• 検索結果がありません。

中国の食品市場における道産食材の輸出可能性について

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "中国の食品市場における道産食材の輸出可能性について"

Copied!
5
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

〔論 文〕

中国の食品市場における道産食材の輸出可能性について

千 葉 博 正

(札幌大学経営学部) る。ここでは中国の大連市内にあるスーパー のデータに基づいて分析を行っている。 次にA,Bグループのそれぞれ選ばれた商品 を比較し,再び月ごとの販売量,商品の品 質・仕入価格・人気度及び商品の賞味期限と 新鮮度への要求などから共通の特性を明らか にし,各種税関の制限条件を考慮して,将来 中国に進出可能性のある商品を選出する。 また,中国国内の類似商品の価格,種類, 賞味期限 市場シェア,人気度などアンケート 調査を行い,さらに,中国に進出している道内 の食品企業を訪問し商品の売れ筋,中国の市場 シェア,問題点 改善点などを把握した上で, 中国市場に進出する上での実務上の課題を明ら かにする。本論では北海道の食品を中国に輸出 するときの関税,運賃,人件費,利益等を分析 しモデルケースを試算している。最後に輸出経 路,輸出ロット,販売先.バイヤー等,具体的 な課題などを明らかにする。 図−1 商品分析のフロー 1.研究の背景 米国の金融危機からはじまった世界同時不

況は,日本経済にも大きな影響を与えてお

り,北海道経済も例外ではない。雇用環境は

極めて厳しい状況であり,個人の消費マイン ドも落ち込んで,商業活動も低迷している。 特に北海道の基幹産業である食品産業の縮小 化傾向は留意すべき点である。 一方,中国は改革以来,経済のグローバル 化の進展に伴って経済発展が著しく,世界の 工場から次第に世界の一大消費市場へと変貌 しつつある。このような中国の急速な成長と 変化は,北海道の発展にとって市場拡大の大 きなチャンスであるといえる。

2.分析の視点と方法

まず,北海道内食料品の中国市場参入可能 性についての調査を行う。調査方法は日本に 在留する中国人或は観光で北海道を訪れる中 華系の観光客が好む道産食材を抽出する。さ

らに,この食材を対象グループAとBの二つ

に分けて比較分析を行う。 Aグループは北海道新千歳空港で販売され ている北海道商品を対象にし,月ごとの販売 量,商品の品質・仕入価格・人気度及び中国 消費者による商品の賞味期限と新鮮度への要 求など商品の特性を分析し,人気のある商品 を抽出する。 この抽出された商品に対し,Bグループと して,中国の国内で販売されている類似の商 品を対象に.商品の品質・仕入価格・人気度 や消費者による商品の賞味期限と新鮮度への 要求などから中国で人気のある商品を分析す

(2)

産研論集 No.42・43 82 表1中国の祝日・祭日

3.中国観光客の来道動機

最近中国人観光客の来道者数は急激な増加 を見せている。例えば2008年には,道東圏の 中国人観光客の年間稔入込数は146人に過ぎ なかったものが,2009年には2月から4月まで の3カ月間だけで2007人に達しており,たっ た3ケ月間で前年比の14倍になっている。そ の背景としては,近年の中国国内における所 得レベルの向上によるものといえるが。直接 的には以下のような来道動機を挙げることが 出来る。

①2009年正月に北海道を舞台とした中国正

月の映画(「恋の落とし方」原題:非誠勿扶) が中国国内において大ヒットし,北海道に注 目する中国人観光客が急増しつつあること。 ②日本政府の観光局が中国メディアを道東取

材に招待したこと。また,中国の一般市民を

対象とした北海道観光説明会の開催や更には 新聞広告の掲載等,さまざまなマスコミで北 海道観光を宣伝した効果が現れてきたこと。 このような①と②の誘致活動が相乗効果を 生みだし,来道する中国人観光客が急増した ものと思われる。

4.中国における祝祭日の食習慣

北海道の食料品を中国市場拡大するために は,中国の食習慣を理解することが重要であ る。 日本から輸入される食料品は中国国内に於 いては高級品であり,商材として期待できる のは贈答用品などの非日常的なマーケットに 限られているものと考えられる。このような マーケットの特性を把握するためには,中国 の祝祭日(法定祝日・伝統的祭日)における 食習慣を把握することが役立つといえる。中 国の祝祭日には,普段お世話になった人達や 或いは親類の間に感謝の気持ちを込めてお土 産を贈る習慣がある。そのほとんどは食料品 であり,昔は菓子類中心だったがものが最近 では高級な水産品や果実など珍しい食料品が 買い求められている。 中国の法定祝日 伝統的な祭日 新年 1日 清明節 1日 春節 3日 端午節 1日 労働節 国慶節 1日 中秋節 3日 1日

5.中国の地域別北海道食品に対する

関心度 日本食品は,アジア各地で高い評価を得て いる。特に北海道食品は「安心・安全・美味 しい」と大変人気がある。以下は上海と香港 を例としてその実態を示したものである。 ①上海‥北海道庁から上海にある大手日系ス ーパー久光,ヤオハンで過去2年間収集した データを分析し,上海では上位4種類人気商

品を纏めた。それは乳製品,水産物水産加工

物と菓子類及び農産品である。 (∋香港:2004年から,香港人はビザなしで 日本渡航が可能となり,日本への観光がブー

ムとなっている。香港では,日本の食品が数

多く流通している。香港でよく売れる北海道

食品は菓子類,水産加工品,生鮮食品(野菜・ 果物・卵・牛乳)などがある。

また,2009年11月16日「北海道フェアin

香港」での北海道スイーツ代表作ハスカップ

フロマーシュに関するアンケート調査によ

り,9割の人が北海道のスイーツに対し美味 しいと評価を得た。

図2 香港市民の札幌ハスカップ

フロマージュに関する評価 6 6 4 3 2 1 0 臭味しかった・やや奥崩し 普通 少しばかった かった

(3)

図3 中国観光客の道産食品購買動向(1)

6.千歳空港での中国人購買動向

道産食品の中国市場拡大するため,中国人

の道産食品の購買動向を把握する必要があ

る。ここで,2009年9/15∼20日,10月,11

月に新千歳空港展示販売所で中国人観光客を

対象に,販売実績について調査分析を行っ

た。図3のようにラーメンの購買量は1位。

旬のもの(メロン)の購買量は2位である

が,生鮮食品の賞味期限を考えると「熟しや すい」「リスクが高い」などの点から市場開 拓は難しいと考えられる。 図4は図3の左下部分の拡大図である。こ こでは高,中,低の3段階に分けて整理する。 まず,高段階で菓子類の販売量が非常に多

い。北海道の乳製品は日本全国に有名であ

る,特に乳製品で作られた菓子類は人気があ る。また札幌大学中国人留学生を対象に行っ た月寒アンパンのアンケート調査結果による

と,商品の美味しさやパッケージのデザイ

ン,適当な値段を設定すれば,市場拡大の可 能性があると推測される。 中段階では全体として商品の販売価格と販 売量には相関が見られない。一番注目するべ きものは昆布類である。比較的価格が高い割 には良く売れている。日本では昆布製品は細 かく分類し,乾燥したものを給麗にパッケー ジして,日用品としてもお土産にとしても愛 用されている。しかし中国では昆布は健康食 品であることが分かっているが,これまで贈 答品としてあまり使わない。しかしながら今 後は,日用品としての利用の他に,乾燥して 椅麗にパッケージし贈答用品として中国市場

の利用が拡大する可能性があると考えられ

る。また,中国の日常食卓では未だ馴染みの

無い,チーズ類やカレー類・スープ類トバター 類などの商品が売れていることは食習慣の変 化を表すものとして注巨=こ値する。その他馬 油も中国では一般的ではないが健康商品とし て人気得ているものと思われる。 一方,低段階での商品は中国人の馴染みが 無いことや,食習慣の違いによるものと思わ れる。 図4 中国観光客の道産食品購買動向(2) ○菓子類

○洞00用V昆欄

加増「○魚 ○凋 掴  ̄ ●▲:.㌻三宍 棚 ll ll −11 こll l1l り = 図5 中国での類似商品購買動向

B i 伍 l 在 駐

(4)

産研論集 No.42・43 84

7.中国国内における類似商品の購買

動向 中国国内で道内消費者商品と類似商品の購

買動向について,2009年9月に,大連市内の

友嘉大連商場において販売している道産商品

と類似商品の中国人購買動向の調査結果に

よって分析を行った。 販売金額と販売順位で見てみると,どちら も牛乳が第一位である。近年,経済発展に伴っ て,生活水準も上がってきた。昔,腹いっぱ い満たすだけの考えから,健康,栄養の而か

ら食品を選ぶ人が増えつつある。今,牛乳は

日常生活に書かせないものとなっている。こ のため牛乳の市場需要量は極めて大きいと考 えられる。北海道から中国へ牛乳を輸出する と,市場を拡大する可能性は十分あると思わ れるが,生牛乳の賞味期限は短すぎて(最大 2週間),通関手続きも繁雑であり時間がかか るので,現状のままでは販路拡大は難しいと 思われる。 チョコレート,チーズ,バター,粉ミルク など賞味期限が長く,北海道の独特な牛乳で 作られた美味しい商品は,中国市場への参入

可能性があると見られる。菓子類の販売量

は普通であったが,販売金額は第2位となり,

利益が取れる商品だと考えられる。上記各

グループの調査結果に基づき,北海道食料品 の中国市場に拡大するときの選定商品として は, (1)乳製品(粉ミルク,チーズ,バター類) (2)菓子類(3)魚介類(4)飲み物類など が考えられる。

8.類似商品の日本と中国で販売価格

比較 以下は,中国のスーパーで販売されている 北海道食材を取り上げ,日本と中国での販売 価格を比較し,関税,運賃,人件費,利益を 明らかにしたものである。対象とした商品は 洛陽の伊勢丹百貨店で売られている「北海道 パンでグラタン」という商品である。 (》洛陽の伊勢丹百貨での販売価格は18.2元 日本円で243円 (レート100円=7.5で換算) (釘洛陽の伊勢丹百貨での仕入れ価格,利潤を 推測する。それは北海道のスーパーラルズ と同じとなる。 (彰関税率は47% (調味料の30%+増値税17%) ④運賃は23円 運賃+(運賃+商品代金)■47%= 価格一利潤 一 経費 一 商品代金 (参関税額は64円 関税額=関税率●CIF価格(商品代金+ 送料・手数料+保険料等)

9.関税制度等について

(1)日本から中国輸入関税種類は従価税. 従量税,複合税など3種がある。 従量税の課税基準は輸入関税額=単位 ごとの税額×輸入数量。 従価税の課税基準は輸入品関税税額= 関税価格×関税率。 (2)輸入課税の基準輸入は着岸価格(CIF) で計算 (3)対日輸入適用税率は最恵国税率を適用 (4)関連法規として税関法,輸出入関税条 例,税関輸出入税別を参照した。 10.結論 (1)中国への輸出可能性のある商品として は,以下の品目が考えられる。 ①乳製品(粉ミルク,チーズ,バター類) ②菓子類(卦魚介類 ④飲み物類など (2)販売価格の分析上,関税と運賃を吸収 出来る高付加価値商品であることが不 可欠である。 (3)通関手続きは複雑で所要時間が長い。 特に食品の衛生検査コストの上昇が課 題となっている。

行政の支援策として,通関手続きの簡

潔化・通関コストの低減策が求められ る。 (4)富裕層の贈答品をターゲットとした商 品構成が販路拡大の効果的方法と考え られる。

(5)

参照

関連したドキュメント

本章では,現在の中国における障害のある人び

 第1報Dでは,環境汚染の場合に食品中にみられる

大阪府中央卸売市場加工食品卸売商業協同組合こだわり食材市場 小売業.

我が国においては、まだ食べることができる食品が、生産、製造、販売、消費 等の各段階において日常的に廃棄され、大量の食品ロス 1 が発生している。食品

締約国Aの原産品を材料として使用し、締約国Bで生産された産品は、締約国Bの

(1) 重層的な産業集積,および緻密な生産ネットワークの形成 (とくに,電 機・電子産業) , (2) 「世界の工場」「世界の市場」となった中国経済の台頭 と今後の動向,

新中国建国から1 9 9 0年代中期までの中国全体での僑

カーボンニュートラル中長期目標遵守 株式報酬制度の導入 国連グローバル・コンパクト署名 次世代自動車向け製品拡大