第 7 章 外国勢力によるアメリカの政治過程への介入
−メディア環境の変容と中国の事例を中心に−
渡辺 将人
はじめに
2016
年アメリカ大統領選挙においてロシアによるサイバー攻撃などの選挙干渉がドナル ド・トランプ(Donald Trump)勝利に影響を与えたとされる問題以降、主としてオンライ ン技術を介した外国勢力の介入が焦眉の課題になっている。アメリカではオンラインの支 持者ネットワーク作りを重視した2008
年のバラク・オバマ(Barack Obama)の大統領選 挙以降、ソーシャルメディアが選挙に必須のツールとして定着している。だが、2016年選 挙以降、ソーシャルメディアは「フェイクニュース」の流布を加速させ、かつては相手陣 営の批判広告に限定されていたネガティブ・キャンペーンも匿名で際限なく拡散する問題 を顕在化させた。アメリカでは1996
年以降プロバイダ(ISP)の免責を定めた通信品位法230
条がネット空間の自由を担保してきたが、オンライン技術の予期せぬ応用には政策上 の対応が追いついていない。外国からの介入を狭義の選挙に限定し、投票装置や票数の操作、陣営へのハッキングな どのサイバー攻撃を注視するか、それとも世論形成など選挙前後の期間の政治過程全体へ の包括的な影響を含むかで定義は揺れる。本稿はアメリカの選挙への中国の影響はロシア ほど大きくないが、政治過程全体、ひいては外交への影響を考慮するとすれば中国型介入 は質的に看過できないと考える。中国型介入の理解には、技術的側面とは別に、メディア 環境とアメリカの移民社会の分析を要する。そこで本稿では主流メディアの衰退とソー シャルメディアの拡大というメディア環境の変化経緯、コロナ禍、分極化、移民社会の特 性がどう作用しているかの文脈を確認する。
2020
年の事例をとりわけ中国に焦点を絞って 観察し、2016年のロシアによる介入に関して豊富に蓄積されつつある先行分析1に貢献す る。1.外国介入の類型
外国による選挙への介入についてアメリカ国家情報長官室(ODNI、以下
ODNI)は以下
のように定義している。選挙誘導(election influence)とは外国政府や外国政府の代理のア
クターによる、アメリカの選挙に直接、間接に影響を与えることを意図した工作活動で、工作対象には候補者、政党、有権者と彼らの選好や政治過程が含まれる。他方、選挙干渉
(election interference)とは、それよりも狭い概念で、選挙人登録、投票と開票、結果発表 など選挙の技術的側面に照準を合わせた選挙誘導で、選挙誘導の一形態という位置づけで ある。
2021
年3
月、ODNIは2020
年大統領選挙についての報告書「2020年連邦選挙に対する 海外脅威」を発表し、主要5
点の知見を明らかにしている2。概要は以下の通りだ。第
1
に、2020
年大統領選挙の投票過程における技術的な側面に外国勢力が影響を与えた 痕跡は見当たらなかった。第
2
に、ロシアのプーチン(Vladimir Putin)大統領が、バイデン(Joe Biden)候補に否定的な作用を与えてトランプ大統領を利するための工作を承認したとする見通しを示し た。選挙過程への公共的な信頼を毀損し、アメリカの社会と政治の分断を増幅することを 狙いとしていたとみられる。しかし、2016年とは異なり、電子インフラへの侵入を試みる ロシアのサイバー攻撃は発見されなかった。バイデンについての誤解の種になるナラティ ブを拡散することが意図されたとみられる。
第
3
に、イランもトランプ再選を挫くために多面的な工作に従事していた。しかし、そ れは必ずしもバイデンを支援する工作ではなく、アメリカの分断を深めさせることに焦点 が絞られていた。第
4
に、中国は大統領選挙の結果をねじ曲げるための選挙干渉を展開したわけでない。中国政府は大統領選における介入工作の実施は控えたとみられる。アメリカ政府はかねて 中国がサイバー工作でスパイ活動を展開していると非難してきたが、2020年大統領選挙で は勝者がどちらになっても中国に優勢を確約するものではないと中国が判断し、経済やロ ビイングを通じた影響の浸透に努めたとみられる。
第
5
に、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラ、ベネズエラ、キューバも小規模 ながら影響を与えることを試みたが、多くは経済的な動機である可能性がある。米司法省と国土安全保障省の合同調査でも概ね同様の結論を導いている3。米英の情報機 関は
2020
年8
月の段階では、ロシア、イラン、中国が大統領選挙への介入を画策している と警告していたが、選挙の運営面においてはトランプ陣営が主張した「不正選挙」に絡む 関連性も報告されていない。しかし、ODNIの報告はあくまで「干渉」「介入」を狭く定義した際の結論だ。ブルッキ ングス研究所のウエスト(
Darrell West
)、アトランティック評議会のブルッキング(Emerson Brooking)、元 NSA
でハーバード大学のモリウチ(Priscilla Moriuchi)らの知見を総括した 外交安保専門ジャーナリストのカービー(Jen Kirby)は、中国型介入はロシア型のハッキ ングの手法を模倣するような動機はないと論じる。ブルッキングによれば、中国はアメリ カの「干渉(meddling)」概念を逸脱した方法でアメリカ国内での影響を拡大しており、偽 アカウントやbot
製造に依存しない多層的な力を保持している。中国がアメリカに応戦する上で
トランプの再選を望んでいたわけではないと
ODNI
も予測しているが、特定候補への支援 やハッキングが主目的でなかっただけで、既存の干渉概念上、ロシアよりも脅威度を低く 見積もられている可能性がある。むしろ中国の工作の主眼は大統領選挙年の政治過程の力 学を梃子にアメリカ国内の政策環境を中国に有利に誘導することだったとみられ、トラン プ大統領の香港、中国発のアプリTikTok、南シナ海への言動には特に過敏に反応したこと
が指摘されている5。アメリカ人の91%が中国からのサイバー攻撃を深刻な問題と捉えて
いる(そのうち65%
が「極めて深刻」と回答)が6、ロシア型が選挙結果を操作する短期 の「干渉」に傾く中、中国型はモリウチが示唆するように「長期戦(the long game)」に取 り組んでいる点に違いがある。2.メディアと選挙のオンライン化の系譜
外国介入を可能としたソーシャルメディアの台頭は、マスメディアの衰退と呼応してい る。2017年調査によれば、テレビを半数前後が視聴する世代は既に
65
歳以上だけである7。2019
年調査では「政治ニュースの入手源」は、ソーシャルメディア(18%
)、ニュースサ イトやアプリ(25%)、ケーブルテレビ(16%)、ローカルテレビ(16%)、ネットワーク(13%)、ラジオ(8%)、活字媒体(3%)だった。ソーシャルメディアの政治ニュース取得での利用 は
29
歳以下の49%
、65
歳以上の3%
で世代差が顕著である8。こうした状況に至るまでの メディア変遷を本稿では暫定的に4
段階に分類する。第
1
に、旧メディア全盛期である。途中、1950
年代に新聞からテレビへと中心的なメディ アが交代したが1990
年代までその影響力は維持された。政治広報的にも、選挙戦でテレビ 広告(空中戦)に資金が注がれ、広告制作者がコンサルタントとして議会や政権で発言権 を拡大した。新聞もアジェンダ設定力は大きく、重要なスピン操作対象であった9。第
2
に、ネット黎明期(SNS全盛前夜)である。概ね2000
年代半ば過ぎまでの期間 で、1990年代後半以降にインターネットが日常化する一方、1990年代に開局したFOX、
MSNBC
などのケーブルニュース専門局が存在感を増し、ネットワークは視聴率減少に転じた。1990年代から堅調だったトークラジオはファン起点マーケティングとして後の
YouTube
などソーシャルメディア のサブスクリプション制度に親和性があった。ただ、ネットは当時あくまで副次的な広報媒体で、連邦議員もウェブサイトを開設するだけでネット を広報戦略の中心に据えなかった。オンラインの集票戦略は
2004
年大統領選挙のディーン(Howard Dean)陣営の実験的試み等を経て
2008
年に開花した10。第
3
に、SNS
拡大期(YouTube
台頭)である。2004
年にデートサイトとして発案されたYouTube
は2005
年から個人映像の動画掲示板のような使われ方で始動した11。歴史的な転換点は
2007
年12
月のパートナープログラム開始による本格収益化であり、これによりラ ンダムな動画アップロードが繰り返される動画掲示板を脱皮し、配信者が自身の魅力で登 録者数を増やしコンテンツを定期配信するサブスクリプション制度が確立し、YouTubeが「番組」化した。アクセス数が飛躍的に伸び、広告収益面でも影響面でも次世代のテレビ の座を射程に入れるほどの土台となった。広告インターフェイスでもそれまで主流だった バナー広告に加えて
2008
年に動画式の「プリロール」広告が登場する。YouTube運営自身 の目障りで浸透しないという予測に反し定着し、選挙CM
のネット動画化を加速させた。2008
年大統領選挙ではYouTube
利用が候補者の出馬宣言などに限定されていたが、2012
年には広告のほか陣営のネガティブ攻撃返しやファクトチェックの「ラピッドレスポンス」でも多用され、選挙に欠かせないツールとなった。2020年調査では約
4
分の1(26%)の
アメリカ人が「YouTubeでニュースを得る」と回答している。YouTubeには報道機関のチャ ンネル(49%)と独立系チャンネル(42%)が併存する。コンテンツではなく出演者の人 物誘引(Personality-driven)番組が半分近く(YouTuber 29%、公的著名人15%)を占めており、
独立系チャンネルの
7
割が人物誘引で試聴習慣を確立している12。そして第
4
に、インフルエンサー期である。2010年代にTwitter、Instagram
など不特定 多数のフォロワーを増やすプラットフォームやTikTok
のように短い長さのパフォーマンス 動画を投稿する娯楽性の強いアプリケーションが浸透し、フォロワーの間で主流メディア の著名人とは異質の知名度や人気を誇る「インフルエンサー」が台頭した。インフルエン サーの商業マーケティング利用は2010
年代前半から始まっていたが政治転用の段階に入っ た。代理人(surrogate)戦略が従来のセレブリティ優先から一定のフォロワー内で影響の あるインフルエンサーに移行しつつある。2018年中間選挙では民主党下院選挙運動委員会(
DCCC
)がインフルエンサーに報酬を支払ってGOTV
(投票推進運動)の動員メッセージ を拡散させた。大統領選挙では2020
年が本格的インフルエンサー選挙元年となり、予備 選ではブルームバーグ(Mike Bloomberg)、ブッカー(Cory Booker)の利用が話題となっ た13。YouTuber
の活用はアメリカ型選挙を率先輸入してきた台湾の選挙が先駆的だったが14、本家のアメリカでも
YouTube
やインフルエンサーにとって特定の政党や候補者の色が付くことはフォロワーを減らす原因 にもなるが、政治的な分断が激しい社会ではリスクにならない面もある。支持政党の異な るフォロワーを繋ぎ止めることをはなから諦め、特定の支持政党を打ち出す方がファンの 信頼を強めるものとするモデルだ。台湾とアメリカでインフルエンサー利用が政治で浸透 しやすいものとなっている類似点の背景と考えられる。
2020
年にインフルエンサー利用がアメリカで加速した理由はコロナ禍である。ソーシャ ルディスタンスの確保のため、選挙は相当程度オンライン化した。感染を深刻視した民主 党は特にキャンペーン改革に熱心に取り組んだ。夏の全国党大会も、民主党は限りなくオ ンライン経由となり、共和党も規模縮小を余儀なくされた。総じて候補者集会も激減した。戸別訪問はソーシャルディスタンス原則で実施されたが、テキスト送信などバーチャル接 触を含むオンラインの集票活動が推奨された。民主党は戸別訪問の説得と動員の効果を一 部オンライン代理人戦略に代替させる、いわば空中戦と地上戦の相乗効果を狙うことを目 指し、インフルエンサー専門業者と契約して
SNS
で力を持つインフルエンサーに協力要請 を拡大した15。2020
年バイデン・ハリス(Biden-Harris
)陣営はデジタル戦略におけるプラットフォーム 多元化を重視し、任天堂ゲーム「Animal Crossing(あつまれ どうぶつの森)」、オンライン 音楽対決「Verzuz」、メッセージ動画販売「Cameo」16のほか、インフルエンサーの積極活 用を課題に据えた17。612
万人のフォロワーを誇るモデルのインフルエンサー によるバイデンの孫娘2
名とのライブ配信は話題となった。ライブ配信は編集済みの動画 アップロードとは違う一体感を醸し出す。1
万人から10
万人のフォロワーを持つ「マイクロ・図1:(左)インフルエンサーのカイア・ガーバー(下段)のInstagram(2020年10月6日)
上段はバイデン孫娘のナオミとナタリー。Instagramのライブ機能を用いた配信風景。
(右)保守系YouTuberスティーブン・クローダーのチャンネル(登録者数536万人:2021年3月15日時点)。
トランプ支持者に大きな影響を与えた。
インフルエンサー」は、エスニシティや信仰、利益団体などでセグメント化されたアウト リーチに最適だが、さらに小さなコミュニティで支持されるフォロワー
1
万人以下の「ナ ノ・インフルエンサー」の効果はテキサス大学の研究でも強調されている18。教会関係者 などコミュニティリーダーのSNS
は「ナノ・インフルエンサー」としての価値が十分にある。対面効果を熟知する選挙現場は伝統的な戸別訪問を手放さないが、こうした方法が「デジ タル戸別訪問」として地上戦的な効果を補完することがコロナ禍を契機に期待される。し かし、こうした新たなオンライン技術は、外国勢力の影響の浸透に対する脆弱性も強めて いる。
3.「シャープパワー」問題と2020年大統領選挙
黎明期のオンライン技術は民主主義に正の効果を与える期待が強かったが、パン(Jennifer
Pan)らによる中国政府のネット検閲の研究が示すように、権威主義体制下では民主化に負
の効果も与える19。中国は自国内のオンライン検閲とも異なる手法で外国への政治介入を 実現している。元来アメリカはロシア型の遠隔介入よりも、メディアや非政治部門での「交 流」を梃子に世論自体に緩やかに影響を与える中国型の介入には脆弱な性質がある。リベ ラルな移民社会では異文化尊重は「政治的な正しさ」に関係するからだ。オーストラリア が中国のシャープパワー戦略に巻き込まれた背景には、移民や留学生への寛容政策が関係 していたことは近年指摘されつつある20。開放性自体は移民国家の理想であり、この方針 は否定できないジレンマがある。2014年のシカゴ大学の排除声明以降、社会問題化した孔 子学院の政治問題も象徴的であった21。2020
年大統領選挙期、中国は2019
年夏以降の香港民主派のデモ、欧米メディアの報道 が喧しくなった新疆ウイグル自治区の人権問題、そして新型コロナウイルスの3
つについ て中国の国益に合致する国際世論の形成を追求した。反論や批判だけでなく報道量を減じ させアジェンダ化させない努力や、新型コロナ発生時の情報隠蔽の印象を感染対策勝者へ と転換させる試みも目立った。大統領選挙年には争点のアジェンダ設定が、世論を牽引す るが、国内の種々の事件や党派分断もその過程に影響を与える。特に2020
年は3
つの問題 が中国を利した。第1
にトランプ政権下の政治分断、第2
に黒人人権差別のアメリカでの 歴史的な特別な位置づけ、そして第3
にコロナ禍である。2019
年11
月、トランプ大統領は香港人権・民主化法案に署名したが、香港問題につい ては超党派で米議会が民主派を公聴会に招いて世論喚起に努めた経緯がある。香港民主派 の活動家は米メディアに出演して主張を訴えた。天安門事件30
周年デモを契機に拡大した 運動で、「一国二制度」の有名無実化など国際的な含意は大きかった。だが、冷戦と天安門 事件を知らない世代が活動家の若手主軸になっている中、民主党の人権派内に強い支援が 広がったわけではない。しかも、トランプ政権下の分断が悪影響を及ぼした。中国をスケー プゴートにするトランプの言動は、単なる票狙いの利己的な排他主義と解釈されたのであ る。政権はアジアの民主主義を擁護する政策も打ち出したが、その価値を部分的に超党派 で承認できないほどトランプ憎悪は燃え上がった。中国に関する人権問題に触れることは トランプの政治ゲームに加担になるとの空気を醸成し、トランプが「チャイナウイルス」と叫べば、リベラル派は頑なに「COVID」と唱和した。フィギュアスケーターの香港移民
2
世のクワン(Michelle Kwan: 関穎珊)も、「チャイナウイルス」という呼び方はアジア人差別になるとトランプ大統領を批判した22。トランプの言動にはヘイトの烙印を押しやす く、アメリカのアジア系社会が自主的にトランプを叩くことが中国にとって何よりの「代 理反撃」になった。
このように新型コロナウイルスをめぐる対米世論工作では、民主党支持層の「反トラン プ」熱を受け皿に利用する傾向が目立った。2020年
4
月30
日、新華社系のNew China TV
(登録者数
109
万人)はYouTube
に1
分46
秒の動画を公開した。防護服とマスク姿の中国 人が防疫体制を訴える一方、自由の女神が「ただの風邪だ」と軽視して世界保健機関(WHO
) への予算を削減する、レゴムービーのキャラクターに模した登場人物による英語によるCG
アニメだった。中国の立場を正当化する主張だが、トランプ政権批判と置き換えても 不自然ではなく民主党支持者には共感しやすかった。案の定、コメント欄にはアメリカ人 の反トランプ派と思しき動画称賛が並んだ。人権や貿易で中国と相容れない争点を抱える 左派の目を逸らすにはトランプの「愚策」批判を共有するのが最適だった。外国勢力がア メリカの現職大統領を貶めるには、アメリカ国内の内戦すなわち選挙と党派感情に便乗す ることが都合が良いからだ。外国が与党の施策を批判する動画はそのまま野党のネガティ ブ攻撃にもなり、外国勢力と野党の利益共有が一時的に成立する。この動画は2021
年3
月20
日時点で227
万8374
回再生されている。図2:動画「Once upon a virus...」New China TV(YouTube画面より)
保守派の利用も同様で、トランプ支持者がリベラル派を攻撃すること自体が民主党人権 派への「代理反撃」になった。選挙区に香港移民や民主派の中華系を多数抱えるペローシ 下院議長は天安門事件以来の対中人権強硬派だが、「ペローシは親中派」のレッテルを貼る 動画が
SNS
で拡散された23。アジア系が稀な州には中華系アメリカ人と中国の区別すら曖 昧なアメリカ人は少なくなく、選挙区のチャイナタウンの復興を訴えただけで、「親中派」と攻撃される空気がコロナ禍の選挙中にいたずらに肥大化した。「チャイナ」で一緒くたに する言説は香港や台湾ひいては中華系市民の内訳への無理解に起因する24。
トランプ政権は安全保障上の脅威として
TikTok
禁止措置を打ち出したが、首尾良く進ま ない背景にも党派的な世論があった。アメリカの若者の過半数に同アプリが浸透し尽くし ていたため、禁止は若年層いじめと解釈した民主党若手が規制反対運動を展開した。2020年初夏、中国の全国人民代表大会における香港の国家安全維持法の可決に先立ち、ミネア ポリスで白人警官が黒人男性の首を押さえつけて死亡させる事件が発生したが、反差別デ モの広がりで、「ニューヨーク・タイムズ」や「デモクラシー
NOW
!」など香港に関心を 寄せていた人権派メディアも報道を縮小した。アメリカ国内では黒人差別問題は特別の重要性があり、同時発生時には国際問題への関 心は低下する。香港の民主派デモに対する警察の強制力行使を相対化する上で、白人警官 による暴力は反撃材料となった。
2021
年1
月の米議会乱入事件も好例であるが、アメリカ の民主主義の矛盾を象徴する事案発生時に米中を比較することで自国批判への目を逸らす 戦術も分断便乗型の情報戦の一環とみられる。エスニック属性を重視するアメリカでは民族別メディアに干渉しないのが流儀であり、
エスニックメディアの存在が海外勢力への警戒心を麻痺させてきた面も否定できない。外 国風味のメディアの排除はヘイトと受け取られかねない。その間伱を縫って移民向けのエ スニックメディアと海外由来のシャープパワー戦略の境目は近年グレーになっている25。
「フリーダムハウス」によれば、中国共産党系「チャイナ・デイリー(中国日報)」のアメ リカでの予算は
500
万ドルに達する。同紙は本紙以外にも「ニューヨーク・タイムズ」「ウォー ル・ストリート・ジャーナル」など主要紙に挟み込まれる「チャイナ・ウオッチ」という セクションがある26。主要紙への差し込みは米新聞の経営難につけ込んだものだ。掲載米 紙側はあくまで広告枠で、編集には関知していないとしている27。一般読者には新聞の「ア ジアコーナー」に感じられる。横に小さく「中国日報」と記されているが、中文メディア とニュース供給の提携をしているだけにも見えるし、中華系アメリカ人の新聞社かもしれ ないと思うだろう。プロパガンダ色を弱め、論説ではなく「ニュース」の取捨選択(何を 扱わないか)や見出しでのさりげない編集アクセントで中国への反感を減少させる工夫が 凝らされている。中国政府系の
CGTN
(中国環球電視網)も知識層以外のアメリカ人には「アジアチャン ネル」程度の認識で警戒感はない。CGTNのウェブ記事への誘導は主として2020
年一般教書演説でペローシ下院議長が大統領演説の原稿コピーを破り捨てる動画、オカシ オ=コルテス下院議員の異議申し立ての様子、反人種差別デモなどの写真が広範に拡散さ れた。CGTNはアメリカの病理を象徴する人種差別問題を好んで扱うが、中国の政府高官 による熱弁ではなく、アメリカの少数派や黒人に代弁させることにむしろ効果があること を既に学んでいる。文化アカウント「CGTN Culture」内であえて黒人文化に寄り添う姿勢 をアピールすることもある。他方、アメリカの少数派は分断や差別など国内問題以上の視 野を持たず、外国の国営メディアの意図に無頓着なまま、好意で出演や取材協力に応じる 傾向がある。アメリカの「アジア系メディア」だと思って協力する関係者は少なくない。また、カービーが示唆するように中国の介入は中華系アメリカ人の意識変革を意図して 行われている側面もある28。オーストラリアの事例が示すのは、中華系移民を掌握するこ とが移民国家の世論やロビイングの要諦だからだ。中華系は初期広東移民、中華民国系、
台湾系、大陸留学生の天安門事件による亡命者、非合法の労働移民、中国強国化後のエリー ト層など渡来時期と理由で性質が異なり、家庭使用言語も広東語、北京語、台湾語(閩南語)
と多様だが、
2010
年代後半以降に訪れた「強い中国」に自信を持つ新たな層が従来多かっ た広東省、福建省の沿岸部以外の大陸全域から来訪し、共通語の北京語と簡体字を持ち込 んで中華系社会の空気そのものを変えつつある29。ソーシャルメディアで北京と繋がり続 ける留学生や新移民の影響を若年層の中華系アメリカ人は否応無しに受けがちだ。本来はコミュニティのためのローカルメディアであるエスニックメディアだが30、エス ニック対立や分断の増幅装置に利用されるリスクもある。従来は編集部の独立性を保って きた香港系の「星島日報」が、香港デモ以降は香港本部の中国寄り編集への配慮を余儀な くされている問題も静かに進行している。同紙はニューヨークなど大都市の中文メディア を部数的に牽引してきた新聞で、中華系市民の対中世論に長期的に影響を与えかねない。
台湾系の「世界日報」も若手記者には大陸の留学生を雇用し始めた。ビジネス上の利益か ら香港式、台湾式の繁体字が、大陸式の簡体字に変更される可能性も将来的には皆無では なく、反共や民主の砦だったアメリカの中華系メディアが移民社会の世論形成のチャンネ ルになれば、介入の窓口と化しかねない31。
4.今後の懸念と問題
今後懸念されることの一つに、外国勢力がアメリカ国内に流通する陰謀論をオンライン 経由で間接的に利用する危険性がある。2019年
12
月調査ではアメリカ人の中で新型コロ ナウイルスが人工的に製造されたという説を耳にする割合は旧メディアやニュースのウェ ブサイト利用者よりもSNS
利用者が多く、「頻繁」(26%)と「多少」(54%)合わせて8
割 に達する32。YouTubeで最も視聴されているニュースチャンネル上位100
の中でQ
アノン図3:(左)2020年3月に黒人女性(Breonna Taylor)が警官に射殺された事件についてCGTNで解説するデポー
大学教授の黒人ジャーナリスト。「CGTN America」の配信を「CGTN」がリツイートする形式をあえてとっ ている(2021年3月15日)。
(右)新型コロナウイルス・ワクチンのエチオピア到着の「CGTN America」のニュース。中国の国名はな く中立的報道に見えるが、アフリカへのワクチン外交は中国の力点で、アリババとエチオピア航空はワク チンの同国への提供で協力している(2021年3月14日)。
やその他の陰謀論について「言及している」割合は、報道機関チャンネルが
2%
、YouTube
独立系が21%
で、主にQ
アノンや陰謀論だけを扱うチャンネルが14%も存在した
33。ア メリカ国内で陰謀論を流布するYouTuber
を間接的に教育してインプットを重ねれば、ある いは移民を介してYouTuber
を長期的に育ててその中に陰謀論を仕込んでいけば、「陰謀論 世論」を特定の外国勢力を利する方向で操作することも可能ではある。陰謀論の洪水で民 主主義の機能不全を増す目的でも十分に効果がある。本稿で見てきたように選挙への外国介入はオンライン時代に焦眉の課題であることは自 明だが、アメリカの政治現場では検証や対策が進みにくい事情がある。
第
1
に検討する問題の取捨選択をめぐる党派性の弊害、すなわち脅威対象により政党対 応に濃淡がある問題である。民主党が海外介入問題に注目した原因は、2016年大統領選で のロシアの介入だった。民主党はトランプ攻撃の一環でロシア関連の疑惑解明に全勢力を 傾け、中国や他の国からの介入は関心外になりがちだった。2020年選挙でもコロナ禍以前 はロシア警戒を主眼に対策を施した34。例えば、2月の民主党アイオワ党員集会では電話 通話による「バーチャル党員集会」が中止された。州委員会が参加率(投票率)上昇のた め設計した新制度だったが、民主党全国委員会は通信の安全が確保できないと判断した35。 しかし、コロナで一転、全国委員会と陣営幹部と活動家の連携会議ではZoom
がなし崩し 的に一部で活用されオンラインへの許容基準は曖昧になった36。第
2
に、再選が至上目的の政治家に、集票に効果的な新技術を規制させることがそもそ も困難なことだ。政治家は再選に有効なテクノロジーを抜け駆け的に使用を目論むため、規制には後ろ向きになる。規制が強化される前に駆け込み的に合法なうちに果実を得よう とするのはビジネスと同じ心理である。選挙に便利だが外国勢力の介入に脆弱な可能性が あるテクノロジーが存在したとき、後者の害が明確に実証できない限りは前者の利益を優 先する。議員に対策の主導権を任せることの弊害の一つだ。
第
3
に、インフルエンサー・マーケティングの政治利用に管轄上、概念上、明確な規制 が存在しないことだ。連邦取引委員会(FTC)はガイドラインを示しているが商業利用の みで、選挙について管轄する連邦選挙委員会(FEC)はガイドラインを示していない37。 プラットフォームは政治広告を禁じる動きが主流だが、そもそもインフルエンサー・マー ケティングは「広告」ではないふりをして購買欲を掻き立てる「ステルスな案件」式の「コ ンテンツ」であり、規制に従来の「政治広告」の概念を当てはめること自体が時代遅れの 感がある38。YouTuberには顔を出さない人物もいるし、声だけのCG
アニメーションも存 在する。サイバー上の人格についてはアカウントの主が実在しているのかどうか一般の有 権者には判断がつかないし、責任も不明確だ。外国勢力が実在のアメリカ人インフルエン サーを間接的に外から育てることも容易である。分断を外部から煽る上で効果的なツール にもなり得る。オンライン化が進むほど、有権者が知らない間に姿の見えない主体が世論 を形成することができる。第
4
に、「言論の自由」問題である。外国勢力の影響への対処方法としてアカウントやチャ ンネルの停止があるが、過度な検閲は自由社会の首を締める。特定の外国の意向に親和的な
YouTuber
やサブリミナルに特定の国への批判の矛先を逸らす協力をするインフルエンサーを規制するのは不可能だ。プラットフォームの存在は過渡期にある。かつて
YouTube
運営が、LGBT を中傷する保守系YouTuber
についてアカウント停止の要件を満たさないと擁護して批判を浴びた問題も起きたが、後に収益化が停止された。この種の事案の蓄積が プラットフォームに編集権と判断権を付与し
GAFA
の力を強めた。2021年1
月の連邦議会 乱入事件におけるGAFA
のトランプのアカウント停止、「パーラー」凍結はその 延長にある。トランプ自身が差別的言動で、自らアカウント停止を正当化する空気を育て てしまった。バイデン政権下でGAFA
規制の行方もオンライン世論と政治過程への外国介 入を占う伴になる。おわりに
メディア不信が蔓延する以前は、メディアのアジェンダ設定力が歯止めの伴だった。皮 肉にも主流メディアの衰退は、間接的に外国勢力のアメリカの政治過程への介入への防波 堤を崩す効果をもたらしてしまっている。民間インフルエンサーは地域の活動家でもなけ ればジャーナリストでもなく政治的な責任は負わない。広告の出資元や背後の意図に深く 関心を及ぼせることもない。本稿で概観したように、オンラインを介した外国勢力からの 政治介入に関しては、民主主義と移民社会に二重の脆弱性が潜んでいる。その意味でアメ リカは民主主義で自由で開放的な性質であるがゆえに、権威主義体制の国からの侵入を遮 断することができないジレンマが存在している。シャープパワー戦略は、アメリカの移民 社会の縦割りのエスニックメディアの伱間に上手に滑り込む度合いを強めるだろう。メ ディアリテラシーにおいてもアメリカは、異民族、異人種、異教徒に対して触れないポリ ティカル・コレクトネスから、エスニックメディアへの無知が外国メディアへの警戒感を 下げている。個人のインフルエンサーの背景やリツイートともなると、デジタルリテラシー 醸成による抗体の育成の難易度はいっそう高い。外国介入を狭義のサイバー攻撃に限定せ ず、長期的な内部浸透の視点からアメリカの移民社会とメディアの構造に網を広くかけた 継続的分析が求められている。
― 注 ―
1 川口貴久、土屋大洋「デジタル時代の選挙介入と政治不信:ロシアによる2016年米大統領選挙介入を 例に」『公共政策研究』第19号、2019年12月、40-48頁。川口貴久「ロシアによる政治介入型のサイバー 活動:2016年アメリカ大統領選挙介入の手法と意図」SPF 国際情報ネットワーク分析 IINA、2020 年3月30日<https://www.spf.org/iina/articles/kawaguchi_01.html>
2 “Foreign Threats to the 2020 US Federal Elections” Offi ce of the Director of National Intelligence(March, 10.
2021)2021年1月7日に大統領のほか議会指導部などに提示されたインテリジェンス機関の報告書
の 機 密 版 を 調 整 し た 公 開 版(Declassifi ed by DNI on 15 March 2021)<https://www.dni.gov/fi les/ODNI/
documents/assessments/ICA-declass-16MAR21.pdf>
3 “Joint Statement from the Departments of Justice and Homeland Security Assessing the Impact of Foreign Interference During the 2020 U.S. Elections” Department of Justice(March 16, 2021) <https://www.justice.gov/
opa/pr/joint-statement-departments-justice-and-homeland-security-assessing-impact-foreign>
4 Kirby, Jen. “Are China and Iran meddling in US elections? It’s complicated ”, Vox, Sep 15, 2020. <https://www.
vox.com/21418513/china-iran-us-election-meddling-russia>
5 “Statement by NCSC Director William Evanina: Election Threat Update for the American Public”(August 7, 2020)英国家サイバーセキュリティセンター局長による選挙に関する脅威についてアメリカへの情報 提 供 の 声 明。<https://www.dni.gov/index.php/newsroom/press-releases/item/2139-statement-by-ncsc-director- william-evanina-election-threat-update-for-the-american-public>
6 Laura Silver, Kat Devlin and Christine Huang, “Most Americans Support Tough Stance Toward China on Human Rights, Economic Issues:”, Pew Research Center, March 4, 2021. 2021年2月1-7日 調 査 < https://
www.pewresearch.org/global/2021/03/04/most-americans-support-tough-stance-toward-china-on-human- rights-economic-issues/?utm_content=buffer09cc5&utm_medium=social&utm_source=twitter.com&utm_
campaign=buffer >
7 Pew Research Center, January 5, 2018. 2017 年 8 月 8-21 日 調 査 < https://www.pewresearch.org/fact- tank/2018/01/05/fewer-americans-rely-on-tv-news-what-type-they-watch-varies-by-who-they-are/>
8 Pew Research Center, July 30, 2020. 2019年10月29-11月11日調査 <https://www.journalism.org/2020/07/30/
americans-who-mainly-get-their-news-on-social-media-are-less-engaged-less-knowledgeable/>
9 Charles L., Ponce De Leon, “That’s the Way It Is: A History of Television News in America”, University of Chicago Press, 2015.
10 渡辺将人『現代アメリカ選挙の変貌』名古屋大学出版会2016年
11 初期はテレビ番組の転載など著作権違反が繰り返される無法地帯でプラットフォームとしての広告価 値も低かった。テレビ局からのクレームで削除を繰り返したが、2008年にCBSやいくつかの音楽会社 がコンテンツの収益契約をYouTubeと締結し流れに変化が生じた。後にVevoによる収益システムの確 立が音楽視聴者を吸い寄せた。
12 Pew Research Center, September 28, 2020. 2020年1月6-20日調査。YouTubeチャンネルの集計は2019 年11月から12月時点の番組が対象<https://www.journalism.org/2020/09/28/many-americans-get-news-on- youtube-where-news-organizations-and-independent-producers-thrive-side-by-side/>
13 Venkataramakrishnan, Siddharth, “Inside the rise of the political micro-influencer”, FT, October 24, 2020.
<https://www.ft.com/content/e414d42a-c49b-4f43-86a1-06395a849fac>
14 渡辺将人「台湾の選挙キャンペーン−米台比較の視座から(③後編)」(2020年4月1日)SPFアメ リ カ 現 状 モ ニ タ ー<https://www.spf.org/jpus-j/spf-america-monitor/spf-america-monitor-document-detail_45.
html>
15 Heilweil, Rebecca, “Inside the Biden campaign’s surprising infl uencer strategy”, Vox, Sep 22, 2020. <https://
www.vox.com/recode/21429755/influencers-joe-biden-democrats-pacs-social-media-facebook-instagram- campaign>
16 Kelly, Makena, “Biden campaign partners with Cameo for new fundraising effort”, The Verge, Sep 4, 2020.
<https://www.theverge.com/2020/9/4/21422966/biden-campaign-cameo-fundraising-andy-cohen-mandy-moore- melissa-etheridge>
17 バイデン陣営内部資料、バイデン陣営アウトリーチ担当者、民主党全国委員会担当者のオンライン会 議発言
18 Goodwin, A., Joseff, K., & Woolley, S. C. (2020, October). Social media influencers and the 2020 U.S.
election: Paying ‘regular people’ for digital campaign communication. Center for Media Engagement. <https://
mediaengagement.org/wp-content/uploads/2020/10/Social-Media-Infl uencers-and-the-2020-U.S.-Election-1.pdf>
19 G. King, J. Pan, M. E. Roberts, “How the Chinese government fabricates social media posts for strategic distraction, not engaged argument” American political science review 111 (3), 484-501.
20 Hamilton, Clive, Silent Invasion: China's Infl uence in Australia, Hardie Grant, 2018.(山岡鉄秀監訳、奥山真 司訳『目に見えぬ侵略 中国のオーストラリア支配計画』飛鳥新社、2020年)
21 University of Chicago, “Statement on the Confucius Institute at the University of Chicago”, Sep 25, 2014
<https://news.uchicago.edu/story/statement-confucius-institute-university-chicago>
22 Kumar, Aishwarya, “Athlete. Olympian. Chinese American. Michelle Kwan is the center of sports' Venn diagram”, ESPN.com, Apr 4, 2020 <https://www.espn.com/olympics/story/_/id/28971403/athlete-olympian- chinese-american-michelle-kwan-center-sports-venn-diagram>
23 どこまでがトランプ支持者によるもので、外国勢力や外国勢力の意向を汲んだアメリカ国内の移民集 団による意図的な誹謗中傷かは不明。
24 Behrmann, Savannah, “'Chinatown is not part of China': Trump's tweet at Pelosi is met with criticism online”, USA TODAY, April 17. 2020. < https://www.usatoday.com/story/news/politics/2020/04/16/trumps-chinatown- tweet-pelosis-visit-draws-criticism-online/5149296002/>
25 渡辺将人『メディアが動かすアメリカ』ちくま新書、2020年
26 Cook, Sarah, “Special Report 2020: Beijing’s Global Megaphone” Freedom House <https://freedomhouse.org/
report/special-report/2020/beijings-global-megaphone>
27 これはやや無責任な詭弁だろう。読者は米紙の何らかの「お墨付き」を感じる。新聞の信頼への便乗 を販売している側面は否定できない。アメリカでは外交論壇誌を読むような知識層以外は、媒体を意 識して海外ニュースを摂取しないし警戒心もない。
28 Kirby, Jen. “Are China and Iran meddling in US elections? It’s complicated ”, Vox, Sep 15, 2020. <https://www.
vox.com/21418513/china-iran-us-election-meddling-russia>
29 Chin, Jean Lau and Lee Daniel, “Who Are the Cantonese Chinese?: New York City Chinatown During the 1940s-1960s”. Createspace Independent Pub, 2015. Zhao, Xiaojian, “The New Chinese America: Class, Economy, and Social Hierarchy”, Rutgers University Press, 2010.
30 ジョハンギール・ハタック、カレン・ペナー(ニューヨーク市立大学コミュニティおよびエスニック・
メディアセンター共同ディレクター)とのインタビュー(2017年 9月 11 日, New York City)
31 「星島日報」編集幹部とのインタビュー(2017年9月28日及び2020年12月30日, New York City)、
「世界日報」編集幹部とのインタビュー(2017年9月29日及び2019年12月27日, New York City), Zhou, Min and Cai Guoxuan, “Chinese Language Media in the United States: Immigration and Assimilation in American Life”, Qualitative Sociology, Vol. 25, No.3, January 2002.
32 Pew Research Center, July 30, 2020. 2020 年 6 月4-10 日 調 査 <https://www.journalism.org/2020/07/30/
americans-who-mainly-get-their-news-on-social-media-are-less-engaged-less-knowledgeable/>
33 Pew Research Center, September 28, 2020. 2020年1月6-20日調査。YouTubeチャンネルの集計は2019 年11月から12月時点の番組が対象<https://www.journalism.org/2020/09/28/many-americans-get-news-on- youtube-where-news-organizations-and-independent-producers-thrive-side-by-side/>
34 ロバート・クレーマー(民主党全国委員会顧問)とのインタビュー(2020年11月12日、シカゴ時間 11日 Zoomを介したオンライン形式Chicago-札幌)、サイモン・ローゼンバーグ(NDN創設者・CEO, 元ビル・クリントン大統領選挙陣営)とのインタビュー(2020年11月13日、ワシントンDC時間12 日 Zoomを介したオンライン形式Washington DC-札幌)。
35 ジョン・ディース(アイオワ州ジョンソン郡民主党委員)とのインタビュー(2020 年 2月 4 日, Iowa
City)、アローク・パラブ(カマラ・ハリス陣営スタッフ)とのインタビュー(2019年10月28日 Iowa
City)、ジョー・バイデン陣営、エリザベス・ウォーレン陣営、バーニー・サンダース陣営スタッフと のインタビュー(2020年2月1日, Iowa City)、ピート・ブティジェッジ陣営スタッフとのインタビュー
(2020年2月2日, Iowa City)
36 Zoomについては2020年5月と6月に天安門事件に関する会議をアメリカ在住の元Zoom職員が妨害 したことが問題化したが、司法省は2020年12月に中国政府と協力して妨害を行ったとして起訴に踏 み切った。Department of Justice, “China-Based Executive at U.S. Telecommunications Company Charged with Disrupting Video Meetings Commemorating Tiananmen Square Massacre”, December 18, 2020. <https://www.
justice.gov/opa/pr/china-based-executive-us-telecommunications-company-charged-disrupting-video-meetings>
37 “FTC Releases Advertising Disclosures Guidance for Online Infl uencers”, Federal Trade Commission, November 5, 2019 < https://www.ftc.gov/news-events/press-releases/2019/11/ftc-releases-advertising-disclosures-guidance- online-infl uencers>
38 Mittal,Shelly, “Political Infl uencer Marketing: Aye or Nay?”, Washington Journal of Law, Technology and Arts, April 14, 2020. < https://wjlta.com/2020/04/14/political-infl uencer-marketing-aye-or-nay/>