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熱ルミネッセンスによる原爆線量の測定?

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奈良教育大学学術リポジトリNEAR

熱ルミネッセンスによる原爆線量の測定?

著者 市川 米太

雑誌名 奈良学芸大学紀要. 自然科学

巻 13

ページ 39‑44

発行年 1965‑02‑27

その他のタイトル Measurement of Absorbed Doses from Atomic Bombs by Thermoluminescence (II)

URL http://hdl.handle.net/10105/3396

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Measurement of Absorbed Doses from Atomic Bombs by Thermoluminescence (H )

Yoneta ICHIKAWA

(Department of Science Education, Nara Gakugei University, Nara, Japan) Received September 30, 1964

The equivalent gamma dose of bomb radiation can be obtained by comparing the glow-curves resulting from bombs with those from the Co60 irradiation. A comparison between the bomb glow-curves and artificial glow ones shows that the former ones decay at the part of the low temperature ( about 100°C).

As for the part of the high temperature (about 200°~250°C) , both of these glow-curves show nearly the same shape except for a little deformation which may be induced by complex structre of the mineral composition of the roof tiles sample. But in measurement of absorbed doses from atomic bombs by thermo- luminescence, the above little deformation mentioned above exerts a vicious influence upon an accurate measurement.

Therefore, Roof-tiles sample was separated into colourless minerals and coloured minerals by means of a magnetic separator.

The colourless mineral component of the samples showed that the thermolu- minescence intencity was about five times as large as that of natural samples and a little deformation was removed, as is shown in Fig.5 and Fig. 6.

The area of the two curves was measured in the temperature range 200°C--~

250°C using a planimeter and the equivalent gamma doses were obtained from the treatedsamples, as shown in Table 2 and Table 3.

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40 市 川 米 太

るということである.一般に熱ルミネッセンス線量計においては CaF2MnやLiF のような 単一結晶が使われる(I)のが普通で,このような試料では発光曲線の peak の位置が一定であり 曲線の形も一定で測定用の試料からの発光曲線と,較正のための既知線量を照射した試料からの 発光曲線とは相似形になる.従って試料の吸収線量をかなりの精度(CaSO4Mn の場合は 20

〟γ)(2)で測定することが可能である,被曝瓦を試料として,その吸収線量を測定する場合,先 に報告(3)したように,瓦の原爆照射による発光曲線と較正のためのCo60,照射による発光曲線 とは完全に相似形にならず(4) Fig.2 に示されたような高温側に相似形からのずれがみられる.

このことは測定誤差に大きく影響するので,試料の鉱物的組成を単純化し,発光曲線の複雑性を 簡単にするため,試料の調整を改良し,次のような処理をした.

(1)地理的座標の明確なことと,原爆の爆発時に起った火災に焼かれていないことの二点に留 意して採集した被曝瓦を水洗いし,その表面の部分を剥離する.

(2)試料をdiamond crusherとメノウの乳鉢で粉砕し肺によって100mesh (0.149mm)と 200 mesh (0.074mm)の間のgramを採集する.

(3)このgram を水と alcohol で洗い乾燥しiso‑dynamic separater によって磁力で colourless の鉱物と, coloured の鉱物とに分離する  colourless の部分には石英,長石が 主として含まれていると考えられる.

上記の試料調製をした grainから得られた発光曲線をFig.5 に示した.試科調製して得ら れた colurless mineralの成分の試料の蛍光強度は未処理の試料の強度に比較して約5倍で ありpeak も明瞭である.又coloured mineral の成分に比較してその強度は約15倍で石英

・長石系が瓦中では放射線の蛍光的感受性が著しく強いことがわかった.

Fig.5. Glow curves for roof tile at Hiroshima (Separated sample)

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Fig.6. Glow curves for roof tile at Nagasaki prison ( Approx. 2×10")

更に Fig.6 に示きれているように,試料が単純化されたために,原爆からの発光曲線と校正用 の Co60 からの発光曲線は相似形となり,等価線量を求めるに当ってその高い精度が期待され るようになった.

等価線量の測定

被曝瓦の示す熱発光強度を工,捕獲電子の数を n, aを定数とするとI‑anであり,試料の 原爆からの吸収線量を D,b を定数とするとn‑bT> となる故I‑a6D…kD となる.このkは 放射熱蛍光に対する試料の感受性を表わすものである,又,標準線源によって既知線量を照射し た試料からの熱発光強度をIo,その時の照射線量を Do とすると 工 ‑」Do であり,従って

エ/Io ‑DノDo となる.

実験において吸収線量Dを測定する場合には被曝瓦の示す発光曲線が基線との間に占有する面 積と,標準線源によって照射された同一試料が示す発光曲線が基線との間に占有する面積との比 から求められる.本実験においては標準線源として,京大化学研究所の Co60 (1000curie)を 使用した。その代表的な例として長崎元刑務所下で採集した被曝瓦の場合をFig.6 に示した.

図が示すように Co60 からの発光曲線と原爆からの発光曲線は,後者が原爆に照射きれてから 19年間の時間の経過があるので,その間の decayがあるため低温部分については相似形になっ ていない.

従って面積の比を求める場合は高温部分のみを使用しなければならない.尚 Co60からの発光 爆線の100‑Cの山の高温部分のすそば次の山と重っているので,その影響を考慮して面積の比

を求ゆるに当っては 200oCから250oCの間の面積を使用した.面積の測量には planimeter を使用した.

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実 験 結 果

上記の測定法によって求めた広島と長崎のγ線量を Table2 とTable3 とにそれぞれ示し た.広島の場合,採集きれた試料は28個でその中,等価線量を求めることができたのは12個であ った.測定不可能な試料は殆んど原爆の爆発時に広範囲にわたって起った火災に会って加熱され たため現在熱発光的に零になっているものであるが,中に二三鉱物的組成のため高温側にpeak を持たないため測定不可能のものもあった.一般に遠距離の試料について測定不可能なものが多 かったがこれは火災のためなのか,鉱物組成のためなのか,又測定器の限界なのかは不明である.

距離は400mから 980mの範囲の試料で, 400mより近い試料は得られず 980mより遠い 試料は採集されたが測定不可能であった. Sample2とSample3, Sample5とSample6,又

Samlpe 10, Sample ll とSample 12はそれぞれ同一地点の試料であるQ前記二者の場合の誤 差は士数o/Oにとどまっているのに対し第3番目のゲル‑プは約士20%の誤差になっているがこの 第3のグループの試料は広島城本丸の被曝瓦で,その建造物の大きなことと,構造の複雑なこと

のため実際の各々の吸収線量の相違があるのではないかと思われる.

Table 2. Radiation dose from the atomic bomb in Hiroshima

長崎の試料は32個採集されその中13個が測定できた.長崎の被曝瓦は一般に広島の被曝瓦に比 較して粘土質が多く,そのため瓦中に含まれる石英成分も少なく発光強度が微弱であった.従っ

て爆心地から遠距離にあった試料は広島の場合以上に測定不可能なものが多かった.距離は100 mから980mにわたっているが, Sampe2 とSample3, Sample4, Sample5 とSample6は

同一地点の試料である.後者のゲル‑プは約±10%の誤差範囲で測定されている.

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Table 3. Radiation dose from the atomic bomb in Nagasaki

考     察

広島,長崎において原爆が爆発した際放射されたγ線の発生源としては大体次の五つの場合が 考えられる(6)第1は核分裂の際瞬間的に放射された fission γ線であり,磨2は分裂生成物か

ら放射されるfission pr。duこt γ線であり,第3は核分裂の際γ線とともに放射された中性子が 物質と衝突して非弾性散乱しその際放射される2ndary γ線であり,その他に瓦の胎土中に生じ た誘導放射能と falloutによるものである.この中 fission γ線と fission product γ線が大 部分を占めると考えられるが fission γ線は爆弾穀で殆んどがシールドされて了うため実際に 放射されたγ線は約1分間の間に放射された fission product によるγ線だと云われている.

従って原爆から放射されたγ線は弾殻がどのように割れて飛散するかによってシールドされる様 子が違ってくるため方向性を持つものと考えられる. Table 2 とTable 3に示された実験結果 では試料の数が少ないためその方向性を議論することはできなかった.

又爆発後fire ballは秒速数kmの高速で拡ったが fission product もそれにつれて撒布 されたので,線源は点状とは考えられず,このことがpoint source として計算されたYorkの data と本実験のdataがかなりの相違を示している原因と考えられる.原爆から直接放射され

るγ線の外に試料の熱発光に寄与するものがいくつか考えられるが, falloutによるものは数%

以下でその影響は無視できるものであり,又胎土中のウラニユウム,トリウムによる α線は 2CPH/lmg以下であるのでこれも無視できるものである.被曝瓦の胎土に緩中性子が衝突して 生じる誘導放射能の熱蛍光に対する寄与については,試料を構成する元素が多種多様であるため 計算より求めることが出来ないので,目下その実験を検討中である.

測定限界は被爆瓦の鉱物組成によって放射線に対する熱蛍光的感受性が異なるため明確に議論

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w 市 川 米 太

することはできないが,最も感受性の良いものについては約100γである.これ以下は試料調整 の際,粉砕,摩擦することによって生ずるtoribo luminescence や有機物不純物からの蛍光が あるため測定することができなくなる.

結     語

γ線の吸収線量は中性子の場合のように物質に核的変化を誘起しないため固体物性的変化か放 射化学的変化を利用しなくてはならない.本実験では結晶中に存在する格子歪に二次電子が捕獲

されてtrapped electronとして安定に保存される固体物性的変化を利用してγ線の吸収線量を 測定した.

測定の結果は現在γ線量分布の標準として使われているYorkのdataに比較して大体少ない 等価線量の値が得られた.米国が最近実験から求めた広島の場合のγ線量の値もYorkのdata

より少ない値を示している.

本研究について御指導いただいた京大理学部四手井教授,京大原子炉東村助教授,並に試料の 採算について御世話いただいた元原爆資料館長,長岡省吾氏に深く感謝する.なおこの研究に要

した費用は文部省科学研究費によるものである.

文     献

(1) Sohulman, J. H., Ginther, R.T., Kirk, R.D. and Govlart, H. S. : Nucleonics, 18, 92 (1960).

(2) Bjarngard, B.: Rev. Set. Inster, 33, 1129 (1962) , AE‑109 (Sweeden), (1963).

(3)市川米太, :奈良学芸大(自然),12, 51 (1964).

(4) Ichikawa.Y. : Bull. Inst. Chem. Res. Kyoto Univ., 42, 48 (1964).

(5) Ritchie, R.H. and Hurst, G. S. : Health Phys., 1, 390 (1959).

(6) Robert, R.W. ‑. Radiation Research, 4, 349 (1956).

Table 3. Radiation dose from the atomic bomb in Nagasaki 考     察 広島,長崎において原爆が爆発した際放射されたγ線の発生源としては大体次の五つの場合が 考えられる(6)第1は核分裂の際瞬間的に放射された fission γ線であり,磨2は分裂生成物か ら放射されるfission pr。duこt γ線であり,第3は核分裂の際γ線とともに放射された中性子が 物質と衝突して非弾性散乱しその際放射される2ndary γ線であり,その他に瓦の胎土中に生じ

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