著者 宮澤 和俊
雑誌名 經濟學論叢
巻 65
号 4
ページ 779‑813
発行年 2014‑03‑20
権利 同志社大學經濟學會
URL http://doi.org/10.14988/00027428
稼得能力分布と経済成長
*宮 澤 和 俊
概 要
連続時間世代重複モデルにガンマ分布で表される稼得能力分布を導入する.
主な結論は次の2点である.第1に,所得分布のピークが生涯の前半にある ほど成長率が上昇する.第2に,経済厚生の観点では,均衡が動学的効率性 を満たすときはピークが前半にある所得分布が望ましいが,動学的に非効率 であるときはピークが後半にある所得分布が望ましい.本稿の結論は,賃金 プロファイルの適当な変更により,経済成長や経済厚生が改善され得ること を示唆している.
1 は じ め に
2012年8月,日本では高年齢者雇用安定法が改正された1).2013年4月か ら老齢厚生年金の支給開始年齢の引き上げが始まるため,高年齢者の継続雇 用を企業に促すのが目的である2).定年延長は労働者の直面する賃金プロファ イルを変更するだろう.賃金プロファイルの変更は,労働者の貯蓄行動に影
* 平澤誠,焼田党,小川光,八木匡各氏から貴重なコメントを頂いた.また,名古屋大学,椙 山女学園大学,東洋大学のセミナーでの議論は有益であった.記して感謝申し上げたい.本研 究は,日本学術振興会(課題番号22530190),かんぽ財団から研究助成を受けている.
1) 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律(2013年4月1日施行,経過
措置あり).
2) 支給開始年齢の引き上げはすでに始まっている.老齢基礎年金(定額部分)は,2001年4月
に60歳から61歳に変更され,その後3年ごとに1歳ずつ引き上げられてきた.2013年4月 に65歳に達した時点で,定額部分の引き上げは完了した.老齢厚生年金(報酬比例部分)は,
2013年4月に60歳から61歳に変更された.こちらも3年ごとに1歳ずつ引き上げられ,2025 年4月に65歳に達した時点で引き上げを完了する予定である.
響を与えるだろう.これにより,要素価格や経済成長率などが影響を受ける はずである.労働所得分布と経済成長,経済厚生の間にはどのような関係が あるのだろうか.
まずはじめに,日本の賃金曲線の現状を見てみよう.
第 1 図は,大卒男の各年齢における労働所得を図示したものである3).実 線が2012年,破線が2001年のものである(データの制約上,2001年は60歳ま でに限定されている).2001年のデータを用いたのは,老齢基礎年金(定額部分)
の支給開始年齢の引き上げが開始された年だからである.2つの賃金プロファ イルを比較すると,水準の違いだけでなく,分布そのものに変化が生じてい ることが伺える.2001年の賃金プロファイルのピークは50代後半だったの に対し,2012年では50代半ばあるいは前半に移動している.第1図から,
3) 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」.サンプルは,常用労働者,全産業(企業規模10人以上)
である.労働所得額は,(所定内給与額)×12+(年間賞与その他特別支給額)を用いた.
第 1 図 日本の賃金曲線(男,大卒,全産業,従業員10人以上)
14,000
(千円)
12,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000
022 25 30 35 40 45 50 55 60 65(歳)
20122001
労働所得分布とマクロ経済の関係を明らかにすることは,現実的で興味深い テーマであるといえよう.
所得分配と経済成長の関係は,マクロ経済学の主要な研究分野の1つであ る.Galor and Zeira (1993) は,資本市場の不完備性が存在するときの所得分配 と経済成長の関係を分析している.借入制約により低所得者の教育投資が十 分に行われないと経済全体の人的資本水準が低下する.教育の外部性が阻害 される分,成長率も低下する.初期の所得分布が平等である経済ほど借入制 約が緩和され,高成長均衡が達成されやすいことが示されている.Hu (1999) は,
連続時間世代重複モデル(Blanchard, 1985; Yaari, 1985)に人的資本外部性(Lucas,
1988)を導入し,年金市場の不完備性と経済成長の関係を分析している.一
定の条件のもとで,高成長均衡と低成長均衡が存在することが示されている.
Miyazawa (2006)は,事故的遺産モデル(Abel, 1985)を用いて,人口高齢化の
視点から所得分配と成長率の関係を分析している.人口高齢化は異なるタイ ミングで貯蓄率と出生率に影響を与えるため,成長率は逆U字の軌跡を描く.
他方,予備的貯蓄が増えることにより遺産額が増え,遺産所得のある高所得 層と遺産所得のない低所得層の間の所得格差が拡大する.このため,格差と 成長の相関が人口高齢化の過程で逆転することが示されている.Heijdra and
Romp (2008) は,連続時間世代重複モデルにより一般的な死亡確率を導入し,
Blanchard (1985)との詳細な比較を行っている.主な仮定は,年齢とともに瞬
間死亡率が指数的に増加するというものである4).小国の仮定により結果が過 大評価されている可能性はあるものの,より現実的な資産分布がモデルから 再現されている(Heijdra & Romp, 2008, Fig. 2, p.104).
本稿では,連続時間世代重複モデルに,ガンマ分布で表現される稼得能力分
4) 推計された瞬間死亡率は,
m u^ h=0 002437 0 0000552. + . e0 0964. u である(uは年齢).
布を導入し,所得分配と経済成長,経済厚生の関係を明らかにする5).ガンマ 分布を用いる理由は,現実の分布の近似が容易であること,解析的な分析が可 能であること,そして,Saint-Paul (1992) の結果と直接比較できることである6). 本稿の主な結論は次の2つである.第1に,労働所得のピークが人生の前 半にある所得分布ほど均衡成長率が上昇する.これは,稼得能力が一定率で 減耗するというSaint-Paul (1992)の仮定のもとでは,成長率が上向きのバイア スを持つことを意味している.所得分布と成長率の関係は,家計の貯蓄行動 で説明できる.賃金プロファイルが若年期に急速に上昇し,比較的早い時期 に低下するとしよう.家計は将来の所得減を予期して貯蓄を増やそうとする.
資本外部性が成長の源泉だとすると成長率も上昇する.減耗率一定の指数分 布はピークが左端にあるという極端な分布であるため,家計貯蓄とともに成 長率も過大に評価している危険性がある.これに対し,本稿のモデルは現実 の所得分布を用いて比較的容易に成長率を推計することが可能である.後述 の数値解析によれば,減耗率一定の所得分布から導出される成長率は年率
3.0%であるが,第1図の2012年の所得分布から導出される均衡成長率は年
率0.6%である.
第2に,経済厚生の視点では,均衡が動学的効率性を満たすときはピーク が前半にある所得分布が望ましいが,動学的に非効率であるときはピークが 後半にある所得分布が望ましいことが示される.直観的な解釈は次の通りで
5) Fanti and Manfredi (2003) は,ソロー・モデルに特殊な人口成長関数を導入し,経済循環の発生 メカニズムを説明している.主な仮定は,(1)各世代の出生率は所得水準と正の相関があること,
(2)各世代の出生率を集計して経済全体の人口成長率を算出する際,遅延を表現するガンマ分布 を用いていることである.この仮定のもとでは,過去の資本ストックは所得効果を通して過去の 世代の出生率に影響するだけでなく,集計を通して現在の人口成長率にも影響を与える.その結 果,人口成長の希薄効果を通して現在の資本蓄積にも影響する.Fanti and Manfredi (2003) のモデ ルは,資本のビンテージ・モデルの類型に属し,本稿の分析手法とは異なる.
6) Heijdra and Mierau (2012) は,年齢別労働生産性を次のような二重指数分布で近似し,シミュ レーション分析を行っている(uは年齢).
E u^ h=4 494. e-0 0231. u-4 010. e-0 050. u
この論文は年金市場の不完備性に焦点を当てたものであり,能力分布と成長率の関係を分析 する本稿とは目的が異なる.
ある.均衡が動学的に効率であるとは,賃金上昇率が利子率よりも小さいこと を意味する.このとき,同じ1単位の労働であっても割引現在価値で比較する と,将来の労働よりも現在の労働の方が価値が高くなる.したがって,所得分 布のピークが前半にあるほど生涯所得が増えるため,経済厚生が改善される.
逆に,均衡が動学的に非効率であるときは,将来の労働の方が現在の労働よ りも価値が高いため,ピークが後半にある所得分布の方が望ましい.ただし,
現実の経済が動学的効率性を満たしているとすれば,成長,厚生のいずれの 観点でも,所得分布のピークが前半にある方が望ましいといえるだろう.
本稿の構成は以下の通りである.次節では基本モデルを導入する.3節で は数値解析を行う.最後の節はまとめである.
2 モ デ ル
本節では基本モデルを導入する.連続時間世代重複モデルに稼得能力分布 を導入する.
2. 1 人口
s時点に生まれた世代を世代sと呼ぶ.世代sのt時点における人口を,
N s^ ,th=e-p t s]-g (1)
とする.p>0は各時点における死亡確率を表す.平均寿命はp−1である.
次に,世代sのt時点における稼得能力(効率単位で測った労働供給)を次式 で特定化する(Salem and Mount, 1974).
, l s t !
m
p t s e
1
m
m 1 t s
= b -
+ - - -b -
^ h ^^ hh ^ h ] g (2)
(2)式はガンマ関数と呼ばれている7).b>0および自然数mは能力分布の
7) 特にmが自然数のときアーラン関数という.ガンマ関数の一般的な性質については,たとえ
ばKleiber and Kotz (2003) を参照せよ.歪度(skewness)と尖度(kurtosis)の対を用いた分析 によれば,対数正規分布よりもガンマ分布の方が近似の精度が高いことが指摘されている(Vargo et al., 2010; McDonald et al., 2013).
形状を決定するパラメータである.特にm=1のときは減耗率一定の指数分 布を表し,稼得能力は年齢とともに単調に減少する.このケースがSaint-Paul
(1992)に対応する.m≥2のとき,稼得能力は年齢とともに最初は増加し,そ
の後減少する.稼得能力が最大となる年齢は,t-s=(m-1)/bである.
(1),(2)式より,t時点における総労働供給は,
tl s t N s t ds, , =1
3
- ^ h ^ h
#
(3)で与えられる8).労働の規模を標準化することにより,能力分布と経済成長の 関係を分析することができる.
2. 2 家計
世代sの個人のt時点における効用関数を,
U s t, e p v tlnc s v dv,
t
= 3 - +i -
^ h
#
] g] g ^ h (4)とする.ここで,c(s,v) は世代sのv(≥t)時点における消費を表している.
i>0は時間選好率である.死亡リスクがあるため,個人のネットの割引率は i+pである.(4)式は,将来消費の割引現在価値の総和から効用を得ること を意味している.
個人の予算制約式は,
k s vo^, h=6r v^ h+p k s v@ ^ , h+w v l s v^ h ^, h-c s v^, h (5)
k s s^ h, =0 (6)
で与えられる.k(s, v)は世代sのv時点における物的資産を表しており,
, u u
k s vo^ h= k vは投資を表している.w(v), r(v)はそれぞれ,v時点における 賃金率,利子率である.完備年金市場を仮定すると,資産の収益率は(r+p) で与えられる.有効労働l(s, v)は(2)式で決定されており,個人にとっては
8) 証明は補論を参照せよ.
与件であると仮定する9).(5)式は,個人が各時点で資産所得と労働所得の合 計を消費と投資に配分することを意味している.(6)式は,誕生時の保有資産 がゼロであることを意味している.
最適化条件は,
, , c s v c s v
r v i
= -
o
^^ hh ^ h (7)
である10).(7)式と横断性条件
,
lime ,
c c v k s v
v 0
p v s =
"3
- +i -
^^
] ]
hh
g g
から,消費関数
c s t^, h= +^i p k s th6 ^, h+h s t^, h@ (8)
が得られる.ただし,
h s t, w v l s v, exp r u p du dv
t v t
= 3 - +
^ h
#
^ h ^ h 6#
6 ^ h @ @ (9)である11).
(9)式のh(s, t)は,将来受け取る労働所得の総額をt時点の価値に換算した ものであり,人的資産(human wealth)と呼ばれている.(8)式は,任意の時点 において,総資産の一定割合を消費することを意味している.消費割合は,
資産に対する限界消費性向(marginal propensity to consume out of wealth)と呼ば れている.本稿のモデルでは,限界消費性向は,時間選好率iと死亡確率p の和で与えられる.
(4),(7)式より,世代sのt時点における経済厚生は,
9) 教育や職業訓練に関する意思決定を考慮すれば,有効労働の生涯分布もまた個人の選択変数 となろう.しかし,分析が複雑であるため,本稿の範囲を超える.
10) 証明は補論を参照せよ.
11) 証明は補論を参照せよ.
U s t, 1p lnc s t, e p v t r v dv
i t i
= + + 3 - +i - -
^ h 6 ^ h
#
] g] g6 ^ h @ @で与えられる.第1項は消費の水準効果を,第2項は消費の成長率効果を表す.
次節で示されるように,一定の条件のもとで,利子率は時間を通じて一定で ある.このとき,
U s t, plnc s t,
p r 1
i i 2
= + + i
+
^ ^ -
h h ^
h (10)
が成立する.
2. 3 企業
競争的企業が労働と資本を用いて財を生産する.技術は規模に関して収穫 一定である.マクロ生産関数を,
Y t^h=F K t B t L t^ d^h, ^h ^hh
とする.Yは生産量,Kdは資本,Lは労働,Bは労働増大的技術を表す.
要素市場が完全競争的であるとき,利子率および有効労働あたり賃金率は それぞれ,
r t^h=f k tl^ ^hh
w t^h=B t f k t^h6 ^ ^hh-k t f k t^h l^ ^hh@
で与えられる.ただし,k=Kd/(BL)は有効労働あたり資本であり,f(k)=
F(k, 1)は有効労働あたり生産量である.
技術の内生化については,Arrow (1962),Romer (1986)の資本外部性を用いる.
特に,Grossman and Yanagawa (1993)にしたがい,労働増大的技術を次式で特 定化する.
B t a L t 1 K td
^h= ^^hh
a>0は資本外部性の大きさを表す定数である.aの値が小さいほど,外部 性が大きいことを意味する.このとき,利子率,賃金率はそれぞれ,
r t^h=f al^ h/r (11)
w t L t K td
=~
^h ^^hh
(12)
で与えられる.ただし,~=f(a)/a-f'(a)>0である.~は,資本の社会的収 益率f(a)/aと市場利子率f'(a)の差であるから,外部性の大きさを表してい る.(11)式より,利子率は時間を通じて一定である.(12)式より,賃金率は,
1人あたり資本や1人あたり所得と同じ率で成長する.
2. 4 集計と市場均衡
世代sのt時点における消費c(s, t),物的資産k(s, t),人的資産h(s, t)をs について集計する.
, ,
C t = tc s t N s t ds
3 -
^h
#
^ h ^ h, ,
K t = tk s t N s t ds
3 -
^h
#
^ h ^ h, ,
H t = th s t N s t ds
3 -
^h
#
^ h ^ h市場均衡条件は,
L t^ h=1 K td^h=K t^h Y t^h=C t^h+K to^h
である.上から順に,労働市場,資本市場,財市場の均衡を表す.ワルラス
法則より,財市場の均衡条件は他の式から導出できる.
2. 5 動学体系
便宜上,資本の社会的収益率f(a)/aをAとおく.動学体系は次の命題に 要約される.
命題 1 稼得能力分布が(2)式で与えられるとき,動学体系は次の(m+3)本 の方程式で記述できる.
C t^h= +^i p K th6 ^h+H t^h@ (13)
K to^h=AK t^h-C t^h (14)
H t^h=D t m^, h (15)
D t,1 K v e r p v tdv
t
=~ 3 - + +b -
^ h
#
^ h ] g] g (16)D t jo^, h= + +^r p bhD t j^, h-~K t^h- +^p bhD t j^, -1h ^2# #j mh
, , ,
D t jo^ h= + +^r p bhD t j^ h-~K t^h- +^p bhD t j^ -1h ^2# #j mh (17)
証明 補論を参照.□
(13)式は,資産に対する限界消費性向が一定であることを意味する.(14)
式は財市場の均衡条件である.人的資産H(t)は,将来の労働所得の割引現在 価値の総額に一致するが,稼得能力分布の形状に依存する.(16)式は,各時点 に非弾力的に1単位の労働を供給したときの総労働所得を表す.(17)式は,m の値に応じて,人的資産がどのように変化するかを表している.mの値が大 きいほど稼得能力のピークは人生の後半に移動するため,人的資産の評価額 は小さくなる.(17)式のように漸化式を用いて解析的に解けるのが,ガンマ関 数を用いた分析の利点の1つである.
2. 6 成長率
本節では,均斉成長経路における成長率を導出する.一般的な定式化の前に,
Saint-Paul (1992)の方程式を示すことが有益だろう.前節の結果にm=1を代
入し整理すると,
K to^h=AK t^h- +^i p K th6 ^h+H t^h@ (18)
H to^h= + +^r p bhH t^h-~K t^h (19)
が得られる.資産比率z(t)=H(t)/K(t)を用いると,各資産の成長率は,
K
Ko = - +A i p 1+z
^ h^ h
H
H r p b z
= + + -~ o
と表される(時間を表すtを省略する).物的資産の成長率は資産比率zの減 少関数,人的資産の成長率はzの増加関数である.均斉成長経路では,Ko/ K=Ho/H≡gが成立し,zは時間を通じて一定である.均衡成長率は,
g= - +A ^i ph61+z^gh@ (20)
z g r p b g
= ~
+ + -
^ h (21)
により一意的に求められる12).
一般に,m≥1のときの成長率は次の命題で与えられる.
命題 2 稼得能力分布が(2)式で与えられるとき,均衡成長率gは,
g= - +A ^i ph61+zm^gh@ (22)
12) Saint-Paul (1992) の(12)式に対応する.特に,パラメータが,
r= - +A ^i pha1+p+~bk
を満たすとき,かつその場合に限り,g=rが成立する.
g r g r p g
p p
m if g r
g r 1
m
m
! z
~
b b
b
= - - + + -~ +
+ =
^ c
h < m F
*
(23)により一意的に求められる.資産比率zm=H/Kはmの増加関数である.
証明 補論を参照.□
(23)式が本稿の主要な貢献の1つである.消費関数(13)式を財市場均衡式
(14)式に代入して得られる(22)式は,所得分布とは独立である.稼得能力分 布は人的資産と密接な関係があるため,資産比率zmを経由して成長率に影響 を与える.動学体系と同じように,(23)式のように資産比率を陽表的に定式化 できる点がガンマ分布の利点である.
最後に,所得分布と成長率の関係を導出する.
命題 3 稼得能力分布が(2)式で与えられるとき,
u u m
g 10
が成立する.bが一定のもとで,能力分布のピークが生涯の後半にあるほど,
成長率は低下する.
証明 補論を参照.□
命題3の直観的理由は家計の貯蓄行動にある.所得分布のピークが後半に あるとしよう.若年労働者は所得が少ないため貯蓄を減らす.また将来,労 働所得の増加が見込まれるためさらに貯蓄誘因が低下する.本稿のモデルは 資本外部性が成長のエンジンであるため,家計貯蓄の減少が物的資本の蓄積 を阻害すると経済全体の成長率が低下する.本稿の分析結果は,経済全体の 高学歴化や若年労働者の相対的貧困化が経済成長の阻害要因となり得ること,
また,賃金曲線のピークを前半に移動するような政策により成長率を引き上 げられることを示唆している.
2. 7 厚生
本節では,異なる稼得能力分布のもとで,経済厚生がどの程度異なるのか を分析する.前節の分析により,mの値が大きいほど成長率が低下すること が示された.この結果は,所得分布のピークが生涯の後半にあるような経済 ほど経済厚生が低下することを示唆している.しかし厚生への影響は成長率 効果に加え水準効果があることが知られており,ネットの効果は不明である.
(10)式より,誕生時の期待効用は,
U t t, ln , p c t t
p r 1
i i 2
= i
+ +
+
^ h ^ h ^ -h
である.(6),(8)式を用いると,
U t t, pln p h t t,
p r 1
i i 2
i
= + + + i
+
^ ^ ^ -
h h h ^
6 @ h (24)
が得られる.(24)式は,誕生時の人的資産h(t, t)こそが経済厚生を決定づけ ることを意味している.人的資産に関して,次の命題が得られる.
命題 4 稼得能力分布が(2)式で与えられるとき,誕生時の人的資産は,
h t t, r p g
p K t
m
b
b ~
= + + -
^ h c + m ^h (25)
である.gは均衡成長率を表す.
(i) g=rのとき,誕生時の人的資産は誕生時の賃金率に一致する(h(t, t)=
w(t)).
(ii) g<rのとき,mの値が大きいほど誕生時の人的資産が減少し,経済厚 生を悪化させる.
(iii) g>rのとき,mの値が大きいほど経済厚生を改善する可能性が高い.
証明 補論を参照.□
稼得能力分布の形状を決めるパラメータmは,2つの経路で人的資産に影 響を与える.1つは成長率効果である.mの値が大きいほど成長率gが低下し,
人的資産も減少する.(25)式の分母にあるgを経由する間接効果が成長率効 果を表している.もう1つは,直接的な分布効果である.(25)式の指数部分の mが分布効果を表している.分布効果は黄金律条件g=rと関係がある.黄金 律条件が満たされるとき,分布効果は生じない.均衡が動学的に効率である とき(g<r),(25)式の括弧の中の値は1より小さいから,mの値が大きいほ ど人的資産が小さくなる.逆に,均衡が動学的に非効率であるときは(g>r), 括弧の中の値は1より大きいため,mの値が大きいほど人的資産が大きくな る.ただし,mの増加とともに成長率gが低下するため(命題3),実際に人 的資産が増えるのは,分布効果が成長率効果を上回る場合に限られる.直観 的な解釈は次の通りである.均衡が動学的に効率的であるとは,賃金上昇率 が利子率よりも小さいことを意味する.このとき,将来の1単位の労働の割 引現在価値は,現在の1単位の労働よりも価値が低くなる.このような状況 では,分布のピークが若いときにあった方が生涯の総労働所得が増えるため,
経済厚生が改善される.逆に,賃金上昇率が利子率よりも大きい経済では,
将来の労働の方が現在の労働よりも価値が高いため,分布のピークが将来に あった方が生涯所得が増え,厚生が改善される.ただし,(ii)g<rのケース が現実的に妥当であるとすれば,分布のピークが前半にある方が厚生の観点 からも望ましいといえるだろう.
3 数 値 解 析
本節では,日本のデータを用いて,前節の結果を定量的に分析する.3.1節 ではパラメータの値を推計する.3.2節では,推計されたパラメータを用いて,
所得分布と成長率の関係を分析する.
3. 1 推計
本稿のモデルで特に重要なパラメータは,(2)式のガンマ関数に含まれる (m, b)である.(2)式に賃金率を掛けたE(s, t)=w(t)l(s, t)は,世代sの生涯 所得の分布を表すと同時に,t時点における年齢x=t-sの労働者の所得をも 表す.つまり,年齢xにおける労働所得E(x)は,
lnE x^ h= +c ^m-1hlnx-bx (26)
と表されることが分かる(cは定数).第1図の2012年のデータを用いて回帰 分析を行ったところ,次の結果が得られた(カッコ内はt値).
lnE(x)=-
(-5.05)
6.236+5
(11.47).30084 lnx-0
(-9.66).10962x (27)
第 2 図の実線は,(27)式の労働所得E(x)を図示したものである.利用可能 なデータは22歳から65歳までに限られているため,22歳未満および65歳 を超える部分については(27)式から予想される賃金曲線を描いている.また,
2001年の労働所得についても同様の分析を行い,破線で示した13).第2図の 実線のピークは50歳前後で,現実よりもやや左にある.他方,破線のピーク は現実よりも右にある.この点は,2つのパラメータで近似することの限界,
あるいは65歳以上のデータが欠損していることが理由だろうと思われる.た だし,t値をみる限り,統計上の有意性は保証されていると考えられるため,
以下では,(26),(27)式より,
(m, b)=(6.3, 0.11) として分析を行う14).
13) 2001年の回帰式は,
lnE(x)=-2
(-5.62)
.82624+3
(20.61)
.943569lnx-0
(-13.41)
.06632x である.
14) 前節および補論ではmを自然数として分析しているが,関数等の定義を自然数から順に実
数まで拡張することにより,実数の範囲で分析が可能である.
他のパラメータは以下の通りである.時間選好率を年率1%とする(i=
0.01).寿命を80年とすると,p=0.125である(p-1=80).資本分配率をa(一定)
とすると,利子率および外部性の大きさはそれぞれ,r=aA, ~=(1-a)Aで 与えられる.最後に,a=1/3, r=0.02と仮定すると,A=0.06, ~=0.04が得 られる.
3. 2 分析結果
前節で得られたパラメータを(22),(23)式に代入し,成長率gを求める.
第 3 図 aの曲線は,(22)式の右辺を図示したものである.漸近線の式は,
g=r+p+b=0.1425であり,この左側が意味のある領域である.右上がりの
直線は45度線を表しており,交点の値が均衡成長率である.数値計算による と,g=0.58%であり,かなり現実的な数値であるといえよう.
0 10 20 30 40 50 60 70 80
0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000 9,000 10,000 11,000 12,000 13,000 14,000
(歳)
所
得
(千円)
第 2 図 推計賃金曲線(実線2012年,破線2001年)
第 3 図 bの曲線は,指数分布(m=1)を前提としたSaint-Paul (1992)の関係 式(20)式の右辺を図示したものである.第1図の曲線の形状から明らかなよ うに,指数分布による近似には限界がある.そのため,いくつかのbの値ご とに曲線を図示した.十字線は,第3図aと同じb=0.11を用いたときの曲 線を表す.均衡成長率は3.0%である.破線は,指数分布で近似したときの b(=0.02)を用いている.均衡成長率は1.4%である.左下の実線は,一様分 布のときを表す(b=0).一様分布のときの均衡成長率は0.49%である.指数 分布を用いることは,近似そのものに問題があるだけでなく,成長率の推計 に上向きのバイアスを持つことが分かる.
第 3 図 a ガンマ分布(m, b)=(6.3, 0.11)における均衡成長率
-0.010 -0.005 0.005 0.010 0.015 0.020
-0.010 -0.005 0.005 0.010 0.015 0.020
g
4 お わ り に
本稿では,連続時間世代重複モデルにガンマ分布で表される稼得能力分布 を導入し,所得分配と経済成長,経済厚生の関係を分析した.主な分析結果 は次の3つである.第1に,減耗率一定の能力分布を仮定したSaint-Paul (1992) では,成長率の推計に上向きのバイアスを持つ.第2に,経済成長の観点で は,ピークが前半にある所得分布が望ましい.第3に,経済厚生の観点では,
均衡が動学的効率性を満たすときはピークが前半にある所得分布が望ましく,
動学的に非効率であるときは逆にピークが後半にある所得分布が望ましい.
この結果は,望ましい所得分布とは何かを議論する際,成長率のみならず,
動学的効率性条件についても考慮すべきであることを意味している.
第 3 図 b 指数分布(m=1)における均衡成長率
(実線b=0,破線b=0.02,+字b=0.11)
-0.01 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05
-0.01 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05
g
本稿のモデルは高度に定型化されており,またいくつかの強い仮定にもと づいているため,安直に政策的意義を論じるのは危険である.しかし,解析 的な分析が可能であること,比較的少ない情報で精度の高い所得分布を近似 できること等の利点があり,本研究の応用範囲は広いと考えられる.以下,
拡張の方向性をいくつか述べる.
第1に,所得分布以外の要素を精緻化することである.たとえば,Heijdra and Romp (2008)の死亡率の一般化や,Heijdra and Mierau (2012) の労働供給の 内生化,Prettner (2013) の出生率内生化等は比較的容易にモデル化することが 可能であり,実証分析の精度がさらに向上すると考えられる.第2に,所得 分布そのものの内生化である.本稿では,個人は所得分布を与件として消費 や貯蓄の意思決定をすると仮定している.個人の自由意思をより重視するの であれば,個人が能力や適性に応じて教育や職業を選択し,結果的に,個人 が自分の所得分布そのものを選択するようなモデルを構築するのが有益だろ う.こうした点は将来の課題である.
補論
[(3)式の導出]
便宜上,p+b=mとおく.変数変換u=t-sを行うと,(3)式は,
!
um e udu m 1
1 m
03 - -m =^ m- h
#
(A1)と同値である.
(i) m=1のとき,左辺と右辺は一致する.
(ii) m=j ≥ 1のとき(A1)式が成立すると仮定する.
!
uj e udu j 1
j 1
03 - -m =^ -m h
#
このとき,
u ej udu uj 1e u ju 1e du
u
j u
0 0
1
m 0 m
= - - -
3 3 3
m m m
- -
=
- -
a k a k
: D
# #
j uj 1e udu m 0
=
#
3 - -m! j mj 1
= +
となるので,m=j+1のときも(A1)式が成立する.
(i),(ii)より,数学的帰納法によりすべての自然数mについて(A1)式が成 立する.
[(7),(8)式の導出]
ハミルトニアン関数を,
H=lnc+n6^r p k wl c+ h + -@ とおく.最適化の1階の条件
u u
c
Hu =0&c=n-1
u c
Hu =0&c=n-1
u c
H=0&c=n-1
u u
k
H i p n n&r i n
= + -o - =- no
^ h
u u
k
H i p n n&r i n
= + -o - =- no
^ h
u u
k
H i p n n&r i n
= + -o - =-no
^ h
より,(7)式を得る.
(7)式を積分すると,任意のv≥tに対して,
c s v, c s t, exp r u du
t v
= -i
^ h ^ h 6
#
6 ^ h @ @ (A2)が成立する.
次に,(5)式を区間[t, T] で積分すると,
k s v, exp r u p du v t= w v l s v, c s v, exp r u p du dv
t v
t v t
T
- + T = - - +
^ h 6 6 ^ h ^ h ^ h ^ h ^ h
6
#
@ @@#
6 @ 6#
6 @ @v t=
, exp , , exp
k s v r u p du w v l s v c s v r u p du dv
t v
t v t
T
- + T = - - +
^ h 6 6 ^ h ^ h ^ h ^ h ^ h
6
#
@ @@#
6 @ 6#
6 @ @ (A3)が得られる.
ここでT→∞とすると,横断性条件より(A3)式の左辺は-k(s, t)に収束 する.
(A3)式の右辺は,(A2)式を用いると,
w v l s v, exp r u p du dv c s t, e dv
t
v p v t
t T t
T
- + - - +i -
^ h ^ h 6
#
6 ^ h @ @ ^ h#
] g] g#
と変形できる.したがって,T→∞のとき,右辺は,
, ,
h s t p
c s t - i+
^ h ^ h
に収束する.これより,(8)式を得る.
[命題 1 の証明]
(8)式をsについて集計すると(13)式が得られる.
集計された物的資本
K t =e pt tk s t e, psds
3 -
-
^h
#
^ hを時間tで微分する.(5),(6),(11),(12)式などを用いると,
, ,
K t =-pK t+e pt k t t ept+ t k s t epsds
3 -
-
o^h ^h < ^ h
#
o^ h F, , ,
pK t e pt t r p k s t w t l s t c s t epsds
=- + + + -
3 -
^h
#
- 6^ h ^ h ^ ^h h ^ h@rK t w t C t
= ^h+ ^h- ^h
a
f a K t C t
= ^ h ^h- ^h を得る.
(2)式を(9)式に代入すると,世代sの人的資産は,
, h s t !
m
p e e e w v v s dv
1
m r p t s r p v m
t
b 1
= -
+ + b 3 - + +b - -
^ h ^^ hh ] g
#
] g ^ ^h hと表すことができる.
2項定理より,
v sm C , v s
m j m j j
j m
1 1 1
0 1
- - = - - - -
= -
^ h
/
^ hが成り立つ.Cm-1, jは,異なる(m-1)個からj個取り出すときの組合せの総 数を表す.
上式に代入すると,
, !
h s t m
p e e C s e w v v dv
1 ,
m r p t s
m j j r p v m j
j t m
1 1
0
b 1
= -
+ + b - - 3 - + +b - -
= -
^ h ^^ hh ] g
/
^ h#
] g ^ h(A4)
が得られる.
(A4)式をsについて集計する.
H t =e pt th s t e, psds
3 -
-
^h
#
^ h! m
p e e w v v dv C s e ds
1 , 1
m rt r p v m j
t
m j j
j m
j p s 1 t
1 0
b 1
= -
+ 3 -
3
b b
- + + - -
-
= -
+
^ -
^ hh
/
<#
] g ^ h F ^ h#
] g(A5)
この式を整理する前に,以下の4つの補題を証明する.
補題 1
ガンマ関数の定積分について,
ts e dsj s =Ct j e, t j=0 1 2, , ,f
3
m m
- ^ h ^ h
#
(A6)が成り立つ(m>0は定数).ただし,関数列C(t, j)は,
t,0 1
C^ h=m (A7)
t j, t j , , , t j 1 j 1 2
j
m m f
C^ h= - C^ - h ^ = h (A8)
で与えられる.
[証明]
j=0のとき,
te dss e s 1e
s t
t
m m
= =
3 3
m m
m
- ; E =-
#
より,(A7)式を得る.
部分積分法を用いると,
s e dsj s s e js e ds
t j s
s
t t j s
1
m m
= -
3 3 3
m m m
- =-
- -
; E
# #
t e j
s e ds
j t t j s
1
m m
= -
3
m - m
#
-これより(A8)式を得る.[証明了]
補題 2
関数列C(t, j)の導関数について,
Cl^ ht,0 =0 (A9)
Cl^t j, h=jCl^t j, -1h ^j=1 2, ,fh (A10)
が成り立つ.
[証明]
(A7)式より(A9)式が成り立つ.
あるj≥1について(A10)式が成立すると仮定する.このとき,(A8)式より,
, ,
t j j
t j
t j
1 1 j 1
m m
C + = + C
- +
l^ h l^ h
j ,
t j
j t j
1 1
j 1
m m C
= +
- +
^ - h
, j 1 Ct j
= +^ h ^ h
したがって,j+1のときも(A10)式が成立する.数学的帰納法により,すべ てのj≥1について(A10)式が成立する.[証明了]
補題 3
任意の自然数mに対して,関数列C(t, j) (0≤j≤m-1)を(A7),(A8)式で 定義する.このとき,
, !
C t j t m
1 1
,
m j j m j
m j
m
1 1
0 1
C m
- = -
- - -
= -
^ h ^ h ^ h
/
(A11)が成り立つ.
[証明]
m=1のとき,左辺=m-1となるので,(A11)式が成立する.
あるm≥1について(A11)式が成立すると仮定する.このとき,
, Cm j, 1 j t j tm j j
m
0
- C -
=
^ h ^ h
/
, ,
t0 tm m Cj , 1 t j t
m j j m j
j m
1 1 1
C C
= + - - - -
=
^ h
/
^ h ^ ht m C , 1 tj t j, 1 t
m
m j j j
m j j
m
1 1
m m 1 C
= + - - - - - -
=
^ h < ^ hF
/
t t C , 1 m C , 1 t j, 1t
m m
m j j
j m
m j j m j
j m
1
1 1 1
m m m 1 C
= + - + - -
=
- - - -
=
^ h ^ h ^ h
/ /
t C 1 m m 1 !
, m
m j j
j m
m
m 0 m m
= - + -
=
^ h ^ h
/
! m mm 1
= +
が成立する.したがって,m+1のときも(A11)式が成立する.数学的帰納法 により,すべての自然数mに対して(A11)式が成立する.[証明了]
補題 4
任意の自然数mに対して,関数列I(t, m)を次式で定義する.
I t m, m 1 ! e w v v dv C , 1 t j,
m r v m j
t
m j j
j m
1 1
0
m 1 C
= - 3 - +m - - - -
= -
^ h ^ h
/
<#
] g ^ h F ^ h ^ h(A12)
ただし,C(t, j)は,(A7),(A8)式で定義される関数列である.このとき,
I t,1 w v e r vdv
t
= 3 - +m
^ h
#
^ h ] g (A13)I t mo^, h=-w t e^h - +]r mgt-mI t m^, -1h ^m$2h (A14)
が成立する.
[証明]
m=1のとき,
I t,1 t,0 e r vw v dv e w v dv
t
r v
t
=mC 3 - +m = 3 - +m
^ h ^ h
#
] g ^ h#
] g ^ hより,(A13)式が成り立つ.
(A12)式を時間tで微分する.
, ! , I t m
m e w t t C t j
1 , 1
m r t m j
m j j
j m
1 1
0
m 1 C
= - - - +m - - - -
=
o^ -
^ ] ^ ^ ^
h h
/
6 g h @ h h! ,
m e w v v dv C t j
1 , 1
m r v m j
t
m j j
j m
1 1
0
m 1 C
+ - 3 - +m - - - -
= -
^ h
/
<#
] g ^ h F ^ h l^ hここで,補題3より,第1項は-e-(r+m)tw(t)となる.
また,補題2より,第2項は,
! ,
m e w v v dv C j t j
1 , 1 1
m r v m j
t
m j j
j m
1 1
1 1
m $C
- 3 - +m - - - - -
= -
^ h
/
<#
] g ^ h F ^ h ^ h! ,
m e w v v dv m C t j
1 1 , 1 1
m r v m j
t m j j
j m
1 1 1 1
1
m 1 C
=- - 3 - +m - - - - - - - -
= -
^ h
/
<#
] g ^h F^ h ^ h ^ h, I t m 1
=-m ^ - h
! ,
m e w v v dv C t j
2 , 1
m r v m j
t
m j j
j m
2 1
0
m 2 C
=- - 3 - +m - - - -
= -
^ h
/
<#
] g ^h F ^ h ^ hとなるので,(A14)式が示される.[証明了]
以上の補題を用いて(A5)式を整理する.まず,補題1,補題4より,
! ,
H t m
p e e w v v dv C t j
1 , 1
m
r p t r p v m j
t
m j j
j m
1 1
0
b 1
= C -
+ + +b 3 - + +b - - - -
= -
^h ^^ hh ] g
/
<#
] g ^h F ^ h ^ h, er p tI t m
= ]+ +bg ^ h と変形できる(m=p+b). ここで,
D t m^, h=e]r p+ +bgtI t m^, h と置くと,
D t,1 er p tI t,1 w v e r p v tdv
t
= + +b = 3 - + +b -
^ h ] g ^ h
#
^ h ] g] gが成り立つ.また,
, , ,
D t mo^ h= + +^r p bhD t m^ h+e]r p+ +bgtI t mo^ h
, ,
r p b D t m er p t w t e r p t p bI t m 1
= + +^ h ^ h+ ]+ +bg6- ^h - + +] bg- +^ h ^ - h@
, ,
r p b D t m w t p bD t m 1
= + +^ h ^ h- ^h- +^ h ^ - h である.最後に,w(t)=~K(t)を用いると,(16),(17)式を得る.
[命題 2 の証明]
命題1より,
, K to^h=AK t^h- +^i p K th6 ^h+D t m^ h@
, , ,
D t jo^ h= + +^r p bhD t j^ h-~K t^h- +^p bhD t j^ -1h ^2# #j mh
, ,
D to^ 1h= + +^r p bhD t^ 1h-~K t^h が得られる.D(t, m)が人的資産を表す.
資産比率として,
,
t K t
D t j
j m
j 1# #
z ^ =
^^ ^
h hh h
と定義する.zm(t)=D(t, m)/K(t)が人的資産と物的資産の比率を表す.これ を用いると,
K t
K to = - +A i p 1+zm
^^hh ^ h^ h (A15)
, , D t j D t j
r p p
j m
j 2
j 1 # #
b z
~ b z
= + + - + + -
o
^^ hh ^ h ^ h (A16)
, , D t
D t1 r p 1
b z1
= + + - ~ o
^^ hh
(A17)