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超伝導体の凝縮エネルギー密度

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(1)

Bi-2223

超伝導体の凝縮エネルギー密度

大隈 亮

2006 2 21

電子情報工学科

(2)

目次

1 序 論 1

1.1 は じ め に : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 1

1.2 凝 縮 エ ネ ル ギー 密 度 : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 2

1.3 要 素 的 ピ ン 力 の 加 算 理 論 : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 3

1.4 磁 束 ク リー プ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 5

1.4.1 磁 束 ク リー プ お よ び フ ロー に よ る 電 界 : : : : : : : : : 7

1.4.2 ピ ン・ ポ テ ン シャ ル・ エ ネ ル ギー : : : : : : : : : : : : 8

1.4.3 不 可 逆 磁 界 : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 11

1.5 超 伝 導 体 の 異 方 性 : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 12

1.6 本 研 究 の 目 的 : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 13

2 実 験 15

2.1 試 料 : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 15

2.1.1 フ ラッ ク ス 法 : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 16

2.1.2 タ ン デ ム 加 速 器 : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 17

2.2 実 験 方 法 : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 18

2.2.1 磁 化 測 定 : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 18

3 実 験 結 果 お よ び 検 討 20

3.1 実 験 結 果 : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 20

3.1.1 臨 界 電 流 密 度 の 磁 界 依 存 性 : : : : : : : : : : : : : : : 20

3.1.2 不 可 逆 磁 界 の 規 格 化 温 度 依 存 性 : : : : : : : : : : : : 24

3.2 解 析 : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 25

3.2.1 磁 束 ク リー プ・ フ ロー モ デ ル に よ る フィッ ティ ン グ : 25

3.2.2 凝 縮 エ ネ ル ギー 密 度 : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 28

3.2.3 熱 学 的 臨 界 磁 界 の 規 格 化 温 度 依 存 性 : : : : : : : : : : 29

(3)

4 結 論 と 今 後 の 課 題 32

4.1 結 論 : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 32

4.2 今 後 の 課 題 : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 33

参 考 文 献 35

(4)

表目次

2.1 試 料 の 諸 元 : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 16

3.1 各 試 料 の フィッ ティ ン グ に 用 い た ピ ン ニ ン グ パ ラ メー ター : 26

(5)

図目次

1.1 常 伝 導 析 出 物 と 磁 束 線 の 常 伝 導 核 の 配 置 : : : : : : : : : : : 2

1.2 磁 束 バ ン ド ル の 中 心 の 位 置 と エ ネ ル ギー の 関 係 : : : : : : : 5

1.3 縦 方 向磁 束 バ ンド ル サ イズLが 超 伝導 体 の 厚 さdよ り 小 さい

場 合(a) と 大 き い 場 合(b)の 磁 束 バ ン ド ル の 模 式 図 : : : : : : 9

1.4 温 度-磁 界 平 面 上 の 相 境 界 Bc2(T)と 不 可 逆 曲 線Bi(T) : : : : 11

1.5 c軸 方 向 に 沿っ た 超 伝 導 オー ダー パ ラ メー ター の 大 き さ の 変 化 12

2.1 (a)単 結 晶 試 料 の 拡 大 写 真 (b)試 料 の 全 体 図 : : : : : : : : : : 15

2.2 フ ラッ ク ス 法 の 原 理 : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 16

2.3 (a)4方向からの磁束線の侵入した場合の電流の流れ方(b)4

向 か ら 磁 束 線 が 侵 入 し た 場 合 の 磁 束 分 布 : : : : : : : : : : : 18

3.1 試 料#1に おけ るAuイ オ ン(a) 照 射前 、(b)照 射 後 の 臨 界電

流 密 度 の 磁 界 依 存 性 : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 21

3.2 試 料#2に おけ るAuイ オ ン(a) 照 射前 、(b)照 射 後 の 臨 界電

流 密 度 の 磁 界 依 存 性 : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 22

3.3 試 料#3に おけ るAuイ オ ン(a) 照 射前 、(b)照 射 後 の 臨 界電

流 密 度 の 磁 界 依 存 性 : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 23

3.4 各 試 料 に お け る 不 可 逆 磁 界 の 規 格 化 温 度 依 存 性 : : : : : : : 24

3.5 試 料#1の 理 論 値 と 実 験 値 の フィッ ティ ン グ : : : : : : : : : 26

3.6 試 料#2の 理 論 値 と 実 験 値 の フィッ ティ ン グ : : : : : : : : : 27

3.7 試 料#3の 理 論 値 と 実 験 値 の フィッ ティ ン グ : : : : : : : : : 27

3.8 試 料#1#2#3の 凝 縮 エ ネ ル ギー 密 度 の 温 度 依 存 性 : : : 28

3.9 熱 力 学 的 臨 界 磁 界Bcの 規 格 化 温 度 依 存 性 : : : : : : : : : : : 29

3.10 熱 力 学 的 臨 界 磁 界Bcの 最 小 二 乗 法 に よ る 直 線 近 似 : : : : : 30

(6)

1

章 序論

1.1 は じ めに

1911年、液 体ヘリ ウムの 製造技 術を 持ってい たオラ ンダの カメリ ン・オ ネ ス(Kamerlingh-Onnes)に よ り、 水 銀 が4 K付 近 の 温 度 で 電 気 抵 抗 が ゼ ロ に な る と い う 超 伝 導 現 象 が 発 見 さ れ て 以 降、 多 く の 科 学 者 に よ り 超 伝 導 に 関 す る 研 究 が さ れ て き た。 そ し て1957年 に は 超 伝 導 発 現 機 構 を 説 明 す る

BCS理 論 が 登 場 し、 そ れ に よ り、 量 子 現 象 の マ ク ロ レ ベ ル で の 出 現 と い う 超伝導の驚くべき本質が見事に説明された。1986年、ベドノルツ(Johannes

G.Bednorz)と ミュ ラー(Karl Alex Muller)に よ り 銅 を 含 む 酸 化 物 が 30 K い う 転 移 温 度 を 示 す と い う 驚 く べ き 報 告 が 発 表 さ れ、 世 界 中 で 一 斉 に 銅 酸 化 物 超 伝 導 体 の 研 究 が 始 まっ た。 そ し て、 酸 化 物 高 温 超 伝 導 体 に お い て、

電気 抵抗 が0と な る温 度、す な わち 臨界 温度Tcが 液体 窒素 温 度(77 K)を 大 き く 越 え た こ と に よ り、 超 伝 導 の 応 用 範 囲 が 広 がっ た。 酸 化 物 高 温 超 伝 導 体 と し て はY系、Bi系、 Tl系、 Hg系 な ど が 知 ら れ て い る。

超 伝 導現 象は 電気 抵 抗ゼ ロ、完 全反 磁 性と いう 特異 な性 質 を持 つた め応 用への 期待 も大 き い。金 属系 超伝 導体 ではMRI-CT用マ グネッ ト、SQUID 等 す で に 実 用 化 さ れ て い る も の も あ る。 し か し、 応 用 の 期 待 が 大 き い 酸 化 物 超 伝 導 体 は、 電 気 抵 抗 ゼ ロ で 流 せ る 電 流 密 度 の 最 大 値 で あ る 臨 界 電 流 密 Jcが 低 い 傾 向 が あ る た め、 実 用 化 に 対 し て 多 く の 問 題 を 抱 え て い る。 こ Jcを 決 定 す る 主 因 は 量 子 化 磁 束 の ピ ン ニ ン グ で あ る。 磁 界 中 に お い て 超 伝導体に電流を流すと、内部の量子化磁束にLorentz力が働き、この力によ り 量 子 化 磁 束 が 動 く と 誘 導 起 電 力 が 生 じ て 電 気 抵 抗 が 発 生 す る た め、 常 伝 導 体 と 同 様 の 性 質 を 示 す。 こ の 量 子 化 磁 束 の 運 動 を 妨 げ る 作 用 を ピ ン ニ ン グ と い う。 こ の ピ ン ニ ン グ に よ る 力(ピ ン 力) を 強 め る こ と に よ り、 よ り 大 き い Jc を 得 る こ と が 可 能 と な る。

(7)

Bi系超伝導体は他の酸化物超伝導体と比べ、二次元的な結晶構造を持つ た め、 熱 処 理 と 延 圧 の 繰 り 返 し と い う 単 純 な 機 械 的 処 理 に よっ て 比 較 的 容 易 に 配 向 さ せ る こ と が 可 能 で あ る。 そ の た め、 結 晶 粒 間 で の 電 流 密 度 の 減 少 が 小 さ く、 こ の 性 質 は 線 材 へ の 応 用 に とっ て 有 利 で あ る。 し か し、 一 方 Bi系超伝導体はピン力が弱いため、高温・高磁界ではJc が著しく低下す る と い う 問 題 が あ り、 そ の た め ピ ン ニ ン グ の 強 化 な ど、 特 性 の 改 善 が 望 ま れ て い る。

1.2 凝 縮 エネ ル ギー 密 度

ピ ン とは ピン 力の 発 生源 を担 い、ピ ン の種 類と して は超 伝 導作 成時 に元 来 含 ま れ る 酸 素 欠 損、 結 晶 界 面 の 他 に 重 イ オ ン 照 射 な ど に よ り 外 部 か ら 導 入 さ れ る 柱 状 欠 陥 な ど が あ る。 こ れ ら の ピ ン の 多 く は 常 伝 導 状 態 で あ り、

1.1 のように中心に半径がコヒーレンス長 程度の常伝導核を持つ磁束線 が こ う し た 欠 陥 と 交 わ る こ と で、 交 わっ た 体 積 分 だ け エ ネ ル ギー 的 に 得 を する。したがってこの状態で電流を流し、磁束線にLorentz力が働いてピン か ら 超 伝 導 部 分 に 移 動 し よ う と し て も 元 へ 戻 る よ う 引 力 的 な 相 互 作 用 が 起 き る。 こ の 力 の 最 大 値 を 要 素 的 ピ ン 力 と 言 う。 こ れ が 常 伝 導 相 互 作 用 に よ る ピ ン 止 め の メ カ ニ ズ ム で あ る。 よっ て ピ ン 力 は 常 伝 導 状 態 と 超 伝 導 状 態 の自由エ ネルギー密 度の差 である 凝縮エネ ルギー密 度B2

c

=2

0 に より決定 さ れ、 凝 縮 エ ネ ル ギー 密 度 が 大 き い ほ ど ピ ン 力 は 大 き く な る。 た だ しBcは熱

e r o c l a m o n

l a m o n a r t i c l e p

( )b ( )a

1.1 常 伝 導 析 出 物 と 磁 束 線 の 常 伝 導 核 の 配 置

(8)

力 学 的 臨 界 磁 界 で あ る。

通 常、 単 位 体 積 中 の ピ ン が 及 ぼ す 力Fp Jcと 外 部 磁 界B の 積 に 等 し い。 そ の た めJc を 大 き く す る た め に は、 ピ ン 力 を 強 く す る か 単 位 体 積 中 の ピ ン の 数 を 多 く す る こ と が 考 え ら れ る。 そ し て、 そ れ ら が ど の 程 度 実 現 で き る の か が 問 題 で あ る。 そ こ で ピ ン の 向 上、 応 用 に 適 し た 超 伝 導 体 か を 見 極 め る た め、 凝 縮 エ ネ ル ギー 密 度 の 評 価 は 重 要 で あ る。

凝 縮 エ ネ ル ギー 密 度 は 超 伝 導 体 の異 方 性 の 影 響 を 強 く 受 け る た め、異 方 性 の 大 き いBi系 超 伝 導 体 の 凝 縮 エ ネ ル ギー 密 度 は 他 の 超 伝 導 体 に 比 べ て か な り 小 さ い も の だ と 予 想 で き る。 し か し、 凝 縮 エ ネ ル ギー 密 度 を 直 接 測 定 す る 適 当 な 方 法 が 無 い こ と か ら、 こ れ ま で 定 量 的 な 評 価 が な さ れ な かっ た。 本 研 究 で は 重 イ オ ン を 照 射 し 人 為 的 に サ イ ズ の わ か る 柱 状 欠 陥 を 導 入 し た。 そ の た め 適 用 可 能 に なっ た 磁 束 ク リー プ 理 論・ 加 算 理 論 を 用 い て 凝 縮 エ ネ ル ギー 密 度 を 定 量 的 に 評 価 し た。 そ し て 求 め た 凝 縮 エ ネ ル ギー 密 度 か ら Bi-2223の ピ ン ニ ン グ 特 性 に つ い て 議 論 す る。

1.3 要 素 的ピ ン 力 の 加算 理 論

超 伝 導 体 のc軸 に 平 行 に、 か つ 超 伝 導 体 を 貫 通 す る よ う に 円 柱 状 欠 陥 を 導 入 し、 磁 界 をc軸 と 平 行 に 加 え た 場 合 を 考 え る。 柱 状 欠 陥 の 要 素 的 ピ ン fp は、 ピ ン の 半 径 をr0c 軸 方 向 の 長 さ をta-b平 面 内 の コ ヒー レ ン ス 長 を ab と し て

f

p '

4

0 B

c 2

ab t ;

ab

<r

0

'

4

0 B

c 2

r

0

t;

ab r

0

(1.1)

と 表 さ れ る。

ま た、 ピ ン の 濃 度Np は 磁 束 格 子 間 と ピ ン の 間 隔 が 等 し く な る マッ チ ン グ 磁 界B と ピ ン と 平 行 な 方 向、 す な わ ちc軸 方 向 の 超 伝 導 体 の 厚 さdを 用 い て Np = B=0d と 表 せ る。 こ こ で、 ピ ン は 超 伝 導 体 を 貫 通 す る よ う に 導 入され てお り、超伝 導体 の厚 さdと 柱状 欠陥のc軸 方向の 長さtは等 しい と 考え て 良 い ので d =tで あ る。 よっ て、Np

=B

=

0

t と 表 す こ とが で き る。

し か し、 ピ ン は ラ ン ダ ム に 分 布 し て お り、 す べ て の 磁 束 線 を ピ ン 止 め し て い る わ け で は な い。 こ こ で ピ ン 濃 度Np と 磁 束 線 が 出 会 う 確 率 の 積 で 与 え ら れ る 有 効 ピ ン 濃 度Np0 を 定 義 す る。 外 部 磁 界B を か け た と き、 単 位 面 積

(9)

当 た り の 磁 束 線 の 本 数 はB=0 と 表 せ る。 ピ ン が 効 き 始 め る の が 磁 束 線 の 常伝 導 核 とピ ン が 接 触し 始 め てか ら と 考 える と、 有 効 なピ ン 半 径はr0

+

ab

と な る か ら、 ピ ン の 面 積 は(r0 +

ab )

2 で あ り、 そ の 磁 束 線 が1個 の ピ ン と 出会 う 確 率 は こ れ ら2つ の 積 で 与 え ら れ、(r0+ab)2B=0 と 評 価 で き る。

よっ て、 有 効 な ピ ン 濃 度N0

p

N 0

p

= (r

0 +

ab )

2

BB

2

0 t

(1.2)

と な る。 こ こ で ク リー プ が な い と き の 仮 想 的 な 巨 視 的 ピ ン 力 密 度 Fp0

F

p0

= J

c0

B = N 0

p f

p

(1.3)

と 表 し、 有 効 ピ ン ニ ン グ 効 率 を 定 義 す る。 こ れ は 統 計 平 均 か ら

=

10

1+

(1.4)

で 与 え ら れ る。 た だ しs = 0=2(r0 +ab)2B と し て

=

0(s+1)+ p

s 2

+6s+1

2s

< 1 (1.5)

で あ る1)。 よっ て(1.3) 式 は

J

c0

=

2

R 3

B

B

c 2

4

0

(1.6)

と な る。 た だ し、R3

R 3

=r

0 (r

0 +)

2

; > r

0

= (r

0 +)

2

; < r

0

(1.7)

で 与 え ら れ る 量 で、 柱 状 欠 陥 の 半 径 に 関 す る パ ラ メー タ で あ る。

こ こで(1.6)式 のJc0 は磁 界に 依存 して いない こと が分 かる。 実際に 後の 実 験 結 果 か ら、 低 磁 界 領 域 に お い て は 臨 界 電 流 密 度 は 磁 界 に 依 存 し て い な い こ と が 示 さ れ る。

(10)

1.4 磁 束 クリー プ

磁 束 線 が ピ ン に 捕 ら わ れ て い る場 合、 ピ ン の あ る 場 所 で は エ ネ ルギー が 低 い 状 態 と なっ て い る。 磁 束 バ ン ド ル と 呼 ば れ る 磁 束 線 の 集 団 が ピ ン ポ テ ン シャ ル の 中 で 熱 運 動 し て お り、 磁 束 ク リー プ と は、 磁 束 バ ン ド ル が そ の 熱 振 動 に よっ て あ る 確 率 で 障 壁 U を 飛 び 越 え て し ま う 現 象 の こ と を い う。

こ の こ と は、 磁 束 線 が ピ ン ニ ン グ・ セ ン ター に 捕 まっ た 状 態 は 一 時 的 な 安 定 状 態 で し か な く、 真 の 平 衡 状 態 で は な い 事 を 示 し て い る。 そ の た め、 真 の 平 衡 状 態 へ の 緩 和、 す な わ ち、 遮 蔽 電 流 の 減 衰 が 起 こ る。 さ ら に ク リー プ が 激 し く な る と、 遮 蔽 電 流 が な く な る、 つ ま り 真 の 平 衡 状 態 へ の 緩 和 ま で こ の 現 象 が 続 く。

超伝導体に電流を流すと磁束バンドルにLorentz力が働くが、この状態で

磁束バンドルを仮想的に変位させていった場合のエネルギー変化を図1.2

示す。点Aは、磁束バンドルがピン止めされている状態であり、エネルギー

が全体的に右下がりになっているのは、Lorentz力による仕事を考慮してい るためである。電流を流さない場合つまりLorentz力が働かない場合、エネ

ルギー図は水平になる。このときの活性化エネルギーU がピン・ポテンシャ

U0 と 等 し い。 磁 束 ク リー プ が 生 じ る と、 磁 束 バ ン ド ル が 捕 まっ て い る 点

Aのピンニング・センターからはずれ点Bの障壁を越え、Lorentz力方向に 動 き 出 し て し ま う。 こ の 障 壁 を 越 え て 動 き 出 し て し ま う 確 率 は Arrhenius

1.2 磁 束 バ ン ド ル の 中 心 の 位 置 と エ ネ ル ギー の 関 係

(11)

の式exp(0U=kBT)で与えられる (kBBoltzmann定数)。また、1度の跳躍 で 移 動 す る 距 離aは 次 に ピ ン 止 め さ れ る 位 置Cま で の 距 離 で あ る が、 バ ン ド ル の エ ネ ル ギー 状 態 は そ の 磁 束 線 格 子 間 隔 磁 束af だ け の 変 位 に 対 し て ほ ぼ 周 期 的 に な る と 考 え ら れ る の で、a af 程 度 と し て も よ い。 磁 束 ク リー プ を 起 こ し て 生 じ る 電 界 の 大 き さ は、 ピ ン・ ポ テ ン シャ ル 内 で の 振 動 周 波 数 を 0 と す る と

E = Ba

f

0

exp

0 U

k

B T

0exp

0 U

0

k

B T

(1.8)

で 表 さ れ る。 た だ しU0 Lorentz力 と 反 対 側 の エ ネ ル ギー・ バ リ ヤー で あ る。

こ こ で、 磁 束 バ ン ド ル の 中 心 位 置 をxと し、 図1.2 の ポ テ ン シャ ル に 以 下 の 正 弦 波 的 な も の を 仮 定 す る。

F(x) = U

0

2

sinkx 0fx (1.9)

こ こ でk = 2=af で あ る。V を 磁 束 バ ン ド ル の 体 積 と す る と、f = JBV 磁 束 バ ン ド ル に 働 くLorentz力 で あ る。 磁 束 バ ン ド ル の 平 衡 位 置 は、(1.9) 式 を xに つ い て 微 分 し て

x = 1

k cos

01

2f

U

0 k

0x

0

(1.10)

が得られる。 また、F(x)x = x0 で極 大となってお り、この関 係から活 性 化 エ ネ ル ギー は U = F(x0

)0F(0x

0

)か ら 求 ま る。 し た がっ て

U

U

0

=

"

10

2f

U

0 k

2

#

1=2

0

2f

U

0 k

cos 01

2f

U

0 k

(1.11)

と な る。 も し 熱 揺 動 が な け れ ば、U = 0と な る 理 想 的 な 臨 界 状 態 が 達 成 さ れる。 こ の場 合 はx0 =0と な るの で、2f=U0k = 1で な けれ ば な らず、 こ の と き の 電 流 密 度J が 磁 束 ク リー プ が な い と し た 場 合 の 仮 想 的 な 臨 界 電 流 密 Jc0と な る。 し た がっ て、

2f

U

0 k

= J

J

c0

j (1.12)

の 関 係 が 得 ら れ る。 よっ て(1.11)式 は

U(j) = U

0

[(10j 2

) 1=2

0jcos 01

j] (1.13)

(12)

と な る。 ま た、

U 0

' U +fa

f

=U +U

0 J

J

c0

(1.14)

の 関 係 が 得 ら れ る。 こ れ よ り(1.8) 式 は

E

cr

= Ba

f

0 exp

0 U(j)

k

B T

10exp

0 U

0 j

k

B T

(1.15)

と 表 す こ と が で き る。

1.4.1 磁 束 クリー プ お よ びフ ロー に よ る電 界

磁 束 ク リー プ に よ り 生 じ る 電 界 成 分 はj >1の 磁 束 フ ロー 状 態 を 含 め て

E

cr

= Ba

f

0 exp

0 U(j)

k

B T

10exp

0 U

0 j

k

B T

; j < 1

= Ba

f

0

10exp

0 U

0

k

B T

; j 1

(1.16)

で 与 え ら れ る と 仮 定 す る。 一 方、 磁 束 フ ロー に よ る 電 界 成 分 は

E

= 0; j < 1

=

f

(J 0J

c0

); j 1

(1.17)

で 与 え ら れ る。 こ こ でf は フ ロー 比 抵 抗 で あ る。 そ し て、 全 体 の 電 界 は

E = (E 2

cr +E

2

)

1=2

(1.18)

の よ う に 近 似 し て 与 え ら れ る と す る。 こ れ はj < 1の と き に は 全 体 の 電 界 は 磁 束 ク リー プ の み の 電 界 と な り、j 1の と き に は 磁 束 フ ロー に よ る 電 界 が 支 配 的 に な る こ と を 示 し て い る。

ま た、 磁 束 ク リー プ が な い と し た と き の 仮 想 的 な 臨 界 電 流 密 度Jc0 の 温 度 及 び 磁 界 依 存 性 は

J

c0

= A

"

10

T

T

c

2

#

m

(B +B

0 )

01

10 B

B

c2

2

(1.19)

の よ う な 形 の ス ケー ル 則 で 与 え ら れ る こ と が 知 ら れ て い る。 こ こ で、 A

m は ピ ン ニ ン グ パ ラ メー タ で あ り、B0 Jc0 B ! 0で 発 散 し な い よ う に 仮 定 し た 定 数 で あ る。(1.19) 式 は 経 験 的 に こ の 形 に 整 理 で き る こ と が 知 ら れ て い る 式 で あ り、 理 論 的 に 求 め た(1.6) 式 の 仮 想 的 な 臨 界 電 流 密 度

(13)

J

c0 (1.19) 式 のB B0 よ り 十 分 小 さ い 場 合 に 当 て は ま る。 一 般 に 酸 化 物 超 伝 導 体 で は 遷 移 幅 が 広 い こ と か ら 内 部 が 不 均 一 で あ り、 ま た 弱 結 合 な ど も あっ て 実 質 的 な ピ ン 力 の 大 き さ も 広 く 分 布 し て い る と 思 わ れ る。 簡 単 に

(1.19) 式 中 で 磁 束 ピ ン ニ ン グ の 強 さ を 表 すA の み が 以 下 の よ う な 分 布 を 持 つ と 仮 定 す る。

f(A) = Kexp

0

(logA0logA

m )

2

2 2

(1.20)

ここ でK は 規格 化定 数 であ り、2 は 分布 を表 す パラ メーター で ある。 ま た

A

m Aの 最 頻 値 で あ る。 こ の よ う なAの 分 布 を 考 慮 に い れ る と 全 体 の 電 界 は

E(J) = Z

1

0

Ef(A)dA (1.21)

で 与 え ら れ る。

1.4.2 ピ ン・ ポテ ン シャ ル・ エネ ル ギー

磁 束 ク リー プ 現 象 に 於 い て 最 も 重 要 な パ ラ メー ター で あ る ピ ン・ ポ テ ン シャ ルU0 を 理 論 的 に 見 積 も る。 磁 束 ク リー プ 特 性 を 決 定 す る パ ラ メー タ と して 知 られ て い るピ ン・ ポ テン シャ ルU0 は 磁 束 線の 単 位 体積 当 り に平 均 化 し た ピ ン・ ポ テ ン シャ ルU^0 と 磁 束 バ ン ド ル の 体 積V を 用 い て

U

0

=

^

U

0

V (1.22)

と表すことができる。ここでU^0 は、 LabuschパラメータL と相互作用距離

d

i を 用 い て

^

U

0

=

L d

2

i

2

(1.23)

と 表 す こ と が で き る。 ま た、 相 互 作 用 距 離 diは 磁 束 線 格 子 間 距 離 af

d

i

= a

f

(1.24)

の 関 係 が あ る こ と が 経 験 的 に 知 ら れ て い る。 こ こ で は は ピ ン の 種 類 に 依 存 す る 定 数 で あ る。 こ こ で は 点 状 ピ ン を 仮 定 す る た め =2 を 用 い る。 ま た、Jc0 Ldi の 間 に は、

J

c0

B =

L d

i

(1.25)

(14)

の 関 係 が あ り、 こ れ ら の 式 よ り、

U

0

= 1

2 J

c0 Ba

f

V (1.26)

を得 る。(1.26)式 から 磁 束 バ ン ドル の 体 積V が ピ ン・ ポ テン シャ ルU0 を 決 定 す る 上 で 非 常 に 重 要 と な る こ と が わ か る。

こ こ で磁 束バ ン ドル を図1.3(a) のよ う なバ ルク な 場合 で考 えて み ると、

そ の サ イ ズ は 縦 方 向 と 横 方 向 で 異 な り、 そ れ ぞ れ 縦 方 向 及 び 横 方 向 の 磁 束 バ ン ド ル サ イ ズ が LRで あ る と す れ ば、 磁 束 バ ン ド ル の 体 積 は、

V = LR 2

(1.27)

で 表 さ れ る。 ま た、 縦 方 向 磁 束 バ ン ド ル サ イ ズL

L =

C

44

L

1=2

=

Ba

f

0 J

c0

1=2

(1.28)

で 与 え ら れ る。 こ こ でC44 は 曲 げ に 対 す る 磁 束 線 の 弾 性 定 数 で

C

44

= B

2

0

(1.29)

で あ る。 一 方、 横 方 向 磁 束 バ ン ド ル サ イ ズR

d

L d <

( ) b L

d >

( ) a

L

R R

L

1.3 縦 方 向 磁 束 バ ン ド ル サ イ ズLが 超 伝 導 体 の 厚 さdよ り 小 さ い 場 合(a)と 大 き い 場 合(b)の 磁 束 バ ン ド ル の 模 式 図

(15)

R = C

66

L 1=2

(1.30)

で 与 え ら れ る。C66 は 磁 束 線 格 子 の 剪 断 定 数 で あ り、 磁 束 線 格 子 の 状 態 に 大 き く 依 存 す る。 完 全 な3次 元 的 な 三 角 格 子 の 場 合 は

C

66

= B

2

c B

4

0 B

c2

10 B

B

c2

2

C 0

66

(1.31)

で 与 え ら れ、 格 子 が 乱 れ る に つ れ て 小 さ な 値 と な り、 融 解 し た 状 態 で は ゼ ロ と な る。 ま た、 超 伝 導 体 の ピ ン が 極 端 に 弱 い 場 合 を 除 い てRは、 磁 束 線 格 子 間 隔af 程 度 か そ の 数 倍 と 予 想 さ れ て お り、

R =ga

f

(1.32)

の よ う に 表 す。 こ こ で、g2 は 磁 束 バ ン ド ル 中 の 磁 束 線 の 数 で あ り、 こ の 値 は 磁 束 ク リー プ 下 で の 臨 界 電 流 密 度 が 最 大 と な る よ う に 決 定 さ れ る1)g2 (1.30)式 と(1.32)式 か ら

g 2

= C

66

J

c0 Ba

f

(1.33)

で 与 え ら れ る。 し た がっ て、 磁 束 バ ン ド ル の 体 積V (1.27)式 よ り、

V = a

f 2

g 2

L (1.34)

と な る。

し た がっ て(1.26)式、(1.34)式 よ りg2 が 大 き く な る と ピ ン・ ポ テ ン シャ U0 が 大 き く な る こ と が 分 か り、 ピ ン・ ポ テ ン シャ ル は(1.26)式、(1.27) 式 よ り

U

0

= 1

2 J

c0 Ba

f LR

2

(1.35)

と な る。 こ こ で (1.28)式、 (1.32)式 よ り

U

0

= J

1=2

c0 B

3=2

a 7=2

f g

2

2 3=2

1=2

0

(1.36)

と な る が、 こ こ で、0 を 磁 束 量 子 と す る とaf =

2

0

p

3B

1=2

で あ り、

U

0

=

0:835g 2

k

B J

1=2

c0

3=2

B 1=4

(1.37)

図 2.1 (a) 単 結 晶 試 料 の 拡 大 写 真 (b) 試 料 の 全 体 図
表 2.1 試 料 の 諸 元 試 料 ア ニー ル 照 射 前 T c (K) 照 射 後 T c (K) #1 As-grown 107.6 104.2 #2 350  C 2 24 時 間 (1 気 圧 O 2 ) 106.8 103.3 #3 450  C 2 48 時 間 (500 気 圧 O 2 ) 106.0 101.8 で 照 射 し、 こ の 時 の イ オ ン 透 過 距 離 は 20 m 程 度 で あ る。 単 結 晶 の 厚 さ は 1 m であ るからイ オンは全 ての試料 で貫
表 3.1 各 試 料 の フィッ ティ ン グ に 用 い た ピ ン ニ ン グ パ ラ メー ター 試 料 A m m   2 g 2 B 0 5 K  20 K/30 K  70 K #1 1:6 2 10 11 /1:2 2 10 11 3.4/4.6 0 0.01 1 1/0.4 #2 4:9 2 10 11 /4:5 2 10 11 1.8/4.1 0 0.01 1 1/0.4 #3 1:2 2 10 11 /8:5 2 10 10 1.5/3.5 0 0.01 1 1/0.4 10 −2 1
図 3.8 に試料 #1 、 #2 、 #3 の凝縮エネルギー密度の温度依存性を示す。

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出典:総合エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会/電力・ガス事業分科会

(F)ハロゲン化誘導体、スルホン化誘導体、ニトロ化誘導体、ニトロソ化誘導体 及びこれらの複合誘導体並びに 29.11 項、29.12 項、29.14 項、

採取量 一日の揚湯量( m 3 / 日)、ゆう出量( L/min ) 温度 温泉の温度.

*一般社団法人新エネルギー導入促進協議会が公募した 2014 年度次世代エネルギー技術実証事