2次元状態観測器を用いた2次元システムの安定化について
下西二郎*二元孝夫**前川禎男**
(昭和57年4月27日受理)
Stabilization of 2−D Systems Using 2−D Observers Jiro SmMoNism, Takao HINAMoro and Sadao MAEKAwA
(Received April 27, 1982)
In this paper, 2−D (two−dimensional) filters are considered using the 2−D state space model originally introduced by Givone and Roesser. The wellknown 1−D state space ideas of state feedback and state observers are extended to the 2−D state space model with the intention of providing a mean of stabilizing unstable 2−D systems. A synopsis of the paper is given as follows.
In section 2, the theory of rninimal order observers for 1−D systems originally proposed by Luenberger is ex−
tended to the 2−D case. [hg resulting fundamental matrix relations are used in section 3 to develop a rnethod for the desiging a 2−D state observer. Finally, in section 4 the use of the 2−D observer in a 2−D feedback stabiliza−
tion scheme is investigated.
1. ま え が き
2次元ディジタルフィルターは各種画像処理などの2次 元信号の処理に有効とされ,主にその安定問題1),2),設計 問題3)などが取り扱われてきた。しかし,最近2次元フィ ルタに対する状態空間モデル(2次元システム)が提案さ れ4)〜6),その構造解析7)実現問題6)〜9)の解法と共に,2 次元フィルタの状態空間モデルでの安定化問題が重要視さ れ始め,状態あるいは出力フィードバックによる安定化へ の試みが見られるようになった。9)、11)
一般に2次元システムの状態は1次元システムの場合と 同様に未知である。したがって,2次元システムの状態を 推定するような,いわゆる2次元状態観測器12)が必要とな ろう。また,安定化に関していえば,文献9)では対象とな る2次元システムは特殊な係数をもつ2次元伝達関数から 実現されたGivone−Roesser型状態空間モデルであるし,
文献10),11)では状態あるいは出力フィードバックを施し た閉ループシステムの特性多項式の係数の一部を指定する ような方法であって,安定化可能に関する条件は与えられ ていない。
本論文ではGivone−Roesser型2次元状態空間モデルで 表現される2次元システムを考察対象として,よく知られ ている1次元システムにおける状態フィードバックおよび 状態観測器の考え方をこの2次元状態空間モデルへと砿張 する。そして,状態観測器から得られた状態ベクトルを
フィードバックすることにより,非安定な2次元システム を安定化する問題について考察する。
以下では,}まず,Luenbergerによって提案された1次元 システムにおける最小次元観測器の理論を2次元システム の場合に拡張する。続いて,そこで導びかれた観測器の基 礎方程式を用いて,2次元状態観測器を構成する手順を示 す。最後に,2次元状態フィードバックによる安定化に,
ここでの状態観測器の利用を考える。
なお,本稿で用いる主な記法は以下の通りである。
Rn, Rnxm:実数を要素とするn組,あるいはn×m行 列のベクトル空間
In :nxnの単位行列 0 :適当なサイズの零行列
AT, A+ :Aの転置行列,および,一般化逆行列
*電気工学科
**神戸大学工学部
2.2次元システムに対する線形関数観測器
この章では,Luenberger13)によって提案された1次元シ
ステムに対する状態観測器の理論を2次元システムの場合 に拡張する。
対象とする2次元システム.は次式で与えられる。4)
[茎:細H鑛]障:1;]・[窪;]咽)
y(切一[・・C・][翻]・・≧・ (1)
ハただし,王色ノ)∈・Rn, X色力∈・R彿はそれぞれ水平状態お よび,垂直状態ベクトルであり,U(i,の∈R「, y(i,ノ)∈Rρ はそれぞれ入力および出力ベクトルである。また,Ai(ゴ=
1,2,3,4),Bi,Ci(i=1,2)は適当なサイズをもつ定数 行列である。
また,推定すべき状態の線形関数は次式で与えられる。
・(切一[K・・K・][瑠]
(2)
ただし,w (i,カ∈Rq,κゴσ=1,2)は適当なサイズをも つ定数行列である。
つぎに,w((i,のの推定値を得るため,以下の2次元シ ステム(観測器)を考える。
Fz (i +1, 」 ) 1 F]F i F2] rz (i,i) 1 , rGil ... ,,
L・(らブ+1)rLF, F4」L勿,ヵ」〒Lσ2」軸
・[睾]・(切
範ブ)一[N・・N2][;ll:1:」一1−My(i ・) (3)
ハただし,牙σ,ブ)∈RV, Z(∫,の∈Rμはそれぞれ観測器におけ る水撃状態および垂直状態ベクトルであり,あσ,の∋R4 はωσ,ブ)の推定値となる観測器の出力である。また,郵 σ講1,2,3,4),Gi,璃, Ni(i;1,2)およびMはそれ ぞれ適当なサイズをもつ定数行列である。さらに、システ ム(1)式とシステム(3)式の状態ベクトルの間にはある変換 行列7▼1∈R・ n,T4∈Rpxmが存在して次の関係が満たさ れているものとする。
[翻]一「肉細ll」 (4)
さて,本稿での目的はシステム(1)式の係数行列Ai, Bi,
CiおよびKiを既知と仮定して,システム(1)の入出力デ
ータ {u(i,ブ),y(i,ブ)li=0,1,2,……;ブ=0,1,2,…}か ら,その初期状態ベクトル{x(0,の巨=0,1,2,……},
{x (i・o)Ii=o,1,2,一・・}が i)既知, ii)未知のそれぞ れの場合における状態ベクトルの線形関数ω(i,ノ)を推定 するような観測器(3)式を構成することである。
〈定義1> u(i,の(既知)および,x (i, e), x(0,の
(未知あるいは既知)の値に関係なく 次の関係が満たさ れるとき,
lim ω(1,ノ)=lim ω(らブ)
t)」一i.oo tJl−OO
システム(3)式はシステム.(1)式および線形関数ベクトル
(2)式に回する(v+μ)次線形関数観測器であるという。
いま,観測器の誤差ベクトルを次式のように定義する。
[翻1一[瑠]一[;1£1翻]
このとき,(1),(3)式より次式が得られる。
[瓢茸]一[謡1瑠]・[繋1][
[21] u (i,i)
ただし,
¢1=:」FTI T1−T1 A 1十Ul C1 ¢2= F2 T4−Tl A2十Hl C2 ¢3= jE3 Tl−T4 A 3十U2 Cl Φ4 == F4 T4−T4 A4十・U2 C2 A . t . pt n
■L1−u「1一」」1■■1 A2== G2−T4 B2
(5)
翻
(6)
(6)式で記述される2次元システムに対する状態遷移行 列はつぎのように与えられることが知られている。4)
コ︒馬 ヨOF﹇
勘=
①F
﹈巧︒
ユFO﹇
陶=
σF (7)
F(ゴ・ノ)=F(1,0)F(i−1・ゴ)+F(0・1)F(i・ゴー1)(ゴ,の〉(0,0)
F(o・o)病乃+μ,F←i,ゴ)=F(i,づ)魑O i,ノ≧1
ただし,任意の整数に対して半順序関係を次の記法によっ て定「義するものとする。
(le,s)f{g(i,」 ) 〈=〉 le:i{:i, s E{;」
(k,s) =(i,D o le==」, s=」
(le, s)〈(i,1 ) co (k,s)S(i,1), (k, s)=>f(i,1 )
以上を考慮すれば,システム(3)式がシステム.(1)式の 観測器であるための条件としてつぎの定理を得る。
【定理1】 TlCilRvxn, T2∈Ptxmおよび,以下の(8),
(9)式を満たす行列が存在するとき,システム(3)式は(1)
および(2)式で記述されるシステムおよび線形関数ベクト ルに対する線形関数観測器である。
Fl Tl == T1・A 1−flTl Cl. (8・の
]F 3 T4=Tl A2−ff1 C2 (8・b)
IiT3 Tl == T4 A 3−H2 Cl (8・c)
F4 T4=T4 A 4−H2 C2 (8・d)
2
θド71β1 (8・e)
G2= T4 B2 (8・f)
Kl=NI TI十MCI . (9・a)
K2=N2 N4十MrC2 (9・b)
また,もし,初期状態ベクトルが未知ならば,上記(8),
(9)式に加えて状態遷移行列が(10)式の関係を満たすなら ば,システム(3)式は上記同様線形関数観測器である。
lim F(i, , ) == O (1 =O, 1,2,・一・一・・…)
i一・oe (10)
lim ,F (i, 1 ) == O (i m一 O, 1, 2,・・・…一一・)
ノ→。。
(証明) (1),(2),(3)式より推定ベクトルと真の関 数ベクトルとの差ベクトルは次式で与えられる。
toN
@(i, 」) 一w (i , y) =一 [Ni i iv2] [i. [il 1 i.i ]
・[M・・一K・・MC・一剛醐]
(11)
まず,(9)式が満たされるとき,上式は(5)式で定義さ れた観測器の誤差ベクトルを用いて次式のように表現でき
ることに着目する。
輸一・ω一[欄[ll;:ll] (12)
(12)式より,観測器の誤差ベクトルが零ベクトルであるな らば,推定ベクトルは真の関数ベクトルに一致することが わかる。
つぎに,(8)の各式が満たされるとき,観測器の誤差に 関する差分方程式は(6)式よりつぎのようになる。
[ll綱」一[離lll;:il]
(13)式の解が次式で与えられる.4)ことに注意すれば,
(13)
[瑠]一≦。F鱈『(劉㌧島F・切・[2(9,。)]
(14)
(10)式の関係が成りたつとき,観測器の初期誤差ベクトル
{e(O,i), e(i,o)[i,ノ=0,1,2,……}および入力u(ゴ,の に関係なく,誤差ベクトルは次式の関係を満たす。
顔翻]一・
一一fi,システム(1)式の初期状態ベクトル{∫(o,カ,
x(i,o)iゴ,ブ=0,1i 2,……}が既知であれば(5)式からバ
観測器(3)式の初期状態ベクトルを決定でき,観測器の初
ム
期誤差ベクトル{e(o,の,e(i,o)i ,ノ冒0,1,2,__}
をすべて零ベクトルにできる。すなわち,(14)式より入力 U(i,」)に関係なく,観測器の誤差ベクトルはすべての地点 において零ベクトルとなることがわかる。結局,線形関数 w(らのの正確な推定値を得るためには必ずしも(10)式を満
たす必要はない。
3.2次元状態観測器の構成
この章では,被対象2次元システム(1)式の入出力デー タからそのシステムの水平状態および垂直状態ベクトルを それぞれ推定するような2次元状態観測器を構成する問題 を考える。すなわち,ここでは(2)式における関数行列は 式次で与えられることになる。
角一P忽レ叫募]ン (15)
さて,行列Fの固有値の指定*を容易にするためには次 のi),ii)の両方か,あるいはいずれか一方が満たされる ことが望ましい。
i) F2=O,かつ,(A4, C2):可観測対
(16)
ii) F3==0,かつ,(!皇1, C1):可観測対
ここでは条件i)を仮定して観測器の構成を進めることに する。もちろん,条件ii)を仮定しても全く同様に構成手 順を導びくことができる。
またJ一般性を失うことなく出力ベクトルy⑭ゴ)の各 要素は一次独立であると仮定する。すなわち,
rank [Cl I C2] = p
(17)
rank CI S P, rank C2=7$. P
この仮定により,システム(1)式の入出力関係には何ら影 響を及ぼすことなく。2がつぎの形をもつようにシステム
(1)式を座標変換できる。(付録1参照)
俸[翻レ .(・8)
t ) }7. r一
したがって、C2は(18)式の形をしているものと仮定する。
さて,以下では,定理1で与えられた観測器の基礎方程 式(8),(9)式を用いて状態観測器(3)式の各係数行列を決 定して行くことにする。
まず,M, N2, T4を(9・の式におけるK2の満たす条件 より求める。すなわち,(9・の式を次式のように表現し,
*)これ侭システム(1)式の初期状態が未知のとき必要,
すなわち,(10)式を成立させるために必要となる。
KT2 == IV/2 T4十M[ 1, I O] (19)
ただし,
厳一M
T4をつぎのように定める。
T4 == [ S : lm−r] (2 0)
ただし,s∈…R(m一γ)x7はF4をべき零行列(全ての固有値 が零)にするように選ばれた定数行列である。
このとき,(19)式は次式のように書き換えられる。
K…=[・ill・N2] i一画 (・・)
ここで,K2の形(15)式に注目すれば,(21)式を満たす
[MiN2]は次式で与えられることがわかる。
晦闘)1(22)
結局,Mの定義(19)式に注意すれば, M『, iv2は上式より つぎのように決定できることになる。
皿一 P鵠]ll・N・一卜轟;]>t+「 (・・)
kだし,
Ml =O,
[麦]+
﹁一 4⁝亀 一 十
ろ一S一 鷹
碗
﹈
メ
〜σ﹇
の 4
メa
卍0
4十
︵
=
つぎに,Nl, Tlは(15)式のKlおよび上で求めたMを
(9・a)式に代入することによって決定できる。すなわち,
鮪をつぎのように分割すれば,
N・一
次式の関係が容易に求められる。
IVn Tl=ln , IV21 Tl 一M2 Cl
これより,IVI, Tlはつぎのように決定できる。
T・一い一
(24)
(25)
一一r IIr i O
[H2 : F4]=[一SI lm−r] A4 1 lr一一n一一一
S IIm−r 結局,F4, H2はそれぞれ次式のように決定できる。
F4 == A44 一 SA 24
H2=(Aen−sA14+liT4s) [TtTri]+ (31)
ただし,
鵡i捗,
続いて,Fl , Hiの決定であるが,ここでは仮定i)(16)
式に注目する。すなわち,F2=0とできる仮定から,ここ までに求まったT1, T4を(8−6)式に代入すれば,容易に わかるように,F2−oとできるための必要十分条件である 次式が成立している。
Range [A 2T]C一: Range[C2T] (26)
このことより,HlはA2−HI C2=Oを満たす一般解とし て次式のように求まる16)。
Hl ==A2 C++Q (lp−C2 C2+) (27)
ただし,Q∈RPxPは任意行列であり,
砺一園(・r・∂轟賭・義・]
である。
さらに,FlはTlと上で求まったHlを(8{)式に代入する ことにより,つぎのように決定できる。
F1=A1−A2C2+C1−Q(・lp−C2C2+)C1 (28)
特に,(2b)tt式において,対[(A、一A、0、・C、),(・p一σ、・
Cl+)Cl)]が可罰問対であるならば, Flの安定性が保障 されることを注意しておく。
つぎに,F4, H2の決定にはC2の形(18)式に注目して
(8・d)式を用いる。すなわち,(8・d)式をつぎのように表
現し,
」FT4 T4= T4 A4−Lr2 [1, I O] (29)
ただし,
舳悶
T4(20)式をこれに代入すれば(29)式は次式で書き換えら れる。
[ i. { 1 i/.9L ;一] (30)
4一
圏二( へ りIr十〇27「C2)+[■riC2T]
最後に,F3の決定であるが,これはこれまでに求まっ た.T1, T4, H2を(8・c)式に代入することによって決定で きる。すなわち,
jFT3 = [一Si 1.一.] A3一 (A34 一SAi4 + F4S) [一tl一 i ] C+1 (32)
以上,被対象システム(1)式の係数行列および任意行列 S,Qを用いて,観測器(3)式の係数行列を決定した。こ れら係数行列をまとめると以下のようになる。
F1=A1−A2C2十C1一Q(■P−C2C2十)Cl F2=O, F4==A44−SApt
F3= [一sl 1.一,]A3一 (Ast 一sA14 一1一 ]FT4s) [一b.1,一 fi] +cl
Gl=Bl, G2==[一S iIm−r]B2 Hl= A2C2+ +Q(lp 一C2C2+)
Hr2==; (A34−SA;4+IFT4S) [一一ttt一] +
M燗・嗣・叶ξ]1乙]÷
鮪一 k姦]・一N2一[∴]
ただし,
圏一(ろ+c 2τc2)一・[・r・御]
財閥 C罐亀戸瞬]
さて,残る問題は任意行列SおよびQの選定である。ま ず,Pの固有値奉興の固有値とF4の固有値との和集合で あること**,また,Flの固有値は行列Qの選択によりある 程度移動でき,さらに珊の固有値は,(A ,Am)が可観 測対であることより,行列Sの選択により任意に指定でき る14)ことに注目する。(F4をべき零にするようなsの構成 手順については付録丑を参照されたい。)
定理1の証明で示したように.システム(1)式の初期状 態ベクトルが既知の場合,観測器の初期誤差ベクトル バ{δ(0,ゴ),e(i,0)レ設0,1,2,…,ブ脚劣;i=o,1,2,…imax}
はすべて零ベクトルにできる。したがって,Fの固有値と
は無関係に,観測器からは水平状態および垂直状態ベクト ルの正確な値が得られる。すなわち,行列SおよびQを任 意に選んでも観測器の応答には何ら影響を及ぼさない。
一方,システム(1)式の初期状態ベクトルが未知の場合 には行列S,Qの選定が観測器の応答に決定的な影響を及 ぼす。したがって,この場合の行列S,Qの選定について 以下で検討する。
観測器の誤差ベクトルは(13)式で示したオートノマスな 差分方程式に左右される。また,F2=0のとき,この方程 式の状態遷移行列は次式のように与えられる7)ことに注目
する。
叫鵬]・一臨i蕩1
叫疎画掩・ (33)
ここでt行列SをF4がべき零行列になるように選択すれ ば,上式よりすべてのiに対して次式を満たすような正整 数hが存在することがわかる。
**.F2=0であることに注意。詳細は文献8)参照。
F(i・ブ)=0 (ノ:⊇≧彦) for all i
このとき,(14),
のようになり,
臨胤、・一・團
これに(33)式の関係を代入すれば次式を得る。
i(i,ブ)=F1嬉(0,ブ)
参(切_ゴヨ F、i−s一・F、F、縁(o, s)
ε冨ブー々+1
(34)
(34)式より観測器の誤差ベクトルは次式
(35)
(36)
つぎに,上式において行列QをF1の固有値がすべて単位円 に移動するように選択すればシステム(1)式の水乎状態お よび垂直状態ベクトルはiの増加に伴い漸近的に真値に収 束する。すなわち1このように行列S,Qを選定すれば,
定理1の(10)式が満たされることになる。
ただし,真滝への収束が著しく遅かったり,F1のいく つかの固有値を単位円内に移動できない場合にはシステム
(1)式の水平状態ベクトル{x(O,のiノ;0,1,2. 》彫ηx}
が既知であることが必要となる。このとき,観測器の初期 水平状態ベクトル{2(0,のiノ=0,1,2.…,ゴ伽∬}は(5)式
の関係から決定でき,観測器の誤差ベクトル{i(0,の1ブ=
0,1,2,…ゴ脚κ}をすべて零ベクトルにできる。すなわち,
(36)式より
障:i]]一g(i・・…k)f…all・i(37)
となる。
4.2次元シズテムの安定化
この章では非安定な2次元システムに前節で考察した状 態観測を用いて状態フィードバックを施し,安定化する問 題を考える。
再びシステム(1)を考える。もし,システム(1)式の初
ん
期状態ベクトルのすべて{x(0,の,κ(i,O)li,ゴ=O,1,…}
が零ベクトルであるならば,その出力はつぎのように与え
られる4)。
〃σ,の=・ΣΣ cwて々,3)聞(i一尾ブーε)
(O,O)E{(le,S)〈(i,S )
ただし,
rv(k, S) =A(k−1,S)B(1,0) 十A(k,S−1)B(O,1)
B(1,0).. [:1] , B(o,1)== [;2]
rAl A21 A(o.1)=. [O O I Lo
A(1,0)..=1 n . A(O,1)=
o」 LA・列
∠1( ,ゴ)=A(1,0)A(ガー1,ゴ)十A(0,1)A(ゴ,ゴー1)
∠4(0,0)=ln+m, 五(一∫,ゴ)調孟(ゴ,り)=o
(38)
(t,ノ)〉(0,0)
,ノ》1
C=[CliC2]
さて,1次元システムにおける有界入カー有界出力安定
(BBO一安定)の概念と同様に2次元システムにおける安 定性をつぎのように定義する。
<定義2> 2次元システム(1)式は次の関係が満たさ れるとき,安定であるという。
1im O伊(i, の =0 (」 =0, 1, 2, ・・… .)
i−oo
11 mCW(i, D−O (i一一〇, 1, 2,・・…t)
」.ee
つぎに、状態ベクトルの線形結合である(39)式の入力を 考える。
u(i, i )一一[Ki K2][:T((1: ll]] +v(i, ] ) (3g)
ただし,v(i,の∈R「
このとき,システム(1)式はつぎのように書き換えられ
る。
[1:綴:] 一=[謡翻1:誰][1:;:1:1
+ [£1] v(i・ i) (4b)
卿)一[・・ ・・] m調
さて,ここでの問題はシステム(1)式が非安定であると き,閉ループシステム(40)式を安定にするようなフィード バック則,すなわち,フィードバック行列Kl, K2を見つ けることである。悶題を明確にするためにつぎの定義をす
る。
<定義3> 2次元システム(40)式が安定になるような 行列Kl, K2が存在するとき,システム(1)式は安定化可 能であるという。
2次元システム(1)式が安定化可能であるための十分条 件はつぎの定理によって与えられる。
〔定理2〕 つぎのi),ii)の条件のいずれか一方が成 り立つとき,2次元システム(1)式は安定化可能である。
i) A4−B2 K2の固有値を単位円内に配するような,
A2=Bl K2の二二が存在し,かつ,(Al, Bl)が可 安定対である。
ii) A1−Bl K1の固有値を単位円内に配するような,
A3=B2 K1の解K1が存在し,かつ,(A4, B2)が可 安定対である。
(証明) 条件i)とii)は互いに双対の関係にあるか ら,i)が満たされるとき,2次元システム(1)式が安定 化可能であることを示せば十分である。
さて,条.件i)が満たされるとき,A2=Bl K2であるか ら,w(ゴ,のは以下のようになる。7)
照の
C熟二撃=1−1.il一!.
Jv(o, i) 一 [k−II:i SU.O S5 ,MLI B 一E一] (4i)
照・)一㊧鼇m角)一y司
i,ブ:≧1
さらに,条件i)が満たされれば,A4−B2」K2, Al−BIKI の単位円外にある固有値をそれぞれすべて,単位円内に移 すようなKl, K2が存在する。すなわち,フィードバック システム(40)式は定義2の意味で安定である。
6
なお,A2=BIKT2を満たす一般解は,
K2=Bl+A2+(■r 一Bl+Bl)r (40)
ただし,r∈R xmは任意行列, Bl+はBlの一般化逆行列 で与えられるから,結局,A4−B2 K2はつぎのように表現 できる。
A4−B2K2=A4−B2Bi+A2−B2(lr−Bi+Bi)r (43)
すなわち,A4−B2 K2の固有値を単位円内に移し,かつ,.
A2=BIK2を満たすようなK2が存在するtcめの必要十分条 件は[(A4−B2 B1+A2), B2(lr−B1+・Bl)]が可安定評で あることである。
5.あ と が き
本論文では,状態フィードバックを用いた2次元システ ムの安定化の問題を考察した。
まず,このフィードバックに必要な状態ベクトルを得る ために,2次元システムの入出力データから水平状態およ び垂直状態ベクトルを再構成するような2次元状態観測器 を提案した。すなわち,ここでの状態観測器は1次元シス テムにおいて提案されているLuenbergerの状態観測器を 一般化したものである。
続いて,2次元状態観測器を構成するtめの基礎方程式 を導びいた。そして 状態観測器が存在するための十分条 件を示し,その構成アルゴリズムを与えた。
なお,本論文における2次元状態観測器の理論は,カル マンフィルターを2次元の場合に拡張するための基礎理論 となり得るもので,ノイズに汚染された入出力データから 水平状態および垂直状態ベクトルを推定するようなフィル タの構成へと発展が期待できる。もちろん,このようなフ ィルタから得られた状態ベクトルの推定値はノイズに汚染 された2次元システムの出力を画像とする画質の向上に利 用できよう。 .
最後にt本研究の遂行にあたり懇切な御教示を賜わっ た,筆者の一入の留学先であるCanada Queen sUniversity 教授Fairman先生に深く感謝の意を表します。
文 献
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signment and Determination of the Residual Polynomial in 2−D Systems , IEEE. AC−26, 2, (1981)
11) P.N.Paraskevouls; Eigenvalue assignment of linear multivariable 2−dimensional systems , Proc. IEEE. 126,
11, 1204/1208 (1979)
12)下西・雛元・前川; 2次元システムの状態観測器 , システムと制御,25,9,576/577(1981)
13) D.G.Luenberger; An lntroduction to Observers , IEEE. AC−16, 6, 596/602 (1971)
14)H.Kwakeranaak and RSivan; Linear Opti皿al Con・
trol Syste皿s , John Wily and Sons,334(1972)
15)須田・児玉; 制御工学者のためのマトリクス理論 (23) ,シスラムと制御,17,7,429/440(1973)
16)児玉・須田;tt制御工学者のためのマトリクス理論 (26) 、シスラムと制御,17,10,621/629(1973)
付 録 工
2次元状態空間における座標変換
2次元状態空間モデル(1)式の座標変換は(1−A)式の変 換行列を用いて行なわれる。
[:AES・1?,]=一[:i.2][1・[IIIii]
(1−A)
ただし,v1∈Rnxn, v2E!RMxmはそれぞれ正則な行列で
バ
あり,a(i,」)∈Rnxn, ij (i,」)∈Rmは新しい座標の下での 水平および垂直状態ベクトルの表現である。
このとき,互いのシステ.ムの入出力関係には何ら影響はな いことが知られている。4)
さて,(1−A)式の変換を(1)式に施せば次式が得られ
る。
匿調一圓隠1・[矧噸)
一7一
u(切一[c…一・…媚匡1;:到
ただし,
ノ皇1コVIAIV「1−1 , A2=VIA2V2−1 A3=V2A3Vl−1 , V4=V2A4V2−1
(2−A)
つぎに,本文(17)式の行列階数の関係に注目すれば,σ2 の最初のγ行が独立になるように出力y(i,のの要素庖並 び換えることができる。すなわち,c2はつぎの形にでき
る。
砺俵] 圃
ただし,c2∈fRrxmは。2のγ個の独立な行からなる行列で ある。
第3章において、2次元状態観測器の構成に用いられた C2(ここではC2V2−1)の形はV2を(4−A)式のように選ぶ ことによって得られる。
v2一 [JtT−2r一] (4 A)
ただし,Ω∈R(Tn−tyr)xmはv2を止則にするように選ばれた 任意行列である。
すなわち,2.次元システム(1)式を座標変換{(2−A)}式 することによって得られる。2の形は以下となる。
一「謡レ
tNM_ノ r
付 録 コ:
F4をべき零にするSの構成アルゴリズム
(5−A)
第3節における仮定,すなわち,(A4, C2)は可観測対で あるという条件が満たされているものとする。このとき,
C2の形((18)式)に注意すれば,(31)式のように分割され tc A4のブロック行列の対(A44, A24)もまた可観測対とな
る。13)
(31)式において(A44, A24)が可観測対であれば,適当 に行列Sを選ぶことによって,F4の固有値を任意に(複素 数の場合は共役対)指定できることが保障される。13)した がって,F4の固有値をすべて零に指定するようなSの構成 法を以下で示す。
さて,(31)式におけるAMの独立な行がp Aあるとしよ う。すなわち,
rank [A24]=p$7 (1−B)
このとき,五匹はつぎのように表わされる。
A24==PA24 (2−B)
ただし,P∈Rr×Pであり. A24∈Rρ×(m−O「)はA24の独立な 行からなり,最大階数をもっている。
つぎに,対(A44, APt)をLuenbergerの正準形15)に変換す る。すなわち,適当な正則変換行列uが存在し,対(A44,
A24)はつぎの形に変換できる。
UA44U−1=[edl十2, ed1+3,・… ■・, edl十a1, α1,・… 9ρ
…….edρ+2, ed。+3,……, ed,+σρ, aρ]
A241アー1..・[二〇一・O el…0・。・… O θ2i・・・… iO。。・・ ・0 θρ]
詔[剥 圃
ただし,α∫εE胎7σ=1,2,……,ρ)は適当な要素をもつ 列べクトルであり,θi∈Rρは対角上が1であるような下 三角行列θ∈RPXPの第ゴ番目の列べクトルである。また,
ei∈RM一γは単位行列Im_rの第i番目の列べクトルを示 す。さらに,
i−1
dl=O, di=Σgi(i一一2,3,……,ρ+1), dρ+1=m一γ ノ=1
であり.σブの総和は対(A44, A24)の可観測性指数となる。
さて,(2−B)式に注目すれば,(31)式におけるF4はつ ぎのように表現できる。
F4= U−IF4U (4−B)
ただし,
り
F4 == UA4U−1一 USPA24σ一1
=[edl+2, edを+3,… ,ed1+α1,α1一θb… ,edρ+2, edp+3,
……,edρ+σρ, ap一θP]
θ声σSPθゴ(猟1,2,……,P)
ガ
(4−B)式において,もし,θi=ai (i 一T 1,2,…,ρ)であれ ば,角は明らかにべき零行列である。すなわち,
1㍉α=0(α=mm{α1,α2,……,αρ}) (5−B)
したがって,θi=aiとするようなSは次式で与えられるこ とがわかる。
S== U−1[α1,a2,……,αρ]θ一1P+ (6−B)
ただし,
P+=(PTP)一IPT
以上,F4をべき零にするようなSの構成手順を与えた。
なお,Luenbergerの正準形を導びくような変換行列Uの構 成法については例えば文献(15)等を参照されたい。
8 一