は小御岳火山を初めて認識し,寄生火山である火山礫か らなる岩滓丘が著しく侵食を受け火口地形を失ったもの であると考えた。神原 (1929) は,富士火山を二重式火 山であると考え,小御岳火山をその外輪山の一部とみな した。 小 御 岳 火 山 の 地 質 を 初 め て 明 確 に し た の は 津 屋 (1971) である。津屋 (1971) は,小御岳火山は,北東方 向に開く馬蹄形火口を有する截頭円錐火山であり,現在 の山体は,富士山五合目の小御岳神社付近を最高点と し,その火口壁の北西翼とそれに続く外側斜面を表すと 考えた。小御岳火山は溶岩と火砕岩の互層からなり,北 西斜面では,35°程の急傾斜を持って北西方に傾き,馬 蹄型火口の東方に当たる富士山五合目泉ヶ滝付近では同 程度の傾斜で東方に傾いているため,その噴出中心は馬 蹄型カルデラ内にあったと推定した。さらに,小御岳火 山の現在の山頂高度 (2,200m) は愛鷹火山や箱根火山よ 1 .はじめに 小こ み御岳たけ火山は,富士火山の北部山腹の小御岳神社北方 に,富士火山噴出物に覆われる形で分布している (Fig. 1 および2)。小御岳火山は富士火山に先行する侵食の進 んだ火山であるが (Photo. AおよびB),露出が限られて いるため,その全容は明らかになっていない。ここで は,限られた露頭から採取した試料についての全岩化学 組成分析の結果を示し,さらに古富士火山,新富士火 山,先小御岳火山,愛鷹火山噴出物の全岩化学組成との 比較検討を行った。 2 .これまでの研究 平林 (1900) は,小御岳火山を富士火山の一部として とらえており,これを特に区別していない。石原 (1925)
高橋 正樹
*・須合 辰也
**・金丸 龍夫
*The Komitake volcano (110-76ka) comprises three lava groups: the orthopyroxene-clinopyroxene basaltic andesitic Obori-Izumigataki lava group, olivine-clinopyroxene-orthopyroxene basaltic Komitake NE and Komkitake N lava groups. They show different trends of compositional variation on the SiO2 and FeO*/MgO variation diagrams. The Obori-Izumi-gataki lava group erupted first followed by the Komitake NE lava group, and the Komitake N lava group effused lastly. The ratios of incompatible trace elements of these three lava groups, however, are nearly the same, namely they are derived from the similar parental magma by crystallization differentiation or addition of co-magmatic crystals or internal magma mixing. The characteristic chemistry of Obori-Izumigataki lava group with high Al2O3 content is probably caused by accumulation of plagioclase phenocrysts. The magmatic chemistry of Komitake volcano is akin to those of the pre-Komitake and Ashitaka volcanoes, but different from those of the Kofuji and Shinfuji volcanoes.
Keywords: Komitake volcano, whole-rock chemistry, major element, trace element, basalt
小御岳火山噴出物の全岩化学組成
Whole-rock Chemistry for Eruptive Products of Komitake Volcano, Central Japan
Masaki TAKAHASHI
*, Tatsuya SUGO
**and Tatsuo KANAMARU
* (Received November 17, 2014)日本大学文理学部自然科学研究所研究紀要 No.50 (2015) pp.209-254
* Department of Geosystem Sciences, College of Humanities and Sciences,
Nihon University: 3-25-40 Sakurajosui, Setagayaku, Tokyo 156-8550, Japan
** Graduate School of Science and Technology, Ibaraki University: 2-1-1
Bunkyo, Mito 310-8562, Japan
* 日本大学文理学部地球システム科学科:
〒156-8550 東京都世田谷区桜上水3-25-40
** 元茨城大学大学院理工学研究科:
高橋 正樹・須合 辰也・金丸 龍夫 りも高いので,小御岳火山は,愛鷹火山や箱根火山級の 大型の火山であったと考えた。 須合・高橋 (1998) および高橋・他 (2003) は,小御岳 火山の溶岩の記載および全岩化学組成を報告し,小御岳 火山が全岩化学組成の異なる3 つの溶岩グループからな り,それぞれが異なる火山体を構成している可能性につ いて指摘した。さらに,小御岳火山噴出物の全岩化学組 成は,古富士火山,新富士火山,愛鷹火山の噴出物とは 異なる特徴を有することを示した。永井・他 (2004) は 小御岳火山のSr・Nd同位体組成を初めて検討して, 87Sr/86Sr 値が 0.7033~0.7035,143Nd/144Nd 値が 0.5130~ 0.5131であることを明らかにし,これらの値が古富士火 山 (0.7033~0.7035および 0.5130~0.5131),新富士火山 (0.7034~0.7035および0.5130~0.5131),愛鷹火山(0.7033 ~0.7034および0.5130~0.5131)とほぼ同じであること を示した。 中田・他 (2007),Yoshimoto et al. (2010) は,富士火 山北麓で行われたボーリング掘削の結果を報告し,古富 士火山噴出物と下位の小御岳火山噴出物の間には土壌が みられず大きな時間間隙が認められないこと,小御岳火 山噴出物とその下位の安山岩~デイサイトなども含む先 小御岳火山噴出物との間には土壌が認められることを示 し,小御岳火山の活動時期を15~10万年前,先小御岳 火山の活動時期を15~40万年前頃と推定した。そし
Fig. 1 Map showing the location of the Komitake volcano. The contours of depth of subducting plates are cited from Nakajima and Hasegawa (2007). open star: Ashitaka volcano; thick line: depth contour of the subducting Phillipine Sea plate; thick grey line: depth contour of the descending Pacific plate; SAT: Sagami trough; SUT: Suruga trough; thick dashed line: volcanic front (VF); solid circle: Quaternary volcano
小御岳火山噴出物の全岩化学組成 かにしている。さらに,小御岳溶岩のK-Ar年代値とし て109±16kaおよび76±13kaを得ており,小御岳火山 の活動が約110ka以前から始まり,古富士火山の開始年 代と重複する76ka頃まで活動していたことを示した。 3 .小御岳火山の地質および岩石 小御岳火山は,東部では吉田口五合目の泉いずみヶ滝付近, 吉田大沢下流の大おおぼり堀付近,西部では小御岳神社がある小 御岳火山の山体の西面および北面にその露出がみられる (Photo. Aおよび B)。現在地表でみられる小御岳火山噴 て,先小御岳火山は,活動時期と噴出物の全岩化学組成 の両面において,愛鷹火山との類似性が高いことを明ら かにしている。 中野・他 (2010) および吉本 (2010) は,吉田大沢下流 において小御岳火山噴出物の下位に先小御岳火山の無斑 晶質安山岩を,小御岳神社北東崖上部では,小御岳火山 溶岩に挟まれて無斑晶質の古富士火山玄武岩質溶岩を報 告しており,小御岳火山の活動が先小御岳火山の活動と 連続したものであること,小御岳火山末期の活動は,古 富士火山の活動と重複したものであったことなどを明ら
Fig. 2 Geologic sketch map showing the distribution of lava groups of Komitake volcano. The map of Nakano et al. (2009) is revised. 1: Kenmarubi 2 lava; 2: volcanic rocks of Fuji volcano; 3: Komitake N lava group; 4: Komitake NE lava group; 5: Obori-Izumigataki lava group
高橋 正樹・須合 辰也・金丸 龍夫 4 .分析方法 全岩組成分析には,茨城大学水戸地区機器分析セン ターの蛍光X線分析装置(理学電機製3270型;RH管球 50kV,50mA)を用いた。分析方法および分析誤差は以 下の通りである。 4-1.岩石粉砕 岩石試料をハンマーで1~2cm程度のチップに砕く。 次に超音波洗浄器を使って,最初は水道水による洗浄 (7 分) を行い,1 回蒸留水で濯いだ後,蒸留水による洗 浄 (7 分) を 2 回,蒸留水による洗浄 (10分) を 2 回行 う。このチップをエアバス内で1日以上乾燥させる。乾 燥させたチップは,ステンレス乳鉢を使い2mm以下の 大きさになるまで粉砕する。これをタングステンカーバ イト製ボールミルで45~60分程度粉砕し,得られた試 料を容器に入れて保存する。 4-2.ガラスビード作成 主化学組成分析用では,粉砕した試料を約0.4500g 蒸 発皿に取り,エアバス内で12時間以上乾燥させる。試料 乾燥後,秤量びんに0.4000±0.0002g 秤量し,その10倍 のよく乾燥させた融剤 (四ホウ酸リチウム (Li2B4O7)) を加える。融剤を加えた試料をメノウ乳鉢でよく混合 し,白金るつぼに剥離剤 (LiBr溶液) とともに投入し, ビードサンプラー装置でビードを作成する。 微量元素分析用では,メノウ乳鉢で粉砕した試料を約 2.000g 秤量し,電気炉に入れて900℃で3時間以上焼 く。焼成した試料が常温まで冷めたら秤量びんに1.5000 ±0.0002g 秤量し,これに混合融剤 (Li2B4O7:Li2BO2= 4 : 1) を3.0000 ±0.0002g 加える。融剤を加えた試料は, メノウ乳鉢でよく混合した後白金るつぼに入れ,剥離剤 を加えずにビードサンプラー装置でビードを作成する。 4-3.分析誤差 主化学組成の分析誤差は,SiO2±0.049wt.%,TiO2± 0.015wt.%,Al2O3±0.015wt.%,FeO±0.004wt.%,MnO ±0.002wt.%,MgO ± 0.017wt.%,CaO±0.006wt.%, Na2O±0.039wt.%,K2O±0.006wt.%,P2O5±0.002wt.% である。また,微量元素組成の分析誤差は,Nb±0.24 ppm,Zr±0.98ppm,Y±0.87ppm,Sr±1.49ppm,Rb± 0.58ppm,Ba±18.14ppm,Ni±1.65ppm,Cr±5.83ppm, V±7.34ppm,Sc±2.57ppmである。 出物の分布域は,半径約2km,比高800mの円錐の1/6 程度の面積を占める (Fig. 2)。小御岳火山は,現在の最 高点である小御岳神社付近で古富士火山噴出物に覆わ れ,大堀の谷沿いの最下位では先小御岳火山噴出物を直 接覆う。したがって,小御岳火山噴出物のみられる正味 の高度差は500m程度となる。一方,小御岳神社北北東 約2kmの 地 点 で 実 施 さ れ た ボ ー リ ン グ 掘 削 の 結 果 (ERI-FJ-2) では,深さ-95mから-174mまで79mの 厚さで小御岳火山の溶岩および火砕岩が認められる。こ れに対して,小御岳神社北東約8.6kmの地点でのボーリ ング掘削の結果(ERI-FJ-3) では,小御岳火山の噴出物 は認められず,富士火山噴出物の直下に直接先小御岳火 山噴出物がみられた。すなわち,小御岳火山の底面の半 径は8.6 km以下 2km以上と推定され,愛鷹火山よりも やや規模の小さな成層火山体を構成していたものと思わ れる。現在では侵食が進み,吉田大沢を取り囲むように 北東に開いた馬蹄型の凹地形がみられる (Fig. 2)。 露頭のみられるいずれの場所においても,厚さ1.0m 程度の溶岩と火砕岩の互層からなり,東部の泉ヶ滝では 7 枚 (Photo. C),大堀では20枚以上の溶岩が認められ る (Photo. D, Eおよび G)。東部は概ね東傾斜であり, 西部では西方で西傾斜,北方で北傾斜,東方で北東傾斜 であり (Fig. 2),傾斜角は30°以下である。溶岩の走向・ 傾斜からは,現在の小御岳神社付近に火口があった可能 性が考えられるが,富士火山噴出物に広く覆われている ため,火口が単独であったか複数であったかを含めて詳 細は不明である。 火砕岩は,基質支持と礫支持の両方が認められる (Photo. C, D, EおよびG)。分析試料を採取した溶岩の うち,東部のものを大堀・泉ヶ滝溶岩グループ,西部の うち北東部のものを小御岳北東溶岩グループ,北西部の ものを小御岳北溶岩グループとよぶことにする。 溶岩は何れも斑晶に富む玄武岩質~玄武岩質安山岩質 溶岩であるが,大堀・泉ヶ滝溶岩グループは斑晶量35 ~50vol.%で,斑晶は斜長石,斜方輝石,単斜輝石から なり,かんらん石を含まない。このうち,斜長石が80 ~90%を占め,全体としても斜長石斑晶が 40vol.%以上 を占めており斜長石に富む。小御岳北東溶岩グループ は,斑晶量35~50vol.%で,斜長石,かんらん石,斜方 輝石,単斜輝石からなり,このうち80~90%を斜長石 が 占 め る。 小 御 岳 北 溶 岩 グ ル ー プ も, 斑 晶 量35~ 40vol.%で,斜長石,かんらん石,斜方輝石,単斜輝石 からなり,このうち斜長石が80~90vol.%を占める。
小御岳火山噴出物の全岩化学組成 有する (Fig. 6)。MnOはSiO2が増加するとやや減少す る組成変化トレンドを示し,小御岳北東溶岩グループ, 小御岳北溶岩グループ,大堀・泉ヶ滝溶岩グループの順 に低い値の組成変化トレンドを有する (Fig. 6)。 5-2.FeO*/MgO 変化図 (1)SiO2 大堀・泉ヶ滝溶岩グループ,小御岳北東溶岩グルー プ,小御岳北溶岩グループの順にSiO2に乏しくなり, 大堀・泉ヶ滝溶岩グループは玄武岩質安山岩,他は玄武 岩である (Fig. 7)。すべてソレアイト系列に属する。 (2)TiO2・P2O5 TiO2は,小御岳北東溶岩グループ,小御岳北溶岩グ ループ,大堀・泉ヶ滝溶岩グループの順に乏しくなる (Fig. 8)。小御岳北東溶岩グループと小御岳北溶岩グ ループは,FeO*/MgO比が増加するとTiO2が緩やかに 増大する異なる組成変化トレンドを示すが,大堀・泉ヶ 滝溶岩グループはFeO*/MgO比が増加してもTiO2がほ とんど変化しない。P2O5は,小御岳北東溶岩グループ および大堀・泉ヶ滝溶岩グループでは,FeO*/MgO比 が増加してもほとんど変化しないが,それらよりも P2O5に乏しい組成変化トレンドを有する小御岳北溶岩 グループでは,FeO*/MgO比が増加するとP2O5が緩や かに増大する (Fig. 8)。 (3)Na2O・K2O Na2Oは,FeO*/MgO比が増加すると緩やかに増大す る組成変化トレンドを示すが,大堀・泉ヶ滝溶岩グルー プの方が,小御岳北東溶岩グループおよび小御岳北溶岩 グループよりも高い値の組成変化トレンドを有する (Fig. 9)。K2Oは,大堀・泉ヶ滝溶岩グループの方が, 小御岳北東溶岩グループおよび小御岳北溶岩グループよ りもやや高い値の組成変化トレンド示し,FeO*/MgO 比が増加してもK2Oは増大しない (Fig. 9)。一方,小御 岳北東溶岩グループおよび小御岳北溶岩グループでは, FeO*/MgO比が増加するとK2Oはやや減少する組成変 化トレンドを有する。 (4)MgO・FeO* MgOは,小御岳北東溶岩グループ,小御岳北溶岩グ ループ,大堀・泉ヶ滝溶岩グループの順にその値が低く なり,それぞれがFeO*/MgO比が増加すると緩やかに 減少する異なる組成変化トレンドを示す (Fig. 10)。 FeO*は,小御岳北東溶岩グループ,小御岳北溶岩グ ループ,大堀・泉ヶ滝溶岩グループの順にその値が低く なり,それぞれがFeO*/MgO比が増加してもほとんど 変化しない異なる組成変化トレンドを有する (Fig. 10)。 5 .小御岳火山噴出物の全岩主化学組成 小御岳火山噴出物の全岩主化学組成値をTable 1に示 す。全岩主化学組成値は無水100%に再計算してある。 5-1.SiO2変化図 (1)SiO2 大堀・泉ヶ滝溶岩グループが52.37~53.21wt.%,小御 岳北東溶岩グループが51.28~51.84wt.%,小御岳北溶岩 グループが50.95~51.53wt.%であり,大堀・泉ヶ滝溶岩 グループが最もSiO2に富み玄武岩質安山岩からなるの に対して,小御岳北東溶岩グループおよび小御岳北溶岩 グループは玄武岩からなる。 (2)TiO2・P2O5 TiO2は全体としてSiO2が増加すると減少する組成変 化トレンドを示すが,小御岳北東溶岩グループが最も高 い値の組成変化トレンドを有し,小御岳北溶岩グルー プ,大堀・泉ヶ滝溶岩グループの順に低い値の異なる組 成変化トレンドを示す (Fig. 3)。P2O5は全体としてSiO2 が増加するとやや減少する組成変化トレンドを示すが, 大堀・泉ヶ滝溶岩グループが最も高い値の組成変化トレ ンドを有し,小御岳北東溶岩グループ,小御岳北溶岩グ ループの順に低い値の異なる組成変化トレンドを示す (Fig. 3)。 (3)Na2O・K2O Na2OはSiO2が増加してもあまり変化しないが,大 堀・泉ヶ滝溶岩グループが小御岳北東溶岩グループおよ び小御岳北溶岩グループよりも高い値を有する (Fig. 4)。 K2OはすべてLow-K系列に属するが,SiO2が増加すると 増大する一連の組成変化トレンドを示し,各溶岩グルー プによる組成変化トレンドの違いはほとんど認められな い (Fig. 4)。 (4)MgO・FeO* MgO,FeO*はSiO2が増加してもあまり変化しない (Fig. 5)。小御岳北東溶岩グループが最も高い値を有 し,小御岳北溶岩グループ,大堀・泉ヶ滝溶岩グループ の順に低い値を示す。 (5)Al2O3・CaO・MnO Al2O3はSiO2が増加するとやや減少する組成変化トレ ンドを示す (Fig. 6)。大堀・泉ヶ滝溶岩グループが最も 高い値の組成変化トレンドを有し,小御岳北溶岩グルー プ,小御岳北東溶岩グループの順に低くなる。CaOは SiO2が増加すると減少する組成変化トレンドを示し,大 堀・泉ヶ滝溶岩グループ,小御岳北溶岩グループ,小御 岳北東溶岩グループの順に低い値の組成変化トレンドを
高橋 正樹・須合 辰也・金丸 龍夫 溶岩グループおよび大堀・泉ヶ滝溶岩グループがそれよ り低い値を示す (Fig. 11)。両者ともFeO*/MgO比が増 加してもCaOがほとんど変化しない組成変化トレンド を有する。MnOは,小御岳北東溶岩グループ,小御岳 北溶岩グループ,大堀・泉ヶ滝溶岩グループの順にその 値が低くなる (Fig. 11)。 小御岳北東溶岩グループと小御 (5)Al2O3・CaO・MnO Al2O3は,小御岳北東溶岩グループ,小御岳北溶岩グ ループ,大堀・泉ヶ滝溶岩グループの順にその値が高く なり,それぞれがFeO*/MgO比が増加するとやや増大 する異なる組成変化トレンドを示す (Fig. 11)。CaOは, 小御岳北溶岩グループが最も高い値を有し,小御岳北東
Fig. 3 SiO2 variation diagrams for TiO2 and P2O5 contents of eruptive products of Komitake volcano. 1: Komitake N lava group; 2: Komitake NE lava group; 3: Izumigataki (Obori-Izumigataki lava group); 4: Obori lava (Obori-Izumigataki lava group)
小御岳火山噴出物の全岩化学組成 6 .小御岳火山噴出物の全岩微量元素組成 6-1.SiO2変化図 (1)Rb・Ba・Sr Rbは小御岳北東溶岩グループおよび大堀・泉ヶ滝溶 岩グループが一連の組成変化トレンドを有し,SiO2が増 岳北溶岩グループが,FeO*/MgO比が増加するとMnO がやや増大する組成変化トレンドを示すのに対して,大 堀・泉ヶ滝溶岩グループはやや減少する組成変化トレン ドを有する。
Fig. 4 SiO2 variation diagrams for Na2O and K2O contents of eruptive products of Komitake volcano. 1: Komitake N lava group; 2: Komitake NE lava group; 3: Izumigataki lava (Obori-Izumigataki lava group); 4: Obori lava (Obori-Izumigataki lava group); Low-K: low-K series; Med-K: medium-K series; Low-K: low-K series; Med-K: medium-K series
高橋 正樹・須合 辰也・金丸 龍夫 増加すると減少する (Fig. 12)。大堀・泉ヶ滝溶岩グルー プはこれよりもSrに富む。 (2)Zr・Nb・Y Zrは全体としてSiO2が増加するとやや増大する組成変 化トレンドを示す (Fig. 13)。Nbは全体としてSiO2が増 加してもほとんど変化しない (Fig. 13)。Yは小御岳北東 加すると増大する (Fig. 12)。 小御岳北溶岩グループはこ れより高い値の組成変化トレンドを示し,同様にSiO2 が増加すると増大する。Baは溶岩グループによる差は 認 め ら れ ず,SiO2が 増 加 し て も ほ と ん ど 変 化 し な い (Fig. 12)。Srは小御岳北東溶岩グループおよび小御岳北 溶岩グループが一連の組成変化トレンドを示し,SiO2が
Fig. 5 SiO2 variation diagrams for MgO and FeO* contents of eruptive products of Komitake volcano. 1: Komitake N lava group; 2: Komitake NE lava group; 3: Izumigataki lava (Obori-Izumigataki lava group); 4: Obori lava (Obori-Izumigataki lava group)
小御岳火山噴出物の全岩化学組成 化トレンドを示し,同様にSiO2が増加すると減少する。 (3)Ni・Cr・V・Sc NiとCrは全体としてSiO2が増加すると減少する組成 溶岩グループおよび大堀・泉ヶ滝溶岩グループが一連の 組成変化トレンドを有し,SiO2が増加すると減少する(Fig. 13)。小御岳北溶岩グループはこれより低い値の組成変
Fig. 6 SiO2 variation diagrams for Al2O3, CaO and MnO contents of eruptive products of Komitake volcano. 1: Komitake N lava group; 2: Komitake NE lava group; 3: Izumigataki lava (Obori-Izumigataki lava group); 4: Obori lava (Obori-Izumigataki lava group)
高橋 正樹・須合 辰也・金丸 龍夫 は,大堀・泉ヶ滝溶岩グループよりも高い値を有する (Fig. 17)。 6-3.液相濃集元素比 (1)Rb/Zr・Rb/Nb・Rb/Y・Rb/Ba 比 Rb/Zr・Rb/Nb・Rb/Y・Rb/Ba比 は, 溶 岩 グ ル ー プ 毎の系統的な違いは認められないが組成変化幅はやや広 い (Fig. 18)。 (2)Ba/Zr・Ba/Nb・Ba/Y 比 Ba/Zr・Ba/Nb・Ba/Y比は,溶岩グループ毎の系統的 な違いは認められないが組成変化幅はやや広い (Fig. 19)。 (3)Zr/Y・Zr/Nb・Nb/Y 比 Zr/Y・Zr/Nb・Nb/Y比は,溶岩グループ毎の系統的 な違いは認められないが組成変化幅はやや広い (Fig. 20)。 7 .小御岳火山・先小御岳火山・古富士火山・新富 士火山・愛鷹火山噴出物全岩主化学組成の比較 以下において全岩主化学組成および微量元素組成の比 較検討を行うにあたり,古富士火山および新富士火山噴 出 物 の 分 析 値 は 高 橋・ 他(2003) お よ び Miyaji et al. (2011),先小御岳火山噴出物の分析値は Yoshimoto et 変化トレンドを示す (Fig. 14)。 VとScは全体としてSiO2 が増加すると減少する組成変化トレンドを有するが,小 御岳北東溶岩グループはやや高い値を示す (Fig. 14)。 6-2.FeO*/MgO 変化図 (1)Rb・Ba・Sr Rbは全体として FeO*/MgO比が増加すると増大する 組成変化トレンドを示す (Fig. 15)。Baは全体として FeO*/MgO比が増加してもほとんど変化しない (Fig. 15)。Srは全体としてFeO*/MgO比が増加すると増大す る組成変化トレンドを有する (Fig. 15)。 (2)Zr・Nb・Y ZrおよびYは,全体としてFeO*/MgO比が増加する と増大する組成変化トレンドを示すが,小御岳北東溶岩 グループはやや高い値を有する (Fig. 16)。NbはFeO*/ MgO比が増加してもほとんど変化しない (Fig. 16)。 (3)Ni・Cr・V・Sc NiおよびCrは全体としてFeO*/MgO比が増加すると 減少する組成変化トレンドを示す (Fig. 17)。VおよびSc はFeO*/MgO比が増加してもほとんど変化しないが, 小御岳北溶岩グループおよび小御岳北東溶岩グループ
Fig. 7 FeO*/MgO vs. SiO2 daiagram. 1: Komitake N lava group; 2: Komitake NE lava group; 3: Izumigataki lava (Obori-Izumigataki lava group); 4: Obori lava (Obori-Izumigataki lava group); TH: tholeiitic rock-series; CA: calc-alkaline rock-series
小御岳火山噴出物の全岩化学組成 岩~玄武岩質安山岩からなるが,先小御岳火山,愛鷹火 山は,玄武岩~玄武岩質安山岩に加えて安山岩~デイサ イトが卓越する。また,新富士火山の一部には安山岩~ デイサイトがみられる。 (2)TiO2・P2O5 TiO2は玄武岩~玄武岩質安山岩では,小御岳火山と al. (2010),愛鷹火山噴出物の分析値は高橋・他 (2015) より引用した。 7-1.SiO2変化図 (1)SiO2 小御岳火山,古富士火山,新富士火山の大部分は玄武
Fig. 8 FeO*/MgO variation diagrams for TiO2 and P2O5 contents of eruptive products of Komitake volcano. 1: Komitake N lava group; 2: Komitake NE lava group; 3: Izumigataki lava (Obori-Izumigataki lava group); 4: Obori lava (Obori-Izumigataki lava group)
高橋 正樹・須合 辰也・金丸 龍夫 質安山岩では,小御岳火山と先小御岳火山が最も低く, 古富士火山と愛鷹火山がこれに次ぎ,新富士火山が最も 高い値を有する (Fig. 21)。安山岩~デイサイトでは, SiO2が増加すると減少する組成変化トレンドを示すが, 先小御岳火山と愛鷹火山の苦鉄質安山岩が低い値を示 し,愛鷹火山の珪長質安山岩~デイサイトおよび新富士 古富士火山の一部および愛鷹火山は同程度の値を有する が,古富士火山の一部,新富士火山の順にこれらより高 い値を示す (Fig. 21)。安山岩~デイサイトではSiO2が 増加すると減少する組成変化トレンドを示すが,先小御 岳火山と愛鷹火山はほぼ同程度の値を有し,新富士火山 はこれらより高い値を示す。P2O5は,玄武岩~玄武岩
Fig. 9 FeO*/MgO variation diagrams for Na2Oand K2O contents of eruptive products of Komitake volcano. 1: Komitake N lava group; 2: Komitake NE lava group; 3: Izumigataki lava (Obori-Izumigataki lava group); 4: Obori lava (Obori-Izumigataki lava group)
小御岳火山噴出物の全岩化学組成 K2O系列に属する (Fig. 22)。一方,愛鷹火山の一部, 古富士火山の一部,新富士火山はK2Oに富み中間 K2O 系列に属するが,これらのうち新富士火山が最も高い値 を示す。安山岩~デイサイトでは,新富士火山が最も高 い値を有し中間K2O系列に属するが,先小御岳火山お よび愛鷹火山は中間K2O系列と低K2O系列の中間の組 火山の安山岩~デイサイトが高い値を有する。 (3)Na2O・K2O Na2Oは各火山のいずれもほぼ同一の値を示し,SiO2 が増加すると増大する組成変化トレンドを有する(Fig. 22)。K2Oは,玄武岩~玄武岩質安山岩では,小御岳火 山,先小御岳火山,古富士火山,愛鷹火山の一部が低
Fig. 10 FeO*/MgO variation diagrams for MgO and FeO* contents of eruptive products of Komitake volcano. 1: Komitake N lava group; 2: Komitake NE lava group; 3: Izumigataki lava (Obori-Izumigataki lava group); 4: Obori lava (Obori-Izumigataki lava group)
高橋 正樹・須合 辰也・金丸 龍夫 山,新富士火山,古富士火山の順に高くなるが,愛鷹火 山では古富士火山よりも高い値を示すものから小御岳火 山と同程度に低い値を有するものまで幅広い組成変化が 成を示す。 (4)MgO・FeO* MgOは,玄武岩~玄武岩質安山岩では,小御岳火
Fig. 11 FeO*/MgO variation diagrams for Al2O3, CaO and MnO contents of eruptive products of Komitake volcano. 1: Komitake N lava group; 2: Komitake NE lava group; 3: Izumigataki lava (Obori-Izumigataki lava group); 4: Obori lava (Obori-Izumigataki lava group)
小御岳火山噴出物の全岩化学組成 士火山,愛鷹火山に大きな違いは認められない。FeO* は,玄武岩~玄武岩質安山岩では,新富士火山が小御岳 火山,先小御岳火山,古富士火山,愛鷹火山よりも高い みられる (Fig. 23)。安山岩~デイサイトでは,SiO2が増 加すると減少する組成変化トレンドを有し,先小御岳火 山にはやや高いものもみられるが,先小御岳火山,新富
Fig. 12 SiO2 variation diagrams for Rb, Ba and Sr contents of eruptive products of Komitake volcano. 1: Komitake N lava group; 2: Komitake NE lava group; 3: Izumigataki lava (Obori-Izumigataki lava group); 4: Obori lava (Obori-Izumigataki lava group)
高橋 正樹・須合 辰也・金丸 龍夫 山および愛鷹火山よりも高い値を示す。 (5)Al2O3・CaO・MnO Al2O3は,玄武岩~玄武岩質安山岩では小御岳火山が 値を有し,小御岳火山の一部が最も低い値を示す(Fig. 23)。安山岩~デイサイトでは,SiO2が増加すると減少 する組成変化トレンドを示し,新富士火山は先小御岳火
Fig. 13 SiO2 variation diagrams for Zr, Nb and Y contents of eruptive products of Komitake volcano. 1: Komitake N lava group; 2: Komitake NE lava group; 3: Izumigataki lava (Obori-Izumigataki lava group); 4: Obori lava (Obori-Izumigataki lava group)
小御岳火山噴出物の全岩化学組成
Fig. 14 SiO2 variation diagrams for Ni, Cr, V and Sc contents of eruptive products of Komitake volcano. 1: Komitake N lava group; 2: Komitake NE lava group; 3: Izumigataki lava (Obori-Izumigataki lava group); 4: Obori lava (Obori-Izumigataki lava group)
高橋 正樹・須合 辰也・金丸 龍夫 山が高く,新富士火山が低い値を有する。CaOでは, 各火山ごとに大きな違いは認められず,SiO2が増加する と減少する組成変化トレンドを示すが,新富士火山の玄 最も高い値を示し,先小御岳火山および愛鷹火山,古富 士火山,新富士火山の順に少ないものが多くなる (Fig. 24)。安山岩~デイサイトでは,先小御岳火山,愛鷹火
Fig. 15 FeO*/MgO variation diagrams for Rb, Ba and Sr contents of eruptive products of Komitake volcano. 1: Komitake N lava group; 2: Komitake NE lava group; 3: Izumigataki lava (Obori-Izumigataki lava group); 4: Obori lava (Obori-Izumigataki lava group)
小御岳火山噴出物の全岩化学組成 岳火山および愛鷹火山がこれに次ぎ,小御岳火山が最も 低い値を有する (Fig. 24)。安山岩~デイサイトでは,新 富士火山と愛鷹火山が高い値を有し,先小御岳火山が低 武岩~玄武岩質安山岩の一部に低い値を有するものが含 まれる (Fig. 24)。MnOは,玄武岩~玄武岩質安山岩で は新富士火山が最も高い値を示し,古富士火山と先小御
Fig. 16 FeO*/MgO variation diagrams for Zr, Nb and Y contents of eruptive products of Komitake volcano. 1: Komitake N lava group; 2: Komitake NE lava group; 3: Izumigataki lava (Obori-Izumigataki lava group); 4: Obori lava (Obori-Izumigataki lava group)
高橋 正樹・須合 辰也・金丸 龍夫
Fig. 17 FeO*/MgO variation diagrams for Ni, Cr, V and Sc contents of eruptive products of Komitake volcano. 1: Komitake N lava group; 2: Komitake NE lava group; 3: Izumigataki lava (Obori-Izumigataki lava group); 4: Obori lava (Obori-Izumigataki lava group)
小御岳火山噴出物の全岩化学組成 山,愛鷹火山の大部分の順に低くなる傾向がみられ, FeO*/MgO比が増加してもSiO2が増大しない組成変化 トレンドを有していて,すべてがソレアイト系列に属す る (Fig. 25)。 先小御岳火山および愛鷹火山の玄武岩~玄 武岩質安山岩の一部,そして安山岩~デイサイトでは, FeO*/MgO比が増加するとSiO2が増大する組成変化ト い値を示す。 7-2.FeO*/MgO 変化図 (1)SiO2 FeO*/MgO比は,玄武岩~玄武岩質安山岩では,小 御岳火山,新富士火山,先小御岳火山および古富士火
Fig. 18 Rb vs. Zr, Rb vs. Nb, Rb vs. Y and Rb vs. Ba diagrams for the eruptive products of Komitake volcano. 1: Komitake N lava group; 2: Komitake NE lava group; 3: Izumigataki lava (Obori-Izumigataki lava group); 4: Obori lava (Obori-Izumigataki lava group)
高橋 正樹・須合 辰也・金丸 龍夫 化トレンドを有するが,新富士火山が最も高い値を示 し,愛鷹火山,先小御岳火山の順に減少する。P2O5は, 玄武岩~玄武岩質安山岩では,FeO*/MgO比が増加す ると,古富士火山,新富士火山ではこの順に高くなる一 連の組成変化トレンドを示すが,愛鷹火山ではあまり増 大しない (Fig. 26)。また,小御岳火山と先小御岳火山は 愛鷹火山とほぼ同じ組成変化トレンドを示すが,より P2O5に乏しい値を示す。 一方,安山岩~デイサイトでは, 各火山に大きな違いは認められない。 レンドを示し,新富士火山と愛鷹火山の一部を除きカル クアルカリ系列に属する。 (2)TiO2・P2O TiO2は,玄武岩~玄武岩質安山岩をみると,古富士 火山と新富士火山ではFeO*/MgO比が増加すると急に 増加する一連の組成変化トレンドを示すが,小御岳火山 と先小御岳火山および愛鷹火山では,FeO*/MgO比が 増加してもあまり増大しない (Fig. 26)。 安山岩~デイサ イトでは,FeO*/MgO比が増加すると減少する組成変
Fig. 19 Ba vs. Zr, Ba vs. Nb and Ba vs, Y diagrams for the eruptive products of Komitake volcano. 1: Komitake N lava group; 2: Komitake NE lava group; 3: Izumigataki lava (Obori-Izumigataki lava group); 4: Obori lava (Obori-Izumigataki lava group)
小御岳火山噴出物の全岩化学組成 (4)MgO・FeO* MgOは,古富士火山と新富士火山では,FeO*/MgO 比が増加すると減少する一連の組成変化トレンドを示す が,小御岳火山,先小御岳火山,愛鷹火山では,同じ FeO*/MgO比で比べるとこれらより MgOが低く,傾斜 の急な組成変化トレンドを有する (Fig. 28)。FeO*は, 玄武岩~玄武岩質安山岩では,古富士火山と新富士火山 は,FeO*/MgO比が増加すると緩やかに増大する一連 の組成変化トレンドを示すが,先小御岳火山,小御岳火 (3)Na2O・K2O Na2Oは,小御岳火山,古富士火山,新富士火山,愛 鷹火山で大きな違いは認められないが,玄武岩~玄武岩 質安山岩では先小御岳火山が高い値を示す (Fig. 27)。 K2Oは,玄武岩~玄武岩質安山岩では,古富士火山から 新富士火山に向かってFeO*/MgO比が増加すると急に 増加する一連の組成変化トレンドを示すが,小御岳火 山,先小御岳火山,愛鷹火山では,FeO*/MgO比が増 加してもあまり増大しない (Fig. 27)。
Fig. 20 Zr vs. Y,Nb vs. Y and Nb vs. Zr diagrams for the eruptive products of Ashitaka volcano. 1: Komitake N lava group; 2: Komitake NE lava group; 3: Izumigataki lava (Obori-Izumigataki lava group); 4: Obori lava (Obori-Izumigataki lava group)
高橋 正樹・須合 辰也・金丸 龍夫 も高い値を有する (Fig. 29)。CaOは,各火山で大きな違 いは認められないが,小御岳火山がやや高い値を有する (Fig. 29)。また,安山岩~デイサイトでは,FeO*/MgO 比が増加すると減少する組成変化トレンドを示す。 MnOは,愛鷹火山,古富士火山,新富士火山では大き な違いは認められず,小御岳火山,先小御岳火山でやや 山,愛鷹火山は,FeO*/MgO比が増加してもほとんど 変化しない組成変化トレンドを有し,その中でも先小御 岳火山はやや低い値を示す (Fig. 28)。 (5)Al2O3・CaO・MnO Al2O3は,古富士火山および新富士火山,先小御岳火 山および愛鷹火山の順に高い値を示し,小御岳火山が最
Fig. 21 SiO2 variation diagrams for TiO2 and P2O5 contents of the eruptive products of the Ashitaka, pre-Komitake, Komitake, Kofuji and Shinfuji volcanoes. 1: Shinfuji volcano; 2: Kofuji vlcano; 3: Ashitaka volcano; 4: Komitake volcano; 5: pre-Komitake volcano
小御岳火山噴出物の全岩化学組成 Rbは,玄武岩~玄武岩質安山岩では,小御岳火山お よび愛鷹火山で最も乏しく,古富士火山,新富士火山の 順に高い値を示す。安山岩~デイサイトでは,先小御岳 火山と愛鷹火山はほぼ同じ値を有し,新富士火山はこれ らよりも高い値を示す (Fig. 30)。Baは,玄武岩~玄武 岩質安山岩では,小御岳火山,古富士火山,愛鷹火山は 低い値を示す (Fig. 29)。 8 .愛鷹火山・先小御岳火山・小御岳火山・古富士火 山・新富士火山噴出物全岩微量元素組成の比較 8-1.SiO2変化図 (1)Rb・Ba・Sr
Fig. 22 SiO2 variation diagrams for Na2O and K2O contents of the eruptive products of Ashitaka, pre-Komitake, Komitake, Kofuji and Shinfuji volcanoes. 1: Shinfuji volcano; 2: Kofuji vlcano; 3: Ashitaka volcano; 4: Komitake volcano; 5: pre-Komitake volcano; High-K: high-K series; Med-K: medium-K series; Low-K: low-K series
高橋 正樹・須合 辰也・金丸 龍夫 山岩~デイサイトでは,先小御岳火山および愛鷹火山が 新富士火山よりも高い値を示す。 (2)Zr・Nb・Y Zrは,玄武岩~玄武岩質安山岩では,小御岳火山お よび先小御岳火山,愛鷹火山および古富士火山,新富士 火山の順にその値が高くなる (Fig. 31)。 安山岩~デイサ ほぼ同じ値を示し,新富士火山はこれらよりも高い値を 有する (Fig. 30)。安山岩~デイサイトでは,先小御岳火 山と愛鷹火山はほぼ同じ値を有し,新富士火山はこれら よりも高い値を示す。Srは,玄武岩~玄武岩質安山岩 では,先小御岳火山および愛鷹火山,小御岳火山,古富 士火山および新富士火山の順に乏しくなる (Fig. 30)。 安
Fig. 23 SiO2 ariation diagrams for MgO and FeO* contents of the eruptive products of Ashitaka, pre-Komitake,Komitake, Kofuji and Shinfuji volcanoes. 1: Shinfuji volcano; 2: Kofuji vlcano; 3: Ashitaka volcano; 4: Komitake volcano; 5: pre-Komitake volcano
小御岳火山噴出物の全岩化学組成 し,新富士火山が高い値を示す。安山岩~デイサイトで は,新富士火山が愛鷹火山よりも高い値を有する (Fig. 31)。Yは,玄武岩~玄武岩質安山岩では,先小御岳火 イトでは,先小御岳火山,愛鷹火山,新富士火山の順に その値が高くなる。Nbは,玄武岩~玄武岩質安山岩で は,小御岳火山,古富士火山,愛鷹火山が低い値を有
Fig. 24 SiO2 variation diagrams for Al2O3, CaO and MnO contents of the eruptive products of the Ashitaka, pre-Komitake,Komitake, Kofuji and Shinfuji volcanoes. 1: Shinfuji volcano; 2: Kofuji vlcano; 3: Ashitaka volcano; 4: Komitake volcano; 5: pre-Komitake volcano
高橋 正樹・須合 辰也・金丸 龍夫 MgO比が増加するにつれて古富士火山は新富士火山と 一連の組成変化トレンドを示しRbが急激に増加する。 一方,組成幅の大きな愛鷹火山はFeO*/MgO比が増加 してもあまり増大しない組成変化トレンドを示し,小御 岳 火 山 は こ の 組 成 変 化 ト レ ン ド 上 に あ る。Baは, FeO*/MgO比が低い領域では,先小御岳火山,古富士 火山,愛鷹火山がほぼ同じ値を有するが,FeO*/MgO 比が増加するにつれて古富士火山は新富士火山と一連の 組成変化トレンドを示しBaは急激に増加する (Fig. 33)。 一方,組成幅の大きな愛鷹火山はFeO*/MgO比が増加 すると緩やかに増大する組成変化トレンドを示し,小御 岳火山はこの組成変化トレンド上にある。Srは,FeO*/ MgO比が増加しても変化しないが,小御岳火山,先小 御岳火山,愛鷹火山は,古富士火山,新富士火山よりも 高い値を有する (Fig. 33)。 (2)Zr・Nb・Y Zrは,FeO*/MgO比が低い領域では,先小御岳火山, 古富士火山,愛鷹火山がほぼ同じ値を有するが,古富士 火山の一部には低い値を示すものがみられる (Fig. 34)。 FeO*/MgO比が増加するにつれて古富士火山は新富士 火山と一連の組成変化トレンドを示しZrは急激に増加 山および愛鷹火山,小御岳火山,古富士火山および新富 士火山の順に高い値を示す (Fig. 31)。安山岩~デイサ イトでは,先小御岳火山,愛鷹火山,新富士火山の順に 高い値を有する。 (3)Ni・Cr・V・Sc NiおよびCrは,各火山で大きな違いは認められない (Fig. 32)。Vは,玄武岩~玄武岩質安山岩では,小御岳 火山の一部と古富士火山および新富士火山で最も高く, 先小御岳火山と愛鷹火山および古富士火山の一部がこれ に次ぎ,小御岳火山の一部が最も低い値を示す (Fig. 32)。 安山岩~デイサイトでは,新富士火山,先小御岳火山が 愛鷹火山よりもやや高い値を有する。Scは,各火山で 大きな違いは認められないが,安山岩~デイサイトで は,新富士火山が先小御岳火山および愛鷹火山よりも高 い値を有する (Fig. 32)。 8-2.FeO*/MgO 変化図 (1)Rb・Ba・Sr Rbは,FeO*/MgO比が低い領域では,先小御岳火 山,古富士火山,愛鷹火山がほぼ同じ値を有するが,愛 鷹火山の一部には低いものが含まれる (Fig. 33)。FeO*/
Fig. 25 FeO*/MgO vs. SiO2 diagram for the eruptive products of Ashitaka, pre-Komitake, Komitake, Kofuji and Shinfuji volcanoes. 1: Shinfuji volcano; 2: Kofuji vlcano; 3: Ashitaka volcano; 4: Komitake volcano; 5: pre-Komitake volcano; TH: tholeiitic rock-series; CA: calc-alkaline rock-series
小御岳火山噴出物の全岩化学組成 (Fig. 34)。Yは,古富士火山と新富士火山は,FeO*/ MgO比が増加すると急激に増大する組成変化トレンド を示すが,先小御岳火山,愛鷹火山はそれらよりYに乏 しく,FeO*/MgO比が増加すると緩やかに増大する組 成変化トレンドを有し,小御岳火山はその組成変化トレ ンド上に位置する (Fig. 34)。 する。一方,愛鷹火山はFeO*/MgO比が増加すると緩 やかに増大する組成変化トレンドを示すが,小御岳火山 はこの組成変化トレンドよりもやや低い値を有する。 Nbは,各火山で FeO*/MgO比が増加すると増大するほ ぼ同じ組成変化トレンドを示すが,小御岳火山だけは FeO*/MgO比 が 大 き い に も か か わ ら ず Nbに 乏 し い
Fig. 26 FeO*/MgO vs. TiO2 and P2O5 diagrams for the eruptive products of Ashitaka, pre-Komitake, Komitake, Kofuji and Shinfuji volcanoes. 1: Shinfuji volcano; 2: Kofuji vlcano; 3: Ashitaka volcano; 4: Komitake volcano; 5: pre-Komitake volcano
高橋 正樹・須合 辰也・金丸 龍夫 少する同じ組成変化トレンドを構成し小御岳火山はその 延長上に位置するが,新富士火山はこれよりも高い値 の,先小御岳火山は低い値の組成変化トレンドを有する (Fig. 35)。Vは,玄武岩~玄武岩質安山岩では,FeO*/ MgO比が低い領域で,先小御岳火山,古富士火山,愛 鷹火山がほぼ同じ値を有するが,古富士火山は新富士火 (3)Ni・Cr・Sc・V Niは,小御岳火山,先小御岳火山,古富士火山,愛 鷹火山が,FeO*/MgO比が増加すると減少するほぼ同 じ組成変化トレンドを示すが,新富士火山はこれよりも 高い値の組成変化トレンドを有する (Fig. 35)。Crは, 古富士火山と愛鷹火山がFeO*/MgO比が増加すると減
Fig. 27 FeO*/MgO vs. Na2O and K2O diagrams for the eruptive products of the Ashitaka, pre-Komitake, Komitake, Kofuji and Shinfuji volcanoes. 1: Shinfuji volcano; 2: Kofuji vlcano; 3: Ashitaka volcano; 4: Komitake volcano; 5: pre-Komitake volcano
小御岳火山噴出物の全岩化学組成 岳火山と愛鷹火山が,FeO*/MgO比が増加するとVが 減少するほぼ同じ組成変化トレンドを示す。Scは,玄 武岩~玄武岩質安山岩では,FeO*/MgO比が増大して もほとんど変化しないほぼ同一の組成変化トレンドを有 するが,安山岩~デイサイトでは,FeO*/MgO比が増 加すると減少する組成変化トレンドを示す (Fig. 35)。 山と一連の組成変化トレンドを示し,FeO*/MgO比が 増加するとVが急激に増加する (Fig, 35)。これに対し て,先小御岳火山と愛鷹火山では,FeO*/MgO比が増 加するとVがやや減少する組成変化トレンドを有する。 小御岳火山では,この両方の組成変化トレンド上に位置 するものがみられる。安山岩~デイサイトでは,先小御
Fig. 28 FeO*/MgO vs. MgO and FeO* diagrams for the eruptive products of Ashitaka, pre-Komitake, Komitake, Kofuji and Shinfuji volcanoes. 1: Shinfuji volcano; 2: Kofuji vlcano; 3: Ashitaka volcano; 4: Komitake volcano; 5: pre-Komitake volcano
高橋 正樹・須合 辰也・金丸 龍夫 古富士火山,新富士火山,愛鷹火山の一部がほぼ同じ値 を示し,小御岳火山と愛鷹火山の一部がこれらよりも低 い値を有する (Fig. 36)。Rb/Y比は,玄武岩~玄武岩質 安山岩では,小御岳火山と愛鷹火山の一部,先小御岳火 9.愛鷹火山・先小御岳火山・小御岳火山・古富士火 山・新富士火山噴出物全岩液相濃集元素比の比較 (1)Rb/Zr・Rb/Nb・Rb/Y・Rb/Ba Rb/Zr比,Rb/Nb比,Rb/Ba比では,先小御岳火山,
Fig. 29 FeO*/MgO vs. Al2O3, CaO and MnO diagrams for the eruptive products of Ashitaka, pre-Komitake, Komitake, Kofuji and Shinfuji volcanoes. 1: Shinfuji volcano; 2: Kofuji vlcano; 3: Ashitaka volcano; 4: Komitake volcano; 5: pre-Komitake volcano
小御岳火山噴出物の全岩化学組成 (2)Ba/Zr・Ba/Nb・Ba/Y Ba/Zr比は,古富士火山と愛鷹火山の一部,愛鷹火山 の一部,小御岳火山の一部と先小御岳火山の一部および 新富士火山,小御岳火山の一部と先小御岳火山の一部お 山の一部と古富士火山および愛鷹火山の一部,先小御岳 火山の一部と愛鷹火山の一部および新富士火山の順に比 の値が増大する (Fig. 36)。先小御岳火山,新富士火山, 愛鷹火山の安山岩~デイサイトは最も高い値を示す。
Fig. 30 SiO2 variation diagrams for Rb, Ba and Sr contents of the eruptive products of the Ashitaka, pre-Komitake, Komitake, Kofuji and Shinfuji volcanoes. 1: Shinfuji volcano; 2: Kofuji vlcano; 3: Ashitaka volcano; 4: Komitake volcano; 5: pre-Komitake volcano
高橋 正樹・須合 辰也・金丸 龍夫 愛鷹火山の一部と小御岳火山の一部と先小御岳火山の一 部および新富士火山,先小御岳火山の一部の順に増大す る (Fig. 37)。 よび愛鷹火山の一部の順に増大する (Fig. 37)。Ba/Nb 比は各火山でほぼ同じ値を示す (Fig. 37)。Ba/Y比は, 小御岳火山の一部と古富士火山および愛鷹火山の一部,
Fig. 31 SiO2 variation diagrams for Zr, Nb and Y contents of the eruptive products of Ashitaka, pre-Komitake, Komitake, Kofuji and Shinfuji volcanoes. 1: Shinfuji volcano; 2: Kofuji vlcano; 3: Ashitaka volcano; 4: Komitake volcano; 5: pre-Komitake volcano
小御岳火山噴出物の全岩化学組成
Fig. 32 SiO2 variation diagrams for Ni, Cr, V and Sc contents of the eruptive products of Ashitaka, pre-Komitake, Komitake, Kofuji and Shinfuji volcanoes. 1: Shinfuji volcano; 2: Kofuji vlcano; 3: Ashitaka volcano; 4: Komitake volcano; 5: pre-Komitake volcano
高橋 正樹・須合 辰也・金丸 龍夫 富士火山および愛鷹火山の一部,先小御岳火山の一部と 愛鷹火山の一部の順に増大する (Fig. 38)。Zr/Nb比と Nb/Y比は,各火山でほぼ同様の値を示す (Fig. 38)。 (3)Zr/Y・Zr/Nb・Nb/Y Zr/Y比は,愛鷹火山の一部,小御岳火山と先小御岳 火山の一部および古富士火山,先小御岳火山の一部と新
Fig. 33 FeO*/MgO vs. Rb, Ba and Sr diagrams for the eruptive products of Ashitaka, pre-Komitake, Komitake, Kofuji and Shinfuji volcanoes. 1: Shinfuji volcano; 2: Kofuji vlcano; 3: Ashitaka volcano; 4: Komitake volcano; 5: pre-Komitake volcano
小御岳火山噴出物の全岩化学組成 北東溶岩グループ,小御岳北溶岩グループで,全岩主化 学組成に違いが認められる。溶岩の分布や地形などを考 慮すると,小御岳火山噴出物のうち,小御岳北東溶岩グ 10.議論 (1)溶岩グループと火山体 小御岳火山では,大堀・泉ヶ滝溶岩グループ,小御岳
Fig. 34 FeO*/MgO vs. Zr, Nb and Y diagrams for the eruptive products of Ashitaka, pre-Komitake, Komitake, Kofuji and Shinfuji volcanoes. 1: Shinfuji volcano; 2: Kofuji vlcano; 3: Ashitaka volcano; 4: Komitake volcano; 5: pre-Komitake volcano
高橋 正樹・須合 辰也・金丸 龍夫
Fig. 35 FeO*/MgO vs. Cr, Ni, Sc and V for the eruptive products of Ashitaka, pre-Komitake, Komitake, Kofuji and Shinfuji volcanoes. 1: Shinfuji volcano; 2: Kofuji vlcano; 3: Ashitaka volcano; 4: Komitake volcano; 5: pre-Komitake volcano
小御岳火山噴出物の全岩化学組成 での推定を支持している (Yoshimot et al., 2010)。この ボーリング掘削では,小御岳北東溶岩グループの下位に は直接先小御岳火山噴出物がみられ,大堀・泉ヶ滝溶岩 グループは認められないが,大堀では大堀・泉ヶ滝溶岩 グループの下位に先小御岳火山噴出物に属する無斑晶安 山岩質溶岩が直接出現しており (中野・他,2010),溶岩 ループは小御岳火山本体の北東側下位の山腹を構成して おり,それを覆って小御岳北溶岩グループが分布してい るものと考えられる (Fig. 2)。小御岳神社北北東 2kmの 地点でのボーリングコアの小御岳火山噴出物では,上位 約24mがAl2O3に富む小御岳北溶岩グループ,下位の約 55mが小御岳北東溶岩グループに対比可能であり,地表
Fig. 36 Rb vs.Zr, Rb vs.Nb, Rb vs. Y and Rb vs.Ba diagrams for the eruptive products of Ashitaka, Komitake, Kofuji and Shinfuji volcanoes. 1: Shinfuji volcano; 2: Kofuji vlcano; 3: Ashitaka volcano; 4: Komitake volcano; 5: pre-Komitake volcano
高橋 正樹・須合 辰也・金丸 龍夫 (2) 溶岩グループの全岩化学組成の違いと時間変化およ びその成因 小御岳火山は下位から順に,玄武岩質安山岩からなる 大堀・泉ヶ滝溶岩グループ,玄武岩からなる小御岳北東 溶岩グループおよび小御岳北溶岩グループの3 つの溶岩 グループからなる。これらの溶岩グループは,SiO2変化
図 やFeO*/MgO変 化 図 上 に お い て,TiO2,Na2O,
MgO,FeO*,Al2O3,CaOなどで異なる組成変化トレン ドを示しており (Fig. 3~17),異なるマグマ供給系から の分布や地形的関係を考慮すると,大堀・泉ヶ滝溶岩グ ループは小御岳北東溶岩グループよりも下位に位置する 可能性が高い。以上のことから,現存する小御岳火山噴 出物では,噴出口の異なる3つの溶岩グループが,噴出 口を北西方向に若干移動させながら,大堀・泉ヶ滝溶岩 グループ,小御岳北東溶岩グループ,小御岳北溶岩グ ループの順に噴出した可能性が高いものと思われる。こ れらの溶岩グループが異なる火山体を形作っていた可能 性も考えられる。
Fig. 37 Ba vs.Zr, Ba vs.Nb and Ba vs, Y diagrams for the eruptive products of Ashitaka, Komitake, Kofuji and Shinfuji volcanoes. 1: Shinfuji volcano; 2: Kofuji vlcano; 3: Ashitaka volcano; 4: Komitake volcano; 5: pre-Komitake volcano
小御岳火山噴出物の全岩化学組成 斑晶斜長石を有しているので,斜長石斑晶が濃集してい る可能性が大きい。他の2 つの溶岩グループも斑晶に富 んでおり,全岩化学組成の違いは,同源の斑晶結晶の付 加や同源マグマとの多様な内部マグマ混合に由来してい る可能性がある。 大堀・泉ヶ滝溶岩グループにおいて,大堀の谷に沿っ て層位的下位から上位に向かって20枚の溶岩の全岩化 学組成の時間変化を検討した結果では,SiO2量は上位に 向かってやや富んでいく傾向が認められるが最上位では もたらされた可能性がある。このうち,最もSiO2に富 み,高いFeO*/MgO比を示すのが最初期に噴出した大 堀・泉ヶ滝溶岩グループである。また,小御岳北東溶岩 グループは小御岳北溶岩グループよりもTiO2,MgO, FeO*,MnOに富み,Al2O3とCaOに乏しい。しかし, 液相濃集元素比では3つの溶岩グループに大きな違いは 認められないので (Fig. 18~20), これらは同一の親マグ マからもたらされた可能性が高い。大堀・泉ヶ滝溶岩グ ループは,高いAl2O3量とSr量を示し40vol.%におよぶ
Fig. 38 Zr vs. Y, Nb vs. Y and Nb vs. Zr diagrams for the eruptive products of Ashitaka, Komitake, Kofuji and Shinfuji volcanoes. 1: Shinfuji volcano; 2: Kofuji vlcano; 3: Ashitaka volcano; 4: Komitake volcano; 5: pre-Komitake volcano
高橋 正樹・須合 辰也・金丸 龍夫 (3) 新富士火山,古富士火山,先小御岳火山,愛鷹火山 との比較 小御岳火山のマグマ化学組成を先小御岳火山,古富士 火山,新富士火山,愛鷹火山のマグマ化学組成と比較す ると,小御岳火山のマグマの化学的特徴と最も類似した 性質を持つのは先小御岳火山と愛鷹火山のマグマであ 再び減少しており,またFeO*/MgO比は上位に向かっ てやや減少する傾向が認められるが,やはり最上位で再 び増大する (Fig. 39)。このように,同一の溶岩グループ 内では,時間と共に一方向的に組成変化することはない ようである。
Fig. 39 Stratigraphic variation for whole-rock SiO2 contents and FeO*/MgO ratios of the Obori-Izumigataki lava group along the Obori valley. Numerals denote sample numbers.
小御岳火山噴出物の全岩化学組成 謝辞 本研究を進めるに当たり,茨城大学理学部田切美智雄元教 授および藤縄明彦教授の両氏には多大なご支援を頂いた。ま た,山梨県鳴沢村からの小御岳火山の写真は日本大学文理学 部安井真也准教授に提供して頂いた。記して感謝の意を表し たい。 る。次に類似しているのが古富士火山のマグマであり, 最も異なるのが新富士火山のマグマである。時代的に も,小御岳火山と愛鷹火山の活動時期は重なっている。 ただし,小御岳火山のAl2O3量は,先小御岳火山や愛鷹 火山よりも高い値を示す。 平林 武(1900):富士及愛鷹火山地質調査報文.震災予防 調査会報告 第24号 石原初太郎(1925):富士山地質図(5 万分ノ 1).山梨県山 林会 神原信一郎(1929):富士山の地質と水理.博進館
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高橋 正樹・須合 辰也・金丸 龍夫 Sample No. Sample name SiO 2 T iO2 Al2 O3 FeO * MnO MgO CaO Na 2 O K2 O P2 O5 TOT AL Nb Zr Y Sr Rb Ba Ni Cr V Sc 1 KOM97080701 52.61 0.95 21.32 8.10 0.13 3.17 10.00 3.09 0.48 0.15 100.00 1.2 58.7 20.1 439.1 6.1 145.9 6.6 1.5 246.6 26.3 2 KOM97080702 52.60 0.93 21.32 8.03 0.13 3.19 10.11 3.06 0.47 0.14 100.00 3 KOM97080703 52.78 0.93 21.28 8.09 0.14 3.27 9.98 2.95 0.43 0.14 100.00 1.6 55.6 19.6 430.4 4.7 150.0 6.9 3.7 265.7 26.6 4 KOM97080704 52.96 0.96 21.15 8.18 0.14 3.10 9.92 2.95 0.49 0.15 100.00 5 KOM97080705 52.97 0.93 21.43 7.91 0.13 3.04 9.89 3.06 0.48 0.15 100.00 1.5 57.7 19.6 441.9 6.5 147.3 6.9 4.2 243.8 23.9 6 KOM97080706 52.89 0.94 21.33 8.00 0.13 3.11 10.02 2.95 0.48 0.15 100.00 7 KOM97080707 52.78 0.93 21.21 7.87 0.13 3.05 10.25 3.15 0.49 0.15 100.00 1.5 57.8 19.3 451.7 6.8 150.6 5.8 4.4 240.2 24.1 8 KOM97080605 52.63 0.94 21.60 7.84 0.13 2.99 10.15 3.14 0.44 0.15 100.00 1.3 57.5 19.6 451.8 3.6 170.6 5.8 4.0 246.6 25.5 9 KOM97080606 52.79 0.91 21.44 7.73 0.13 2.97 10.26 3.14 0.48 0.15 100.00 10 KOM97080607 52.72 0.93 21.35 7.89 0.13 3.12 10.13 3.11 0.48 0.15 100.00 1.2 57.6 19.9 454.1 5.2 149.9 5.0 2.4 229.3 28.5 11 KOM97080608 52.50 0.94 21.45 7.95 0.13 3.07 10.27 3.11 0.44 0.14 100.00 1.3 59.5 19.7 469.7 6.0 158.7 7.2 4.9 258.3 25.9 12 KOM97080609 52.80 0.95 20.92 8.13 0.13 3.29 10.01 3.14 0.48 0.15 100.00 13 KOM97080610 52.95 0.93 21.21 7.81 0.13 3.00 10.12 3.22 0.49 0.15 100.00 14 KOM97080611 52.89 0.94 21.21 8.04 0.13 3.16 9.97 3.05 0.47 0.15 100.00 15 KOM97080612 52.87 0.92 21.42 7.70 0.13 2.91 10.20 3.20 0.50 0.15 100.00 16 KOM97080613 52.79 0.92 21.50 7.71 0.13 2.97 10.24 3.12 0.47 0.15 100.00 17 KOM97080614 52.98 0.94 21.27 7.88 0.13 3.02 10.02 3.09 0.51 0.15 100.00 1.3 57.6 19.7 454.7 4.7 158.2 3.1 0.4 239.0 25.6 18 KOM97080615 52.78 0.94 21.16 7.94 0.13 3.11 10.12 3.15 0.51 0.15 100.00 19 KOM97080616 53.07 0.92 21.44 7.61 0.13 2.83 10.16 3.19 0.49 0.15 100.00 1.5 59.2 19.1 460.6 5.7 153.3 5.1 3.2 233.5 26.2 20 KOM97081002 52.92 0.93 21.24 7.83 0.13 3.03 10.10 3.20 0.49 0.15 100.00 21 KOM97081003 53.21 0.91 21.49 7.51 0.13 2.82 10.07 3.22 0.49 0.15 100.00 1.5 59.2 19.4 465.4 6.7 147.0 4.3 - 220.1 22.4 22 KOM97081004 52.92 0.95 21.10 7.97 0.13 2.99 10.19 3.08 0.50 0.15 100.00 23 KOM97081005 52.56 0.91 21.53 7.72 0.13 2.99 10.38 3.15 0.48 0.15 100.00 1.2 57.4 19.4 454.4 4.1 155.9 3.8 2.6 232.8 22.3 24 KOM97081006 52.42 0.94 21.81 7.88 0.13 2.98 10.23 3.09 0.37 0.15 100.00 25 KOM97081008 52.67 0.93 21.81 7.70 0.13 2.84 10.18 3.16 0.43 0.15 100.00 1.5 60.8 19.7 466.4 6.3 165.0 5.0 2.7 217.6 26.4 26 KOM97082801 52.37 0.93 22.04 7.63 0.13 2.78 10.46 3.13 0.39 0.15 100.00 27 KOM97082802 52.78 0.92 21.52 7.69 0.13 2.94 10.20 3.21 0.47 0.15 100.00 1.4 59.4 19.7 446.0 5.9 174.6 5.3 3.2 252.7 28.1 28 KOM98120301 51.62 1.16 19.07 10.42 0.16 4.24 10.02 2.76 0.41 0.15 100.00 1.3 59.3 20.1 417.7 4.5 149.7 7.4 7.9 383.9 41.4 29 KOM98120302 51.62 1.13 19.33 10.12 0.16 4.17 10.19 2.71 0.43 0.14 100.00 1.3 58.3 20.4 407.8 5.1 151.5 7.3 5.5 384.9 40.6 30 KOM98120303 51.84 1.15 19.12 10.29 0.16 4.15 9.91 2.78 0.45 0.15 100.00 1.6 58.4 20.5 399.7 5.3 144.2 7.4 7.3 392.5 32.3 31 KOM98120304 51.28 1.17 19.58 10.37 0.16 4.15 10.10 2.70 0.34 0.14 100.00 1.6 58.4 21.1 421.5 2.2 187.0 6.9 2.7 391.6 35.9 32 KOM98120305 51.46 1.18 19.42 10.47 0.17 4.19 9.88 2.73 0.35 0.15 100.00 33 KOM98120306 51.69 1.16 19.25 10.33 0.16 4.16 9.98 2.74 0.38 0.15 100.00 1.5 59.1 20.7 415.9 2.0 191.0 6.6 3.2 396.2 39.4 34 KOM98120901 51.66 1.14 19.31 10.25 0.16 4.17 9.97 2.75 0.44 0.15 100.00 1.1 55.1 20.0 413.8 3.7 185.6 8.1 3.4 390.3 32.7 35 KOM98120902 51.53 1.17 19.32 10.37 0.16 4.18 10.00 2.72 0.38 0.15 100.00 1.4 58.6 19.9 418.7 2.1 197.7 7.0 4.3 403.3 37.6 36 KOM98091305 50.77 1.08 20.52 9.73 0.14 3.89 10.62 2.73 0.39 0.14 100.00 37 KOM98091304 50.95 1.09 20.47 9.68 0.15 3.79 10.55 2.81 0.36 0.14 100.00 1.2 58.0 19.7 411.3 4.5 176.9 7.8 5.6 392.2 31.6 38 KOM98091303 50.63 1.13 20.45 9.96 0.15 3.92 10.55 2.78 0.28 0.14 100.00 1.5 55.6 19.8 451.0 5.4 200.1 7.7 4.9 385.6 32.8 39 KOM98091302 51.34 1.06 20.21 9.75 0.14 4.06 10.35 2.61 0.36 0.11 100.00 1.6 52.4 18.8 414.4 5.0 147.2 8.5 6.6 367.6 34.0 40 KOM98091301 51.42 1.04 20.19 9.59 0.14 3.90 10.46 2.70 0.41 0.14 100.00 1.3 51.0 18.9 410.1 6.0 139.1 8.7 7.4 377.8 31.9 41 KOM98110801 51.33 1.05 20.22 9.63 0.14 3.91 10.41 2.74 0.42 0.14 100.00 42 KOM98110503 51.53 1.03 20.30 9.50 0.14 3.92 10.40 2.63 0.41 0.14 100.00 Table 1 Chemical compositions of er uptive pr oducts of the Komitake volcano. 1-7: Izumigataki lava (Obori-Izumigataki lava gr oup); 8-27: Obori lava (Obori-Izumigataki lava gr oup); 28-35: Komitake NE lava gr
oup; 36-42: Komitake N lava gr
小御岳火山噴出物の全岩化学組成
Photo.A Komitake volcano viewed from Narusawa, NNW foot of the Fuji volcano.
Photo.B Closed view of the Komitake volcano. The volcanic edifice of Komitake volcano is deeply dissected and original form of volcanic cone is completely lost.
Photo.C An outcrop showing the alternation of lava and pyroclastic rock (the Obori-Izumigataki lava group) at the Izumigataki. Photo.D An outcrop showing the alternation of lava and pyroclastic rock (the Obori lava group) at the Obori valley, northern flank of the Fuji volcano. The thickness of each lava flow is about 1m.
Photo.E An outcrop showing the alternation of lava and pyroclastic rock (the Obori lava group) at the Obori valley, northern flank of the Fuji volcano. The thickness of each lava flow is about 1m.
Photo.F An outcrop showing the alternation of lava and pyroclastic rock (the Komitake N lava group) at the northern flank of Komitake volcano.
Photo.G An outcrop showing the alternation of lava and pyroclastic rock (the Obori lava group) at the Obori valley, northern flank of the Fuji volcano. The thickness of each lava flow is about 1m.
A
B
Izumigataki
高橋 正樹・須合 辰也・金丸 龍夫