清 水 市 の経 済 循 環 と 階 級 構 造
︱
︱
﹁内 発 型
﹂ 地 域 開 発 の基 礎 的 過 程 の考 察
土 居 英
は じ め に 稿本
は︑
﹁高 度成 長﹂ 型経 済 発展
の終 焉 以降 停︑ 滞 に悩 む清 市水 経済 概の 観 を主 と し て市 民 所得 推計 を 通じ
て明 ら か に した 上 で︑ 清 市水 地域 経済 に
﹁起 死回 生 の活 力を 創出 す
﹂る 待期 担を
てっ 登 場 たし 中部 電力 のL GN 基地 導 入計 画 が︑ 構 造的 危機 下 で の 一つ 地の 域 産 業政 策 と し て地 元経 済 にど のよ う な影 響 を も たら うし る のか に いつ て考 察す る︒ まず
︑ 清 市水 経済 社 会 が直 面 し て いる 課諸 題と そ 相の 互連 関 に つい て︑ 問題
の所 在を 明確 にす るた めに 概括 的な 整 理を し てお うこ 一 ︒ 清 水市 経 済 社 会 が直 面 す る 諸 課題 と政 策 対 応
清水市の経済循環と階級構造
八 法経 研究 三 二巻 三号
︵一 九八 一3 静 岡県 清 水市 は人
口二 四万 の地 方 中核 湾港 業工 都市 であ る︒ 地域 経済 類型 と し ては
︑ 重化 学 工業 野分 多に い特 定 企 業 の
﹁企 業 城下 町﹂ 型 でも な く︑ 軽 工業 分 野 に多 い
﹁地 場産 業産 地
﹂ 型 でも な い︒ 農 業
︵茶
・み か ん︶ や 産水 業
︵ま ぐ をろ 中 心と たし 清 水港 水揚 高 は全 国 一位
︶を ふく め︑ 遺化
学 工業
︵造 船
・ア ルミ 練精
・石 油精 製
︶ ︑ 軽 工業
︵缶 詰 o本 材 合 板 な
︶ど など 多の 様 産な 業 群 から 成構 さ れ る
﹁複 合 的 性格
﹂ を も てっ いる
︒ 業工 にお け る これ ら の基 幹産 業を 中 心と す る
﹁港 湾 依存 産 業﹂ 群 は︑ 清水 市 の 一九 七八 年就 業者 の 一五
・二
%︑
一五 四
〇
〇人 に のぼ り︑ 港 湾 運送 事 業
・倉 庫 業
・海 運 業な ど の
﹁港 湾 関連 産 業﹂ 六九
〇
〇人 弱 と合 わ せ︑ 両者 は合 計 三二 三〇
〇 人︑ 清 水市 就 業人 口 二の 一・ 九% に毎
が 港︒ 湾 工業 都 市 と し て清 市水 経済 を類 型化 し う る︒ こう
し た性 格 で︑
つ一 の典 型 をな す清 水市 経済 社会 は︑ すぐ れ て現 段 階的 な
︵﹁高
度成 長﹂ 経済 から
﹁構 造 的危 機
﹂ へ 移の 行 次︶ の三 つの 課題 に直 面 し て いる
︒ 第 一は 市︑ 内 基の 幹 的な 産諸 業 の多 くが
︑ 工業
︵重 化 学 業工
・軽 工業
︶ もで 農 業 でも
︑ あ い前 後 し て深 刻 な停 滞 に みま われ て いる こと であ る︒ 農 業危 機 りょ 排 出 され た労 働力 が 業工 部 門 で の低 賃 金労 働 力 とし て組 み込 まれ て い たっ
﹁高 度成
﹂長 期 と異 なり
︑ 今 日 では 市 内 工業 労 働力 も 一九 六九 年 の二 九 四〇
〇人 を ピ クー にそ 後の 一九 八 一年 ま で 二一 間年 にわ た てっ 七〇
〇〇 減人 少 し︑ 三 一五
〇
〇人 とな
てっ おり
︑ 工業 部門 そ れ自 体 が 大量 労の 力働 を排 出 し て はが
︒
﹁過
﹂剰 労 働 力 は市 外 流へ 出 す る 一方 市︑ 内 のい わ ゆ る
﹁第 次二 産 業﹂ 群 移へ 動
・吸 収 れさ てお り︑ か つ男 性労 力働
減の 少 と女 性労 働 力 の増 加が 顕 著 であ る︒ 各 業界 は人 員削 減 を 中心 とす る厳 し い
﹁合 理化
﹂ で対 応 し て いる が︑
一九 七〇 年 以降
問の 題 の性 質 は︑ 従 来 の
﹁合 理 化﹂ 型対 応を 超 え る問 題︱ 途 国上 資の 源主 権 要求 清と 水市
への 立地 そ 自れ 体 の妥 性当 検の 討 ベレ ルの 問題
︱ さえ つき つけ て い街
鮮 に︑ 新 し い特 徴を 持 つ︒
行 政 的対 応 は︑ 各 業種 ご と の丹 念 な 業界 診 断と
︑ 市
・県 レ ベル
︑ 国 ベレ ルで の 一定 施の 策 が出 され て いる が︑ 決 手め を 欠 いて いる と いう のが 卒直 な実 情 であ る︒ 清 水市 経済 会社 直の 面 し て いる 第 二 課の 題 は︑ 市 民各 層 生の 活過 程 の場 で市 が導 入 たし 住 民参 加方 式 に よ る 生 活行 政
︵
﹁街゛ くつ 推り 進事 業﹂
︶ 展の 開 に関 す 問る 題 であ る︒ こ 面の では いわ ゆる
﹁保 守
﹂市 政 によ る これ ま でと 異は な る 革﹁改
﹂が 試 みら れ︑ おそ ら く全 国 もで 典型 的 な
﹁日 本 型 福祉 社会
﹂ へ向 け て 事の 例 が展 開 し つ つあ る︒ 大 工場 に おけ る 小﹁ 集 団﹂ 型労 務管 理方 式 の︑ 地域 の場 での 展開 を想 起 さ せ る こ 生の 活 政行 は︑ 方一 で徹 底 たし 民主 義主 欠を けば 住︑ 民各 層 の労 働 生と 活 場の 生で 起 す る問 題 解の 決︑ 住 自民 治 の 芽を
︑
﹁住 民参
﹂加 の名 もの と に つみ と り ねか な い︒ 他 方 で こ 生の 活行 政 は︑ 真 住の 民参 加と 民 主主 義 的 運営 が徹 底 す れ ば す るほ ど︑
﹁三 割自 治﹂ 制に 約 され た地 方行 政 水準 の構 造的 低 位 と地 方 行財 政権 限 の制 約= 日本 の行 財政 の中 央集 権 的 性格 と撞 着 せざ るを えな いと いう 住︑ 民自 治 の観 点 から の
﹁行 政 改革
﹂問 題を はら ん で いる
︒ こ 生の 行活 政が
︑ 市内 基 幹諸 産 業 停の 滞 直を 接 契の 機 と す る市 政財 危機 下 で︑ か つ国 産の 業政 策
︵農 業
・工 業︶ と行 財 政 構 造 と の撞 着 を 回避 す 範る 囲内 行で なわ れ ると すれ ば︑ 清 水市 と いう 地 域社 会 から 立 てら れ る選 択 は︑ 現段 階 での 新 規 産 業誘 致 によ 0る 地域 経済 興振 と︑
︱口>
﹁市 民参 加 型﹂ 生活 行 政 たの め の財 確源
=保 政財 危機 克服
︑ 政の 策対 応 であ る︒ 清 水市 経済 社 会 が直 面 し て いる 第 三 の問 題 こそ
︑ こ の
﹁解 決﹂ 策 と し て の脱 石油 新 エネ ルギ ー= L NG
︵液 化 天 然 ガ ス︶ 基 地 発と 電所 建 設
︵中部 電力 計︶ 配 に他 な なら い︒ こ Lの NG 基地 導 計入 画 は︑ 国全 もで そお ら く最 初 と も えい 立る 地環 境 上 安の 全 性 に んか す 諸る 問 題を らは ん で いる
︒ 市 街 地 と 近の 度接 合 狭︑ 陰港 湾 への LN G 大型 タ カン ー 入の 港︑ 想 定 され 東る 海 大地 震 にた いす 都る 市 産 業防 災 等︑ の諸 問題 が それ であ ︵
住︒ 民 の意 見 は︑ 地域 経済 社 会 危の 機 打 開 の見 地 から す る賛 成論 と︑ 同 地じ 域 社会 住に む住 民 の安 全 の 清水 市 の経 済循 環と 階級 構造 九
法経研究三二巻三号︵一九八一3 一〇 見地からする反対論に三分されている︒人々にとってそれぞれ大事な﹁カネ﹂と﹁いのち﹂が悲しいことに人々を二分し て争う結果となっている︒ この第二の問題処理は︑第二の﹁住民参加﹂方式による生活行政展開の財源確保にも役立ちうると考えられるから︵何 故なら︑LNG基地は総額二八〇〇億円の固定資産価値をもつ設備投資として︑巨額の固定資産税が市の赤字財政を一挙 に黒字に転化すると予測されている
︶ ︑ある意味地域産業課で第一の振興の題だけでなく第二の街づくり推進事業展開の︑ 必要からも提起されつつ︑逆にこの生活行政展開の民主主義的性格を問いかける一つの試金石になっている︒ もt﹁住民参加﹂方式による生活行政が︑﹁住民参加﹂の名で︑LNG導入をめぐる安全性の慎重かつ徹底した科学的 な検討を待たないで選択を行うとすれば︑それは同じ地域社会で働らき暮らす人々の肩にのしかかる上記第一の課題︱市 内経済の停滞による仕事と暮らしの不安︱解決の渇望が一つの大きな基盤として存在しつづけるからであろう︒行政サイ ドからすれば︑LNG導入への選択は︑この意味では﹁大義﹂であり︑正統性の論拠となる︒ ここ一〇年間の構造的危機下での地域経済の発展方向については︑ これまで文字どおり﹁産業的実験﹂が積み重ねら れ︑その理論化もなされつつある︒安全性がとりわけ危惧される港湾工業都市清水市へのLNG基地導入計画は︑過疎地 の原子力発電所建設等と同様︑﹁外来型﹂地域開発のこれまた一つの典型事例であろう︒ こうした﹁外来型﹂開発は︑大規模産業設備の導入に際して多大な地域経済への貢献を期待されつつも︑現実は既存地 域経済振興とはあまり縁がなく︑財政危機克服策としてすらその不安定性と限界も各地で大きな問題と化しつつ法が︒ これに対して既存地域産業を生かし︑その活力を産業政策への真の住民参加で切り拓こうとする﹁内発型﹂地域開発へ の事例も各地で生まれつつある︒ 本稿では︑﹁高度経済成長﹂の終焉から既に一〇年︑各地におけるこうした地域経済の選択の経験と教訓をふまえて︑
清 水 市 に お け る 経 済 と 産 業 の動 向 を 市 民 所 得 推 計 を合 め考 察 し つ つ
︵第 二節
︶ ︑
﹁外 来 型
﹂ 開 発 の 事一 例 と し て の L N G基 地 導 入 が 地域 経済 にも た ら し う る影 響 に つ い て︑ きで る か ざ り 冷 静 な 評 価 を 加 え て ゆ く
︵第 二節
︶ ︒ 最 後 に︑ 清 水 市 と い う 港 湾 工 業都 市 に お け る
﹁内 発
﹂型 開 発 可の 能 性 と 清 市水 経済 の実 情 に 即 し た そ の特 殊 な 形 態 に つ い ても 簡 単 な 視角 を 提 示 し
︑ 今 後 と るべ き政 策 対 応 手の が か り と し た い
︵お わ り に︶
︒
︶︵注
︶︵1 静岡 県清 水港 管 理局 水﹃清 港 の経 済的 波 及効 果
︵清水 港経 済 果効 測定 業事 果結 告報 書︶
﹄ 九一 八 年一 二月
﹁ 五一
︱ 二〇 頁︒
︵2︶ 後 出
﹁清 水市 経済 に関 す 基る 礎資 料﹂ 第 部一 第 六表 参照
︒
︵3︶ 例 えば 清水 市 の基 幹産 業 の つ一 であ る木 材
・合 業板 に つい ては 次︑ のよ うな 業界 診断 の 一節 があ る︒
﹁近 年米 材 の輸 入量 増が 大し
︑ わが 国 本の 材需 要 にと てっ 主要 供な 給 と源 な てっ いる
︒ 米国 の場 合︑ 有国 林 及び ワシ ント ン州 以外 の州 有林 の丸 太輸 出 は 全面 的 に禁 止 され 私︑ 有林 及び ワシ ント 州ン のみ から 荷出 され てい る︒ かし そし 供の 給見 通し は︑ 観楽 きで な い情 勢 とな てっ い る︒ 米国 にお け る自 然保 護運 動 によ る種 々の 制約 に加 え︑ 原 入本 手面 競で 合す る米 国西 海岸 の中 小製 材業 界 に根 強 い丸 輸太 出規 制 の動 きが あら れわ て るい
︒ 略︵中
︶ 方一 南︑ 洋材 の場 合も 東︑ 南 アジ ア木 材生 産者 協議 会
︵S EL PA
︶ や国 連貿 易開 発会 議
︵A NC TA D︶ 等を 通じ 生︑ 産国 側が 丸太 輸出 規制 の強 化 とわ が国 合板 関 税 の撤 廃を 強力 に要 請 して く ると 思 われ る︒ 南洋 材 供給 の半 分近 くを 占 める イ ンド ネ アシ はで 昨︑ 年 九一 七九 年 には 丸太 輸出 総量 六の
%〇 を製 品も くし は半 製品 にす る計 画を 発表 した
﹂︒ 静岡 県 小中 企業 総合 指導 セン ター
・清 水市 商 工会 議所 地﹃産 診断 告報 書︱ 清水 地区 製材 業
・合 板 工業 現の 状 と課
﹄題 一 九七 八年 月八
︑ 五 二と 五三 頁
︵原 事木 情 の変 化① 資源 ナシ ナョ リズ ム 台の 3
︶︵4 土地 制度 史学 会 一九 八二 年 秋度 季学 術大 会
︵一 九八 二年 十月
︶ のシ ンポ ジ ウム で本 稿 のも と にな たっ 報告 をし たあ と︑ 九一 八 三年 二月 九 日付 毎 日新 聞 は︑ 電力 需 要 伸の び悩 み から 清︑ 水 市 の中 部電 力 LN G基 地建 設計 画が
﹁事実 上 の延 期﹂ にな たっ と報 じた 本︒ 稿 は︑ 執筆 時 点 では まだ こ の計 画が 終最 的 に断 念 され たと は発 表 され ては いな 状い 況を ふま え て執 筆 され て いる
︒ こ の 問 題 に つい ては 稿拙
﹁ エ﹃ ネ ルギ ー需 給見 通
﹄し と清 水 LN 導G 入問 題﹂ 本日 科 者学 会議 静 岡支 部 し﹃ ず かお 科学 評論
﹄第 四 清水 市 の経 済 循環 と階 級 構造 一 一