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高温動作型圧力センサ

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Academic year: 2021

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(1)

キ−ワ−ド:圧力センサ,高温動作型,ダイヤフラム式,酸化クロム薄膜,パッシベ−ション膜 

概要

流体の圧力を検知する検出器には、水銀マ ノメ−タやブルドン管のような機械的なもの から、半導体式圧力センサや金属歪みゲ−ジ のような電気式など様々な検出器があります。

特に、電気式は出力が電気信号で取り出せる ため、様々な圧力センサが開発されています。

しかし、高温雰囲気で使用できる汎用型の圧 力センサはほとんど有りません。一般によく 用いられている半導体式圧力センサは、非常 に高感度で信号処理回路も半導体技術により センサと同一チップ内に集積化でき小型であ るなどの特徴を有していますが、抵抗の温度 係数が大きいため温度変化による出力誤差が 大きく温度補償を入れる必要があること、圧 力検出部分や集積化した回路の動作温度に制 限があること、などにより120℃付近が上限 とされており、一般に動作温度の仕様は 60

〜80℃までにされています。また、金属歪み ゲ−ジは温度係数が小さく温度変化による出 力への影響は半導体式圧力センサに比べて遙 かに少ないですが,感度が小さいという難点 があります。このため、高温で動作が可能な 汎用型の圧力センサの開発が求められており、

様々な試みがなされています。当所でも高温

雰囲気で使用可能な汎用性のある特性良い圧 力センサの開発を行い高温動作型圧力センサ の実用化を行いましたので紹介します。

センサ素子の構造

図1は開発した高温動作型圧力センサの概 略図です。本センサはダイヤフラム式になっ ています。圧力を電気信号に変換する検出体 にはCr−O薄膜を用いており、この薄膜が薄 いステンレスのダイヤフラム上に形成されて います。図に示した矢印ように下から圧力を 受けるとダイヤフラムが変形し Cr−O 薄膜 に歪みがかかります。この時に発生する Cr

−O薄膜の電気抵抗の変化から圧力を検出す ることができます。ダイヤフラムに圧力がか かると、ダイヤフラムの表面に作用する応力 はダイヤフラムの中心部と周辺部では応力の 向きが反転します。そこで、Cr−O薄膜をダ イヤフラムの中心部と周辺部に2個ずつ配置 してブリッジ回路を形成し高感度な出力を得 るようにしています。センサの表面には、高 温による劣化から防止するために保護膜(パ ッシベ−ション膜)を形成しています。

センサの特性

高温雰囲気で使用されるセンサとして、① 高温で動作すること、②センサ出力が温度変 化に影響されないこと、③高温雰囲気でセン サが劣化しないことが重要な課題になります。

また、あらゆるセンサに言えることですが、

センサの出力が線形であること、すなわち測 定される物理量とセンサ出力の大きさが直線 関係にあることが重要になります。これによ り、あとの信号処理が簡単になります。以下

Technical Sheet 

No.03016

高温動作型圧力センサ

SUSダイアフラム 絶縁膜 Cr-O歪センサ

A B C

パッシベーション膜

SUSダイアフラム 絶縁膜 Cr-O歪センサ

A B C

パッシベーション膜

         圧力

図1 高温動作型圧力センサの概略図

大阪府立産業技術総合研究所   〒 594 − 1157  和泉市あゆみ野 2 丁目 7 番 1 号

http://tri-osaka.jp/       Phone:0725−51-2525

(2)

にこれらの課題を中心に開発したセンサの特 性について説明します。

(1)圧力検出材料

圧力は Cr−O 薄膜の電気抵抗の変化から 検出するので、温度により抵抗が大きく変化 すると圧力検出体として不適です。すなわち、

温度により抵抗が大きく変わる検出体で同じ 圧力の室温から高温までの雰囲気を測定して も測定値が大きく変わることになります。こ のため、Cr−O薄膜の抵抗の温度係数(TCR)

が重要となります。図2は、Cr−O薄膜を反 応性スパッタ法で作製するときの酸素流量と 作製された膜のTCRの関係を示しています。

酸素流量が 2.3 sccm 近傍で作製された膜の TCRが最も小さくなるのがわかります。従っ て、この酸素流量でセンサとしてのCr−O薄 膜を作製すれば温度による抵抗の変化が小さ い薄膜が作製されることになります。

(2)センサの保護膜

圧力センサを高温雰囲気で使用するために は、高温によって受けるセンサのダメ−ジを 防ぐ対策を施さなければなりません。特に大 気中の高温で用いるケ−スが多いことが想定 されますので、酸化による劣化を防ぐための 耐酸化性薄膜によりセンサ表面を覆う必要が あります。表1に4種類の薄膜の耐酸化性に ついて調べた結果を示します。表1はそれぞ れの薄膜を大気中の各温度で 72 時間曝した 結果です。200℃ではいずれの膜も良好な耐 酸化性を示しています。中でも、AlN、Si3N4

膜は 400〜500℃という高温まで耐酸化特性

を有していることが判明しました。

図3は保護膜にAlNを用いて250℃の雰囲 気で測定した圧力−出力特性です。非常に良 い直線的な特性を示しており、高温動作型セ ンサとして良好な特性を有していることがわ かります。

表1 保護膜の各温度に対する耐酸化性    AlN  Si  DLC Zr−Al−N 室温 ○ ○ ○  ○  200℃ ○ ○ ○  ○  400℃ ○ ○ × ――― 

500℃ ○ ――― ―――  × 

○:良好 ×:不良 ――:未測定

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5

0 10 20 30

圧 力 (MPa)

出  (mV)

パッシベーション膜(AlN) 測定温度:250℃

図3  250℃におけるセンサの出力特性

0 1 2 3 4

-1000 0 1000 2000 3000

Fo (sccm)

TCR (ppm/)

DC Power : 200 W Tsub : 350 ℃

図2  Cr−O薄膜のTCRとO2流量の関係

センサの実用化

開発した高温動作型圧力センサを実用化す るために、室温での繰り返し圧力試験,連続 高温放置試験,動圧試験など各種信頼性試験 を行っていますが、150℃の高温に対して良 好な信頼性が得られており、図4に示すよう

な150℃仕様の高温動作型圧力センサの実用

化を行いました。現在さらに、250℃仕様の 実用化に向けて信頼性試験を実施中です。

図4 実用化した高温動作型圧力センサ  作成者  材料技術部 薄膜材料グループ  日下忠興  Phone:0725−51−2670

 発行日  2003年10月31日

参照

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