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(1)

数学教育における創造性の基礎を矯う少人数学習の研究

教科・領域教育専攻 自然系コース(数学) 谷 川 祥

1 .

はじめに

今日,我が国の社会は,大きな危機に直面し ており,教育においても,いじめや不登校,学 級崩壊,青少年による凶悪犯罪の増加等現状は 深刻である。長期の平和と物質的豊かさを享受 することができるようになった一方で,自分自 身で考え創造する力を失っている。一方科学技 術の急速な発展と社会構造の変化に伴い,柔軟 な思考力・創造力を有する人材の育成が強く求 められている。

学校現場では,平成14年度より[生きる力]

を育むことをねらいとした学習指導要領が実施 されている。中学校数学科の改善の基本方針に

「創造性の基礎を培う Jという目的が示され,

その中身は「多面的にものを見る力J

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論理的に 考える力Jとが例示されている。この2つのカ は数学教育において育成できる可能性が高く,

また創造性の基礎となり得ると考えられるもの であるため,今後の数学教育の重要な実現性の ある目的であると考えられる。また基礎・基本 の確実な定着を図り,個性を生かす教育を充実 させるために,きめ細やかな指導方法や指導体 制の工夫改善を図ることも求められている。

数学は人間が創造し,創造し続ける宇宙であ ると言われる。数学の学習は,そのような活動 に挑み,振り返る経験を通じて,自らの数学の 世界を発展的に再構成していく過程と見ること ができる。そしてその活動を楽しむ中で,数学

指 導 教 員 斎 藤 昇

における創造性の基礎を培うとともに,将来を よりよく生きる力を育む教育が期待されている。

本研究では,このような数学の本質を見つめ,

数学教育における創造性の基礎を培う少人数学 習法を提案し,実践を通してこの学習法の意義

とその効果を明らかにする。

2.

研究方法

中学校

1

年生の

7

クラスから

4

クラスを選 び,その2クラスずつをそれぞれ3つのコース 創造型コース,課題解決型コース,基礎基本徹 底コースに分ける。これらをまとめて検証授業 群と呼ぶことにする。この選択・決定は生徒に ゆだねる。残りの

3

クラスは出席番号願に

5

つ の小集団に分ける。これを一般群と呼ぶ。

創造型コースは生徒同士のコミュニケーショ ン活動を中心に考え方やプロセスを重視し,ま た観察や操作,実験等具体的な活動を通しても のごとの関係やきまりを見いだしたり,得られー た結果の意味を考えたりする活動を取り入れる。

またまとめの段階で,疑問にd思ったこと,もっ と調べたいことを課題探究学習する。課題解決 型コースは,教科書の内容の理解を中心にまと めの段階で学習のあらすじを述べたり,テスト 問題を作ったりする。基礎基本徹底型コースは,

基礎・基本の徹底を図り 山登り式学習法を取 り入れた。(コース別学習法)

一般群は,少人数の集団での一斉形態による 教科書中心の授業を行う。

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(2)

調査方法は,認知面の学力を調べるための到 達度テスト,情意面の学力を調べるための情意 テスト

1

, 1I,創造性に関する情意面を測定す るテスト,創造性を測定するテストを実施した。

3 .

実験結果と分析及て先考察 ( 1 ) 到達度テストの結果

検証群は,一般群に比べて,知識・技能,手 順,関連全てにおいて有意水準5 %で有意差が あり,理解を深めることができた。

(2)  情意テスト

I

の結果

検証群,特に創造型と基礎基本徹底型では,

授業後,関心・意欲等が高まった。逆に一般群 では授業前より低くなった。

(3)  情意テスト

E

の結果.

検証群は,好意,容易 重要,意欲,自信度 を高めることができた。

(4)  創造性態度テストの結果

検証群は,合計得点と各因子の平均値におい て,授業後高まった。また一般群の平均値との 聞にも有意水準5 %で有意差が認められた。

(5)  創造性テストの結果

検証群は,拡散性,流暢性,柔軟性,独創性 全てにおいて一般群より高く平均値に有意水準 5 %で有意差が見られた。また全体として拡散 性と流暢性,流暢性と柔軟性の間に強い相関性 があり,残りの間にも相関性が見られた。

(6)  各テストの関係

全体で見ると到達度テスト,創造性態度テス ト,創造性テストは,相関係数が

o . 45

以上 でかなり相関がある。検証群と一般群で比べる と検証群の方が相関係数の値が高くなった。

さらに各テストの結果を5段階に分け,その平 均点の関係を見ると,到達度テストの得点が高 いほど創造性態度テスト,創造性テストの得点 も高いこと,創造性態度テストの得点が高いほ

ど到達度テスト,創造性テストの得点も高いこ とが分かつた。しかし創造性テストの得点が高 くても,到達度テストや創造性態度テストの得 点が高いとは言えない。また創造性態度テスト の各因子と創造性テストの関係を見ていくと,

どの因子もその得点が高いほど創造性テストの 得点も高い。到達度テストの知識・技能,手IJ,慎 関連と創造性テストの得点の関係も同様のこと が言えることが分かつた。

4 .

結論

本研究は,創造性の基礎を培う少人数学習の 方法について提案し,その学習法を実施して効 果を調べた結果,以下のことが明らかになった。

( 1 )コース別学習法は知識・技能の理解を 高めると共に,問題を解決するための手順や,

単元全体の系統性や関連性の理解等,認知的学 力を高めることができる。

(2)コース別学習法は,生徒の数学学習に対 する関心・意欲等の情意的学力を高めることが できる。

(3)コース別学習法は,創造性態度を高める ことができる。

(4)創造性を育成するためには,認知的学力,

創造性態度を高めることが基盤となる。

(5)創造性の基礎を培うには,基礎的基本的 な知識・技能を確実に身につけ,その知識や情 報を関連づけて頭の中に整理し,構造的・体系 的な思考を活性化することが重要である。

(6)コース別学習法は,生徒の創造性の基礎 を培うことができる学習法である。

今後の課題として以下のことが残されている。

( 1 )各コースの学習法の再検討

( 2 )

各コースの授業改善 (3)他の領域での授業実践

(4)学年や領域別の創造性テストの改善

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参照

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