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臨撚継懸灘

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(1)

精神薄弱児を対象としたITPAにおける 個人内差の事例研究

佐々木 正 志

は じ め に

 H本版ITPA言語学習能力診断検査は,言語学習能力に障害を持つ一個人の子どものために,回路

(聴覚一音声,視覚一運動),過程(受容,表現,連合),水準(表象,自動)の3つの次元で診断をし 各能力間を比較するものである。精神薄弱児と診断された児童は,知的能力の全体的水準が低いことは 検査によって示されても,その子ども個人の持っている諸能力のそれぞれの比較はされていないのが現 状である。ITPAはその知的能力の中での言語面の中の一部分の長所短所に焦点をあてたものだと思

う。

 現在精神薄弱児養護学校に入学してくる児童は,時にITPA検査結果をプロフィールとして表わす ことのできる児童もいるが,当初ほとんどこのITPAの検査対象になれないでいることが多い。しか

しこの児童たちは歴年令があがるにつれて,社会生活にたとえば学校生活などの経験を経てくるにつれ て検査を受けられる状態に変わってくる場合がある。

ここに掲載した児童の事例は,検査を受けることのできた児童の中から抽出した特徴的ないくつかのも のである。ITPAの評価点(ss)の換算表は8歳11か月までしかないが,それ以上の年令の児童の検 査結果は言語学習年令(PLA)でプuフィールを表わすことにした。

診断検査事例

(1) 事例1

(2) 事例2

(3) 事例3

(4) 事例4

(5) 事例5

(6) 事例6

(7) 事例7

聴覚連合能力が劣るAS児 連合能力が劣るSM児

PLAからみて連合,表現能力が劣るAT児 PLAからみて表現,記憶能力が劣るHN児 形の記憶だけを得点したMA児

PLAからみて,絵の類推,形の記憶の得点があり, PLAが示されたYN児 PLAからみて聴覚一音声回路が劣るTK児

(1) 事例エ 聴覚連合能力が劣るAS児 本児の検査は2年継続して実施した。

 。第一回目 昭和54年5月11日実施  年令7歳4か月  。第二回目 昭和55年2月21日実施  年令8歳2か月

表ヱは第一回目のITPA得点記録である。総合的には全検査粗点lll,全検査PLA(月令)4歳 1か月(49),ss合計点202,言語学習指数PLQ55.7,ss平均値20.2,ss中央値22.5であった。

(2)

174 茨城大学教育学部教育研究所紀要20号(1988)

表ユ

lTPA碍点。己録

     N  象  水  準   1   自 動  水 rli    ミ  ちをのざヤメざ    がずレ       ぢまコまそメざ  ト き よの  

鎌〆筆繋概亜べ1∵弊s

形の記隅…    ,・/ ,   宅ワ15ゴ避

    …『・−一〒ことはの類推1 413−1 4 k=二一…値…→ /      f 酌…+㎜… .!幽       i    ヶ    に  よ   こ   の もりヘ      ミ     ア  ヨ  ノド    ト      へヘ   ミ       ノリ

鵜島  喧1歯重ヒ蹄四Ll\・\

絵・がu   l、 …  「51爵i.9

   に コ   マ  け  ズ       ン とばのソ訟鍵澱髭・、 1 ...一..一ノノ

潔学期  磁出帯灘語野

表2①

③表象水準

表2②

③自動水準

七島得点 評価点 年齢得点 評価点

聴覚受容 3−4 9  文法構成 4−4 22

視覚受容 5一エ1 30  視覚構成 3−3 16

聴覚連含 3−1 4  聴覚記憶 3−0 21

視覚連合 5−3 23  視覚記憶 5−6 31

言語衷現 3−4 23

動作表現 4−1

    平均値23

4−0 23

平均値 4−2 19

表2③

③聴覚一音声回路

表2④

③視覚一運動回路 年齢得点 評価点         1 年齢得点 評価点 聴覚受容 3−4 9  視覚受容 5−1ユ 30 聴覚連合 3−1 4  視覚連合 5一・3 23 言語表現 3一一4 23  動作表現 4−1 23

文憎憎成 4−4 22  視覚構成 3一一3 16 聴覚記億 3・一〇 21  視覚記憶 5−6 31

平均値 3−5 16   平均値 4一ユ0 25

表2⑤

③心理言語過程

PLA PLQ 評価点

受容 4−8 63.6 20

連合 4−2 56.8 14

表現 3−9 51.1 23

E

各下位検査の分析をしてみると,ことばの理解で は,物の名前,身近なもののことは理解している が,抽象化されたことは理解していない。絵の理 解では,形からの判断はよくできている。また,

その物の持つ特徴的な働きなども少し理解してい る。形の記憶では,記憶できるのは4カードまで が限度である。ことばの類推では,身の回りの本 当に限られた範囲でしか理解していない。数の記 憶では,3数までが限度である。絵の類推では,

身近な物のつながりは理解できている。絵さがし では,さがす物と違う物を示してしまい,さがす 物が把握しにくい。ことばの表現では,名前や色 や形は言えるが使い方,比較などの表現はできな い。文の構成では,ふだん触れている身近なこと ばでの構成は少し言える。動作の表縄では,こま かい動作表現はないが簡単に2つ位の動作のつな がりを表現する程度である。

 また各下位検査の得点を水準(Level),回路

(ChanneD,過程(Process)に分けて整理して みると,表2①②③④⑤である。

表2①②から,表象水準の下位検査の評価点の平 均点は19,自動水準の下位検査の平均点は23で,

2つの平均値の間には4点の差があるが,水準問 の優劣は特にないと考えられる。これは年令得点 の平均値からも同じことが言える。しかし表2③

④から,聴覚一音声回路の下位検査の評価点の平 均値はエ6,視覚一運動回路の下位検査の評価点の 平均値は25で,この2つの回路の間には9点の差 があり,やや有意な差があると考えられる。また表2⑤の心理言 語過程では,受容の下位検査の評価点の平均値が20,連合の下位 検査の評価点の平均値が14,表現の下位検査の評価点の平均値が 23である。この3っの過程では,連合過程だけがやや劣っている

と考えられる。

 図1はITPAプロフィールである。こ.のプロフィールから10 の下位検査によって測定された能力が,表象水準では,ことばの 理解とことばの類推の極端な落ち込みが目立つ。この2っの下位検査以外は,ss平均値の差が±6点 以内である。絵の理解は,ss平均より+10にあり,やや優れていると思われる。自動水準では,形の記 億の+9以外はss平均値±6以内にあり特に目立った差はない。

(3)

 図11TPAプロフィール         図1中のもう1つのITPAプロフィールは

      第2回目の昭和55年2月21日の検査結果(全       検査粗点125,全検査PLA(月令)4歳4       か月(52),ss合計点183,言語学習指数P       LQ53.1,ss平均値18.3, ss中央値22.5)

      である。パターンは同じように示している。

      また各下位検査の結果も,各下位検査の得点       の水準,回路,過程に分けての結果も,昭和       54年と同じことが読み取れた。

       これらの結果をまとめてみると,この児童       には聴覚一音声回路を強化するようなプログ       ラムが必要であり,特に落ち込みのある「こ       とばの理解」 「ことばの類推」の能力を伸ば すような学習が用意されなければならないと考えられる。また「ことばの類推」の指導に入る前に,受 容能力である「ことばの理解」を先行学習させ,ある程度の能力開発をしなければならないだろう。そ こで回路で優れている視覚一運動を使って,絵や動作を用いさせ,ことばへの手がかりをつかませ,少 しずつ視覚的な用法を少なくしていくようにするとよいと思われる。聴覚連合能力が低い本児が話をま とめたり,一般化したりするなどが難しいが,視覚連合能力が劣っていないことを考えると,絵などを 十分に使って話を聞かせる,例えば絵と絵のお互いの関係づけを考えさせたりすることを学習させるこ とが必要と考えられる。

⁝ss⁝・・︒−6・謂・︒−6・鷺・︒霊:

聖ーーーーー−r一 ⁝﹂︑         早

形の記憶二比      曜     ⁝  ⁝⁝ ︸ ⁝ 一  学﹁⁝T十十一      ︶彗

コ﹁論  ア  ︸†+嘉

準水動n

数の記憶⁝ ⁝⁝       ⁝ 1   ・   ⁝      ⁝ーー

口引﹂一

絵さがし⁝r二

文の構成 耳球

  表現動作の

力能現表

 表現ことばの

絵の種類

準水象表

力能合連

 逓類ことばの

力能容受絵の理解

 理解ことばの 懐均平ss

54S 5/5 S

 (2)事例2 連合能力が劣るSM児

 ・第一回目 昭和54年4月17日実施  年齢7歳0か月  ・第二回目 昭和56年3月18日実施  年齢8歳11か月

 表3,表4はそれぞれ第一回目と第二回目のITPA得点記録である。第一回目は,全検査粗点44,

全検査PLA(月令)2歳9か月(33),ss合計点131,言語学習指数PLQ39.3,ss平均値13.1,

ss中央値16である。第二回目は,全検査粗点43,全検査PLA(月令)2歳9か月(33),ss合計点81,

言語学習指数PLQ30,8,ss平均値8,1,ss中央値9.5である。第一回目と第二回目の全検査粗点と  表3       表4

 王 TPA1尋点葺己録      !「rPA貧畢点護己録

表 象 水 準 自 動 水 準

聴覚・音薄 視覚・躍動 聴覚・痔声 視覚・運動

』ド位検査 粗汁PLA SS 四点PLA SS 糧点 PLA SS ・点[璽・

16 4−1 19 辱犠@鴨一口ら一一    、

5 2−6 12

7 3−3 18 1 2−8  2

     

@   , 

@  4「

@ ,C   ア、 、  、 、  、タ、、    、、、

0     ユ5

     !

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@ ,〃P 

=A、 、 、  、←、    、、、_       _h_      隔_

U 3・一6 19 ことばの理解

Gの躍解

̀の認憶

アとばの類推

狽フ詑紅 Gの類推 Gさが し アとばの表現

カの構成 ョ作の表現

1 2−10 3

0     17      

@   , 

@ ,そC r  

吹@「  、  、  、、    、  、r

@    L…

@   ,

@  ,ド

@ ,ヴ@,C 

0 2−5  8 f

8 3−1 18     ρ一@,rケートF 

(4)

176 茨城大学教育学部教育研究所紀要20号(1988)

全検査PLAを比べると,全く変化がないと言ってよいだろう。各下位検査の粗点もあまり変化がなく ことばの表現,数の記憶,文の構成は2回とも0点であった。ことばの類推,絵の類推も0点,1点と やはり同じようであった。また得点のあった下位検査も得点の変化は,あまりないと言ってよいだろう。

言語学習指数PLQは,歴年令が上がった分,第二回目は指数が低くなった。これは各下位検査のss 評価点やss合計点にも表われている。

表5④

③表象水準

表5②

③自動水準

奪齢得点 評価点 年齢得点 評価点

聴覚受容 糾o受容 ョ覚連合 糾o連合

セ言吾表現

ョ作表現 4−1 Q−6 Q−8 Q−10

│3−1

玉9  文法構成 P2  視覚構成 Q  聴覚記憶 R  視覚記憶

2−5 R−6

│3−3

81915i8

17@   平均値18

2−i 15

《巨均値 2−6 12

 表5は,第一回目の各下位検査の得点を水準,回 路,過程に分けて整理してみたものである。表5①

②から,表象水準の年令得点の平均値は2歳6か月,

評価点の平均値は12であり,自動水準の年令得点の 平均値は2歳1か月,評価点の平均値は15である。

 表5③       表5④

 ③聴覚一音声回路     @視覚一運動回路

この結果から水準間の優劣は特にないと考えられ る。表5③④から,聴覚一音声回路の年令得点の 平均値は1歳エ0か月,評価点の平均値は14であり 視覚一運動回路の年令得点の平均値は3歳0か月 評価点の平均値は14である。この結果から年令得

点の差は大きいが,評価点では全く差がないと見ることができる。

表5⑤から,受容,連合,表現過程の順にPLA, PLQとも低 くなっているが,評価点からは,極端に連合過程が劣っているこ とが考えられる。

図21TPAプvフィール

lT P A得点        認

表  象  水  華 自 動 水 華

受容能力 連合能力 表現能力 構成能力 酬鳴己麟砂  価

ことば理の解 絵の狸解 ことば鍾の類 絵の種類 ことば表の現 動作の表現 文の構成 絵さか ・し 数の言己憶 ・1憶

64 U0 T6 T2 S8 S4 S0 R6 R2 Q8 Q4 Q0 P6 P2W4

2十

1  i

…内r.54 主・・

ss鰯→ 、 、

}㎜@2 i 一盟

w﹃

S.56@1 (一6).

ルは示しているが,目立った差はないと考えられる。

年齢得点 評価点 年齢得点 評価点

聴覚受容 4−1 19  視覚受容 2−6 12

聴覚連合 2−8 12  視覚連合 2−io 3 言語表現 17  動作表現 3−1 18

文法構成 2−5 8  視覚構成 3−6 19

聴覚記憶 15  視覚記憶 3−3 18

平均値 1−10 14   平均値 3−0 14

表5⑤

@心理言語過程

図2は,

第一回目,

第二回目

のITPAプロフィールである。 ss平均値と±

6は第一回目のプロフィールのものである。こ のプロフィールから,10の下位検査によって測 定された能力は,表象水準では,ことばの類推 と絵の類推の極端な落ち込みが目立つ。SS平均 値からの差もIO以上である。その他の下位検査 は±6以内にあり,特に目立った差はない。こ れは第二回目のプUフィールでも,同じ傾向が 示された。自動水準では,すべての下位検査が

±6以内にあり,少しのこぎり状のプロフィー

PLA PLQ 評価点

受容

A合

¥現 3−4 Q−9 P−7

47

R9.2 Q0.8

15.5 Q.5

P7.5

 これらの結果をまとめると,この児童には特に連合能力が低い点から,2つぐらいの概念記憶をさせ て,お互いを関係づけて考えさせるとか,2つの概念の直接的関係を理解させるとか,概念の分類をさ

(5)

せるなどを,聴覚一音声回路,視覚一運動回路両面からのアプローチができるようなプログラムを考え なければならない。全体的なレベルが低い点から,高い能力を示したものを生かして,落ち込んでいる 能力を引き上げるような方法も考えられる。

(3) 事例3 PLAからみて連合,表現能力が劣るAT児  ・第一回目 昭和54年4月26 H実施  年令10twユ0か月  ・第二回目 昭和55年2月15日実施  年令11ue 7か月

 第一回目の検査結果は総合的には全検査粗製101,全検査PLA(丁令)3歳10か月(46),言語学 習指数PLQ35.4であり・第二回目は全検査粗点98 ,全検査PLA(月令)3歳9か月.(45),言語 学習指数PLQ32.4である。

 表6は第一回目のITPA得点記録,表7は第二回目の得点記録である。各下位検査を分析してみる と,ことばの理解では,物の名前,身近なものの名前は,かなり理解しているが,抽象化されたことに なると理解されていない状態である。絵の理解では,形の判断はよくできているし,その物の持つ特徴 的な働きの簡単なことも少しは理解している。形の記憶では,記憶できるのは2カードがやっとという 状態である。ことばの類推では,身の回りの本当に限られた小さい範囲でしか理解されていない。数の 記憶では,3数までが限度である。絵の類推では,本当に身近な物のつながりもあまり理解されていな

い。絵さがしでは,さがす物の承認を受ける姿が多く見られ,さがした数も多かった。ことばの表現で は,名前や色などはなんとか言えるが,使い方などになると表現できないことが多かった。文の構成で  表6      表7      は,身近なことのことば

  iTPA得点記録      lTPA得点 己録     ま み ポ ゆ      ロ      

臨撚継懸灘

絵…酬…h−o一1晒黒・;

形の。己濾1     1     :      0 ことはの類瑚『βπ与1   .,一 みのは       あ 印

幡に.∵…∵ll ,6・9−i

ことばの観鴻一薫一21  L.. , 文の構成i l.、 3、4一・1、,

動f乍(ノ)表現1       「10 3−5

    炎 象 承 率     〔 【動 承 摩    聴覚・t !,h 視覚・運動1聴覚・路li 視覚・運動

ド㈱ ]・rL細PL噛:PL樋画

ことはの911解

   16 4−1

絵 U) 罫ll 舞ぞ         15 5−O

}『3(〜)SiLl亡意       42・8 ことはの交∫量推  5 3−3、

数a)II己t意1         113−5 絵(ノ)Mi餐を     3 3・5

絵さカ・ し      14 5・一7 ことはのk現  8 3−7

文の 構 成       1} 4 6 動f乍び)〜L現       11 3.・7

表8①

③表象水準

表8②

③自動水準

聴覚受容 視覚受容 聴覚受容 視覚連合 誌語表現 動作表現 平均値

年齢得点

表8③      表8④

③聴覚一音声回路  ③視覚一運動回路 年齢得点

103rD77一一︸⁝一⁝4︻D33りσ∩0

3−IO

文法構成 視覚構成 聴覚記憶 規覚記憶 平均値

ハ07−58﹁﹁㎝㎝4﹁03∩4

4−1

聴覚受容 聴覚連合 言語表現 文法構成 聴覚記憶 平均値

年齢得点

10Q7ρ05一一一⁝⁝4QUgQ4Qり

3−9

視覚受容 視覚連合 動作表現 視覚構成 視覚記憶 平均値

隼齢得点

0﹁077n◎︸﹇⁝︸一R︶つ9り059御

4−O

での構成は少し言える。

動作の表現では,こまか い表現はできていないが 動作としてのつながりを 少しは表現できるようで

ある。

 表8①②③④⑤は水準,

回路,過程での比較であ る。水準間は,表象水準  の年令得点の平均値は  3歳10か月,自動水準  の年令得点の平均値は  4歳ユか月である。ま  た回路間では,聴覚一  音声回路の年令得点の  平均値は3歳9か月,

 視覚一運動回路の年令  得点の平均値は4歳0  か月であり,どちらも  優劣は特にないと考え

(6)

178 茨城大学教育学部教育研究所紀要20号(1988)

られる。心理言語過程でも,受容過程が他の2つの連合,表現過程より,

やや高い年令得点PLAを示している程度である。

 図3は,本児がどちらの検査時年令も換算表のない歴年令であるので,

ITPAプロフィールを言語学習年令PLAで表わした。このプロフィー ルからも,表象水準では,連合,表現能力の劣れが目立つ。また自動水準 では,形の記憶の劣れが極端に目立つ。この児童は上は6歳1か月,下は  図31TPAプロフィール      2歳8か月と優劣

1 T P A 得 点         d

表  象  水  嘩 自動水準  ll窪

受容能力 連合能力 表現能力 構成能力 酵1擬笠翻渤 ことば理の解 絵の理解 ことば種の類 絵の種類 ことば表の現 動作の表現 文:の構成 絵さがし 数の記憶 形の記

 善 年 令

ッ.ぼしA

「所[一

・一一

wπr耐

……}罰『業1

■一一

一・一・

撃兼1圏

6−6 U−3 U−0 T−9

S−0 R−9 R−6 R−3 R−0 Q−9

一14−3

一一

一一

表8⑤

@心理言語過程

PLA PLQ

受容

A合

¥現 4−7 R−4 R−7

39.6 Q8.8 R0.9

の差の大きいことがわかる。

 これらの結果をまとめてみると,連合,表現 能力を高めるプログラムが必要である。また視 覚一運動回路と聴覚一運動回路の差がないのに 形の記憶だけが落ちているのに目を向けること も考える必要がある。これは,視覚を通して簡 単なカードを2,3枚使っての学習プログラム を考えて能力を高めるとよいと思う。また水準 間で高い能力を示しているものを使って,低い 能力を刺激することを考えてもよいと思う。

(4) 事例4 PLAからみて,表現,記憶能力が劣るHN児

 本児の検査は,昭和56年4月27日に実施され,年齢は9歳2か月時である。総合的には全検査粗点 181,全検査PLA(月令)5歳8か月(68),言語学習指数PLQ 61.8である。

 表9のITPA得点記録を見てみると,4つの下位検査を除いてまんべんなくある程度の高い得点を 示している。ことばの理解や絵さがしでは,歴年令に近いPLA  表9

を示している。       肝A燃諏  表10の水準,回路,過程の比較をみると,表10①②の水準間の

比較では,どちらも年令得点の平均値は5歳10か月を示していて ほとんど優劣の差はない。表10③④の回路間の比較では,聴覚一 音声回路の年令得点の平均値は5歳8か月,視覚一運動回路の年

表10①

③表象水準

表10②

③自動水準

年齢得点 年齢得点

聴覚受容 糾o受容 ョ覚連合 糾o連合 セ語表現 ョ作表現

8−2 U−8

U一一1

U−1 R−10 S−1

文法構成 糾o構成 ョ覚記憶 糾o記憶

6−11 i9−4)

R−3 S−0

平均値 5−10 平均値 5−10

令得点の平均値は6歳0 か月であり,これもほと んど優劣の差がないと考 えられる。しかし表10⑤

    表象承準  l l 1動水rgl

難藩鰭謙瓢詳驚

絵ヴ)理1魯撃    12068

形の。己憶       ll 4_0

・と・・l・i ・L・冠

数び)露己 す意       1〔} 3一一3 絵 v) 類 打鉦:       1董9 ト6__1

絵さがし1       ;    27(9−4

   一 ・ .  ]       i       l ことはのまが   ミヨ  

文の構成,  11   1拍・6_111 動作の表現.  1τ幽イ

の過程間の比較では,受容,連合,表現と順に劣れが目立ち,

特に表現過程の落ち込みが大きいと考えられる。

 図4のITPAプロフィールでは,表象水準の中で過程間の 差がプロフィール上に表われており,自動水準の中では構成能 力のPLAに比べて,配列記憶能力の劣れが大きく目立ってい

る。

(7)

表ユ0③      表ユ0④

③聴覚一音声回路  ③視覚一運動回路

年齢得点 年齢得点

聴覚受容 8−2 視覚受容 6−8

聴覚連合 6−1 視覚連合 6−1

言語表現 3−10 動作表現 4−1

文法構成 6−U 視覚構成 (9−4)

聴覚記憶 3一・3 視覚記憶 4−0

平均値 5−8 平均値 6−0 表10⑤

③心理言語過程

PLA PLQ

受容

A合

¥現 7−5 U−1

R一ユ王 80.9 U6.4 S2.7

 これらの結果をまとめてみると,表現能力の劣れの原因とし て,基本的な表現の技能が欠けているとか,自発的に表現でき ないとか,自動的な表現能力に欠けているなどが考えられる。

      特に聴       覚的な       表現能       力の劣       れの原       因とし ては,自動的な文法 能力が欠けていたり 対人的なコミュニケ ーションが欠けてい るなどが考えられる。

また視覚的な表現能 力の劣れの原因とし

図4王TPAプロフ4一ル

l T P A 望1}点      言 表  象  水  準 自 動 水 華   語       ,馳叫

受容能力 連合能力 表現能力 構成能力 木切己憶能力1 ことば理の解 絵鐘解

こ  絵ニ  の

ホ種 種の類 類

ことば表の現 動作の表現 文の構成 絵さがし 数の記憶 形誰憶 毒年令PLA

9−0 W−8 W−4

W一一〇

V−8 V−4 V−0 U−8 U−4 U−0 T−8 T−4 T−0 S−8 S−4 S−0

ては,基本的な知覚一運動回路が欠けているとか,運動表現をするための考えを持たないなどが考えら れるが,ことばの理解やことばの類推,文の構成が,ある程度のPLAを示していることを考え合わせ ると原因を絞ることが,医学的な面などの診断を受けた上でできるかもしれない。また,ここで問題な のは,配列記憶能力の劣れである。視覚を通しての記憶が3カードが限度であり,聴覚を通しての記憶

も3数が限度である結果から,この能力の開発を考えることも必要と思われる。

(5) 事例5 形の記憶だけを得点したMA児

 この児童の検査は,昭和56年2月16日,年令8歳2か月時である。総合的には全検査粗点ll,全検査 PLA(月令)2歳6か月以下(30以下),言語学習指数PLQ30.6以下である。各下位検査の粗点が 0点であっても,PLA, SSの換算値が示されている。 10の下位検査の中で得点されたのは,形の記 憶であり粗点11,PLA4歳0か月,SS21である。この結果からだけでは,この児童の学習プログラム を考えることは難しいと思うが,言語の能力を伸ばすための手立てが欲しい時には,3カードまで記憶 ができるという結果を踏まえて手立てを考えることができるかもしれない。

(6) 事例6 PLAからみて,絵の類推,形の記憶の得点があり, PLAが示されたYN児  この児童の検査は,昭和62年4月20日,年令9歳10か月時である。総合的には全検査粗点24,全検査

PLA(月令)2歳6か月以下(30以下),言語学習指数PLQ25.3以下である。得点があったのは,

ことばの理解3点,絵の類推4点,PLA3歳7か月,形の記憶14点, PLA4歳8か月である。他の 下位検査は得点0である。この結果からだけでは,この児童の学習プログラムを考えることは難かしい が,視覚一運動回路である絵の類推,形の記憶の能力が他の能力よりも高いことを使って,言語の学習 の試みをしてみることが必要と考えられる。

(8)

180 茨城大学教育学部教育研究所紀要20号(1988)

(7) 事例7 PLAからみて聴覚一音声回路が劣るTK児 本児の検査は,昭和62年2月5Hに実施,年令11歳0か月時である。

総:合的には,全検査粗点135,全検査PLA(月令)4歳6か月(54),言語学習指数PLQ41である。

表11①

②表象水準

年齢得点 年齢得点

聴覚受容 糾o受容 ョ覚連合 糾o連合 セ語表現 ョ作表現

4−1 V−7

Q一一8

U−11 S−0 T−5

文法構成 糾o構成 ョ覚記憶 糾o記憶

3−2 V−9 Q−5 W−9

平均値 5−6

平均値 5一一1

表11③

③聴覚一音声回路

年齢得点 年齢得点

聴覚受容 4−1 視覚受容 7−7

聴覚連合 2−8 視覚連合 6−11

言語表現 4−0 動作表現 5−5

文法構成 3−2 視覚構成 7−9

聴覚記憶 2−5 視覚記憶 8−9

平均値 3−3 平均値 7−3

表11⑤

⑧心理言語過程

PLA PLQ

受容

A合

¥現

5一ユ0 S−10 S−9

52 S4 S3

表11②      表11①②,⑤の水準,過程間の優劣の差はほとんどないと考

③自動水準   えられるが,表11③④の回路間の比較をみると,聴覚一音声回         路の年令得点の平均値が3歳3か月,視覚一運動回路の年令得         点の平均値が7歳3か月であり,優劣の差がひじょうに大きい         と考えられる。これは図5のITPAプロフィールでも,それ          図51TPAプmフィール         が表わ        れてお       り,プ       ロフイ

@視覚一運動回路      のこぎ        り状を        示して        いる。

       特に視        覚一連        動回路        の中で 絵の理解,絵さがし,形の記憶が特出していることに注目すべきである。

 これらの結果をまとめてみると,この児童の優れた視覚一運動回路の能力を使 って,聴覚一音声回路の落ちている能力を上げる方法が考えられる。ことばの理 解,ことばの類推,文の構成,数の記憶などの能力を発達させる学習プログラム

の中に,補助として絵などをたくさん使って取り組ませるとよいと思う。指導を 進めていくに従って,補助として使っている絵の出す回数や枚数を減らしていき 最後には聴覚一音声だけの能力を使うプログラムにするように考えることが必要である。

      お わ り に

 精神薄弱児には,視覚一運動回路より聴覚一音声回路が劣るとか,自動水準特に配列記憶能力が低い などと言われている。この7例の検査結果から,それぞれの児童には特徴的なプmフィールが見られた。

言語面の学習を進めていく上では,この児童個々のプロフィールに表わされた特徴的な事柄を十分に考 慮して指導すべきであると考えられる。

1 三木安正他 2 三木安正他 3 村石昭三

1973 1975 1974

主な参考文献 ITPA言語学習診断検査手引 ITPAの理論とその活用 ことばと文字の幼児教育

日本文化科学社 日本文化科学社 ひかりのくに株式会社

参照

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