全文

(1)

基 本 波 エ コ ー に 基 づ くベ イ ズ 推 定 に よ る S/Nの 高 い生 体 高調 波 画像 化 手 法

システ ムデザイ ン研 究科 情報通信 システム学域

山村 拓也

指導教員 田川 憲男 教授

(2)

目 次

第1章

1.1本 景̲...̲...

1.2本 的...

1.3本 成...

第2章

2.1超 法..̲...

2.1.1超 点...

2.1.2超 質...

2.1.3超 成...

2.1.4超 類...

2.1.5超 法...

2.1.6画 能....,。...

2.1.7超 ト...

2.2生 調 法(TissueHarmonicImaging:THI)...

2.2.1THIの 理....

2.22THIの と 欠 点...

2.3パ 法...

2.3.1パ 要...̲...

2.3.2リ アFM...

第3章

3.1MAP推 法,...

3.2提 法...

第4章

4.1均 ョ ン...

4.1.1シ レ ー ル...

θ0444579912445777111 224999222222

(3)

4.1.2均 質 媒 質 に お け る1ラ イ ン 信 号 に 対 す る 結 果 ..

4.1.3均 質 媒 質 に お け る 画 像 化 に よ る 評 価 ...

4.2生 体 を 擬 似 した シ ミ ュ レー シ ョ ン 4.2.1

4.2.2

4.3画 像 化 に よ る 評 価..

第5章 5.1 5.2

シ ミ ュ レ ー シ ョ ン モ デ ル... ...

擬 似 生 体 に お け る1ラ イ ン 信 号 に 対 す る 結 果.

o

33 .38

.40 .40

.42 .52

実 験54

実 験 モ デ ル 及 び 条 件... ...54

評 価 結 果... ...56

第6章 結論

6.1本 研 究の総括 と今後 の研 究課題

0066

録APZFIexとSpectra1Flexの 錬 成 解 析 に つ い て

A.1概 要... ...

謝辞

66

s2

参考文献 63

本研究に関する研究業績 65

(4)

ii1

図 目 次

2.1媒 過...

2.2超 図...

2.3探 成...

2.4超 と 役 割...。...

2.5Aモ ド お びBモ ド...

2.6多 射...

2.7サ ド ロ ブ...

2.8非 波...

2.9基 と 高 調 幅...

2.10矩 例...

2.11ハ 例...

2.12矩 と エ ロ ー プ...

2.13ハ と エ プ....

3.1

3.2

OU4OQU 00444 6889133460011111112222

雑 音 の な い2次 高 調 波 エ コ ー の 自 己 相 関 関 数(青),白 色 正 規 雑 音 を 含 む2 次 高 調 波 エ コ ー の 自 己 相 関 関 数(緑),(a)1%,(b)4%,(c)7%,(d)10%25

雑 音 の な い 基 本 波 エ コ ー の 自 己 相 関 関 数(青),白 色 正 規 雑 音 を 含 む 基 本 波 エ コ ー の 自 己 相 関 関 数(緑),(a)1%,(b)4%,(c)7%,(d)10%...26

作 成 の 手 順...。...27

シ ミ ュ レ ー シ ョ ン に よ る 音 源 か ら の 距 離 に 応 じ た 高 調 波 の 強 度(実 線)と そ の 曲 線 近 似(破 線)...̲...̲...28

シ ミ ュ レ ー シ ョ ン モ デ ル...30

送 信 信 号 例:(a)時 間 波 形(b)周 波 数 波 形...32

均 質 媒 質 で の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン で 計 算 さ れ た 基 本 波 高 調 波 を 含 む エ コ ー 信 号 の 最 大 値 に 対 し て4%の 白 色 正 規 雑 音 を 加 え た1ラ イ ン の エ コ ー 例,(a) 基 本 波,高 調 波 を 含 む 信 号%,(b)基 本 波 信 号%,(c)2次 高 調 波...34

(5)

4.4均 質 媒 質 で の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン に お け る 白 色 雑 音4%の と き の 検 波 信 号,青:

提 案 法,緑:従 来 法,赤:雑 音 を 含 ま な い2次 高 調 波(デ シ ベ ル 表 記)(a) 全 体 図(b)拡 大 図(21.0μs‑31.0μs)... ...

4.5白 色 正 規 雑 音4%の と き の 組 織Cか ら の エ コ ー の 検 波 信 号,青:提 案 法,緑:

雑 音 を 含 ま な い2次 高 調 波,青:雑 音 を 含 ま な い 基 本 波(リ ニ ア 表 記) 4.6均 質 媒 質 に お け る 検 波 信 号 の 相 対 誤 差 の 平 均2乗 平 方 根 青:提 案 手 法,

緑:従 来 法,赤:強 度 関 数 な し,黒:自 己 相 関 関 数 を 観 測 高 調 波 か ら...

4.7均 質 媒 質 で の 画 像 結 果:(a)基 本 波,(b)雑 音 な し 高 調 波,(c)従 来 法 ,(c) 提 案 手 法...・.G..・..・....

4.8擬 似 生 体 で の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン モ デ ル... ...。...

4.9擬 似 生 体 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン で 計 算 さ れ た 基 本 波 高 調 波 を 含 む エ コ ー 信 号 の 最 大 値 に 対 し て1%の 白 色 正 規 雑 音 を 加 え た20ラ イ ン の エ コ ー 例,(a)基 本 波,高 調 波 を 含 む 信 号%,(b)基 本 波 信 号%,(c)2次 高 調 波...

4.10擬 似 生 体 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン で 計 算 さ れ た 基 本 波 高 調 波 を 含 む エ コ ー 信 号 の 最 大 値 に 対 し て4%の 白 色 正 規 雑 音 を 加 え た20ラ イ ン の エ コ ー 例,(a)基 本 波,高 調 波 を 含 む 信 号%,(b)基 本 波 信 号%,(c)2次 高 調 波...

4.11擬 似 生 体 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン で 計 算 さ れ た 基 本 波 高 調 波 を 含 む エ コ ー 信 号 の 最 大 値 に 対 し て7%の 白 色 正 規 雑 音 を 加 え た20ラ イ ン の エ コ ー 例,(a)基 本 波,高 調 波 を 含 む 信 号%,(b)基 本 波 信 号%,(c)2次 高 調 波...

4.12擬 似 生 体 モ デ ル に お け る 白 色 雑 音1%の と き の 検 波 信 号,青:提 案 法,緑:

従 来 法,赤:雑 音 を 含 ま な い2次 高 調 波(デ シ ベ ル 表 記)(a)全 体 図(b) 拡 大 図(16.5μs‑20.0μs)(c)拡 大 図(38.0μs‑43.0μs...

4.13i擬 似 生 体 モ デ ル に お け る 白 色 雑 音4%の と き の 検 波 信 号,青:提 案 法,緑:

従 来 法,赤:雑 音 を 含 ま な い2次 高 調 波(デ シ ベ ル 表 記)(a)全 体 図(b) 拡 大 図(16.5μs‑20.0μs)(c)拡 大 図(38.0μs‑43.0μs...

4.14擬 似 生 体 モ デ ル に お け る 白 色 正 規 雑 音7%の と き の 検 波 信 号,青:提 案 法, 緑:従 来 法,赤:雑 音 を 含 ま な い2次 高 調 波(デ シ ベ ル 表 記)(a)全 体 図

(b)拡 大 図(16.5μs‑20.0μs)(c)拡 大 図(38.0μs‑43.0μs...

4.1516.5オs20.0μsの デ ジ ベ ル 表 示 時 で の 平 均 値,青:提 案 法,緑:従 来 法..

4.16擬 似 生 体 モ デ ル に お け る 肝 臓 か ら の エ コ ー の 検 波 信 号,青:提 案 法,緑:

雑 音 を 含 ま な い2次 高 調 波,青:雑 音 を 含 ま な い 基 本 波(リ ニ ア 表 記)(a) 白 色 正 規 雑 音1%,(a)白 色 正 規 雑 音4%,(a)白 色 正 規 雑 音7%...

35

36

37

0σ9U4

43

44

45

46

47

80σ44

50

(6)

v

4.17擬 似 生 体 モ デ ル に お け る 検 波 信 号 の 相 対 誤 差 の 平 均2乗 平 方 根 青=提 手 法,緑:従 来 法,赤:強 度 関 数 な し,黒:自 己 相 関 関 数 を 観 測 高 調 波 か ら51 4.18i擬 似 生 体 モ デ ル に お け る 画 像 結 果:(a)基 本 波,(b)雑 音 な し 高 調 波,(c)

従 来 法,(c)提 案 手 法...53

5.1実 験 モ デ ル...54 5.2使 用 し た 探 触 子...55

5.3(a)エ コ ー 信 号,(b)エ コ ー 信 号 か ら バ ン ドパ ス フ ィ ル タ に よ っ て 抽 出 さ れ た 基 本 波 エ コ ー,(c)エ コ ー 信 号 か ら バ ン ド パ ス フ ィ ル タ に よ っ て 抽 出 さ れ た2次 高 調 波 エ コ ー...57

5.4(a)提 案 法 の 検 波 信 号(青),観 測 さ れ た2次 高 調 波 エ コ ー の 検 波 信 号 (緑),観 測 さ れ た 基 本 波 エ コ ー の 検 波 信 号(赤)(デ シ ベ ル 表 記)(b)(a) の 拡 大 図...̲...58

5.5提 案 法 の 検 波 信 号(青),観 測 さ れ た2次 高 調 波 エ コ ー の 検 波 信 号(緑), 観 測 さ れ た 基 本 波 エ コ ー の 検 波 信 号(赤)(リ ニ ア 表 記)...59

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第1章 序 論

1.1本 研 究 の 背 景

近 年,高 齢 化 な ど に 伴 い 超 音 波 診 断 の 需 要 が 高 ま っ て き て い る.被 爆 の 恐 れ が な く,実 時 間 で 画 像 診 断 が 行 え る とい う特 徴 は あ る も の の,X線CTやMRIな ど の 他 の 画 像 診 断 法 に 比 べ て 空 間 解 像 度 が 低 い.空 間 解 像 度 の 高 い 超 音 波 画 像 を 得 る 手 法 と して 生 体 高 調 波 画 像 化 法(Tissue且armonicImaging:THI)[1‑9】 が 研 究 され,ま た 最 近 で は 実 際 の 医 療 超 音 波 診 断 装 置 に そ の 機 能 が 組 み 込 ま れ て い る.従 来 の 医 療 超 音 波 診 断 装 置 は,送 信 信 号 の 周 波 数 に 対 応 す る 基 本 波 成 分 を 用 い て 画 像 化 を 行 っ て い る.一 方 でTHIで は,超 音 波 が 生 体 を 伝 搬 す る 際 に 生 じ る 非 線 形 歪 み を 構 成 す る 高 次 高 調 波 成 分 を 抽 出 し,こ れ を 利 用 し て 画 像 化 を 行 う.そ の 際,他 の 高 次 高 調 波 よ り振 幅 が 非 常 に 大 き い2次 高 調 波 を 用 い る の が 一 般 的 で あ る.THIの 利 点 と し て,以 下 が 挙 げ られ る.墨 高 調 波 の 帯 域 幅 は,基 本 波 成 分 に 比 べ 広 い た め,基 本 波 成 分 よ り も細 い パ ル ス が 得 られ,距 離 分 解 能 が 向 上 す る.

'非 線 形 歪 み は 音 圧 が 高 くな い と発 生 しな い た め

,高 調 波 は 送 信 音 圧 の 高 い ビー ム 中 央 に 制 限 され,ビ ー ム 幅 が 狭 く な っ て 方 位 分 解 能 が 向 上 す る.'反 射 体 か ら戻 っ て く る エ コ ー の 音 圧 は とて も 小 さい た め 、 エ コー の 伝 搬 に よ る 高 調 波 の 発 生 は 少 な い.ま た 基 本 波 の サ イ ドロ ー ブ 強 度 は,メ イ ン ロー一ブ に 比 べ30‑40dBで あ る の に 対 し,高 調 波 の サ イ ドロ ー ブ 強 度 は,メ イ ン ロ ー ブ に 比 べ60‑80dB程 小 さ い.ゆ え に,多 重 反 射 や サ イ ドロ ー ブ に よ る ア ー チ フ ァ ク トが 低 減 され る.し か しな が ら,高 調 波 の 振 幅 は 基 本 波 の 振 幅 に 比 べ て 非 常 に 小 さ く,加 え て,高 調 波 に は 周 波 数 依 存 減 衰 が よ り強 く作 用 す る.そ

の た め,THIは 電 気 的 ノ イ ズ,シ ス テ ム ノ イ ズ の影 響 を 受 け や す く,SNRが 一 般 に 低 い.ま た そ の 影 響 か ら,生 体 深 部 で の 画 像 化 が 十 分 に で き な い と い っ た 問 題 を 有 す る.

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2 第1章 序論

1.2本 研 究 の 目 的

SNRを 改 善 す る 一 般 的 な 手 法 と して,パ ル ス 圧 縮 技 術[1‑3 ,10‑11]が 挙 げ られ る.パ ル ス 圧 縮 技 術 で は 照 射 エ ネ ル ギ ー を 増 や す た め に,周 波 数 が 直 線 的 に 変 化 す る チ ャ ー プ 信 号 や,M系 列 信 号 な ど の 符 号 化 信 号 を 照 射 時 間 の 長 い パ ル ス と して 送 信 す る.パ ル ス 圧 縮 技 術 は こ こ10年 に わ た り,医 療 超 音 波 分 野 に お い て 数 多 く の 研 究 が な さ れ て い る.

しか し な が ら,よ りSNRの 高 い 超 音 波 信 号 を 得 る た め に は,よ ち 基 礎 的 な 技 術 で あ る ノ イ ズ 低 減 処 理[12‑13】 も 重 要 で あ る と 考 え る.以 上 か ら,本 研 究 で はTHIの 有 す る 本 来 の 空 間 解 像 度 を 保 ち つ つ,そ のSNRを 改 善 す る 手 法 を 提 案 す る.THIの 利 点 と して 、 基 本 波 エ コー が 高 調 波 エ コ ー と同 時 に計 測 され,画 像 化 に 用 い る こ とが 可 能 で あ る.提 案 手 法 は,基 本 波 エ コ ー の 有 す る情 報 をTHIのSNR向 上 に利 用 す る こ と を 特 徴 とす る.

基 本 的 な 枠 組 み と し て,最 大 事 後 確 率(MaximumAPosterior:MAP)推 定 法 を 取 り上 げ る.基 本 波 エ コ ー の 自 己 相 関 関 数 を使 っ て2次 高 調 波 の 自 己 相 関 関 数 を 安 定 に 推 定 し こ れ を 事 前 知 識 と し て2次 高 調 波 のMAP推 定[7‑9]に 適 用 す る.高 調 波 の 伝 搬 距 離 に 関 す る 強 度 特 性 も,事 前 に 計 測 し て お く こ とでMAP推 定 に 利 用 す る こ と が で き る.有 限 要 素 法 に よ る音 響 伝 搬 シ ミ ュ レー シ ョ ン 及 び 実 験 を 通 して,本 手 法 の 有 効 性 を 確 認 す る.本 論 文 は,そ れ らの 成 果 を ま と め た も の で あ り,全6章 よ りな る.各 章 の 概 要 は 以 下 の とお り

で あ る.

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1.3本 論 文 の 構 成

第1章:序

第1章 は序論 であ り,超 音波診 断にお ける最近 の研究動 向につ いて述べた後,本 研 究の 意義 と目的 を示す.

第2章:本 研 究 の 関 連 知 識

本研 究の関連知識 と して超音波診 断法 の概要 とパル ス圧縮 技術 につい て説 明す る.

第3章:提 案 手 法

第3章 では,提 案手法 である2次 高調波画像 のためのMAP推 定について述 べ る.基 本 波 の情報 を用いた2次 高調波 の 自己相関関数 の推 定方法,高 調波の伝搬 距離 に関す る強度 特性 の利 用方法 を説 明す るとともに、それ らの有効性 を簡 単なシ ミュ レー シ ョン例 によっ て示す。

第4章:シ ミ ュ レー シ ョ ン

第4章 では,シ ミュ レー シ ョン結果 に基づいて提案 手法 の有効性 を定量的 に評価す る.

シ ミュレーシ ョン上で擬似生体のモデル を作成 し,得 られ るエ コー を解析 し,波 形 や画像 と して提案 手法 と従来法 の比較 を行 う.

第5章:実

第5章 では,提 案手法 と従 来法の実験結果 を比較 し,提 案手法 の有効性 を定性的 に確認 す る.

第6章:結

第6章 は結論で あ り,本 研 究で得 られた成果 を整理す る とともに,本 研 究 に関す る今後 の展望 な どについて述べ る.

(10)

4

第2章 本 研 究 の 関連 知識

超音波診 断装置 は,超 音波 ビー ムを短いパル スを体表か ら体内に向けて発射 した ときの体 内か らのエ コーを利用 して体 内の情報 を得 る装置である.超 音波診断は無侵 襲診 断診断 で あ り,か つX線,ッ 線 に比べ副作用が少 ないた め,効 果的 な無侵襲診断装置 の1っ とされ てい る.

2.1超 音 波 診 断 法

2.1.1超 音 波 診 断 法 の 利 点

超 音 波 診 断 装 置 は,探 触 子(プ ロー ブ)か ら発 生 す る 音 波 を使 用 し て,腹 部,心 臓 な ど の 生 体 の 軟 部 組 織 の 情 報 を 映 像 化 し,計 測 す る 装 置 で あ る.こ の 診 断 法 の 利 点 と し て,1 っ 目 と して 生 体 か らの 超 音 波 反 射 波 を 利 用 して 画 像 を 生 成 す る た め,レ ン トゲ ン 装 置 やX 線CTの よ うな 被 爆 の 危 険 が な い こ とで あ る.特 に,放 射 線 被 爆 に 対 し て き わ め て 弱 い 胎 児 な ど の 診 断 に は,い ま や な くて は な らな い 検 査 装 置 の1つ で あ る.ま た 映 像 化 の 原 理 が X線CTやMRIな ど の 大 型 の 医 用 画 像 検 査 装 置 に 比 較 し て 単 純 な こ とで あ る.こ の た め, っ ぎ の2つ の 大 き な 利 点 が 生 じ る.1つ は,画 像 構 成 に 要 す る 時 間 が 短 くて 済 む た め,リ ア ル タ イ ム 表 示 が 可 能 で あ る.X線CTやMRI装 置 は,複 雑 な 演 算 を行 い 画 像 を 構 築 す る た め に,数 十 ミ リ秒(ms)の 短 い 時 間 内 に 画 像 を構 築 す る こ と は 非 常 に 困 難 で あ る.こ の 特 徴 か ら,特 に 心 臓 な ど の リ ア ル タ イ ム 検 査 で は 有 用 で あ り,非 常 に 多 く使 用 さ れ る に 至 っ て い る.ま た こ の リア ル タ イ ム性 か ら,診 断 の み な らず 治 療 に も使 用 され て い る.も

う1つ の 利 点 は,こ の た め に 装 置 が 小 型 で 安 価 で あ る こ と が で き,ベ ッ ドサ イ ドで の 検 査 が 可 能 で あ り,価 格 もX線CTな ど の 約1/10以 下 と安 価 に す る こ とが で き る..

(11)

2.1.2超 音 波 の 性 質

人 間 の 可 聴 領 域 は 約20‑20000且zと 言 わ れ て お り,一 般 に こ れ よ り周 波 数 の 高 い 音 波 を 超 音 波 と 呼 ん で い る.超 音 波 と は 「聞 く こ と を 目的 と し な い 音 」 と定 義 され て い る.超 音 波 は,生 体 軟 部 組 織 を 媒 質 と し て 伝 播 で き,そ の 指 向 性 は 強 く,直 進 す る性 質 を 有 し て い る.超 音 波 は 生 体 内 に お い て 音 響 イ ン ピー ダ ン ス の 異 な る境 界 面 に 入 射 す る と,そ の 超 音 波 の 一 部 が 反 射 し残 り は 透 過 す る(図2.1).音 響 イ ン ピ 』 ダ ン スZは,組 織 の 密 度 ρ

と伝 搬 速 度cと の 積 に よ り求 め る こ と が で き る.

Z=p・c (2.1)

音 響 イ ン ピ ー ダ ン ス は 生 体 内 に 限 り周 波 数 に は 無 関 係 で 媒 質 に よ り決 定 され る物 理 定 数 で あ る.生 体 組 織 の 音 響 特 性 を 表2‑1に 示 す.ま た 生 体 内 で は そ れ ぞ れ の 臓 器,組 織 で 物 質 密 度 が 異 な っ て い る た め,入 射 した 超 音 波 は そ の 境 界 面 で 反 射 を 起 こす.こ の と き の 反 射 率Rp透 過 率Tpは 媒 質1,媒 質2の 音 響 イ ン ピ ー ダ ン ス を そ れ ぞ れZ1,Z2と す る と 次 の 式 よ り求 め られ る.

Z2・COSθ1‑Z1・COSθ2

(2.2) 馬=Z

2・COSθ1+Z1・COSθ2 2・Z2・cosBl

(2.3}

馬=Z 2・cos81+Zl・cose2

音 源 よ り放 射 され た 超 音 波 は 生 体 組 織 内 に お い て 減 衰 し,そ の 深 さ に よ っ て も 反 射 波 の 強 度 が 異 な る.さ ら に こ の と き,超 音 波 が 境 界 面 に 対 し θ1の角 度 で 斜 入 射 す る と そ の進 行 方 向 が 境 界 面 で 変 化 す る.こ れ を 屈 折 と い い,Snell野 法 則 に よ り媒 質1,媒 質2の 音 速 を そ れ ぞ れcl,(ろ とす る と次 の 式 よ り求 め られ る次 式 で 表 さ れ る.

sin92 ̲̲C2 sing‐nC(2.4}11

生 体 内 に お け る超 音 波 の 減 衰 に は,超 音 波 の 音 響 エ ネ ル ギ ー が 熱 エ ネ ル ギ ー へ と変 化 す る こ とに よ っ て 起 こ る 吸 収 減 衰,平 面 波 が 球 面 は へ 移 行 し,距 離 の2乗 に反 比 例 して 減 衰 す る 拡 散 減 衰,超 音 波 が さ ま ざ ま な 方 向 へ 散 乱 す る た め に 起 こ る散 乱 減 衰 な どが あ る.こ の う ち 吸 収 減 衰 に つ い て は,媒 質 や 超 音 波 の 周 波 数 に依 存 して い る(周 波 数 依 存 減 衰).

(12)

6 第2章 本研 究の関連知識

表2.1生 体 組 織 の 音 響 特 性

組織

音 速 [m・s‑11

音 響 イ ン ピ ー ダ ン ス [106kg/m‑2・s‑1]

吸 収 減 哀/周 波 数 [dB・cm‑1・MHz‑1】

4080 7.8 20

筋肉

1

1585 1.7 1.2

血液 1570 1.61 1

肝臓 1549 1.65 0.94

1530 1.53 0,002

脂肪 1450 1.38 0.63

空気 330 0,004 12

媒 質C1

入射超音波 反射超音波

媒 質C2

透過超音波

境界面

図2.1媒 質 の境界面での反射透過

(13)

2.1.3超 音 波 診 断 装 置 の構 成

超音波診 断装置 は,探 触子,超 音波 ビー ムの送信 お よび超 音波信号 を受信す る送 受信 部,信 号処理回路,表 示部お よび記録装置 によ り構成 されてい る.超 音波診 断装置 の概略

を示す(図2.2).

探触子

探触子(probe)は 超音波 を生体内に送信 し,生 体内か らの超音波信 号を受信す る働 きを 持 ち,装 置の性能 を左右す る重要な部分 である.探 触 子に求め られ る性能 は,そ う受信感 度 が高 く軽量 で,人 間工学的観点か らも手 に馴染みやす い形状 であ ることであ り,そ の構 成 は音響 レンズ,音 響整合層,振 動子,お よびパ ッキ ング材 よ りな る(図2.3).

送信部

送信部 は,生 体内 に超音 波パル スを放射す るに十分な 出力が得 られ るよ う,通 常の電気 パル ス信 号 を数十 ボル トか ら百数十 ボル トの電気 パル ス信 号 に増幅 し探 触子 に供 給 して い る.ま た安全性 の観 点か ら,超 音波強度 を制限で きる駆動電圧 で制御 され てい る.

受信部

受信 部は探触子 よ り送信 され た超音波パル スが,生 体 内か ら反射 して戻 って きたエ コー 信号 を受信 し,こ の信 号 を電気信号 に変換後,装 置 内の前置増幅器 で増幅 し,時 間的遅延 をかけて信 号化 してい る.ま た超音波 の伝搬距離または深度 に相 当す る時間 に対 して感度 を調節す るダイ ナ ミック レンジを制御す る波形処理 回路 も含 まれ る.

信号処理回路

信 号処理回路 は,受 信 部の出力信 号か ら,画 像化 に必 要な周波数成分 を抽 出 した あ と, ログア ンプに よ り信 号を圧縮増幅 し,こ れ を輝 度情報に変換す るための検波,対 数圧縮 を か け,走 査線 上の画像信 号 を得て画像化 してい る.

表示部

表示部 では,受 信信 号の強度 に応 じて画像 メモ リにデー タが書 き込まれ る.ビ ーム位置 と画素位置 の違 いを補正す る空間的な補 間処理や画像 を向上 させ るフィル タ リング処理 が

(14)

8 第2章 本研 究の関連知識

行 わ れ,体 の 断 面 を 示 す 断 面 画 像 と して 実 時 間 で 表 示 装 置 に 表 示 され る.

記 憶 装 置

記 憶 装 置 は 得 られ た 画 像 を 記 録 保 存 す る た め の も の で あ る.静 止 画 と し て は 白 黒 画 像 や カ ラ ー 画 像 が あ り,動 画 に 関 して はSVHS形 式 のVGRが 一 般 的 で あ る.

  ゼ     

送信回路

回路 制御回路 信号

.職 綱一團幽 D A

TVモ ニタ

図2.2超 音 波 診 断 装 置 の ブ ロ ッ ク 図

音響 レンズ

音響整合層

圧 電 振動 子

パ ッキング材

スライス方 向 断面 配列 方 向断 面

図2.3探 触 子 の 構 成

(15)

2.1.4超 音 波 診 断 法 の 種 類

超 音 波 法 の 種 類 と 主 な 用 途 を 図2.4に 示 す.超 音 波 診 断 法 を そ の 原 理 か ら 大 別 す る と, エ コ ー 法 と ド ップ ラ 法 に 分 け る こ とが で き る.エ コー 法 は 超 音 波 の 反 射 波 お よ び 透 過 波 の 振 幅 情 報 を 何 ら か の 形 に 表 示 す る方 法 で あ り,よ く使 わ れ る も の にAモ ー ド法,Bモ ー ド

法,Mモ ー ド法 な ど が あ る.一 方,ド ップ ラ ー 法 は,ド ッ プ ラ ー 効 果 に よ る 超 音 波 反 射 波 の 周 波 数 変 化 か ら速 度 を 計 算 す る方 法 で あ り,代 表 的 な も の に,パ ル ス ド ップ ラ ー 法, 連 続 波 法,カ ラ ー ド ッ プ ラ ー 法,パ ワ ー ド ップ ラ ー 法 が あ る.

一{:世 繋欝

一 モ警i難難 讐 蜥

図2.4超 音波診断法 の種類 と役割

2.1.5超 音 波 画 像 の 表 示 方 法

ここでは本研究 に特 に関連す る超音波エ コー法 のパル ス反射法の表示 方法 について説 明 す る.

パル ス反射 法 では,探 触子 か ら超音波パ ルス を照射 し,エ コー が受信 され るまでの時 間を測定す るこ とによって,目 的 とす る反射体 までの距離 を求め ることがで きる.反 射点 ま で の距 離d[cm】 を,生 体軟 部 組 織 で の超 音 波 の伝 搬 速 度c[m/s]と 往 復 の時 間t[s]か ら次 式 に よ り求 めるこ とがで きる.

dニ2●c't(2・5)1

cは1530[m/s]で 一 定 し て い る の で,時 間tを 測 定 す る と距 離dを 求 め る こ と が で き る.こ の 方 法 に よ り検 出 した 超 音 波 の エ コ ー を 表 示 す る 方 法 を 以 下 に 示 す.

(16)

10 第2章 本研究 の関連知識

Aモ0ド(Amplitudemode)

Aモ ー ドは 送 信 さ れ た 超 音 波 が 反 射 し,反 射 の 強 さ と,受 信 す る ま で の 時 間 を 基 に し て,反 射 され た 物 質 ま で の 位 置(距 離)を 計 算 し,物 質 ま で の 距 離 を 横 軸 に,反 射 し た 超 音 波 の 振 幅 を 縦 軸 に と り,グ ラ フ を 作 成 す る(図2.5).Aモ ー ド像 は1次 元 画 像 で あ る た め1画 像 で 得 られ る 情 報 が 少 な く,ま た プ ロ ー ブ の 当 て 方 が 少 し異 な る だ け で 全 く別 の 画 像 に な っ て し ま うな ど,画 像 の 再 現 性 に 乏 しい.こ の た め,初 期 に は よ く用 い ら れ た が, 次 第 に 使 わ れ な くな り,現 在 はAモ ー ド単 独 の 装 置 は 生 産 され て い な い.こ の 方 法 で は,

プ ロー ブ か ら反 射 体 ま で の 距 離 は 分 か る が,反 射 体 の 形 態 を 知 る こ と は で き な い.

Bモ ー ド(Brightnessmode)

Bモ ー ドはAモ ー ドが 振 幅 と位 置 を 表 示 す る の に 比 べ て,こ の 振 幅 を 輝 度 と し て 画 像 表 示 す る 方 法 で あ る.1本 の 超 音 波 ビー ム で は1次 元 像 しか 得 られ な い が,超 音 波 ビ ー ム を 走 査 す る こ と で,2次 元 の 画 像 が 作 成 で き る.つ ま り,超 音 波 断 層 像 が 表 示 で き る(図 2.5).こ の 方 法 に よ り生 体 の 形 態 が 認 識 しや す く な り,診 断 が 容 易 に な っ た.現 在 の 超 音 波 診 断 の 中 心 とな っ て い る.

Mモ ー ド(Motionmode)

Mモ ー ドは、超音波 の反射源 の時間的位 置変化 を表 示す る方法で ある.輝 度 変換す る 段階 まではBモ ー ド法 と同様で あるが,走 査線 を1本 にす る1次 元表示 で,縦 軸に超音波 反射距離,横 軸 に時間を設 定す ると,臓 器な どの時間的な動 き,つ ま り探触子 に対 して近 づ いた り,遠 ざかった りす る動 きを描 出できる.こ の方法は動 きの検 出が特 に重要な心臓 診 断で は非常 に重要 な位置 を占めてい る.

(17)

Aモ ー ド

1

ココ 振

輝度変調 走査

Bモ ー ド

図2.5Aモ ー ドお よ びBモ ー一ド

2.1.6画 像 の 分 解 能

分 解 能 は,超 音 波 画 像 を左 右 す る 最 も 重 要 な 因 子 で,空 間 分 解 能(距 離 分 解 能,方 位 分 解 能,ス ラ イ ス 方 向 分 解 能),コ ン トラ ス ト分 解 能 と,時 間 分 解 能 が あ る.

距離分解能

距離分解能 とは,超 音波 の進行方向 に並ぶ2点 を分離 して表示す る識別可能 な最小距離 を言いい,縦 方 向分解能 ともい う.距 離分解能 △X[cm]は 次式 で表 され る.

△x=n' λ

2(2・6)

nは 波 数 λは 波 長 で あ り,畝 は パ ル ス 幅 で あ る,よ っ て 距 離 分 解 能 は 周 波 数 が 高 く, 波 数 が 小 さ い ほ ど 向 上 す る.し か し周 波 数 を 高 くす る ほ ど超 音 波 の 減 衰 が 増 し深 部 で の 観 察 が 難 し く な る.

方位分解能

方位 分解 能 とは,超 音波 ビー ム の進 行 方 向 に対 して 垂 直 に並 ぶ2点 を分 離 して表 示 す る 識 別可能 な最小距離 をいい,横 方 向分解能 ともい う.2点 の距離が超音波 ビー ム幅(横 方 向)よ り大 きいか,そ の距離 が超音波 ビー ム と同 じ場合 に識別可能 とな り,サ イ ドローブ が十分小 さい もの と仮 定す るとき方位分解能 △yは 次式 にて表 され る.

λ

△ 〃=1・220万 噛X(2.7)

(18)

12 第2章 本研 究の関連知識

λは 波 長,△Xは 反 射 体 と音 源 と の 距 離,Dは 振 動 子 の 口径 で あ る.方 位 分 解 能 は 振 動 子 の 口径 が 大 き く か つ 中 心 周 波 数 が 高 い ほ ど よ い.し か し,振 動 子 の 口径 が 大 き く な る と, 近 距 離 音 場 の 分 解 能 が 悪 く な る の で,振 動 子 の 口径 の 小 さい も の が よ い.そ の 一 方 で 超 音 波 の 拡 散 が 早 ま る.よ っ て,遠 距 離 ま で の 指 向 性 を 得 る た め に は 振 動 子 の 口径 を 大 き く し な け れ ば な ら な い.

ま た,周 波 数 を 高 く な る と減 衰 に よ り遠 距 離 で の観 察 が 難 し く な る.方 位 分 解 能 は 振 動 子 か ら の 距 離 に よ っ て も 異 な る,ビ ー ム の 幅 を 細 くす る こ とで,方 位 分 解 能 は 向 上 す る.

ス ライス方 向分解 能

ス ライス方向分解能 とは,振 動子 の厚み方向に並ぶ2点 を分離 して表示す る識別 可能 な 最小距離 をい う.探 触子 のスライス方向分解能 を上昇 させ るためにシ リコン製の音響 レン ズ によって超音波 ビー ムが絞 られ る.こ の音響 レンズは固定焦点のため,焦 点以外 の領域 で は ビー ムが広 が りス ライス方向の分解能 は低下す る.

コン トラス ト分解 能

コン トラス ト分解能 とは,エ コー強度 の差 を画像上で識別す る性能で,組 織 間の輝度差 が どれだ け識別 で きるかであ り,ノ イズの多 い信 号や信号強度 の低 い信号 はコン トラス ト 分解能 を低 下 させ る.

時 間 分 解 能

時 間 分 解 能 は フ レー ム レー トに よ っ て 評 価 され る.フ レー ム レー トは 繰 返 し周 波 数 と1 画 像 を 作 る た め の 走 査 線 数 に よ り決 ま る.1フ レー ム の 操 作 に か か る 時 間 が 短 い ほ ど時 間 分 解 能 は 高 くな り,リ ア ル タ イ ム 性 が 高 く な る.

2.1.7超 音 波 画 像 の ア ー チ フ ァ ク ト

ア ー チ フ ァ ク ト(虚 像)は 超 音 波 ビ ー ム の 反 射 や 屈 折 に よ り,実 際 に 存 在 し な い も の が 画 像 に 映 っ て し ま っ た り,本 来 の 形 が 歪 ん で 見 え た りす る場 合 を 言 う.こ こ で は 本 研 究 に 関 連 す る,多 重 反 射 と サ イ ドロ ー ブ ノ ア ー チ フ ァ ク トに つ い て 述 べ る.

(19)

多重反射

多 重 反 射 とは,探 触 子 か ら放 射 され た 超 音 波 パ ル ス が あ る 組 織 の境 界 で 反 射 され,振 子 の 接 触 面 あ る い は 他 の 組 織 の 境 界 間 で 何 回 も往 復 し て 反 射 が 繰 り返 され る 現 象 を い う

(図2.6).反 射 体 と振 動 子 の 間 で 起 こ る 多 重 反 射 は,実 際 の 後 方 に 反 射 体 と振 動 子 の 距 離 の 整 数 倍 に 相 当 す る 感 覚 で ア ー チ フ ァ ク トが 出 現 す る.ま た 反 射 体 が 非 常 に 小 さい 場 合 で

も,周 囲 組 織 と の 音 響 イ ン ピー ダ ン ス の 差 が 大 き い と同 じ現 象 が 起 き,こ れ を 特 に コ メ ッ ト用 エ コー と呼 び,強 い エ コ ー の 後 方 に 彗 星 の 尾 の よ うな エ コ ー が 線 状 に 尾 を 引 い て 見 ら れ る.

サ イ ドロ ー ブ

超 音 波 ビー ム は 主 に 探 触 子 の 中 心 軸 方 向 に 放 射 され る メ イ ン ロ ー ブ と,そ れ を 囲 み 異 な っ と方 向 に 超 音 波 ビ ー ム が 放 射 され る サ イ ドロ ー ブ が あ る.

サ イ ドロ ー ブ の 音 圧 は メ イ ン ロ ー ブ の30‑40dB程 度 と比 較 的 大 き い た め に,サ イ ド ロ ー ブ 方 向 に 反 射 の 強 い 物 体 が あ る と,そ れ に よ る反 射 像 が メ イ ン ロー ブ 像 に加 算 っ て 描 出 さ れ る(図2.7),

 ゆチO\口

  ゆヂ0

\口

聾一」

辰射体F

i

[コ

一s

〔= ‑s..

i

モニタ上多璽反射

サ イドローブ

メイン ロー ブ

アー チ7ア クト

強い反射体

図2.6多 重 反 射 図2.7サ イ ド ロ ー ブ

(20)

14 第2章 本研 究の関連知識

2.2生 体 高 調 波 画 像 化 法(TissueHarmonicImaging:THI)

THIと は生体内部 にお ける超音波 の非線形伝搬 によ り発生す るハーモニ ック(高 調 波) 成分 を検 出 して,造 影剤 を用い ないで生体組織 を描 出す るもので,近 年で は空 間分解能 を 高 くで きる超 音波画像化 手法 として実際の医療超 音波診 断装置 にそ の機 能が組み込 まれ てい る.

22.1THIの 発 生 原 理

媒 質 中 を 伝 搬 す る 超 音 波 の 音 速 は,縦 波 の 粗 密 部 位 で,わ ず か な が ら 異 な る.す な わ ち,疎 の 部 位 で は 音 速 は 遅 く,密 で は 速 く な る.こ の た め,図2.8に 示 す よ う に,媒 質 中 を 伝 搬 す る 正 弦 波 状 の 音 波 は,そ の 伝 搬 距 離 が 長 く な る に つ れ て 鋸 歯 状 波 に 近 づ い て く る.こ の 波 形 の ス ペ ク トラ ム に は,そ の 波 形 の 基 本 周 波 数 の 他 に,高 調 波 成 分 が 多 く含 ま れ て い る.こ れ が,組 織 か らの エ コ ー 信 号 に含 ま れ る 高 調 波 信 号 の 発 生 の メ カ ニ ズ ム で あ

る.以 下 に こ の 非 線 形 性 の 重 要 な 特 徴 を 述 べ る.

'波 形 の ひ ず み は 蓄 積 す る .

匿第2高 調 波 の 振 幅 は 入 射 超 音 波 の 振 幅 の2乗 に 比 例 す る .

音 波 の 伝 搬 距 離 が 短 い と き に は わ ず か な ひ ず み で も,そ の 距 離 が 長 く な る に 伴 っ て ひ ず み が 蓄 積 され,大 き く な り,ハ ー モ ニ ッ ク の 発 生 が 大 き く な る.

深度

送信波△ て7一 伝搬途中∠ \ フー

伝搬後」\ フー

図2.8非 線 形 音 響 媒 質 中 を伝 搬 す る音 波

(21)

2.2.2THIの 利 点 と欠 点 利点

(a)距 離 分解能の 良い画像

高調波 の帯域 幅 は,基 本波 の帯域幅 に比べ広 い(十 分 な音圧強度 が あれ ば2次 高調 波 の帯域幅 は基本波 の帯域幅の2倍 にな る).そ のた め基本波 のパル ス幅 に比べ,高 調波の パル ス幅は細 くな るので,基 本波 で生成 した画像 よ りも,距 離 分解能 の良い画像 が得 られ る.

(b)方 位 分 解 能 の 良 い 画 像

非 線 形 歪 み は 音 圧 が 高 く な い と発 生 しな い.ま た 送 信 ビ ー ム は 音 圧 は ビ ー ム 中 央 付 近 で は 強 い が,中 央 か ら端 に な る ほ ど,音 圧 は 急 激 に 弱 く な る.こ の た め 高 調 波 の 発 生 は 音 圧 の 高 い ビー ム 中 央 に 制 限 され,ビ ー ム 幅 が 狭 く り結 果 と して 方 位 分 解 能 が 向 上 す る(図 2.9).一 方,生 体 内 か ら得 られ る エ コー の2次 高 調 波 を 受 信 して ビー ム フ ォ ー ミ ン グ を 行

う際 に も,方 位 分 解 能 の 向 上 が 生 じ る.例 え ば,2MHzの 送 信 波 で も受 信 時 に は4M且z の 周 波 数 成 分 を利 用 で き る の で,深 部 で も方 位 分 解 能 を 向 上 す る こ と が で き る.

(c)ア ー チ フ ァ ク トの 少 な い 画 像

超 音 波 画 像 に は さ ま ざ ま な ア ー チ フ ァ ク トが 生 じ る が,そ の 中 で も,前 述 に 述 べ た,多 重 反 射 と サ イ ドロ ー ブ に よ る ア ー チ フ ァ ク トは 特 に 大 き な 問 題 で あ る.多 重 反 射 に よ る ア ー チ フ ァ ク トの 原 因 は,前 述 述 べ た と お り振 動 子 か ら 送 り出 さ れ た 音 波 が 振 動 子 と近 く の 反 射 体 と の 間 で 何 回 も 往 復 す る こ と に よ り生 じ る も の と,あ る 深 さ に あ る 複 数 の 反 射 体 間 で 往 復 す る こ と に よ り生 じ る も の と が あ る.い ず れ の 場 合 に も,基 本 波 に よ る通 常 のB モ ー ド画 像 で は 多 重 像 と し て 現 れ,画 像 を 劣 化 させ る 要 因 と な る.一 方THIで は,非 形 ひ ず み は 音 圧 の2乗 に 比 例 す る た め,一 度 反 射 体 で 反 射 した エ コ ー は そ の 音 圧 が 低 く な り,エ コー 成 分 で は 高 調 波 は ほ と ん ど発 生 しな い た め,多 重 反 射 に よ る ア ー チ フ ァ ク トが 少 な い.

ま た 基 本 波 の サ イ ドロ ー ブ 強 度 は,メ イ ン ロ ー ブ に 比 べ30‑40dBで あ る の に 対 し,高 調 波 の サ イ ドロ ー ブ 強 度 は,メ イ ン ロー ブ に 比 べ60‑80dB程 小 さ い,こ の た め サ イ ドロ ー ブ に よ る ア ー チ フ ァ ク トが 少 な くな る.

(d)体 表 か らの エ コ ー を 抑 え る

超 音 波 診 断 画 像 に お い て,体 表 か ら の エ コ ー は 特 に 不 要 で あ る. しか し基本波成分 を

(22)

16 第2章 本研 究の 関連知識

使 っ た 画 像 で は こ れ を抑 え る こ とが で き な か っ た.T且1で は 前 述 述 べ た と お り,高 調 波 は 伝 搬 距 離 が 増 す に つ れ て 発 生 す る の で,伝 搬 距 離 が とて も近 い 体 表 か ら の エ コ ー を 抑 え る

こ と が で き る.

欠点

高 調 波 の 振 幅 は 基 本 波 の 振 幅 に 比 べ て 非 常 に 小 さ く,加 え て,高 調 波 は 基 本 波 に 比 べ 倍 の 周 波 数 成 分 も 持 つ た め,周 波 数 依 存 減 衰 が よ り強 く作 用 す る,そ の た め,丁 且1は 電 気 的 ノ イ ズ,シ ス テ ム ノ イ ズ の 影 響 を 受 け や す く,SNRが 一 般 に 低 い.ま た そ の 影 響 か ら, 生 体 深 部 で の 画 像 化 が 十 分 に で き な い と い っ た 問 題 を 有 す る.

基本 波の ビーム領域

図2.9基 本 波 と高 調 波 の ビ ー ム 幅

(23)

2.3パ ル ス 圧 縮 法 2.3.1パ ル ス 圧 縮 法 の 概 要

SNRを 改善す る一般 的な手法 として,パ ル ス圧縮技術 が挙 げ られ る.パ ルス圧縮技術 で は照射エネル ギー を増や すた めに,符 号化信号 を照射 時間 の長 いパル ス と して送信す る.そ して 目標か らの反射波 を受信す る際 に信号処理 を行 うことに よ り,高 いSNRを す る幅 の狭 いパル スを送信 した場合 と同 じ効果 を得 るこ とがで きる手法 で ある.パ ル ス 圧縮 技術 はこ こ10年 にわた り,医 療超音波分野において数多 くの研 究がな されてい る.

パル ス圧縮 に用 いる符 号化信 号は様 々あるが,こ こで は リニアFMに ついて述べ る.

2.32リ ニ アFM

時 間 と と も に 周 波 数 が リニ ア に 変 化(チ ャ ー プchirp)す る 信 号 は

sl(t)一 磁(券)expゴ2π(あ 孟+告う で 表 され る.こ こ にfo中 心 周 波 数,κ はS1(t)の 瞬 時 周 波 数

,/2一 諸2π(fot+t22)

=fo+㍑

(2.8)

(2.9)

の 時 間 に 対 す る 変 化 率,z「 はsl(t)の 持 続 時 間 で あ り,rect関 数 は 次 式 で 定 義 さ れ る.

rectt=1‐T<t<TT2 ‐2

=Ot<‑2 TT,2<t(2.10)

式(2.8),(2.9)か ら 瞬 時 周 波 数 の 変 化 量Bは たTと な る.81(t)の ス ペ ク トル は81(t)を フ ー リ エ 変 換 す る こ と に よ り得 ら れ,

3・(!)一 隠8・(孟)・expト ゴ2π徽

一 傷[z(92)‑z(脚[一 ゴ芸(!一 ゐア]

と な る.こ こ に,Z(g)は 複 素 フ レ ネ ル 積 分 で

Z(y)̲・F(y)+ゴ8Fω イexpレ[p2a22]da

(2.11)

(2.12)

(24)

18 第2章 本研 究の関連 知識

に よ り 表 さ れ る.

y1,y2は,そ れ ぞ れ 次 式 に よ り定 義 さ れ る.

y1=‑2(f‐fo)一 一TB2(2.・3)

y2=‑2(f‑!b)一 十(2.14)

パ ル ス 圧 縮 の フ ィ ル タ の イ ン パ ル ス レ ス ポ ン ス と し て 次 式 で 表 さ れ る も の を 考 え る.

ん(t)一 馬32π(fot‑t2

2)(2.・5)

式(2.15)か ら 分 か る よ う入 力 信 号sl(t)の 瞬 時 周 波 数 が(fot一 窒丁)か ら(fot+告 丁)に 変 化 す る の に 対 し,ん ① の 瞬 時 周 波 数 は(fot+kT2)か ら(fot‑kT2)に 変 化 す る.こ の フ ィ ル タ の 伝 達 関 数 はh(t)を フ ー リエ 変 換 す る こ と に よ り

一exp一 ゴ2π(fo‐f)t2 2

‑exp一 ゴ芸(f‑fo)2(2・ ・6)

パ ル ス 圧 縮 の フ ィル タ に 信 号sl(t)が 入 力 され れ ば 時 間 領 域 に お け る,疎 の 出 力 はsl(t)と h(t)の コ ン ボ リ ュ ー シ ョ ン 積 分 に よ っ て 与 え られ る.

H(ノ)一 ん(t)・expト ゴ2π!孟

[]

5・(t)一 隠5・(ア)・ ん(t‑T)dT

一jTBsinc(Bt)expゴ2π(fot‑t2

2)(2.17) た だ し,sinc関 数 は 次 式 で 定 義 さ れ る.

.sin(7「x)(2

.18) sincx=

π猛

式(2.8)で 表 さ れ る 入 力 信 号81(t)に 比 べ て,式(2.5)で の 出 力 信 号82(t)は 振 幅 に お い て 電 圧 で 〉励(電 力 で はTB倍).パ ル ス 幅 が 焼 く1TB倍 とな る こ と が 分 か る.ま た,パ ル ス 圧 縮 フ ィル タ の 周 波 数 領 域 に お け る 出 力 はS2(ヂ)の フー リエ 変 換,ま たS1(f)とH(f)

の 積 で 表 さ れ

S2(∫)一 胤8・(孟)expト ゴ2π∫オ]dt

=31(∫)・ 且 ●(f)

‑T

2B[z(y・)‑zω (2.19)

(25)

と な る.次 に,パ ル ス 圧 縮 フ ィ ル タ が マ ッチ ドフ ィル タ と し て 構 成 され て い る 場 合 を 考 え る.マ ッ チ ドフ ィ ル タ と は そ の フ ィ ル タ の 入 力 に お け るS/Nを 固 定 した と き 出 力 のS/N が 最 大 と な る フ ィル タ を い う.た だ し,こ こ で は 雑 音 は ホ ワイ トガ ウ シ ア ン とす る.こ の

と き マ ッ チ ドフ ィ ル タ の 伝 達 関 数 は 出 力 信 号 の 遅 延 を 無 視 す れ ば

HM(f)=sl(f)

一 漂[Z*(y2)‑7ω 極P匠(ノ ーあア](2.2・)

で 与 え られ る.こ こ に,ア ス タ リス ク*は 共 役 複 素 数 を 表 す.ま た,こ の フ ィ ル タ の イ ン パ ル ス 応 答 は

hM(t)=s*i(f)

=rect(t

T)α 甲3%(あ ト1り(2.2・)

で 表 され る.し た が っ て,時 間 領 域 にお け る 出 力 信 号 はsl(t)とhM(t)の コ ン ボ リュ ー シ ョ ン積 分 に よ り得 られ

SzM(t)一 ・ectチ・ect与7

・ 窃P3%{fot+

2Ta‑1(カ ー ザ}(2.22)

と な る.式(2.17)と の 比 較 を 容 易 に す る た め に,式(2.22)を 正 規 化 す れ ば 最 終 的 に 得 られ る 波 形 の 振 幅 は

s'ZM‑〉 融(Bltl‑Tt2

πBlオ1)](2.23)

と な る.式(2.23)に お い て,振 幅 の ピ ー ク が 生 じ るt=0よ り時 間 軸 方 向 に 離 れ る に し た が い 分 子 の 第 二 項 は 小 さ く な る の で,式(2.23)は(2.17)で 表 さ れ る 波 形 の 振 幅 と ほ ぼ 同 じに な る.図2.10に,矩 形 波 の チ ャ ー プ信 号,図2.11に ハ ミ ン グ 窓 の チ ャ ー プ 信 号, 図2.12,図2.13に そ れ ぞ れ の 圧 縮 波 形 の 検 波 信 号 を 示 す.ハ ミ ン グ 窓 を 掛 け る と距 離 方 向 の 特 性 を 悪 化 させ る レ ン ジ サ イ ド ロ ー ブ を 抑 え る こ と が で き る が 矩 形 窓 と 比 べ て 半 値 幅 が 広 が っ て い る.

(26)

20 第2章 本研 究の関連 知識

1 0.s O.6 0.4 0.2

曾o

一 〇.a

‑O 。4

‑0 .6

‑0 .8

‑1

0 1234

Time[microsec]

5

図2.10矩 形 窓 を か け た チ ャ ー プ信 号 の 例

0.8 0.6 0.4 0.2 a

籠o

‑o .a

‑O.4

‑0 .6

‑0 .8

‑1

0 1234

Time[microsec]

5

図2.11ハ ミ ン グ 窓 を か け た チ ャ ー プ 信 号 の 例

(27)

1 0.9 0.8

UO.7U bO.6N

NO .5

窪o.4H zO.3

0.2 0.i O

‑2‑1 .5‑1‑0.500.511.52 Time[microsec]

図2.12矩 形 窓 を か け た チ ャ ー プ 信 号 の 圧 縮 波 形 とエ ン ベ ロ ー プ

1 0.9 0.8

VO.7U bO.6

0.5

舞o・4

z°0.3 a.a o.i O

‑2‑1 .5‑1‑0.500.511.52 Time[microsec]

図2.13ハ ミ ン グ 窓 を か け た チ ャ ー プ 信 号 の 圧 縮 波 形 と エ ン ベ ロ ー プ

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