韓国政治経済情勢等に関する調査研究報告書
平成20年10月
財団法人国際経済交流財団
委託先:韓国貿易投資研究院(ITI)
この事業は、競輪の補助金を受けて実施したものです。
http://ringring-keirin.jp
韓国政治経済情勢等に関する調査研究
< 目 次 >
< 目 次 >...i
[要約 Executive Summary] ...iv
I. 韓国の政策決定過程の理解: 決定メカニズム...1
1.韓国のFTA 政策決定参加機関及び役割...1
1) 概要...1
2) 意思決定プロセス...2
3) FTA 関連組職...5
4) 国会FTAフォーラム...8
5) 市民団体...9
6) 機関別の役割...9
2.対日本FTA政策に影響を及ぼす主要人事...24
1) FTA 政策決定有力政府人事...24
2) FTAに影響力を及ぼす民間人士...25
3.現政府において諸政策決定機関の協議慣行及び力学関係(ダイナミズム)...25
4.韓国の政策決定構造が日韓FTAに与える示唆点...26
II. 韓国の主なエコノミックス・ポリシーに関する考察...30
1. マクロ経済政策...30
1) 概要...30
2) 李明博政権の外交ビジョンと目標...31
3) 李明博政権の統一政策(対北朝鮮政策)...33
2. 李明博政権の通商政策...33
3. 李明博政権の対日外交政策の基調と推進環境...34
1) 李明博政権の対日外交政策の基調...34
2) 対日外交政策の推進環境...36
III.日韓FTA交渉の沿革...38
1.韓国のFTA推進現況と現政権の優先順位...38
1) 韓国FTA政策の展開過程...38
2) 発効中のFTA...42
3) 批准過程のFTA...42
4) 交渉中のFTA...43
5) 検討中のFTA...43
6) 李明博政権におけるFTA政策の優先順位...44
2.日韓FTA交渉の中断背景...44
1) 日韓FTA推進の意義とその背景...44
2) 日韓FTA交渉の中断原因...47
IV.日韓FTA交渉再開に対する韓国の立場及び背景...49
1.日韓FTA交渉再開に対する韓国政府の立場...49
1) 日韓FTA政策の再考...49
2) 日韓FTA再開に対する韓国政府の立場...51
2. 韓国政府の立場の背景...56
1) 対日貿易不均衡...56
2) 産業被害...61
3. 韓国民間部門の立場...62
1) 財界(全経連)の立場...62
2) 産業界...68
3) 学界...71
V. 日韓FTA交渉再開のための6月実務会議に係わる日本への提言...73
1. 6月実務会議に係わる韓国政府の予想スタンス...73
1) 名分確保努力...73
2) 強い農業市場開放要求...74
3) 「WTOプラス」スタンスの固守...76
2. 日韓FTA交渉再開のための日本に対する提言...78
1) 農業市場開放に関する意志の表明...78
2) 非関税障壁議論に対する準備...79
3) 開城工業団地の争点論議に対する準備...81
4) 日韓FTA論議の活性化...82
5) 日韓FTA交渉再開のための「早期収獲(early harvest)」検討...83
VI. 日韓FTA交渉開始における日本側の考慮事項...86
1.韓国側の予想戦略及びスタンス...87
1)農業市場の開放...88
2)自動車市場の開放...88
3)非関税障壁(ノンタリフバリアー)の問題...88
4)政府調達市場...89
5)サービス関連分野の人の移動...89
6)投資誘致に関する措置の強化...90
7)開城工業団地(原産地規定)...90
8) 貿易救済に関する規範...91
9) 貿易円滑化...92
2.日韓FTA推進及び妥結のための日本政府の対応方案に関する提案...92
1) 交渉再開のための考慮事項...92
2) 交渉妥結のための考慮事項...93
<参考文献>...97
付録1. FTA政策関連人物略歴...100
付録2. 日韓FTA交渉の進行現況...122
付録3. 米韓FTA交渉の実務者リスト...125
付録4. 韓国政権の人事交代と主要人物の略歴...126
韓国政治経済情勢等に関する調査研究
[Executive Summary]
本研究の目的は、韓国の新政権における経済・通商政策、特にFTA政策を検討することによ って、日本の関心事項である日韓FTA交渉再開のための政策提案をしようとするものである。
本研究の構成は5章で構成されている。まず第Ⅰ章では、韓国の政策決定過程及び政策決定 の力学関係に関する分析を行う。第Ⅱ章では、新政権で推進する主なエコノミックス・ポリ シーに関して考察する。ミクロ経済政策や通商政策、対日外交政策の基調と推進環境などを 概観している。第Ⅲ章では、日韓FTA交渉の沿革を概観し、第Ⅳ章では、日韓FTAの交渉再開 に対する韓国政府及び各界の政策スタンス(選好)を考察している。 第Ⅴ章では、日韓FTA の交渉再開のために開く予定である「6月実務協議」と関連して日本に対する政策提言を示 している。最後に第Ⅵ章では、日韓FTA推進及び妥結のための日本政府の対応方案に関して 提案している。
まず第Ⅰ章で分析している「韓国のFTA政策における決定構図」をみると、FTA政策決定過程 においてリーダーシップを発揮しているアクター(政策決定者)は政府である。FTA交渉に決 定的な影響を及ぼしているのは、政府がどのようなスタンスを持っているかによるものであ る。FTAに関する韓国政府公式の推進機構は「FTA推進委員会」であり、ここで審議を経った 事案は最高議決機構である「対外経済長官会議」で決定するシステムを持っている。この過 程で一番影響力を持つ人物は大統領であり、「通商交渉本部」が大統領の強い支持を基に FTA推進委員会を中心にして迅速なFTA政策を推進している。日韓FTA も韓国政府の全般的 なFTA政策の一環として推進しているもので、対日政策に関与している外交通商部の「アジ ア局(亜洲局)」ではなく、「通商交渉本部」がリーダーシップをとって交渉していく可能性 が高い。しかし、FTA政策を推進している構造は非常に複雑な利害関係に絡まれており、政 府の過度な推進力と独走(独断)はむしろ副作用をもたらすという脆弱性を持っている。また、
最近の米国産牛肉の輸入再開と関連して発生した国内の政治的な対立構造は、今後韓国政府 がFTA政策を推進していく上でより慎重なスタンスを維持し、利害当事者らの意見を幅広く 聴取し(受け入れ)ていく可能性も高いだろうという分析も出されている。
第Ⅱ章では、韓国の主なエコノミックス・ポリシーに関して分析を行った。李明博政権は韓 国経済の先進化のために、「747 政策(ビジョン)」に代弁される「国家経済ビジョン」を提 示している。これは今後の10年(2017年まで)間、年平均7%の成長を維持することで1人当り 国民所得を 40、000ドルに倍増して世界7大経済国(G-7)の仲間入りを果たすというものであ る。構想の目標は、韓国経済の過去10年間の低成長局面からの脱皮と経済先進化であり、そ の実現手段としてFTA政策を積極推進している。持続的な成長による先進経済の具現という 目標を、FTAという政策手段を通じて達成しようとする点で盧武鉉政権の通商政策スタンス
と通じるものである。
第Ⅲ章では、韓国のFTA推進状況と現政権の優先順位などについて分析した。日韓FTA交渉の 沿革を見ると、韓国のFTA政策は盧武鉉政権時代、世界的に拡散していた地域主義(リージ ョナリズム)に一歩遅れたことを取り返すために、主な対外経済政策の柱をFTAとする政策 を立てるようになったことから始まったともいえる。盧武鉉政権はこのような目標に到達す るための具体的戦略として、① 巨大・先進経済圏とのFTA推進、② 包括的で高い水準のFTA 推進、③ 同時多発的なFTA推進、という3つを掲げた。特に、日本とのFTAは推進するに値 する事業妥当性(実利)があったにもかかわらず、国内の与件上積極的に推進しにくいと判断 して、中期(3-5年)の推進課題(2005年の妥結を目標していた)に分類し、日韓FTAを推進す るためには国民的な合意の形成が先決課題であるという政策スタンスを示してきた。以上の 戦略に基づいて、日韓FTAは両国の議論を経て、2003年12月に第1次交渉が始まった。しかし 2004年12月の第6次交渉以来、両国国内の政治・経済的な理由で交渉は中断した。
第Ⅳ章では、日韓FTAの交渉再開に対する韓国政府及び各界の立場を考察した。日韓FTA交渉 が中断されてから、批准を控えている米韓FTA、交渉中のEU-韓FTAなどに比べて日韓FTAは相 手的に、韓国のFTA政策における優先順位が低い状態である。特に、今のところ米韓FTAの批 准案が国会で米韓牛肉協定の再交渉問題をきっかけに承認されないまま、政治的に国内の争 点になっている。一方、EU-韓FTA交渉も当初の予想よりは進行が遅い状態であり、韓国政府 が日韓FTAの交渉再開を積極的に検討するのは厳しい様子である。
これを反映するかのように、政府省庁(省庁)内には日韓FTA交渉再開のための本格的な動 きは出ていない。「通商交渉本部」のFTA交渉に関与する主な関係者(政策エリート)らは、日 韓FTAの必要性について原則的に認めている。しかし、韓日両国がFTA協定の締結によって享 受できる利益がある程度同等な水準を保つ必要があるという前提条件が充たされれば、交渉 を再開できるだろうという非常に愼重な立場を示している。実際に韓日両側は、6月25日に 予定されている「日韓FTA交渉再開の環境醸成のための実務協議」の首席代表を実務者であ る課長級で人選しており、日韓FTA交渉の早期再開が簡単でないことが伺える。李明博政権 は日韓FTA交渉の再開問題を引き続き検討すると予想されるものの、当分の間は積極的に再 開に向けた政策を採る可能性は低いと展望される。
一方、日韓FTAに対する韓国財界の立場をみると、財界は日韓FTAに関する議論の初期には日 本とのFTAに積極的な立場であったが、両国の交渉が徐々に進行されるに従って初期とは違 うやや否定的な立場へ変わったことが伺える。財界を代表する全経連(全国経済人連合会) も、2004年4月や11月に、日韓FTAに対する準備不足の状況で日本と FTAを締結した場合、電 子、機械、自動車、部品産業などほとんどの業種において対日貿易赤字の拡大及び企業への 打撃が予想されると分析している。しかも、韓国の産業構造が低付加価値分野中心に定着し
てしまう可能性もありうると警告していた。また、大韓商工会議所が2007年10月、企業300 社を対象に実施した「FTA関連のアンケート調査結果」によると、日韓FTAが韓国企業にとっ て「不利」という回答が、「有利」という回答よりやや高い割合を占めており(有利:44.5%
< 不利:55.5%)、日韓FTA推進に韓国企業がやや否定的な見解を持っていると思われる。
しかし、両国のFTA交渉が中断して以来、(韓国)全経連などの財界関連団体及び個別企業は 公式的な立場を明らかにしていない。チョ・ソクレ(趙錫來)全経連会長は日韓FTA交渉の中 断以後、2006-2007年の間に日韓FTAを支持する発言を何度も述べてきた経緯がある。しかし、
最近、趙会長は記者会見(2008年4月)で、日韓FTA交渉の再開に非常に愼重な立場を明らか にした。にもかかわらず、全経連は最近対日貿易赤字の改善策への取り組みや日韓FTAに備 えた産業協力の活性化方案などを議論しており、韓国財界も日韓FTA交渉の再開可能性を完 全に排除していない様子である。
韓国の財界と同様に、産業界でも日韓FTAに対して全般的な不安感が漂っている。先進工業 国である日本とFTAを締結する場合、産業間の貿易増加及び規模の経済達成、産業構造の調 整など肯定的効果を期待できるが、韓国経済の構造的な弱点である製造業の両極化の深化、
新しい成長動力の確保において阻害要因として働く可能性の存在などが理由となっている ようである。日韓FTAに対する韓国産業界の利害関係は他業種間ではなく 同一業種間でより 一層の差が現われている。輸出と内需、加工業者と部品業者、大企業と中小企業、規制業種 と非規制業種を比べれば、一律的に判断するのはとても難しいものの、前者は積極的であり、
後者は消極的である。産業全般において日韓FTA締結の際、利益を得る(受恵)業種と被害 業種を大きく分類してみると、精密化学、纎維、鉄鋼、造船、半導体などが前者に、電子、
自動車、一般機械、石油化学などが後者に属し、否定的な効果が相手的に大きいだろうとい う分析がなされている。
日韓FTAに対する韓国の学界動向をみると、韓国政府の関心が米国、EU などとの交渉へ移る ことによって、2004年に日韓FTA交渉が中断した以降数年間、日本とのFTA交渉に対する関心 及び研究が殆どなされていないのも事実である。日韓FTAの交渉再開に対する学界の立場は、
2008年4月の韓日首脳会談を前後して日韓FTAの交渉再開に対する議論が再開されたことか ら、マスコミやセミナー・シンポジウムなどを通じて表明されつつある。最近日韓FTAの交 渉再開に対して、FTA専門家らは日韓FTA交渉が長期的な観点では経済先進化及び東アジア経 済統合などについて韓国に利得をもたらすと予想できるものの、日韓両国間の立場の違いに よって交渉妥結の見込みはそれほど明るくはないとの見解を示している。
第Ⅴ章では、以上の韓国政府及び各界の日韓FTAに関する政策スタンス(選好)に基づいて、
「日韓FTAの交渉再開のための実務協議」と関連して日本に対する政策的示唆(提言)を提 示した。6月25日東京で開催される実務協議で韓国政府が採るスタンスを予想してみると、
何より韓国政府は、今度の予備協議で交渉再開に対する大儀名分を打ち立てようとすると思 われる。国内産業界と一般国民を説得するための国内的名分を立て、急激に変化している通 商環境下での日韓FTAの必要性を浮き彫りにし、対外的名分としては、日韓FTAの交渉が中断 された表面上の理由である日本政府の保守(保護主義)的な農業市場の開放政策など日本政 府の政策転換を要求すると見込まれている。
特に、農水産物分野において韓国は、日本市場が唯一の貿易黒字国となっている特殊性から、
政治的な象徴性も勘案した上で、日本の農業市場開放を非常に強く主張すると予想される。
韓国政府としては最近米国産牛肉の輸入再開問題と関連して発生した政治的な波紋(米国産 牛肉輸入反対をきっかけにした反政府デモ)以降の通商政策に対する信頼性を回復するため に日韓FTAを通じた「農産物輸出の拡大」を試みるとの予想もある。
また、基本的に関税率の交渉では韓国政府が日韓FTAで期待する効果があまり大きくない点 を考慮し、韓国政府はWTOの市場開放水準以上の開放を求める「WTO プラス」原則を固守す ると予想される。したがって、韓国政府は関税引き下げ以外にも投資、政府調逹、技術標準 などいわゆる非関税措置に関連する分野及び人的往来を含めたサービス分野などで市場開 放及び協力システムについて議論しようとするスタンスを取ると予想される。
以上のような韓国政府の予想スタンスに基づいて、日本政府に示唆する政策的考慮事項を提 言する。第一に、日本側は今後の日韓FTA交渉再開のために市場開放の強い意志を是非とも 表明すべきであろう。交渉が再開される場合、交渉中断当時に日本政府が提示した農産物市 場の開放水準以上の市場開放を韓国政府が要求するのは明確である。たとえ、どの位まで開 放水準を拡大できるかに関しては、今後の交渉成果による問題だろうが、日本政府が農水産 物市場に対して既存の政策スタンスを修正して市場開放交渉を進行する意志があることを 明確にすべきであろう。
第二に、韓国政府が日本市場の非関税障壁問題に対する交渉を要求することは不可避だと予 想されており、日本政府はこの点について原則的に議論を拒否するよりは柔軟なスタンスを 取るべきだと思われる。相変わらず韓国が日本への輸出が伸びない原因として日本市場にお ける「非関税障壁」を取り上げていることに、日本政府は反発している。しかし、韓国政府 の非関税障壁に関する問題提起に過度に政治的な解釈や敏感な対応をする場合、交渉再開の ための両国の信頼構築に障害となる可能性が大きい。したがって、日本政府が柔軟に非関税 障壁問題に関する議論を受け入れることによって、交渉再開の際に、韓国市場における様々 な貿易障壁の解消に関する議論を導き出すことができると思われる。
第三に、韓国政府は開城工業団地問題(北朝鮮に所在する南北経済特別団地で生産する製品
の原産地問題)を必ず交渉に含めるために努力すると思われるので、これに対して日本政府 に立場の表明をが求めると思われる。2003年、日韓FTA交渉を開始する前の産・官・学共同 研究会の段階から開城工業団地の生産品を韓国製として認定する問題は非常に敏感な政治 的問題を引き起こした経緯がある。現在韓国の場合、韓-チリFTA発効以降に締結された韓- シンガポールと韓-EFTA、韓-ASEANとのFTAでは域外加工品の制限付き特例扱いを認めること で、開城工業団地を介した加工生産(品)を韓国製品と認定している。
第四に、日韓FTA 再開のためにはまず直接的な利害関係を持つ財界及び両国間における多様 な経済協力機関など日韓FTAの必要性と至急性に関する議論を活性化していく必要があると 思われる。一方、学界及び専門研究者が日韓FTAの経済的利害得失を客観的に分析し、国内 の理解を広める必要がある。また「日韓議員連盟」など政治家たちの対話を通じて共感帯を 形成していく努力も求められる。そして両国は日韓FTAの交渉再開に対する政界の共感帯を 形成していく努力や信頼構築を通じて日韓FTA議論の基礎を確保する必要があるように見え る。また両国は短期的観点や個別産業の利益固守という近視眼的な次元から脱して、日韓FTA 締結のためには時間的な余裕を持って中長期的な観点から推進する雰囲気を醸成する努力 が必要であろう。
第五に、日韓FTA交渉再開のための雰囲気醸成に関連して日本政府が貿易、非貿易部門で中 長期的に、「早期収獲(Early Harvest、先決要求事項)」を考慮するのも一つの方案であろう。
すなわち、韓日両国が譲歩案を提示するにおいて、同じ幅と同じ速度で貿易自由化を進める のではなく、経済力で優位な日本が両国間の経済力の差を認め、韓国側に有利な措置を認め るなど譲歩した場合、友好的な雰囲気醸成に役立つと期待される。また、貿易のサービス部 門に当たる「人力及び技術交流の活性化」のための協力が必要であろう。同時に日本政府は 非貿易部門でも、「ビザ免除の問題」、「在日韓国人の参政権問題」など、韓国にとって日本 に対する友好的な雰囲気の醸成に寄与できると思われる事項も考慮すべきである。最後に、
韓国側が要求する可能性の高い分野である「非関税障壁の解消」、「投資の拡大」、「技術協力」、
「農産物開放」などに関して日本側が具体的に提供・譲歩できる方案及びリストの作成も考 慮しておく必要があると考えられる。
第Ⅵ章では、日韓FTA推進及び妥結のための日本政府の対応方案に関して提案している。現 時点で、FTA交渉の再開と推進のためには何よりも日韓両国政府の推進に関する意志が大事 であろう。まず、交渉の再開のための基礎(準備)作業として、友好的な世論造成や多角的な 広報活動が必要であり、全般的に日韓FTAの推進に対する好意的な環境を整えることが必要 である。したがって、日本政府は日韓議員連盟など、両国の政治権の交流チャンネルを通じ て改めて日韓FTAに関する関心を高める一方、学界及び産業界から交渉再開を求める多様な 声が広がり、それが支持されるよう支援していくことを検討する必要がある。
State of the South Korean Politics and Economy Executive Summary
The purpose of this study is to provide Japan with political suggestions for the resumption of Japan-Korea FTA/EPA negotiation in which Japan’s current interest lies, investigating economic and trade policies, particularly FTA policies, with the new Korean government. The structure of this study is as follows. Chapter I reviews the policy-making mechanism in Korea and identifies the roles of policy-making organizations. Chapter II discusses major economy policies backed by the new government. Chapter III reviews the history of Korea-Japan FTA negotiations and Chapter IV shows the current position of the government and other interest groups over the resumption of Japan-Korea FTA negotiation. Chapter V gives the proposals to Japan for engaging in the working-level talks in June 2008 for resuming Japan-Korea FTA negotiation, and, lastly, Chapter VI suggests the issues which Japan needs to consider in preparation for the reopening of Japan-Korea FTA negotiations.
In general, Korea’s FTA policy-making mechanism is primarily centered on the leadership of the President and government institutions on a top-down basis. Hence, the government’s stance widely influences the ratification and implementation of Korea’s overall FTA policies. Due to positive support from the current presidential administration, the FTA Committee officially promotes FTAs as a government agency, while the Office of the Minister for Trade(OMT) implements FTA policies, and the Minister’s Meeting for Foreign Economic Affairs signs FTAs at the final stage.
Nonetheless, because the FTA policy-making mechanism works in interacting with interests of diverse stakeholders, the Korean government should be aware of their movements in the process. Additionally, FTA policies are expected to broadly reflect public opinion on carrying out further FTA policies to avoid the public out leash that recently delayed the resumption of U.S. beef imports to Korea.
Meanwhile, since his inauguration on February 25, 2008, President Lee Myung-bak’s major economic policies are embodied in his “747 Plan(Policy),” which pursues an annual growth rate of 7 % in GDP, achieves national income per capita of over US$
40,000, and becomes the world’s 7th largest economy. Likewise, President Lee is eager to promote FTAs as a policy means to achieve these economic goals. In this light, the policy direction of the new government is similar to that of the previous administration of former president Roh Moo-hyun.
Korea’s FTAs have been initially promoted by the previous administration as an
important macroeconomic policy to join the global trend of regional trade integration.
Therefore, former president Roh mapped out FTA strategies as ① FTAs with major economies and major trading partners; ② comprehensive and high quality FTAs; and ③ multi-track FTAs. In 2003, the Roh administration classified Japan-Korea FTA as a mid-term challenge which will take 3-5 years for negotiation, if a national consensus for the talks is made in Korea. Although Japan and Korea held the 1st round of the talks in December 2003, as planned, it has since been stalled due to political and economic concerns towards the talks, after the 6th round of the negotiation ended in December 2004.
With the Japan-Korea FTA standstill, Korea has downgraded the priority level of the Japan FTA talks and given top priority to the ratification of KORUS FTA and the FTA negotiation with the EU. Currently, the National Assembly has not ratified the KORUS FTA due to the Korea-U.S. beef deal, and the Korea-EU FTA negotiations has been extended more than expected, the government has made a less commitment for the resumption of Japan-Korea FTA.
Under the circumstance, the Lee administration does not appear anxious to reopen the FTA negotiations with Japan. Even though officials from the OMT principally recognize the necessity of Japan-Korea FTA, they maintain a careful stand in resuming the stalled talks, noting that the Japan FTA deal will be completed, only if the Japan-Korea FTA offers mutually satisfactory benefits. From this point of view, it does not appear to be easy to resume the FTA negotiation any time earlier. Furthermore, as Korea assigns low ranking officials to participate in ‘the working-level talks in June for resuming Japan-Korea FTA/EPA negotiation,’ the two countries are less likely to make significant progress at these talks. Even if the Lee administration seems to show interests in reopening the Japan FTA negotiation, it is very unlikely that the Japan FTA negotiation will reopen in the near future.
Although the Japan-Korea FTA negotiations garnered support upon commencement, the support of Korean conglomerates gradually warned over FTA with Japan. In April and November 2004, the Federation of Korean Industries(FKI) issued warnings that FTA with Japan would widen Korea’s ever-increasing trade deficits with Japan, and that its industrial losses and damages will worsen in many industries such as electronics, machinery, automobiles and components sectors. The FKI added that Korea’s structural dependence on Japanese industries will deepen, on premise that preparation for the Japan FTA will be lacking. Also, according to a survey conducted by the Korea Chamber of Commerce & Industry of 300 companies in October 2007 on the outlook of
Korea’s FTA negotiations, Korean companies had rather negative viewpoints on the promotion of Japan-Korea FTA, compared to the other FTAs.
However, neither industrial organizations nor companies have expressed their official positions on Japan-Korea FTA during the standstill of the Japan FTA talks. Notably, Cho Seok-Rae, President of the FKI, known to be a strong supporter of Japan-Korea FTA, showed opposition against the resumption of Japan-Korea FTA at a recent press conference in April 2008. Regardless of his opposition, FKI is figuring out measures to reduce Korea’s trade deficits with Japan, and is coordinating discussions on the industrial cooperation between Japan and Korea in preparation for the possible resumption of FTA talks with Japan in the near future.
In the meantime, there is an increasing uncertainty about the benefits of Japan-Korea FTA by Korean businesses. If the FTA is ratified, Korean businesses are likely to suffer from a bipolarization of economic growth across manufacturing industries, and face a hindrance to the development of a new growth engine, although Japan-Korea FTA may bring positive effects to achieve economies of scale, and increase intra-industry trade between the two countries. At this moment, it is hard to determine which side is the beneficiary or the harmed party among exports and domestic demands, process industries and components manufacturers, conglomerates and SMEs, and restricted sectors and non-restricted sectors. However, we have determined that the beneficial industries will be fine-chemicals, textiles, steel, shipbuilding, and semiconductor, while the harmed industries will be electronics, automobiles, general machinery, and petrochemicals.
In the academic field, studies on Japan-Korea FTA have not been highlighted since December 2004, as the Korean government has been more focused on FTAs with the U.S. and the EU. Since the resumption of the Japan-Korea talks were discussed at a summit meeting between Japan and Korea in April 2008, some FTA experts expressed their positions, stating that the both sides will make little progress on the negotiation table due to the different views on key FTA issues, even though the deal is regarded overall as being beneficial to Korea in achieving further economic advancement and East Asian economic integration in the long run.
Based on the position of the Korean government and other interest groups for reopening the FTA talks, Chapter V implicates the proposals to Japan in regard to ‘the working-level talks to reopen Japan-Korea FTA/EPA negotiation on June 25.’ From the meeting in June 2008, it is likely that Korea justifies the resumption of the Japan FTA
talks in order to appeal to the public, while the Korean government requests Japan to open its agricultural market, which hindered the negotiation in 2004. In particular, Korea shows a commitment to export more agricultural products to Japan, where Korean agricultural industries enjoy a trade surplus, in an attempt to recover its public trust in its trade policies in relation to the political upheaval caused by the resumption of U.S. beef imports.
In terms of negotiations on tariff concession, it is expected that the Korean government abides by the ‘WTO Plus’ principle pursuing more market openness than that of WTO.
Therefore, Korea will likely discuss further market opening and cooperation system with Japan in non-tariff sectors including investment, government procurement, technical standards, and service sectors such as movement of natural persons.
Based on Korea’s expected position, as mentioned above, some proposals implicate serious consideration for the Japanese government in terms of policy implementation.
First, Japan should show its will(intention) to further open the market prior to the resumption of the Japan-Korea FTA negotiations. When the negotiation reopens, the Korean government will demand for wider opening of the Japanese agricultural market than it did at the 6th round of the talks in 2004. Therefore, Japan needs to at least express its desire to proceed with the talks by modifying its previous position on opening of the market openness in its agricultural sector.
Second, the Japanese government needs to have more flexible in discussing issues of its non-tariff barriers(NTBs) with Korea rather than being defensive. If Japan is irresponsive to Korea’s requests in the FTA negotiation, it will be difficult to build mutual trust leading to the resumption of negotiation between the two countries. Instead, by maintaining open stances on the issues, Japan can gain an opportunity to raise Korea’s NTBs issues on talks at the same time.
Third, Japan should take a position on the issue for Gaeseong Industrial Complex, as Korea is expected to include this issue(‘rules of origin’) in the negotiations. Since the joint-study group of the two countries began to work on the feasibility studies of Japan-Korea FTA prior to the initial negotiation held in 2003, goods made in Gaeseong Industrial Complex have become a politically sensitive matter, whether or not they are identified as Korean products. Meanwhile, it is noteworthy that Korea has currently set precedents for recognizing Gaesenog-made goods as Korean products under the provisions of the FTAs with Singapore, EFTA, and ASEAN.
Fourth, to resume the Japan-Korea FTA negotiations, the two governments and various economic cooperation organizations of the two countries should reflect more public preferences towards Japan-Korea FTA, while providing the public with unbiased information about economical gains and losses from Japan-Korea FTA. Also, both countries need to establish a mutual respect and confidence in the reopening of the FTA at a political level in order to pave the way for the successful FTA talks. Furthermore, the two sides need to make a commitment to create a favorable atmosphere to promote Japan-Korea FTA in the mid- and long-term, not merely pursue short-term benefits.
Fifth, the Japanese government should consider ‘Early Harvest’ in both trade and non-trade sectors on a mid-and long-term basis. That is, Japan as an advanced economy would acknowledge the economic gap between the two countries, while providing preferential measures towards Korea, in attempt to build a favorable environment for the FTA talks. Moreover, Japan needs to cooperate with Korea in the service sectors, especially for further exchange for manpower and technology. ‘Visa Waiver Program’
and suffrage rights to residents of Korean ancestry in Japan are also likely to bring a friendly atmosphere for the resumption of the FTA talks. In addition, Japan should consider drawing up a list of detailed plans for removing NTBs, expanding investment, cooperating technology, and opening the agriculture market, in which the Korean government is highly interested.
The last part of this study provides the Japanese government with points for consideration in promoting and concluding Japan-Korea FTA. Lastly, the two countries’
effort to reopen the FTA talks should be prioritized. In this sense, Public Relations(PR) activities to appeal to the public could be performed by the governments in attempt to create a favorable atmosphere for the Japan-Korea FTA negotiations in the domestic arena. Japan also needs to raise more public awareness of the FTA through the political channel of the two countries, while both industrial and academic areas represent the voices of diverse interest groups over the resumption of Japan-Korea FTA negotiation.
I. 韓国の政策決定過程の理解: 決定メカニズム
1.韓国のFTA 政策決定参加機関及び役割
1) 概要
政府は2004年「自由貿易協定締結の手続きに関する規定」を作成、FTA締結のための実務手 続きを進めている。この規定により、対外経済長官会議が最高意思決定機構となり、FTA推 進委員会の管轄の下ですべての戦略と交渉に関する実務手続きを行う。
韓国は大統領に条約締結権を与えているため、大統領は国会の牽制を受けず通商交渉を主導 できるが、国会の批准を受けてから発効となるので交渉過程で国会との十分なコミュニケー ションが必要であり、米韓FTAの場合、国会の財政・経済委員会の傘下に特別委員会を構成 して運営している。
FTA交渉は通商外交経路を通じて両国がFTA締結の意志を打診し、共同研究を通じてFTAの政 策的な効果を分析して、両国の民間研究機関が共同研究を遂行することとなる。双方がFTA 交渉による産業被害など、敏感な分野が少ないと判断すれば本格的な交渉に入ることになる。
民間の共同研究に続き、政府機関と企業が参加する産・官・学の共同研究が行われるが、日 韓FTAの場合、産・官・学の共同研究(2002年3月~2003年10月)の結果を発表済みだ。韓中FTA は2007年3月から産・官・学の共同研究が進んでおり、2008年6月頃、結果が出る予定である。
その結果を基にしてFTA交渉開始の可否を判断するプロセスになっている。オーストラリア、
ニュージーランドとの共同研究も2007年から始まっており、現在進行中である。
産・官・学共同研究の結果が出ると、実務担当チームが予備協議を経て交渉団を構成、本格 的な交渉に取り掛かることになるが、交渉は両側の首席代表の協議と分科別協議を同時に行 うのが慣例である。
外交通商部の通商交渉本部が交渉の総括と企画を担当し、該当の分科別に主務省庁が分科長 を担って進行することになるが、FTA交渉では1次的に商品分野に関する譲歩(市場開放)と関 税引下げが核心的なイシューとして取り扱われることになる。
政府と民間で構成する「FTA国内対策本部」はFTAが国民的支持のもとに締結、批准できるよ うに支援し、世論を取りまとめる窓口の役割をしている。
日韓FTA交渉は2003年12月に開始されたが、現在は交渉が中断しており、政府内に別途の委 員会や締結支援団が構成されておらず、FTA 国内対策委員会と対策本部が2008年12月末まで 時限的に関連業務を行っている。
2) 意思決定プロセス
(1) 非公式段階
イ) 世論醸成
全国経済人連合会、大韓商工会議所など経済団体などが特定国とのFTAの必要性を申し入れ、
各国との定例通商関連会議(韓米通商会議など)や首脳会談などを通じて国家間のFTAに対す る必要性を申し立てるなど、肯定的な環境醸成のため努力するプロセスに入る。世論に基づ いて「FTA推進委員会」はFTA締結の経済的な妥当性などに関する分析を、政府出捐研究機関 を含めて専門研究機関に発注するなど、準備作業に取り掛かる。
ロ) 事前研究
政府間でFTA交渉の必要性に合意すると、国家間の共同研究が始まり、両国の研究機関と 専門家らが参加する民間共同研究を経て、産・官・学共同研究(通常1年ぐらい所要)を通じ て報告書を作成する。報告書の分析結果がFTAの効果を肯定的に評価し、FTAの締結を勧める 場合、公式段階に進むことになるが、日韓FTAの場合、民間共同研究が終わった段階でも両 国が交渉の開始に合意できなかったため、「経済界のビジネス・フォーラム」という別途の 段階を設けた。
ハ) 予備協議
米国、EUなど、定例的な通商会議が順調に進み、相手国に対して十分分析できたと判断す れば、共同研究を省略して予備協議へ進む場合もある。予備協議は通常6ヶ月または1年に渡 り2-3回開催され、経済的な効果分析及び分野別の考慮事項に関して議論する。
(2) 公式段階
イ) 外交通商部のFTA推進委員会
外交通商部のFTA推進委員会は通商交渉本部長を委員長として、各省庁の1級公務員が委員
として参加、FTA戦略、推進の妥当性、協議案などを主導的に扱う。その傘下に2つの団体を 設けいるが、関連部処(日本政府の省庁に当たる)の局長級で構成する「FTA実務推進団(団 長;通商交渉本部通商交渉調整官-次官補)」が実務準備と協議を担当する一方、対外経済専 門家で構成する「FTA民間諮問会議」は推進の妥当性を具体的に検討する。第1段階の後半に は相手国の政府と交渉方案などで合意するのが前提であり、相手国も交渉開始の手続きに入 り、通常この段階が終わると第2段階の公聴会に移ることになる。
ロ) 公聴会
政府の規定により「FTA推進公聴会」は必ず開催しなければならないという政府の既定があ り、同公聴会が開かれる1。
ハ) 対外経済長官会議
FTA交渉開始案の審議及び議決は対外経済長官会議に要請する手続きが必要である。
ニ) 交渉の開始
交渉を行い、交渉案を決定し、協定に仮署名する手続きに入る。
ホ)FTA推進委員会
通商交渉本部長が委員長となり、推進委員会及び対外経済長官会議に進行状況をまとめて 報告し、最終交渉案に対する審議・議決を対外経済長官会議に要請する。また主な進行状況 は国会に必ず報告しなければならない。
ヘ) 交渉の妥結
外交通商部長官が協定案を国務会議の閣議にかけて、大統領の裁可を受け、協定案に署名し た後、国会に批准案への同意を要請する。
1 しかし、米韓FTAの場合、対外経済長官会議と同じ日の午前に公聴会を開催して非難を浴びた。
<表 1-1> FTA 締結までのプロセス
段階
詳細プロセス 民間意見聴取プロセス
交 渉 前 段 階
■ FTA 推進対象国家を内部検討
■ 国内研究機関で妥当性研究実施
■ 「FTA 対象国検討委員会」審議
■ 公聴会開催などを通じる意見聴取
■ 「FTA 推進委員会」審議
■ 「対外経済長官会議」交渉対象国を 決定
■ 対国会説明
■ 産・官・学共同研究実施(必要な場合)
■ 「FTA 推進委員会」及び「FTA 対象国 検討委員会」に民間専門家が参加
■ 公聴会などを通じて FTA 推進対象国 に関する各界の意見を聴取
交 渉 段 階
■ 交渉推進体制を構成
■ 政府協議案の準備
■ 交渉進行
■「対外経済長官会議」、「FTA 推進委 員会」審議
■ 最終協議案決定
■ 協定文に仮署名
■ 経済団体、業種別団体、
民間専門家から交渉に対する諮問
■ 交渉結果を関連業界、研究機関、民間 団体に説明して意見収集
交 渉 後 段 階
■ 正式署名手続き
■ 国会に批准案への同意を要請
■ 対国民広報
■ 補償措置の用意
■ 国会が批准案に同意
■ 発効
■ 協定履行に対する説明
■ WTO 通報及び審査
■FTA 締結の経済的効果を広報
■ 関連業界に協定履行に関する説明会を 開催
3) FTA 関連組職
(1) FTA締結支援委員会・支援団
イ) 委員会構成
FTA締結支援委員会は委員長1人を含めて15人以内の委員で構成する。
* 民間(8人): 経済界、言論界、学界、市民団体の中で著名人
* 政府(6人): 経済副首相、国務調整室長、通商交渉本部長、国政広報処長、
大統領秘書室政策室長・広報首席秘書官
委員会は毎月1回会議を開催し、主要案件は大統領に報告をする。
(参照)米韓FTAの民間委員名簿は次の通り。
経済界: イ・ヒボム(李煕範) 貿易協会会長、ソン・ギョンシク(孫京植) 大韓商工会 議所会長、キム・キムン(金基文) 中小企業協会会長
言論界: チャン・デファン(張大煥) 新聞協会会長、ピョ・ワンス(表完洙) YTN 社長 学界: イ・ジョンファン(李貞煥) 前農村経済研究院長
市民団体: ソン・ボキョン(宋宝炅) 前消費者市民の集まり代表、
キム・ファジュン(金花中) 女性団体協議会会長
ロ) 支援団組職(2国 8チーム)
委員会の傘下に締結支援団が構成されており、支援団長の傘下に企画局と協力局の2局が組 職されている。
(2) FTA国内対策委員会・国内対策本部
国会の批准案同意を円満に処理するための組職で、被害分野に対する補償対策2及び受恵分 野の競争力強化対策を準備する役割を担当している。
2 産業被害救済対策に関するもので、構造調整促進措置などが補完的に実施されことを意味する。
本報告書ではこれを総じて「補完対策」と記する。
イ) 委員会構成(米韓FTAの場合 27人)
FTA国内対策委員会は学界及び研究所、経済界、労働界、言論界、産業界、市民団体、政府 官僚で構成し、具体的な名簿は次の通り。
学界及び研究所: オ・ユンデ(魚允大) 前高麗大総長(委員長)、イ・ジョンファン(李貞 煥) 前農村経済研究院長、チョン・グヒョン(鄭求鉉) サムスン 経済研究所長
経済界: イ・ヒボム(李煕範) 貿易協会会長、ソン・ギョンシク(孫京植) 大韓商工会議 所会長、キム・キムン(金基文) 中小企業協会会長
労働界: イ・ヨンドク(李竜得) 前韓国労総委員長
言論界: チャン・デファン(張大煥) 新聞協会長(毎日経済新聞会長)、大統領広報特報 関連業界: キム・ジョンス(金正秀) 韓国製薬協会会長
市民団体: ソン・ボキョン(宋宝炅) ソウル女子大教授(消費者代表)、
キム・ファジュン(金花中)女性団体協議会会長(女性代表)
政府: 首相(委員長)、関連省庁長官、務調整室長、青瓦台政策室長、通商交渉本部長
ロ) 対策本部組職
企画財政部長官、第2次官、FTA国内対策本部長の下に戦略企画団長、対外協力団長、支援対 策団長が実務を推進している。
(3) 各省庁組職
イ) 企画財政部FTA 国内対策本部(定員 37人、定員外 8人)
2008年12月末までの時限的な組職で、FTA締結による国内対策の樹立と広報、国会批准同意 支援などの業務を担当している。
ロ) 農林水産食品部
自由貿易協定課(定員3人、定員外4人)で農産物交渉の基本計画を樹立する業務を担当してい る。
ハ) 知識経済部
自由貿易協定チーム(定員6人、定員外2人)がFTA交渉に関する基本計画を樹立する業務を担 当している。
ニ) 保健福祉家族部
韓米自由貿易協定担当官(定員4人、定員外1人)が米韓FTA保健・福祉分野の交渉計画を樹立 して調整する業務を担当している。
(4)FTA民間対策委員会
政府と業界間の意見収集のための相互協力ネットワークを構築して信頼及び共感帯を形成 するための組職である。2007年5月、米韓FTA民間対策委員会をFTA民間対策委員会に改編し た。
EU、中国、インド、日本などと同時多発的にFTA交渉を進めて効果的に対応するための組職。
経済界の4つの団体長・銀行連合会長が共同委員長となり、業種別団体・研究機関など42 団体の委員で構成されている。
業種別、分野別の対策及び交渉対応方案を検討して政府に申し入れ、FTAに関する国内外の 各種広報活動と政府への協力支援活動を行う。業種間、産業間の情報交換を通じて業界相 互間の理解増進を図る活動をする。
FTA民間対策委員会は共同委員長 6人、委員36人(業種団体専門家31人、国策研究機関3専門 家5人)など総42人で構成されており、委員会会議には首相、通商交渉本部長、関連省庁長 官などが参加することもある。委員会構成陣は以下の団体で選出する。
共同委員長(6人): 貿易協会会長、大韓商工会議所会長、全経連会長、中小企業協会会 長、
銀行連合会会長、農協中央会会長 (総括:貿易協会のヒョン・オソッ ク(玄旿錫) 院長)
委員(36人): 業種団体専門家(31人)
* 韓国自動車工業協会、韓国自動車工業協同組合、韓国電子産業振興会、
韓国電気産業振興会、韓国情報通信産業協会、韓国機械産業振興会、韓
3 政府出資金によって設立された研究機関を意味
国鉄鋼協会、韓国纎維産業連合会、韓国石油化学工業協会、韓国精密化 学工業振興会、韓国製薬協会、大韓化粧品協会、韓国玩具工業協同組合、
韓国履物産業協会、果樹農業協同組合連合会、水産物輸出入組合、水産 協同組合中央会(水産経済研究院)、韓国遠洋漁業協会、大韓弁護士協会、
韓国公認会計士会、大韓病院協会、大韓医師協会、大韓看護協会、韓国 史学法人連合会、生命保険協会、大韓損害保険協会、資産運用協会、韓 国証券業協会、大韓建築士協会、海外建設協会、消費者市民の集まり
国策研究機関専門家(5人)
*対外経済政策研究院(KIEP)、産業研究院(KIET)、農村経済研究院 (KREI)、海洋水産開発院(KMI)、韓国開発研究院(KDI) (韓国労総はオ ブザーバとして参加している)
4) 国会FTAフォーラム
18代国会4ではまだ「国会FTAフォーラム」が構成されていない。新しく選出された18代国会 議員らが参加する予定である。参考に、17代国会では国会議員75人で構成されており、正会 員は統合民主党キム・ミョンジャ(金明子)(代表議員)、キム・ヒョッギュ(金爀珪)、パク・
ヨンソン(朴映宣)、ペク・ウォンウ(白元宇)、イ・グァンジェ(李光宰)、イ・ジョンゴル(李 鍾杰)、イム・ジョンチョル(任鍾皙)、チョン・イヨン(鄭義溶)、チョ・ソンデ(趙成台)議 員の9人、ハンナラ党はイ・ヘフン(李恵薫)、チョン・ムンホン(鄭文憲)、ファン・ジンハ(黄 震夏)、チョン・モンジュン(鄭夢準)議員の4人で総13人の議員が活動しており、準会員とし て62人が参加している。主要活動としてセミナー、シンポジウム、フォーラム、記者会見、
交渉対象国への訪問などを行っている。
*正会員 : 13人
- 統合民主党(9): キム・ミョンジャ(金明子)(代表議員)、キム・ヒョックギュ(金爀珪)、
パク・ヨンソン(朴映宣)、ペク・ウォンウ(白元宇)、イ・グァンジェ(李 光宰)、イ・ジョンゴル(李鍾杰)、イム・ジョンチョル(任鍾皙)、チョン・
イヨン(鄭義溶)、チョ・ソンデ(趙成台)
- ハンナラ党(4): イ・ヘフン(李恵薫)、チョン・ムンホン(鄭文憲)、ファン・ジンハ(黄 震夏)、チョン・モンジュン(鄭夢準)
4 法的な開院は6月 日であるが、まだ開院していない。
*準会員 : 62人 5) 市民団体
イ) 友好団体
「正しいFTA本部」などの市民団体はFTA推進の必要性に関する国民の共感を広げるため努力 している。「正しいFTA本部」は、2007年3月、社団法人として登録してキリスト教の社会責 任、ニューライト全国連合、正しい社会市民会議、先進化国民会議などで構成し、政策委院 長はニュー・ライトのチョン・インギョ(鄭仁教)教授(仁荷大、経済学部)。FTAの必要性に 関する紙上座談会、セミナーなどを開催し、地方の有力マスコミの座談会、地方大学・機関 などを対象にセミナーを開催するなど、FTA国会批准を促す活動及び対国民広報活動を推進 している。
ロ) 反対団体
「米韓FTA阻止汎国民運動本部」が反対活動を主導している。民衆連帯・民主労総・全国農 民会総連盟(全農)などの強硬派団体と民主労働党を中心に活動を展開している。民主労働 党・民主労総・全農など主要参加団体の地域別団体を中心に広域市及び市・郡・区の基礎単 位まで地域対策委を構成している。
代表的な市民団体である 「FTA阻止汎国民運動本部(汎国本)」は分野別の対策委員会と地域 別対策委員会、総270団体で構成されている。14分野は映画人、視聴覚メディア、文化芸術、
保健医療、学術、学生、教育、農水畜産、知的財産権、女性、環境、公共サービス、金融、
消費者対策などである。
「汎国本」は経済的論理よりは理念的、政治的目的による反対活動を展開しており、開放強 要論、密室交渉、屈辱交渉などのイデオロギー用語を掲げた政治闘争の面が強い。FTA 協定 によって被害を受けられると思われるグループの不満と経済闘争を先導する勢力が重なる と考えらている。
「汎国本」の政策企画研究団が発行した米韓FTA国民報告書の場合、米韓FTAについて「米国 系の多国籍資本と国内の(独寡占)資本が労働者と民衆を収奪するための全面的な攻撃」と 規定しており、日韓FTAについても似通った対応をすると予想される。
6) 機関別の役割
(1) FTA推進委員会
2004年6月公表された自由貿易協定の締結手続きに関する規定(大統領訓令)によると、韓国 政府の公式FTA推進機構としてFTA交渉のコントロールタワーとなる組職は、外交通商部の通 商交渉本部長が委員長を務めている「自由貿易協定推進委員会」である。
同委員会には、2008年政府組職改編以前の職制によると財政経済部、外交通商部、農林部、
産業資源部、海洋水産部、国務調整室、企画予算処、国政広報処及び関連中央行政機関長の 推薦によって委員長が委嘱する1級または1級に相当する公務員が委員(15人)として参加し、
外交通商部の通商交渉調整官が幹事となる。現在、キム・ジョンフン(金宗壎) 通商交渉本 部長が委員長を、アン・ホヨン(安豪栄) 通商交渉調整官が幹事を務めている。
委員会は、FTA政策の基本方向と推進戦略を樹立して、特定国家や地域とのFTA締結の妥当性 を審議して締結対象国を選定する。またFTA協議案を作成し、国内産業に及ぶ影響と補償対 策などを審議する業務を担当する。
同委員会の審議を効率的に支援するため、通商交渉調整官が議長となり、財政経済部、外交 通商部、農林部、産業資源部、海洋水産部及び関連中央行政機関長の推薦によって議長が委 嘱する局長級の公務員が委員となる「FTA実務推進会議」が構成される。民間人が委員長と なる「FTA民間諮問会議」も運営する。
FTA推進委員長は、協議案と具体的な交渉戦略を含んだ訓令を交渉代表団に伝達するなど交 渉を総括指揮する役割を務める。FTA民間諮問委員会はFTA推進過程で関連業界及び専門家の 意見を聴取し、その結果をFTA締結過程に反映するため、学界及び業界代表の30人で構成す る推進委員会傘下の組職である。
(2) 対外経済長官会議
対外経済長官会議はFTA推進体系の最高議決機関であり、FTA推進委員会で審議したFTA基本 戦略を審議・議決する。FTA基本戦略に基づいて、実務推進会議及び民間諮問会議でFTA締結 の妥当性を検討し、対外経済政策研究院など政府出捐研究機関を含む専門研究機関に妥当性 の分析を依頼する。
旧政府組職によると対外経済長官会議は経済副首相兼財政経済部長官を委員長として農林 部、通商交渉本部、国務調整室長などの関係長官と大統領経済首席秘書官などが委員として 参加する(新政府の組職改編以後、企画財政部長官が「対外経済長官会議」委員長を務め、
全体会議を主宰する)。対外経済長官会議で特定の国とFTA締結交渉の開始が審議議決される と本格的な交渉に入ることになり、重要な協議案について対外経済長官会議で審議調整する ことができる。
<表1-2> 対外経済長官会議の組職図
FTA推進委員長は交渉進行状況を対外経済長官会議に報告し、最終協議案の審議議決を要請 することになっている。首席政府代表は対外経済長官会議で議決された最終協定案について 交渉の相手国と協議し、合意が成立すれば協定文に仮署名することにより交渉は実質的に妥 結されることになる。
(3) 青瓦台
経済首席秘書官が企画財政部長官、通商交渉本部長などの意見をまとめ大統領に助言を行っ ているが、すべての主要意思決定は大統領が直接、陣頭指揮しており、重要なFTAの場合、
主に、大統領の決断が影響を及ぼしているように思われる。特に韓国の権力構造上、FTA政 策決定過程において大統領の行使する権限は強大であると言える。一方でこれは、韓国がFTA 政策を速やかかつ果敢に推進できる権力構造を持っていると解釈することができる。大統領 の意向を察するだけで通商交渉本部が推進委員会を中心にFTA政策を展開していくことがで きるからである。
国務会議
首席代表 政府代表団
FTA企画団 外交通商部 (対米交渉総括)
対外経済長官会議
(主な交渉争点及び補完対策に対する審議決定)
教育科学技術部 法務部 文化体育観光部
農水産食品部 知識経済部 国土海洋部
特許庁 資料: 外交通商部
関係部処(省庁)
キム・チュンス(金仲秀) 経済首席秘書官は、公式的には経済分野の主務首席であり、FTA 問題も当然ながら公式的な担当首席である。しかし、あまり実権がなく、同首席秘書官の交 替がマスコミに報道されているほどで、青瓦台内外では順調な業務の遂行ができない状況だ と分析している。
経済首席秘書官が業務から排除される一方、キム・トンヨン(金東兗)財政経済秘書官が先 任秘書官としてFTA問題を扱っており、キム・ビョングック(金炳局) 外交安保首席秘書官も 通商問題にある程度関与していると知られている。キム・テヒョ(金泰孝) 対外戦略秘書官 は実務ラインで イ・ミョンバク(李明博)大統領の側近であり、FTA問題に詳しいと言われる。
マスコミの報道によると、交代の対象としてキム・チュンス(金仲秀) 経済首席秘書官の名 前が挙がっているが、後任を見つけていない状況である。とはいえ、青瓦台内ではこの4人
(キム・チュンス(金仲秀) 首席、キム・トンヨン(金東兗)秘書官、キム・ビョングック(金 炳局) 首席、キム・テヒョ(金泰孝) 秘書官がFTA 問題に真剣に悩み、準備をしていると知 られている。しかし、FTAに対する大統領の意思が非常に強く、その影響力は絶対的と言え るので青瓦台内での秘書陣の意向はそれほど重要ではないかもしれない。現在、青瓦台の首 席や秘書官らが自ら分の役割を果たしているとは言えない状況である。
(4) 国家競争力強化委員会
青瓦台直属の機関ではなく諮問委員会の一つと言える「国家競争力強化委員会」は、FTAと は特に関連していないように見える。国家競争力に係わる分野が非常に幅広く、同委員会が 関与する分野が多いため、各省庁と衝突する事態が発生することもあるが、基本的に同委員 会は規制改革と制度改善分野の業務を担当しており、今のところFTA業務は扱っていない。
同委員会のチャン・サンジン(張商鎭)規制改革チーム長も「規制改革などの業務を推進し ており、FTA 関連業務は扱っていない」と述べており、FTA政策との無縁さを裏付けている。
したがって、サゴン・イル(司空壱)委員長もFTA政策推進業務には全く干与していないと見 なすことができよう。しかし司空委員長は青瓦台に常勤しており、優れた人材なので、非公 式的に李明博大統領と通商問題などについて相談する可能性が高いと言えよう。
(5) 国務首相室
国務首相室が前面に出て政策決定を主導したり介入したりすることは極めて珍しく、通常の 政策調整業務を遂行する程度にとどまっている。国務首相室の内部にFTA問題を担当する組 職や人材はおらず、経済政策官室で他の政策と同様に、FTA問題に関する省庁間の意見を調
整し、調整する業務を担当する。また、首相室にはFTA関連組職がなく、首相の役割は主に
「資源外交」に集中されており、ハン・スンス(韓昇洙) 首相はFTAに特別な関心を持ってい ないと把握されている。すなわち、交渉再開の問題について関与していないと思われる。
但し、国務首相は内閣を代表して国会との意見調整を行う立場にあり、ハン・スンス(韓昇 洙) 首相が商工部長官(1988-1990)、駐米大使(1993-1994)、副首相兼財政経済院長官 (1996-1997)、外交通商部長官(2001-2001)、などを歴任した通商専門家であることを考える と、李明博大統領が主な経済・通商政策、特にFTAに係わる課題について首相と意見を交わ す可能性が十分あると判断される。
ハン・スンス(韓昇洙) 首相は国政業務の調整を総括する立場であり、最近、米韓FTAが難関 にぶつかると日韓FTAを憂慮する発言をしていた。首相は「今後、韓国が日韓FTAを推進する には、米韓FTAが一つの基準になろう」と指摘し、「韓国が日本や中国などの競争国に先立 って米韓FTAを締結して市場を咲き取りしなければならないにもかかわらず米韓FTA批准が 遅れると、そのメリットを失ってしまう」と憂慮を表明し、「現在、進行中の韓-EUFTAは もちろん、今後、推進する日韓FTAにも否定的影響を及ぼす可能性がある」と指摘した。
(6) 企画財政部
FTAが様々な経済関連イシューとアジェンダ(議題)を扱う交渉である点で、経済政策を統 括する企画財政部はFTA交渉において、他のどの省庁より重要な役割を遂行している。特に 企画財政部長官は対外経済長官会議の委員長として会議を主導し、省庁間の意見を調整する
5。企画財政部の場合、積極的にFTAを推進していくというスタンスを堅持している。またカ ン・マンス(姜万洙)長官の改革志向の高い経歴から、FTAを推進する際に突破力を発揮でき ると期待される。
カン・マンス(姜万洙)長官は経済省庁の首長であり、李明博大統領と同じ教会(所望教会)
に通って、10年以上長く付き合っているなど深い関係で、実力者(実勢)の長官であると言わ れている。
しかし、経済政策を推進する過程で、1970年代の古い考え方に捕らわれていると評価され、
大統領からの信任も以前のように厚くないと言われている。カン長官の意欲や愛国心は高く 買うことができるが、成長政策や為替政策などの頑固な考え方が対立と問題を引き起こし、
実際、経済状況もますます悪化しており、典型的なタイプ(old-type)の限界を超えること
5 企画財政部長官は、経済省庁の首長として事実上「副総理」の役目を果たしている。
ができないと言われる。
日韓FTAについて公式の場で言及したことはないが、元々自由経済開放主義者であり、FTA に積極的に賛成するスタンスを保つであろうと思われる。
企画財政部の意思決定は、イ・ソンハン(李成漢)対外経済局長―シン・ジェユン(申霽潤)
国際業務管理官(次官補級)―チェ・ジュンキョン(崔重卿) 第1次官などが中心となって行っ ている。
FTA交渉過程において、企画財政部は商品、サービス、福祉、環境、労働など様々なイシュ ーについて経済政策的な面で効果を分析し、見解を示している。米韓FTA交渉当時には、財 政部のFTA交渉に関連する実務は対外経済局の対外経済総括課 国際経済課 通商調整課 開 発協力課 通商政策課 南北経済政策課、南北開発戦略課の7課が担当していた。通商政策課 は米韓FTA交渉の実務を統括し、EU-韓FTAは通商調整課、インドやカナダとのFTA交渉は国際 経済課が実務を担当した。
企画財政部はFTA交渉が終わった後、国会批准の支援、補償対策の提示などの業務も担当し ており、現在、同業務を担当する組職として企画財政部内に「FTA国内対策本部」がある。
2007年、米韓FTA交渉が妥結した後、大統領直属に設置された「米韓FTA締結支援委員会」が 2007年夏、財政経済部(現 企画財政部)に移管され、現在の「FTA国内対策本部」に名称を変 えた。「FTA国内対策本部」は国会批准を統括する外交通商部を支援し、FTA交渉が国内産業 に及ぼす影響を分析し、国内の被害産業に対する支援対策などを統括する業務を担当してい る。
(7) 通商交渉本部
通商交渉本部はキム・ヒョンジョン(金鉉宗)元通商交渉本部長の就任後、組職が拡大され、
強力な影響力をもつようになった。90人余りであった組職が現在は200人近くの巨大な組職 となり、通商交渉本部がFTA政策決定においての実務を担当する組職であるという評価に相 応しいものである。
米韓FTAの場合、キム・ヒョンジョン(金鉉宗) 本部長の下に、キム・ジョンフン(金宗壎) 首 席代表(次官補)、イ・ヘミン(李恵民) 企画団長(局長)、キム・ウォンギョン(金円暻) 交渉 総括チーム長、キム・ジンウック(金振旭) 交渉支援チーム長などで組織を構成しており、
日韓FTAの場合、アン・ホヨン(安豪栄) 外交通商部通商交渉調整官(次官補)が交渉代表を務