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都市近郊林と自然公園における野生動物への餌付けを利用者意識

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Academic year: 2021

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北海道大学 大学院農学院 修士論文発表会,2016 年 2 月 4 日

都市近郊林と自然公園における野生動物への餌付けを利用者意識

環境資源学専攻 森林緑地管理学講座 花卉・緑地計画学 稲場 彩夏

1. 緒言

野生動物への人為的に食物を与える行為は,個体数保護目的の給餌や,娯楽目的で野外レクリ エーションの一環としての餌付けなど,様々な形をとって世界各地で行われている。野外レクリ エーションとしての餌付けは,野生動物の餌への依存,攻撃的な行動の変化などの野生動物自体 や生態系への影響,感染症などの人間への影響も懸念されている。わが国では,市町村条例で野 生動物への餌付けを禁止する自治体も増加し,北海道では「北海道の生物の多様性の保全等に関 する条約」により,2015 年より全道でのヒグマへの餌付けを禁止している。レクリエーション利 用を規制するには,利用者や住民の理解と協力が欠かせないが,野生動物への餌付けに関する意 識に関する研究は少ない。本研究では,餌付けの対象や保護規制の制度が異なる都市内の森林と,

国立公園の利用者を対象に,その意識を明らかにし,今後の管理の必要性と展望,課題を考察し た。

2. 方法

小動物や野鳥への餌付けが問題視されている札幌市円山公園と,ヒグマやキツネへの餌付けと利用 者の接近が問題視されている知床国立公園において,公園利用者に意識調査用紙を配布し,郵送での 返送を依頼した。調査票は,属性や野生動物への態度,餌付けへの態度,野生動物との望ましい距離,

対策の是非とその内容などの項目で構成した。円山公園では,利用者の多い 6 月に 500 部,10 月にも 500 部の計 1,000 部を配布し,548 部の有効回答を得た(有効回答率 54.8%)。知床国立公園では,利 用者の多い 7 月に 608 部,9 月に 600 部の計 1,208 部の調査票を配布し,492 部の有効回答を得た(有 効回答率 40.7%)

3. 結果と考察

野生動物への餌付けについて,円山と知床の利用者は「楽しい」「自然とのふれあいである」

と好意的にとらえる人は少なく,「餌に依存させてしまう」「他個体・人間を攻撃するようになる」

と否定的にとらえられていた。野生動物との距離は,ヒグマは人間と遠距離のほうがより望まし く,シジュウカラやリスなどは,肉眼で見える距離までが望ましいと認識されていた。さらに,

80%以上の回答者が餌付けへの対策を必要と回答し,小動物には情報提供等の間接的な手法が,

ヒグマやキツネには罰則などの厳しい対策が望まれていた。しかし,一部に餌付けを好意的にと らえる回答者がおり,そういった回答者ほど,小動物が自ら近寄ってくることを望ましいとし,

対策も必要ではないと認識していることが明らかとなった。また円山と比べて知床の回答者のほ うが,餌付けをより否定的にとらえて,対策を必要とした回答者の割合も高かった。

4. まとめ

回答者の大半は,餌付けを否定的にとらえ,対策が必要と認識していたが,対象種や調査地 により回答には相違があった。一部に餌付けを好意的にとらえている回答者もおり,対策への認 識も異なっていた。自然観光地や野生動物の管理においては,これらの相違に配慮しつつ,その 対策を検討する必要があるだろう。

参照

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