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WHO 接種スケジュールに従った国産狂犬病ワクチン 皮内接種方式の検討

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平成22年 5 月20日

第 84 回日本感染症学会総会学術講演会座長推薦論文

WHO 接種スケジュールに従った国産狂犬病ワクチン 皮内接種方式の検討

1)東京都立駒込病院感染症科,2)同 小児科

柳澤 如樹

1)

髙山 直秀

2)

中山 栄一

2)

菅沼 明彦

1)

(平成 22 年 1 月 20 日受付)

(平成 22 年 3 月 1 日受理)

Key words : rabies, vaccine, intradermal regimen

2006 年 11 月に 2 例の輸入狂犬病患者が発生したの ち,狂犬病ワクチンの需要が急増し,ワクチンが不足 状態に陥った.我が国における狂犬病ワクチンの生産 量は少なく,急な増産ができないことに鑑みれば,ワ クチンが不足する事態に備えて,少量のワクチンでも 高い効果を挙げることができる接種法の検討が必要で ある.

狂犬病常在地であるタイでは,1 回接種量を減量し た皮内接種法が広く用いられている.Shiota らは,世 界保健機関(WHO)が推奨する接種スケジュールに 従って,国産狂犬病ワクチンを 0,7,28 日に皮内接 種し,その有効性と安全性を示した1).しかし,彼ら はワクチン液 0.1mL を左右の腕に皮内接種しており

(2 カ所方式),0.1mL を 1 カ所に皮内接種する方式(1 カ所方式)は未だ検討されていない.今回我々は 1 カ 所方式と 2 カ所方式を比較した.

対象と方法

本研究の主旨に同意し,国産狂犬病ワクチン(化学 及血清療法研究所製)の接種を希望された海外派遣予 定者 33 例を対象とした.そのうち,11 例(A 群;男 性 7 例,女性 4 例;平均年齢 23.5 歳)は狂犬病ワク チン 1 カ所方式接種を希望され,22 例(B 群:男性 12 例,女性 10 例;平均年齢 30.6 歳)は 2 カ所方式接種 を希望された.ワクチンを A 群では前腕に 0.1mL,B 群では左右前腕に 0.1mL ずつ皮内接種した.A 群で はロット RB08(11 例)を,B 群ではロット RB06(7 例),RB08(15 例)を用いた.全例について,皮内 接種 15 分後の接種局所における膨疹,発赤を視診で

確認した.さらに,次回接種時および採血時に前回注 射による局所の自覚症状について問診した.ワクチン は 0,7,28 日に接種し,採血を 7,28,42 日目に施 行し,狂犬病抗体価を測定した.抗体価は PLATELIA RABIES KIT II(Bio-Rad Laboratories,France)を 用いて ELISA 法で測定し,0.5EU!mL 以上を陽性と した.本研究は当院倫理委員会の承認を得たものであ る.

狂犬病抗体価の測定結果を Table 1に示す.28 日目 の抗体価は,A 群で 3 例,B 群で 5 例を除いて上昇が みられた.42 日目には,全例抗体価が 0.5EU!mL 以 上(幾何平均値:A 群,3.5EU!mL ; B 群,2.9EU!mL)

となった.

A 群で局所に発赤(≧10mm)を呈したものは,1,

2,3 回目接種時にそれぞれ 3,1,8 例であった.局 所の膨疹(≧10mm)は,1,3 回目接種時に全例,2 回目接種時に 9 例で認められた.一方,B 群で局所に 発赤(≧10mm)を呈したものは,1,2,3 回目接種 時にそれぞれ 5,6,19 例であった.局所の膨疹(≧10 mm)は 1,2,3 回目接 種 時 に そ れ ぞ れ 11,18,22 例で認められた.両群とも発熱や頭痛などの全身症状 を報告した例はなかった.

今回我々は 0,7,28 日に狂犬病ワクチン 0.1mL を 1 カ所および 2 カ所皮内接種する方式を比較検討した が,ワクチン 3 回目接種後,全例で狂犬病抗体価が 0.5 EU!mL 以上となった.ELISA 抗体価と中和抗体価は 強く相関するため2),全例が発症防御レベル以上の中 和抗体価に達したと考えられる.小規模な接種試験で はあるが,1 カ所方式は 2 カ所方式と同等の効果があ

別刷請求先:(〒113―8677)東京都文京区本駒込 3―18―22 東京都立駒込病院感染症科 柳澤 如樹

(2)

柳澤 如樹 他 314

感染症学雑誌 第84巻 第 3 号 Table 1 ELISA antibody titersafterintradermalJapanese rabiesvaccine administration

B (n= 22) A (n= 11)

Group

42 28

7 42

28 7

Day

2.9 1.1

3.5

1.2

GMT (EU/mL)

0.6― 23.3

< 0.5― 10.1 all< 0.5

0.8― 8.7

< 0.5― 1.9 all< 0.5

Range

22/22 17/22

0/22 11/11

8/11 0/11

n=> 0._ 5EU/mL

100 77.3

0 100

72.7 0

Seroconversion (%)

Group A wasvaccinated intradermally atone antebrachialsite using 0.1mL ofJapanese rabiesvaccine on days0,7,and 28.Group B wasvaccinated intradermally attwo sitesusing 0.1mL ofvaccine.Blood sam- pleswere taken on days7,28,and 42.GMT:geometricmean titer,range:lowest-highestvalue.

ると考えられた.局所副反応は認められたが,全身症 状は認められず,1 カ所方式の安全性も確認できた.

交通手段の発達により,日本から数時間で狂犬病常 在地に渡航できるため,今後も輸入狂犬病患者が発生 する可能性があり,再び狂犬病ワクチンの供給不足が 発生する可能性がある.今回検討した狂犬病ワクチン 0.1mL を 1 カ所皮内接種する方式は,標準法で必要な ワクチン液の 1!10 でありながらも十分な効果が認め られた.副作用も軽微であるため,ワクチン不足時に はもちろん,平時にも使用できる有効な曝露前免疫法 となる可能性がある.今後は,より多くの被接種者を 対象として,更なる検討を行う価値がある.

脚注:本研究は厚生労働科学新興・再興感染症研究事業 による研究費補助を受けた.

文 献

1)Shiota S, Khawplod P, Ahmed K, Mifune K, Nishizono A:A pilot study on intradermal vac- cination of Japanese rabies vaccine for pre- exposure immunization. Vaccine 2008 25;26

(50):6441―4.

2)Yanagisawa N, Takayama N, Nakayama E, Mannen K, Suganuma A:Pre-exposure immu- nization against rabies using Japanese rabies vaccine following the WHO recommended schedule. J Infect Chemother 2010;16(1):

38―41.

Pre-exposure Intradermal Rabies Vaccination using Japanese Rabies Vaccine following WHO Recommended Schedule

Naoki YANAGISAWA1), Naohide TAKAYAMA2), Eiichi NAKAYAMA2)& Akihiko SUGANUMA1)

1)Department of Infectious Diseases and2)Department of Pediatrics, Tokyo Metropolitan Komagome Hospital

〔J.J.A. Inf. D. 84:313〜314, 2010〕

参照

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