数学講究2 第42回 ノート
内野 正康 12 月 8 日
xy座標平面上でx, yの2次方程式で定義される曲線を2次曲線という. 2次曲線の例として楕円、双曲線、放物線がある.
定義
P
F F0
y
x 楕円
与えられた2点(焦点)からの距離の和が一定となる点Pの軌跡。
つまり、焦点をF, F0 とするとき、
PF + PF0= 2a (a >0) となる点Pの軌跡。
y
F0 F x
P 双曲線
与えられた2点(焦点)からの距離の差が一定となる点Pの軌跡。
つまり、焦点をF, F0 とするとき、
|PF−PF0|= 2a (a >0) となる点Pの軌跡。
y
x P
F H 放物線
与えられた1点(焦点)と与えられた1直線(準線)からの距離 が等しい点Pの軌跡。
つまり、焦点をF、点Pから準線への垂線を PHとするとき、
PF = PH
となる点Pの軌跡。
これら3つの曲線は、円錐を任意の面で切断したときに現れる曲線である.
L
O
円錐の定義
1つの直線L, L上の点Oに対し,このLを点Oで交わりLに直 交しないもう1つの直線を中心に回転した時に得られる図形.
このときのLを母線, Oを頂点,また円錐の中心を通る線を軸とい う.
この円錐を任意の面で切断するのだが、次のように分類できる. (1)頂点Oを通る切断
A· · · 円錐面を通る B· · · 円錐面を通らない (2)頂点Oを通らない切断 C· · · 軸に垂直でない D· · · 軸に垂直 E· · · 軸に垂直でない F· · · 母線に平行 G· · · 母線の上下を通る
B
A
図1: 頂点Oを通る
F
G
C D E
図2: 頂点Oを通らない
このように切断すると切断面に現れる曲線はそれぞれ A· · ·1点
B· · ·Oで交わる2直線 C· · · 楕円
D· · · 円 E· · · 楕円 F· · · 放物線 G· · · 双曲線 となる.
図2において、1点を中心に切る角度を回転させていく.つまりC→D→ E→F →Gと回転させていく.
すると切断面に現れる曲線が 楕円→円→楕円→放物線→双曲線 と変 わっていくのがわかる.
また、このとき円錐に内接する球と切断面の接点が楕円,放物線,双曲線の 焦点になる.
楕円における2つの焦点が一致したものが円である.
放物線においては、球と円錐の接する交点1周を含む直線が準線となる.
図3: 切断面が楕円 図 4: 切断面が放物線 図5: 切断面が双曲線
曲線の方程式
上で述べた曲線の方程式を求める。
楕円
まず、座標軸を設定し、焦点の座標をF(c,0), F0(−c,0) (c >0)とする。
4PF0Fにおいて、三角形の2辺の和は他の1辺より長いので、
PF + PF0= 2a
←→PF = 2a−PF0
←→PF2= (2a−PF0)2
←→(x−c)2+y2= (2a−√
(x+c)2+y2)2
←→a√
(x+c)2+y2=a2+cx
←→a2((x+c)2+y2) = (a2+cx)2
←→(a2−c2)x2+a2y2=a2(a2−c2) ここで、a > c >0であるので、
a2−c2> b2 (b >0) と置くと、a > bであり、
b2x2+a2y2=a2b2
よって、この両辺をa2b2 で割ると、
x2 a2 +y2
b2 = 1 (a > b >0) また、
a2−c2=b2
−→c2=a2−b2
−→c=±√ a2−b2 よって、焦点はF(√
a2−b2,0), F0(−√
a2−b2,0)
[まとめ]
x2 a2 +y2
b2 = 1 (a > b >0) は、焦点が F(√
a2−b2,0), F0(−√
a2−b2,0) で、距離の和が 2a である 楕円。
x2 a2 +y2
b2 = 1 (b > a >0) は、焦点が F(0,√
b2−a2), F0(0,−√
b2−a2) で、距離の和が 2b である 楕円。
双曲線
楕円のときと同様に、座標軸を設定し、焦点の座標をF(c,0), F0(−c,0) (c >
0)とする。
4PF0Fにおいて、三角形の2辺の差は他の1辺より短いので、
a < c
|PF−PF0|= 2a
←→PF−PF0=±2a
←→PF =±2a+ PF0
←→PF2= (±2a+ PF0)2
←→(x−c)2+y2= (±2a+√
(x+c)2+y2)2
←→a√
(x+c)2+y2=∓(a2+cx)
←→a2((x+c)2+y2) = (∓(a2+cx))2
←→(a2−c2)x2+a2y2=a2(a2−c2) ここで、c > a >0であるので、
c2−a2> b2 (b >0)
と置くと、
−b2x2+a2y2=−a2b2 よって、この両辺を−a2b2 で割ると、
x2 a2 −y2
b2 = 1 (a >0, b >0) また、
c2−a2=b2
−→c2=a2+b2
−→c=±√ a2+b2
よって、焦点はF(√
a2+b2,0), F0(−√
a2+b2,0)
[まとめ]
x2
2 −y2
2 = 1 (a >0, b >0)
は、焦点がF(√
a2+b2,0), F0(−√
a2+b2,0)で、距離の差が2aである双 曲線。
x2 a2 −y2
b2 =−1 (a >0, b >0) は、焦点がF(0,√
a2+b2), F0(0,−√
a2+b2)で、距離の差が2bである双 曲線。
放物線
座標軸を設定し、焦点の座標をF(c,0)、準線をx=−cとする。
PF = PH
←→PF2= PH2
←→(x−c)2+y2= (x+c)2
←→y2= 4cx
[まとめ]
y2= 4cx
は、焦点がF(c,0)、準線がx=−c である放物線。
x2= 4cy
は、焦点がF(0, c)、準線がy=−cである放物線。
曲線上の点 P(x1, y
1) における接線の方程式
楕円の接線: x1x a2 +y1y
b2 = 1 双曲線の接線: x1x
a2 −y1y b2 = 1 放物線の接線:y1y= 2c(x+x1)
∗求め方については数学Cの教科書で復習してください。
楕円・双曲線についての補充
(1) 楕円 x2 a2 +y2
b2 = 1は、円 x2+y2=a2 を y軸方向に
b
a 倍
に縮小(a > bのとき)または、拡大(a < bのとき)した図形である。
(2) 双曲線 x2 a2 −y2
b2 = 1は、2直線 y=±b
ax を漸近線とする曲線となる。
漸近線が直行する双曲線を直角双曲線という。反比例のグラフは直角双曲線 である。
∗これについても、数学Cの教科書に詳しく載っていると思います。
離心率による分類
楕円の方程式を求める同値変形を行っている過程で、
a√
(x−c)2+y2=a2−cx・・・・・・・・・・∗ という式が得られた。つまり、
a√
(x−c)2+y2=a2−cx ←→ x2 a2 +y2
b2 = 1 ただし、a2−c2=b2, a > c
よって、2つの焦点F(c,0), F0(−c,0)からの距離の和が2aである楕円は、
∗の式を満たす点P(x, y)の軌跡である。
ここで、∗の式を変形すると、
√(x−c)2+y2=a−c ax= c
a(a2 c −x)
√(x−c)2+y2= PFであり、 a2
c > aであることから、
a2
c −xは、点Pと直線x= a2
c との距離PHである。
よって、2つの焦点F(c,0), F0(−c,0)からの距離の和が2aである楕円は、
「1つの焦点Fと一定直線l(直線x= a2
c )への距離の間に PF = c
aPH (0< c a <1)
楕円の方程式を求める式変形で、PF0= 2a−PFとすれば、
a√
(x+c)2+y2=a2+cx
という関係式が得られる。これについて、さきほどと同様の変形をすると、
PF0= c
aPH (0< c a <1) が得られる。
双曲線についても、関係式 a√
(x−c)2+y2=±(a2−cx)
a√
(x+c)2+y2=∓(a2+x2) に着目し、楕円の場合と同様に考えると、
2つの焦点F(c,0), F0(−c,0) からの距離の差が2aである双曲線は、
「1つの焦点Fと一定直線l(直線x= a2
c )への距離の間に PF = c
aPH (c a >1) なる関係がある点Pの軌跡」である。
以上のことから、
「円錐曲線は、1つの焦点Fと一定直線l への距離の間に PF =ePH
なる関係のある点Pの軌跡」
となる。
ただし、
(1) 0< e <1 のとき、楕円 (2) e= 1のとき、放物線 (3) e >1のとき、双曲線 この定数eを 離心率という。