• 検索結果がありません。

ron01-01/ky873454209600017498

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "ron01-01/ky873454209600017498"

Copied!
10
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

高齢者の膠原病の診断と治療

杉原 毅彦

要 約 老年病疾患の鑑別診断の中で高齢者の膠原病リウマチ疾患として重要な疾患は,関節リウマチ (RA),血管炎症候群,リウマチ性多発筋痛症,皮膚筋炎,強皮症が挙げられる.全身性エリテマトーデス の高齢での発症は稀である.関節リウマチの好発年齢は 30∼50 代であり 70 代での発症は稀とされてきたが, 近年高齢発症の関節リウマチを日常診療において多くみかける.リウマトイド因子陰性例もあり診断が難し いケースもある.また,一部の高齢発症関節リウマチは短期間で関節炎が重症化し骨破壊が進行するため, 適切な診断と治療が重要である.また血管炎症候群の好発年齢は 50∼60 代であるが,顕微鏡的多発血管炎 は高齢者で発症することも多く,予後不良となるケースも多い.リウマチ性多発筋痛症と側頭動脈炎は大部 分が高齢発症で,高齢者の不明熱,原因不明の CRP 高値の原因として,関節リウマチ,顕微鏡的多発血管 炎とともに重要な疾患である.皮膚筋炎,多発性筋炎は高齢で発症し予後不良となることがあり,初期診断 が大切である.強皮症は緩徐に進行するため,高齢者になってから発見されるケースも多い.本稿ではこれ らの膠原病リウマチ疾患の診断と治療について概説する. Key words:高齢発症関節リウマチ,血管炎,筋炎 (日老医誌 2010;47:1―10)

高齢者に多い膠原病リウマチ疾患

高齢者の膠原病リウマチ疾患で最も多くを占めるのは 関節リウマチ(RA)である.高齢者 RA は,60 歳未満 で発症した RA(younger-onset rheumatoid arthritis; YORA)と 60 歳以降に発症した高齢発症 RA(elderly-onset rheumatoid arthritis;EORA)に分類される1)

. EORA は急性発症で発熱を伴うこともあることから, 不明熱や原因不明の炎症反応高値として救急外来を受診 するケースもある.EORA 同様,高齢者で急性に発症 し発熱と全身の疼痛を生じる疾患として,リウマチ性多 発筋痛症や remitting seronegative symmetrical synovi-tis with pitting edema(RS3PE)がある.顕微鏡的多発 血 管 炎 な ど の anti-neutrophil cytoplasmic antibody (ANCA)関連血管炎や側頭動脈炎などの血管炎症候群 も,高齢者で発症することが多く,高齢者の不明熱の原 因として認識しておく必要がある.その他に,皮膚筋炎 や強皮症も高齢者で発症するケースがある.膠原病の中 で関節リウマチの次に患者数が多いとされている全身性 エリテマトーデスは高齢者での発症が少ない.

高齢者の膠原病の診断

膠原病リウマチ疾患の診断は,全身症状,臓器症状, 関節症状,皮膚症状,頭頸部症状と血液検査所見の組み 合わせから診断していく.表 1 にどのような臨床症状を 示したときにどのような膠原病リウマチ疾患を疑うべき なのかまとめた.これらの症状を身体所見,検査所見, 画像所見で評価する.しかし膠原病リウマチ疾患は発症 早期においては臨床症状が伴わないケースがあり,血液 検査からある程度推測していくことも重要といえる.表 2 に診断に有用な代表的な自己抗体とその対応疾患を示 す.

診断に有用な免疫機能検査

1)リウマトイド因子 一般的に測定されるリウマトイド因子は IgM 型の IgG の Fc 部分に対する抗体である.他に IgG 型や IgA 型も存在し,IgG 型のリウマトイド因子は RF-IgG とい う名称で測定が可能である.IgM 型のリウマトイド因 子は関節リウマチの 70∼80%,高齢発症関節リウマチ の 50% 程度で陽性となることが知られている1).しかし 表 2 に示すように関節リウマチ以外様々な疾患で陽性に なることがある.高齢者ではリウマトイド因子の陽性の 頻度が 5∼25% とされている.健常者の IgG の Fc 部分

Primer on the rheumatic diseases in the elderly

Takahiko Sugihara:東京都健康長寿医療センター膠原 病リウマチ内科

(2)

表 1 主な膠原病リウマチ疾患の臨床症状 頻度の高い膠原病リウマチ疾患 症状 部位 高齢発症関節リウマチ,悪性関節リウマチ, 発熱,全身倦怠感,貧血 全身症状 リウマチ性多発筋痛症,巨細胞性動脈炎, ANCA関連血管炎,偽痛風 悪性関節リウマチ,ANCA関連血管炎 強膜炎 眼 悪性関節リウマチ,ANCA関連血管炎,ベーチェット病 ぶどう膜炎 サルコイドーシス シェーグレン症候群,関節リウマチ 角膜炎 巨細胞性動脈炎 虚血性視神経症 ウェゲナー肉芽腫症 両側副鼻腔炎 鼻 ANCA関連血管炎 両側中耳炎 シェーグレン症候群 舌乳頭委縮 口腔 強皮症 舌小帯肥厚短縮 ベーチェット病,SLE アフタ 巨細胞性動脈炎 側頭動脈肥厚,圧痛 その他,顔 巨細胞性動脈炎 顎跛行 SLE,皮膚筋炎 顔面紅斑 関節リウマチ,悪性関節リウマチ,皮膚筋炎 /多発性筋炎,強皮症,ANCA関連血管 炎,シェーグレン症候群,MCTD 間質性肺炎 肺 関節リウマチ,ANCA関連血管炎,高齢発症 SLE 胸膜炎 ANCA関連血管炎,SLE 肺胞出血 ウェゲナー肉芽腫症,関節リウマチ 肺結節影 皮膚筋炎 縦隔気腫 強皮症,SLE 心外膜炎 心臓 ANCA関連血管炎,悪性関節リウマチ,強皮症 心筋炎 結節性多発動脈炎,劇症型抗リン脂質抗体症候群 虚血性心疾患 強皮症,MCTD,抗リン脂質抗体症候群,SLE 肺高血圧 巨細胞性動脈炎,ベーチェット病,結節性多発動脈炎 動脈瘤 ANCA関連血管炎,結節性多発動脈炎,悪性関節リウマチ 虚血性腸炎 消化管 ベーチェット病 回盲部潰瘍 SLE,シェーグレン症候群,成人発症スティル病 肝障害 結節性多発動脈炎 胆嚢炎 強皮症 逆流性食道炎 強皮症 腸管蠕動低下 ANCA関連血管炎,SLE,関節リウマチのアミロイドーシス 糸球体腎炎 腎臓 シェーグレン症候群 間質性腎炎 強皮症,結節性多発動脈炎 腎血管病変 ANCA関連血管炎,悪性関節リウマチ,結節性多発動脈炎 多発性単神経炎 神経 巨細胞性動脈炎,ベーチェット病,結節性多発動脈炎,SLE 中枢神経病変 抗リン脂質抗体症候群 SLE,MCTD 溶血性貧血 血液 SLE,抗リン脂質抗体症候群 血小板減少 成人発症スティル病,膠原病関連血球貪食症候群 DIC SLE,皮膚筋炎,抗リン脂質抗体症候群 手指紅斑 皮膚 ANCA関連血管炎,悪性関節リウマチ,SLE リベド ANCA関連血管炎,悪性関節リウマチ,シェーグレン症候群 紫斑 皮膚筋炎,ベーチェット病,サルコイドーシス,シェーグレン症候群,ウェーバーク リスチャン病,血管炎症候群 四肢,体幹の紅斑 悪性関節リウマチ,結節性多発動脈炎,ANCA関連血管炎 多発性皮膚潰瘍 強皮症,悪性関節リウマチ,結節性多発動脈炎 四肢末端梗塞

(3)

表 2 膠原病疾患で診断に有用な自己抗体 陽性となる主な疾患 対応抗原 自己抗体 関節リウマチ,その他の膠原病疾患,間質性肺炎 細菌性心内膜炎,結核,C型肝炎,ウィルス感染, 悪性腫瘍 IgG Fc部分 リウマトイド因子 全身性エリテマトーデス,混合性結合組織病,強皮症,皮膚筋炎 /多 発性筋炎,シェーグレン症候群,薬剤誘発性ループス,C型肝炎,亜 急性感染性心内膜炎,結核,橋本病,自己免疫性肝炎,原発性胆汁 性肝硬変,伝染性単核球症,human immunodeficiency virus ヒト喉頭癌由来 Hep-2細胞

抗核抗体

多発性筋炎/皮膚筋炎

間質性肺炎,レイノー症状,多関節炎,mechanic’ shandを伴う筋 炎であることが多い. 各アミノ酸の tRNA合成酵素 ヒスチジン  スレオニン,アラニンなど 抗アミノアシル tRNA合成 酵素抗体(cytoplasmic) 抗 Jo-1抗体 抗 PL-7,PL-12,OJ,EJ, KS抗体 強皮症(全身型のことが多い). トポイソメラーゼ I 抗 Scl-70抗体

(Speckled,Homogenous)

強皮症(限局型のことが多い)

原発性胆汁性肝硬変,シェーグレン症候群,慢性甲状腺炎. 健常 者で陽性になることもあり.

セントロメア 抗セントロメア抗体

(Discrete-speckled)

強皮症(保険では測定できないため, 抗核抗体の染色パターンに 注目する.) U3 RNP 抗 U3-RNP抗体, (Nucleolar) MCTD,SLE(保険収載されている抗 RNP抗体) U1 RNP 抗 U1-RNP抗 (Speckled) SLE(抗 Sm 抗体の対応抗原は抗 U1-RNP抗体の対応抗原も含まれ る為,抗 Sm 抗体陽性例は抗 RNP抗体陽性となる.) U1 RNP+ U2,U4/U6, U5 RNP 抗 Sm 抗体 (Speckled)

SLE(抗 DNA抗体は IgG,M,Aクラスの,DNAに強く結合でき る自己抗体を検出できる.抗 ds-DNA IgG抗体は,IgGクラスの自 己抗体のみ検出するが, DNAに弱く結合している自己抗体も検 出できる. したがって,SLEを疑ったら両方測定する. 二本鎖 DNA 抗 ds-DNA IgG抗体 抗 DNA抗体 (Peripheral) シェーグレン症候群,抗 SS A抗体は健常者で陽性になることもあ り注意が必要. SS A/Ro SS B/La 抗 SS A抗体(Speckled) 抗 SS B抗体(Speckled) 抗リン脂質抗体症候群,従来の抗カルジオリピン抗体より特異度 が高い. ループスアンチコアグラントの測定も併用する. カルジオリピン― β2グリコ プロテイン I 抗 CL-β2GPI抗体 顕微鏡的多発血管炎,腎限局型 ANCA関連血管炎,アレルギー性 肉芽腫性血管炎,薬剤

好中球内の Myeloperoxidase MPO-ANCA ウェゲナー肉芽腫症 好中球内の Proteinase-3 PR-3 ANCA に結合している糖鎖はガラクトースを含んでいることが 多いが,関節リウマチではガラクトースを欠損している IgG が多く認められる.ガラクトース欠損 IgG の Fc 部 分に対する抗体は測定可能で,リウマトイド因子陰性の 関節リウマチで認められることがある.

2)Anti-cyclic citrullinated peptide antibody(抗 CCP 抗体) 本邦では 2007 年 4 月より測定が可能となった.シト ルリン化酵素によってアルギニンがシトルリンに変換さ れたフィラグリンに対する自己抗体の認識部位がペプチ ドとして同定され2) ,環状化したシトルリン化ペプチド に対する抗体が抗 CCP 抗体として ELISA で測定でき るようになった.シトルリン化酵素のクローニングは日 本では老人総合研究所の石神,丸山らが中心になって行 い3),シトルリン化酵素のタイプ 4 の遺伝子多型と日本 人関節リウマチとの関連が報告された4) .日本人の早期 RA を対象とした検討では,抗 CCP 抗体は感度が 80% 以上,特異度が 90% 弱とリウマトイド因子と比較して 感度,特異度とも優れていることが報告され5) ,関節リ ウマチの早期診断において必須の検査となった.また, 関節炎を認めるが関節リウマチの分類基準を満たさない 場合も,抗 CCP 抗体が陽性例では 90% 以上が関節リウ マチに進行したことが示されている6) .また,関節破壊 の予測因子としても有用である7) .ただし,治療効果の 判定には有用でない. 3)抗核抗体 膠原病疾患,自己免疫性疾患を疑う臨床所見(表 1) を認めた場合に測定する.抗核抗体が陽性であった場合, 染色パターンに注目し,各種自己抗体を測定する.Sys-temic lupus erythematosus(SLE),mixed connective

(4)

tis-表 3 関節リウマチの分類基準

1)朝のこわばり 1時間以上が 6週間以上持続, 2)6週間以上持続する 3カ所以上の関節の腫脹,

3)6週間以上持続する手関節,中手指節関節(metacar po-phalangealjoint;MCP),近位指節関関節(proximali n-terphalangealjoint;PIP)の少なくとも一カ所での関節 の腫脹, 4)6週間以上持続する対称性の関節の腫脹, 5)リウマトイド結節, 6)血清リウマトイド因子, 7)X線写真上の骨びらん 7項目中 4項目満たすと RAとみなす. sue disease(MCTD),強皮症では感度が 90% 程度と 高いことが知られており,臨床症状が認められている場 合の診断の補助として有用である.その他に薬剤誘発性 ループス,皮膚筋炎!多発性筋炎,シェーグレン症候群 の補助診断としても有用である.血管炎症候群や関節リ ウマチでも陽性となることはあるが,診断の補助にはな らない.他に表 2 に示したような様々な疾患でも陽性と なることが知られている.20∼60 歳の健常者における 抗核抗体の陽性率は 40 倍 32%,80 倍以上 13%,320 倍 以上 3% と報告され,高齢になるとさらに陽性率が高く なる.臨床症状のない場合には抗核抗体は診断の補助に ならない.

関節リウマチ(RA)

1)EORA の特徴 RA の分類基準を表 3 に示す.YORA は,慢性の経過 で発症し,PIP,MP,手関節の腫脹疼痛,手のこわば りを認めることが多いが,EORA は YORA と比較して, 急性発症例,大関節から発症する例やリウマトイド因子 陰性例が多い1) .初期には分類不能関節炎として発症す ることも多く診断が難しいケースもある.関節破壊の進 行については YORA と同様に,発症早期から進行する こ と が 報 告 さ れ て い る8) .リ ウ マ ト イ ド 因 子 陽 性 の EORA は生命予後不良とされている9) . 2)RA の評価方法 触診と視診により滑膜炎の認められる関節を判断し, PIP 関節,MP 関節,手関節,肘関節,肩関節,膝関節 の 28 関節について腫脹関節数と圧痛関節数を数えて, 血沈,患者による全般評価(100 mm VAS)と組み合わ せて,disease activity score 28(DAS28)を計算する10)

. DAS28>5.1 を高活動性,5.1 から 3.2 を中等度活動性, DAS28<3.2 を低活動性,DAS28<2.6 を寛解と定義し ている.CRP 0.4∼2.0 mg!d l 程度でも腫脹関節数や圧 痛関節数を多数認め,骨破壊が進行することがあるため, RA の活動性を CRP や血沈などの炎症所見のみで判断 することはできない.腫脹関節数と圧痛関節数の評価は 熟練を要しリウマチ専門医の評価を受ける必要があろ う.身体機能制限については HAQ(Health Assessment Questinnaire)で評価するのが主流となっている11) .血 清マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP-3)も関節 破壊の予測因子として報告されており12) ,疾患活動性の 指標として有用である. 3)RA に対する薬物療法 近年 RA の治療を行う際に重要な考え方として,win-dow of opportunity の概念がある13) .すなわち発症早期 に RA の活動性を抗リウマチ薬による積極的な加療でコ ントロールすると,疾患活動性と関節破壊の進行を抑制 しやすくなる.また,疾患活動性が高いまま骨破壊があ る程度進行してしまうと RA の活動を抑制することが難 しくなる.現時点では,American College of Rheumatol-ogy Subcommittee on Rheumatoid Arthritis Guidelines (2002)に従った治療法14) が日本の RA の治療の主流で ある.すなわち RA の診断と DAS28 による疾患活動性 の評価を速やかに行い,3 カ月以内に抗リウマチ薬によ る治療を開始し,3 カ月後に治療効果を判定し DAS28 で中等度以上の活動性が持続する場合はメトトレキサー ト(MTX)を基本とした他の抗リウマチ薬への変更を 考慮する.初期に使用される抗リウマチ薬として日本リ ウマチ学会で推奨されているのはブシラミンとサラゾス ルファピリジンである.これらの薬剤で疾患活動性がコ ントロールできない場合は MTX やタクロリムスなど考 慮する.RA の予後不良因子15)16) として,リウマトイド 因子あるいは抗 CCP 抗体高値,罹病期間が 2 年以内で すでにレントゲン上で骨びらんが存在,身体機能制限, RA の関節外症状が挙げられており,予後不良因子をも つ高活動性 RA は MTX を基本とする治療が行われる. ただし MTX による薬剤性間質性肺炎のリスクファク ターとして高齢,糖尿病,既存の肺疾患が報告されてお り17) ,高齢者関節リウマチでは複数のリスクファクター を持っていることから,注意が必要である.MTX 使用 後も DAS28 で高活動性あるいはレントゲン上骨破壊の 進行が認められる場合は生物学的製剤18)∼21) を考慮する. 近年は DAS28 で中等度以上の活動性であっても生物学 的製剤を使用することがある.現在使用可能な生物学的 製剤は TNF 阻害薬が 3 剤,IL-6 阻害薬が 1 剤,T 細胞 あるいは B 細胞を特異的に阻害する製剤が今後承認予 定にある.高齢者 RA においても関節破壊の進行は若年 者と同様に認められるため,治療の基本は抗リウマチ薬 であり,高齢者に対する TNF 阻害薬の有効性も報告さ

(5)

表 4 リウマチ性多発筋痛症の診断基準 1)両肩の疼痛および/またはこわばり, 2)発症から症状完成まで 2週間以内, 3)初診時,赤沈 40 mm/時以上, 4)朝のこわばり(頸,肩甲帯,腰帯)1時間以上, 5)年齢 65歳以上, 6)うつ状態および /または体重減少, 7)両側上腕の圧痛 7項目中 3項目以上認めた場合 PMR疑いと判定する. れている22)23) .高齢は生物学的製剤使用中の感染症のリ スクファクターであるが24)25) ,高齢者 RA の重症感染症 合併の最大のリスクファクターはステロイド使用と日常 生活機能の低下である25)26) .自験例での検討では,疾患 活動性が高い高齢者 RA は MTX 抵抗性の症例が多く認 められ,ステロイドによる治療を中心に経過をみてコン トロール不良のまま日常生活動作を低下させてしまう と,感染症を合併しやすくなり予後が不良となることが 予想される.

悪性関節リウマチ

RA に血管炎を合併し,間質性肺炎,胸膜炎,強膜炎, 皮膚潰瘍,多発性単神経炎,虚血性腸炎,心筋炎など発 症すると悪性関節リウマチと呼ばれる.RA の罹病期間 が長く,骨破壊が進行しており,リウマトイド因子が高 値の例が多い.低補体血症,免疫複合体高値,IgG 型の リウマトイド因子高値を認めることがある.全身性血管 炎型と末梢動脈炎型と肺臓炎型の 3 型に分類される.障 害を受ける血管は中型の動脈から細動脈レベルと広範囲 に及び,全身性血管炎型では,表 1 に示したような多彩 な臓器病変がおこる.末梢動脈炎型では皮膚の梗塞,潰 瘍などと末梢神経障害が主体となる.肺臓炎型は緩徐進 行性の間質性肺炎のことが多く,急性増悪することは稀 である.Bronchiolitis obliterans organizing pneumonia を合併することもある.治療としては抗リウマチ薬によ る関節リウマチのコントロールを基本に,各病態に合わ せて 0.5 mg!kg から 1 mg!kg のプレドニゾロン(PSL) が使用される.難治例ではシクロホスファミドなどの免 疫抑制剤を併用する27)∼29) .

リウマチ性多発筋痛症(PMR)

1)PMR の診断,臨床像 通常 50 歳以上の中高年に発症し,70 歳代から 80 歳 代で最も発症頻度が高いとされている.頸部,肩,腰部, 股関節,大腿の近位筋の疼痛とこわばりが特徴的である. 急性発症で,筋痛は対称性であることが多い.同じく近 位筋の筋力低下で発症し筋痛も認めることがある皮膚筋 炎や多発性筋炎と異なり,筋原性酵素の上昇は伴わない. 典型的な症例では,赤沈 1 時間値 40 mm 以上,CRP 上 昇を認める.大部分(70∼90%)の患者は肩の疼痛を自 覚することが多く,肩関節の運動時痛や肩関節周囲の筋 把握痛が認められる.股関節や頸部の運動時痛や周囲の 筋把握痛も認められることが多い(50∼70%).肘,あ るいは膝への放散痛を訴えることもある.しばしば夜間 痛を訴え,起きあがりや衣服を着ることが困難となる. 三分の一程度では発熱,全身倦怠感,体重減少,食欲不 振などの全身症状を認める.PMR の 20% 前後で巨細胞 性動脈炎(GCA)を合併する30)31) .診断基準を表 4 に示 すが,この診断基準を満たす類似した症状を認める疾患 は多く十分に他疾患を除外する必要がある.特に感染性 心内膜炎,腎癌,卵巣癌,胃癌などの悪性腫瘍や多発性 骨髄腫などでは PMR 様症状を認めることがあり注意が 必要である.また,PMR でも末梢関節に関節炎を認め ることがあると報告されており,PMR と大関節から発 症した早期リウマトイド因子陰性の EORA は鑑別が難 しい32) 2)治療 PMR は PSL 治療への反応性が良好であることが特徴 的であり,通常 10∼20 mg の PSL を用いる.PSL に対 する反応性が不良の場合,GCA の合併や他疾患の可能 性につき再考する必要がある.PSL 減量中に関節症状 の再燃を繰り返すケースの中には,骨破壊が進行し診断 が RA と な り MTX 等 の 併 用 が 必 要 と な る こ と も あ る32) .

Remitting seronegative symmetrical synovitis

with pitting edema(RS3PE)

RS3PE はリウマトイド因子陰性で両側対称性の急性 関節炎で発症し,手背と足背に浮腫を認める.RA では 再燃することが多く関節破壊は進行性であるのに対し て,RS3PE ではステロイドへの反応がよく,再燃が少 なく関節破壊は認められない.EORA と RS3PE の鑑別 に関しては,骨びらんの存在を確認できれば EORA と 診断できるが,骨びらんの存在しない早期 EORA 例で は,RS3PE との鑑別が困難な場合がある.表 5 に臨床 的特徴を示す31) .

巨細胞性動脈炎(GCA)

1)GCA の臨床像28)∼30) GCA の発症は 50 歳以上が大部分であり,年齢ととも に発症率が増加する.GCA の組織学的特徴は中型動脈

(6)

表 5 60歳未満発症関節リウマチ(YORA),高齢発症 RA(EORA),リウマチ性多発筋痛症(PMR),RS3PE症候群 の臨床像の比較 RS3PE PMR EORA YORA 急性発症で手背,足背 の圧痕性浮腫を伴う手 関節,手指,足趾の滑 膜炎 急性発症で肩,股関節 周囲の筋痛,こわばり. 手関節や膝に関節炎伴 うことあり 慢性発症と急性発症が混 在.初発時の罹患関節は YORAより大関節から発 症する頻度が多い 慢性の経過で手関節, 手指,足趾の関節から 発症することが多い 発症様式 陰性 陰性 陽性(50%~ 60%) 陽性(70~ 80%) リウマトイド因子 陰性 陰性 陽性(60~ 70%) 陽性(80~ 90%) 抗 CCP抗体 進行なし 進行なし 進行する群と予後良好 な群が混在 進行 骨破壊 良好 良好,減量中の再発あり 良好な場合もあるが, 不完全な場合もある 一時的に良好な場合あ るが,不完全のことが 多い ステロイドへの反 応性 表 6 巨細胞性動脈炎(GCA)の分類基準 1)発症年齢 50歳以上, 2)初めて経験する局所的な頭痛, 3)頸動脈の動脈硬化と因果関係のない側頭動脈に沿った圧 痛あるいは脈拍減弱, 4)赤血球沈降速度 1時間値 50 mm 以上, 5)動脈生検で,動脈への著明な単核細胞浸潤あるいは肉芽 腫像と,通常 多核性巨細胞を伴う血管炎所見を認める 5項目中 3項目以上が認められた場合,GCAと判定する. の全層に浸潤する T 細胞とマクロファージ主体の単核 球浸潤で肉芽腫の形成が中膜に認められることがある. 臨床像は,頭部動脈を主に侵す頭蓋 GCA と,頸動脈, 鎖骨下動脈,腋窩動脈といった大動脈の分枝が主に侵さ れる大血管 GCA の大きく二つに分けることができる. 前者は側頭動脈炎としても知られている.後者は高齢発 症の高安病と臨床像を区別することは困難である.頭蓋 GCA の特徴は頭蓋外動脈枝である側頭動脈や後頭動脈 の病変により生じる頭痛で,三分の二程度に認められ, 他覚的には側頭動脈の肥厚や圧痛を認めることが多い. また,頸動脈の頭蓋内分枝が侵されると,咀嚼時に咀嚼 筋や側頭筋の運動時の虚血症状による疼痛などがおこる ことがある.最も注意すべき症状は眼動脈領域の障害に よる虚血性視神経症で,失明は突然発症し,無痛性で永 続的である.大血管 GCA では側頭動脈炎を伴わないこ とが多い.高安病と臨床像は類似し,脈の欠損,左右の 不整,血圧の左右差,上肢の運動時虚血症状など認める. また,胸部大動脈瘤を発生することがあり,危険性は 17 倍とされている28) .GCA の診断基準は表 6 に示すが, 側頭動脈の肥厚や圧痛が認められた場合は側頭動脈の生 検を行って病理学的な確定診断を行うことが基本であ る. 2)治療 治療は文献上 PSL で 40∼60 mg 必要とされるが,眼 症状がなければ高齢者では 30 mg 程度でもコントロー ルできる.眼症状を認める場合はステロイドパルス療法 (メチルプレドニゾロン 500∼1,000 mg 3 日間点滴静 注)を考慮する.ステロイドへの反応性は良好であるが, 減量が早いと再発することが多い28)

ANCA 関連血管炎

1)ANCA 関連血管炎の疾患概念 顕微鏡的多発性血管炎(MPA),ウェゲナー肉芽腫症 (WG),アレルギー性肉芽腫性血管炎(CSS)が含まれ る.本邦では MPA の頻度が多く発症年齢は 65.6±11.1 とされ18) ,WG や CSS と比較して高齢者に多く発症する 傾向にある.病理学的には中サイズの動脈から細小動脈, 毛細血管,小静脈に免疫複合体の沈着を伴わない壊死性 血管炎を認める.MPA では肉芽腫性血管炎を認めない が WG と CSS では肉芽腫性かつ壊死性血管炎であるこ とが特徴的である33) . 2)MPA の臨床症状と診断33) MPA,WG,CSS は中サイズから細動脈レベルの血 管炎であることからの臨床像に共通点が多い.発熱,全 身倦怠感,体重減少,関節痛,筋肉痛といった症状が持 続し,赤沈の亢進や CRP 高値が持続し,肺,心臓,腎 臓,消化管,神経,皮膚に多彩な病変がおこる.本邦の 診断基準を表 7 に示す.臓器病変としては糸球体腎炎が 重要で,病理学的には半月体形成性糸球体腎炎を示し急 速に腎不全が進行することがある.肺病変では間質性肺 炎,胸膜炎,肺胞出血をおこすことがある.神経症状で は多発性単神経炎が最も頻度が多く,稀ながら中枢神経 病変を起こし脳出血をおこす.また虚血性腸炎による消 化管出血や心筋炎による心不全などの重篤な合併症を起

(7)

表 7 顕微鏡的多発性血管炎(MPA)の診断基準 主要症候 1)急速進行性糸球体腎炎,2)肺出血もしくは間質性肺炎, 3)腎,肺以外の臓器症状 紫斑,皮下出血,消化管出血,多発性単神経炎など 主要組織所見 細動脈,毛細血管・後毛細血管細静脈の壊死,血管周囲の炎症細胞浸潤 主要検査所見 1)MPO-ANCA陽性,2)CRP陽性 3)蛋白尿,血尿,クレアチニン上昇 4)胸部 X線所見浸潤陰影(肺出血),間質性肺炎 判定 確実 主要症候 2項目以上かつ組織所見陽性,主要症候 1),2)と MPO-ANCA陽性 疑い 主要症候 3項目陽性,主要症候 1項目と MPO-ANCA陽性 こすこともある.これらの臨床症状を認めたら好中球中 の脱顆粒である myeloperoxidase(MPO)と proteinase-3(PR-3)を対応抗原とする ANCA を測定する.MPA では 70∼80%,CSS で 50∼70% が MPO-ANCA 陽性と な り,WG で は 90% で PR3-ANCA 陽 性 と な る.さ ら に皮膚,神経,腎,肺,副鼻腔などに病変がある場合は 生検により血管炎の存在を確定する34) .WG との鑑別点 は,WG では 90% 以上で眼,鼻,上気道,耳に病変を 伴うこと,空洞を伴う多発性の結節影を伴うことである. 組織学的に肉芽腫性血管炎認めた場合は,MPO-ANCA 陽性でも WG と診断する.CSS では血管炎の発症数カ 月前から数年前に喘息を発症しているのが特徴的であ り,末梢血の好酸球増多を認めることから,MPA,WG との鑑別は容易である. 3)MPA の治療35) 2004 年 の 厚 労 省 難 治 性 血 管 炎 研 究 班 に よ る MPO-ANCA 関連血管炎に対する標準的治療プロトコールが 参考となる.急速進行性糸球体腎炎や急速に進行する肺 出血等の肺病変,心筋病変,下血などの重篤な消化管病 変,脳出血などの中枢神経病変が認められる場合は PSL 換算で 1 mg!kg の使用とシクロホスファミドの併用に 加えて,血漿交換を検討する.寛解導入後の維持療法に はアザチオプリンや MTX が使用されることが多い. 高齢者では感染症の合併が問題で,感染症の合併が 65 歳以上で多いこと36) ,生命予後は高齢者のほうが不良で 肺炎を合併する頻度が有意に高いこと37) が報告されてい る.一方で,高齢者では上記のような重症例もあるが軽 症例で発見されるケースも多い.標準的治療プロトコー ルでは末梢神経炎型,肺線維症型,筋・関節型,発熱が 主体のタイプが軽症例に位置付けられており,0.3∼0.6 mg!kg 程度の使用を推奨している.高齢者で 1 mg!kg を使用すると重篤な感染症を合併することが多いため, 必要以上に PSL を投与しないことが重要である.

結節性多発性動脈炎(PN)

27)∼29) MPA と比較すると頻度は少なく,本邦では稀な疾患 といえる.中型および小動脈でのみ壊死性血管炎を認め ることから,MPA と異なり糸球体腎炎や間質性肺炎の 合併は稀とされている.血清学的に診断に有用な検査は なく,ANCA は陰性であることが多い.腎動脈や腸間 膜動脈に病変を認め,動脈瘤や動脈の狭窄を認め,顕微 鏡的血尿や腎血管性高血圧,動脈瘤の破裂による腹腔内 出血,食後の腹痛で代表される腹部アンギナ,虚血性腸 炎,胆のう炎や虫垂炎などおこす.確定診断は血管造影 で行う.多発性単神経炎,皮膚潰瘍,筋肉痛を伴うこと もあり,神経,筋あるいは皮膚生検で診断できることも ある.

皮膚筋炎(DM),多発性筋炎(PM)

1)PM!DM の臨床症状38) PM!DM は,頸部や四肢の近位筋に炎症をおこす自己 免疫疾患である.DM では診断基準(表 8)に示される ような特徴的な皮膚症状を認め日光暴露で増悪する.こ のほか,また,手指の角質化と色素沈着がみられ me-chanic s hand と呼ばれる.四肢の近位筋群の筋力低下 は慢性ないし亜急性に進行し,階段の昇降,上肢の挙上, 起床時の頭部挙上などが徐々に困難となる.生化学検査 でクレアチンキナーゼなどの筋原性酵素の持続的な上昇 を認める.筋肉 MRI で,脂肪抑制 T2 強調画像で high に認められる炎症部位を同定することができる.筋電図 あるいは MRI で所見の認められた部位で筋生検を検討 する.筋炎特異的自己抗体の抗 Jo-1 抗体の感度は 20∼ 30% と低い.封入体筋炎,甲状腺機能低下症などの内 分泌疾患,代謝性疾患,ウイルス感染症,薬剤の影響, 他の膠原病,進行性筋ジストロフィーを除外する必要が ある.PM!DM の間質性肺炎の合併頻度は 10∼50% 程 度と考えられており,間質性肺炎を合併する症例の方が 生命予後は悪いとされている39).PM!DM 診断時ないし 経過中に,肺,消化管,婦人科領域などの悪性腫瘍を合 併する頻度は,報告により異なるが,DM 15∼42%,PM 9∼18% とされ40),高齢者では特に注意する. 2)PM!DM の治療 PM!DM の治療に関する大規模なコントロールスタ ディは行われていない.筋炎の治療の第一選択肢はステ

(8)

表 8 皮膚筋炎・多発性筋炎の診断基準 (1)皮膚症状 (a)ヘリオトロープ疹:両側又は片側の眼瞼部の紫紅色浮腫性紅斑 (b)ゴットロンの徴候:手指関節背面の角質増殖や皮膚萎縮を伴う紫紅色紅斑 (c)四肢伸側の紅斑:肘,膝関節などの背面の軽度隆起性の紫紅色紅斑 (2)上肢又は下肢の近位筋の筋力低下 (3)筋肉の自発痛又は把握痛 (4)血清中筋原性酵素(クレアチンキナーセまたはアルドラーゼ)の上昇 (5)筋電図の筋原性変化 (6)骨破壊を伴わない関節炎又は関節痛 (7)全身性炎症所見(発熱,CRP上昇,又は赤沈亢進) (8)抗 Jo-1抗体陽性 (9)筋生検で筋炎の病理所見:筋線維の変性及び細胞浸潤 皮膚筋炎 :(1)の皮膚症状の(a)~(c)の 1項目以上を満たし,かつ経過中 に(2)~(9)の 項目中 4項目以上を満たすもの 多発性筋炎:(2)~(9)の項目中 4項目以上を満たすもの 表 9 全身性強皮症の分類基準 大基準 指の皮膚および中手指関節あるいは中足趾節関節より近位の皮膚の対称性肥厚,緊張 および硬化.変化は肢全体,顔面,頸部および体幹(胸腹部)に及ぶことがある 小基準 1.手指硬化 上述の皮膚変化が手指に限局する 2.指の陥凹性瘢痕,あるいは手指の膨らみの喪失 3.両肺基部の肺線維症 大基準 1項目あるいは小基準 2項目以上満たす全身性強皮症とする. ロイド療法であり,筋力低下の改善と筋原性酵素の正常 化を目標に,プレドニゾロン 1 mg!kg を 4∼6 週間投与 する.ステロイド抵抗性筋炎の症例ではメトトレキサー ト,アザチオプリン,シクロスポリンなどの免疫抑制薬 の併用を考慮する.免疫抑制薬抵抗性の症例や,免疫抑 制薬を使用できない症例では,免疫グロブリン大量療法 を考慮する.間質性肺炎はステロイド療法開始後に筋炎 が改善後も進行する場合があり注意が必要である.亜急 性ないし急性に進行する間質性肺炎はステロイド抵抗性 のことが多く,特に筋炎症状が軽度で皮膚症状主体で間 質性肺炎が進行する例は極めて予後不良で,早期からタ クロリムス,シクロスポリン,シクロホスファミドなど の免疫抑制薬を導入する必要がある38)41) .

全身性強皮症

1)全身性強皮症の臨床症状42) 発症のピークは 35∼65 歳で,男女比は 1 対 7∼12 と される.初期症状はレイノー現象,易疲労感,関節痛と いった非特異的な症状で,その後手指の浮腫性腫脹,手 背から前腕にかけての皮膚の肥厚と硬化,顔面,体幹の 皮膚の肥厚と硬化が出現する.診断まで時間がかかるこ とが多く,高齢者になってから診断されることもめずら しくない.診断基準は表 9 に示す.強皮症は広範囲型と 限局型に分類される.限局型全身性強皮症は四肢遠位部 のみに皮膚硬化を認め,体幹には認めない.レイノー症 状が 1∼10 年持続してから典型的皮膚症状が出現するこ とがある.臓器病変は軽微なことが多いが,稀に肺高血 圧症や指趾の虚血や切断を必要とするような閉塞性動脈 疾患を合併することがある.血清学的には抗セントロメ ア抗体陽性となる.皮下石灰化,レイノー現象,食道運 動機能低下,手指硬化,毛細血管拡張を伴う CREST 症 候群は限局型全身性強皮症に属する.広範囲型全身性強 皮症では四肢遠位部のみでなく近位部や体幹の皮膚硬化 が 2∼3 年の経過で進行する.血清学的には抗 RNA po-lymeraseI 抗体,抗 U3-RNP 抗体,抗 Scl-70 抗体が陽性 となることがある.抗 RNA polymeraseI 抗体,抗 U3-RNP 抗体は直接測定できないが抗核抗体で核小体型を 示す.肺,心臓,消化管,腎臓などの臓器症状は早い段 階からを伴うことがある.肺では間質性肺炎が認められ, 定期的な画像と呼吸機能検査でのフォローを必要とす る.大多数では病初期に進行後安定するが,約 20% 程 度で進行性の間質性肺炎を認めることがある.肺高血圧 も重要な合併症である.心臓病変では心筋の繊維化に伴 う不整脈,心機能低下が問題となることがある.無症候

(9)

性の心囊水を合併することあるが心タンポナーデになる ことは稀とされている.消化管では食道病変が多く認め られ難治性の逆流性食道炎を認めることがある.小腸の 蠕動低下は腸閉塞の原因となることがあり,進行すると 腸内ガスの腸壁内へ侵入によって腸壁囊胞状気腫を合併 し予後不良となることがある.腎病変ではいわゆる強皮 症腎といわれる腎クリーゼを発症し血尿,たんぱく尿を 伴って急速に腎不全が進行することがある.通常高血圧 を伴うが正常血圧のこともある. 2)全身性強皮症の治療 レイノー症状に対してはカルシウム拮抗薬,プロスタ グランジン製剤が使用される.皮膚症状に対しては初期 の浮腫性の変化が強いときに少量ステロイドを使用する ことがある.中等量以上の PSL は強皮症腎の危険因子 となるため原則使用しない43) .強皮症腎は早期に ACE 阻害薬を使用することで,腎不全の進行を防ぐことがで きる44).進行性の間質性肺炎に対してはステロイド療法 とシクロホスファミドの併用療法が行われる45) .その他 にシクロスポリン,タクロルムス,アザチオプリンが使 用されることがある.肺高血圧に対しては原発性肺高血 圧同様,プロスタサイクリンの持続静注やエンドセリン 受容体拮抗薬などが使用される42) .

1)Deal CL, Meenan RF, Goldenberg DL, Anderson JJ, Sack B, Pastan RS, et al.: The clinical features of elderly-onset rheumatoid arthritis. A comparison with younger-onset disease of similar duration. Arthritis Rheum 1985; 28: 987―994.

2)Schellekens GA, de Jong BA, van den Hoogen FH, van de Putte LB, van Venrooij WJ: Citrulline is an essen-tial constituent of antigenic determinants recognized by rheumatoid arthritis-specific autoantibodies. J Clin In-vest 1998; 101: 273―281.

3)Ishigami A, Ohsawa T, Asaga H, Akiyama K, Kuramoto M, Maruyama N: Human peptidylarginine deiminase type II: molecular cloning, gene organization, and ex-pression in human skin. Arch Biochem Biophys 2002; 407: 25―31.

4)Suzuki A, Yamada R, Chang X, Tokuhiro S, Sawada T, Suzuki M, et al.: Functional haplotypes of PADI4, encod-ing citrullinatencod-ing enzyme peptidylarginine deiminase 4, are associated with rheumatoid arthritis. Nat Genet 2003; 34: 395―402.

5)Suzuki K, Sawada T, Murakami A, Matsui T, Tohma S, Nakazono K, et al.: High diagnostic performance of ELISA detection of antibodies to citrullinated antigens in rheumatoid arthritis. Scand J Rheumatol 2003; 32: 197― 204.

6)van Gaalen FA, Linn-Rasker SP, van Venrooij WJ, de Jong BA, Breedveld FC, Verweij CL, et al.:

Autoanti-bodies to cyclic citrullinated peptides predict progres-sion to rheumatoid arthritis in patients with undifferenti-ated arthritis: a prospective cohort study. Arthritis Rheum 2004; 50: 709―715.

7)Kroot EJ, de Jong BA, van Leeuwen MA, Swinkels H, van den Hoogen FH, van t Hof M, et al.: The prognostic value of anti-cyclic citrullinated peptide antibody in pa-tients with recent-onset rheumatoid arthritis. Arthritis Rheum 2000; 43: 1831―1835.

8)Khanna D, et al.: Increased radiographic damage scores at the onset of seropositive rheumatoid arthritis in older patients are associated with osteoarthritis of the hands, but not with more rapid progression of damage. Arthri-tis Rheum 2005; 52: 2284―2292.

9)Glennås A, Kvien TK, Andrup O, Karstensen B, Munthe E: Recent onset arthritis in the elderly: a 5 year longitu-dinal observational study. J Rheumatol 2000; 27: 101―108. 10)Prevoo ML, van t Hof MA, Kuper HH, van Leeuwen

MA, van de Putte LB, van Riel PL: Modified disease ac-tivity scores that include twenty-eight-joint counts. De-velopment and validation in a prospective longitudinal study of patients with rheumatoid arthritis. Arthritis Rheum 1995; 38: 44―48.

11)Matsuda Y, Singh G, Yamanaka H, Tanaka E, Urano W, Taniguchi A, et al.: Validation of a Japanese version of the Stanford Health Assessment Questionnaire in 3,763 patients with rheumatoid arthritis. Arthritis Rheum 2003; 49: 784―788.

12)Yamanaka H, Matsuda Y, Tanaka M, Sendo W, Nakajima H, Taniguchi A, et al.: Serum matrix metallo-proteinase 3 as a predictor of the degree of joint destruc-tion during the six months after measurement, in pa-tients with early rheumatoid arthritis. Arthritis Rheum 2000; 43: 852―858.

13)Boers M: Understanding the window of opportunity con-cept in early rheumatoid arthritis. Arthritis Rheum 2003; 48: 1771―1774.

14)American College of Rheumatology Subcommittee on Rheumatoid Arthritis Guidelines: Guidelines for the man-agement of rheumatoid arthritis: 2002 Update. Arthritis Rheum 2002; 46: 328―346.

15)Saag KG, Teng GG, Patkar NM, Anuntiyo J, Finney C, Curtis JR, et al.: American College of Rheumatology 2008 recommendations for the use of nonbiologic and biologic disease-modifying antirheumatic drugs in rheumatoid arthritis. Arthritis Rheum 2008; 59: 762―784.

16)Combe B, Dougados M, Goupille P, Cantagrel A, Eliaou JF, Sibilia J, et al.: Prognostic Factors for Radiographic Damage in Early Rheumatoid Arthritis. Arthritis Rheum 2001; 44: 1736.

17)Alarcón GS, Kremer JM, Macaluso M, Weinblatt ME, Cannon GW, Palmer WR, et al.: Risk factors for methotrexate-induced lung injury in patients with rheu-matoid arthritis. A multicenter, case-control study. Methotrexate-Lung Study Group. Ann Intern Med 1997; 127: 356.

18)Klareskog L, van der Heijde D, de Jager JP, Gough A, Kalden J, Malaise M, et al.: Therapeutic effect of the

(10)

com-bination of etanercept and methotrexate compared with each treatment alone in patients with rheumatoid arthri-tis: double-blind randomised controlled trial. Lancet 2004; 363: 675.

19)Lipsky PE, van der Heijde DM, St Clair EW, Furst DE, Breedveld FC, Kalden JR, et al.: Infliximab and methotrexate in the treatment of rheumatoid arthritis. Anti-Tumor Necrosis Factor Trial in Rheumatoid Ar-thritis with Concomitant Therapy Study Group. N Engl J Med 2000; 343: 1594―1602.

20)Scott DL, Kingsley GH: Tumor necrosis factor inhibitors for rheumatoid arthritis. N Engl J Med 2006; 355: 704― 712.

21)Goekoop-Ruiterman YP, de Vries-Bouwstra JK, Allaart CF, van Zeben D, Kerstens PJ, Hazes JM, et al.: Compari-son of Treatment Strategies in Early Rheumatoid Ar-thritis A Randomized Trial. Ann Intern Med 2007; 146: 406.

22)Genevay S, Finckh A, Ciurea A, Chamot AM, Kyburz D, Gabay C: Tolerance and effectiveness of anti-tumor ne-crosis factor alpha therapies in elderly patients with rheumatoid arthritis: a population-based cohort study. Arthritis Rheum 2007; 57: 679.

23)Fleischmann RM, Baumgartner SW, Tindall EA, Weaver AL, Moreland LW, Schiff MH: Response to etanercept (Enbrel) in elderly patients with rheumatoid arthritis: a retrospective analysis of clinical trial results. J Rheuma-tol 2003; 30: 691.

24)Harigai M, Koike R, Miyasaka N: Pneumocystis pneumo-nia associated with infliximab in Japan. N Engl J Med 2007; 357: 1874.

25)Wolfe F, Caplan L, Michaud K: Treatment for rheuma-toid arthritis and the risk of hospitalization for pneumo-nia: associations with prednisone, disease-modifying an-tirheumatic drugs, and anti-tumor necrosis factor ther-apy. Arthritis Rheum 2006; 54: 628.

26)Schneeweiss S, Setoguchi S, Weinblatt ME, Katz JN, Avorn J, Sax PE, et al.: Anti-tumor necrosis factor alpha therapy and the risk of serious bacterial infections in eld-erly patients with rheumatoid arthritis. Arthritis Rheum 2007; 56: 1754.

27)Koopman WJ: Arthritis and allied conditions, 14th

edition, p1085―1810.

28)橋本博史 2002 厚生労働省,難治性血管炎に対する調 査研究班.

29)日本リウマチ学会:Primer on the Rheumatic Diseases, 日本語版,12 版,2001.

30)Salvarani C, Cantini F, Boiardi L, Hunder GG: Polymyal-gia rheumatica and Polymyal-giant-cell arteritis. N Engl J Med 2002; 347: 261―271.

31)Yazici Y, Paget SA: Elderly-onset rheumatoid arthritis. Rheum Dis Clin North Am 2000; 26: 517―526.

32)Caporali R, Montecucco C, Epis O, Bobbio-Pallavicini F, Maio T, Cimmino MA: Presenting features of polymyal-gia rheumatica (PMR) and rheumatoid arthritis with PMR-like onset: a prospective study. Ann Rheum Dis 2001; 60: 1021―1024.

33)Jennette JC, Falk RJ: Small-vessel vasculitis. N Engl J Med 1997; 337: 1512―1523.

34)Bosch X, Guilabert A, Font J: Antineutrophil cytoplas-mic antibodies. Lancet 2006; 368: 404―418.

35)Langford CA: Treatment of ANCA-associated vasculitis. N Engl J Med 2003; 349: 3―4.

36)Bourgarit A, Le Toumelin P, Pagnoux C, Cohen P, Mahr A, Le Guern V, et al.: Deaths Occurring During the First Year After Treatment Onset for Polyarteritis Nodosa, Microscopic Polyangiitis, and Churg-Strauss Syndrome: A Retrospective Analysis of Causes and Factors Predic-tive of Mortality Based on 595 Patients. Medicine 2005; 84: 323―330.

37)Chen M, Yu F, Zhang Y, Zhao MH: Antineutrophil Cyto-plasmic Autoantibody-Associated Vasculitis in Older Pa-tients. Medicine 2008; 87: 203―209.

38)Dalakas MC, Hohlfeld R: Polymyositis and dermato-myositis. Lancet 2003; 362: 971―982.

39)Marie I, Hachulla E, Cherin P, Dominique S, Hatron PY, Hellot MF, et al.: Interstitial lung disease in polymyositis and dermatomyositis. Arthritis Rheum 2002; 47: 614―622. 40)Sigurgeirsson B, Lindelöf B, Edhag O, Allander E: Risk of cancer in patients with dermatomyositis or polymyositis. A population-based study. N Engl J Med 1992; 326: 363― 367.

41)Takada K, Nagasaka K, Miyasaka N: Polymyositis !der-matomyositis and interstitial lung disease: a new thera-peutic approach with T-cell-specific immunosuppres-sants. Autoimmunity 2005; 38: 383―392.

42)Charles C, Clements P, Furst DE: Systemic sclerosis: hypothesis-driven treatment strategies. Lancet 2006; 367: 1683―1691.

43)DeMarco PJ, Weisman MH, Seibold JR, Furst DE, Wong WK, Hurwitz EL, et al.: Predicta and Outcomes of Scleroderma Renal Crisis. Arthritis Rheum 2002; 46: 2983―2989.

44)Steen VD, Medsger TA Jr: Long-term outcomes of scleroderma renal crisis. Ann Intern Med 2000; 133: 600― 607.

45)Tashkin DP, Elashoff R, Clements PJ, Goldin J, Roth MD, Furst DE, et al.: Cyclophosphamide versus placebo in scleroderma lung disease. N Engl J Med 2006; 354: 2655― 2666.

表 1 主な膠原病リウマチ疾患の臨床症状 頻度の高い膠原病リウマチ疾患症状部位 高齢発症関節リウマチ,悪性関節リウマチ,発熱,全身倦怠感,貧血全身症状 リウマチ性多発筋痛症,巨細胞性動脈炎, ANCA関連血管炎,偽痛風 悪性関節リウマチ,ANCA関連血管炎強膜炎眼 悪性関節リウマチ,ANCA関連血管炎,ベーチェット病ぶどう膜炎 サルコイドーシス シェーグレン症候群,関節リウマチ角膜炎 巨細胞性動脈炎虚血性視神経症 ウェゲナー肉芽腫症両側副鼻腔炎鼻 ANCA関連血管炎両側中耳炎 シェーグレン症候群舌乳頭委縮口
表 2 膠原病疾患で診断に有用な自己抗体 陽性となる主な疾患対応抗原自己抗体 関節リウマチ,その他の膠原病疾患,間質性肺炎 細菌性心内膜炎,結核,C型肝炎,ウィルス感染, 悪性腫瘍IgG Fc部分リウマトイド因子 全身性エリテマトーデス,混合性結合組織病,強皮症,皮膚筋炎 /多 発性筋炎,シェーグレン症候群,薬剤誘発性ループス,C型肝炎,亜 急性感染性心内膜炎,結核,橋本病,自己免疫性肝炎,原発性胆汁 性肝硬変,伝染性単核球症,human  i mmunodef i c i enc y  vi r usヒト
表 5 60歳未満発症関節リウマチ(YORA),高齢発症 RA(EORA),リウマチ性多発筋痛症(PMR),RS3PE症候群 の臨床像の比較 RS3PEPMREORAYORA 急性発症で手背,足背 の圧痕性浮腫を伴う手 関節,手指,足趾の滑 膜炎急性発症で肩,股関節周囲の筋痛,こわばり.手関節や膝に関節炎伴うことあり慢性発症と急性発症が混在.初発時の罹患関節はYORAより大関節から発症する頻度が多い慢性の経過で手関節,手指,足趾の関節から発症することが多い発症様式 陰性陰性陽性(50%~ 60%)陽性(70
表 8 皮膚筋炎・多発性筋炎の診断基準 (1)皮膚症状 (a)ヘリオトロープ疹:両側又は片側の眼瞼部の紫紅色浮腫性紅斑 (b)ゴットロンの徴候:手指関節背面の角質増殖や皮膚萎縮を伴う紫紅色紅斑 (c )四肢伸側の紅斑:肘,膝関節などの背面の軽度隆起性の紫紅色紅斑 (2)上肢又は下肢の近位筋の筋力低下 (3)筋肉の自発痛又は把握痛 (4)血清中筋原性酵素(クレアチンキナーセまたはアルドラーゼ)の上昇 (5)筋電図の筋原性変化 (6)骨破壊を伴わない関節炎又は関節痛 (7)全身性炎症所見(発熱,CRP上昇,又は

参照

関連したドキュメント

This study examined the influence of obstacles with various heights positioned on the walkway of the TUG test on test performance (total time required and gait parameters)

 In conclusion, IFN-α alternation therapy is one treatment option for mRCC patients in whom first- line IFN-α treatment failed if the patient has only lung or

Methods: IgG and IgM anti-cardiolipin antibodies (aCL), IgG anti-cardiolipin-β 2 glycoprotein I complex antibody (aCL/β 2 GPI), and IgG anti-phosphatidylserine-prothrombin complex

(2011a) Examination of validity of fall risk assessment items for screening high fall risk elderly among the healthy community-dwelling Japanese population. (2011b) Setting

Optimal control theory for chemotherapy: a set of optimal drug therapies is calculated that minimize the tumor population by the end of the treatment period, while keeping

Standard domino tableaux have already been considered by many authors [33], [6], [34], [8], [1], but, to the best of our knowledge, the expression of the

An example of a database state in the lextensive category of finite sets, for the EA sketch of our school data specification is provided by any database which models the

Let G be a cyclic group of order n, and let (C, D, D') be a partial difference triple over G associated with a nontrivial strongly regular semi-Cayley graph F with parameters 2n, k,