• 検索結果がありません。

dt K Kそこで,(1.3)式は,

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "dt K Kそこで,(1.3)式は,"

Copied!
34
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

均衡成長径路問の横断について

31

均衡成長径路問の横断について

児玉元平

1

経済体系のノ1ラメーター的シフトによって生じた均衡成長径路間の現実的 時間調整プロセスの問題を,ヒックスはtraverseの問題と名付ける1)。こ

の横断的径路は成長プロセスを示す微分方程式ないし定差方程式の陽表的な 解によって示される。

まず,労働増大的な技術進歩を含んだコップ=ダグラス型の生産関数を使 用して見よう。

Y=(ejtL)αKβ Y=eαjtLαKβ

(1.1)

(α+β)=1 (1.2)

この式をYの成長率を求めて,

昔÷=α入+α昔÷+β笠寺   (1・3)

労働の成長率は外生的に所与とおきgで示す。また,貯蓄はYに比例すると 仮定して,資本の成長率は,

dK I sY dt K K そこで,(1.3)式は,

dYl

一打す=α九+Sβ意+αg

この式と(1.4)式より,

「=βS意一恒+αg)

Y dK l dY

dt K dt

(1隼住11.

dt K/Y−+α(入+g)1「=αS

この式の碑は,資本産山比率の時間的調整プロセスを示す。

(1.4)

(1.5)

(1.6)

(1.7)

(2)

経 営 と 経 済

3 2  

( 1 . 8 )   乙の式で資本産出比率の調整スピードは α(

入 十

g) で示される

D

そこで,

労働の成長率,技術進歩率,労働の生産弾力性係数が大であるほど, そのス

これは, ( 1 . 6 )   ピードは早くなる。 K/Y の均衡値は, 8 /

+ gで示される。

の左辺を容とおいて求められる

O

労働の平均生産物は,

( 1 . 9 )   Y  ̲a

,)

t/K¥s 

L  ¥  L )  k=K/L とおくと,

Y  =Y/L , 

( 1 . 1 0 )   ( 1 . 1 1 )   dy  1 ̲  ̲ . . . .  

I  I"J 

dk  1 

一一一一

d t   Y  = α

~,~

I  / ‑

d

t   k 

dK  1  8Y  ̲  (A

g)

一一一一 =一一一

=8

一 一

=λ+g d t   K  K 

そこで,

( 1 . 1 2 )  

σ b ︑ ん

σ  

1 一 k

︑ ル

k

t d

d

技術進歩を含む均衡成長径路では資本労働比率の上昇率は技術進歩率にひと しい。また,労働の平均生産物の上昇率も成長均衡では技術進歩率にひとし

" ' 0

いま, Y/K=  x で示すと,

入 十g

Be‑ a(). 

g)

 

0.13) 

一 一

乙の式で,

0.14) 

出発点を成長均衡状態にある経済を想定する。

いま,

0.15)  A+g 

X

o

=一三了一

0.16) 

X~ま再び均

B  =SO ‑ 8 

苔貯率が t

0  において S

~こ変化した。経済は均衡より離脱し,

(3)

均衡成長径路間の横断について 3 3   衡に達するまで調整的変化を示す。

X  = 

一一一一‑‑‑‑, 

‑ ) ¥ . + g  

一 一

s +  ( s o  ‑ s  ) e ‑ a

(A

+S)

0.17)  時間の経過とともに x は 新 し い 貯 蓄 率 に 対 応 し た 入 +g/s !こ近づく。勿 論,その調整が完全に終了するには無限の時間を必要とする。そこで,い ま , X 。から完全調整終了後の x の値 x との差について,

Xm=X +m( 亙 ‑ X o)

の式を求める o 0  壬 m‑ 三l である

D

そして,時間 t m について,

xm=x(tm)  とおく o

8 + ‑ ( 8 0 ‑ ':s')e~a(À+g)t x+g  ‑=x ‑ (  1  ‑ m)  +m 玄

t m について解くと,

tm=  α(λ+ g)  1 0

るしょ I 1  + 一 旦 (1 ‑m)s  5 1 

0.18) 

( 1 . 2 2 )  

0.23)  そこで m のとる数値に対応して完全調整の l/m が終了する迄の必要時間が 求められる

O

いま,技術進歩がないとすれば, αg<g で , g  = 0.02 である と , t m は一般に大きな数値をとる

q

各ノマラメーター g , s ,α, β ,  s 。 に対応して t m を求めると,多くの場合,必要な完全変化の 2/3 または 3/4 を終了するに必要な時間はきわめて大であると考えられる 2) 。

α=2/3 ,  g 

~0.05 ,入 =0.01 ,

so=O.l とおくと,

(0)=j‑

新しい貯蓄率は s=0.125 とすると,終極的な Y/K= l / 5と な る 。 さ ら に 調 整のスピードは,

α(

入+

)c~二 0.017

そこで,

手=

5  ) e ‑ 0 ' 0 1 7  

t  =  0 では資木 m 1 出比ネは貯者平の 1 . 昇によって影評を受けない。しかし,

J t j " 者率が上刀‑し投資が増加 l すると次第に資木 R ' i U i!比率は上昇する o

L11

1 発点の

(4)

34  経 営 と 経 済

均衡値と完全調整終了後の均衡値との差は一期間ごとにl. 7 9 6 の率で消滅す る

O

J  ( e ‑ 0

0 1 7 t )  =ー 0 . 0 1 7 e ‑ o

o1 7   t  d t  

乙の 0.017 は(1 . 7 ) 式における変数の係数または曲線の勾配を志味する。乙 のモデノレでは,均術成長率.は

lti"

部 率 l こ依存しない。しかし, K/Y の 絶 対 的 J k i f / K は貯苔率に依存する

D

また, K/Y の調控スピードは!げ者率 l こ依存しな

︑ ノ

︑ ︐

旬 ︒

' わ

V

以上は新古典派的成長モデルによる不均衡調整プロセスの吟味であった。

横断径路についてはヒックスはより詳細な分析をあたえている針。まず,一 資本財二産業部門のヒックス的モデルを示そう。資本財の存在日.と労倒置を

K ,  L とおく

O

均衡ではその使用量はその存在長にひとしい。

K  =K

+K2  ( 2 . 1 )   KI は資本財産業部門で使用されている資本財を示し, K

2

は消費財産業部門 で使用されている資本財を示す。労働についても,

L  =L

+L2  ( 2 . 2 )   固定的な生産係数を使用して,

K=a

l

ム K+a2 C ( 2 . 3 )   L=b

1

ム K+b2 C ( 2 . 4 )   a

l

は資本財部門での資本係数 , a

2

は消費財部門での資本係数 , b

l

は資本財 部門での労働係数, b

2

は 消 費 財 部 門 で の 労 働 係 数 を 示 し , ム K は純投資,

C  は消費財産出量を示す。資本財の耐周年数は永久的と仮定する。投資財部 門の産出量は純投資 l とひとしい。資本の成長率を gで示すと,

ム K=gK ( 2 . 5 )  

そこで,

K  =a

l

gK+a2 ( 2 . 6 )  

a

1  ‑alg  ( 2 . 7 )  

(5)

均衡成長径路間の柏断について

そして,

K __~g

C  1  ‑a

a

2

b

ι一

=b?+

一一一一一一

C

1 ‑a

K  a

L  b

2

g(a

2

b

‑a

b

2)

3 5  

( 2 . 8 )  

( 2 . 9 )  

( 2 . 1 0 )   ここで a

2

b , / a , b

2

= m とおく。これは,消費財部門の資本労働比率と資本財 部門のそれとの比を示している。

K  a

L  b

1  +(m‑ 1  ) a

g  ( 2 . 1 1 )   今 c =(m‑ 1  ) a ,とおくと,

K  a

L  b

1  +cg  ( 2 . 1 2 )   となる

D

経済は政初 g o の成長率で均衡しているとしよう

O

乙の

j

見合 g 。に 対応した資本労 { J

YJ

比不が成立していなければならない。もし,成長率が変化 して,技術が不変であると,均衡資本労倒比率も変化するであろう o t 

0  では現実の資本労問比率は,新しい均衡に対応した迎切なものではない。ヒ

ックスの分析では,技術は不変で,総体的な貯蓄性向の調整が生ずるものと 仮定されている的。分析の焦は資本労働比率の調整過程にあてられている。

資本労働比率は成長率に依存する。技術を一定とすれば,成長率のみに依 存する o ( 2 . 1 2 ) の式で, 1  +cg が小であるほど K/L は大となる o 1

c g が gに対応してどう変化するかは C の符号に依存する。

m=  1 ,即ち,両産業部門の資木労働比率が同一であると,

K  a

L  b

( 2 . 1 3 )  

となり,資本労働比率は gの変化に関係なくコンスタントである

O

われわれ

はここで資本労働比率は数日的な比率を示しており,労働 ‑ w . 位当りの資本

の佃i{[I'[を示しているわけではない。しかし, m = 1 のケースでは資本財価航は

賃金本,手 I J i j i i ;

ω 変化にかかわらずコンスタントである o 1 1 I J ち , r l t 立的ウイ

クセル効果が示される o~京 {í!日格フロンティアーは ïú紋となり,そ ω 勾配は

(6)

36 

経 営 と 経 済

全体としての資本労働比率を示すこととなり, その曲線の開力性は相対的な 所得分配率を示すこととなる

D

(この場合,サムエルソン的 l

m=l でかつ a

=a

2

,  b

=b

2

でなければならない。 ) 6) そして, この場合,資本労働比率

と賃金率=手IJ?I~J 蔀とに関する新古典派的な一対ーの対応関係が存在すること

となる

o

m> し H [ J ち , 1 ド

j

白財部門での資本労働比率が資本財部門でのそれ よりも大で、あると,均衡への完全雇用径路が存在し, m く し 即ち,資本財 産業部門の方がより機械化されていると, このような完全雇用径路は存在し ない。アレン的な表現では「二部門モデソレの恒常的成長径路は,消資財部門 の方がより機械化されている J 1 j 合においてのみ,ハロッド的意味で安定的で ある o J  7) 

期間 t と期間 t

1 の聞で成長率は g tで示す。いま,新しい均衡成長率 (ここでは労働の成長率)をどととすると,

K t

+1  / 

K

K t

+1

  1 . L t

+

1

cgt

工戸了/仁了一一

iC一一/-L~--- 1

亙福一

7

1  +gt  1  +cgt  l

g

1+cgt 

+1 

c (  1  +g 勺 c (1  +g も ) c  ‑ 1 

一 一 一 一 = 一 一 一 一 一 一 一

= 1 +

一一一一一一一

1  +  cg t  + 

1  +  cg t  1  +  cg t 

c (  1  +g 勺 c‑ 1  ̲ ,   ̲  c (  1  +g 勺 C

l

一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一

1  +  cg t 

1  +  cg t  1  +  cg

1+cg

そこで絶対値で,

j(C‑1) ハ (1

+

l

であると g tはどさに収敏する。

‑1<‑‑=‑} c  (1  三空 +g 来 ) < 1   とおくと,

0 < 1 H g ( < 2   c(  1  + g : " )  

をうる。 ag

< 1で あ る か ら ( 1

cg 勺は正である。

また上の不等式から, c  >0

, 

( 2 . 1 4 )   ( 2 . 1 5 )   ( 2 . 1 6 )   ( 2 . 1 7 )  

( 2 . 1 8 )  

( 2 . 1 9 )  

( 2 . 2 0 )  

(7)

均衡成長径路間の横断について・ 3 7   1

cg

<2c(1 +g 勺 ( 2 . 2 1 )  

( 2 . 2 2 )   (2 +g つ

でなければならぬことが理解される o c=(m‑1)a

1

で あ る か ら , c  > 0   であることは m>l であることを意味する。即ち,消費財産業部門の方が資 本財産業部門よりもより機械化されていることを意味する o m>l である場 合,価格価格曲線は原点に対して凸の曲線となり,実質賃金率の上昇,手1J1P:A 率の低下は,消費財ではかった資本財の価値は上昇する

D

これは正のウイク セノレ効果である口ウイクセノレ自身はこの場合を正常的なものと考えた。 8)

( 2 . 2 2 ) 式は,

aj

aA/t

>  ︑ ︑

τ l

m  ( 2 . 2 3 )  

と書き換えることができる o a

1

は資本財部門における資本係数である。こ の係数はストックとしての資本とフローとしての産出呈との比を示すから,

測定期間の長さを短縮するとその数値は大きくなる。成長率 g はフローとし ての産出量とストックとしての投入物との比を示すから,測定期間の長さを 短縮せしめるとその数値は小さくなる。調整が辿続的にすすむとすると ( 2 a

1

十 九

g つは無限に大きくなり ,( 2 . 3 3 ) の右辺は零に近づく。この点から収 放の条件は m>l であると考える乙とができる

O

もし,調整が述続的でな く,間隔をおいてなされると 1 より僅かに大であるような mは収欽にとっ て十分なものでなく,均衡に向ってスムースな横断径路が示されないかもし れない。

調整は勿論上向調整と下向調整とに区別して考えられる

O

そこでm

l の ケースと g 。 手 g 来のケースを組合せて吟味しなければならない。

( 1 )   m>l で go>g 事の

j

会合を考えよう

O

反終的な均衡では資本財部門は相

対的 l こ桁少する o ( 2 . 8 )式より g の低下はムK/C の低下を結果することが

理解される。しかし, m>l であるから,新しい均衡椛造へのシフトが瞬間

的に生ずるならば,現序労働力を雇用するに十分な資本財が存在しないこと

となり,労働の失業が生じるであろう

O

しかし,シフトが漸進的に生じるな

らば,この失業を回避することができる。期間 O で│日均衡に対応した K 。と L 。

(8)

3 8  

経 営 と 経 済

とが存在する

O

そこで,資本の成長が g o であると,資本と労働の完全伎用 は維持できる

D

期間 1 では,資本は g 。の率で増大したが,労働は新しい成 長率どで増加した ogo> どであるからその結果,資本労働比率は上昇す る。期間 l で完全使用が成立するためには,過剰となった資本財は消資財部 門に移動吸収されねばならない

D

しかし,その場合,期間 1 の資本の成長率 は期間 O の成長率より小とならねばならない。もし,調整が述続的である と,期間 1の資本成長率は労働の成長率より大であり, K/Lは期間 2でさら に増大する

O

このようにして期間ごとに資本の成長率はどに向って低下し てゆき, K/Lは上昇してゆく。消資材部門の方がより機械化されているから,

資本財は消賀財部門への移動によって吸収されて資本財と労働の完全使用は 維持される。

( 2 )   m>l ,  go< ど の 場 合 を 考 え る 。 最 終 的 な 均 衡 で は 資 本 財 部 門 は 相 対的に拡大する

O

さて,いずれの期間においても資本と労働の完全雇用が存 在するならば ( 2 . 1 1 ) または ( 2 . 1 2 ) が成立している。ところで労働は期間 O でどの成長率を示す。そこでこの労働と資本の完全雇用が成立するため には,

K  a 2  1 

Lo  b 2  1  +cg

( 2 . 2 4 )   であらねばならぬ。しかし,最初では,

Ko  a 2  1 

L o   b

1  +cg ( 2 . 2 5 )  . 

そこで, K‑K。だけ資本は過剰となる o もし瞬間的な新均衡へのシフトが

生じるならば,この資本の過剰が生じて吸収されず,この過剰資本の存在は

新しい均衡を不可能ならしめる o そこで,両要素の完全使用が維持されるた

めには,資本は旧い成長率 g 。で蓄積される期間ではじまる乙とが必要であ

る。しかし,次の期間では, g 米で成長した労働力を雇用するためには,投

資が相対に増大しなければならない。資本財産業部門の資本労働比率は消費

財産業部門のそれに比べて小であるから,相対的に増加した労働力を吸収す

るためには,資本財産業部門が拡大されねばならない口資本の成長率は期間

(9)

均衡成長径路間の横断について

39  1 では期間 O よりも大となる

D

調整が連続的であると,資本の成長率は期間 ごとに上昇し,均衡成長率 g いに近づく。そして, K/L は次第に低落してゆ く。このようにして,横断径路では両要素の完全使用が成立する o m>1 で あり,漸次的なシフトであると g の上昇,低落にかかわらず,労働の完全 雇用資本の完全使用を含む横断径路が存在しうるであろう o

( 3 )   m く 1 ,go< どの場合を考えよう

D

g の上昇は ( 2 . 8 ) によりム K/C の均衡値は上昇,また m<1 であると g の上昇は ( 2 . 1 2 ) により均衡では K/L の上昇を生ずる。最初の資本ストッ クはどで成長する労働力を雇用するに十分でない。乙れは ( 2 . 1 1 ) より理 解される。 m<1 であるからど > g 。である限り,完全雇用を保証するに Kは不足する。完全使用を維持するためには以前のケースと同じく期間 O で ふの成長率で資本は蓄積されねばならないが,労働の成長率は g* , 乙れほ g

>go ,そ乙で K/L は期間 l で低落した。乙の述動は均衡に向う巡劫では ない

D 期間 1 で完全使用を維持するためには,資~壮!

j

産主業部門である消費財部門の万に資

j

源 原 の

i

転 ほ

t

投免を必要とする。このことは資木 財部門の相対的縮少を;意味する。均衡に達するためにはム K/C の上昇が生 じなければならない。そこで現実には均衡より遠ざかっている口このような 場合,資本財の供給増加が停止する時点が存在する。その時点を越えて労働 の増加分を雇用することは不可能である。

完全雇用を維持しつつ均衡への一般的接近はこの場合不可能である。それ

では,もっと急速な調整をとる方がよいであうかロ新しい均衡成長率

;g:

軒に

即時に調整すると,労働の完全雇用をもってその成長率を維持するには資本

財は不足している。そこで若干の労働は失業する o その成長径路上で辿続的

な調整がなされていると,労働の失業率は増大しないが,失業者は吸収され

ない o 失業者が終極的に吸収されるためには,資本財の不足を補足するに十

分な資本財産業部門の一時的拡大がなければならない。しかし, 乙のこと

は,資本集約的産業により多くの資本をひきょせることを;立味する。そこ

で,労倒の失業は後には吸収されるとしても一時的には増大することにな

る 。

(10)

40 

経 計 と 経 済

( 4 )   m<l ,  go> ど の 場 合 , 新 な 均 衡 で は ムKjCは低下 ,K/Lは低下す る o 労働の成長率がどであると,最初の資本ストックは過剰である

D

完全 使用を維持するためには期間 O では g 。で増加しなければならない。これは 現実に K/L を上昇せしめる。資本と労働の完全使用が期間 1 でも維持され るためには,資本集約的産業は相対的に拡大しなければならない。乙のこと は現実に投資をさらに促進せしめることを意味する

D

これらのプロセスは均 衡より益々離れていることを示している。

現実的に最初の過剰資本が吸収されるためには,資本財産業の一時的縮少 がなければならない。そこで,終極的に吸収されるためには一時的には資本 の遊休度が高まる

D

原理的には労働の失業が存在しなければならない理由は ない。使用しうる十分な資本財が存在する消費財産業部門に労働を移動する ことができるからである

D

もっとも,経済が均衡径路上を進むことができる かぎり,また,スムースに均衡径路に向って運動しうるかぎり,労働の両産 業聞の交互的移動は必要としなし」以上の考察から,スムースな横断的調整 が不向能な場合が存在しうることが知られる o アレンの分析では m<l , . 即 ち,資本財産業部門の方がより機械化されていると,恒常的成長は不安定的 である 9) 。 ヒ ッ ク ス は m<l では,横断的径路は資本と労働の完全伎用径 路ではない

10)

。このようなー資本財モデノレによる横断径路の分析の現実的 意義についてはヒックスはそれほど重視していない。このような分析は一つ の妖怪にすぎないとして,現実の経済は諸々の重要な側面においてモデノレ経 済とは相違している。それ故に一歩二歩と現実に近づくやいなや,状態は大

きく変化すると述べている。

この節では前節で完全に無視された技術的変化を導入した横断的径路を考

察する。最初に長期均衡成長状態ないし

J

恒常的状態にある経済ではそれに適

合した技術を使用している。そして,出発点 t =  0 で新しい技術知識が導入

されたとする

O

乙の技術的知識水準の中で初期の賃金率で長‑も有利なものが

(11)

均術成長径路間の横断について

4 1   存在する o

O で出発した生産プロセスではこの技術を採用する o 新しい 技術は新しい生産プロセスで採用されるが,旧い技術もそれを継続すること が有利であるかぎり,引きつづき使用されよう o しかし, t 

0  につづく調 整過程では賃金率が変化するかもしれない。その結果,技術的知識の水準に それ以上の変化がなくても第三の技術が支配的となり,新しい生産プロセス はこの技術を使用する o このようにして,賃金と利子の変化,生産と雇用を 含む連続的な調整過程が生じる

O

われわれはここでヒックス的な標準事例 ( S t a n d a r dC a s e ) をとろう

O

の理論を新オーストリア理論とよんでいる

11)

。ところで, ボエーム=ウイ

クセノレ的な資本分析の標準事例は相木の栽倍やブドー酒の貯蔵であった。乙

れらのオーストリア学派の標準事例についてヒックスはどのような評価をあ

たえているか。ヒックスはつぎのように述べている。 r ボェーム・パヴェノレ

クが資本主義的生産過程を本質的に時間上の過程として,産出量がこれを生

ずる投入量が利用される期日よりもおくれた期日に生産されることを特徴と

する過程として考えたのは全く正当であった。この概念から出発し,そし

て,乙の生産の基本的な性質をできるだけ明確にしようと欲して彼はおのず

からその最も単純な場合と思われるものに注訟を集中したのである

D

それ

は,あらゆる投入量は一つのあたえられた期日に利用され,あらゆる産出量

は他のあたえられた期間に結実するという場合である

D

これに対しては兵論

はない。資本主義的生産の性質を明確にするためには,標準的オーストリア

学派の事例は明らかに啓発的なものである

D

しかし,彼が進んでこの単純な

場合の理論を作り上げた時,彼が到達した結果はその単純な場合には正当で

あるが,しかしこの理論から期待されたかもしれぬような一般性をもたない

ものとなった 012) 」オーストリア的資本理論では,資本主義的生産には時

間という要采が以も本質的な役割を演ずるという事実が強調される o ウイク

セノレはその経済分析の展開においてワノレラス的一般均衡分析の方法をとりな

がらも,資本理論においてはワノレラスを離れ,ボエーム・パず、エノレク的分析

を採用したのも,ワノレラスにおける時間的要素の完全な無視という点に由来

する。ウイクセノレはいう o r ワノレラスが厳密に数学的な形態で展開した生産

(12)

4 2  

経 営 と 経 済

の理論は,それがし可かに功妙なも ω に見えようとも,その成果をして必ずや 虚妄ならしめざるえない一つの原理的誤謬を犯している o 即ち,そこでは,

生産における時間の意義が全く無視されている o 13) 」乙のようなウイクセ ノレのワノレラス批判の某調は,生産期間という概念に少レ懐疑的となりつつあ った「経済学誌義」の段階でも変らない。1"生産における時間的要素の重要 性は,ワノレラスとその学派においてがとして適切に評価されておらない

D

生産 期間ないし資本の投資期間という考え方は,ワノレラス=パレート理論には存 在.しないのである o その理論にあっては,資本と利子は土地と地代と同列な のである。換言すれば,その理論は,耐久的な表面的には破壊しえない手段 が考慮されているにしても,根本的 l 乙非資本主義的状態の下における生産の 理 論 に す ぎ な い の で あ る 。 14) J もっとも,ウイクセノレにおける生産過 程の時間的側面の重視といっても,それは時間の選好的側面についてではな く,時間の生産力的側面についてであった

O

ところで,オーストリア学派的 な生産期間ないし投資期間という概念の正当性について最も批判的な理論を 提示したのはナイトであった

O

ナイトによれば,どれかある一つの現在の投 入量に加しうるこの程の有限的な一系列の産出量を確かめることは不可能で ある o 現存の投入量は将来の投入量の無限の流列によって後をうけつがれ,

将来の産出量の無限の流列を生むように意図されているのが普通である。こ

の流列の中から,現在の投入量にもとづくものとして特定の産出量を区別す

る乙とは不可能である。ヒックスは,このようなナイトの反対にも答え,し

かも,ボエーム・パヴェルクの議論を一つの特殊な場合として包括するよう

な一般化された概念として,余罪

JI

の流列 ( s t r e a r no f  s u r p l u s e s ) と平均期

間 ( a v e r a g ep e r i o d ) という概念を提示した 15) 口「古典的な理論(ボエー

ム・パヴェノレクの理論)はあるけれども,その正当性は広く疑問親されてい

D

また,反対理論(ナイト教授とその追従者達とによって提示された理

論)の素描はあるけれども,その反対は大部分未決着である

O

それ故に,乙

れらの札操分子をそれぞれの適当な場所にはめ込むような一つの新しい理論

の発見を試むべき余地が残されているのである。私は,そのような理論を発

見したと信じている

O

16) 」乙の段階の理論を基礎としてさらに新オースト

(13)

均衡成長径路間の横断について 4 3   リア理論が展開された。 r このアプローチは,私が副題で強調するごとく,

ボエーム・パヴェノレクとハイエクのオーストリア理論の系統をひくものであ る

O

乙のオーストリア理論は,特殊なしかも実際には重要でないような応用 に制限されているように思われた障害物のために流行おくれとなっている 理論である。私は、価値と資本、において既にあらわれている考え方を発 展せしめる乙とによって,この障害物は克服できることを示すことができ た 。 17) J そ乙で,われわれはヒックスの最も新しい展開を吟味し,横断径 路の考察にうつりたい 18) 。

生産プロセスに関するヒックス的な標準事例はつぎのような図で示すこと ができる

D

どの生産プロセスにしろ一つのはっきりとした時間形態をもって いる。まず建設期間がある。そこでは投入物が大量に投入されるが最終産出物 はまだ出てこない。この期間につづいて迩営期間がある o ここでは産出呈は 零から正常的水準まで上昇し,他方,投入呈は正常水準まで低落する o おそ らく,そこでは長期にわたる正常利用期間がつづくであろう

D

しかし,最終 的には,産出曲線における低下の結果として,或いは,投入曲線における上 昇の結果として,その生産プロセスは終了点、に達する o

1 図

(14)

4 4  

経 営 と 経 済

もう少し具体的に標準的な事例を説明しよう。 m期間の建設期間にわたっ て労働がコンスタントな率で投入された後,次l

n 期間の利用期間(運営期 間)にわたってまた異なったコンスタントな率で最終生産物(ヒックスでは 消費財)が生産される

O

建設期間中の労働投入係数を a e ,利用期間中の労 働投入係数を a

u

で示し,各期間の産出量を 1 と仮定しよう

o

このように生 産過程の単純な時間形態については,技術の効率曲線はつぎのような式であ たえられる 19)

ミ ‑ , ミ ‑ ,

ko=‑wa c 

~

R‑t+(l‑wau)R‑m 

~

R‑t=O  ( 3 . 1 )   w は実質賃金率, k 。は生産過程の資本価値を示し,実質利子率を r で示す と ,

R=l+r  ( 3 . 2 )  

である

O

効率曲線とは k oを零ならしめるような w と r との関数的関係をあ たえるものである。ところで,他のもう一つの技術があるとすると,

‑wa e *  L :   R

ー も +( 

1  ‑wau*)R‑m  L :   R

ーも

=0 ( 3 . 3 )   で示される o 二つの曲線の交点では,

a e  1  ‑wau 

ζ

不 一

1 ‑wa

( 3 . 4 )  

これは一定の技術的水準の下におけるこつの技術に関するものである o こ乙 では技術的進歩にはじまる横断を問題としている。そこで,分析を更に簡単 にするために,建設期間は 1 年であるとする。建設期間中の投入係数を a 。 で産出量は 0 ,利用期間 1 年から n 年までの投入係数をa

1

で示し産出量は各 年 1 とする

D

純産出量を qt=b

‑wat で示し ,bo  = 0であると q o=  ‑wao 

k o  =qo

q l( R ‑ l  +R‑

+…… +R‑n)= 0  と乙ろで,

( 3 . 5 )  

R‑

1

+R‑

2

十…… +R‑n=R‑

1(

1  ̲R‑n)/( 1  ‑R‑

1

( 3 . 6 )  

(一‑ ~- ‑R 

n ) 

( 3  .  7 )  

そこで,効率方程式は,利用期間の各産出 E : を 1 とすると,

(15)

均衡成長径路聞の横断について

wa o  =  ( 1   ‑waJ(ι)(l‑R‑

n

r = ‑ て 1 二 R

とおくと,

=al+aOr

n

45 

( 3 . 8 )   ( 3 . 9 )  

( 3 . 1 0 )   をうる。 r

n

は利子と減価償却を含む粗利子率を示し r と n に依存してい る

O

f‑=R‑1++RJ  ( 3 . 1 1 )   一定の n に対して利子率が上昇すると. ( 3 . 1 1 ) は減少する。即ち r が上昇 すると r n も上昇する o r  =  0 であると R=l であるからじ =l/n となる。

と乙ろで. ( 3 . 1 0 ) 式の左辺は賃金単位で測った(厳密にいえば労倒単位 で示された)生産物の価格を示し. a

1

は運営費用 . a o  r 

n

は廷設資用におけ る利子と減価償却を示している。そこで,このような効率方程式はまた費用 方程式と考えてもよい。

技術のスウイッチについて考えると,新しい技術を a

o

a

1

古い技術を a 。 ヘ a

1*

で示さう。われわれはここで技術的改良における技術のスウイッチ を考えているのであって,一定の技術的水準の下におけるこつの技術の間の スウイッチを考えているのではない。そこで,技術的改良の指数をあたえ ねばならない。効率上昇の指数は費用の減少指数でつぎのごとく示しうる

O

w

=a 〆 +a o

r

n

( 3 . 1 2 )   ( a o r n +a1 )

I  (  r  ) 

喜 一 = 一 一 一 一

( aO r

n

+a1 )  ( 3 . 1 3 )  

I  (  r  )は効率の指数である口これは a

o

~'/a 。と a

1

*/a

1

との聞にある。そこ で,いま

a n   ,~

ー 」 一

=h.

a o 

a

'; 

-~-- = H   a

( 3 . 1 4 )  

とおこうの h は建設資用の節約を示す指数であり .H は j!.li常 1~ 用の節約を示

す指数である

O

これらの J 行犯(の関係で以って技術的改良のバイアスが示され

(16)

46 

経 営 と 経 済

る oh  =H であると I(r)=h=H. この場合,利子率の水準に関係なく技 術的改良にはノイイアスがない。 h キ H で あ る と , 利 子 率 の 低 下 は 1(  r)を

H! 乙近づける。 h<H の場合では r の低下は指数を上昇せしめる。この場合 のスウイッチを前方ノイイアス的スウイッチ ( f o r w a r d b i a s e d   s w i t c h ) と 名付ょう。 h>H の場合,後方ノイイアス的スウイッチ ( b a c k w a r db i a s e d   s w i t c h ) とよぼう

O

後方ノイイアス的改良は主要な

f

1j用節約は建設資用 ω 上に 生ずる場合と考えてよい。これを資本節約的な技術改良と考えられなくはな い。しかし,乙〉で問題としているのは資本と労働という生産要素悶の問題 ではない。建設と利用との聞の比較を問題としているのである

O

ここで,ス ウイッチをグラフで考えて見ょう。第 2 図では ao

=ao で a , " : ; a ,> 1 である。

C 曲線は C ポ曲線よりつねに下位にある。 C 出総ヘ ω スウイッチは常に有利 である。第 3 図では a , ‑ * > a ,であるが. ao>a 。米で、ある。 h<l であるこの場 合五点がスウイッチとなる。高い利子率(低い賃金率)ではスウイッチは不利 となる。低い利子率(高い賃金率)ではスウイッチは有利となる。賃金率が高い が故になされるスウイッチは強い前方的ノイイアス的スウイッチである。第 4

ー 一 w

αI 

O  y n  

第 2 図

︑ ト

E

(17)

均衡成長径路1mの横断について

ー 一 w

a * 

, 

¥ 

l4

!

第 3 図

v

※ 

a

, 

I I 

, 

v n   " t

4  図

4 7  

(18)

48  経 営 と 経 済

図では H<l である。しかし, h<l である。交点は子

n

で,それ以上の 高い利子率では新しい技術へのスウイッチは有利である口利子率の低落は 1  (  r) を低下せしめる。後方ノイイアス的スウイッチである。ところで,利子 率が O で あ る と 九 =l/nである。そ乙で,交点が l/nを示す点線の左 側にあると,どの正の利子率の水準でも C は C z ! ? の下位にある。そ乙で,ス ウイッチの有利性が利子率の水準(賃金率)に依存するのは,曲線の交点が l/nの点線より右側にある場合である。ところで,スウイッチが有利とな るためには, Hと hが共に 1より小で、あってはならない。 hとHのどちらか が 1 より小であっても,他方がこれを償うに十分に l より大である場合には 上に述べたごとく技術のスウイッチは可能である。そ乙で,このようなスウ イッチを強いバイアスをもったスウイッチとよび hとHとがひとしくはな いが共に l より大である場合では,スウイッチを弱いバイアスをもったスウ イッチとよんでよいであろう

D

もちろん h=H>l ではバイアスをもたな

'10

既に述べたごとく,技術のスウイッチという場合,賃金率の変化に対応し て生ずる場合と,もっぱら技術的知識水準 ( t e c h n o l o g y ) の変化の結果とし て生ずる場合とを区別して考える必要があるロ賃金率上昇の結果 Oi < !乙対し て Cが代替される場合には常に強い前方ノ

f

イアス的でなければならない。進 歩的な経済では乙のような代替は生起している。賃金率低下の結果として生 ずる技術変化の反対のケースは相対的に例列的と考えてよい 20) 。

古い技術を使用している恒常的成長経済から出発しよう。 t

0 で技術的 知識水準の変化があり,以前使用されなかった新しい生産プロセスが利用さ れるようになる。そこで,いま,賃金率を固定的と仮定した調整的横断径路 を吟味しよう o 利潤からの消費を Q で示すと,

QT =BT‑wAT  ( 4 . 1 )  

乙の式で Bは総消費財を示し, Aは投入労働を示す。スケーノレファクターを

(19)

均衡成長径路間の横断について 4 9  

X

で示すと,

B T  

L : x T ‑

b

( 4 . 2 )  

AT =  L : xT  ‑ t at  ( 4 . 3 )  

Q T  =  L : x T ‑ t q t   ( 4 . 4 )   労働者は貯蓄しないと仮定すると, Q は利潤よりの消費を示す。いま,この Q は技術水準の変化によって影響を受けないと仮定しよう

D

そこで,技術水 準の変化以前の元の均衡成長径路上の Q T 勺ま同時点の横断径路の Q T にひと しい。この横断径路を①準備的局面,②初期局面,③後期局面とに区別して 考察することにしよう o ヒックスによれば準備的局面は機械の建設期聞に相 当し,単純な標準事例では 1 年間であるから,この局而では O 年の符号が つけられる

O

初期局面は,新しい技術が導入され,そして古い技術による全て の生産プロセスが完全に終結するまで局面で,機械の利用期間を n 年とする と第 1 年のはじめから第 n 年の終りまでの期聞に相当する。これ以後の局面 を後期局面とする 21) 。ここで前の二つの局面のみを考察したし可。

準 備 的 局 面 ( 0 年)では新技術の導入によって新生産プロセスがはじま っているが,この O 年の間ではこの新プロセスによる最終生産物(ヒック スの生産プロセスば消費財生産まで続く。そこで最終生産物は消費財をさ す 22)

)は生産されておらなし'1

0

すべての産出物は古い生産プロセスの結 果である o そこで,現実の径路上の B。は B。勺乙ひとしい。仮定により Q 。

= Q o ' k.であるから, wAo =wA 。 ヘ w は不変であるから Ao=A 。ヘそこでこ

の局面での総労働席用は不変である。ただ,乙の局而では古い技術用の機械

生産に使用されたであろう労働が新しい技術用の機械生産に転用されるとい

う現象が生じる口初期局而のはじめ,即ち第 1 年目にうると,総

ffif

用の変化

がはじまる。建設雇用一一 ‑ j 後械生産に雇用される労働ーーは建設支1l1‑粗

投資戸一ーの変化とともに変化する。この年では乙の粗投資は明大する

O

新技

術の採用が有利であるということは,この新生産プロセスの収益率が古い生

(20)

5 0   経 営 と 経 済 産プロセスよりも高いことを芯味している。耐用年数は n 年で同ーとしてい るから,所与の機械建設費用に対して産出物の価値と投入物の価値ーとの差は 上昇しているはずである o (ヒックスのモデノレは消賀

j

吋の価格は不変と仮定 されている 23) 。そとで,賃金率不変であるから,収益の上昇は全く技術進 歩による投入係数の変化による o )そこで,新プロセスの利潤は既に第 1 年 目で横断径路上で元の均衡径路上より大である。古い生産プロセスはまだ継 続しているから,この利潤は両径路上で同一である。総利潤は現実的 l こ増大 している。 Q は技術変化によって影響を受けないと仮定されているから,増 加した利潤は貯蓄されて新しい生産プロセスに投資される。それ故 l こ,建設 費用(組投資)は旧均衡成長径路よりも現実径路(柿附径路)において既に 第 1 年度により大となっている。第 2 年度も同じようなことが繰返されるが 規模はより大となる。初期局面を通じて粗投資の増大は継続する。

われわれはつぎに労働雇用の側而を考察しよう。 O 年以前にはじまった古 い生産フ。ロセスの労働雇用は最初の均衡成長径路上で示されるものと同じで ある。建設費用は既述のごとく変化する口そこで,新しい機械運営のための 雇用が問題となる。 QT

=QT であるから,

BT‑BT

=w(AT‑AT

司会)

( 4 . 5 )   である。元の均衡成長径路に比較して,総雇用のコースは最終生産物のコー スと同じである。

さて,粗投資,即ち建設費用はこれは生産キャパシティーで測ることもで

きる。ー単位プロセスをー単位生産キャパシティー (b

1

1  )を持つものとす

ると,費用とキャパシティーとの間の関係を不変ならしめるもの技術の変化

は , a o  =  a o 米(即ち h =  1  )の条件で示される。しかし,計画生産キャパシティ

ーが現実の生産物を生ずるには単純事例では 1 年かかるから,現実の生産増

加を示す曲線は粗投資曲線にたいしては一年のタイムラッグをもってえがか

れる。いま, h 

1 とおいて第 1 年目を考える。 o 年の建設雇用は元の均衡

成長径路と現実の砧断径路とでは同じである。第 1 年では産出置は両径

fit

も同じである。ところで, h 

1 であれば,新機械の採用が有利であるため

には,述営費用の節約がより大なるものでなければならない。

(21)

均衡成長径路間の横断について 5 1  

したがって,より大なる利潤をあたえるものでなければならない。運営期間 の雇用労働は新しいプロセスではより小である

D

機械の運営において節約さ れる労働要素は機械の建設面に移転される

D

総雇用は同一である。しかし,

第 2年目では産出量と雇用の増大がはじまる口

つぎに h<l の場合を考えよう o 乙の場合は強い前方バイアスの場合であ る。生産キャパシティーで測ると b1/aO*>b1/a 。 と な る 。 じ か し , 運 営 費 用の節約はこの不利な点を相殺して余りあるものであるから,新機械が採用 され,第 l 年では新機械運営のための雇用の減少が生じる。 h<l の場合は h=l の

j

易合とちがって,この節約された労働が全て新機械建設に吸収され ることがなし L そ乙で失業が生じる。しかし,機械の建設はひきつづき増加 するから第 2年目ではこのような技術的失業は幾分減少する o やがて不断に 増加する投資による生産キャパシティーの増加が丁度技術的失業を相殺する 時点に達する白

民間径路を封切 J J j 的局而と初期的局 Y f I i l 乙限定して数学的に展開しよう。この 時間的径路は既に示したごとく定差方程式の仰によって示される。賃金ネは 横断径路を通じて同定的と仮定される。スケー

j

レファクターを X T で示す。

準備的局面では,

q o  Xo  =qo *Xo

初期局面では, QT =QTl Y'と仮定しているから,

qox

+ql 

2: 

X

=qo' 弘子 +q

戸工

J X

t司会

。 。

単純な事例では,

q o  =  ‑waO ,  q 1  = 1  ‑wa1  q o  ' * =  ‑wa 。 に q 1 ‑ : " =1  ‑wa1  * 

( 4 . 6 )  

( 4 . 7 )  

( 4 . 8 )  

( 4 . 9 )  

即ち,機械の建設期間は O 年,この年間では産出註は 0 ,労働が IIH~-.ω 投入

要素で,投入係数は a 。で示される。また,機械の述1if;期間は 1年から n 年

まで, P r 出日:は旬

J

り J 1  1 ド : . { u : ,また労例の投入係数は a

1

でコンスタントであ

る。そこで , q 。は o

I, ~U)~,n FlUU 物,

q 1 は n 年

ILUにおける各 JUJ の~,nFi'~ 1il 4~ を

示している。 p n I

1

¥ ! 物の価格は不変と 1 1 背然的に仮定されている。

(22)

5 2  

経 営 と 経 済

LU 

( 4 . 1 0 )  

また二つの効率曲線,

ー =a

1

+ a O r  n  ( 4 . 1 1 )  

= ザ 十 a o

'if

( 4 . 1 2 )  

より,

1  ‑wa ,  0 , 

r n  

=一一一一

wa o 

‑q

( 4 . 1 3 )  

1  ‑wa.

0

,米

r

n"'=←ー一一一 一

wa o

=一一一一

‑qo τr ( 4 . 1 4 )   Rn=l+rn  ( 4 . 1 5 )   ( 4 . 1 6 )   R n

骨<=

1  +rn

そこで ( 4 . 7 ) 式を

‑ q

。で割って整理すると,

‑XT  + R n X T ‑ l  =  h  [‑xT

+ R n '

x

T ‑ I J ( 4 . 1 7 )   いま成長率を gで示すと,

G=(l+g)  XT 

iI:

‑ = xo

G T

( 4 . 1 8 )   ( 4 . 1 9 )   スケー

J

レ フ ァ ク タ ‑ x o * ' =  1 とおいてみよう

O

XT

f=GT ( 4 . 2 0 )   そこで,準備的局面では, ( 4 . 6 ) より,

Xn=~立 =h

q

( 4 . 2 1 )   ( 4 . 1 8 ) は ,

‑XT

Rn XT‑

1

=  h  [ ー GT+Rn*GT‑IJ ( 4 . 2 2 )  

‑XT

Rn XT‑

1

=h(Rn*‑G)GT‑l  ( 4 . 2 3 )   の式をうる

D

初期局面のコースをあたえる式である

O

そこで, ( 4 . 2 3 ) ーの解 を求める

D

まず,特解を求める。

XT  = α G l '   ( 4 . 2 4 )  

(23)

5 3  

均衡成長径路間の棋断について

( 4 . 2 3 ) に代入する,

とおいて,

( 4 . 2 5 )  

‑αGT+αRnG T  ‑ 1  =h(Rn 

~'-G)GT-1

( 4 . 2 6 )  

α+αRn= h ( R n '

l'ー

G)

( 4 . 2 7 )  

α~(Rn 来 -G)

( R n  ‑ G)  ( 4 . 2 4 ) は , そこで,

( 4 . 2 8 )   X T

l1 (~n:-=-gt

r :  

(R n

G) ' ‑ ‑ '   同次式について,

つぎに,

( 4 . 2 9 )  

‑x

T

+R n

XT ‑1

=0  の解を求める,

( 4 . 3 0 )  

X T  =βyT 

( 4 . 2 9 ) に代入する。

とおいて,

( 4 . 3 1 )  

‑βyT+RnβyT‑1 =  0 

( 4 . 3 2 )   y  =Rn 

( 4 . 3 0 ) は , そ乙で,

( 4 . 3 3 )  

X T=βRn  ( 4 . 2 3 ) の一般解は,

( 4 . 3 4 )  

X T  =αGT+βRn T 

この式で β は初期条件によってきまる未定係数である

O

J

( 4 . 1 5 ) ,  ( 4 . 1 6 ) ,  ( 4 . 1 8 )  

( 4 . 3 5 )   αh(Rn

一 一 一 一 一 一 一 一 一 一

‑G)̲

(rn*‑g) 

(Rn‑G)

‑ 1 1  

(rn‑g) 

( 4 . 3 6 )   となる

O

ところで,社会計算式では,

wA+rK=B+gK 

Q  =  B  ‑rK=( r  ‑g)K  ( 4 . 3 7 )   そこで, Q>O であるためには r>g であらねばならない

O

そして, rn> r 

W

が不変であれば,新しい技術は古い技術よりも有利であ r> ドーである。そこで rn>rn*>g である。そこで α>0 である

O

T=O では である o また,

り ,

また,

(24)

54 

Xo=α+β=h  β = h

α ( 4 . 3 5 ) の式より,

< 1

経 常 と 経 済

( 4 . 3 8 )   ( 4 . 3 9 )  

であるから β>0 である o

X

Xo

=  h ではじまり,恒常的に増大し,元の均 衡成長径路上の X

T

* よりもその増大は急速である

D

T 年で生産される新しい機械の建設費用は aOx

T

である o 古い技術の機械 は a o

XT

味ーである。この差は組投資の増分である

D

費用で測ると,

ao  XT  ‑ao  ' i : . X T

?

ところで, ao*jao=h であるから, a

。 辛 口

aoh ,そこで,

ao  XT  ‑ao  hXT

=ao(xT‑hx*T)

=ao  (αG

'l

'+βRnT‑hxo'*GT)  xo*‑=l ,そこで, ( 4 . 3 8 ) より,

( 4 . 4 0 )  

( 4 . 4 1 )  

ao  (xT  ‑hx 勺 =β(RnT‑GT) ( 4 . 4 2 )   となる o T =   0 であるとこれは零,その後時間の経過とともに上昇する

D

粗 投資はまた生産キャパシティーで測る乙とができた

O

b

1 .. 

b

1 ̲.義

一 一 一 一 一 ー

a n " " " T   a . . . . . 0  

" " " T ( 4 . 4 3 )   b

1ご

l とおくと,

よ い T -~- X T * )   ( 4 . 4 4 )  

= 土 (αGT+βRnT̲ιhGT) 

= よ [(α

l)GT+βRnTJ 

=jJ[(h‑l)GT

β(RnT

G

'l

' ) J ( 4 . 4 5 )   h=lであると,この式は,

a 1

[β(Rn  T

GT)J ( 4 . 4 6 )  

(25)

均衡成長径路間の横断について 5 5   ( 4 . 4 2 ) と ( 4 . 4 6 ) により,費用で測った組投資と生産キャパシティーで測 った粗投資との関係が不変であることが示される o

と乙ろで,強い前方バイアスの場合, h  <  1 , (h ‑ 1  ) <   0, ( 4 . 4 5 ) のカッ コの第 1 項は負,第 2 項は正である o そこで, T =   0 では第 1 項が支配的で ある o 最初生産キャパシティーの低下が生じる o 第 1年目では産出量と雇用 は減少する

D

第 l項のマイナス効果がより大である限り生産キャパシティー は低下する。しかし期間の経過とともに第 2項のプラス効果は増大し,マイ ナス効果を相殺する時点に達し,以後第 2項が支配的となり上昇する

D

均衡成長径路にいたる横断径路において完全医用が維持されるためには,

ヒックス的二部 I ! ! J モデルでは,消費財座業部 P ! j における資木労例比率が資本 財産業部門における資木労働比本よりも大である乙とが示された 25) 。 わ れ われはこの節では . I i i j 節で展開された単純な松咋事例としてあたえた生gf.プ ロセスモデ、

j

レでもって,完全雇用品

':1

断径路を考察しよう。ここでは賃金は変数 であり,雇用は元の均衡成長状態であたえられるものと同じような変動を示 すものと仮定されるも所与の成長率で増大する労働の供給については完全雇 用が存在する

D

横断径路は前と同じように技術的変化によってはじまるものと仮定する a

そして,同ように準備的局而と初期的局面とについて考察しよう o AT  AT 来の関係がとの二つの局而を通じて維持される

D

準備的局面では,

a

X

=a o

X

o

;1, 

( 5 . 1 )   初期的局而では,

a O xT

a

2 :   X

=aO'''x

T

a ,':;三~

x

tO;:' 

( 5 . 2 )  

a O xT ー ( a o ‑a ,  ) xT    ̲ =a 。

T ー ( a o

‑a 朱 , ) X

( 5 . 3 )

a  0  ò~

̲̲  ""  f 

a  0  . : f e   a

,  :.

X T ー ( 1  ‑‑ < : ' . ' ‑‑ ) xT  ̲  ,  =  .  ~O ‑ ‑ X T  *ー(

一一一

, )  X

o

T    , ‑ ( 5 . 4 )  

a o  a o  a o  a 

(26)

5 6   ここで,

= u

U=1‑u 

とお乙う

2

同様に,

q 司:ー

‑ ; 7 r t

, 

U

辛 口

1 ‑u* 

スケールファクターについてX o

=1とおこう

D

準備的局面では ( 5 . 1 1 ) より,

‑ 2 0

円 米

=X o = h  初期的局面は,

XT

一(

‑U  )xT

1=hxT*

(h‑u*h)x 九 日 1 XT  ‑U  XT  ̲  1  =  h  (X*  T  ‑X

T ‑ 1+u

x

' T‑1  )  XT  ‑UXT  ‑1  =h(X*T ‑(  1

X

oI:

T̲1 )  XT  ‑UXT  ‑ 1  =h(X*T ‑U*X

T ‑ 1 ) ところで,

x

T=X " ' G T  =GT  であるから,

XT  ‑U  XT  ̲  1  =  h  (G  T  ‑U

GT‑1)  XT  ‑UXT‑1  =h(G‑U つ GT‑1 さらにまた,乙れは,

XT  ‑UXT  ‑ 1  =h(  g  +U'*)GT ‑1  と書き直すことができる

D

( 5 . 1 4 ) の解を求めるョまず,特解を,

XT  =α'GT 

とおき, ( 5 . 1 4 ) に代入しよう。

α'GT

Uα'GT

1=h(G‑U

)GT‑1 α'G‑Uα'=h(G‑U 勺

経 ? 弓 と 経 済

( 5 . 5 )  

( 5 . 6 )  

( 5 . 7 )  

( 5 . 8 )   ( 5 . 9 )   ( 5 . 1 0 )   ( 5 . 1 1 )  

( 5 . 1 2 )  

( 5 . 1 3 )   ( 5 . 1 4 )  

( 5 . 1 5 )  

( 5 . 1 6 )  

( 5 . 1 7 )  

( 5 . 1 8 )  

(27)

均衡成長径路間の横断について

α h ( G ‑ U 勺 h(g

u 勺 (G‑U)

(g

u)  そ乙で, ( 5 . 1 6 ) は ,

XT=α'GT  つぎに,

XT  ‑UXT̲ l  = 0  の解を求める。

XT  =β'yT  とおいて代入すると,

β'yT̲  Uβ'yT‑l=O  y = U  

そこで, ( 5 . 2 2 ) は , XT  =β'UT  ( 5 . 1 4 ) の一般解は,

XT  =α'G'r

β'UT

57 

( 5 . 1 9 )  

( 5 . 2 0 )  

( 5 . 2 1 )  

( 5 . 2 2 )  

( 5 . 2 3 )   ( 5 . 2 4 )  

( 5 . 2 5 )  

( 5 . 2 6 )   乙の式で βFは初期条件によってきまる未定係数を示している。この α' と βFは固定賃金モデルの αとβ とは異なるものである o しかし, Xo  = hであ

るから,

Xo  = hα'+βF  ( 5 . 2 7 )   の関係をもっている。ところで, ao>O,  a

1

> 0 であると, u=ajaO>O  である。もし, aO >a

1

であれば , u<l, 

O<U=l‑U<l  ( 5 . 2 8 )   この場合, I L j 問の経過とともに XT は ゲ GTに近づく o即ち, t & 断径路は均 衡に収執する oX*T =X*OGTであり, X ' * O  =  1 と仮定しているから,均衡径 路ではまた, XT  =α'GTより,

X

二三~=α'

4

で示しうる。

ゲ を

11

今味しよう。

( 5 . 2 9 )  

(28)

58 

経 営 と 経 済

α ' ‑ i f

二(ぺJ)‑hfd‑

η.  ¥  ang

a

l

( 5 . 3 0 )   f 

g+ 云~)

そこでこれは h=ao  ' ! : ' / a 。と H =a

* / a

1

の中聞に位置する。これを,効率指 数 1 ( g )で示してもよい。

司会

g

十 一1

α a o

h  g  +一旦

L

a o 

とおいて,前方ノてイアス的な技術変化を見ょう。

H>h であるから,

円 来 q

ムト>去

( 5 . 3 1 )  

( 5 . 3 2 )   そこで,ゲ > h である

D

そこで β'<0 となる。また,技術の変化が有利 であるためには, 1  ( r 勺 >1 であらねばならぬから, α'>1 である o T =   0  で お =h ,時間の経過とともに XT/XT キは α ' に向って上昇する

D

後方バイアス的技術変化の場合では , H<h ,そこで,

円 米 司 令 幹

そ~<竺L ( 5 . 3 3 )  

"‑1 

uo 

: < l   ( 5 . 3 4 )  

そこで β'> 0 となる

O

この場合, α'>1 の条件は必要でない o T =  0 で h より始まって XT/XT * は α , ~こ向って低下する O

BT  について吟味しよう o

BT ‑BT *=

( Xt‑Xt  * )   ( 5 . 3 4 )  

2: 

(α'Gt

β'ut‑Xo*Gt) ( 5 . 3 5 )  

X

o

'=

1とおくと,

BT ‑BT ; j , =  

2: 

(α'G

色十

β'Ut‑G

色)

( 5 . 3 6 )  

参照

関連したドキュメント

By virtue of Theorems 4.10 and 5.1, we see under the conditions of Theorem 6.1 that the initial value problem (1.4) and the Volterra integral equation (1.2) are equivalent in the

For a compact complex manifold M , they introduced an exact cube of hermitian vector bundles on M and associated with it a differential form called a higher Bott-Chern form.. One

Via the indicator A, Kanemaki characterizes the Sasakian and cosymplectic structures and gives necessary and sufficient conditions for a quasi-Sasakian manifold to be locally a

Let K : one-dim function field/finite field, Ω: solvably closed Galois ext. of K which has no nontriv. abelian ext.) Then K can be reconstructed from Gal(Ω/K ).... § 1

F rom the point of view of analysis of turbulent kineti energy models the result.. presented in this paper an be onsidered as a natural ontinuation of

Subsequently, we illustrate how the symbolic summation package Sigma [13], implemented in the computer algebra system Mathematica, can assist us to find identities like the

『国民経済計算年報』から「国内家計最終消費支出」と「家計国民可処分 所得」の 1970 年〜 1996 年の年次データ (

(2)施設一体型小中一貫校の候補校        施設一体型小中一貫校の対象となる学校の選定にあたっては、平成 26 年 3