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高齢者の自己受容感覚と認知機能の関連

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2017 年度新潟リハビリテーション大学大学院修士論文

高齢者の自己受容感覚と認知機能の関連

Relationship Between Proprioception and Cognitive Function of The Elderly

新潟リハビリテーション大学大学院 リハビリテーション研究科 リハビリテーション医療学専攻

高次脳機能障害コース 学籍番号 G16101

門田義弘

指導教員 道関 京子 教授

提出日

2018 年 1 月 25 日

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Niigata University of Rehabilitation Graduate School of Rehabilitation

Master’s Thesis in 2017

Relationship between Proprioception and Cognitive Function of the Elderly

Department of Brain Function Disorder Graduate School of Rehabilitation Niigata University of Rehabilitation University Register Number G16101

Yoshihiro Kadota

Advisor Keiko Doseki

Date of Submission

January 25, 2018

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修士論文の要旨

学位の種類 修 士 氏 名 門田 義弘

修士論文課題

高齢者の自己受容感覚と認知機能の関連

研 究 目 的

近年、リハビリテーション医療において認知症の予防と改善が重要な課題 の1 つとなっている。リハビリテーションとして実施する非薬物療法の報告 は多いが、まだ十分な科学的根拠は認められていない。リハビリテーション を組み立てる立場から、神経認知障害および社会的認知障害を構造的にとら えた場合、その基本的な認知機能として自己受容感覚の確立が重要であると 全体構造法(JIST)では言われてきた。しかし、自己受容感覚低下が神経認 知障害や社会的認知障害の基礎にあるかどうかの報告はまだない。

そこで、本研究の目的は、視覚と聴覚の様式ごとに高齢者の自己受容感覚 での認知能力(以下、自己受容認知)を調査し自己受容感覚低下が神経認知 障害や社会的認知障害の基礎にあるかどうかを明らかにすることとした。

対 象・方 法

介護老人保健施設を利用する高齢者を対象とした。認知症の診断の有無と 改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)のカットオフ値を基準に、認 知症群36名(85.5±4.8 歳 HDS-R 12.0±4.4 点)と対照群 36名(83.8±8.4

歳 HDS-R 25.3±2.6 点)を選定した。また、認知症群には N 式老年者用精

神状態尺度(NM スケール)にて4 段階の重症度評価を実施した。

視覚刺激の自己受容認知調査では、自身の両上肢を視認できない環境下で 両上肢や手指の画像を提示し、なるべく早く模倣させることで調査した。提 示画像は手指の運動 3つに、両上肢の交差や片手の裏返しを加え、全てで 9 課題とした。採点に各因子の模倣の正答率と総反応時間の2 つを算出した。

聴覚刺激の自己受容認知調査では、プロソディを含んだ話し言葉を提示 し、イントネーションとリズムについて上肢や手指の分節的な運動表現で調 査した。提示音声はイントネーション、リズムともに 5課題とし、採点に音 節数と各因子の正答率を算出した。統計解析は群間の差にMann-WhitneyU 検定を用い、群内の差の検定にはWilcoxon の符号付き順位検定、Friedman 検定を用いた。認知機能と自己受容認知の関連にはSpearman の順位相関係 数を用いて検討した。全て測定項目における有意水準は 0.05未満とした。

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結 果

対象の男女比及び平均年齢に有意差は認めなかった。HDS-Rは群間で統 計的な有意差を認めた。認知症群の自己受容認知は、視覚刺激、聴覚刺激と もに有意に低下していた。また、両群ともに視覚刺激に比し、聴覚刺激が有 意に低下していたが、認知症群は聴覚刺激の低下の程度が著しかった。認知 症群は視覚刺激の自己受容認知には、対照群の約2 倍の時間を要した。

視覚刺激の自己受容認知では、両群ともに片手の裏返しが他因子と比較し 有意に低下し、認知症群ではその低下の程度が著しかった。聴覚刺激の自己 受容認知では、両群ともにリズムに比べてイントネーションが有意に低下 し、認知症群ではその低下の程度が著しかった。

認知症群は HDS-Rと自己受容認知や、NM スケールと総反応時間に中等 度の正の相関を認めた。また、NM スケールと自己受容認知にも中等度の負 の相関を認めた。対照群では HDS-Rと聴覚刺激の自己受容認知にのみ中等 度の正の相関を認めた。全体ではHDS-Rと視覚刺激の自己受容認知に中等 度の正の相関を認め、HDS-Rと聴覚刺激の自己受容認知には非常に強い正 の相関を認めた。HDS-Rと総反応時間にも非常に強い負の相関を認めた。

考 察

人は外界を認知する際、様々な感覚刺激の入力を自己受容感覚で捉え、情 報へと変換し環境との相互関係を構築している。本研究で示された認知症群 の自己受容認知の低下やその過程で要した時間の差は、認知症者の自己受容 感覚低下を示唆していると考えられた。また、入力様式の違いにより生じた 差については、各様式の自己受容感覚で捉えることに関する要因の複雑さが 関与していると考えられた。本研究での認知症群の測定値は、全ての項目で 対照群と比べ標準偏差が大きかった。これは認知症者の症状には質的な多様 性が存在しており、それを反映したものと推察された。

今後、リハビリテーションにおける各様式の順位性や、それらが認知症者 の症状における質的な多様性に与える影響を明らかにし、認知症者に対する 全体構造法(JIST)の科学的な効果を検討していきたい。

結 論

高齢者の自己受容感覚を分節的な自己運動を指標に調査した結果、認知症 者では有意に自己受容感覚が低下し、入力様式の違いにより刺激を捉える過 程に差が生じた。また、認知機能と自己受容感覚には相関を認め、認知症者 の神経認知障害や社会的認知障害の基礎には自己受容感覚の低下があり、全 体構造法(JIST)による高齢者支援プログラムの意味的基盤が示唆された。

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目次

緒言 --- - 6

方法 --- - 7

1.対象 --- 7

2.本研究における自己受容感覚という用語の定義 --- 7

3.調査環境 --- 8

4.視覚刺激の自己受容認知調査 --- 8

4-1 手順 --- 8

4-2 提示画像 --- 8

4-3 採点方法 --- 8

5.聴覚刺激の自己受容認知調査 --- 9

5-1 手順 --- 9

5-2 提示音声 --- 9

5-3 採点方法 --- 9

6.統計学的解析 --- 9

7.倫理的配慮 --- 10

結果 --- 10

1.様式別自己受容認知の比較 --- 10

2.視覚刺激の因子別自己受容認知の比較 --- 10

3.聴覚刺激の因子別自己受容認知の比較 --- 11

4.認知機能と自己受容認知の相関 --- 11

考察 --- 11

1.認知症群の自己受容感覚低下 --- 11

2.入力様式により生じた自己受容認知の差 --- 12

3.視覚刺激の因子別自己受容認知 --- 13

4.聴覚刺激の因子別自己受容認知 --- 14

5.本研究の課題 --- 15

6.本研究の意義と今後の展望 --- 15

結論 --- 16

引用文献 --- 18

謝辞 --- 21

図表 --- 22

Abstract --- 31

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緒言

2025 年には 65 歳以上の 5 人に 1 人が認知症を有する 1)と推計されており、

認知症の治療研究については国民的関心も高い。リハビリテーション医療にお いても認知症の予防と改善が重要な課題の一つとなっており、認知症の予防や、

認知症患者の認知機能維持・向上に関する様々な研究がなされている。

リハビリテーションとして実施する非薬物療法の報告例は多く、その内容も 神経認知に対する訓練(現実見当識訓練 2-3)・認知機能訓練 4)・デュアルタスク 訓練 5))や生理学的訓練(運動療法 6-7))、精神療法的訓練(回想法 8)・音楽療法

9))など多岐に及ぶ。しかし、これらの非薬物療法は本邦の認知症疾患治療ガイ ドライン 201710) において推奨こそされているが、そのグレードは C(弱い推 奨、弱い根拠)と低く、十分な科学的根拠は認められていない。

また、認知症者本人ではなく、周囲で支える介護者や地域に対する課題探求 や検討、研究 11-13)も多い。山口ら 14)も脳活性化リハ 5原則をと称し、どのよう な介入技法を選択するかよりも、職員の介入の方法論を統一するなどどのよう に認知症者に関わるかという視点を持つことの重要性を報告している。

このような受け身による症状改善を目指すのではなく、意識的な気づきとい う、人間活動の基本からその人の自己を取り戻すことに注目したのが道関 15)で ある。道関は、全体構造法(JIST)を基盤にした高齢者支援プログラムを開発 し、通所リハビリテーション利用者に同プログラムを施行したところ、コミュ ニケーションの土台である発話意欲や発声、プロソディの改善を認めたと報告 している。また、望月ら 16)も、同プログラムを通所リハビリテーション利用者 77 名へ 3カ月施行し、認知症の行動観察尺度を用いて軽度~重度まで重症度の 異なる集団での効果や、重度群での著しい改善率を認めたと報告している。

リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン を 組 み 立 て る 立 場 か ら 、Diagnostic and Statistical manual of Mental disorders-V(DSM-5)の判定基準にある神経認知障害およ び社会的認知障害 17)を構造的にとらえた場合、その基本的な認知機能として自 己受容感覚の確立が重要であると全体構造法(JIST)では言われてきた。つま り、同プログラムは自己受容感覚を基軸に環境間での知覚構造化を発展させる

18)ことをコンセプトに構成されている。しかし、自己受容感覚の低下が神経認

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知障害や社会的認知障害の基礎にあるかどうかの報告はまだない。

そこで、本研究の目的は、視覚と聴覚の様式ごとに高齢者の自己受容感覚で の認知能力(以下、自己受容認知)を調査し、自己受容感覚の低下が神経認知障 害や社会的認知障害の基礎にあるかどうかを明らかにすることとした。

方法 1.対象

2017年 5 月から 7 月に、介護老人保健施設を利用した要介護高齢者を対象と し た 。 そ し て 認 知 症 の 診 断 の 有 無 と 改 訂 長 谷 川 式 簡 易 知 能 評 価 ス ケ ー ル 19)

(HDS-R)のカットオフ値の 2つを基準に、対照群と認知症群を選定した。対

照群は認知症の診断がなく、HDS-R が 21 点以上の者とし、認知症群は認知症 と診断され、HDS-Rが 20 点以下の者とした。

本調査施行の方法を鑑み、両上肢に調査実施困難な程度の運動麻痺や疼痛、

関節可動域制限を有す者、座位保持が困難な者、調査に支障をきたす程度の難 聴や視力低下がある者はあらかじめ対象から除外した。最終的に対照群 36名と 認知症群 36名の合計 72名を対象とした。

認知症群の原因疾患の内訳は、アルツハイマー型認知症(AD)30 名(83.3%)、

血管性認知症(VaD)5 名(13.8%)、レビー小体型認知症(DLB)1 名(2.7%)

であった。また、認知症群には N 式老年者用精神状態尺度 20)(NM スケール)

にて 4段階の重症度評価(境界:4名 軽度:10名 中等度:12 名 重度:10名)

を実施した。NM スケールは筆者と施設担当職員 1 名の合議の上決定した。

2.本研究における自己受容感覚という用語の定義

自己受容感覚(proprioception)とは、筋、腱、関節、前庭にある固有感覚器 からの運動や位置についての情報によって起きた感覚であると Sherrington21) により定義された。しかし、主観的な体験は定義しにくい。また、主にこれら受 容器が貢献するのは運動感覚であるため、これら運動感覚と一部皮膚受容器か らの情報を加えて成立する複合的な感覚であるとする考えが現在一般的 22)とさ れる。

そして、これを意識できない生理学レベルとしては身体図式、意識できるレ

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ベルとしては自己身体イメージとして 23)考えられてきたが、本研究では自己受 容感覚をこのような階層性のあるもの 24)として捉えていくこととした。

このような自己受容感覚の現在の解釈に従い、それ自体は確認することがで きないため、視覚、聴覚それぞれの様式からの刺激を、パターンや印象ではな く、分節的にどの程度自己運動で認知できているかをもってその指標とした。

3.調査環境

調査は、関東地方にある介護老人保健施設の言語聴覚室にて実施した。

4.視覚刺激の自己受容認知調査 4-1 手順

A3サイズに印刷した両上肢や手指の画像を提示し、なるべく早くその画像通 りに自身の両上肢および手指で模倣するよう教示した。画像は対象者から見え る自身の両上肢や手指の向きと同じ方向で提示した。そして、机上に設置した 箱の中で上肢や手指を操作してもらい、自身の両上肢を視覚的に確認できない ようにした。(図 1)なお、本調査前には、調査方法に慣れてもらうため十分な デモンストレーションを実施した。

4-2 提示画像

手指の模倣は、重度者でも実施可能なように心像性の高い「グー」「チョキ」

「パー」の 3 つとした。それに両上肢の交差を加えたものを 6 課題、さらに片 手の裏返しを加えたものを 3 課題用意し、全施行数は 9 課題とした。(図 2)

4-3 採点方法

質的データとして模倣の正確性、量的データとして反応時間(秒)の 2 つを 測定した。模倣の正確性は、画像ごとに右手・左手・両上肢の交差・片手の裏返 しの各因子が正確に模倣できた場合に 1 点を加点し、各因子と全体の正答率を 算出した。反応時間については、画像ごとに提示から反応終了時までの時間を 測定し、9 課題の総反応時間を算出した。調査の様子は全てビデオ録画し、採点 は後日動画解析にて実施した。

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5.聴覚刺激の自己受容認知調査 5-1 手順

事前に録音したプロソディを含んだ音声を提示し、イントネーションとリズ ムについて、上肢や手指の分節的な運動表現の能力を調査した。音声はスピー カー(株式会社ロジクール社製 Stereo Speakers Z120 Z120BW)にて出力し、

被験者が十分聴取できる音量で提示した。運動には利き手を用いた。

イントネーションは音節単位で机を手指で打ち、イントネーションが上がっ たところで手を高くあげるよう教示した。(図 3)リズムは促音を含んだ話し言 葉を提示し、促音の休止を取り込んだ音節単位でリズミカルに机を手指で打つ よう教示した。(図 4)なお、視覚刺激の自己受容認知調査同様、本調査前に調 査方法に慣れてもらうため、十分なデモンストレーションを実施した。

5-2 提示音声

2 音節から4音節のそれぞれ異なるイントネーションやリズムを含む話し言 葉とした。(図 5)イントネーション、リズムともに 5課題ずつ、全施行数は 10 課題とした。

5-3 採点方法

リズムについてはリズムと音節数の正確性を測定した。それぞれ、正確に表 現できれば 1 点を加点し、計 10点の正答率を算出した。イントネーションにつ いてもイントネーションと音節数の正確性を測定し、リズムと同様にそれぞれ 正確に表現できれば 1点を加点し、計 10 点の正答率を算出した。なお、視覚刺 激の自己受容認知調査と同様、調査は全てビデオ録画し、採点は後日動画解析 にて実施した。

6.統計学的解析

認知症群と対照群の各因子の差の検定には Mann-WhitneyU 検定を用いた。

群内の差の検定には Wilcoxon の符号付き順位検定、Friedman 検定を用いた。

さらに、認知機能(HDS-R、NM スケール)と自己受容認知の関係を検討す

るために Spearman の順位相関係数を用いて統計処理を行った。統計処理には

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統計ソフト IBM SPSS Statistics Version24(IBM Japan)を使用し、有意水準 は 0.05 未満とした。

7.倫理的配慮

研究参加に際し、文書と口頭で研究内容の説明を行い、書面にて同意を得て 調査を実施した。なお、本研究は、新潟リハビリテーション大学倫理委員会の承 認を得て実施した。(承認年月日:2017年 3 月 15日 承認番号:106)

結果

対象の内訳を表1 に示す。男女比及び平均年齢に有意差は認めなかった。

HDS-R は群間で統計的な有意差を認めた(p<0.001)。

1.様式別自己受容認知の比較

2 群間の様式別自己受容認知の結果を表 2 に示す。認知症群の自己受容認知 は 、 対 照 群 と 比 較 す る と 視 覚 刺 激 、 聴 覚 刺 激 と も に 有 意 に 低 下 し て い た

(p<0.001)。また、両群ともに視覚刺激に比べて聴覚刺激が有意に低下してい

たが(p<0.001)、認知症群は視覚刺激に比べ、聴覚刺激の低下の程度が著しか った(視覚刺激:-14.6% 聴覚刺激:-33.2%)。

両群の総反応時間を表 3 に示す。認知症群は対照群と比べて、視覚刺激の自 己受容認知に約 2倍の時間を要した。

2.視覚刺激の因子別自己受容認知の比較

視覚刺激の因子別自己受容認知の結果を表 4 に示す。認知症群の視覚刺激の 因 子 別 自 己 受 容 認 知 は 、 対 照 群 と 比 較 す る と 全 因 子 で 有 意 に 低 下 し て い た

(p<0.001)。また、両群ともに片手の裏返しは他因子と比較し有意に低下して

いたが(p<0.001)、認知症群は他因子と比べ、片手の裏返しの低下の程度が著

しかった(認知症群:-29.4 % 対照群:-15.8 %)。

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3.聴覚刺激の因子別自己受容認知の比較

聴覚刺激の因子別自己受容認知を表 5 に示す。認知症群の聴覚刺激の因子別 自己受容認知は、対照群と比較すると有意に低下していた(p<0.001)。

また、両群ともにリズムとイントネーションを比較すると、イントネーショ ンの自己受容認知は有意に低下していたが(p<0.001)、認知症群はイントネー ションの低下の程度が著しかった(認知症群:-23.1% 対照群:-11.7%)。

4.認知機能と自己受容認知の相関

認知機能(HDS-R、NM スケール)と自己受容認知や総反応時間の相関を図 6-図 9に示す。

認知症群は HDS-R と自己受容認知(視覚刺激・聴覚刺激)、NM スケールと 総反応時間に中等度の正の相関を認めた。また、NM スケールと自己受容認知

(視覚刺激・聴覚刺激)においても、中等度の負の相関を認めた。

対照群では HDS-R と総反応時間や視覚刺激の自己受容認知に相関は認めら れず、HDS-R と聴覚刺激の自己受容認知にのみ中等度の正の相関を認めた。

被験者全体では HDS-R と視覚刺激の自己受容認知に中等度の正の相関を認 め、HDS-Rと聴覚刺激の自己受容認知には、非常に強い正の相関を認めた。そ して、HDS-R と総反応時間には、非常に強い負の相関を認めた。

考察

1.認知症群の自己受容感覚低下

本研究の結果において、認知症群の自己受容認知は、視覚刺激、聴覚刺激とも に対照群と比較し有意に低下していた。そして各様式の刺激を捉える過程にも 対照群の約 2 倍の時間が必要であった。また、認知機能と自己受容認知には一 定の相関を認め、認知機能が重度であるほど自己受容認知は低下し、刺激を捉 える過程にもより多くの時間を必要としていた。

大東 24)によると、すべての感覚入力は自己感覚と融合して意味を持つとされ ている。人は外界を認知する際、様々な感覚刺激の入力を自身の身体、つまり自 己受容感覚で捉え、情報へと変換し環境との相互関係を構築していることにな

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る。本研究で示された認知症群の自己受容認知の低下や、その過程で要した時 間の差は、認知症者の自己受容感覚低下を示唆していると考えられた。

また、自己受容感覚は環境との相互関係を構築する過程で、身体表象を形成 し、種々の感覚によってもたらされる刺激を捉え、身体の空間像として意識さ れるよう媒介する役割 24)も果たしている。他者の言葉、表情、行動からその意 思や感情を推察することは、自身の身体、そして身体表象があり、初めて可能に なることである。これらから、神経認知障害や社会的認知障害の基礎には、自己 受容感覚低下が存在すると推察された。

また、本研究における認知症群の自己受容認知の結果には、1 つの特徴がみら れた。それは標準偏差の大きさである。対照群の場合、標準偏差が大きかった課 題は他と比べて正答率も低く、後述する聴覚刺激の自己受容認知や視覚刺激で の片手の裏返しなど、課題自体の難易度が高いと思われるものだけであった。

しかし、認知症群では全てにおいてそれが顕著であり、両群ともに比較的高 い正答率を示した視覚刺激の自己受容認知でさえ、認知症群の標準偏差は、対 照群の約 6 倍であった。

では、これは何を意味しているのであろうか。考えられるのは、認知症者が示 す症状の質的な多様性である。アルツハイマー病の発症には、その疾患特有の 脳病変だけで決まるのではなく、加齢に伴う他の脳病変や、栄養、運動、家族や 住環境といった多様な因子も影響する 25-26)とされる。また、実際の臨床場面で は、多面的かつ、患者の個別性に合わせた介入方法の選択が重要 27)ともされる。

これらの先行研究は、認知症の発症過程やその症状、そして介入方法に質的 な多様性が含まれていることを示している。様々な原因疾患から生じる認知機 能障害の症候群である認知症の基礎に、自己受容感覚低下があることは前述し た。つまり、本研究で示された認知症群の標準偏差の大きさ、つまり症状の質的 な多様性についても、自己受容感覚が関与している可能性が考えられた。

2.入力様式により生じた自己受容認知の差

本研究の結果では両群ともに視覚刺激に比べ聴覚刺激の自己受容認知で有意 な低下を示した。これは入力様式の違いだけを意味しているのではなく、聴覚 刺激を自己受容感覚で捉えることに関する要因の複雑さが関与していると考え

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られた。まず、言語音を聞くということは、必然的に空間とも触れ合う行為 28) であり、空間的、時間的な分節化が必要な高度で力動的なもの 29)とされる。人 間は時間感覚そのものにはセンサーがなく、運動によってのみ感じられる感覚 である 28)ため、その運動時間の要素も自己受容感覚で捉える必要が生じること になる。つまり、視覚刺激は静止している空間の認知であり、3 次元の構成要素 を自己受容感覚で捉えることになるが、聴覚刺激はそれらに時間感覚という要 素が加わり、4次元の構成要素を捉えていくことになる。よって、その聴覚刺激 ではより高度な自己受容感覚の参加が求められる。

また、Gladic30)により示された感覚の階層では、全ての感覚の基礎となる土台

に自己受容感覚が存在し、その上層に触覚、味覚、嗅覚、視覚と続き、最上層に 聴覚が存在するとされている。つまり、聴覚刺激を自己運動で分節的に表現し ていくことは、土台に位置する自己受容感覚を用いて、最上層にある聴覚刺激 を捉えていくことであり、難易度の高い課題であったと推察できる。

本研究で自己受容感覚の低下している認知症群のみならず、対照群において も聴覚刺激の自己受容認知で低下を認めた要因は、本課題の聴覚刺激を自己受 容感覚で捉える難しさを反映した結果と考えられた。

3.視覚刺激の因子別自己受容認知

視覚刺激の自己受容認知を因子別に分析すると、両群ともに片手の裏返しで 有意な低下を認め、その低下の程度は認知症群で著しかった。この点について は片手の裏返し課題自体の複雑性、そして、視覚認知の情報処理という 2 つの 要因が影響している可能性があると思われた。

まず 1 つめの要因である片手裏返し課題の複雑性について考察する。本研究 で課した視覚刺激の自己受容認知は、自身の上肢や手指を視認できない環境下 で、自己受容感覚のみに依存し視覚刺激を再生するものであった。まず、左右の 手指模倣や両上肢の交差という因子に、片手の裏返しという因子が加わったこ とで、タスクが 1 つ増えることになった。また、裏返しが左右どちらか一側の みであり、さらに腕の交差が加わる場合は自身の正中線を横断する模倣となり、

そして上肢と手指の回転を必要とすることにもなった。

これらを捉えるためには、より高い自己受容感覚を伴った注意機能 31)の参加

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が必要となることを意味しており、このような課題自体の複雑性が、両群とも に他因子と比較し有意な低下を示した要因と考えられた。

次にもう1つの要因と考えられる視覚認知の情報処理という点から考察する。

視覚情報はまず、視覚第 1 次領域(V1)で局所的な視覚特徴が検出される。そ の後、背側経路と腹側経路という 2 つの異なる情報を処理する並列経路に分離 され、最終的には多感覚と空間的に再統合し、より抽象的な視覚パターンの検 出に至る 32)とされている。しかし、Russo ら 33)は錯綜図という非言語的な視空 間認知検査を用いた研究において、言語障害の有無やその重症度の関与を報告 している。これは、視覚的パターンの再統合には主に右半球で行われる視空間 認知のみではなく、左半球で行われる分析的な認知機能や概念認知としての言 語機能も関与していることを示している。つまり、片手裏返し課題は、視空間認 知による動作課題だけではなく、抽象的な概念である言語機能を反映する課題 ということになる。

よって、認知症群は分節的な認知機能や抽象的な概念である言語機能の低下 により、視覚的パターンの再統合が難しく、その結果として片手裏返しの課題 で著しい低下を示したと考えられた。

4.聴覚刺激の因子別自己受容認知

聴覚刺激の因子別自己受容認知を分析すると、両群ともにリズムに比べイン トネーションで有意な低下を認め、認知症群ではその低下の程度が著しかった。

リズムとは、音楽心理学の観点からは最も根源的な要素とされ、音の時間的 進行の構造を有すことでメロディやハーモニーを知覚する際に重要な役割を果 たす 34)とされる。また、現象学的観点からも聴覚形象については、空間極が時 間極に依存する 29)とされている。一方、イントネーションとは、発話の流れに 沿って生じる音の高さ(ピッチ)の変化であり、その認知には時間現象を基礎 に、空間現象を自己受容感覚で捉えることが必要となる。しかし、空間において は運動の基点が自由となるため、より高度な自己受容感覚の安定が求められる。

よって、本研究の聴覚刺激を自己身体で分節的に捉える課題では、リズムよ りもイントネーションを捉えることの方が難しく、特に自己受容感覚が低下し ている認知症群では、より顕著にその結果が反映されたと考えられた。

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5.本研究の課題

本研究の課題について考察する。課題は対象の選定と自己受容感覚を評価す る指標の 2 つと考えている。

まず、対象者の選定について考察する。本研究では対象の選定基準に認知症 診断の有無と HDS-Rのカットオフ値を用いた。それ故に原因疾患のタイプの統 制が厳密になされておらず、80%以上が AD ではあったが VaD や DBL も混在 した。また、HDS-R のカットオフ値を用いたことで、対照群に軽度認知障害

(MCI)者が混在した可能性も否定できない。

次に、自己受容感覚を評価する指標について考察する。本研究では直接確認 できない自己受容感覚について、分節的な自己運動を指標に評価した。特に視 覚刺激においては上肢や手指の模倣を用い、その正確性を自己受容感覚に依存 すると解釈した。しかし、Rizzolatti ら 35)はサルの実験により、自己の運動と 他者の運動の視覚刺激に共通して反応するミラーニューロンを報告している。

ミラーニューロンは、近年の fMRI を用いた脳イメージング研究 36-37)で、ヒト においてもその存在が明らかとなっており、下頭頂小葉(Brodmann 39野、40 野)やブローカ野(Brodmann 44 野)が他人の運動観察や運動の模倣に関与す ることが示されている。一方で Coslett ら 38)は、自己受容感覚の障害である身 体表象障害と、脳損傷部位の調査を行い、多感覚の統合には能動性と関連する 前頭葉背側部と聴覚知覚と関連する中心側頭葉(Brodmann 37 野)が重要であ ると報告している。

これらから、本研究で用いた分節的な自己運動という指標や、自己受容感覚 に依存した結果の解釈が妥当であったかは、今後さらなる検討の余地が残され ている。しかし、著者はどのような動作も、そこに意識活動が介入するのであれ ば、単に鏡としての模倣ではなく、高次脳機能が必要であり、その動作の基礎に は自己受容感覚が影響していると考えている。

6.本研究の意義と今後の展望

最後にリハビリテーションを組み立てる立場から、本研究の意義や今後の展 望について考察する。本研究の意義は、認知症者の示す神経認知障害や社会的 認知障害の基礎に自己受容感覚低下があることを示唆したことである。もちろ

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ん、これらは自己受容感覚に関する現在までの数多くの知見や臨床上、認知症 者の示す多様な症状を分析することにより、推察することが可能であった。し かし、実際の認知症者を対象とした自己受容感覚の研究報告はみつけられず、

本研究で得られた知見は、認知症の臨床に寄与できるものと思われる。

特に自己受容感覚を基軸に環境間での知覚構造化を発展させる 18)ことをコン セプトに開発した、全体構造法(JIST)による高齢者支援プログラムの意味的 基盤を示唆したことは重要と考えている。

しかし、本研究はそのまま認知症者のリハビリテーションに結びつくもので はない。認知症者の示す症状の基礎に自己受容感覚低下が存在することや、視 覚刺激や聴覚刺激をその自己受容感覚で捉える過程の差を明らかにしたにすぎ ない。実際のリハビリテーションにおいては、比較的容易であった視覚刺激を 捉えていくことから始めたほうが良いのか、それとも難易度の高い聴覚刺激か らが良いのか、またはその両方かなど、各様式の順位性の検討が必要である。ま たそれらは、認知症者の症状における質的な多様性に、どのような影響を与え るのかということを含めて分析していくことも必要と考えている。

失語症の治療法として体系化されてきた全体構造法(JIST)の他領域への適 応研究は、近年始まったばかりである。全体構造法(JIST)が認知症者のリハ ビリテーションに貢献するため、同プログラムの内容構成や科学的な効果につ いて今後も検討していきたい。

結論

本研究では、直接観察することができない高齢者の自己受容感覚について、

視覚刺激、聴覚刺激を用いて、分節的な自己運動を指標に調査した。その結果、

以下の結論を得た。

1)認知症者では有意に自己受容感覚が低下していた。

2)感覚刺激の入力様式の違いにより、その刺激を捉える過程に差が生じた。

3)認知症者は感覚刺激を捉える過程にはより多くの時間が必要であった。

4)認知機能と自己受容感覚には一定の相関を認め、認知機能が重度であるほ

(17)

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ど自己受容感覚は低下し、感覚刺激を捉える過程にもより多くの時間が必 要であった。

5)認知症者の神経認知障害や社会的認知障害の基礎には自己受容感覚低下が あり、全体構造法(JIST)による高齢者支援プログラムの意味的基盤が示 唆された。

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18

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(21)

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謝辞

本研究の実施と論文作成にあたり、新潟リハビリテーション大学大学院、リ ハビリテーション研究科教授の道関京子先生から丁寧かつ熱心なご指導賜りま した。また、同研究科教授の大澤源吾先生、ならびに同研究科教授の伊林克彦先 生からは副査として論文作成にあたり、大変有益なご助言を賜りました。ここ に深謝の意を表します。そして、本研究参加に際し、被験者を快く引き受けてく ださり、ご協力いただいた介護老人保健施設のご利用者およびご家族へ、心か ら感謝の気持ちと御礼を申し上げます。

(22)

22

図 1 視覚刺激の自己受容認知調査の設定

(23)

23

A-1 A-2 A-3

A-4 A-5 A-6

B-1 B-2 B-3

図 2 視覚刺激の自己受容認知調査に用いた提示画像と条件

A-1:両上肢の交差:なし 右:グー 左:チョキ A-2:両上肢の交差:なし 右:チョキ 左:パー A-3:両上肢の交差:あり 右:グー 左:パー A-4:両上肢の交差:なし 右:パー 左:グー A-5:両上肢の交差:あり 右:パー 左:グー A-6:両上肢の交差:あり 右:グー 左:チョキ

B-1:両上肢の交差:なし 右:パー 左:グー 裏返し:右手 B-2:両上肢の交差:あり 右:グー 左:チョキ 裏返し:左手 B-3:両上肢の交差:あり 右:グー 左:パー 裏返し:左手

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図 3 聴覚刺激の自己受容認知調査の手順(イントネーション)

図 4 聴覚刺激の自己受容認知調査の手順(リズム)

図 5 聴覚刺激の自己受容認知調査の提示音声

例) だ め ね

○ ○ ●

ま っ て て

1.イントネーション 2.リズム

いつ? ○● かった。 ○・○

いくよ。 ○●○ うたって! ○○・○

だめね。 ○○● まってて! ○・○○

やれやれ。 ○○●○ やってるよ。 ○・○○○

わたして? ○○○● ごゆっくり。 ○○・○○

(25)

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表1 対象の内訳

人数(名) 男・女(名) 年齢(歳) 年齢の範囲(歳) HDS-R(点)

認 知 症 群 36 13・23 85.5±4.8 74~97 12.0±4.4 対 照 群 36 13・23 83.8±8.4 58~101 25.3±2.6

認知症群の原因疾患:AD 83.3% VaD 13.8% DLB 2.7%

N式老年者用精神状態尺度 の重症度評価:境界4軽度10中等 度12重 度 10 数値(年齢・HDS-R):平均値±標準偏差 HDS-R:改 訂長谷川式簡易知能評価スケール HDS-Rの比較:Mann-WhitneyU検定 p:*<0.05 **<0.01 ***<0.001 n.s.:有意差なし

表 2 様式別自己受容認知の比較

認知症群 n36 対照群 n36 p 視覚刺激(%) 82.0 ±19.1 96.6 ±3.6 ***

聴覚刺激(%) 50.6 ±19.0 83.8 ±10.6 ***

p *** ***

数値:正答率の平均±標準偏差 群間の比較:Mann-WhitneyU検定

群内の比較:Wilcoxonの符 号付き順位検定 p:*<0.05 **<0.01 ***<0.001

表 3 群間の視覚刺激における総反応時間の比較

認知症群 n36 対照群n36 p 総反応時間(秒) 48.0 ±16.2 23.8 ±4.6 ***

数値:総反応時間の平均±標準偏差 群間の比較:Mann-WhitneyU検定 p:*<0.05 **<0.01 ***<0.001

n.s. ***

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26

表 4 視覚刺激の因子別自己受容認知の比較

認知症群 n36 対照群 n36 p 交 差(%) 86.1±16.8 97.2±6.7 ***

右 手(%) 85.1±24.0 98.7±3.5 ***

左 手(%) 83.6±22.1 98.7±4.4 ***

片手の裏返し(%) 55.5±28.7 82.4±25.8 ***

数値は正答率の平均±標準偏差 群間の比較:Mann-WhitneyU検定

群内の比較:Friedman検 定 p:*<0.05 **<0.01 ***<0.001 n.s.:有意差 なし

表 5 聴覚刺激の因子別自己受容認知の比較

認知症群 n36 対照群 n36 p リ ズ ム(%) 62.2±23.7 89.7±12.5 ***

イントネーション(%) 39.1±19.7 78.0±15.8 ***

p *** ***

数値:正答率の平均±標準偏差 群間の比較:Mann-WhitneyU検定

群内の比較:Wilcoxonの符 号付き順位検定 p:*<0.05 **<0.01 ***<0.001

***

n.s.

***

n.s.

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図 6 HDS-R と自己受容認知の相関

(28)

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図 7 NM スケールと自己受容認知の相関

(29)

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図 8 HDS-R と総反応時間の相関

(30)

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図 9 NM スケールと総反応時間の相関

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Relationship between Proprioception and Cognitive Function of the Elderly

Yoshihiro Kadota

Department of Brain Function Disorder Graduate School of Rehabilitation Niigata University of Rehabilitation

In recent years, the prevention and amelioration of dementia is one of the important tasks. In the neurocognitive disorders and social cognitive impairment, Japan Institute for Speech Therapy (JIST) has said that it is important to establish proprioception as a basic cognitive function. However, there is no report on whether the decline in proprioception is the basis of neurocognitive impairment or social cognitive impairment. The purpose of this study was to clarify them.

The subjects were elderly people in a nursing home. Based on the presence or absence of diagnosis of dementia and the cutoff value of Hasegawa's Dementia Scale-Revised (HDS-R), a dementia group (13 men / 23 women / mean age 85.5±4.8 years) and a control group (13 men / 23 women / mean age 83.8±8.4 years) were extracted. We investigated the cognitive ability of visual stimuli and auditory stimuli with self-motion as an index, because we can’t directly confirm proprioception. In the experiment of visual stimulation, in the situation where the upper limbs and fingers were not visible, imitation of upper limbs and fingers was performed. In experiments of auditory stimulation, we examined how intonation and rhythms of speech including prosody are perceived by self-motion.

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In the results of this study, proprioception of the dementia group was significantly decreased in both visual stimuli and auditory stimuli (p<0.001).

In addition, the auditory stimulus was significantly lower than the visual stimuli in both groups (p<0.001), but in the dementia group the extent of decrease in the auditory stimulus was remarkable. And in the experiment of visual stimulation, the dementia group required about twice the time of the control group. Also, there was a moderate positive correlation between HDS- R and proprioception (Visual stimuli:rs = 620 / Auditory stimuli:rs = 520).

In conclusion, the basis of neurocognitive disorders and social cognitive impairment of dementia persons has a decline in proprioception, suggesting the semantic basis the elderly support program by the JIST.

図 1  視覚刺激の自己受容認知調査の設定
図 6  HDS-R と自己受容認知の相関
図 7  NM スケールと自己受容認知の相関
図 8  HDS-R と総反応時間の相関
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