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東医大誌 78(4): 305
-306, 2020
巻 頭 言
SDGs を見据えた未来
公立大学法人理事長
西 澤 良 記 Yoshiki NISHIZAWA
2015
年9
月の国連サミットでSDGs、“17
のゴール”が定められた。この17
のゴールは“誰一人取り残さ
ない”という考えの下で、今から創っていく未来で生きていく、すべての時代のすべての人のための目標と し、貧困の根絶と持続可能な社会(環境)の両立、不平等の是正であり、これらの目標は開発途上国のみで なくすべての国に適応されるとしている。この「持続可能な開発目標」に示された17
のゴールと169
のター ゲットはどれも、人間、豊かさ、地球、平和、パートナーシップという5
つの要素のどれかに関連し、この 要素を大切にすることで、これからの社会、そして未来が新たに開けてくるとしている。さて、我が国の現状での
SDGs
の達成度は前国連事務総長のパンギム氏らが立ち上げたNPO
法人の2019
年の報告では、「④ 質の高い教育」は達成されているものの、「⑫ つくる責任、使う責任」、「⑬ 気候変動 に具体的な対策を」、「⑭ 海の豊かさを守ろう」、「⑰ パートナーシップで目標を達成しよう」については未 達成であるとしている。米国では、達成された項目はなく、「⑤ ジェンダー平等を実現しよう」、「⑩ 人や 国の不平等をなくそう」、「⑫ つくる責任、使う責任」、「⑬ 気候変動に具体的な対策を」、「⑯ 平和と公平 をすべての人に」、「⑰ パートナーシップで目標を達成しよう」が未達成とされており、我が国と相同性は あるものの不平等性の根絶の課題が目立つ。「⑫ つくる責任、使う責任」が我が国で未達成であることは、かなり残念である。我が国は高度工業立国 として産業、あるいは科学技術の高度化により国力を維持して来、また、今後もさらに発展することが期待 されているが、「持続可能な消費と生産のパターンを確保する」ことは確かに重要なことであり、実際、現 在の我が国の消費形態はあまり褒められたものでもない。「③ すべての人に健康と福祉を」はやや達成基準 域とされている。国民皆保険の医療制度は世界に誇るものであり、国民平均の医療レベルの高さは世界に誇 るものだが、福祉、介護となると堆積する現実的な課題がある。
国は、「SDGsアクションプラン
2019
─2019
年に日本の「SDGsモデル」の発信を目指して─」を示し、SDGs
と連動する「Society5.0」の推進、SDGsを原動力とした地方創生と強靭かつ環境にやさしい魅力的な まちづくり、SDGsの担い手として次世代・女性のエンパワーメントを3
つのポイントとして、国内実施、国際協力の両面で
SDGs
を推進するとしている。とくに保健では、1)基礎的医療サービス、国内予算の配 分の向上、保健システムの強化、2)高齢化への対応(健康長寿、認知症施策の推進)、3)健康危機への対 応(感染症における国際的対応、薬剤耐性への対応)が特記されている。2000
年に「国連ミレニアム宣言」が採択されて21
世紀の国連の役割が明確化された。15年を経て、多く の課題が残る結果となり、SDGs
として「我々の世界を変革する:
持続可能な開発のための2030
アジエンダ」が新たに示された。これは地球での持続不確実な今の世界を、持続可能な世界にするための
2030
年までの15
年間に取り組むべき検討課題とし、また、行動計画であるとした。教育、医療に従事する我々としても このアジェンダを見据えて、今後の新たな時代への道を切り開いていかなければと切実に感じている。東 京 医 科 大 学 雑 誌
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巻 第4
号( )
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略 歴西澤 良記 (にしざわ よしき) NISHIZAWA, Yoshiki
1970年に大阪市立大学医学部卒業。1975年に同大大学院医学研究科博士課程を修了。同年、米国カリフォ ルニア州立大学ロサンジェルス校医学部臨床研究センターに留学。
1979
年に大阪市立大学医学部助手、講師、助教授を経て
1999
年に第二内科教授、2000
年に大学院大学に再編され、医学研究科代謝内分泌病態内科学 および腎臓病態内科学教授。2002年に同大学医学部付属病院副院長、2006年に医学研究科長、医学部長、2010
年に学長、理事長を拝命し、2016年に退任。2019年より大阪市立大学と大阪府立大学の法人を統合し た新たな公立大学法人大阪の理事長に就任し、現在に至る。第
3
回国際腎不全学会(奈良市、2001)、第 23
回日本骨代謝学(大阪、2005)、第 7
回日本骨粗鬆症学会(大 阪、2005
)、第52
回日本透析医学会学術集会(大阪、2007
)を開催。米国トーマスジェファーソン大学客員 教授、日本透析医学会理事長、日本マグネシウム学会理事長、厚生労働省医薬食品局審査課要指導一般用医 薬品部会委員、独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第一部専門委員、宇宙環境利用に関する公募 地上研究最終評価委員長、大阪科学賞選考委員会委員長などを歴任。日本透析医学会、日本骨形態計測学会、日本糖尿病合併症学会、日本骨代謝学会、日本骨粗鬆症学会、日 本腎臓学会、日本運動療法学会の名誉会員。