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3.2 稜線的避難路の調査・分析

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Academic year: 2021

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超巨大地震を想定した津波避難行動問題の評価・分析に関する基礎的研究-四万十市-

卒業研究者 小野川太心 指 導 教 員 竹内 光生

1. はじめに

本研究の課題は、特に避難施設整備の現状を踏まえ、できるだけ早く安全な場所に避難できることを課題と した避難行動問題に焦点を置いた検証である。今年 3 月に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)は、

我が国の観測史上最大の超巨大地震(2011・3・11、M9.0)であり、その津波による被災の概況を、我々は You Tube などが公開している動画で見ることができる。これらの映像を見ると、従来の巨大地震や大地震による予 想津波遡上高さを越える場合を想定し、改めて逃げるしかないという思いである。これらの動画は、地震発生 直後の避難行動について、多くの示唆に富んでいる。人は、見聞き体感し、周囲の状況を認識し、判断し、行 動する。日常生活を中断して「逃げるべき」と「逃げなくてもよい」の間に「グレーゾーン」のあることがわ かる。地震発生直後の避難行動は、自助、共助、公助の 3 つの部分に区分される。公助は津波警報発令であろ う。共助は避難開始遅れの人への声掛けや手が届けば引き上げることであろう。率先避難者という言葉に代表 される自助の重要性を認識している。本研究は、「逃げない」、「逃げ遅れる」、「逃げられない」の 3 つの うちの「逃げられない」地域や場合の検証と「逃げられる」とするための方法論を課題としている。

2. 調査・分析の対象地域である四万十市の概要

四万十市は、高知県南西部における拠点都市であり、市の中心部付近は四万十川によって形成された沖積平 野にある。四万十市地域防災計画によると、昭和南海地震(1946・12・21、M8.0)や安政南海地震(1854・12・

23、M8.4)の記録上では、海浜には押し寄せたが、津波による家屋流失や人的被害は無かったようである。し かし、宝永地震(1707・10・28、M8.7)では、海岸沿いの地域及び津波が遡上した四万十川や後川の流域にお いて、家屋流失や多数の人的被害を被っている。四万十市では、過去の地震津波被害を教訓として津波避難タ ワーの設置など被害軽減対策に取り組んでいる。

3. 超巨大地震津波を想定した避難行動問題の課題と方法論 3.1 段階的避難計画および定性的予測と緊急避難問題の想定

近い将来に起こるとされる南海地震の想定規模は、M8.x クラスの巨大地震から M9.x クラスの超巨大地震へ の変更が求められている。本研究では、避難施設整備問題は、(1)高台の選定問題、(2)高台に向かう経路問題、

(3)高台に向かう途中にある緊急一次避難場所選択問題の 3 段階問題であると想定し、巨大地震から超巨大地震 に変更した場合もこの延長線上にあると考えている。なお、ⅰ.超巨大地震を想定した避難施設整備問題や避 難行動問題の基準値は、従来の巨大地震や大地震を想定地震規模とした場合の定量的予測値であり、それを越 える場合があるとする定性的予測を追加する。ⅱ.従来の想定地震規模である巨大地震や大地震による浸水予 測領域外の既設避難場所から山の稜線に連なる稜線的避難路を整備する必要がある。ⅲ.限られた時間でどこ まで逃げられるか、地域ごとに実証実験を行うことが重要であり、可能、不可能を洗い出し、国や県に効果的 な避難方法を提言していくべきである、とした。過去の研究成果は、毎年、四万十市に報告している。

3.2 稜線的避難路の調査・分析

従来の浸水予測領域を越える場合を想定する必要があるとして、浸水予測領域外の既設避難場所から山の稜 線に連なる稜線的避難路の現状調査を、四万十市役所からの情報提供のあった津波避難タワー設置場所を含め て、四万十市の海岸沿いや四万十川や後川の流域の 14 カ所を選定し、7 月 21 日、22 日の 2 日間で実施した。

ここでは、特に、津波避難タワー設置場所である下田地区の調査・分析報告である。

4. 下田地区を対象とした想定避難計画の課題と分析(単体行動視点と集団行動視点)

4.1 下田地区の概況

(2)

四万十川 土佐湾 津波避難

タワー

土 佐 西 南 大規模公園 下田中学校

移動手段 徒歩

速度 4.8km/h 20km/h 30km/h 1.2km移動

所要時間 15分 3.6分 2.4分 車両 図 1.下田地区の概況

土佐湾に面し、四万十川河口に位置する下田

地区の概況を図 1 に示す。下田地区は、過去の

図 2.津波避難タワー 図 3.西南公園の展望台

南海地震の津波被害を被っており、最短津波到達時間は 5 分以内と予測される地区であり、平成 20 年度に図 2 の津波避難タワーが設置されている。近くには、津波避難場所に指定されている高台の下田中学校や図 3 の展望台のある土佐西南大規模公園(以下、西南公園)がある。下田中学校と西南公園は、山側を通る比較 的整備された 2 車線道路で接続しており、本報告の稜線的避難路のある避難場所の1つである。

4.2 下田中学校あるいは土佐西南大規模公園への最短経路避難行動計画の想定と検証結果

まず、ゼンリン社の電子住宅地図上で、氏名のある下田地区

市街地の家屋を避難行動の起点とし、下田中学校あるいは土佐 西南大規模公園への最短経路避難行動計画を想定し、検証した ものである。津波避難タワーは、緊急避難場所として今回の検 証から除いている。また、幅員 2m 未満の道路区間は避難路から 除き、下田中学校あるいは西南公園への最短経路網を作成した。

その概要を図 4 に示している。

図 4 のほぼ中央に 2 つの想定避難場所への最短経路区分線を

示している。以下、海岸側に近く、住居の密集している西南公

図 4.避難起終点と避難経路網概要

園への避難行動計画を想定した検証結果を示す。図 4 に○印を付けた西南公園の終点まで最も遠い家屋の起 点からの距離は 1.2km である。移動手段を、徒歩(4.8km/h)、車両(20km/h あるいは 30km/h)とした場合 の最長 1.2km 移動所要時間を表 1 に示している。徒歩の場合の所要 表 1.最長 1.2km 移動所要時間 時間は 15 分であり、最短津波到達時間の 5 分を越えることがわかる。

一方、車両の安全速度走行の場合は制限時間内に収まっていること がわかる.しかし、これは単体行動の視点での結果である。

図 4 の西南公園に向かう避難経路網の起点家屋数は 237 戸であり、

各家屋から 1 台の車両の計 237 台が発生するとした集団行動の視点の場合、単位時間あたりの可能交通容量 との比較問題がある。道路構造令第 4 種都市部第 1~3 級の標準可能交通容量の平均値 1050 台/h を用いると、

図 4 の 237 台合流地点(最遠家屋からの距離約 850m 地点)の最後尾車両の通過所要時間は、237(台)÷1050(台 /h)=0.2257h=13.5 分となり制限時間の 5 分を越えることがわかる。また、西南公園の終点とした地点までの 距離約 350m が残る。集団避難行動の視点から海岸線道路を 4 車線幅員とすることが望ましいと思われる。ま た、先頭車両の運転者は、終点地点を通過後、車頭間隔を 6m 平均として、6m×237 台=1.422km 以上進行した 位置に停止する必要があることを認識しなければならない。

5. まとめ

本報告では、超巨大地震津波を想定し、稜線的避難路の必要性を指摘した.また、稜線的避難路の整備され た下田地区を対象に、渋滞等の解消のために集団行動の視点による避難行動計画の検証の必要性を示した。

土佐湾 土佐西南 大規模公園 下田中学校

四万十川

最短経路

区分線 合流地点

参照

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