibrio cholerae O:1,A
compari-SOn Of tvo assenbly strategies.
J.Carbohydr.Chem.,13,1193-1213(1994).
3.軋 Gotoh,P.Kovac
Synthesis of specifically deoxygenated analogues of the皿ethylα-glycoside
Of theintracatenary monosaccharide repeating unit of the O-pOlysaccharide
Of Vibrio cholerae O:1.
Carbohydrate Research,268,73-84(1994).
既発表学術論文
1.A.Rasegawa,肌 Gotoh,姐 Kiso
J.Carbohydr.Chetn.,4,627-638(1985). 2.肌 Gotoh,P.Eo†aC J.Carbohydr.Che鳳,12,981-983(1993) 3.S.Bystricky,S.C.Szu,M.Gotoh,P.Kovac Carbohydrate Research,'.270,115-122(1995). 既発表公開特許公報 1.平賀国和,後藤 乱 井上和美,内田又左衝門 特開平0ト242580 2.後藤 誠,窪田周平,香川隆司,尾下宜民 特開平06-199855