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下西二郎*二元孝夫**前川禎男** (昭和57年4月27日受理)

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(1)

2次元状態観測器を用いた2次元システムの安定化について

下西二郎*二元孝夫**前川禎男**

(昭和57年4月27日受理)

Stabilization of 2−D Systems Using 2−D Observers Jiro SmMoNism, Takao HINAMoro and Sadao MAEKAwA

(Received April 27, 1982)

 In this paper, 2−D (two−dimensional) filters are considered using the 2−D state space model originally introduced by Givone and Roesser. The wellknown 1−D state space ideas of state feedback and state observers are extended to the 2−D state space model with the intention of providing a mean of stabilizing unstable 2−D systems. A synopsis of the paper is given as follows.

 In section 2, the theory of rninimal order observers for 1−D systems originally proposed by Luenberger is ex−

tended to the 2−D case. [hg resulting fundamental matrix relations are used in section 3 to develop a rnethod for the desiging a 2−D state observer. Finally, in section 4 the use of the 2−D observer in a 2−D feedback stabiliza−

tion scheme is investigated.

1. ま え が き

 2次元ディジタルフィルターは各種画像処理などの2次 元信号の処理に有効とされ,主にその安定問題1),2),設計 問題3)などが取り扱われてきた。しかし,最近2次元フィ ルタに対する状態空間モデル(2次元システム)が提案さ れ4)〜6),その構造解析7)実現問題6)〜9)の解法と共に,2 次元フィルタの状態空間モデルでの安定化問題が重要視さ れ始め,状態あるいは出力フィードバックによる安定化へ の試みが見られるようになった。9)、11)

 一般に2次元システムの状態は1次元システムの場合と 同様に未知である。したがって,2次元システムの状態を 推定するような,いわゆる2次元状態観測器12)が必要とな ろう。また,安定化に関していえば,文献9)では対象とな る2次元システムは特殊な係数をもつ2次元伝達関数から 実現されたGivone−Roesser型状態空間モデルであるし,

文献10),11)では状態あるいは出力フィードバックを施し た閉ループシステムの特性多項式の係数の一部を指定する ような方法であって,安定化可能に関する条件は与えられ ていない。

 本論文ではGivone−Roesser型2次元状態空間モデルで 表現される2次元システムを考察対象として,よく知られ ている1次元システムにおける状態フィードバックおよび 状態観測器の考え方をこの2次元状態空間モデルへと砿張 する。そして,状態観測器から得られた状態ベクトルを

フィードバックすることにより,非安定な2次元システム を安定化する問題について考察する。

 以下では,}まず,Luenbergerによって提案された1次元 システムにおける最小次元観測器の理論を2次元システム の場合に拡張する。続いて,そこで導びかれた観測器の基 礎方程式を用いて,2次元状態観測器を構成する手順を示 す。最後に,2次元状態フィードバックによる安定化に,

ここでの状態観測器の利用を考える。

 なお,本稿で用いる主な記法は以下の通りである。

 Rn, Rnxm:実数を要素とするn組,あるいはn×m行        列のベクトル空間

 In    :nxnの単位行列  0    :適当なサイズの零行列

 AT, A+ :Aの転置行列,および,一般化逆行列

*電気工学科

**神戸大学工学部

2.2次元システムに対する線形関数観測器

この章では,Luenberger13)によって提案された1次元シ

(2)

ステムに対する状態観測器の理論を2次元システムの場合 に拡張する。

 対象とする2次元システム.は次式で与えられる。4)

[茎:細H鑛]障:1;]・[窪;]咽)

y(切一[・・C・][翻]・・≧・  (1)

      ハただし,王色ノ)∈・Rn, X色力∈・R彿はそれぞれ水平状態お よび,垂直状態ベクトルであり,U(i,の∈R「, y(i,ノ)∈Rρ はそれぞれ入力および出力ベクトルである。また,Ai(ゴ=

1,2,3,4),Bi,Ci(i=1,2)は適当なサイズをもつ定数 行列である。

 また,推定すべき状態の線形関数は次式で与えられる。

・(切一[K・・K・][瑠]

(2)

ただし,w (i,カ∈Rq,κゴσ=1,2)は適当なサイズをも つ定数行列である。

 つぎに,w((i,のの推定値を得るため,以下の2次元シ ステム(観測器)を考える。

Fz (i +1, 」 ) 1 F]F i F2] rz (i,i) 1 , rGil ... ,,

L・(らブ+1)rLF, F4」L勿,ヵ」〒Lσ2」軸

・[睾]・(切

範ブ)一[N・・N2][;ll:1:」一1−My(i ・)  (3)

         ハただし,牙σ,ブ)∈RV, Z(∫,の∈Rμはそれぞれ観測器におけ る水撃状態および垂直状態ベクトルであり,あσ,の∋R4 はωσ,ブ)の推定値となる観測器の出力である。また,郵 σ講1,2,3,4),Gi,璃, Ni(i;1,2)およびMはそれ ぞれ適当なサイズをもつ定数行列である。さらに、システ ム(1)式とシステム(3)式の状態ベクトルの間にはある変換 行列7▼1∈R・ n,T4∈Rpxmが存在して次の関係が満たさ れているものとする。

[翻]一「肉細ll」 (4)

 さて,本稿での目的はシステム(1)式の係数行列Ai, Bi,

CiおよびKiを既知と仮定して,システム(1)の入出力デ

ータ {u(i,ブ),y(i,ブ)li=0,1,2,……;ブ=0,1,2,…}か ら,その初期状態ベクトル{x(0,の巨=0,1,2,……},

{x (i・o)Ii=o,1,2,一・・}が i)既知, ii)未知のそれぞ れの場合における状態ベクトルの線形関数ω(i,ノ)を推定 するような観測器(3)式を構成することである。

 〈定義1> u(i,の(既知)および,x (i, e), x(0,の

(未知あるいは既知)の値に関係なく 次の関係が満たさ れるとき,

  lim ω(1,ノ)=lim ω(らブ)

 t)」一i.oo tJl−OO

システム(3)式はシステム.(1)式および線形関数ベクトル

(2)式に回する(v+μ)次線形関数観測器であるという。

 いま,観測器の誤差ベクトルを次式のように定義する。

[翻1一[瑠]一[;1£1翻]

このとき,(1),(3)式より次式が得られる。

[瓢茸]一[謡1瑠]・[繋1][

       [21] u (i,i)

ただし,

  ¢1=:」FTI T1−T1 A 1十Ul C1   ¢2= F2 T4−Tl A2十Hl C2   ¢3= jE3 Tl−T4 A 3十U2 Cl   Φ4 == F4 T4−T4 A4十・U2 C2   A . t . pt n

  ■L1−u「1一」」1■■1   A2== G2−T4 B2

(5)

(6)

 (6)式で記述される2次元システムに対する状態遷移行 列はつぎのように与えられることが知られている。4)

︒馬 ヨOF﹇

F

巧︒

FO

σF (7)

F(ゴ・ノ)=F(1,0)F(i−1・ゴ)+F(0・1)F(i・ゴー1)(ゴ,の〉(0,0)

F(o・o)病乃+μ,F←i,ゴ)=F(i,づ)魑O   i,ノ≧1

ただし,任意の整数に対して半順序関係を次の記法によっ て定「義するものとする。

 (le,s)f{g(i,」 ) 〈=〉 le:i{:i, s E{;」

 (k,s) =(i,D o le==」, s=」

 (le, s)〈(i,1 ) co (k,s)S(i,1), (k, s)=>f(i,1

 以上を考慮すれば,システム(3)式がシステム.(1)式の 観測器であるための条件としてつぎの定理を得る。

 【定理1】 TlCilRvxn, T2∈Ptxmおよび,以下の(8),

(9)式を満たす行列が存在するとき,システム(3)式は(1)

および(2)式で記述されるシステムおよび線形関数ベクト ルに対する線形関数観測器である。

 Fl Tl == T1・A 1−flTl Cl.       (8・の

 ]F 3 T4=Tl A2−ff1 C2 (8・b)

 IiT3 Tl == T4 A 3−H2 Cl (8・c)

 F4 T4=T4 A 4−H2 C2 (8・d)

2

(3)

 θド71β1       (8・e)

 G2= T4 B2 (8・f)

 Kl=NI TI十MCI . (9・a)

 K2=N2 N4十MrC2 (9・b)

 また,もし,初期状態ベクトルが未知ならば,上記(8),

(9)式に加えて状態遷移行列が(10)式の関係を満たすなら ば,システム(3)式は上記同様線形関数観測器である。

  lim F(i, , ) == O (1  =O, 1,2,・一・一・・…)

  i一・oe (10)

  lim ,F (i, 1 ) == O (i m一 O, 1, 2,・・・…一一・)

  ノ→。。

 (証明) (1),(2),(3)式より推定ベクトルと真の関 数ベクトルとの差ベクトルは次式で与えられる。

toN

@(i, 」) 一w (i , y) =一 [Ni i iv2] [i. [il 1 i.i ]

・[M・・一K・・MC・一剛醐]

(11)

 まず,(9)式が満たされるとき,上式は(5)式で定義さ れた観測器の誤差ベクトルを用いて次式のように表現でき

ることに着目する。

輸一・ω一[欄[ll;:ll] (12)

(12)式より,観測器の誤差ベクトルが零ベクトルであるな らば,推定ベクトルは真の関数ベクトルに一致することが わかる。

 つぎに,(8)の各式が満たされるとき,観測器の誤差に 関する差分方程式は(6)式よりつぎのようになる。

[ll綱」一[離lll;:il]

(13)式の解が次式で与えられる.4)ことに注意すれば,

(13)

[瑠]一≦。F鱈『(劉㌧島F・切・[2(9,。)]

      (14)

(10)式の関係が成りたつとき,観測器の初期誤差ベクトル

{e(O,i), e(i,o)[i,ノ=0,1,2,……}および入力u(ゴ,の に関係なく,誤差ベクトルは次式の関係を満たす。

顔翻]一・

 一一fi,システム(1)式の初期状態ベクトル{∫(o,カ,

x(i,o)iゴ,ブ=0,1i 2,……}が既知であれば(5)式から

観測器(3)式の初期状態ベクトルを決定でき,観測器の初

       ム

期誤差ベクトル{e(o,の,e(i,o)i ,ノ冒0,1,2,__}

をすべて零ベクトルにできる。すなわち,(14)式より入力 U(i,」)に関係なく,観測器の誤差ベクトルはすべての地点 において零ベクトルとなることがわかる。結局,線形関数 w(らのの正確な推定値を得るためには必ずしも(10)式を満

たす必要はない。

3.2次元状態観測器の構成

 この章では,被対象2次元システム(1)式の入出力デー タからそのシステムの水平状態および垂直状態ベクトルを それぞれ推定するような2次元状態観測器を構成する問題 を考える。すなわち,ここでは(2)式における関数行列は 式次で与えられることになる。

角一P忽レ叫募]ン (15)

 さて,行列Fの固有値の指定*を容易にするためには次 のi),ii)の両方か,あるいはいずれか一方が満たされる ことが望ましい。

  i) F2=O,かつ,(A4, C2):可観測対

      (16)

 ii) F3==0,かつ,(!皇1, C1):可観測対

ここでは条件i)を仮定して観測器の構成を進めることに する。もちろん,条件ii)を仮定しても全く同様に構成手 順を導びくことができる。

 またJ一般性を失うことなく出力ベクトルy⑭ゴ)の各 要素は一次独立であると仮定する。すなわち,

  rank [Cl I C2] = p

      (17)

  rank CI S P, rank C2=7$. P

この仮定により,システム(1)式の入出力関係には何ら影 響を及ぼすことなく。2がつぎの形をもつようにシステム

(1)式を座標変換できる。(付録1参照)

俸[翻レ   .(・8)

      t ) }7. r一

したがって、C2は(18)式の形をしているものと仮定する。

 さて,以下では,定理1で与えられた観測器の基礎方程 式(8),(9)式を用いて状態観測器(3)式の各係数行列を決 定して行くことにする。

 まず,M, N2, T4を(9・の式におけるK2の満たす条件 より求める。すなわち,(9・の式を次式のように表現し,

*)これ侭システム(1)式の初期状態が未知のとき必要,

 すなわち,(10)式を成立させるために必要となる。

(4)

  KT2 == IV/2 T4十M[ 1, I O] (19)

ただし,

厳一M

T4をつぎのように定める。

  T4 == [ S :  lm−r] (2 0)

ただし,s∈…R(m一γ)x7はF4をべき零行列(全ての固有値 が零)にするように選ばれた定数行列である。

 このとき,(19)式は次式のように書き換えられる。

K…=[・ill・N2] i一画  (・・)

ここで,K2の形(15)式に注目すれば,(21)式を満たす

[MiN2]は次式で与えられることがわかる。

晦闘)1(22)

結局,Mの定義(19)式に注意すれば, M『, iv2は上式より つぎのように決定できることになる。

皿一 P鵠]ll・N・一卜轟;]>t+「 (・・)

kだし,

Ml =O,

[麦]+

﹁一 4⁝亀

ろ一S 鷹

〜σ

4

a

卍0

4

 つぎに,Nl, Tlは(15)式のKlおよび上で求めたMを

(9・a)式に代入することによって決定できる。すなわち,

鮪をつぎのように分割すれば,

N・一

次式の関係が容易に求められる。

  IVn Tl=ln , IV21 Tl   一M2 Cl

これより,IVI, Tlはつぎのように決定できる。

T・一い一

(24)

(25)

  一一r IIr i O

  [H2 :  F4]=[一SI lm−r] A4 1 lr一一n一一一

       S IIm−r 結局,F4, H2はそれぞれ次式のように決定できる。

  F4 == A44 一 SA 24

H2=(Aen−sA14+liT4s) [TtTri]+ (31)

ただし,

鵡i捗,

続いて,Fl , Hiの決定であるが,ここでは仮定i)(16)

式に注目する。すなわち,F2=0とできる仮定から,ここ までに求まったT1, T4を(8−6)式に代入すれば,容易に わかるように,F2−oとできるための必要十分条件である 次式が成立している。

  Range [A 2T]C一: Range[C2T] (26)

このことより,HlはA2−HI C2=Oを満たす一般解とし て次式のように求まる16)。

  Hl ==A2 C++Q (lp−C2 C2+) (27)

ただし,Q∈RPxPは任意行列であり,

  砺一園(・r・∂轟賭・義・]

である。

 さらに,FlはTlと上で求まったHlを(8{)式に代入する ことにより,つぎのように決定できる。

  F1=A1−A2C2+C1−Q(・lp−C2C2+)C1      (28)

特に,(2b)tt式において,対[(A、一A、0、・C、),(・p一σ、・

Cl+)Cl)]が可罰問対であるならば, Flの安定性が保障 されることを注意しておく。

 つぎに,F4, H2の決定にはC2の形(18)式に注目して

(8・d)式を用いる。すなわち,(8・d)式をつぎのように表

現し,

  」FT4 T4= T4 A4−Lr2 [1, I O] (29)

ただし,

舳悶

T4(20)式をこれに代入すれば(29)式は次式で書き換えら れる。

      [ i. 1 i/.9L ;一] (30)

4一

(5)

圏二(  へ      りIr十〇27「C2)+[■riC2T]

 最後に,F3の決定であるが,これはこれまでに求まっ た.T1, T4, H2を(8・c)式に代入することによって決定で きる。すなわち,

jFT3 = [一Si 1.一.] A3一 (A34 一SAi4 + F4S) [一tl一  i ] C+1 (32)

 以上,被対象システム(1)式の係数行列および任意行列 S,Qを用いて,観測器(3)式の係数行列を決定した。こ れら係数行列をまとめると以下のようになる。

  F1=A1−A2C2十C1一Q(■P−C2C2十)Cl   F2=O, F4==A44−SApt

F3= [一sl 1.一,]A3一 (Ast 一sA14 一1一 ]FT4s) [一b.1,一 fi] +cl

  Gl=Bl, G2==[一S iIm−r]B2   Hl= A2C2+ +Q(lp 一C2C2+)

Hr2==; (A34−SA;4+IFT4S) [一一ttt一] +

M燗・嗣・叶ξ]1乙]÷

鮪一 k姦]・一N2一[∴]

ただし,

圏一(ろ+c 2τc2)一・[・r・御]

財閥 C罐亀戸瞬]

 さて,残る問題は任意行列SおよびQの選定である。ま ず,Pの固有値奉興の固有値とF4の固有値との和集合で あること**,また,Flの固有値は行列Qの選択によりある 程度移動でき,さらに珊の固有値は,(A ,Am)が可観 測対であることより,行列Sの選択により任意に指定でき る14)ことに注目する。(F4をべき零にするようなsの構成 手順については付録丑を参照されたい。)

 定理1の証明で示したように.システム(1)式の初期状 態ベクトルが既知の場合,観測器の初期誤差ベクトル     バ{δ(0,ゴ),e(i,0)レ設0,1,2,…,ブ脚劣;i=o,1,2,…imax}

はすべて零ベクトルにできる。したがって,Fの固有値と

は無関係に,観測器からは水平状態および垂直状態ベクト ルの正確な値が得られる。すなわち,行列SおよびQを任 意に選んでも観測器の応答には何ら影響を及ぼさない。

 一方,システム(1)式の初期状態ベクトルが未知の場合 には行列S,Qの選定が観測器の応答に決定的な影響を及 ぼす。したがって,この場合の行列S,Qの選定について 以下で検討する。

 観測器の誤差ベクトルは(13)式で示したオートノマスな 差分方程式に左右される。また,F2=0のとき,この方程 式の状態遷移行列は次式のように与えられる7)ことに注目

する。

叫鵬]・一臨i蕩1

叫疎画掩・ (33)

ここでt行列SをF4がべき零行列になるように選択すれ ば,上式よりすべてのiに対して次式を満たすような正整 数hが存在することがわかる。

**.F2=0であることに注意。詳細は文献8)参照。

F(i・ブ)=0     (ノ:⊇≧彦) for all i

このとき,(14),

のようになり,

臨胤、・一・團

これに(33)式の関係を代入すれば次式を得る。

  i(i,ブ)=F1嬉(0,ブ)

  参(切_ゴヨ F、i−s一・F、F、縁(o, s)

    ε冨ブー々+1

(34)

(34)式より観測器の誤差ベクトルは次式

(35)

(36)

つぎに,上式において行列QをF1の固有値がすべて単位円 に移動するように選択すればシステム(1)式の水乎状態お よび垂直状態ベクトルはiの増加に伴い漸近的に真値に収 束する。すなわち1このように行列S,Qを選定すれば,

定理1の(10)式が満たされることになる。

 ただし,真滝への収束が著しく遅かったり,F1のいく つかの固有値を単位円内に移動できない場合にはシステム

(1)式の水平状態ベクトル{x(O,のiノ;0,1,2. 》彫ηx}

が既知であることが必要となる。このとき,観測器の初期 水平状態ベクトル{2(0,のiノ=0,1,2.…,ゴ伽∬}は(5)式

の関係から決定でき,観測器の誤差ベクトル{i(0,の1ブ=

0,1,2,…ゴ脚κ}をすべて零ベクトルにできる。すなわち,

(36)式より

(6)

障:i]]一g(i・・…k)f…all・i(37)

となる。

      4.2次元シズテムの安定化

 この章では非安定な2次元システムに前節で考察した状 態観測を用いて状態フィードバックを施し,安定化する問 題を考える。

 再びシステム(1)を考える。もし,システム(1)式の初

      ん

期状態ベクトルのすべて{x(0,の,κ(i,O)li,ゴ=O,1,…}

が零ベクトルであるならば,その出力はつぎのように与え

られる4)。

  〃σ,の=・ΣΣ  cwて々,3)聞(i一尾ブーε)

    (O,O)E{(le,S)〈(i,S

ただし,

  rv(k, S) =A(k−1,S)B(1,0) 十A(k,S−1)B(O,1)

B(1,0).. [:1] , B(o,1)== [;2]

    rAl A21 A(o.1)=. [O O I     Lo

A(1,0)..=1 n . A(O,1)=

       o」    LA・列

∠1( ,ゴ)=A(1,0)A(ガー1,ゴ)十A(0,1)A(ゴ,ゴー1)

∠4(0,0)=ln+m, 五(一∫,ゴ)調孟(ゴ,り)=o

(38)

(t,ノ)〉(0,0)

,ノ》1

  C=[CliC2]

 さて,1次元システムにおける有界入カー有界出力安定

(BBO一安定)の概念と同様に2次元システムにおける安 定性をつぎのように定義する。

 <定義2> 2次元システム(1)式は次の関係が満たさ れるとき,安定であるという。

  1im O伊(i,  の =0      (」 =0,  1,  2, ・・…  .)

  i−oo

  11 mCW(i, D−O (i一一〇, 1, 2,・・…t)

  」.ee

 つぎに、状態ベクトルの線形結合である(39)式の入力を 考える。

u(i, i )一一[Ki K2][:T((1: ll]] +v(i, ] ) (3g)

ただし,v(i,の∈R「

このとき,システム(1)式はつぎのように書き換えられ

る。

[1:綴:] 一=[謡翻1:誰][1:;:1:1

      + [£1] v(i・ i) (4b)

卿)一[・・ ・・] m調

 さて,ここでの問題はシステム(1)式が非安定であると き,閉ループシステム(40)式を安定にするようなフィード バック則,すなわち,フィードバック行列Kl, K2を見つ けることである。悶題を明確にするためにつぎの定義をす

る。

 <定義3> 2次元システム(40)式が安定になるような 行列Kl, K2が存在するとき,システム(1)式は安定化可 能であるという。

 2次元システム(1)式が安定化可能であるための十分条 件はつぎの定理によって与えられる。

 〔定理2〕 つぎのi),ii)の条件のいずれか一方が成 り立つとき,2次元システム(1)式は安定化可能である。

 i) A4−B2 K2の固有値を単位円内に配するような,

   A2=Bl K2の二二が存在し,かつ,(Al, Bl)が可 安定対である。

 ii) A1−Bl K1の固有値を単位円内に配するような,

   A3=B2 K1の解K1が存在し,かつ,(A4, B2)が可    安定対である。

 (証明) 条件i)とii)は互いに双対の関係にあるか ら,i)が満たされるとき,2次元システム(1)式が安定 化可能であることを示せば十分である。

 さて,条.件i)が満たされるとき,A2=Bl K2であるか ら,w(ゴ,のは以下のようになる。7)

照の

C熟二撃=1−1.il一!.

Jv(o, i) 一 [k−II:i  SU.O S5 ,MLI  B 一E一] (4i)

照・)一㊧鼇m角)一y司

      i,ブ:≧1

さらに,条件i)が満たされれば,A4−B2」K2, Al−BIKI の単位円外にある固有値をそれぞれすべて,単位円内に移 すようなKl, K2が存在する。すなわち,フィードバック システム(40)式は定義2の意味で安定である。

6

(7)

なお,A2=BIKT2を満たす一般解は,

K2=Bl+A2+(■r 一Bl+Bl)r (40)

ただし,r∈R xmは任意行列, Bl+はBlの一般化逆行列 で与えられるから,結局,A4−B2 K2はつぎのように表現 できる。

A4−B2K2=A4−B2Bi+A2−B2(lr−Bi+Bi)r (43)

すなわち,A4−B2 K2の固有値を単位円内に移し,かつ,.

A2=BIK2を満たすようなK2が存在するtcめの必要十分条 件は[(A4−B2 B1+A2), B2(lr−B1+・Bl)]が可安定評で あることである。

5.あ と が き

 本論文では,状態フィードバックを用いた2次元システ ムの安定化の問題を考察した。

 まず,このフィードバックに必要な状態ベクトルを得る ために,2次元システムの入出力データから水平状態およ び垂直状態ベクトルを再構成するような2次元状態観測器 を提案した。すなわち,ここでの状態観測器は1次元シス テムにおいて提案されているLuenbergerの状態観測器を 一般化したものである。

 続いて,2次元状態観測器を構成するtめの基礎方程式 を導びいた。そして 状態観測器が存在するための十分条 件を示し,その構成アルゴリズムを与えた。

 なお,本論文における2次元状態観測器の理論は,カル マンフィルターを2次元の場合に拡張するための基礎理論 となり得るもので,ノイズに汚染された入出力データから 水平状態および垂直状態ベクトルを推定するようなフィル タの構成へと発展が期待できる。もちろん,このようなフ ィルタから得られた状態ベクトルの推定値はノイズに汚染 された2次元システムの出力を画像とする画質の向上に利 用できよう。  .

 最後にt本研究の遂行にあたり懇切な御教示を賜わっ た,筆者の一入の留学先であるCanada Queen sUniversity 教授Fairman先生に深く感謝の意を表します。

1 ) Fornasini ; t Stability Analysis of 2−D Systems IEEE.

CAS−27, 12, 1210!1217 (1980)

2) W,E.Alexander; Stability Analysis of Tvvo−Dimen−

sional Digital Recursive Filters , IEEE. CAS−27, 1, 11/

15 (1980)

3 ) S.A.Aly and M.MFahmy;  tDesign of Two Dimension−

al Recursive Digital Filters with Specified Magnitude and Group Delay Characteristics , IEEE. CAS−25, 11 908/916 (1978)

4) D.D.Givene and R.P.Roesser; Minimization of Multi−

 dimensional Linear lterative Circuit , IEEE. C−22,7,

 673i/678 (1973)

s) S.Attasi ; ttModelling and Recursive estimation for  double indexed sequences, System ldentification ;  Advances and Case Studies , Academic Press. 236/374  (1976)

6) E.Fornasini and G.Marchsini ; t{State−space realiza−

 tion theory of two−dimensional filters , IEEE. AC−21,

 4, 484/492 (1976)

7 ) T.Hinamoto  Realization of a State−Space Model from  Two−D imensional lnput−Output Map , IEEE. CAS−27.

 1. 36/44 (1980)

8)国元・下西・前川;ttある種の2次元フィルタに対する  状態空間モデルの実現について ,第26回システムと制  御研究発表講演論文集,169/170(昭57.5)

9) R.Eising  Realization and Stabilization of 2−D Sys−

 tems.  IEEE. AC−23, 5, 793/799 (1978)

10) P.NParaskee vopouls;  Characteristic Polynomial As−

 signment and Determination of the Residual Polynomial  in 2−D Systems , IEEE. AC−26, 2, (1981)

11) P.N.Paraskevouls;  Eigenvalue assignment of linear  multivariable 2−dimensional systems , Proc. IEEE. 126,

 11, 1204/1208 (1979)

12)下西・雛元・前川; 2次元システムの状態観測器  システムと制御,25,9,576/577(1981)

13) D.G.Luenberger;  An lntroduction to Observers  IEEE. AC−16, 6, 596/602 (1971)

14)H.Kwakeranaak and RSivan; Linear Opti皿al Con・

 trol Syste皿s , John Wily and Sons,334(1972)

15)須田・児玉; 制御工学者のためのマトリクス理論  (23) ,シスラムと制御,17,7,429/440(1973)

16)児玉・須田;tt制御工学者のためのマトリクス理論  (26) 、シスラムと制御,17,10,621/629(1973)

  2次元状態空間における座標変換

 2次元状態空間モデル(1)式の座標変換は(1−A)式の変 換行列を用いて行なわれる。

[:AES・1?,]=一[:i.2][1・[IIIii]

(1−A)

ただし,v1∈Rnxn, v2E!RMxmはそれぞれ正則な行列で

       バ

あり,a(i,」)∈Rnxn, ij (i,」)∈Rmは新しい座標の下での 水平および垂直状態ベクトルの表現である。

このとき,互いのシステ.ムの入出力関係には何ら影響はな いことが知られている。4)

 さて,(1−A)式の変換を(1)式に施せば次式が得られ

る。

匿調一圓隠1・[矧噸)

一7一

(8)

u(切一[c…一・…媚匡1;:到

ただし,

  ノ皇1コVIAIV「1−1 , A2=VIA2V2−1   A3=V2A3Vl−1 , V4=V2A4V2−1

(2−A)

 つぎに,本文(17)式の行列階数の関係に注目すれば,σ2 の最初のγ行が独立になるように出力y(i,のの要素庖並 び換えることができる。すなわち,c2はつぎの形にでき

る。

砺俵]  圃

ただし,c2∈fRrxmは。2のγ個の独立な行からなる行列で ある。

 第3章において、2次元状態観測器の構成に用いられた C2(ここではC2V2−1)の形はV2を(4−A)式のように選ぶ ことによって得られる。

v2一 [JtT−2r一] (4 A)

ただし,Ω∈R(Tn−tyr)xmはv2を止則にするように選ばれた 任意行列である。

 すなわち,2.次元システム(1)式を座標変換{(2−A)}式 することによって得られる。2の形は以下となる。

一「謡レ

        tNM_ノ       r

      付  録  コ:

F4をべき零にするSの構成アルゴリズム

(5−A)

 第3節における仮定,すなわち,(A4, C2)は可観測対で あるという条件が満たされているものとする。このとき,

C2の形((18)式)に注意すれば,(31)式のように分割され tc A4のブロック行列の対(A44, A24)もまた可観測対とな

る。13)

 (31)式において(A44, A24)が可観測対であれば,適当 に行列Sを選ぶことによって,F4の固有値を任意に(複素 数の場合は共役対)指定できることが保障される。13)した がって,F4の固有値をすべて零に指定するようなSの構成 法を以下で示す。

 さて,(31)式におけるAMの独立な行がp  Aあるとしよ う。すなわち,

  rank [A24]=p$7 (1−B)

このとき,五匹はつぎのように表わされる。

  A24==PA24      (2−B)

ただし,P∈Rr×Pであり. A24∈Rρ×(m−O「)はA24の独立な 行からなり,最大階数をもっている。

 つぎに,対(A44, APt)をLuenbergerの正準形15)に変換す る。すなわち,適当な正則変換行列uが存在し,対(A44,

A24)はつぎの形に変換できる。

  UA44U−1=[edl十2, ed1+3,・… ■・, edl十a1, α1,・… 9ρ

       …….edρ+2, ed。+3,……, ed,+σρ, aρ]

  A241アー1..・[二〇一・O el…0・。・… O θ2i・・・… iO。。・・ ・0 θρ]

詔[剥  圃

ただし,α∫εE胎7σ=1,2,……,ρ)は適当な要素をもつ 列べクトルであり,θi∈Rρは対角上が1であるような下 三角行列θ∈RPXPの第ゴ番目の列べクトルである。また,

ei∈RM一γは単位行列Im_rの第i番目の列べクトルを示 す。さらに,

       i−1

  dl=O, di=Σgi(i一一2,3,……,ρ+1), dρ+1=m一γ        ノ=1

であり.σブの総和は対(A44, A24)の可観測性指数となる。

 さて,(2−B)式に注目すれば,(31)式におけるF4はつ ぎのように表現できる。

  F4= U−IF4U      (4−B)

ただし,

  り       

  F4 == UA4U−1一 USPA24σ一1

   =[edl+2, edを+3,… ,ed1+α1,α1一θb… ,edρ+2, edp+3,

    ……,edρ+σρ, ap一θP]

  θ声σSPθゴ(猟1,2,……,P)

       ガ

 (4−B)式において,もし,θi=ai (i 一T 1,2,…,ρ)であれ ば,角は明らかにべき零行列である。すなわち,

  1㍉α=0(α=mm{α1,α2,……,αρ})       (5−B)

したがって,θi=aiとするようなSは次式で与えられるこ とがわかる。

  S== U−1[α1,a2,……,αρ]θ一1P+        (6−B)

ただし,

  P+=(PTP)一IPT

 以上,F4をべき零にするようなSの構成手順を与えた。

なお,Luenbergerの正準形を導びくような変換行列Uの構 成法については例えば文献(15)等を参照されたい。

8 一

参照

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