The Clinlical Feature of van der Hoeve Syndrome Kaoru Ogawa, Jin Kanzaki, Shigeo Ogawa, Nobuaki Tsuchihashi, Yasuhiro Inoue, Minako Yamamoto and Shuny

全文

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vander  Hoeve症 候 群

小 川 郁 、神 崎 仁 、 小 川 茂 雄 、 土 橋 信 明 井 上 泰 宏 、 山本 美 奈 子 、 池 田 俊 也

慶 鷹 義 塾大 学 医 学 部 耳 鼻 咽 喉 科

The Clinlical Feature of van der Hoeve Syndrome

Kaoru Ogawa, Jin Kanzaki, Shigeo Ogawa, Nobuaki Tsuchihashi, Yasuhiro Inoue, Minako Yamamoto and Shunya Ikeda

Department of Otolaryngology School of Medicine , Keio University

Three cases of van der Hoeve syndrome were reported. Two cases showed a conductive or mixed deafness which resembled to those of otosclerosis . The operative findings revealed the patho- physiology of deafness to be fixation of the stapedial footplate in one case and the combination of fixation of the footplate and fibrous change of the crura in another case. The third case showed profound mixed deafness. The pathophysiology of this case was considered to be similar to that of cochlear otosclerosis by the findings of high resolution CT scan. The diagnostic and therapeutic problems of this syndrome were discussed with a review of literature.

Key words : van der Hoeve syndrome, cochlear otosclerosis, high resolution CT scan, stapedotomy

は じめ に

vanderHoeve症 候 群(以 下 、VDHと 略 す)は 青 色 強 膜 、 骨 脆 弱 性 、 難 聴 を3主 微 とす る常 染 色体 優 性 遺 伝 性 疾 患 で あ り1)、骨 化 不 全 症(osteogenesisimperfecta)

と も呼 ば れ て い る。 本 疾 患 の難 聴 は 伝 音 性 難 聴 が 特 徴 で あ り耳 硬 化 症 類 似 の病 態 を示 す こ とが 多 い と され て い る が 、 ア ブ ミ骨 脚 の 骨 折 に よ る連 鎖 離 断 が 難聴 の 病 態 で あ った 症 例 も報 告 さ れ て い る2)〜5)。また 、混 合性 難 聴 や 感 音 性 難 聴 を示 す こ と も稀 で は な く、 その 難 聴 の病 態 は極 め

て 多彩 で あ る。

最 近 、 我 々 は 耳 硬 化 症 類 似 の伝 音 難 聴 、 混合 性 難 聴 を 伴 っ た2症 例 のVDHと 高 度 の 混 合 性 難 聴 を伴 っ た 症 例

の3症 例 のVDHを 経 験 した の で、そ の 臨床 所 見 、検 査 所 見 、 治 療 結 果 を 中心 に報 告 す る。

症 例

症 例1:32歳 、 女 性

主 訴:左 難 聴 、 耳 鳴 、 耳 閉 感 既 往 歴:幼 少 時 に5回 下 肢 骨 折 あ り。

家 族 歴:父 親 、 女 児2名 に 青 色 強 膜 を認 め る も易 骨 折 性 、 難 聴 は な い。

現 病 歴:昭 和58年 第1子 出 産 後 よ り左 難 聴 、 耳 鳴 が 出現 。 そ の 後 、 難 聴 は 徐 々 に進 行 し、 約2カ 月前 よ り左 耳 鳴 が 増 強 し、 左 耳 閉 感 も認 め る よ うに な っ て きた た め 、

当 科 を受 診 し た。 な お 、 こ の 間 め ま い ・平 衡 障 害 の 自覚 は な か っ た。

初 診 時 現 症:体 格 中等 度 、 栄 養 良好 。 骨 格 に変 形 な どの 異常 な し。 青 色 強 膜 を認 め る も耳 鼻 咽 喉 頭 ・頸 部 に異 常 な し。

耳 科 的 検 査 所 見:純 音 聴 力 検 査1で は 左 耳 に500Hz〜4 kHzの4周 波 数 平 均 聴 力 レベ ル(以 下 、 平 均 聴 力 レベ ル

と略 す)が58dBの 伝 音 性 難 聴 を認 め た(図1)。 最 高 語 音 明 瞭 度 は左 耳95%で あ り、TympanogramはA型 で あ っ た。 平 衡 機 能 検 査 に異 常 は 認 め ず 、 耳 単 純X線 検 査 、 側 頭 骨 高分 解 能CT(以 下 、HRCTと 略 す)に も特 記 す べ き異 常 は なか っ た 。

血 液 化 学検 査 所 見:Ca、P、ALPを 含 め 異 常 は 認 め なか っ た。

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経 過:以 上 の 所 見 よ りVDHに 伴 う耳 硬 化 症 類 似 の 病 態 を疑 い、 全 麻 下 に ア ブ ミ骨 切 除 術 を施 行 した。 術 中 所 見 で は ア ブ ミ骨 に形 態 的 異 常 は認 め な か っ たが 、 ア ブ ミ 骨 底 板 を覆 う粘 膜 に軽 度 の 充 血 を認 め 、 ア ブ ミ骨 底板 は 固着 し可動 性 は なか っ た 。 こ の た め ア ブ ミ骨 上 部 構 造 を 除去 し、 カ ップ 型 ア パ タ イ ト人工 耳 小 骨(Apaceram‑C

⑪)を 用 い たstapedotomyを 施 行 し た。 術 後 経過 は 良 好 で あ り聴 力 は改 善 し、耳 鳴 は軽 快 、耳 閉 感 も消 失 した(図 1)。

症 例2:29歳 、 女 性 主 訴:右 難 聴 、 耳 鳴

既 往 歴:幼 少 期 に 下 肢 骨 折2回 あ り。

家 族 歴:母 親;VDHに よ る骨 折 の た め 某 病 院 整 形 外 科 入 院 加 療 中(15回 の骨 折 の 既 往 あ り)、両 難 聴 、 青 色 強 膜 あ り。 姉 、 甥;骨 折 歴 、 青 色 強 膜 を認 め る も難 聴 な し。

現 病 歴:昭 和59年 頃 よ り右 難 聴 、 耳 鳴 出 現 。 そ の後 、右 難 聴 が 徐 々 に 進 行 した た め 、 当科 を受 診 した。 な お 、 こ の 間左 難 聴 、―め まい ・平 衡 障 害 の 自覚

は なか っ た。

初 診 時 現 症:体 格 小 、 栄 養 良 好 。 骨 格 に変 形 な どの 異 常 な し。 青 色 強 膜 を認 め る も耳 鼻 咽 喉 頭 ・頸部 に 異 常 な し。

耳 科 的 検 査 所 見:純 音 聴 力 検 査 で は 平 均 聴 力 レベ ル右 耳 70dB、 左 耳40dBの 両 側 混合 性 難 聴 を認 め た(図2)。 最 高 語 音 明 瞭 度 は右 耳92%、 左 耳94%で あ り、Tympano―

gramは 両 側As型 で あ っ た。平衡 機 能 検 査 で は特 に 異 常 を認 め ず、 耳 単 純X線 検 査 、HRCTに も 異 常 は な か っ た。

血 液 化 学 検 査 所 見,:Ca、P、ALPを 含 め 異 常 な し。

経 過:以 上 の 所 見 よ りVDHに 伴 う耳 硬 化 症 類 似 の病 態 を疑 い、 全 麻 下 に ア ブ ミ骨 切 除 術 を施 行 した 。 ア ブ ミ 骨 底 板 は 固着 し可 動 性 は な く、 さ らに ア ブ ミ骨 前 脚 は 一 部 消 失 し線 維 性 組 織 に て 置 き代 わ って い た。 ア ブ ミ骨 上 部 構 造 を 除 去 し、Apaceram‑C⑧ を 用 い たstapedo‑

tomyを 施 行 した 。術 後 経 過 は 良好 で あ り聴 力 は 改 善 、耳 鳴 も軽 快 した(図2)。

症 例3:20歳 、 女 性

図1術 前 ・後 の オ ー ジ オ グ ラ ム(症 例1)

図2術 前 ・後 の オー ジ オ グ ラ ム(症 例2)図3症 例3の オ ー ジ オ グ ラ ム

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主 訴:両 難 聴 、 耳 鳴 、 め まい 。

既 往 歴:幼 少 時 よ り低 身 長、 易 骨 折 性 、 脊 柱 弩 曲、 漏 斗 胸 、青 色 強 膜 な どあ り、某 大 学 病 院 整 形 外 科 に てVDHと 診 断 され て い た。

家 族 歴:母 親 に低 身 長 、 青 色 強 膜 を認 め る も難 聴 は な し。

現 病 歴:6歳 頃、 両 難 聴 に気 付 く。 某 大 学 病 院 を受 診 、 原 因不 明 の 内 耳 性 難聴 の 診断 に て 補 聴 器 の 装 用 を始 め た 。 以 後 、 特 に 自覚 的 変 化 は なか った が 昭 和61年11月 頃 よ り 両 難 聴 の 進行 、 耳 鳴 の 増 悪 を 自覚 、 回転 性 め ま い も出現

し た ため 、 当科 を受 診 した 。

初 診 時 現 症:低 身長 、 脊 柱 湾 曲、 漏 斗 胸 、 偏 平 足 を 認め た が 栄 養 状 態 は 良 好 で あ っ た。 な お 、 青 色 強 膜 を認 め た が 、 そ の他 耳 鼻 咽 喉 頭 ・頸 部 に 異 常 は なか った 。 耳 科 的 検 査 所 見:純 音 聴 力 検 査 で は 平 均 聴 力 レ ベ ル 右 105dB、 左103dBの 高 度 の 混 合 性 難 聴 を 認 め た(図 3)。 最 高 語 音 明 瞭 度 は 右0%、 左30%で あ っ た。 な お Tympanogramは 両 側A型 で あ っ た。 平 衡 機 能 検 査 で は起 立 不 能 の ため 起 立検 査 、 立 ち 直 り検 査 、 足 踏 検 査 は 不 可 能 で あ っ たが 、Frenzel眼 鏡 下 に は明 らか な眼 振 は み られ な か っ た。 温 度 眼 振 検 査 で は 両 側 の 反 応低 下 を認 め た。 耳 単純X線 検 査 で は 特 に 異 常 は 認 め な か っ た が HRCTで は 内耳 骨 包 に び まん 性 の 骨 吸収 像 を認 め た(図 4)。

血液 化 学 検 査 所 見:Ca、P、ALPを 含 め 異 常 は 認 め なか っ た 。

経 過:以 上 よ りVDHと 診 断 し たが 、 難聴 に 関 して は 補 聴 器 の調 整 を した の み で 現 在 定 期 的 に経 過 観 察 車 で あ

る。

本 症 候 群 は 常 染 色 体 優 性 遺 伝 の 遺 伝 性 疾 患 で あ り、 そ の 発 生 頻 度 は10万 対2〜5人 と さ れ て い る6)。 しか し 、明 ら か な 家 族 歴 の な い 散 発 例 も 多 く、 ま た3主 微 の 揃 わ な い 不 全 型 発 症 例 も 多 い 。3主 微 の 出 現 頻 度 は 青 色 強 膜 が 最 も 高 く約90%で あ り、 つ い で 骨 脆 弱 性 、 難 聴 が 約60%

と さ れ て い る6)。 し か し 、 骨 脆 弱 性 は ほ ぼ100%に 必 発 す る と す る 報 告 も あ りη、報 告 者 の 施 設 、 診 療 科 に よ り 、 ま た 不 全 型 発 症 例 の 扱 い 方 に よ っ て 多 少 の 差 が み ら れ る と 考 え ら れ る 。

VDHは 本 邦 で は 比 較 的 稀 な 疾 患 で あ り、 そ の 聴 覚 障 害 に つ い て 詳 細 な 記 載 の あ る 最 近 の 報 告 は 森 満 ら3}、松 居 ら8)、 高 山 ら9)、 村 井 ら10)、小 野 らU}の 報 告 を み る の み で あ る。VDHの 難 聴 は 一 般 に 耳 硬 化 症 類 似 の 伝 音 性 難 聴 が 多 い と さ れ て い る が 、 混 合 性 難 聴 や 感 音 性 難 聴 も稀 で は な く、 約10%の 症 例 は 感 音 性 難 聴 を示 し聾 と な る こ

と も あ る12)。

伝 音 性 難 聴 の 病 態 と し て は 耳 硬 化 症 類 似 の 病 態 が 考 え ら れ て い る が 、本 症 の 骨 迷 路 、特 にenchondrallayerの 骨 形 成 不 全 症 特 有 の 病 変 は 耳 硬 化 症 の 病 理 組 織 と は 明 ら か に 異 な り、 両 疾 患 の 病 態 は 全 く異 な っ た もの と考 え ら れ て い る5)、12)、13)。ま た 、伝 音 性 難 聴 の 病 態 と し て は 耳 硬 化 症 類 似 の ア ブ ミ骨 底 板 の 固 着 の 他 に 全 身 の 骨 脆 弱 性 の 部 分 症 と し て ア ブ ミ骨 底 板 と脚 の 間 の 骨 折 が 生 じ、 骨 折 部 が 線 維 性 結 合 織 に 置 き 換 わ る こ と が 原 因 と す る 報 告 も み ら れ る2)陶 。 し か し、本 症 の 難 聴 の 多 く は 思 春 期 以 降 に 生 じ、 骨 脆 弱 性 に よ る 四 肢 の 骨 折 が 好 発 す る 小 児 期 、 思 春 期 の 発 症 は10%に 満 た な い こ と12)、難 聴 の 程 度 と 骨 脆 弱

図4症 例3の 側 頭 骨HRCT所

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性 の程 度 に は相 関 が な い こ と15)、女 性 で は特 に 妊 娠 に よ り増 悪 す る こ と、 難 聴 は徐 々 に 進 行 す る こ とな どか ら耳 硬 化 症 類 似 の ア ブ ミ骨 の 固 着 性 病 変 が 主 体 で あ る と考 え られ る。 今 回 の症 例1で は ア ブ ミ骨 底 板 の 固着 が 、 症 例 2で は ア ブ ミ骨 底 板 の 固 着 と脚 の 骨 折 との 合 併 が 難 聴 の 病 態 と考 え られ た。 症 例1で は難 聴 が 一 側 性 で 、 骨 導 聴 力 の 低 下 が 全 くなか っ た の に 対 し、 症例2の 難 聴 は両 側 性 で あ り、 中 高 音 域 の 骨 導 聴 力 の低 下 も認 め られ 、 こ れ らの 所 見 か ら も症 例1に 比 べ て症 例2で よ り高 度 の 障 害 が あ る と考 え られ た。 ま た、 症 例1で は家 族 歴 に3主 微 の そ ろ っ たVDHが な い の に 対 し て、 症 例2で は母 親 が 高 度 のVDHで あ り、 遺 伝 性 の 違 い が病 態 の 違 い に 影 響

して い る と も考 え られ た 。

感 音 性 難 聴 の 病 態 に 関 し て は不 明 な点 も多 い が 、 骨 性 迷 路 のenchondrallayerの 骨 形 成 不 全 に よ る 内 耳 の 代 謝 異 常 、lysosorneに よ る膜 迷 路 の 変 性 な どが考 え られ て お り、 蝸 牛 性 耳 硬 化 症 に 類 似 し た 病 態16),17)が想 定 さ れ る。 しか し、 本 症 候 群 の 感 音 性 難 聴 は 耳 硬 化 症 の そ れ に 比 べ て は るか に 高 率 に 認 め られ 、 か つ そ の程 度 も高 度 で あ る と され て い る18)。

本 症 候 群 で 前 庭 症 状 を呈 す る こ とは比 較 的稀 で あ り、

そ の頻 度 は約20%と され て い る18)。前 庭 症 状 は 内 リン パ 水 腫 が 原 因 で あ る とす る報 告 もあ り19)、感 音 性 難 聴 の病 態 に は前 庭 症 状 と同様 に 内 リ ンパ 水 腫 が 関 与 して い る可 能 性 も考 え られ る。 高 度 の混 合 性 難 聴 を示 し た症 例3は HRCTよ り内 耳 骨 包 の 骨 形 成 不 全 が 高 度 で あ る と考 え

られ 、 この よ うな 内 耳 骨 包 の病 変 が 感 音 性 難 聴 、 回転 性 め ま い の 原 因 で あ る と考 え られ た 。

蝸 牛 性 耳 硬 化 症 で はHRCTに て 内 耳 骨 包 に骨 吸 収 像 が 認 め られ る と され て い る が20)〜22)、VDHのHRCT所 見 につ い て の 報 告 は な い。今 回 の 症 例1、2で はHRCT に 明 らか な 異 常 は 認 め られ な か っ たが 、 症 例3で は 内 耳 骨 包 に び まん 性 の低 吸 収 域 を認 め た。 この所 見 は蝸 牛 性 耳 硬 化 症 で のHRCT所 見 に 類 似 して い るが 、 よ り高 度 な変 化 で あ っ た。通 常 、蝸 牛 性 耳 硬 化 症 でHRCTに 異 常 が 認 め られ る症 例 で は 手 術 に よ る聴 力 改善 が 不 良 で あ る と され て お り、VDHに お い て もHRCTは 手術 適 応 ・聴 力 予 後 の 判 定 に 際 して 有 用 な検 査 で あ る と考 え られ た 。 この よ うに本 症 候 群 の難 聴 の 病 態 は様 々 で あ るが 、伝 音 性 難i聴や 骨 導 低 下 の 比 較 的 軽 度 な 混合 性 難 聴 は 手術 的 治 療 の 適 応 とな る。 本 症 候 群 に 認 め られ るア ブ ミ骨 底 板 は 耳硬 化 症 の そ れ とは異 な り薄 く脆 い こ とが 多 く、 固 着 の程 度 も弱 い と言 わ れ て い る23九24)。従 っ て 、 本 症 候 群 で stapedotomyを 行 う際 に はfloating  footplateに な ら

な い よ うに 注 意 す る必 要 が あ る。Brosnanら24)は71%の 症 例 で ア ブ ミ骨 の 固 着 が 弱 く、 そ の た め14%にfloating footplateを 認 め た と報 告 して い る。我 々 もこ の 点 に 留 意

して 、 ツチ ・ア ブ ミ関 節 を離 断 す る前 に ア ブ ミ骨 底 板 に 小 孔 を作 製 す る よ うに した が 、 今 回 の2症 例 で は ア ブ ミ 骨 の 固 着 は強 く、floating  footplateは 認 め な か っ た 。

上 述 し た よ うに 本 症 候 群 で は感 音 性 難 聴 が 高 率 に 生 じ、

か つ 進 行 性 で あ る こ と よ り、 術 後 の 聴 力 の経 過 に 注 意 す る 必 要 が あ る。Sheaら18)はVDH32耳 中28耳(87%)が 術 後1年 の経 過 観 察 で聴 力 の 改 善 を示 し、2年 以 上 の 長 期 観 察 を し得 た18耳 で は12例(67%)が 術 直 後 の聴 力 を 維 持 し た と報 告 して い る。 今 回 の2症 例 の術 後 聴 力 は い ず れ も良 好 で あ り、 現 時 点 で も術 直 後 の 聴 力 を維 持 し て い るが 、 今 後 も、 長 期 的 に 聴 力 の 経 過 観 察 を行 う予 定 で あ る。

ま と め

van  der  Hoeve症 候 群 に 伴 う難 聴 の 多 くは耳 硬 化 症 類 似 の 伝 音 難 聴 で あ り、 そ の病 態 と して は ア ブ ミ骨 底 板 の 固 着 や ア ブ ミ骨 脚 の 線 維 性 変 化 な どが 考 え られ て い る。

今 回 、最 近 経 験 した3症 例 のVDHを 報 告 し、主 にVDH に よ る難 聴 の病 態 につ い て 考 察 した 。 手 術 所 見 よ り症 例 1で は ア ブ ミ骨 底 板 の 固着 に よ る伝 音 難 聴 、 症 例2で は ア ブ ミ骨 底 板 の 固着 とア ブ ミ骨 脚 の 線 維 性 変 化 が伝 音 難 聴 の 病 態 と考 え られ た 。 ま た症 例3で は 高 度 の混 合 性 難 聴 を認 め 、 回 転 性 め ま い な どの 前 庭 症 状 や 側 頭 骨 高 分 解 能CT所 見 な ど よ り蝸 牛 性 耳 硬 化 症 類 似 の病 態 が考 え ら れ た 。

参考 文献

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論 文受 付3年1月7日 論 文受 理3年3月8日 別刷 請求先: 〒160新 宿 区信 濃町35

慶應義塾大学 医学部 耳鼻咽喉科学教室 小川

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