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国有企業 の労働制度改革 雇用制度改革を中心に

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国有企業 の労働制度改革

雇用制度改革を中心に

川 井 伸 一

1労 働制度改革の由来 と展開過程

1)旧 来 の 労働 管理 制 度

1970年 代 ま で の 旧来 の 中 国 労 働 管 理 制 度 は社 会 主 義 的 計 画 経 済 へ 移 行 した1950年 代 中 期 に そ の起 源 を もち,国 家 の集 権 的 計 画 管 理 制 度 の一 環 と して形 成 され た。 そ の労 働 管 理 制 度 の基 本 的性 格 は国 家 計 画 に よ る 「 一請 負 い,統 一 配 分 」(「統 包 統 配 」)で あ った と され る。 この 「統 一 請 負 い, 統 一 配 分 」 制 度 の特 徴 に つ い て,現 在,労 働 部 当局 者 は以 下 の五 っ の点 を 指 摘 して い る(「 四 鉄 一 大 」)(D。す なわ ち,第 一 に労 働 者 職 員 の就 業 は国 家 が請 負 う こ と(「 統 包 」)で,都 市住 民(農 民 は対 象 外)の 都 市 部 企 業 へ の 就 業 は す べ て政 府 労 働 人 事 当局 が直 接 管 理 して お り,企 業 ・事 業 単 位 が 就 業 を紹 介 斡 旋 した り,ま た は 自分 自身 で 職 を探 した りす る道 は閉 ざ さ れ て

い た。

第 二 に,労 働 者 職 員 の企 業 ・機 関 単 位 へ の配 置 は行 政 当局 が 調 整 配 分 す る こ と(「統 配 」)。行 政 的配 分 の た め に,労 働 力 の需 給 が 正 し く弾 力 的 に把 握 され ず,価 値 法 則 が 作 用 す る余 地 は なか っ た。 ま た労 働 者 職 員 本 人 の職 業 選 択 も不 可 能 で あ っ た。

従 って 第 三 に,企 業 は雇 用 自主 権 を も たず,国 家 の労 働 者 職 員 採 用 計 画 を執 行 す るだ けの存 在 で あ った。 企 業 側 は従 業 員職 員 の 選 択 権 を もた ず,

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国 家 か ら割 当 て 配 分 され た 人 員 を 受 け入 れ る ほか なか っ た。 以 上 の 結 果 と して,労 働 者 職 員 は国 家 に雇 わ れ た国 家 従 業 員 で あ って,企 業 に雇 わ れ た 企 業 従 業 員 で はな か った。

第 四 に,従 業 員 の賃 金 ・福 利 厚 生 ・保 険 はす べ て 国 家 が 負 担 し,企 業 単 位 ご とに 実 施 す る形 が と られ た。 福 利 厚 生 ・保 険 の 費 用 は形 式 的 に は企 業 単 位 別 に 留 保 され るが,赤 字 企 業 は国 家 財 政 か らの 補 助 を 受 け られ るの で 最 終 的 に は国 家 の 負 担 で あ った 。 こ こで は従 業 員 各 人 が 福 利 厚 生 ・保 険 の 費 用 を 負 担 す る こ と もな く,退 職 以 後 も生 涯 にわ た って 福 利 厚 生 ・保 険 の 利 益 を 享 受 で き た。

第 五 に,企 業 ・機 関 単 位 間 の 労 働 力 移 動 は ほ ぼ不 可 能 で あ り,企 業 は従 業 員 を解 雇 す る権 限 もなか った。 従 って,従 業 員 は一 度 企 業 に配 分 され た な ら,原 則 と して 一 生 涯 そ の単 位 に所 属 す る固 定 制 従 業 員 で あ り,し か も 前 述 の よ うに,一 生 涯 国 家 の保 護 を受 け る こ とが で きた。 この よ うに,就 業 時 点 か ら死 亡 す る まで 国 家 に よ る文 字 ど お りの 終 身 雇 用 制(「 終 身 請 負

い制 」 「鉄 飯 碗 」)が 実 施 さ れ た。 しか も,退 職 した固 定 制 従 業 員 の子 弟 は 当該 企 業 へ の就 職 に優 先 権 を与 え られ た(「 子 女 頂 替 」)。

こ う した特 徴 を もっ 旧来 の労 働 管 理 制 度 は,労 働 力過 剰 の社 会 に お い て す べ て の就 業 可 能 な都 市 民 に職 を与 え る こ とで社 会 の安 定 を はか り,事 実 上 の終 身 雇 用 の請 負 に よ り従 業 員 の生 活 安 定 を長 期 的 に保 証 す る とい う点

で大 きな メ リッ トが あ った。

しか し,他 方 で この労 働 管 理 制 度 は い ろ い ろ な欠 点 を 内包 して い た。 す な わ ち,労 働 力 の社 会 的 流 動 を 阻害 し,従 業 員 の職 業選 択,転 職 希 望 を抑 圧 す る こ と,行 政 的分 配 の た め に労 働 力 の 合理 的配 置 が困 難 な こ と,従 業 員 を過 剰 に企 業 に抱 え込 む こ と,従 業 員 の 国家 へ の依 頼 心 を助 長 し労 働 積 極性 の 発揮 に 不 利 な こ と,企 業 に労 働 雇 用 ・解 雇 の 権 限 が な い こ とな どで あ り,そ れ ら は総 じて労 働 力 の 効 率 的 合 理 的編 成 に マ イナ スで あ った。 し か も,こ の労 働 管 理 制 度 は都 市部 戸 籍 の 住 民 に た い して の み 適 用 され,農

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国有企業の労 働制度 改革

村 戸 籍 の住 民 を除 外 して い た こ と,都 市 部 の国 営 企 業 の 固 定 制 従 業 員 を最 も優 遇 して い た こ と,固 定 制 従 業 員 の なか で も労 働 者(工 人)と 管 理 職(幹 部)に 対 す る管 理 が完 全 に峻 別 され,管 理 職 が 労 働 者 よ り優 遇 され て い た

こ とな ど に お い て,社 会 階 層 に対 す る二 重 三 重 の政 策 的 差 別 を前 提 と して い た こ とに留 意 しな け れ ば な らな い。

2)労 働 制 度 改 革 の展 開

1980年 代 以 降 の 国 有 企 業 の 労 働 制 度 改 革 の展 開 は政 策 的 に は二 っ の 段 階 に分 け られ る(2)。第 一 の段 階 は労 働 契 約 制 度 を実 施 しは じめ た こ とを 内 容 とす る。 旧来,国 有 企 業 の常 用 性 職 務 に お け る労 働 者 は終 身 雇 用 が 保 証 さ れ る固 定 制 労 働 者 と して の み採 用 さ れ た が,そ れ に加 え雇 用 期 間 が 限 定 付 きの契 約 制 労 働 者 を新 た に採 用 す る こ とに な った。 この労 働 契 約 制 の採 用 は国 家 の労 働 賃 金 計 画 の枠 内 で新 規 採 用 され る常 勤 労 働 者 に限 定 され, す で に在 職 して い る固 定 制 労 働 者 は対 象 外 と され た。

1980年8月,中 共 中央 は全 国 労 働 就 業 工 作 会 議 を開 催 し,国 有 企 業 単 位 の 旧来 の労 働 者 終 身 雇 用 制(「 鉄 飯 碗 」)を 転 換 し,労 働 雇 用 制 度 を全 面 的 に改 革 す る こ と を決 議 した。 この改 革 方 針 の なか に労 働 契 約 制 へ の移 行 が す で に提 起 され て い た。 この 決 定 に基 づ き,1980年 に ご く一 部 の企 業 で 労 働 契 約 制 の テ ス ト試 行 が 開 始 され た。1982年8月 に国 務 院 労 働 人 事 部 は ま ず 国 営 建 築 企 業 で労 働 契 約 制 を試 行 す る こ と を 具 体 的 に指 示 し,翌83年

1月,労 働 契 約 制 の 試 行 を 積 極 的 に進 め る通 知 を 出 して い る。 こ う して83 年 末 ま で に 労 働 契 約 制 は全 国 の29‑一 級 行 政 区 に お け る テ ス ト企 業 で 試 行 され た。 この試 行 経 験 を踏 まえ て,国 務 院 は1986年7月,労 働 契 約 制 をす べ て の国 有 企 業 で 実 施 す る こ と の暫 定 規 定 お よ び関 連 す る三 っ の 暫 定 規 定 (「国 営 企 業 労 働 者 採 用 暫 定 規 定 」,「国 営 企 業 規 律 違 反 従 業 員 解 雇 暫 定 規 定 」,「国 営 企 業 従 業 員 失 業 保 険 暫 定 規 定 」)を 公 布 し,こ う して 労 働 契 約 制 は全 国 国 有 企 業 の 新 規 採 用 の労 働 者 に 対 して 普 遍 的 に 実 施 され る に 至 っ

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た。 しか し,労 働 者 の圧 倒 的大 多数 を 占 め る固 定 制 労 働 者 は 旧来 の労 働 管 理 制 度 の も とに 置 か れ て い た。

第 二 の段 階 は,新 規 労 働 者 に対 す る労 働 契 約 制 を ひ きっづ き推 進 整 備 す る と と もに,従 来 手 っ か ず で あ った固 定 制 労 働 者 の労 働 制 度 を改 革 し,そ れ を活 性 化,合 理 化 して,契 約 制 労 働 者 へ の転 化 を図 る こ とを主 な内 容 と す る。 固 定 制 労 働 者 の 活 性 化 の 問題 はす で に1982年 か ら検 討 され て い た が,1984年11月 の労 働 人 事 部 の全 国 労 働 契 約 制 試 行 経 験 交 流 会 議 で固 定 制 労 働 者 の活 性 化 が政 策 課 題 と して 明確 に提 起 され た とい わ れ る。 この会 議 の後,一 部 の企 業 で は 末端 の班 ・グル ー プ単 位 ご とに労 働 者 に対 す る考 査 ・再配 置 や集 団請 負 の 方 法 を通 して 固定 制 労 働 者 の活 性 化 の試 み が行 わ れ た。1987年9月,青 島 で 開 催 され た 固定 制 労 働 者 活性 化 テ ス トに 関 す る 全 国 工 作 会 議 は,従 来 の 試 行経 験 を総 括 検討 した うえ で,固 定 制 労 働 者 の 活 性 化 の 改 革 を 全 国 範 囲 の テ ス ト企 業 で 全 面 的 に試 行 す る こ とを 採 択 し た。 この 会 議 以 後,固 定 制労 働 者 の 改 革 が ひ ろ く実 施 され るに 至 った。

固 定 制 労 働 者 の 活 性 化 の 改 革 に は三 つ の 方 式 が 採 用 され た(3)。す な わ ち, (1)労 働 力 配 置 の合 理 化(「 優 化 労 働 組 合 」),(2)総 合 セ ッ ト改 革,(3) 労 働 力 配 置 合 理 化 を 前 提 と した全 員 労 働 契 約 制 で あ る。(1)の 方式 は後 に 詳 し く検 討 す る。(2)の 方 式 は労 働 者 の雇 用 制 度 改革 だ け で な く,人 事 (職員 幹 部),賃 金 制 度,保 険 制 度 な ど の関 連 した改 革 を ま とめ て 同 時 に実 施 す る方 式 で あ る。(3)の 全 員 労 働 契 約 制 と は単 に労 働 者 だ けで な く職 員 ・幹 部 も含 めて 企 業 従 業 員 全 体 が 労 働 契 約 制 を 実 施 し,固 定 制労 働 者 の 制 度 を廃 止す る も ので,国 有 企 業 の労 働 雇 用 制 度 改 革 の到 達 目標 と して 位 置 づ け られ て い る。

1990年,労 働 部 雇 用 制 度 改革 小 組 は,「 国 家 の マ ク ロ調 節 ・企 業 の 雇 用 自主 権 ・多種 の雇 用 形 式 の並 存 ・全 員 労 働 契 約 制 」 の確 立 を企 業 労 働 制 度 改革 の 目標 と して 規 定 し,こ の 方 針 は1991年3月 の 第7期 全 国 人 民 代 表 大 会 第4回 会 議 で 「国 民 経 済 社 会 発 展10年 計 画 お よ び第8次5力 年 計 画

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国有企業の労働制度改革

要 綱 」 に組 み込 まれ,国 家 の 公式 の 中長 期 的 方 針 と され た 。

以 上,1980年 以 降 の企 業 労 働 制 度 改革 の沿 革 を 整 理 した。 本 稿 は上 述 の 労 働 制 度 改革 の な か で第 一 段 階 か ら実 施 さ れ た労 働 契約 制,第 二 段 階 か ら 実 施 され た労 働 力配 置合 理 化(「 優 化 労 働 組 合 」)お よ び全 員労 働 契約 制 の

そ れ ぞ れ の実 施 状 況 と問 題 状 況 を検 討 す る こ とを課 題 と した い 。

2労 働 契 約 制 と 「双 軌 制 」 問 題

1)労 働 契 約 制 の 内容 規 定

1986年7月 に国 務 院 が 公 布 した 「国 営 企 業 契 約 労 働 制 実 施 に関 す る暫 定 規 定 」 の主 な内 容 は次 の 通 りで あ る(4)。

目的:国 営 企 業 の 労 働 制 度 を 改 革 し企 業 の 活 力 を高 め,労 働 者 の意 欲 と創 意 性 を 発 揮 させ,労 働 者 の 合 法 的 な 権益 を 保 護 し,社 会 主 義 現 代 化 を 促 進 す る。

募 集採 用:国 家 の労 働 賃 金 計 画 の枠 内 で企 業 が常 勤 労 働 者 を 新 た に採 用 す る場 合,公 開募 集 ・自由応 募 ・試 験 考 査 ・選 抜 採 用 の 原 則 で 実 施 す る。 採 用 され た契 約 労 働 者 の試 用 期 間 は3‑6カ 月 とす る。

契 約 の締 結 と内容:企 業 と採 用 労 働 者 は対 等 ・自由意 志 ・協 議 一 致 の 原 則 に基 づ き,双 方 の 責 任,権 利,義 務 を 明 記 した 労 働 契 約 を締 結 す る。

契 約 内容 は,生 産 ノル マ 指標,試 用 期 間 及 び契 約 期 間,生 産 ・職 務 条 件, 賃 金 ・保 険 福 利 待 遇,労 働 規 律,契 約 違 反 責 任 な ど が含 ま れ る。 契 約 期 間 は双 方 協 議 で 決 め る。た だ し,1‑5年 の短 期 契 約,5年 を越 え る長 期 契 約 の区 別 が あ る。

契 約 の変 更 ・解 除:双 方 はそ れ ぞ れ 一 定 の事 由 に よ り,契 約 を変 更 お よ び解 除 す る こ とが で き る。

在 職 時 の 待 遇:契 約 労 働 者 の 賃 金(奨 励 金 ・手 当 ・食 糧 補 助 ・物 価 手 当 を 含 む)・ 保 険福 利 待 遇 は 当該 企 業 の 同一 職 種,同 一 部 署 の 固 定 制 労

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働 者 と同水 準 と し,保 険 福 利待 遇 が固 定 制 労 働 者 よ り少 な い場 合,本 人 の基 準 賃 金 の15%前 後 の賃 金 性 手 当 を 支 給 す る。

失 業 お よ び退 職 後 の 待遇:契 約 が解 除 され 失 業 した場 合,そ の期 間 中 規 定 に よ り失 業 救 済金 と医療 補 助 金 を支 給 す る。 退 職 養 老 待 遇 と して は 退 職 金 ・医 療 費 ・葬 祭補 助 金 ・親 族 へ の弔 慰 金 ・救 済 金 が支 給 され,企 業(契 約 労 働 者 賃 金総 額 の15%)お よ び契 約 労 働 者(本 人 基 準 賃 金 の3%

以 内)は 毎 月 退 職 養 老 基 金 を納 付 しな け れ ば な らな い。

契約 制 労 働 者 の募 集 採 用,規 律違 反労 働 者 の解 雇,失 業保 険 制 度 に関 す る具体 的取 り扱 い は,同 時 に 公 布 され た三 っ の 「暫 定 規 定 」(前 述)よ りそ れ ぞ れ 規定 され た。

さて,契 約 制 労 働 者 の待 遇 は旧 来 の 固 定 制労 働 者 の待 遇 と原 則 的 に 同等 と され っ っ も,規 定 上 い くっ か の点 で 異 な って い る。 第 一 に,そ れ ぞ れ 準 拠 す る法 規 が異 な る。契 約 制労 働 者 は前 述 の1986年 の 「暫 定 規 定 」が 適 用 され るの に 対 して,固 定 制労 働 者 は1951年2月 公 布 の 「労 働 保 険 条 例 」が 適 用 され る(5)。第 二 に,養 老 保 険 金 にっ い て固 定 制 労 働 者 は全 額 企 業 が 負 担 す る(賃 金 総 額 の3%相 当 を留 保)に 対 して,契 約 制 労 働 者 は企 業 と労 働 者 本 人 の 共 同 負担 で あ る。 ま た養 老 保 険(退 職 金)の 支 給 につ いて 固 定 制 労 働 者 の 場 合 は勤 続 年 数 と本 人 の賃 金 水 準 を基 準 と して そ れ ぞれ の企 業 が 実 施 す るの に対 して,契 約 制 労 働 者 の場 合 保 険 金 の納 付 期 間 ・納 付 額 お よ び本 人 の 賃 金 水 準 を基 準 と して労 働 部 門 所 轄 の社 会 保 険 専 門 機 関 が 統 一 的 に実 施 す るか た ち で あ る。 第 三 に,医 療 費 は固 定 制 労 働 者 の場 合 企 業 の全 額 負 担 で あ り,治 療 期 間 も限定 さ れ て い な い の に対 して,契 約 制 労 働 者 で は企 業 の負 担 で あ るが,勤 続 年 数 に応 じて 治 療 期 間(3‑6カ 月)が 定 め ら れ て い る。 しか も,家 族(直 系親 族)に 対 す る医 療 手 当 は固 定労 働 者 の家 族 の場 合 半 額 補 助 が あ るの に対 して,契 約 制 労 働 者 の 家 族 に は全 く支給 さ

れ な い。 第 四 に,規 定 で は触 れ て いな い が,住 宅 配 分 に も格 差 が あ り,事

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国有企業の労働制度改革

実 上 固定 制 労 働 者 が契 約 制 労 働 者 よ り優 遇 され て い る。 第 五 に,契 約 制 労 働 者 は上記 の よ うな福 利 厚 生 面 の待 遇 の不 利 を補 な う もの と して本 人 の基 準 賃 金 の15%前 後 の 手 当 を 加 給 され る。これ に よ り,全 体 と して賃 金 待 遇 上 の バ ラ ン スを 図 ろ う と して い る。 そ して最 後 に,何 よ り も基 本 的 な相 違 は固 定 制労 働 者 に は終 身 雇 用 の保 証 が あ るの に対 して,契 約 制労 働 者 は雇 用 の 契 約 期 限 が つ いて い る こ とで あ る。 こ う した二 種類 の労 働 制 度 の並 存 と両 者 の あ いだ の待 遇 条 件 の相 違 は後 述 の よ うに大 きな 問題 を抱 え る こ と にな る。

2)労 働 契 約 制 の実 施 ・問 題 状 況

さて,契 約 制 労 働 者 の採 用 数 は表1に み るよ うに増 加 し,従 業 員 総 数 に 占 め る比 重 も次 第 に増 大 して い る。

表1.契 約 制労 働 者 の数 (単 位:万 人)

総数 国有単位 都市集 団所 有制

そ の 他

% % %

1983 65 570.6 80.3

n.a.

1984 209 1742.0 321.0

38.1

1985 409 3323.7 722.2 511.4

1986 624 5245.6 922.7 814.5

1987 873 7357.6 1253.6 1318.1

1988 1234 loosio.i 2065.8 2020.7 1989 1468 119011.8 2457.0 3325.1 1990 1702 137213.3 2878.1 4326.3 1991 1972 158914.9 3238.9 6028.0 1992 2541 205818.9 39911.0 8429.8

1993 233021

(『 中 国 統 計 年 鑑1993』117頁 。1993年 は 『中 国 通 信 』1994年3月8日, 11頁)

備 考:そ の 他 所 有 制 企 業 にお いて 契 約 制 労 働 者 の比 率 が 相 対 的 に高 い

の は,そ の 中 に外 資 系 企 業 が 含 まれ て い る ため で あ る。

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確 か に契 約 労 働 制 は数 量 の うえ で は拡 大 して お り,ま た 一 部 の 企 業 で は 積 極 的 な成 果 を示 した ことが 報 告 され て い る。 しか しな が ら,そ の 実行 過 程 で さま ざ ま な問 題 を抱 え て い る こ とを示 す報 告 が圧 倒 的 に 多 い。 こ こで は以 下,労 働 契 約 制 の 運 用 問 題 お よ び労 働 制 度 自体 の 問題 につ い て具 体 的 に み て い こ う。

(1)労 働 契 約 制 の運 用 問 題 。

労 働 契 約 制 の具 体 的 問 題 は まず この契 約 の運 用 レベ ル に集 中 して お り, この面 の問 題 点 は数 多 く報 告 され て い る。 第 一 に,労 働 契 約 が 政策 規 定 に 合致 して い な い事 例 で あ る。 す な わ ち,労 働 契 約 の 規 定 の 条項 が 欠 落 して い る(い わ ゆ る空 白契 約),極 あ て あ い ま い な 内容 に な って い る(例 え ば双 方 の責 任,権 利,義 務 が 不 明 確),規 定 に反 した条 項 が 付 加 され て い る(例 え ば,契 約 期 間 中 は結 婚 で きな い,既 婚 の 者 は出 産 を認 めな いな ど),同 一 企 業 で 契約 内容 が単 一 で全 く同 じで あ る,ま た 契 約 自体 が 本 人 で はな く代 理 署 名 の形 で締 結 され て い る な ど の事 例 が 報 告 され て い る(6)。あ る都 市 の 39の 企 業 の サ ン プル調 査 に よ れ ば,10500名 の 契 約 制 労 働 者 を 調 査 した と こ ろ,そ の90%以 上 が無 契約 か,規 定 の な い契 約,無 効 契 約,違 法 契 約 で あ った とい う(7)。

第 二 に,契 約 規 定 どお りに は実 行 され ず,形 式 に流 れ て い る事 例 。 例 え ば,「双 方 選 択 」 に関連 して,労 働 者 の 自 由意 志,選 択 の 自由 が 制 限 され て い る こ と,「公 開募 集,競 争 選 択 」の原 則 が 徹 底 され ず 内 輪 の 採 用 を 実 施 し て い る こ と(8),ま た一 部 の企 業 は契 約 制 労 働 者 を固 定 制 労 働 者 と して 異 動 した り,契 約 期 間 が満 了 して も契 約 を終 了 せ ず,更 新 も しな い こ と,契 約 労 働 者 に対 して基 準 賃 金 の15%に あ た る手 当 が支 給 され な い こ と(9),など で あ る。 この形 式 化 の問 題 は以 下 の問 題 と も関 連 して い る。

第 三 に,契 約 期 間 の長 期 化 傾 向 お よ び契 約 制 労 働 者 の固 定 労 働 者 化 で あ る。 前 述 の よ うに契 約 期 間 は双 方 が協 議 して 決 め る こ とが で き る ので あ る が,多 くの 労 働者 は強 い生 活 安 定 指 向 を もち,で き るだ け長 期 の労 働 契 約

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国有企業の労働制度改革

を結 ぼ う とす る。 例 え ば,湖 南 省常 徳 市 の 国有 企 業20社 の 調 査 に よれ ば, 従 業 員 数28234人 の う ち契 約 制労 働者 の比 率 は17.6%で,か れ らの うち既 に98.6%が 労 働 契 約 を締 結 したが,契 約 期 間 が30年 以 上 また は終 身 の 者 が1986年 で 契約 総 数 の19.9%を 占め た。 長 期 契 約 の数 は毎 年 増加 し,87 年 に37.6%,88年 に58.6%に の ぼ った と い う(1°)。長 期 契 約 を結 ん だ労 働 者

は 自 ら 「危 機 感 」 を もつ こと は な く,ま た短 期 契 約 の場 合 で も契 約 の更 新 が ほ ぼ確 実 とな って い る。 こ う した長 期 契 約 の指 向 に は 旧来 の固 定 制 労 働 制 度 の影 響 と共 に,実 際 多 数 の 契約 制 労 働 者 が30,40歳 台 で あ り,労 働 契 約 を解 除 さ れ る と再 就 職 が 極 めて 難 しい と い う事 情 もあ る(ID。こ う して雇 用 期 間 にか ん して は固 定 制 労 働 者 と事 実 上 あ ま り変 わ らな くな って い る。

ま た労 働 者 側 の強 い長 期 雇 用 指 向 を踏 まえ た もの で あ ろ うか,一 部 の都 市 (北 京)で は政 策 規 定 の うえ で 退 職 年 齢 まで の長 期 間 契 約 を認 め る と こ ろ も出 て い る㈹ 。

第 四 に,企 業 経 営 者 が労 働 契 約 を解 除 し,労 働 者 を解 雇 す る こ とが 極 め て 困難 な こ とで あ る(13)。個 別 の企 業 ヒア リ ング調 査 で も,企 業 経 営 者 が契 約 制 労 働 者 を解 雇 す る こ と を望 ま な い傾 向 が 強 く,こ の 点 か ら も契 約 制 労 働 者 は事 実 上,固 定 制 労 働 者 と区 別 しが た い状 況 が 生 じて い る㈹ 。 こ う し

て一 部 で は,契 約 制 労 働 者 は 「潜 在 的固 定 工 」,「二 鍋 飯 」(大 鍋 の 飯 に次 ぐ 状 態)と 呼 ばれ て い る と い う(15)。

第 五 に,契 約 制 労 働 者 の採 用 に あ た って,公 開 競 争 選 抜 で は な くて いわ ば幹 部 の近 親 縁 者 を優 先 的 に採 用 して い る事 例 も多 く報 告 され て い る。 例 え ば,広 東 省 の あ る地 区 の14の 国 有 工 業 企 業 で は,1983年 で 従 業 員2154 人 の うち 直系 親 族 と傍 系 親 族 は251人(11.6%)で あ った が,1989年 に は 従 業 員4006人 の う ち1422人(33%)と な った。1422人 の なか で 直 系 親 族 は な ん と92.2%を 占 め た(16)。っ ま りこ の間,採 用 さ れ た労 働 者 は圧 倒 的 大 部 分 が近 親 者 で あ った の で あ る。 ま た湖 南 省 の あ る都 市 の17の 企 業 事 業 単 位 で は,採 用 した契 約 制 労 働 者450名 の う ち近 親 者 に よ る 「形 を 変 え た

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内 部 採 用 」者 が55.6%を 占 め た と い う。 この 場 合 す べ て 公 開 募 集 の 形 を と り,応 募 者 は1324人 で あ っ た。そ の うち,募 集 単 位 に 属 す る従 業 員 子 弟 の 応 募 者 は387人 で,う ち採 用 され た者 が248人(採 用 率64%)で あ った。

他 方,外 部 か ら応 募 した者 の採 用 率 は21%に す ぎな か った(17)。こ う した近 親 縁 者 の 採 用(「 近 親 就 業 」)が 次 第 に 増 加 して い る と され る。

(2)労 働 制 度 の 問 題

労 働 制 度 自体 の問 題 と して は第 一 に,労 働 者 に お け る二 っ の労 働 制 度 の 並 存 が あ る。 す な わ ち新 規 労 働 者 に は労 働 契 約 制 が 適 用 され,在 職 労 働 者 に は固 定 制 労 働 制 度 が 適 用 され,結 果 と して 一 っ の 企 業 や 職 場 に二 っ の 異 な る労 働 制 度 が存 在 す る こ とに な る(い わ ゆ る 「双 軌 制 」)。前 述 の よ うに 契約 制 労 働 者 と固 定 制 労 働 者 とは性 格,待 遇 が 異 な り,契 約 制 労 働 者 は雇 用 期 間 が 限定 され,福 利 厚 生 面 の待 遇 も低 い。 社 会 意 識 にお いて も,契 約 制労 働者 は固定 労 働 者 よ り一 段 格 下 とみ な さ れ る傾 向 が あ る と い う。 従 っ て,同 じ職 場 に二 つ の労 働 制 度 が並 存 す る こ とは契 約 制 労 働 者 に劣 等 感 ・ 被 差 別 感 ・妬 み ・不 満 を生 み,か れ らの労 働 意 欲 を そ ぎ,労 働 者 の一 体 感 形 成 に マ イ ナ ス作 用 を 及 ぼ す だ ろ う(18)。一 部 の 企 業 で は固 定 制労 働 者 が 契 約 制 労 働 者 に きっ い仕 事,き た な い仕 事 を押 しっ け る事 例 が指 摘 され て い る㈹ 。 ま た契 約 制 労 働 者 が 企 業 指 導 部 か ら技 術 学 習,入 党 ・入 団 な どで 制 限,差 別 を う け る事 例 も あ る と い う(2°)。

第 二 に,新 規 採 用 者 を 契 約 制 労 働 者 とす る との政 策 規 定 に も大 きな例 外 が あ り,実 は新 規 採 用 者 に も二 つ の 制 度 が 並存 して い る こ とで あ る。 す な わ ち,幹 部 の転 入,大 学 ・中 等 専 門 学 校 卒 業 生,技 工学 校 卒 業生 お よび復 員 ・転 業 軍 人 は新 規 採 用 で あ って も固 定 制労 働 者職 員 と して待 遇 され,原 則 的 に終 身 雇 用 が保 証 さ れ る。

以 上 の よ うに労 働 者 の新 規 採 用 お よ び在 職 労 働 者 にお いて 二 つ の制 度 が 二 重 に 並 存 して お り,両 者 の あ い だ の摩 擦,衝 突 は避 けが た い(「 双軌 制」

問 題)。

(11)

国有企業 の労働制度改革

3固 定制従業員に対する改革 と問題点

1)労 働 組 織 編 成 の 合 理 化(「 優 化 労 働 組 合 」)

前 述 の よ うに労 働 契 約 制 は在 職 の 固 定 制 労 働 者 に 適 用 され な か った た め に,圧 倒 的 大 多 数 を 占め る固 定 制 労 働 者 の 活 性 化,そ の 労 働 組 織 の 合 理 化 を いか に図 るか が 大 きな 課 題 とな った 。 この 面 で の 最 初 の 改 革 の 試 み が 労 働 組 織 編 成 の 合 理 化(「 優 化 労 働 組 合 」)で あ る(21)。労 働 組 織 の合 理 化 措 置 は,労 働 力 配 置 の 合 理 化 お よび 各職 場 ポ ス トに お け る労 働 力 の レベ ル ア ッ プを はか り,従 業 員 全 体 の 労働 活 性 化 と効 率 化 を はか る こ とを 主 な ね らい と して い る。

労 働 組 織 の 合 理 化 の 手続 きに つ い て は,各 テ ス ト企 業 に よ り少 しず つ異 な って い るが,基 本 的 に は以 下 の方 法 に よ る と され る㈱ 。

(1)各 職 務 ・ポ ス トの 設 定評 価 と定 員 ・作 業 ノル マ の 設定 。 す な わ ち, 各 職 種,職 務 ポ ス トを 生 産需 要,技 術 水 準,労 働 強 度,責 任 の重 さ,労 働 環 境 な どの 条件 に 基 づ い て そ の設 定 ・配 置 の基 準 を っ くる。 そ れ を踏 ま え て,各 職 務 ポ ス トの必 要 とす る作 業 ノ ル マ基 準,定 員,規 律,任 用 基 準 を 設 定 し公 開 す る。 こ う した合 理 的 な定 員 ・ノ ル マ編 成 は 「優 化 労 働 組 合 」

の 前 提 を な す。

(2)職 員労 働 者 の競 争 選 抜 。す なわ ち,在 職 職 員 労 働 者 の な か か ら公 開, 平 等 の 原 則 の も とに そ れ ぞ れ の職 務 ポ ス トに対 す る競 争 選 抜 を行 な い,基

準 に 合格 した者 が職 務 ポ ス トに就 任 し,企 業 と の間 に労 働 契 約 書 を と りか わ す。 この競 争 選 抜 の 方法 は さ ま ざ ま で あ り,主 に以 下 の 四 つ の方 法 が指 摘 され て い る㈱ 。 第 一 に,す べ て の職 員労 働 者 が希 望 す る職 務 ポ ス トに応 募 し,企 業 代 表 か ら組 織 され た選 考 グ ル ー プが 応 募 者 に対 して試 験,考 査 を行 い,各 職 務 ポ ス トの基 準 を 満 た した者 を 選 抜 す る方 法 。 第 二 に,企 業 の各 階 層 ご と に上 か ら下 に招 聰 任 用 す る方 法。 す な わ ち,ま ず 企 業 長 ・工

(12)

場 長 が 職 場 主 任(車 間 主 任)を 招 聰 任 用 し,職 場 主 任 が班 長(班 組 長)を 招 聰 任 用 し,そ して 班 長 が 各 班 の 労 働 者 を選 抜 す る もの。 第 三 に,双 方 選 択,す なわ ち労 働 者 が 班 長 また は職 場 主 任 を選 挙 し,次 に 当選 した職 場 主 任 ま た は班 長 が 労 働 者 を選 考 任 用 す る方 法(「 選 将 点 兵 」)。第 四 に,入 札 選 抜 の方 法,す な わ ち企 業 が経 営請 負 制 を実 施 す る も とで職 場 主 任 に た い し 競 争 入 札 を組 織 し,選 考 グル ー プが 評 定 し落札 した者 を職 場 主 任 に就 任 さ せ る。 そ して 職 場 主 任 が 班 長 と労 働 者 を職 務 ご とに選 考任 用 す る。

以 上 の競 争 選 抜 の 方 法 は公 開 平 等 の 原 則 に よ る と され るが,選 考 選 抜 す る責 任 主 体 は,上 級 の リー ダ ー個 人 の 場 合 と選 考 グル ー プ の場 合 が あ る。

選 考 グル ー プ の構 成 は必 ず し も明 確 で はな い が,企 業管 理 責 任者 お よ び職 員 労 働 者 代 表(従 業 員 代 表 大 会 選 出)か らな って い るよ うで あ る(24)0

(3)職 務 ポ ス トに選 抜 され な っ た職 員 労 働 者 は 「企 業 内待 業 者 」と な り,

表2.「 優 化労 働 組 合 」 の試 行 企業

企 業 数 従業員数(万)

1987 1700余 600

1988 26000 960

1989 43825 1561

1990 35000 1000余

1991 50000 1500余

1992 85442 3376

備 考:1990年 は25省 ・自治 区 ・直轄 市 の み の統 計 。

1992年 は労 働 制 度 改 革 試 行 企 業 数 で あ り,必 ず し も 「優 化 労 働 組 合 」 試 行 企 業 数 を 示 す もの で は な い。

(出典:

1987年,『 中 国 改 革 全 書 ・労 働 工 資体 制 改 革編 』,10頁 1988年,同 上 書,221頁

1989年,夏 積 智,『 什 磨 是 全 員 労 働 合 同 制』,97頁 1990年,『 中 国 企 業 管 理 年 鑑1992』,278頁

1991年,嚢 守 啓,『 中 国 與 外 国 労 働 工 資 社 会 保 険 制 度 比 較』,46頁

1992年,『 経 済 管 理 』1993年10期,28頁)

(13)

国有企業の労 働制度改革

一 定 期 間所 定 の職 務 ポ ス トに就 く こ とが で きな い。 彼 らに対 す る対 処 方 法 に っ い て は後 述 す る。 こ う した労 働 組 織 編 成 の合 理 化 の試 み は一 回 か ぎ り で はな く,一 定 期 間 の後 に繰 り返 され る(「 動 態 組 合 」)。

さて,上 述 の手 続 きか ら も明 らか な とお り,こ の 合理 化 措 置 は固定 制 労 働 者 を 含 む 全 体 の労 働 者 ば か りで な く,企 業 の 管 理職(幹 部)を も対 象 と

して お り,こ う して 旧 来 の 固 定 制 従 業 員 全 体 が 改 革 の 対 象 に され る こ と に な った 。

労 働 組織 の 合 理 化 を 試行 して い る企 業 数 お よ び従 業 員 数 は表2の とお り で あ る。1987‑88年 に 急 速 に 増 加 した が,経 済調 整 政 策 が と られ た1989‑

91年 は試 行 範 囲 は停 滞 し,1992年 か ら再 び増 加 して い る こ とが わ か る。

2)余 剰 人員 と再 配 置 問題

次 に,労 働 組 織 の 合理 化 の過 程 で職 務 ポ ス トに つ けな い余 剰 人 員 の 状 況 とか れ らを どの よ うに再 配 置 す るの か に つ い て み て み た い。

(1)全 般 的状 況

まず 全 国 的 な実 施 状 況 に っ い て は1989年 の事 例 が知 られ る。 す な わ ち, 全 国 の 試行 企 業43825社(従 業 員1560万9123人)の う ち合 理 化 実 施 後 の 余剰 人 員数 は94万8379人 で,従 業 員総 数 の6.1%に あ た る。 余 剰 人 員 の

うち,既 に新 た な職 務 ポ ス トに再 配 置 さ れ た者 は76万1585人(80.3%)で あ り,依 然 再 配 置 され て い な い者 が18万6794人 で あ る。 この 場 合 の 再 配 置 と は原則 と して企 業 内 に お け る再 配 置 で あ る。 前 者(再 配 置 済 み)の 場 合 の主 な対 処 方 法 と して は,① 企 業 の生 産 多 角経 営 に よ る職 場 ポ ス トの 設 置拡 大 に よ る もの,33万4526人,② 配 置 人 員 の過 不 足 の調 整 に よ る もの, 16万900人 で あ った 。他 方,後 者(未 配 置)の 主 な対 処 方 法 は企 業 内 待 業

9万6967人,研 修 訓 練2万5928人 で あ った(25)。

次 に,1992年 度 の試 行 実 施 企 業 数 は15521社(従 業 員数591万5193人) で,合 理 化 実 施 後 の 余 剰 人 員 は 計38万597人,従 業 員 数 の6.4%に あ た

(14)

表3.

(単 位:人,%)

試行企業数 余剰人員 再配置人員

1工 業 17117

6603945.8 54083081.9

2建 築業

837

824058.1

4792458.2

3交 通 運 輸,郵 電 通 信 業 1600 392716.7 3245082.6

4商 業,飲 食業物 資販売業等

21567 1341676.1 11541886.0

5そ の他 2644 321427.1 2496377.7

(出典:『1990中 国 労 働 工 資 統 計 年 鑑 』,354頁)

る。 余剰 人 員 の うち,当 年 度 で 職 務 ポ ス トに再 配 され た 者 は27万7041人 (72.8%),未 配 置 の 者 は10万3556人 で あ った。前 者 の うち,生 産 の 多 角経 営発 展 に よ る職 場 ポ ス トの設 置 に よ る ものが13万2888人,配 置 人 員 の 過 不 足 の 調 整 に よ る もの が5万5263人 で あ った。 ま た 未 配 置 人 員 の な か で 研 修 を 実施 した もの は1万6763人 で あ った(26)。

全 国 試 行 国 有 企 業43825社 の産 業 別 の実 施 状 況(1989年 まで)は 表3の とお りで あ る。 これ に よ れ ば,労 働 組 織 合 理 化 の試 行 企 業 数 は商 業 サ ー ビ ス業 が 最 も多 く(全 体 の49%),つ いで 工 業 が 多 い(同39%)。 そ の他 の業 種 は極 め て 少 な い。 た だ し,合 理 化 の結 果 ポ ス トに就 け な い余 剰 人 員 は工 業 企 業 が 圧 倒 的 に 多 く,余 剰 人 員 総 数 の約70%を 占 め る。企 業 従 業 員 に 占 め る余 剰 人 員 比 率 は産 業 別 で 余 り差 が な く,ほ ぼ6〜8%の 範 囲 内 に あ る。

強 いて いえ ば,工 業 に比 べ 建 築 業 の 余剰 人員 比 率 が や や高 い。 余 剰 人 員 に 占 め る再 配 置 済 み 人 員 の比 率 は工 業,交 通 運 輸,商 業 な どが ほぼ80%以 で あ るの に対 して 建 築 業 は58%と か な り低 い。

比 較 的 に いえ ば,小 規 模 経 営 で 小 回 りの き く商業 サ ー ビス業 は余 剰 人 員 の再 配 置 ・合 理 化 が しや す いの に 対 して,折 か らの財 政 緊縮 に よ る基 本 建 設 投 資 の削 減 の影 響 を 直 接 受 けた 建 築 業 はそ れ が 最 も困 難 な状 況 に あ り, 工 業,交 通 運 輸,郵 便 通 信 業 は その 中 間 に位 置 して い る とい え る。

次 に,主 要 な 全 国15都 市 の 試 行 国 有 企 業 にお け る労 働 組 織 の合 理 化 の

(15)

国有企業 の労働制度改革

表4.

(単位:人,%)

試行企業数 従業員数 余剰人員数 再配置済人数

3271 1181349 434283.7 3820688.0

361 361472 290668.0 2601989.5

594 918600 228652.5 1602870.1

600

556998 493008.9 4647594.2

635 393932 304837.7 2840793.2

352 182665 106765.8 904784.7

恰爾濱

577 293208 265319.0 1815968.4

47 24941 13595.4 123891.1

15 5232 4328.3 29969.2

849 367074 308168.4 2918894.7

314 355554 287488.1 2325380.9

472

.,.

66254.8 587788.7

190 72215 40015.5 340285.0

217 179368 1885810.5 1569383.2

西

135 41184 15593.8 136987.8

(出典:『1990中 国労 働 工 資統 計 年 鑑 』,348‑349頁 よ り作成)

実 施 状 況(1989年)は 表4の と お りで あ る。労 働 配 置 の合 理 化 後 の余 剰 人 員 比 率 は各 都 市 で さま ざ ま で あ る。 比 較 的 高 い の は10%余 りの 重 慶,9%

の ハ ル ピ ン と藩 陽,8%台 の青 島,厘 門,武 漢,天 津 な どで あ る。他 方,上 海,北 京 の比 率 は最 も低 い レベ ル に あ る。 ま た再 配 置 済 み人 員 の比 率 はハ ル ビ ン,上 海,慶 門 が70%前 後 で 比 較 的 低 いが,そ の他 の都 市 で は す べ て 80%以 上 で あ り,90%を 越 え る都 市 もあ る。

以 上,全 国 お よ び主 要 都 市 の合 理 化 実 施 状 況 を み た。 合 理 化 に よ る余 剰 人 員 数(全 国 累 計)は そ の後 次 第 に増 加 し,1992年 に は約100万(27),1993 年 で 約120万 に な って い る(28)。1992年ま で の合 理 化 に よ る余 剰 人員 の試 行 企 業 従 業 員 に 占め る比 率 は10%を 大 き く下 回 り,3〜6%ぐ らい で は な い か と推 定 され る。

(16)

と ころ で,全 国 の国 有 企 業 の余 剰 人 員(潜 在 的 余 剰 を 含 む,以 下 同 じ) の比 率 にっ い て は さ ま ざ ま な推 計 が あ る。1992年 の労 働 部 に よ る1500企 業 の サ ン プル 調 査 で は余 剰 人 員 比 率 が12%で あ り,労 働 部 当 局 は この 数 値 を使 って 全 国 の 余 剰 人 員 を 約1000万 と推 計 して い る(29)。ま た 他 の サ ン プ ル調 査 に基 づ いて 全 国 の 余 剰 人 員比 率 を約15%,約1500万 人 とす る も の,さ ら に余 剰 人 員比 率20%,約2000万 とす る もの も あ る(30)。いず れ も一 部 の サ ンプ ル調 査 に基 づ く推 計 で あ り,全 国 の 確定 的数 字 は未 だ な い。 最 近 の あ る推 計 に よれ ば,全 国 国 有 企 業 の 余剰 人 員比 率 は全 体 で25〜30%, 余 剰 人 員 数 は約3000万 人 前後 に な る とい う。それ に よれ ば,経 済 的 基盤 が あ り経 済 条 件 の よ い国 有 企 業 で 一 般 に10〜15%前 後,経 済 条 件 が 中 等 の 一 般 的 水 準 の企 業 で 一 般 に20%以 ,経 済 条件 の悪 い 企 業 で一 般 に30%

以 上 で あ る と い う(3D。いず れ の余 剰 人 員 比 率 を と って も,上 に み た労 働 組 織 合 理 化 に よ り生 じた顕 在 的 な余 剰 人 員 の比 率 に く らべ て 総 じて か な り大 きい とい え る。 言 い換 え れ ば,試 行 企 業 に お け る合 理 化 措 置 に よ って 顕 在 化 した余 剰 人員 は推 定 余 剰 人 員 の一 部 にす ぎ な い ので あ り,合 理 化 措 置 は 企 業 の余 剰 人 員 の す べ て を洗 い 出 して職 務 ポ ス トか らはず す と い う徹 底 し た もの で は な い。 そ の意 味 に お い て,労 働 組 織 合 理 化 の 目標 基 準 は一 般 的 に い え ば比 較 的 甘 く設 定 さ れ て い る と もい え る だ ろ う。

(2)再 配 置 問題

で は,具 体 的 に余 剰 人 員 を ど の よ うに再 配 置す る のか につ い て み て み た い。 再 配 置 の方 法 に つ い て は三 っ の方 法 が考 え られ る。 す な わ ち,第 一 に 企 業 の余 剰 人 員 を整 理 し社 会 に 出 し消 化 す る方 法(社 会 的 配 置),第 二 に企 業 の 余剰 人 員 を企 業 内 で配 置 し消 化 す る方 法(企 業 内 配 置),第 三 は以 上 の 中 間 の タイ プ で 企 業 内 消化 と社 会 的 消化 を併 用 す る方 法 で あ る。 第 一 の方 法 は労 働 力 市場 や社 会保 障制 度 が 未 整備 な現 状 で は一 般 的 に実 施 す る こ と

は と うて い 不 可能 で あ り,第 三 の 方 法 は現 状 維 持 に っ な が り,改 革 の ね ら いや 企 業 の 就 業 負 担 状 況 との 矛 盾 を か か え るの で や は り全 面 的 に 実 施 で き

(17)

国有企業 の労働制度改 革

な い。 従 って,労 働 当局 の政 策 判 断 で は現 状 の もと で は第 三 の併 用 方 法 が よ い と さ れ る。 こ の場 合,企 業 内 の配 置 を主 と し,社 会 的 配 置 を補 助 とす る こ と が公 式 方 針 と さ れ た(詑)。

さ て こ の方 針 の もと で,再 配 置 の ル ー トは主 要 に は三 つ に分 け られ る。

す な わ ち,生 産 性 配 置,生 活 性配 置,過 度 性 配 置 で あ る(認)。生 産性 配 置 と は 多 種 類 の経 営 部 門 を開 拓 し,第 三 次 産 業 を発 展 さ せ,資 源 の総 合利 用 を 図 り,労 動 を組 織 す る方 法 で あ る。 生 活 性 配 置 とは,定 年 に近 い従 業 員 の繰 り上 げ退 職 ・養 老,長 期 的 休 暇 な ど の方 法 で あ り,過 度 性 配 置 とは企 業 内 待 業(失 業),転 業 の た め の研 修,工 場 間 の労 働 力 調 整,自 らの就 職 活 動 奨 励 な ど で あ る。 労 働 当局 に よ れ ば,三 っ の再 配 置 ル ー トの な か で生 産 性 配 置 を 主 導 的 な地 位 に置 い て い る。 これ らの諸 措 置 は1993年4月 の国 務 院

の 「国 有 企 業 余 剰 従 業 員 配 置 規 定 」 に取 り入 れ られ,整 備 さ れ た。

で は,以 上 の政 策 方 針 を背 景 に企 業 の余 剰 人 員 の再 配 置 状 況 を具 体 的 に み て み よ う。 こ こ で は,試 行 企 業 に対 す る い くっ か の調 査 結 果 を と りあ げ る。

北 京 市 の事 例

労 働 組 織 の合 理 化 を い ち早 く開 始 し,最 も積 極 的 に改 革 を実 施 した テ ス ト都 市 の一 つ で あ る北 京 市 にお け る440試 行 企 業(従 業 員 数14万 人)に 対 す る調 査 に よれ ば,合 理 化 の結 果 ポ ス トを はず され た余 剰 人 員 は8728人

(約6%)で あ った ㈱。 余 剰 人 員 の対 処 結 果 は表6の と お りで あ る。

これ に よれ ば,企 業 内 に よ る配 置(「 そ の他 」 を 含 む)が 全 体 の72%を 占 あ,更 に 離 退 職,辞 職 者 も現 状 で は実 質 的 に 企 業 内 配 置 と考 え れ ば, 80%近 くに達 す る。逆 に企 業外 部 に異 動 せ ざ る を得 な くな った の は余 剰 人 員 の 約20%に す ぎ な い。企 業 内 の 対 処 で は研 修 が最 も多 い。企 業 内 の各 種 経 営 と は企 業 内 に独 立 採 算 の 集 団 所 有制 の 各 種 職 場(企 業 内 企 業)を 組 織

し経 営 す る こ とを さす と思 わ れ るが,こ の比 率 も比 較 的 多 い。

(18)

表6.

(単 位:人)

1企 業内の各種経営 に従事 1780 20.4%

2企 業外部への異動 1097 12.6

3労 務輸出

358 4.1

4有 給 帰 郷,長 期 休 暇 883 10.1

5離 退職

588 6.7

6解 雇 ・除 名 309 3.5

7辞

52 o.s

8在 職留保 ・賃金停止

193 2.2

9企 業内研修(臨 時工/待 業)

2193 25.1

10そ の他 1275 14.6

(出典:鐘 朋 栄 『解 開 改 革 的 聯 立 方 程 式 』,163頁)

表7.

(単位:人)

1第 三次産業 を開拓異動

986 41.5%

2技 術,文 化 の研 修 577 24.3

3新 建設増設企業へ支援異動

40 1.7

4企 業 内消 化,異 動 239 10.1

5生 産 第 一 線 に留 め る 16 0.7

(典拠:表6に 同 じ,163頁)

株 州 市 の事 例

同 じ くテ ス ト都 市 の 一 っ で あ る 湖 南 省 株 州 市 の35試 行 企 業 の 調 査 (1988年)に よれ ば,合 理 化 に よ り ポ ス トを 離 れ た 余 剰 人 員 は2860人,こ の うち既 に再 配 置 され た人 員 は2374人(83%)で あ る(35)。具 体 的 な配 置 先 は表7の と お り。 表 の 第 三 次 産 業 の 開 拓 と は企 業 内 で サ ー ビス関 連 の 集 団 所 有 制 企 業 を設 立 す る こ と を指 す と考 え られ る。従 って,こ の事 例 も結 局, 企業 内 の配 置 が ほ と ん どで あ る こ と を示 して い る。 企 業 内 の配 置 で は,企 業 内 の 新 設職 場(企 業 内企 業)へ の異 動 が か な りの比 重 を 占 め て い る点 が

(19)

国有企業 の労働制度改革

目 につ く。 他 方,企 業 外 部 へ の 移 動 は極 め て わ ず か にす ぎ な い。

南 昌 市 の 事 例

同 じ く労 働 組 織 合 理 化 の テ ス ト都 市 に 指 定 され て い る江 西 省 南 昌市 の 35試 行 企 業 に対 す る1989年 の調 査 に よ る と,ポ ス トを はな れ た 余 剰 人 員 は3106人 で,従 業 員 総 数 の7.1%で あ る(36)。余 剰 人 員 の配 置 状 況 は表8の とお り。 この 場 合 も主 に企 業 内 の 再 配 置 で あ る こ とが 分 か る。

表8.(単 位:人)

1経 営発展,新 部門開拓

276 8.9%

2過 不足 の調整

457 14.7

3工 場内第三次産業を組織

882 28.4

4転 業研修

ii

0.4

5工 場内待業

97 3.1

6そ の 他 1383 44.5

(出 典:『 南 昌 市 労働 工 資 社 会 保 険 三 項 制 度 改 革 研 究 』,150頁)

④9都 市200企 業 の調 査

1992年 に南 京,上 海,藩 陽 な ど9都 市 の200国 有 企 業(大 中 型)に 対 す る調 査 に よ る と,合 理 化 に よ る企 業 の 余 剰 人 員 は約10%を 占 め て い る。余 剰 人 員 の配 置 は以 下 の6つ の方 法 が と られ た と い う(37)。

開 発 型 配 置(企 業 内 の小 型 基 本 建 設 工 事 請 負,企 業 内 の集 団 所 有 制 企 業 の設 立,新 規 増 産 プ ロ ジ ェ ク ト請 負 な ど)9.6%

拡 張 型 配 置(労 務輸 出,他 企 業 へ の 派 遣 支 援 な ど)12.2%

プ ール型 配 置(レ イ オ フ,研 修)20.9%

福 祉 型 配 置(繰 り上 げ退 職,長 期 休 暇 な ど)9.1%

約 束 型 配 置(計 画 外 雇 用 の 廃 止,内 部 構 造 調 整 に よ り空 き を っ く る) 1.6%

開 放 型 配 置(給 料 支 払 停 止 と身 分 の 保 留,離 職,他 企 業 へ の転 職)17.8%

この調 査 事 例 で は余 剰 人 員 の84%は 企 業 内 の 再 配 置 で あ り,他 の16%

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が 企 業 外 へ の 再 配 置 とな って い る㈹)。

以 上,余 剰 人 員 の 具 体 的 配 置 状 況 を み て きた が,試 行 企 業 は余剰 人 員 の 再 配 置 問題 を労 働 組 織 合理 化 の鍵 とな る重 要 か つ敏 感 な問 題 と して み て い る。 各企 業 は実 に さま ざ ま な再 配 置 の方 法 を試 み て い るが,先 述 の政 府 の 政策 方 針 に ほぼ基 づ い て余 剰 人 員 の大 多 数 は企 業 内 で 再 配 置(企 業 内 待 業 を含 む)さ れ て お り,企 業 外 へ の配 置(社 会 的 配 置)は まだ 極 め て 少 な い。

(3)労 働 組 織 合 理 化 に お け る問題 状 況

労 働組 織 合理 化 の実 際状 況 に つ い て は多 くの報 告 論 文 が で て い る が,そ の 成 果 よ り も問題 点 を指 摘 した もの が 多 い。 成 果 につ い て も 「微 少 」 で あ る と され(39),また改 革 は形 式 に流 れ,実 質 的 な変 化 は な く,「少 な くな い単 位 で 中 途 半 端 で あ るか,名 存 実 亡 で あ る」㈹,さ らに は中途 で 天折 して し ま った とみ な す もの もい る㈲ 。 こ こで は,労 働 組 織 合 理 化 の実 施 上 に お け る問 題 状 況 を み て み た い。

第 一 に,実 施 主 体 の 問題 。 っ ま り企 業 が完 全 な実 施 主 体 と な りえ て お ら ず,政 府 労 働 当局 の 干 渉 を受 け て い る状 況 が あ る。 例 え ば,政 府 労 働 部 門 は企 業 の労 働 組 織 合理 化 措 置 を み ず か らの行 政 性 任 務 と して み な し,そ れ を 企 業 に強 引 に配 置 し,合 理 化 改 革 の実 施 範 囲 をで き る だ け拡 大 しよ う と す る。 さ らに は企 業 に対 して余 剰 人 員 の削 減 指 標 を指 示 し,企 業 が それ を 完成 す るよ う強要 す る状 況 が あ った とい う(42)。ま た どの企 業 を テ ス ト試 行 企 業 とす るか の選 択 も政 府 当局 の判 断 に依 存 す る よ うで あ る。

第二 に,職 員 労 働 者 の選 考 に関 す る問 題 。 つ ま り誰 が 誰 を ど の よ うに選 考 す るの か とい う点 で の問 題 で あ る。 まず 選 考 の主 体 は前 述 の よ うに選 考 グル ー プの場 合 と経 営 責 任 者 個 人 の場 合 が あ るが,選 考 の 主 体 が グ ル ー プ で あ れ,個 人 で あ れ,政 府 か ら独 立 して い るか ど うか は第 一 の問 題 点 と の 関 連 か ら疑 念 の余 地 が あ る。 特 に政 府 か ら指 名 され た企 業 長 が 中 間 管 理 職 責 任 者 を 選 抜 招 聰 す る 場 合,企 業 長 が 政 府 の 意 向 に 従 う可 能 性 は 大 き い㈹ 。 ま た企 業 経 営 者 個 人 が 独 裁 的 に決 定 して しま う事 例 も報 告 され て い

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国有企業 の労働制度改革

る㈲ 。 と くに経 営 請 負 責 任 制 の企 業 で経 営 者 個 人 が請 け負 って い る場 合, 経 営 者 の 個 人 的 裁 量 権 は極 めて 大 き いで あ ろ う。

次 に選 考 方 法 に っ い て の 問 題 点 は,ひ とっ は基 準 作 成 の 専 門 的 指 導 グ ル ー プが 欠 けて い る こ と,合 理 化 基 準 が 明 確 で な く科 学 的 で な い こ と な ど で あ る(45)。も うひ と つ は政 策 規 定 に あ る 「双 方 選 択 」 が実 際 に は実 施 困難 で,上 か ら下 へ の 「単 向選 択 」 「傾 斜 選 択 」,つ ま り上 級 の管 理 責 任 者 が 下 級 の職 員 労 働 者 を選 考 す る こ とが 一 般 的 で あ っ た㈹ 。 以 上 の こ と と関連 し て,平 等 競 争 原 則 に基 づ く選 考 で は な くて,人 間 関 係,つ ま り近 親 関 係, 派 閥 関 係,服 従 関 係 に よ る選 考 が 実 施 され る こ と にな る。 この 事 例 は数 多

く知 られ る。 こ う して 労 働 組織 の 合 理化 の 前提 とな す科 学 的 基 準 の 設 定, 平 等 競 争 の選 抜 方式 は実 際 に は形式 に流 れ,労 働 者 の あ いだ に 不 和,摩 擦 を生 み 出 して い る こ とが 指摘 され て い る㈹ 。

第三 に,当 初,労 働 組 織 の合 理 化 の概 念 が専 ら余 剰 人 員 の整 理 縮 小 と し て一 面 的 に理 解 され,実 際 の活 動 で も人 員 整 理 に重 点 が お か れ た こ とで あ る。本 来 合 理 化 は組 織,設 備,人 員 の 最適 配 置 を 意 味 して いた の で あ るが, 組 織 設 備 技 術 の合 理 化 お よ び そ れ と人 員 と の組 み合 わせ の課 題 は軽 視 さ れ た(48)。この結 果,一 部 の労 働 者 の あ い だ で は労 働 組 織 の 合理 化 と は労 働 者 か ら仕 事 ポ ス トを剥 奪(「 剥離 」)も の だ とみ な され,か れ らの反 感 を買

う こと に な った(49)。

第 四 に,労 働 者 の あ いだ に少 な か らず 心 理 的 摩 擦(不 安,反 感,抵 抗, 失 望 な ど)を もた ら した こ とで あ る。 元 来,社 会 主 義 の 終 身 雇 用 制 度 の も とで 強 い就 業 安 定 心 理 を もち,企 業 国 家 に 依 存 し リス クを 回 避 し,競 争 意 識 も弱 か った 一 般 の 従 業 員 は人 員 削 減,失 業,解 雇 に 対 して 強 い抵 抗 が あ る(5°)。そ して か れ らの伝 統 的労 働 観 念 に よ れ ば,失 業,解 雇,人 員 削 減 な ど の 措 置 は社 会 主 義 に お け る主 人 公 の地 位 権 利 を奪 う もの と映 った(51)。あ る 調 査 に よ れ ば,合 理 化 に対 して労 働 者 の15%が 抵 抗 感 を,25%が 強 い 不 安 を示 して い る(52)。ま た多 くの工 場 長 も人 員 削 減,解 雇 を 困 難 な 問 題 と し

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て あ げ て い る(脇)。この よ うに労 働 者 の主 体 的 受 け入 れ 能 力 が まだ 低 い状 況 で,合 理 化 を強 行 す れ ば さ ま ざ ま な摩 擦 を 生 む こ と に な る の は 避 け が た い。

第 五 に,余 剰 人 員 の企 業 内配 置 の困 難 性 で あ る。 前 述 の よ うに余 剰 人 員 の圧 倒 的 大 部 分 は企 業 内部 で再 配 置 され て い る が,こ れ は い ろ い ろ な点 で 困 難 な問 題 を突 きっ けて い る。 この点 に っ い て は興 味 深 い調 査 が あ る の で 一 部 紹 介 して み た い。1989年,張 家 口市 に あ る21の 試 行 工 業 企 業 の工 場 長 に対 す る ア ンケ ー ト調 査 に よ れ ば,多 くの工 場 長 は余 剰 人 員 を企 業 内部 で消 化 す る の は困 難 で あ り,ま た外 部 の 条 件 も不 備 で あ る とみ て い る㈱。

す な わ ち,

企 業 内 部 消 化 の最 も主 要 な 方 法 で あ る長 期 休 暇,繰 り上 げ退 職 の場 合,企 業 は か れ らの ほ とん ど に対 して賃 金 支 払 や福 利 厚 生 を負 担 し(た だ し賃 金 カ ッ トを含 む),企 業 の 収 入 は経 済 不 況 で 収 入 が減 少 した の に支 出 負 担 は逆 に増 大 して い る(6割 の 工 場 長 の意 見)。

工 場 内 に新 しい生 産 部 門 を 開 設 し,第 三 次 サ ー ビ ス業 を お こす こ と は,余 剰 人 員 の内 部 消 化 の 理想 的方 法 で はあ るが,資 金 不 足 で原 材 料 調 達, 設 備 購入,場 所 の確 保,新 製 品 開 発 な ど いず れ も困 難 で あ る(4割 の 工場 長 の 意 見)。

企 業 内研 修 ・学 習 の組 織 も教 育 経 費,運 営 条 件 な ど資 金 面 で 困 難 で あ る(8割 の工 場 長 の意 見)

労働 力輸 出,企 業 間 の労 働 力 の調 整,外 部 へ の 委 託加 工項 目の 回 収 な ど は まだ 実行 で き る条 件 と能 力 が な い(7割 の工 場 長 の 意 見)。

上 述 の 問 題点 は お もに企 業 の負 担 の困 難 さ を指 摘 して い る。 企 業 内 の 再 配 置 の 方 法 は結 局 の と ころ余 剰 人 員 の ほ と ん ど を依 然 と して 企 業 内 に抱 え 込 む もの で あ り,企 業 に と って必 ず し も負 担 を減 らす こ と にな らな い(「左 肩 か ら右 肩 へ 負 担 を 変 え るだ け 」(55))。多 くの 企 業 経 営 者 が この 合 理 化 改革

に消 極 的 な理 由 もこの 点 にあ る とい わ れ る(56)。

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国有企 業の労 働制 度改革

余 剰 人 員 の企 業 内 配 置 の 問 題 は単 に 企 業 の 負 担 だ け の 問 題 に と ど ま ら ず,そ れ は従 業 員 の経 済 的 利 益 の再 配 分 の問 題 で もあ って そ の配 置 先 を め ぐ って 従 業 員 の あ い だ に(例 え ば,再 就 業 した者 と企 業 内待 業 者 との あ い だ)利 害 の 対 立,摩 擦 を 引 き起 こ しや す い(5?)。さ らに,余 剰 人 員 を 企 業 内 に 抱 え込 む こ とは毎 年 の新 規 労 働 者 の採 用 を阻 害 す る要 因 と もな り,か れ ら の就 業 問 題 を激 化 しか ね な い(認)。ま た企 業 は余 剰 人 員 を配 置 させ る た め に さ ま ざ ま な職 種 の事 業 経 営 を企 業 内 に設 立 し,外 部 に 出 して いた 委 託加 工 項 目を 次 々 と回 収 し,各 種 の 福 利 厚 生 施 設 を も重 要 な配 置 先 と な って い る。 この結 果,企 業 の後 方 勤 務 サ ー ビス人 員 が次 第 に増 加 し,旧 来 の弊 害 で あ った企 業 が 社 会 を丸 抱 えす る傾 向(企 業 社 会 の ワ ンセ ッ ト主 義)を か なか 改 革 で き な い ばか りか,一 部 で は い っそ う促 進 させ た(59)。こ う した 現 象 は労 働 制 度 合 理 化 の改 革 の ね らい と逆 行 す る もの で あ る とい え る。

4全 員 労 働 契 約 制 へ の 試 み

1)全 員 労 働 契約 制 の 特徴

最 後 に 労 働 雇 用 制度 改革 の最 も新 しい 改 革 の 試 み で あ る全 員 労 働 契 約 制 に っ い て み て お きた い。 この制 度 は政 策 の 系譜 の うえ で は前 述 した 労 働 組 織 の 合 理 化 の実 施 を踏 ま え て労 働 契 約 制 を企 業 従業 員 全 員 に まで 拡 大 徹 底 す る もの で あ り,当 面 の労 働 雇 用 制 度 改革 の ひ とつ の到 達 目標 と され て い る。

労 働 部 当局 に よ れ ば,全 員 労 働 契 約 制 の 内容 特 徴 と して以 下 の点 が 指 摘 さ れ る㈹ 。 す な わ ち,第 一 に従 業 員 の 雇 用 主 体 を 従 来 の 国 家 当 局 か ら企 業 事 業 単 位 に変 え た こ と。 従 業 員 全 員 は企 業 と の労 働 契 約 を経 て 当該 企 業 の 従 業 員 と な り,国 家 所 属 の 国 家 が 請 け負 う従 業 員 で は な くな る。 こ う して 旧来 の 「国 家 職 工 」 制度 を 消 滅 し 「企 業 職 工 」 制 度 を確 立 す る。 第 二 に, 労 働 力 の 個 人 所 有属 性 を認 め,従 業 員 個 人 が 自 らの労 働 力 を主 体 的 に処 理

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