季 刊
全 国 環 境 研 会 誌
Vol.46 No.1 2021 (通巻 158 号)
目 次
[巻頭言] 新たな施設とともに、こらからの環境のために ……… 柘植孝之/ 1 [特 集/第47回環境保全・公害防止研究発表会] 第47回環境保全・公害防止研究発表会の概要 ……… 川崎市環境総合研究所/ 2 [報 文] 大気粉じん中六価クロム化合物の分析条件検討及び添加回収試験の結果について ……… 林 英和・庄司岳志・佐藤修一/ 5 相模湾漂着マイクロプラスチックに吸着したPCBの実態調査及び発生源別のリスク推定 ……… 小澤憲司・三島聡子/ 10 東海道新幹線N700系車内の音色 ……… 木﨑 利/ 18 福岡県の海岸砂浜に侵入したバクヤギクの防除に関する研究 ―形態的特徴の把握及び成長特性・繁殖 特性の解明― ……… 金子洋平・須田隆一/ 22 沖縄島における地下水・石灰岩中の鉛同位体比 ……… 座間味佳孝・友寄喜貴/ 28 支部だより=東海・近畿・北陸支部/ 33,「全国環境研会誌」編集後記/ 34第 46 巻 第 1 号(通巻 第 158 号)
2021 年
季刊
全国環境研会誌
C O N T E N T S
Analysis Method and Result of Addition Recovery Test in Hexavalent Chromium Compounds in Atmospheric Dust
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Hidekazu HAYASHI,Takeshi SHOJI,Syuichi SATO/ 5
Survey of PCBs on the Microplastics Found in Sagami Bay and Risk Estimation of Each PCBs Emission Source
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Kenji OZAWA, Satoko MISHIMA / 10
Tone Color of Tokaido Shinkansen N700 series vehicles
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Toru KIZAKI / 18
Studies on the control of
Carpobrotus
sp. on the coastal sand dunes in Fukuoka Prefecture・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Yohei KANEKO,Ryuichi SUDA / 22
Stable Lead Isotope Ratios of Groundwater and Limestone in Okinawa Island
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Yoshitaka ZAMAMI,Nobutaka TOMOYOSE / 28
JOURNAL OF ENVIRONMENTAL LABORATORIES ASSOCIATION
Vol.46 No.1(2021)
◆巻頭言◆ 愛知県環境調査センター所長 柘 植 孝 之 1 〔 全国環境研会誌 〕Vol.46 No.1(2021)
◆巻 頭 言◆
新たな施設とともに,これからの環境のために
愛知県環境調査センター所長 柘 植 孝 之
全国環境研協議会東海・近畿・北陸支部支部長を務め ております,愛知県環境調査センターの柘植です。 日頃から共同研究や研究発表会などにおいて,皆様の 多大なるご協力をいただき,心より感謝申し上げます。 さて,本環境調査センターは,愛知県の環境行政を支 える調査・研究機関として,昭和47年に建設されまし た。しかし,老朽化のため建替えを行い,この度,新た に再生エネルギー活用施設や環境学習施設を併設するな どして,2020年4月に,フルオープンとなりました。 新施設の整備にあたり,次の三つの基本方針を定め, 事業を進めました。 【基本方針】 ・愛知県の環境行政における拠点施設 ・全国モデルとなる新エネ・省エネ施設 ・県民に親しみを持ってもらえる施設 従来からある環境や公害の調査分析施設に加え,新施 設の1階には,県の環境学習の拠点である「あいち環境 学習プラザ」や,県の気候変動影響への適応策の促進拠 点である「愛知県気候変動適応センター」を設置してい ます。 また,新施設は,公共施設で全国トップクラスの省エ ネルギー施設を目指しており,建築物省エネルギー性能 表示制度に基づきZEB(Nearly ZEB)の認証を2018年11月 に受けることができました。ここでは,太陽光発電シス テム,太陽熱集熱システムなどの再生可能エネルギーを 利用できるシステムを取り入れるとともに,高効率冷暖 房設備,LED照明,人検知センサーによる照明制御,ビ ルエネルギー管理システムなどの省エネルギー施設を有 しており,建築面においても高断熱ガラス,自然換気, 地中熱利用,壁面緑化等を採用し,高い省エネルギー率 を実現しています。 また,こうした新エネ・省エネ技術等の普及拡大を促 進するため,新エネ・省エネ設備や建築技術の見学ルー トを設定しています。併せて,小中学生が環境問題につ いて学習する展示や講座,実験を行うことができる施設 にしています。さらに,県産木材やリサイクル材を積極 的に利用するなど,地球環境にも配慮しています。 当センターは発足当初は,大気汚染や水質汚濁などの 公害調査,環境調査が主でしたが,アスベスト,フロン 類,ダイオキシン類,PM2.5,環境放射能といった新た な課題の分析業務に対応してまいりました。 近年は,自然環境保全や地球温暖化対策,次世代の持 続可能な社会の担い手の育成といった課題への対応も求 められております。 今後も,新たな課題も含めた多岐にわたる課題に対応 するために,幅広い分野,より広範囲での対応が必要に なってくると思われます。これまで以上に各地区の地環 研の協力が必要になってくるのではないでしょうか。支 部活動や全環研の活動を通じて,皆様と協力して,これ らの課題に取り組んでいきたいと存じます。今後ともよ ろしくお願いいたします。愛知県環境調査センター外観図
(建物南側前面に太陽光パネルを設置)
<特集> 第47回環境保全・公害防止研究発表会 2 〔 全国環境研会誌 〕Vol.46 No.1(2021) 2
<特 集>第47回環境保全・公害防止研究発表会
第47回環境保全・公害防止研究発表会の概要
川崎市環境総合研究所
当初,第47回環境保全・公害防止研究発表会につきま しては,令和2年11月19日(木),20日(金)の両日に 川崎市スポーツ・文化総合センター(カルッツかわさ き)において開催する予定でしたが,全国的な新型コロ ナウイルス感染拡大の状況をふまえ,令和2年7月に全国 環境研協議会会員機関あて発表会の開催についてのアン ケートを実施した結果,感染防止の観点から,書面にて 開催することとなりました。 研究発表に関しては全国環境研協議会の会員等から43 題の演題応募があり,大気(12題),化学物質(4 題),生物(4題),水環境(16題),放射線(4題), 気候変動(3題)の研究発表を書面により行い,全国環 境研協議会会員機関等70機関から参加をいただきまし た。 1.開催方法について 例年であれば年度当初から開催に向けての準備を始め るところでしたが,川崎市を含む首都圏では令和2年4月 7日から5月25日までの間,国の緊急事態宣言が発令され ており,イベント等の開催についても不要不急を要する ものでないものについては当面の間中止または延期とい う判断となっておりました。 緊急事態宣言解除後についても次の第2波,第3波の到 来を危惧する状況は続いており,開催の判断がつかない 状況が続いていたため,7月に全国環境研協議会会員機 関あて発表会の開催についてのアンケートを実施し,各 機関からのご意見をふまえて開催案を作成することとし ました。 アンケートでは開催について,通常通り開催,延期, 中止,開催方法の変更などの選択肢を用意し,回答をい ただきました。アンケートの結果,県外を越えての移動 が難しいこと,オンラインによる開催は機材の手配が間 に合わないことなどの理由から開催方法の変更(書面で の開催)が望ましいという意見が多数を占めたため,今 回の発表会は書面開催することとなりました。 大気環境学会等学会発表等でも書面による開催が行わ れていたため,それらを参考にしつつ,できるだけ,会 員間の情報交換・共有が図れるように配慮しました。 また,例年通り冊子での講演要旨を作成することに加 え,電子データも会員機関あて提供し,機関内での共有 を図っていただきました。 質疑応答についても,講演要旨を送付後,一定期間を 設け,各機関からの質問を受け付けた後,各演者あて寄 せられた質問への回答を依頼し,回答いただいた内容に ついては質問者のみならず,全会員機関あて情報共有を 図りました。 2.研究発表 研究発表の内容については,以下に概要を示します。 ○Ⅰ大気 1 高知県における光化学オキシダント濃度の推移 小松 寛卓ほか(高知県衛生環境研究所) 2 川崎市内における光化学オキシダント高濃度の解析 沼田 和也ほか(川崎市環境総合研究所) 3 岩手県内光化学オキシダント濃度の長期的評価と地域 内変動 佐藤 卓ほか(岩手県環境保健研究センター) 4 2019年5月における高濃度光化学オキシダント事象に ついて 小原 幸敏ほか(島根県保健環境科学研究所) 5 PM2.5用インパクタを付けた4段フィルターパック法に よる乾性沈着調査について(第2報) 佐々木 博行ほか(新潟県保健環境科学研究所) 6 昼夜別観測から得られたPM2.5成分および有機マーカー の特徴 熊谷 貴美代ほか(群馬県衛生環境研究所) 7 福井市における2019年秋季のPM2.5成分の周辺環境によ る特徴について 岡 恭子ほか(福井県衛生環境研究センター) 8 酸化エチレン(有害大気汚染物質)測定法の検討 吉田 天平(和歌山県環境衛生研究センター)<特集> 第47回環境保全・公害防止研究発表会 3 〔 全国環境研会誌 〕Vol.46 No.1(2021) 3 9 新築庁舎VOC測定室内の有害大気汚染物質(揮発性有 機化合物)濃度の経時変化 結城 茜(静岡県環境衛生科学研究所) 10 大気中粒子状物質の長期測定と発生源の変遷 船坂 邦弘ほか(大阪市立環境科学研究センター) 11 LC/MS/MSによる大気中6価クロム化合物測定の試み 野尻 喜好ほか(埼玉県環境科学国際センター) 12 パッシブサンプリング法による大気中PCB・ダイオキ シン類の測定 永洞 真一郎(北海道立総合研究機構エネルギー・ 環境・地質研究所) ○Ⅱ化学物質 1 ダイオキシン類の抽出操作の改良に関する検討(その 2) 安達 収吾ほか(新潟県保健環境科学研究所) 2 トリアジン系除草剤シアナジンの分析法と環境調査結 果について 吉岡 敏行ほか(岡山県環境保健センター) 3 物理化学的処理によるリン酸エステル系難燃剤の除去 川村 恭平ほか(福井県衛生環境研究センター) 4 川崎市の水環境中におけるリン酸エステル系難燃剤の 実態調査 山根 尚子ほか(川崎市環境総合研究所) ○Ⅲ生物 1 尾瀬沼における環境DNAを用いた魚類調査手法の検討 吉野 有希菜ほか(群馬県衛生環境研究所) 2 河川における環境DNAメタバーコーディング法と採捕 調査による検出魚類の比較 平川 周作ほか(福岡県保健環境研究所) 3 シジミのろ水速度と餌藻類の関係について 大柳 まどかほか(滋賀県琵琶湖環境科学研究セン ター) 4 シジミ肥満度と餌藻類の関係について 古田 世子ほか(滋賀県琵琶湖環境科学研究センタ ー) ○Ⅳ水環境 1 工場排水等におけるふっ素の測定精度向上に関する検 討 近藤 笑加ほか(三重県保健環境研究所) 2 山王川の水質状況と流域の土地利用 木村 夏紀ほか(茨城県霞ケ浦環境科学センター) 3 印旛沼流域の降雨時における道路排水の流出特性 横山 智子ほか(千葉県環境研究センター) 4 印旛沼における水質詳細調査について 星野 武司ほか(千葉県環境研究センター) 5 市街地排水中の硝酸イオンの濃度変動 横山 新紀ほか(千葉県環境研究センター) 6 八幡川水系ダム湖における栄養塩等の長期調査結果 村野 勢津子ほか(広島市衛生研究所) 7 名古屋市内ため池の植生と水質 大畑 史江ほか(名古屋市環境科学調査センター) 8 令和元年台風第19号通過後の河川敷堆積物や空間線量 率の変化 山﨑 琢平ほか(福島県環境創造センター) 9 諏訪湖沿岸域における底質性状の実態 柳町 信吾ほか(長野県環境保全研究所) 10 窒素面源負荷原単位逆推計手法の開発 古賀 佑太郎ほか((公財)ひょうご環境創造協会 兵庫県環境研究センター) 11 国環研と地環研等によるⅡ型共同研究を介した水界 生態系における環境再生研究の推進 矢部 徹ほか(国立研究開発法人国立環境研究所) 12 紀の川水系における農薬残留実態調査 浦西 洋輔ほか(奈良県景観・環境総合センター) 13 LC-QTOF/MSを用いた河川水中の化学物質のスクリー ニング分析 吉野 共広ほか(神戸市環境保健研究所) 14 廃棄物処分場からのPFOS及びPFOAの溶出実態と水処 理過程での消失について 亀岡 寛史ほか((地独)大阪府立環境農林水産総 合研究所) 15 埼玉県内河川における流下マイクロプラスチックの 特徴 田中 仁志ほか(埼玉県環境科学国際センター) 16 栃木県内の環境中に排出される廃プラスチック類に 関する調査(第1報) 神野 憲一ほか(栃木県保健環境センター) ○Ⅴ放射線 1 石川県における福島第一原子力発電所事故の影響割合 について 内田 賢吾(石川県保健環境センター) 2 千葉県内のモニタリングポストにおける高線量事例 上治 純子ほか(千葉県環境研究センター) 3 福島県内仮置場で使用される保管容器等の長期耐久性 評価に係る試験結果について 小磯 将広ほか(福島県環境創造センター) 4 公共施設における除染後の効果持続性の確認及び将来 の空間線量率の予測 日下部 一晃ほか(福島県環境創造センター)
<特集> 第47回環境保全・公害防止研究発表会 4 〔 全国環境研会誌 〕Vol.46 No.1(2021) 4 ○Ⅵ気候変動 1 立山の融雪モニタリングによる気候変動の影響の評価 袖野 新ほか(富山県環境科学センター) 2 川崎市内における熱中症による救急搬送者数の状況調 査 油座 郁美ほか(川崎市環境総合研究所) 3 福岡市における暑熱環境調査 松本 弘子ほか(福岡市保健環境研究所) 3.開催を終えて 新型コロナの影響により先の予定が見通せない中,本 発表会では初となる書面での開催となりました。前例の ない状況のため,準備や段取り等に手間取り,関係者の 皆様にはご迷惑をおかけしましたこと,お詫び申し上げ ます。 また,このような状況下にあっても,例年とほぼ同数 の演題発表をいただけたこと,そして,積極的な質疑応 答が図られたことについて,会員機関の皆様に改めて感 謝申し上げます。 本発表会の目的としましては,会員機関の日ごろの研 究成果の発表の場のみならず,会員機関同士の交流やネ ットワークづくりなどが挙げられますが,今回の開催で は,直接顔を合わせての交流やネットワークづくりが出 来なかったことは大変残念なことでした。 一方で,通常開催では各機関から限られた人数での参 加となっておりますが,今回,書面開催とすることで, 各機関でより多くの研究者の皆様に研究発表をご覧いた だくことができたのは,大きな収穫だったと思います。 次年度は秋田県秋田市での開催を予定しております。 新型コロナの状況が今後どう推移していくのか非常に不 透明なところではございますが,どのような形での開催 となっても,引き続き重要な研究成果の発表,情報交換 の場として本発表会がますます発展していくことを祈念 しております。
<報文> 大気粉じん中六価クロム化合物の分析条件検討及び添加回収試験の結果について
5
〔 全国環境研会誌 〕Vol.46 No.1(2021)
*Analysis Method and Result of Addition Recovery Test in Hexavalent Chromium Compounds in Atmospheric Dust **Hidekazu HAYASHI,Takeshi SHOJI, Syuichi SATO(仙台市衛生研究所)Sendai City Institute of Public Health ,Sendai City
<報 文>
大気粉じん中六価クロム化合物の分析条件検討及び
添加回収試験の結果について
*林 英和
**・庄司 岳志
**・佐藤 修一
** キーワード ①有害大気汚染物質 ②六価クロム ③イオンクロマトグラフ-ポストカラム法 要 旨 有害大気汚染物質である六価クロムについて,イオンクロマトグラフ‐ポストカラム法を用いた分析条件の検討および添 加回収試験を行った。本方法における操作ブランク,トラベルブランクはともに低く,方法定量下限値は目標定量下限値 0.08ng/m3を満たした。二クロム酸カリウムを標準物質として用いた添加回収試験では,回収率は28.5~61.1%,平均48%と低 回収率であるとともにばらつきも大きかった。しかし,捕集部を十分に遮光した採取条件で行った添加回収試験では,回収 率が86.2~96.2%と良好な回収結果が得られた。このことから,二クロム酸カリウムは光により6価から3価へ還元される可 能性が示唆された。大気環境中における六価クロム化合物の存在形態については明確ではないが,採取期間中,これらの化 合物を安定に保持する必要があり,採取方法のさらなる検討が必要であると考えられた。 12ptあき(3行分1行目)12ptあき(3行分2行目) 12ptあき(3行分3行目) 1.はじめに 現在,大気汚染防止法における有害大気汚染物質であ る六価クロム化合物(以下,「六価クロム」という。) は,環境大気中で不安定で容易に三価に還元されやすい ことから,大気汚染防止法第22条の規定に基づく大気の 汚染の状況の常時監視では,当面,クロム及びその化合 物(以下,「全クロム」という。)の全量を測定するこ ととなっている。 しかしながら,一般環境における全クロムの濃度は, 平成30年度の全国平均で3.8ng/m3 1),当市では2.1ng/m3 と,六価クロムのEPA 10-5リスクレベル基準 0.8 ng/m3 2) を超過しており,健康影響への評価が困難な状況である。 有害性の観点から問題となるのは六価クロムであり2),ク ロムの環境中における形態別濃度を把握することが環境 行政において求められている。 環境省は,平成30年度3月,有害大気汚染物質等測定方 法マニュアル(以下,「環境省マニュアル」という。) 2)を改正し,大気粉じん中のクロムの形態別測定方法を策 定した。しかし,本マニュアルに基づき測定を実施した 他機関の既往の報告では,採取時の気温が及ぼすブラン ク値の上昇3)や,共存物質による三価クロムへの還元とい う負の誤差4)が報告されており,当研究所においても,こ れらの報告の検証を含め,分析条件の検討が必要と考え ていた。 六価クロムは平成9年の調査開始当初から優先取組物 質としてリストアップされながら,現在まで測定出来ず にいた物質であり,当研究所としてもなるべく早く対応 したいとの考えから,既に所有するシアン分析用HPLCポ ストカラムシステムを利用したイオンクロマトグラフ-ポストカラム吸光光度法(IC-PC法)での検討を開始した。 今回,分析条件の検討やブランク値の確認,添加回収試 験等を行い,いくつか知見が得られたので報告する。 2.調査期間および調査地点 調査期間および調査地点は表1のとおりである。調査地 点は,有害大気汚染物質モニタリング調査地点である榴 岡局および仙台市衛生研究所敷地内(以下,「衛研」と いう。)を選定した。調査は,添加回収試験を毎回行い, トラベルブランクは期間中計3回実施した。榴岡局では有 害大気汚染物質モニタリング調査を同時に実施し,ハイ ボリュームエアサンプラーを用いた全クロムの採取・分 析を並行して実施した。 表1 調査期間および調査地点 開始日 終了日 設置・回収時刻 地点 2020/10/15 2020/10/16 10:40 衛研 2020/11/10 2020/11/11 11:22 榴岡局 2020/11/25 2020/11/26 15:35 衛研 2020/12/9 2020/12/10 14:00 衛研 2020/12/8 2020/12/9 10:40 衛研 2020/12/14 2020/12/15 10:35 衛研<報文> 大気粉じん中六価クロム化合物の分析条件検討及び添加回収試験の結果について 6 〔 全国環境研会誌 〕Vol.46 No.1(2021) 3.測定分析条件 3.1 アルカリ含浸フィルタ調製 フィルタは,直径47mmセルロース製フィルタ5種C (ADVANTEC製)を使用し,環境省マニュアルに規定する 方法により調製した。アルカリ含浸後のフィルタの乾燥 は簡易クリーンブース内で乾燥した。調製後は,プラス チック製シャーレ(Pall)に入れたのちアルミジップで密 封し,使用時まで-10℃の冷凍庫内で保管した。 3.2 採取装置 採取装置は図1により行った。ポンプは流量調整機能付 きローボリュームサンプラー(LVS-30,SHIBATA製)を使 用した。採取流量は5L/minとし,採取中のろ紙部におけ る圧力損失は概ね4~6kPaの範囲であった。フィルタホル ダはオープンフェイス型ホルダ(EMO-47, GLサイエンス) を用いた。防雨を目的としカウル(CH-0347型,ウエスト 製)を装着した。 また,添加回収試験を進める過程で遮光を目的とし試 験的に図2による採取も行った。フィルタホルダにステン レス製のフードを取り付け遮光し,流入空気の流れやフ ード内のスペースを考慮し捕集面は上向きとした。 図1 採取装置 (環境省マニュアル掲載図の一部を加工) 1 図2 フード付き採取装置 (環境省マニュアル掲載図の一部を加工) 3.3 抽出・前処理 抽出は,採取後のアルカリ含浸フィルタをプラスチッ ク製シャーレにとり,超純水を5ml添加後,超音波による 抽出を30分行った。抽出液はプラスチック製ディスポシ リンジ(S4020-LT,大阪ケミカル)を用い,孔径0.20μmの PTFE製メンブレンフィルタ(DISMIC-13HP,ADVANTEC製) でろ過し,1.5mLポリプロピレン製バイアル(GLC-IVS,島 津ジーエルシー)に分取し検液とした。 3.4 分析条件 分析条件は,11月10日採取検体以前は条件1(表2), それ以降は条件2(表3)を用いた。検討初期に採用した 条件1では,実試料によってはマトリクスの影響と思われ る保持時間の変動や妨害ピークとの干渉が生じたため (図3),カラムを変更した条件2を用いた(図4)。なお, 条件1,2とも,環境省マニュアル記載の目標定量下限値 0.08ng/m3は満足していた。 表2 条件1 表3 条件2 3.5 標準溶液のマトリクスマッチング 環境省マニュアルでは,標準溶液はアルカリ含浸フィ ルタの抽出液とマトリックスマッチングした溶液で調製 することとされている。分析条件によっては,注入試料 のpHにより保持時間の変化や感度の低下が起こることが 報告5)されているが,条件1における当研究所の検討では これらの問題は認められなかったため,超純水による調 製を行った。 条件2では,超純水による調製ではターゲットピークの リーディングやブロード化が生じたことから,抽出液の マトリックスを考慮し5mmol/L炭酸ナトリウム水溶液で 標準溶液を調製しpH10.5程度とした。この結果,ピーク 形状は改善し,操作ブランクのクロマトグラムとよく一 致した。条件1および2のクロマトグラムを以下に示す。 装置 SHIMADZU prominence 使用カラム AS20 内径4mm、長さ25cm AG20 内径4mm、長さ5cm 溶離液 35mmol/L水酸化カリウム溶液 反応液 2mmol/Lジフェニルカルボノヒドラジド-10%メタノール-1mol/L硫酸 温度 30℃ 流量 溶離液1.0mL/min 反応液0.2mL/min 反応コイル 内径0.5mm、長さ10m(PTFE) 試料注入量 250μL 検出器 分光光度検出器SPD-20AV(波長540nm) 標準溶液 0.1mol/L炭酸ナトリウム水溶液を5vol%添加しpH10.5程度に調製 装置 SHIMADZU prominence 使用カラム IC-SA2 内径4mm、長さ25cm IC-SA2(G) 内径4mm、長さ1cm 溶離液 10mmol/L炭酸ナトリウム-5mmmol/L炭酸水素ナトリウム 反応液 2mmol/Lジフェニルカルボノヒドラジド-10%メタノール-1mol/L硫酸 温度 40℃ 流量 溶離液1.2mL/min 反応液0.2mL/min 反応コイル 内径0.5mm、長さ10m(PTFE) 試料注入量 250μL 検出器 分光光度検出器SPD-20AV(波長540nm) 標準溶液 超純水で調製
<報文> 大気粉じん中六価クロム化合物の分析条件検討及び添加回収試験の結果について 7 〔 全国環境研会誌 〕Vol.46 No.1(2021) 図3 条件1(表2)によるクロマトグラム 図4 条件2(表3)によるクロマトグラム 4.操作ブランク値,トラベルブランク値 操作ブランク値,トラベルブランク値を表4に示す。両 値とも方法検出下限値未満であり,目標定量下限値 0.08ng/m3と比較しても十分低かった。また,操作ブラン ク値とトラベルブランク値のデータ群について有意水準 5%の片側t検定を行ったところ有意差は見られなかった。 操作ブランク値は,調製日より7日後および30日経過後 も,ともに方法検出下限値未満(<0.006ng/m3)であり,機 器の応答値からみてもブランク値の上昇は認められなか った。このことから,当研究所の試験環境においては冷 凍状態による保管によって30日程度はブランク値の上昇 は見られず,試料採取に供せることがわかった。 トラベルブランク試験は,採取時と同様に一度開封後, アルミジップに密封し,サンプリングポンプを収納した プラスチックボックス内に24時間放置して行った。今回 は操作ブランク同様検出下限値未満となったが,環境省 マニュアルや既往の報告4)において,高温期におけるトラ ベルブランク値の上昇が報告されていることから,来年 度夏季にむけて,改めてトラベルブランク値の状況を確 認することとする。 表4 操作ブランク値およびトラベルブランク値 5.前処理過程における添加回収試験 抽出,ろ過など前処理過程における損失と採取試料の 保存性を確認するため添加回収試験を行った。二クロム 酸カリウムから調製した0.1μg/mL標準溶液50μL(大気 濃度換算0.694ng/m3,目標検出下限値の概ね30倍量)を アルカリ含浸フィルタに添加し,HEPAフィルタを通じた 清浄な空気中で乾燥させた。調製後は使用直前まで冷凍 保管し,抽出やろ過操作は環境省マニュアルに従った。 表5に試験結果を示す。回収率は97~101%と良好な結果 であった。このことから,抽出操作やろ過操作での損失 や,使用する器具類からの汚染や吸着がないことが確認 された。また,試料の保存性については,標準物質添加 後,最長で7日間経過した検体の回収率も良好であったこ とから,採取後の検体も冷凍状態であれば一週間程度は 六価クロムが増減せず保存可能と思われた。 表5 前処理過程における添加回収試験結果 6.試料採取における添加回収試験 環境大気中の共存物質による回収率への影響をみるた め,試料を採取した場合の添加回収試験を行った。試験 は,あらかじめ標準物質を添加したフィルタ(以下,「添 加試料」という。)と無添加のフィルタ(以下,「無添 加試料」という。)を用いて,試料を並行採取すること で実施した。標準物質の添加量,添加方法は前述の5によ った。採取は図1の方法により,環境大気を5L/minで24 時間吸引した。回収率は添加試料と無添加試料の濃度差 を添加量で除することで算出した。還元性物質による六 0.1ng/mL 操作ブランク(n=5) トラベルブランク(n=3) 10/15-16 <0.006 <0.006 10/27-28 <0.008 <0.008 11/24-25 <0.023 <0.023 Cr(Ⅵ)ng/m3 調査日 操作ブランク 操作ブランク(n=5) 添加試料(n=1) 1 10/15 10/22 <0.006 0.677 97.6 2 10/19 10/22 <0.006 0.680 98.0 3 11/10 11/13 <0.008 0.701 101 4 11/24 11/27 <0.023 0.685 98.7 5 12/1 12/2 <0.023 0.698 101 回収率(%) 調製日 分析日 試験No. Cr(Ⅵ)(ng/m 3) 11/10採取試料 11/25採取試料 ターゲットが負の ピークと干渉 11/25採取試料 0.1ng/mL 操作ブランク 黒矢印はターゲットを示す 黒矢印はターゲットを示す
<報文> 大気粉じん中六価クロム化合物の分析条件検討及び添加回収試験の結果について 8 〔 全国環境研会誌 〕Vol.46 No.1(2021) 価クロムへの影響の目安となる試料採取中の平均SPM濃 度は,現地測定局の一時間値を使用し算出した。全クロ ムは榴岡局のみ実施し,試料はハイボリュームエアサン プラー(HV-1000F,HV-1000R,SHIBATA)を用いてPTFEフィ ルタ(WP500-50,住友電工)に採取した。前処理はマイク ロウェーブ分解装置(Multiwave3000,AntonPaar)を用い, ICP/MS(Agilent7800)により分析を行った。 試験の結果を表6に示す。回収率は28.5,48.3%と低く, ばらついた。榴岡局における試料採取中の平均SPM濃度は, 4.1μg/m3と環境省マニュアルが回収率低下(70%以下) の目安と示す28μg/m3より十分に低かった。 表6 測定結果 7 採取環境における保存性試験(吸引の有無によ る比較) 前述の添加回収試験が低回収率であったことから,試 料採取を行わない場合でも,採取環境により回収率が低 下するかどうか,試料の保存性を確認するための添加回 収試験(以下,「保存性試験」という。)を,前述の添 加回収試験と並行して実施した。試験は,添加試料と無 添加試料をそれぞれフィルタホルダに装着し,吸引を行 わない以外は添加回収試験と同一の条件で現地に設置し, 24時間経過後,試料を回収し分析を行った(図5)。 結果を表7に示す。添加回収試験の回収率は61.1%,保 存性試験の回収率は47.7%と,試料採取を行わない場合 でも回収率が大きく低下することが分かった。試料の保 存性は採取環境下において何らかの影響を受けることが 示唆された。 図5 試料採取における添加回収試験及び保存性試験 そこで,共存粒子以外にクロムの形態に影響を及ぼす 因子を調査したところ,標準試薬に用いた二クロム酸カ リウムに代表される二クロム酸塩は,かつて印刷製版の 感光剤として使用された事例に注目した。二クロム酸塩 表7 測定結果 感光剤は,光の作用により,成膜剤である高分子物質と 硬化反応を起こし,難水溶性の皮膜を生成する6)7)。この 硬化反応の原理は,紫外線によってニクロム酸塩中のク ロム原子が六価から三価に還元され,生成した三価クロ ムが成膜剤である高分子物質と配位結合するためと考え られている6)。 このことから,二クロム酸塩は光により還元され,光 量に応じて変動することで大きなばらつきが生じると考 えられた。そこで,遮光の有無の条件を加えて再度の保 存性試験と添加回収試験を行った。 8 採取環境における保存性試験(遮光の有無によ る比較) 採取環境における保存性試験を遮光した場合としない 場合で実施した(図6)。遮光は,フィルタホルダにステ ンレス製のフードをかぶせて行った。結果,保存性試験 の回収率は,遮光をしない場合では16.4%であったのに 対し,遮光をした場合は90.6%であった(表8)。 再度,12/15-17の2日間における採取環境における保存 性試験を実施したところ,遮光をしない場合が18.2%, 遮光をした場合が87.3%と同様の結果が得られた(表8)。 図6 保存性試験(遮光の有無による比較) 表8 測定結果 保存性試験 添加回収試験 無添加 試料 添加 試料 回収率 (%) 無添加 試料 添加 試料 回収率 (%) 12/1-2 榴岡局 <0.013 0.114 16.4 0.034 0.663 90.6 12/15-17 衛研 0.053 0.179 18.2 0.034 0.640 87.3 調査日 地点 Cr(Ⅵ)(ng/m3) 遮光措置なし 遮光措置あり 添加試料 保存性試験(遮光なし) 無添加試料 添加試料 添加試料 無添加試料 保存性試験(遮光あり) 無添加試料 無添加試料 添加試料 無添加試料 添加試料 10/15-16 衛研 0.020 0.218 28.5 - -11/10-11 榴岡局 <0.008 0.343 48.3 4.1 0.5 全クロム (ng/m3) 調査日 地点 Cr(Ⅵ)(ng/m 3) 回収率 (%) SPM (μg/m3) 無添加 試料 添加 試料 回収率 (%) 無添加 試料 添加 試料 回収率 (%) 11/25 -26 衛研 0.094 0.518 61.1 <0.011 0.331 47.7 Cr(Ⅵ)(ng/m3) 添加回収試験 保存性試験 調査日 地点
<報文> 大気粉じん中六価クロム化合物の分析条件検討及び添加回収試験の結果について 9 〔 全国環境研会誌 〕Vol.46 No.1(2021) 9.試料採取における添加回収試験(遮光の有無に よる比較) 前項の結果,遮光した場合の採取環境中での保存性が飛躍 的に向上したことから,遮光をした場合としない場合で試料 採取をし,添加回収試験を実施した(図7)。結果,回収率 は,遮光をしなかった場合は45.7,56.2%,遮光をした場合 は86.2~97.6%と保存性試験と同様の差がみられた。 図7 試料採取における添加回収試験 (遮光の有無による比較) 表9 測定結果 12/8-9は遮光ありのみ実施 10.考察 平成30年3月に測定法が示された有害大気汚染物質である 六価クロムについて,環境省マニュアルに従い,分析条件の 検討および添加回収試験を行った。 採用したIC-PC法では,使用するカラムや分離条件,試料 中マトリックスの影響によっては,保持時間の変化や妨害ピ ークの干渉が生ずることを確認した。 操作ブランク,トラベルブランクはともに十分低く,方法 定 量 下 限 値 は 環 境 省 マ ニ ュ ア ル が 示 す 目 標 定 量 下 限 値 0.08ng/m3を満たしていた。今後は夏季の高温期におけるト ラベルブランク値の挙動を確認したい。 添加回収試験においては,回収率が28.5~61.1%,平均で 48%と低くばらつく結果となったが,遮光して行った結果 では,86.2~97.6%と回収率は著しく向上した。このこと から,標準物質として使用した二クロム酸カリウムは,光に より還元される可能性が示唆されたが,試料採取時に遮光す ることで還元作用を抑制し損失を防ぐことができたと考え られる。 六価クロム化合物は主だったもので11種類はあり8),その 環境中での濃度や挙動は不明であるが,採取期間中,その形 態を安定して保持できる採取方法についてさらに検討して いく必要があると考えられた。 11.引用文献 1) 環境省:(参考資料1)モニタリング調査結果の概 要(優先取組物質21物質), http://www.env.go.jp/air/osen/monitoring/mon_h30 /shiryou1.pdf(2020.12.25アクセス) 2) 環境省:有害大気汚染物質等測定方法マニュアル, 第4章,p(1-5-4)1,2019 3) 奥野真弥,西村理恵:大気粉じん中の六価クロム化 合物の測定結果と測定の誤差要因について,全国環境 研会誌,45, No.2, 11,2020 4) 西村理恵, 奥野真弥:大気粉じん中の六価クロム化 合物の測定結果に及ぼす誤差について, 大気環境学会 年会講演要旨集,61,O-E-010,2020 5) Thermoscientific:IC-PC法による大気粉じん中の 六価クロム化合物の測定, https://www.thermofisher.com/content/dam/LifeTec h/japan/CMD/IC17008-JA.pdf(2020.12.25アクセス) 6) 佐々木政子:重クロム酸塩の感光機構, 日本印刷学 会論文集,16 巻 1 号 ,p12-21,1976 7) 太田稔:スクリーン印刷材料製版材料および製版プ ロセス, サーキットテクノロジ,15巻6 号,p366-373,1990 8) 環境省:化学物質の環境リスク評価,第10巻,[2] 6 価クロム化合物,p1,2012 地点 無添加 試料 添加 試料 回収率 (%) 無添加 試料 添加 試料 回収率 (%) 12/8-9 衛研 - - - 0.135 0.810 97.3 12/9-10 衛研 0.080 0.397 45.7 0.063 0.661 86.2 12/14-15 衛研 0.049 0.439 56.2 0.069 0.746 97.6 調査日 遮光措置なし 遮光措置あり Cr(Ⅵ)(ng/m3) 遮光なし 無添加試料 添加試料 無添加試料 添加試料 遮光あり
<報文> 相模湾漂着マイクロプラスチックに吸着したPCBの実態調査及び発生源別のリスク推定 10 〔 全国環境研会誌 〕Vol.46 No.1(2021)
<報 文>
相模湾漂着マイクロプラスチックに吸着した
PCBの実態調査及び発生源別のリスク推定
*小澤憲司
**・三島聡子
** キーワード ①マイクロプラスチック ②PCB ③吸着量 ④カネクロール ⑤有機顔料 要 旨 2017年秋季から2018年夏季にかけて相模湾沿岸域で採取した海岸漂着マイクロプラスチック(MP)のPCB吸着量を材質 別に測定し,四季を通じた実態を把握した。また,MPに吸着したPCB各異性体について,カネクロールや有機顔料などの 発生源を推定し,各発生源の寄与率を算出した。さらに,MP漂着量とPCB吸着量からMPによるPCB汚染リスクの傾向を発 生源別に推定した。 1.はじめに 近年,海洋のマイクロプラスチック(MP)汚染は世界 的な関心事となっており,海洋中の有害化学物質がMP に吸着・濃縮され海洋生物に取り込まれることによっ て,海洋生態系への悪影響や食物連鎖を介したヒトへ の健康影響が引き起こされると懸念されている。 環境省が行っているMP調査は日本近海の漂流MPが対 象であり,ローカルな汚染実態の情報が不足している ため,地元自治体が主体的に調査を行う必要があり, 神奈川県環境科学センターでは,相模湾において沿岸 海域の漂流状況を直接反映すると考えられる海岸漂着 MPを対象として調査研究を行っている。 既報1)では,MPに吸着したPCB全異性体の測定方法を 確立し,2018年春季に採取した海岸漂着MPを材質で分 別してPCB吸着量を測定し,その異性体組成から主な発 生源がカネクロールと有機顔料であることが分かっ た。また,MP漂着量とPCB吸着量からMPによるPCB汚染 リスクの傾向を推定した。 本報では,既報1)に加えて2017年秋季,2018年冬季及 び夏季に採取した試料MPのPCB吸着量を測定し,四季を 通じた実態を把握した。また,材質に加えて,色及び 形状で詳細に分別してPCB吸着量を測定し,発生源の推 定を試みた。なお,本報の内容の一部については,神 奈川県環境科学センター 研究報告2)3)に掲載してい る。 2.方法 2.1 測定試料 2017年秋季(10月又は11月),2018年冬季(1月又は2 月),春季(4月)及び夏季(6月又は7月)に,図1に示 す相模湾の相模川河口付近の高浜台海岸(平塚市),引 地川河口付近の鵠沼海岸(藤沢市)と,比較のため東京 湾の平作川河口付近の久里浜海岸(横須賀市)の3地点 で漂着MPを採取した。 採取及び材質判別は既報4)の方法により行った。採取 したMPから4.75 mmメッシュのふるいを通過し2 mmメッ シュのふるいの上に残ったものを選別し,ポリエチレン (PE),ポリプロピレン(PP),ポリスチレン(PS),エチレ 図1 海岸漂着MP採取地点*Survey of PCBs on the Microplastics Found in Sagami Bay and Risk Estimation of Each PCBs Emission Source **Kenji O
ZAWA, Satoko MISHIMA
<報文> 相模湾漂着マイクロプラスチックに吸着したPCBの実態調査及び発生源別のリスク推定 11 〔 全国環境研会誌 〕Vol.46 No.1(2021) ン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)に分別した。なお,PEと EVAのフーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)による赤外 吸収スペクトルは類似しているため,2018年春季以前の 試料MPではこれらを分別せず,EVAはPEに含めていた。 2018年春季以前の試料MPは,採取量が多いものは複数 検体(試料①,試料②などと表記)とした。 2018年夏季の試料MPは,材質で分別した後,さらに色 及び形状で詳細に分別して測定試料とした。 試料MPの概要を表1に,2018年春季以前の試料MPの一 例を図2に,2018年夏季の試料MPの分別結果を図3に,特 徴的な試料MPを図4に示す。 2.2 測定方法 既報1)と同様に,試料MPをヘキサン浸漬抽出し,硫酸 シリカゲルカラムクロマト及びスルホキシドカラムクロ マトによりクリーンアップした後,0.05~0.1mLまで濃 縮し,四重極型GC-MSを用いてSIM法でPCB全異性体を分 析した。 3.結果及び考察 3.1 測定結果の総括 PCB吸着量測定結果の総括を,いずれかの試料MPで30 ng/g以上であったPCB異性体を抜粋し,各同族体(塩素数 ごと)の合計量とともに表2に示す。なお,複数検体とし たもの,もしくは色及び形状で分別したものは材質ごと に合算した。 表1 試料MPの概要 PE 白色 ペレット(工業原料) PE 緑色 人工芝破片 10 mm 10 mm 10 mm PS 白色 球状フォーム EVA 白色 肥料殻 10 mm 図4 特徴的な試料MP ※PE及びPPの他,PS 白色が0.0046 g,EVA 白色 肥料殻が0.022 gあった。 2018.7 相模湾 高浜台海岸 図3 色及び形状による試料MPの分別結果 図2 2018年春季以前の試料MPの一例 10 mm 2017.10 鵠沼海岸 PE 試料⑤ 4.2 g 10 mm 2018.1 鵠沼海岸 PP 2.4 g PE PP PS EVA 2017年10月 高浜台海岸 2 2 1 - 2017年10月 鵠沼海岸 5 1 1 - 2017年11月 久里浜海岸 1 1 1 - 2018年1月 高浜台海岸 1 1 0 - 2018年1月 鵠沼海岸 2 1 0 - 2018年2月 久里浜海岸 1 1 1 - 2018年4月 高浜台海岸 2 2 1 - 2018年4月 鵠沼海岸 3 3 1 - 2018年4月 久里浜海岸 2 1 3 - 2018年7月 高浜台海岸 8 7 1 1 2018年6月 鵠沼海岸 7 6 0 1 秋 季 冬 季 春 季 夏 季 採取地点 採取年月 PE,PP,PS,EVAに 分別し,さらに 色及び形状で分別 0.005~ 1.5 g程度 0.03~ 1 g程度 測定検体数 測定試料量 試料分別 0.01~ 4 g程度 0.5~ 5 g程度 PE,PP,PSに分別し, 採取量が多いものは 複数検体 (EVAはPEに含めた) 10 mm 2017.10 高浜台海岸 PS 0.50 g 2018.6 相模湾 鵠沼海岸 ※PE及びPPの他,EVA 白色 肥料殻が0.12 gあった。 2018.4 高浜台海岸 PE 試料① 10 mm 1.0 g
<報文> 相模湾漂着マイクロプラスチックに吸着したPCBの実態調査及び発生源別のリスク推定 12 〔 全国環境研会誌 〕Vol.46 No.1(2021) 表 2 海 岸漂 着 MP の PCB 吸 着量 測定 結果 の 総括 PE PP PS PE PP PE PP PS PE PP PS E V A PE PP PS PE PP PE PP PS PE PP E V A PE PP PS PE PP PS PE PP PS 2 2 1 1 1 2 2 1 8 7 1 1 5 1 1 2 1 3 3 1 7 6 1 1 1 1 1 1 1 2 1 3 7 .9 7 .9 0 .5 0 2 .5 2 .7 2 .1 2 .0 0 .0 3 2 4 .5 3 .6 0. 00 46 0 .0 2 2 21 4 .3 0 .0 1 5 9 .8 2 .4 3 .1 3 .1 0 .0 2 7 7 .7 3 .2 0 .1 2 0 .1 6 0 .0 6 6 1 .7 0 .6 2 0 .4 8 0 .9 4 0 .7 7 0 .3 3 0 .2 6 検出下限値(n g /g ) 0 .0 0 8 0 .0 0 8 0 .1 2 0 .0 2 4 0 .0 2 2 0 .0 4 0 .0 4 2 .3 0 .0 1 3 0 .0 1 7 13 2 .7 0. 00 29 0 .0 1 4 4 0 .0 0 6 0 .0 2 5 0 .0 2 4 0 .0 2 4 2 .8 0 .0 0 8 0 .0 1 9 0 .5 0 .4 0 .9 0 .0 3 0 .1 0 0 .1 2 0 .0 6 0 .1 0 0 .2 3 0 .2 8 定量下限値(n g /g ) 0 .0 2 5 0 .0 2 5 0 .4 0 0 .0 8 0 0 .0 7 4 0 .1 2 0 .1 2 7 .7 0 .0 4 4 0 .0 5 6 43 9 .0 0. 00 95 0 .0 4 7 14 0 .0 2 0 0 .0 8 4 0 .0 8 1 0 .0 8 0 9 .2 0 .0 2 6 0 .0 6 3 1 .6 1 .3 3 .0 0 .1 2 0 .3 2 0 .4 1 0 .2 1 0 .3 2 0 .7 5 0 .9 5 P C B 2 C l # 1 1 9 .9 54 45 5 .4 45 41 300 86 37 80 ND ND 7 .7 57 33 67 310 39 370 ND 70 220 20 8 .1 3 .0 55 16 8 .1 12 7 .5 270 76 吸着量 3 C l # 1 8 0 .2 8 0 .7 6 18 0 .3 5 0 .3 0 0 .2 2 0 .2 6 4 .3 0 .9 8 0 .9 4 60 9 .3 0 .2 9 3 .5 36 9 .0 0 .4 8 0 .5 9 0 .3 3 10 1 .0 0 .7 1 1 .4 3 .5 5 .6 5 .7 4 .8 66 29 ND ND ND (n g /g ) # 2 0 + # 3 3 0 .1 8 0 .4 0 22 0 .3 5 0 .2 5 0 .2 5 0 .2 7 ND 1 .2 0 .9 1 35 5 .5 0 .3 0 0 .9 2 30 3 .4 0 .3 1 0 .3 0 0 .2 6 9 .8 0 .3 7 0 .5 3 1 .1 2 .5 4 .3 6 .9 2 .5 40 34 ND ND ND # 2 8 0 .4 9 1 .0 45 0 .5 1 0 .4 3 0 .4 6 0 .4 3 5 .2 0 .8 7 0 .6 4 37 9 .5 1 .3 2 .9 63 6 .6 0 .5 8 0 .6 0 0 .3 5 14 1 .3 0 .8 6 1 .7 5 .6 8 .5 12 5 .9 110 89 2 .9 ND 0 .9 0 # 3 1 0 .5 0 1 .1 42 0 .5 4 0 .4 6 0 .4 6 2 .7 7 .3 1 .2 0 .9 8 40 8 .3 0 .9 3 3 .3 58 8 .0 0 .7 0 0 .5 7 0 .3 9 16 1 .2 1 .0 2 .0 4 .2 5 .5 12 6 .8 140 94 ND ND ND 4 C l 1 .4 1 .8 12 0 .7 9 0 .4 4 0 .2 3 0 .1 7 ND 1 .1 1 .1 20 4 .3 5 .2 4 .3 31 6 .5 1 .1 0 .5 4 0 .3 1 6 .2 3 .2 2 .3 1 .5 4 .1 4 .5 4 .1 5 .8 110 55 3 .0 ND 0 .6 6 # 4 3 + # 4 9 0 .9 4 1 .5 9 .8 0 .4 8 0 .3 1 0 .3 7 0 .3 0 2 .6 0 .8 8 0 .8 5 25 2 .9 4 .2 3 .7 26 6 .4 0 .8 4 0 .5 2 0 .3 1 3 .2 3 .2 1 .7 1 .4 5 .3 6 .0 3 .8 4 .4 88 46 3 .0 ND 0 .9 9 # 4 4 0 .7 9 1 .5 9 .7 0 .5 8 0 .3 4 0 .3 6 0 .3 1 3 .8 0 .9 1 0 .9 9 27 5 .4 3 .9 3 .9 33 6 .0 0 .8 4 0 .8 4 0 .4 3 4 .8 3 .0 1 .1 0 .8 3 .8 5 .0 3 .3 4 .5 94 48 2 .9 ND 0 .5 9 0 .6 5 0 .8 3 6 .2 0 .3 9 0 .2 4 0 .3 3 0 .3 0 4 .3 0 .6 3 0 .6 7 25 ND 2 .6 2 .5 16 3 .5 0 .6 3 0 .6 2 0 .3 8 5 .1 1 .5 1 .3 1 .0 3 .0 3 .4 2 .2 3 .2 63 29 2 .1 ND 0 .2 9 # 5 2 + # 6 9 1 .4 3 .3 12 2 .0 0 .6 1 0 .7 8 0 .5 1 5 .5 6 .6 24 34 6 .0 5 .6 5 .6 41 12 1 .9 46 1 .8 7 .2 8 .1 7 .2 1 .9 6 .6 8 .7 5 .2 6 .5 120 65 4 .5 ND 1 .4 # 5 6 + # 6 0 1 .0 0 .9 3 5 .1 0 .9 5 0 .4 3 0 .6 5 0 .4 0 5 .9 0 .8 3 0 .6 4 ND ND 4 .6 2 .8 33 2 .2 0 .7 4 1 .0 0 .4 5 6 .6 3 .9 1 .2 ND 3 .9 4 .8 4 .5 4 .1 100 80 1 .4 ND ND # 6 1 + # 7 4 0 .7 2 0 .5 8 6 .4 0 .5 4 0 .2 3 0 .2 4 0 .1 9 ND 0 .3 8 0 .2 6 ND ND 2 .9 0 .9 1 22 1 .0 0 .3 0 0 .5 0 0 .1 9 3 .7 1 .4 0 .4 0 ND 2 .8 2 .5 2 .9 2 .7 78 60 2 .1 ND 0 .8 0 # 6 6 + # 8 0 1 .6 1 .7 19 1 .2 0 .5 4 0 .5 7 0 .5 2 5 .4 0 .9 2 0 .7 6 ND ND 5 .9 3 .1 48 2 .9 1 .2 1 .0 0 .3 7 7 .1 4 .1 4 .7 ND 5 .8 5 .6 6 .8 5 .5 150 110 3 .8 ND 1 .7 # 7 0 1 .3 1 .6 15 0 .9 9 0 .4 6 0 .6 8 0 .5 1 6 .4 1 .4 0 1 .1 ND 3 .2 4 .1 3 .5 40 3 .1 1 .0 1 .3 0 .6 7 9 .2 5 .6 2 .4 1 .7 4 .2 3 .7 5 .4 4 .3 120 88 3 .7 ND 2 .1 5 C l 1 .6 3 .8 4 .8 0 .5 6 0 .4 4 0 .7 3 0 .4 7 ND 1 .3 0 .8 9 ND ND 3 .5 2 .4 20 4 .6 1 .4 1 .1 1 .3 3 .2 14 1 .8 1 .9 7 .0 15 3 .3 4 .7 32 24 6 .1 0 .8 8 0 .7 0 # 1 0 1 2 .0 4 .8 7 .7 0 .8 3 0 .6 0 1 .0 0 .7 3 2 .4 2 .0 2 .1 ND ND 3 .6 2 .7 26 4 .5 1 .8 1 .9 1 .6 4 .2 28 5 .7 1 .9 7 .8 20 4 .5 3 .2 33 27 6 .2 ND 0 .5 8 # 1 0 6 + # 1 1 8 1 .8 2 .9 10 0 .7 7 0 .5 3 0 .6 2 0 .6 6 ND 1 .1 0 .5 6 ND ND 2 .7 2 .4 32 2 .6 0 .9 2 1 .2 0 .9 8 ND 11 2 .5 ND 6 .3 8 .1 5 .3 3 .0 33 35 4 .6 ND ND # 1 1 0 + # 1 2 0 2 .4 4 .2 9 .5 0 .8 2 0 .7 2 1 .1 0 .7 5 4 .0 2 .0 1 .1 ND ND 4 .4 2 .9 35 4 .1 1 .7 2 .0 1 .8 4 .8 16 2 .3 ND 6 .8 10 4 .7 8 .4 33 28 8 .9 ND 1 .4 6 C l # 1 3 8 + # 1 5 8 + # 1 6 0 6 .1 4 .2 12 1 .4 1 .5 1 .1 0 .9 4 3 .2 2 .0 0 .9 3 ND ND 8 .0 3 .8 38 5 .1 2 .1 2 .1 2 .3 ND 37 2 .1 2 .7 11 46 5 .0 39 14 21 11 2 .1 0 .9 7 # 1 3 9 + # 1 4 9 3 .1 2 .7 5 .3 0 .9 2 0 .9 8 0 .9 1 0 .6 5 ND 1 .6 0 .5 8 ND ND 5 .4 2 .8 21 4 .9 1 .6 2 .0 2 .1 ND 61 2 .3 2 .5 8 .5 48 3 .1 18 8 .7 12 12 1 .9 0 .8 8 # 1 5 3 5 .7 3 .6 9 .2 1 .4 1 .4 1 .6 1 .1 3 .2 2 .4 1 .4 ND 2 .9 8 .2 3 .5 26 5 .6 3 .4 2 .4 2 .7 4 .6 81 2 .8 3 .6 12 64 4 .3 28 11 17 14 2 .6 1 .5 7 C l # 1 8 0 2 .5 0 .9 2 3 .4 0 .6 1 0 .7 3 1 .0 0 .3 1 ND 0 .5 9 0 .5 8 ND ND 5 .0 1 .3 16 1 .9 0 .7 9 1 .1 1 .0 ND 48 0 .7 9 0 .7 5 .6 59 1 .8 12 5 .0 11 8 .3 ND 1 .1 # 1 8 2 + # 1 8 7 1 .7 0 .5 9 1 .8 0 .4 6 0 .5 6 0 .5 1 0 .2 3 ND 0 .4 2 0 .3 5 ND ND 3 .0 1 .0 6 .7 1 .4 0 .5 4 0 .9 0 0 .7 7 ND 41 0 .5 6 0 .8 3 .9 29 1 .4 11 5 .3 7 .1 7 .4 2 .4 0 .7 3 1 塩素化体(M 1 C B ) 0 .0 2 0 .6 8 1 .9 ND 0 .1 0 0 .0 7 0 .7 2 ND 0 .0 7 3 0 .2 8 ND ND 0 .0 4 9 0 .7 6 ND 0 .4 4 1 .1 0 .1 8 2 .6 ND 0 .5 8 0 .8 4 ND ND ND 0 .1 6 ND 1 .2 0 .8 7 ND ND 0 .4 3 2 塩素化体(D2 C B ) 10 54 71 5 .8 45 41 300 86 38 80 ND ND 7 .8 57 33 75 310 39 370 5 .1 72 220 28 8 .1 4 .6 56 20 60 16 9 .5 270 76 3 塩素化体(T 3 C B ) 3 .2 6 .7 190 3 .1 2 .9 2 .5 15 19 6 .7 7 .8 200 35 5 .4 19 290 48 16 3 .6 13 62 16 22 7 .8 24 33 55 30 500 330 3 .4 11 8 .3 4 塩素化体(T 4 C B ) 11 16 110 8 .8 4 .0 4 .6 3 .7 34 15 31 130 22 45 36 310 51 10 53 5 .5 53 46 26 11 42 47 43 48 1 ,0 0 0 640 28 ND 8 .5 5 塩素化体(P 5 C B ) 17 27 58 5 .7 4 .1 5 .8 4 .4 6 .4 11 7 .4 ND ND 28 19 170 27 11 11 9 .2 12 110 22 11 41 70 31 31 270 230 42 0 .8 8 3 .1 6 塩素化体(H 6 C B ) 27 18 44 6 .2 6 .6 6 .3 4 .7 9 .2 11 4 .8 ND 2 .9 39 18 140 28 11 12 13 8 .0 300 12 13 52 260 20 140 60 89 70 9 .2 3 .4 7 塩素化体(H 7 C B ) 11 3 .8 15 2 .5 2 .9 3 .2 0 .9 1 ND 2 .2 1 .9 ND ND 18 5 .6 34 8 .0 3 .1 4 .8 4 .1 ND 210 2 .9 1 .5 20 310 7 .8 57 25 40 34 2 .8 1 .9 8 塩素化体(O 8 C B ) 2 .8 0 .2 9 1 .1 0 .2 9 0 .3 3 0 .2 9 ND ND 0 .1 0 0 .1 5 ND ND 2 .6 0 .8 7 26 0 .9 9 0 .2 6 0 .2 3 0 .3 1 ND 22 0 .1 6 ND 1 .9 39 0 .6 6 4 .6 4 .9 5 .1 2 .8 ND ND 9 塩素化体(N 9 C B ) 0 .8 6 ND ND 0 .0 2 9 0 .0 9 2 0 .0 8 ND ND ND 0 .0 3 0 ND ND 0 .2 2 0 .1 3 ND 0 .1 6 0 .0 6 9 ND ND ND 0 .3 9 0 .0 5 6 ND ND 1 .2 0 .0 8 0 .5 3 ND 0 .7 1 ND ND ND 1 0 塩素化体(D1 0 C B ) 0 .3 8 0 .1 5 0 .6 7 0 .0 2 9 0 .1 2 0 .3 3 0 .0 6 ND 0 .1 1 0 .2 9 ND ND 0 .1 4 0 .1 7 ND 0 .1 9 0 .1 3 0 .1 5 0 .1 0 ND 0 .0 6 5 0 .1 0 ND ND ND 0 .3 0 0 .1 2 ND 0 .1 5 0 .3 9 ND ND 総量 83 130 490 32 66 65 330 160 84 130 330 60 150 160 1 ,0 0 0 240 370 120 410 140 780 310 72 190 660 210 340 2 ,0 0 0 1 ,4 0 0 190 300 100 # ○:I U P A C 番号 ※ 検出下限値以上、定量下限値未満の測定値を含む N D:検出下限値未満 赤太字 :3 0 n g /g 以上の異性体 ピンク太字 :1 0 0 n g /g 以上の同族体 # ○+ # ○:複数異性体の合計量 ※ 複数検体としたもの、もしくは色及び形状で分別したものは材質ごとに合算 赤太字下線 :各地点におけるP E 、P P 、P S それぞれの総量の最大値 東京湾 久里浜海岸 2 0 1 7 年1 1 月 2 0 1 8 年2 月 # 4 7 + # 4 8 + # 6 5 + # 7 5 採取地点 2 0 1 8 年4 月 2 0 1 8 年7 月 採取年月 測定試料量(合算)(g ) M P 材質 2 0 1 8 年4 月 2 0 1 8 年6 月 2 0 1 8 年4 月 2 0 1 7 年1 0 月 2 0 1 8 年1 月 2 0 1 7 年1 0 月 # 9 3 + # 9 5 + # 9 8 + # 1 0 2 #41+#6 4+#68 +#71+#7 2 2 0 1 8 年1 月 相模湾 鵠沼海岸 相模湾 高浜台海岸 測定検体数
<報文> 相模湾漂着マイクロプラスチックに吸着したPCBの実態調査及び発生源別のリスク推定 13 〔 全国環境研会誌 〕Vol.46 No.1(2021) 2塩素化体の#11は,相模湾2地点では,多くの時季・材 質で吸着量が多く,特にPPで顕著であった。一方,東京 湾の久里浜海岸では,秋季にPS,春季にPP及びPSで多か ったが,その他は少なかった。3塩素化体(#18,#28,#31 など)及び4塩素化体(#52+#69,#66+#80,#70など)は, PSで吸着量が多い傾向がみられた。5塩素化体(#101, #106+#118など)及び6塩素体(#138+#158+#160,#153な ど)は,各材質で検出された。7塩素体(#180など)は, PE及びPPで吸着量が多い傾向がみられた。 総PCB吸着量は,PEが32~780 ng/g,PPが66~2,000 ng/g,PSが100~1,400 ng/g,EVAが60~72 ng/gであり, これまでの論文報告5~9)と同程度であった。全体的には時 季による総PCB吸着量の傾向は明確ではなかったが,相模 湾2地点では,秋季にPS,春季にPP,夏季にPEの総PCB吸 着量が多く,傾向が類似していた。一方,東京湾の久里 浜海岸では,冬季に全ての材質の総PCB吸着量が多く,全 く異なる傾向であった。また,時季による総PCB吸着量の 変動幅は,相模湾2地点の各材質では2~7倍であったのに 対して,久里浜海岸 PSでは14倍と大きかった。 総PCB吸着量の最大値2,000 ng/gを記録した冬季 久里 浜海岸 PPは,#11が少なく,3塩素化体及び4塩素化体が 多いなど,他のPP試料と比べて特異な異性体組成であっ た。試料の外観では,図5に示す人工芝と推定される緑色 の細長いフィルムを束ねた特異なMP個体があり,重量当 たりの表面積が大きいため,PCB吸着量が多くなった可能 性がある。 3.2 MPに吸着したPCBの発生源 既報1)のとおり,海岸漂着MPに吸着したPCBの主な発生 源は,過去にトランス,コンデンサ等に使用されたカネ クロール(KC-300,KC-400,KC-500,KC-600など)及び有 機顔料の製造工程における副生物である。 有機顔料由来と推定される異性体10)は,#11,#31,#35, #36,#52+#69,#153などが検出された。 また,カネクロール及び有機顔料以外(燃焼など)の 由来と推定される異性体は,#2, #14, #30, #78, #79, #209などが検出されたが,これらの吸着量は非常に少な かった。 3.3 各発生源の寄与率 既報1)のケミカルマスバランス法を改良し,カネクロー ル及び有機顔料(又はその他(燃焼など))の両方の寄 与があると推定される異性体(#31, #52+#69, #77, #153 など)は,その濃度を変数に追加し,カネクロール由来 及び有機顔料(又はその他)由来の濃度をそれぞれ算出 し,各発生源の寄与率を求めた。 各発生源の寄与率を材質別に図6左に示す。 全ての採取地点・材質においてカネクロール及び有機 顔料の寄与率が90%以上を占めた。相模湾2地点では,#11 の吸着量の多寡に伴い,PP,PE,PSの順で有機顔料の寄 与率が高い傾向であった。一方,東京湾の久里浜海岸の PP及びPSでは,時季によって傾向が全く異なっていた。 カネクロールの製品別(KC-300,KC-400,KC-500,KC-600)の寄与率を材質別に図6右に示す。 PE及びPPでは,高塩素化体を多く含むKC-500及びKC-600の寄与率が高い傾向であった。一方,PSでは,低塩素 化体を多く含むKC-300及びKC-400の寄与率が高い傾向で あった。 図6 海岸漂着MPに吸着したPCBに対する各発生源の寄与率 10 mm 図5 特異なMP個体(2018.2 久里浜海岸 PP) 10 mm KC-300 KC-400※カネクロール由来分の内訳KC-500 KC-600 0 20 40 60 80 100 寄与率(%) カネクロール 有機顔料 その他 0 20 40 60 80 100 寄与率(%) 0 20 40 60 80 100 寄与率(%) ’17.10 ’18.1 ’18.4 ’18.7 相模湾 高浜台海岸 ’17.10 ’18.1 ’18.4 ’18.6 相模湾 鵠沼海岸 ’17.11 ’18.2 ’18.4 東京湾 久里浜海岸 ’17.10 ’18.1 ’18.4 ’18.7 相模湾 高浜台海岸 ’17.10 ’18.1 ’18.4 ’18.6 相模湾 鵠沼海岸 ’17.11 ’18.2 ’18.4 東京湾 久里浜海岸 ポリエチレン(PE) ポリプロピレン(PP) ポリスチレン(PS)
<報文> 相模湾漂着マイクロプラスチックに吸着したPCBの実態調査及び発生源別のリスク推定 14 〔 全国環境研会誌 〕Vol.46 No.1(2021) 3.4 発生源別の測定結果 PCB吸着量測定結果の総括を,カネクロール由来と有機 顔料由来に分けて図7に示す。 カネクロール由来のPCB吸着量は,相模湾2地点では, PE及びPSで多い傾向であり,時季による変動が大きかっ た。一方,PPでは時季によらず少なかった。東京湾の久 里浜海岸では,PP及びPSで多い傾向であり,時季による 変動が極めて大きかった。特に冬季のPPで1,900 ng/gと 突出して多く,春季のPPの150倍の値であった。 有機顔料由来のPCB吸着量は,#11が主に検出され,PP で多く,PE及びPSで少ない傾向であり,時季による変動 が大きかった。 2018年春季以前の同一試料から複数検体とした場合の 測定結果を,カネクロール由来と有機顔料由来に分けて 図8に示す。 同一試料からの複数検体におけるPCB吸着量の幅は,カ ネクロール由来では,PEで2~5倍,PPで2~3倍と変動が 小さかった。一方,有機顔料由来では,PEで3~30倍,PP で2~7倍と変動が大きく,有機顔料由来のPCBの方がMP個 体間で吸着量に大きな差があったと推察される。 秋季 鵠沼海岸 PEは,5検体で試料量が各4 g(350~400 個)程度と多かったにも関わらず,試料①~④に対して 試料⑤のみ,カネクロール由来のPCB吸着量が3~5倍で, 異性体組成も全く異なっていた。これは,特異的にPCB吸 着量の多いMP個体が1~数個程度存在していたためと推 察されるが,試料の外観では特異なMP個体は見分けられ なかった。試料①~④の測定結果の合算から試料⑤の測 定結果を差し引くと,4塩素化体を主とした異性体組成が 得られた(図9)。この異性体組成について,3.3の方法 で寄与率を算出したところ,特異なMP個体に吸着してい たPCBは,ほぼKC-400由来であると推定された。 2018年夏季の色及び形状で分別した場合の測定結果を, カネクロール由来と有機顔料由来に分けて図10に示す。 カネクロール由来のPCB吸着量は,鵠沼海岸のPE白色ペ レットが3,300 ng/gと突出して多かった。この原因とし ては,試料に変色やくもりのあるペレットが多数含まれ ていたこと,あるいは,2018年8月~2019年3月の調査で は引地川及び相模川の河川水でペレットが見つからなか った3)ことから,過去に流出又は遠方で流出した後,長期 間にわたって海中を漂流し,多くのPCBを吸着したMP個体 が含まれていた可能性が考えられる。この異性体組成に ついて,3.3の方法で寄与率を算出したところ,KC-500が 23%,KC-600が77%であった。 PE白色ペレット以外のPCB吸着量は10~200 ng/g程度 であり,プラスチック破片(二次MP)のPCB吸着量は,比 較的少なく,色及び形状による差が小さいことが分かっ た。 有機顔料由来のPCB吸着量は,PEでは黄色・橙色(鵠沼 海岸ではその他に含まれる)が多かったが,これはMPの 元となったプラスチック製品の着色に使用された黄色有 機顔料に由来する可能性が考えられる。PPでは色及び形 状によって極端な多寡がみられたが,色による傾向は不 明瞭であった。また,PE及びPPの白色ペレットでは非常 に少なく,主な有機顔料由来のPCBである#11が吸着しに くかったと推察される。 3.5 MPによるPCB汚染リスク 既報1)と同様に,代表的なMP漂着量(2017年5月~2018 年5月)4)と本報の漂着MPのPCB吸着量(2017年10月~2018 年7月)から推定した沿岸海域のMPによるPCB汚染リスク を表3に示す。 最もリスクが高かったのは,高浜台海岸 PPの有機顔料 由来(相対値80)であった。高浜台海岸では,次いでPE のカネクロール由来(相対値49),PEの有機顔料由来(相 対値36)が高かった。鵠沼海岸では,PEのカネクロール 由来(相対値71)が最もリスクが高く,次いでPPの有機 顔料由来(相対値32),PSのカネクロール由来(相対値 29)が高かった。久里浜海岸では,PSのカネクロール由 来(相対値38)が高かった。なお,有機顔料由来のリス クは,主に#11によるものであった。 各材質における採取地点の違いによるPCB吸着量の幅 は2~27倍,MP漂着量の幅は2~63倍であった。 PEではMP漂着量が多い相模湾2地点,PPではMP漂着量及 び有機顔料由来のPCB吸着量が比較的多い相模湾2地点, PSではカネクロール由来のPCB吸着量が多い鵠沼海岸及 び久里浜海岸でリスクが高い結果となった。 4.まとめ 海岸漂着MPのPCB吸着量について,四季を通じた試料採 取及び測定を行い,季節ごとの実態が把握できた。また, 相模湾と東京湾では,時季による吸着量の変動あるいは 異性体組成が異なっていたため,PCBの発生源やMPへの吸 着過程の違いが示唆された。 MPによるPCB汚染リスクの推定結果より,相模湾におい て注視すべきは,PEに吸着したカネクロール由来及び有 機顔料由来のPCB,PPに吸着した有機顔料由来のPCB,PS に吸着したカネクロール由来のPCBであった。カネクロー ル由来のPCBについては,PEの白色ペレットなどで特異的 に吸着量が多いMP個体が存在すること,有機顔料由来の PCBについては,主に#11であり,時季やMPの色及び形状 による吸着量の変動が大きいことが分かった。 今後,河川水や海水などのPCB測定を行い,MPに関連し た環境中でのPCBの挙動を検証する。
<報文> 相模湾漂着マイクロプラスチックに吸着したPCBの実態調査及び発生源別のリスク推定 15 〔 全国環境研会誌 〕Vol.46 No.1(2021) 図7 海岸漂着MPのPCB吸着量測定結果の総括(発生源別) 0 20 40 60 80 100 PCB 吸着量 (ng /g) D2CB T3CB T4CB P5CB H6CB H7CB O8CB N9CB Total 180 Total 260 Total 180 Total 160 Total 130 Total 25 Total 39 Total 65 ポリエチレン(PE) Total 22 Total 40 カネクロール由来 Total 700 0 50 100 150 200 P CB 吸着量 (n g /g ) Total 950 Total 300 1,200Total ポリスチレン(PS) Total 67 Total 130 Total 370 ’17.10 ’18.1 ’18.4 ’18.7 相模湾 高浜台海岸 ’17.10 ’18.1 ’18.4 ’18.6 相模湾 鵠沼海岸 ’17.11 ’18.2 ’18.4 東京湾 久里浜海岸 Total 18 Total 150 0 100 200 300 400 Total 700 ’18.6 鵠沼 5 10 0 200 400 600 800 Total 1,200 ’17.10 ’18.2 鵠沼 久里浜 Total 950 0 20 40 60 80 100 P CB 吸着量 (n g /g ) Total 13 Total 1,900 Total 52 Total 36 Total 95 Total 19 Total 26 Total 68 Total 15 Total 33 ポリプロピレン(PP) Total640 9 10 0 400 800 1,200 Total 640 ’17.11 ’18.2 久里浜 Total 1,900 0 20 40 60 80 100 P CB 吸着量 (n g /g ) #4 #11 #31 #35 #36 #37 #52+#69 #153 #164+#163 Total 9.5 Total 40 Total 14 Total 78 Total 13 Total 7.9 Total 44 Total 15 ポリエチレン(PE) Total 43 Total 84 有機顔料由来 Total 80 0 20 40 60 80 100 P CB 吸着量 (n g /g ) Total 52 Total 33 Total 57 ポリスチレン(PS) Total 88 Total 3.4 Total 86 ’17.10 ’18.1 ’18.4 ’18.7 相模湾 高浜台海岸 ’17.10 ’18.1 ’18.4 ’18.6 相模湾 鵠沼海岸 ’17.11 ’18.2 ’18.4 東京湾 久里浜海岸 Total 84 Total 62 0 100 200 300 400 500 P CB 吸着量 (n g /g ) Total 280 Total 53 Total 250 Total 330 Total 60 Total 47 Total 110 Total 57 Total 320 Total 380 ポリプロピレン(PP) Total 25
<報文> 相模湾漂着マイクロプラスチックに吸着したPCBの実態調査及び発生源別のリスク推定 16 〔 全国環境研会誌 〕Vol.46 No.1(2021) 図8 同一試料から複数検体とした場合のPCB吸着量測定結果 0 20 40 60 80 P CB 吸着量 (n g /g ) D2CB T3CB T4CB P5CB H6CB H7CB O8CB N9CB Total 92 ポリエチレン(PE) ポリプロピレン(PP) Total 90 Total 11 Total 7.6 Total 34 Total 41 Total 67 Total 22 Total 14 Total8.9 Total 40 Total 9.4 Total 16 Total9.3 Total8.2 カネクロール由来 0 100 200 300 400 500 P CB 吸着量 (n g /g ) #4 #11 #31 #35 #36 #37 #52+#69 #153 #164+#163 Total 8.0 ポリエチレン(PE) 白色 ペレット 青色 赤色 白色 その他 黄緑色 緑色 その他 緑色 人工芝 黄色 橙色 白色 ペレット 青色 赤色 白色 その他 黄緑色 緑色 黄色 橙色 ポリプロピレン(PP) Total 3.9 Total 240 Total 2.4 Total 36 Total 4.6 Total 77 Total 14 Total 1.7 Total2.5 Total 530 Total 140 Total 110 Total 2.2 Total 54 有機顔料由来 0 20 40 60 80 P CB 吸着量 (n g /g ) D2CB T3CB T4CB P5CB H6CB H7CB O8CB N9CB Total 3,300 Total 54 Total 38 Total40 Total 160 Total 55 Total 48 Total 91 Total 38 Total25 Total 75 Total 30 Total 37 ポリエチレン(PE) ポリプロピレン(PP) カネクロール由来 0 500 1,000 1,500 2,000 Total 3,300 PE 白色 ペレット 0 100 200 300 400 500 P CB 吸着量 (n g /g ) #4 #11 #31 #35 #36 #37 #52+#69 #153 #164+#163 Total 7.2 Total
65 Total65 Total70 Total61
Total 470 Total 7.9 Total 560 Total 430 Total 7.3 Total 84 Total 410 Total 95 ポリエチレン(PE) ポリプロピレン(PP) その他 その他 白色 ペレット 青色 赤色 白色 その他 緑色 その他 緑色 人工芝 白色 ペレット 青色 赤色 白色 その他 緑色 有機顔料由来 図10 色及び形状で詳細に分別した場合のPCB吸着量測定結果 2018.7 相模湾 高浜台海岸 2018.6 相模湾 鵠沼海岸 図9 特異なMP個体の 異性体組成の推定 (2017.10 鵠沼海岸 PE) 0 50 100 150 200 PC B 吸着量 (ng /g) Total 81 Total 240 カネクロール由来 ①~④合算 ⑤ ⑤-①~④合算 Total 320 0 50 100 150 200 P CB 吸着量 (n g /g ) D2CB T3CB T4CB P5CB H6CB H7CB O8CB N9CB Total 77 Total
93 Total77 Total88 Total67
Total 320 Total 51 Total 270 Total 40 Total 98 Total 53 カネクロール由来 ポリプロピレン(PP) Total 28 Total 42 Total 25 Total 54 Total 280 Total 99 Total 18 Total12 Total 42 Total38 Total 17 Total 16 ポリエチレン(PE) 0 200 400 600 800 1,000 P CB 吸着量 (n g /g ) #4 #11 #31 #35 #36 #37 #52+#69 #153 #164+#163 Total 5.3 ① ② 2017.10 Total 120 Total
14 Total14 Total16 Total6.6
Total 38 Total30 Total 85 Total 24 Total12 有機顔料由来 相模湾 高浜台海岸 ① ② 2018.4 ① ② ③ ④ ⑤ 2017.10 ① ② ③ 2018.4 ① ② 2018.4 ① ② 2017.10 ① ② 2018.4 ① ② 2018.1 ① ② ③ 2018.4 相模湾 鵠沼海岸 久里浜海岸 相模湾 高浜台海岸 相模湾 鵠沼海岸 ポリプロピレン(PP) Total 74 Total 7.8 Total7.5 Total 12 Total 240 Total 14 Total 4.4 Total 190 Total 440 Total 180 Total 820 Total 120 ポリエチレン(PE)