社会に生きて働く資質・能力の育成を
目指した国語科の授業実践
―見方・考え方を働かせた深い学びの実現を通して―
城 所 克 弥
1.国語科における社会に生きて働く資質・能力について 学習指導要領改訂に伴い、これからの時代に求められる資質・能力が三つの柱で整理され 明確化された。このことを受けて、中学校学習指導要領国語編(平成 29 年 3 月)において、 国語科の目標が次のように示された。 また、中学校学習指導要領解説総則編(平成 29 年 7 月)において、学習の基盤となる資質・ 能力の一つとして、「言語能力」が示されている。さらに、その「言語能力を構成する資質・ 能力」の三つの柱として「知識・技能」「学びに向かう力・人間性等」と並べて「思考力・ 判断力・表現力等」があげられ、次のように示されている。 これらのことから、見方・考え方を働かせた深い学びの中で「思考力・判断力・表現力等」 を育成し「言語能力を構成する資質・能力」に資することで、社会に生きて働く資質・能力 を育成することができると考えた。 (思考力・判断力・表現力等) テクスト(情報)を理解したり、文章や発話により表現したりするための力として、 情報を多面的・多角的に精査し構造化する力、言葉によって感じたり想像したりする力、 感情や想像を言葉にする力、言葉を通じて伝え合う力、構成・表現形式を評価する力、 考えを形成し深める力が挙げられる。 言葉による見方・考え方を働かせ、言語活動を通して、国語で正確に理解し適切に表現 する資質・能力を次のとおり育成することを目指す。 ⑴ 社会生活に必要な国語について、その特質を理解し適切に使うことができるように する。 ⑵ 社会生活における人との関わりの中で伝え合う力を高め、思考力や想像力を養う。 ⑶ 言葉がもつ価値を認識するとともに、言語感覚を豊かにし、我が国の言語文化に関 わり、国語を尊重してその能力の向上を図る態度を養う。2.国語科における見方・考え方を働かせた深い学びについて 中央教育審議会答申において、国語科では深い学びについて次のように示されている。 各教科等の見方・考え方は、どのような視点で物事を捉え、どのような考え方で思考して いくのかというその教科等ならではの物事を捉える視点や考え方である。国語科の「言葉に よる見方・考え方」は、次のように示されている。 国語科では、様々な事象の内容を自然科学や社会科学等の視点から理解することを直接の 学習目的としておらず、言葉を通じた理解や表現及びそこで用いられる言葉そのものを学習 対象としている。そのため、「言葉による見方・考え方」を働かせることが、国語科におい て育成をめざす資質・能力をよりよく身に付けることにつながると考える。 言葉による見方・考え方を働かせながら、深い学びを実現し、言語能力を身に付けていく ために、学習過程を工夫し、構想・実践することで、研究主題に迫ることとする。 3.見方・考え方を働かせた授業実践 実践例 1 第 1 学年「『星の花が降るころに』の登場人物に迫ろう」 1.単元の目標 ⑴ 事象や行為などを表す多様な語句について理解を深めるとともに、話や文章の中の語彙 について関心をもつことができる。 【知識・技能】 ⑵ 場面の展開や登場人物などの描写に注意して読み、内容の理解に役立てることができる。 【思考力・判断力・表現力】 ⑶ 登場人物や象徴物の役割を考えながら、文学的文章を読もうとする。 【主体的に学習に取り組む態度】 自分の思いや考えを深めるため、対象と言葉、言葉と言葉の関係を、言葉の意味、働 き、使い方等に着目して捉え、その関係性を問い直して意味付けること。 「深い学び」の実現に向けて、「言葉による見方・考え方」を働かせ、言葉で理解した り表現したりしながら自分の思いや考えを広げ深める学習活動を設けることなどが考え られる。その際、子供自身が自分の思考の過程をたどり、自分が理解したり表現したり した言葉を、創造的・論理的思考の側面、感性・情緒の側面、他者とのコミュニケーショ ンの側面からどのように捉えたのか問い直して、理解し直したり表現し直したりしなが ら思いや考えを深めることが重要であり、特に、思考を深めたり活性化させたりしてい くための語彙を豊かにすることなどが重要である。
2.授業の実際 全 4 時間構成で、第 2 ∼ 4 時の内容について説明する。第 1 時では、本文を通読し、一読 の感想を書かせた。 【第 2 時】∼象徴物から「私」の心情の変化を読み取る∼ 第 1 時で書いた、銀木犀・戸部君・掃除のおばさんについての感想を意図的に指名し、「私」 の心情に、それらがどのように影響を与えているのかを考えていこうという話をした。 まず、タイトルに注目させ、「星の花」とは何かと問いかけ、「銀木犀」と「私」の心情と の関係を考えていくことを本時の目標にした。 冒頭部分と終末部分で「銀木犀」の描写だけを抜き出したワークシートを活用した。冒頭 部分では、「私と夏実の楽しい思い出」の象徴として、銀木犀が描かれている。また、「閉じ 込められた」などの表現からも、「二人だけの世界」というニュアンスも伝わってくる。「夏 実」と仲直りをしようとする場面の「お守りみたいな」という描写からは、「夏実」と必ず 仲直りしたいという気持ちを読み取らせるなど、一つ一つの言葉から「私」の心情との関係 を考えさせた。 終末部分の「銀木犀」の描写では、「ぱらぱらと落とした」と「銀木犀の下をくぐって出た」 という「私」の行動描写に着目させ、なぜそのような行動をしたのか、その行動をしたとき の「私」の心情は何かを考えさせた。 その結果、「銀木犀には頼らず、新たな人間関係を自分の手で築いていこう」という意見 になった。 このように、物語の最初と最後の場面の主人公の心情の変化を読み取ることで、「なぜこ こまで変化したのか」「何が、主人公に大きな影響を与えたのだろうか」という疑問が生徒 のなかから内発され、「戸部君」「掃除のおばさん」の存在を再確認し、次時への学習の意欲 をもち、スムーズに学習をすすめることができた。 【第 3 時】∼「戸部君」から「私」の心情を読み取る∼ 前時の振り返りとして、物語の最初と最後の「私」の心情を確認し、どうしてここまで前 向きに変化したのかを読み取ることを本時の目標とした。また、「戸部君」とのやりとりの ぱらぱらと落とした もう一度夏実と拾いたい。/こんなものは必要ない。 自分の力でやっていける。/くよくよしている自分、捨てよう。 こだわりは捨てて、新たな人と友だちに。 銀木犀の下をくぐっ て出た 新しい友だちをつくりたい。/最初からやり直そう。 新たな世界への第一歩。/銀木犀に頼ることはやめよう。 もっと広い世界へ羽ばたこう。
あと、夏実との楽しい思い出の象徴である銀木犀のある公園に向かったことからも、「私」 の気持ちに大きな変化をもたらしたことは、明確であることなども確認した。「戸部君」の どんな描写が、「私」の心情を前向きにさせているかを考え、該当箇所に吹き出しの付箋を 貼り、その付箋には、「私」が前向きになった理由(解釈)を書き込ませるようにした。 生徒たちは、「戸部君」の描写を一つ一つ吟味し、「私」にどのような影響を与えているか を考えていた。教科書の本文を根拠とし、なぜその描写が、私を前向きな気持ちにさせたの かという理由(解釈)をきちんと考えるように指導した。全体で共有するときには、生徒の 意見をデジタル教科書上で整理した。(図 1) 班や全体で共有していくなかで、「戸部君」は、大切な役割を担っており、その存在が「私」 の気持ちを前向きにさせていることを生徒たちは実感しているようであった。共有後、それ らをまとめるために、「少し回り道をして 4 4 4 4 4 4 4 4 銀木犀のある公園へ向かった」ときの「私」の心 情を言葉でまとめさせた。 【着目した「戸部君」の描写】 日陰もない校庭のすみっこで背中を丸め、黙々とボール磨きをしている戸部君 【描写から導いた「私」の心情】 ①チームメイトのためにボールを磨いている戸部君の姿を見て、自分のことしか考えて いない自分が情けない。 ②みんなが嫌がるような仕事を一人で、周りの人に左右されず、自分のやるべきことを やっているが、自分はできていない。 【着目した「戸部君】の描写】 私よりも低かったはずの戸部君の背はいつのまにか私よりずっと高くなっている。 【描写から導いた「私」の心情】 戸部君の心身ともに成長していることに気づき、自分も成長しなくてはいけない。 【着目した「戸部君」の描写】 使いたいときだけ使って、手入れをしないでいるのはだめなんだ 【描写から導いた「私」の心情】 サッカーボールのぬい目と、友達関係は一緒。今まで私は仲直りのために何も行動して こなかったと後悔している。 【着目した「戸部君」の描写】 「―あたかもしれない。」 やっぱり戸部君って、わけがわからない。 【描写から導いた「私」の心情】 わけがわからないけど、それが戸部君の優しさであると気づき、私を気にかけてくれる 人がいるのをうれしく思っている。
【第 4 時】∼「掃除のおばさん」から「私」の心情を読み取る∼ 生徒たちの感想の中に、「掃除のおばさん」の言葉に注目しているものがあったため、そ れらを紹介しながら、「掃除のおばさん」の言葉について考えることを本時の目標とした。「掃 除のおばさん」の「どんどん古い葉っぱを落っことして、その代わりに新しい葉っぱを生や すんだよ。そりゃそうさ。でなきゃあんた、いくら木だって生きていけないよ。」という言 葉は、常緑樹の説明をしたものであるが、このときの「私」はそうは受け取っていない。「私」 にとってこれらの言葉は何を表しているのかを、個人・班で考えさせた。 <学習者 A の意見> 戸部君とのやりとりを通して、人間関係を大切にしようと思っている。だから、前向き に夏実と仲直りをする方法を考えていると思う。そのために、銀木犀にパワーをもらお うと思って、公園へ向かっているのではないだろうか。 <学習者 A の意見> 過去のことは吹っ切って新しい人生を送ろう。夏実の代わりに新しい友達を見つけよう。 <学習者 B の意見> 今までの夏実との関係と自分のせまい心を捨て、これから夏実と仲直りをするために努 力するとともに、新しい人との出会いも大切にしよう。 図 1 生徒の意見を整理したデジタル教科書
「戸部君」の言動と「掃除のおばさん」の言葉により、前向きな考え方になった「私」の 心情をまとめるため、「大丈夫。きっとなんとかやっていける」に込められた私の気持ちを 考えさせた。その際、「戸部君」や「掃除のおばさん」とのやりとりから学んだことや気づ いたことを踏まえるように助言した。学習者 A は、学習者 B の意見を参考にして、次のよ うにまとめた。 生徒たちは、象徴物や他の登場人物との関わりの中で、主人公の気持ちが揺れ動いている ことに気づくことができた。 実践例 2 第 1 学年「『少年の日の思い出』の大きな謎を解明しよう」 1.単元の目標 ⑴ 文章の構成や展開に理解を深めることができる。 【知識・技能】 ⑵ 場面と場面、場面と描写などを結び付けたりして、内容を解釈することができる。 【思考力・判断力・表現力】 ⑶ 物語全体を見ながら、文学的文章を読もうとしている。 【主体的に学習に取り組む態度】 2.授業の実際 【第 1・2 時】∼学習課題をつかむ∼ 生徒が自ら問題を見出したと思えるような流れを意識した。本文を一読したのち、各場面 ごとの疑問を一人一人に書かせた。各場面にわけることで、僕(客)・エーミール・母の行 動に着目しやすいと考えた。疑問を書かせる前に、「なぜ、こんな行動をしたのだろうか」「こ こではどんな気持ちだったのだろうか」という疑問の例を提示し、各登場人物の言動に着目 するようにさせた。その疑問を、疑問シートに集約し、多数の生徒が感じていた疑問「僕が ちょうを粉々に押しつぶしたのはなぜか」を大きな課題とし、「客は話すのが恥ずかしいと 言っておきながら、なぜ話をしたのか」「僕とエーミールはそれぞれ「ちょう」というもの をどのように捉えているのか」「エーミールはなぜ僕を軽蔑的に見たのか」「母はなぜ謝りに 行った僕に何も聞こうとしなかったのか」の 4 つを小さな課題に設定した。自らが設定した 課題であったため、意欲をもって最後まで継続して考えることができた。 <学習者 A の意見> ボール磨きの話のように、友達関係を大切にしていこう。そして、もう一度だけ夏実に 話しかけてみよう。もし仲直りできなくても、夏実にはこだわらずに、他の人とも友情 関係を築いていこう。
【第 3 ∼ 5 時】∼「ひとり学び」「エキスパート活動」「ジグソー活動」∼ 下の表は、第 3 ∼ 5 時までの生徒の思考を細分化したもの、そしてその思考の過程で働く と考えられる見方・考え方、それを働かせやすくするための手立てである。 表 生徒の思考、見方・考え方、それに対する手立て この過程を全 4 時間で構成しているため、生徒の見方・考え方が途切れて切れてしまわな いように、全ての過程を一枚のワークシート(図 2)で完結し、見方・考え方を継続して働 かせるようにさせた。 Ⅰ思考の過程 Ⅱ見方・考え方 Ⅲ手立て 1 大きな課題に対する ひとり学び 《Step1 》本文の描写に着 目し、心情をとらえる。 2 小さな課題を解決す る(エキスパート活動) 《Step2 》本文の描写に着 目する。 《Step3 》それぞれの意見 の共通点・相違点に着 目する。 《Step4 》 意 見 を 集 約 し、 まとめる。 3 大きな課題を解決す る(ジグソー活動) 《Step5 》それぞれの意見 の共通点・相違点に着 目する。 《Step6 》 意 見 を 集 約 し、 まとめる。 ○僕がちょうをつぶした 理由を、本文の記述を 根拠に考えている。 ○他の意見を聞き、自分 の意見の参考にしたり、 共通点や相違点を比較 したりしながら、自分 の意見をまとめている。 ○ちょうとの決別、自分 の 行 動 に 対 す る 償 い、 自分やエーミールに対 する憤りなど、さまざ まな視点をもって、理 由を考えている。 ※これらの見方・考え方 は、継続的に働いている。 ◎根拠となる教科書の記 述を必ず、意見の中に 盛り込むように助言す る。 ◎全ての活動の過程を一 枚のワークシート(足 跡シート)で完結させ、 各活動で出てきた見方・ 考え方が一目でわかる ようにする。 ◎それぞれの意見がわか りやすいように、ホワ イトボードで可視化さ せながら、話し合いを 進めさせる。 ◎ 個 別 指 導 を し な が ら、 生徒が考えている意見 のキーワードとなる言 葉を助言し、意見をま とめる手助けとする。 ※これらの手立ては、特 定の見方・考え方が働 くためにしているわけ ではない。
図 2 足跡シート 学習者 C は、大きな課題に対する最初のひとり学びを、次のように記述した。 学習者 C は、「僕」の最後の行動を忘却するための手段として見ている。ただ、この意見 では本文の記述を根拠としているとは言えず、適当な答えとは言い難い。 エキスパート学習を終えた学習者 C の班は、それぞれの小さな課題に対する答えを次の ようにまとめた。 今回、僕がやってしまったことを二度と繰り返さないためには、「ちょう」からも「ちょ う集め」からも離れ、忘れなければならない。収集を見て、思い出さないためにもちょ うをつぶした。 小さな課題 それに対する答え 客が恥ずかしいと言い ながら、話した理由 「私」が標本からちょうを取り出すのを見て、クジャクヤママ ユを盗んだときと一致し、それを思い出したから。 僕とエーミールの「ちょ う」に対する捉え 「僕」は、エーミールのことが嫌いだが、彼の収集のことを「宝 石」と評価している。→ちょうは、誰がもっていようと平等で、 大切なものと考えている。 エーミールは、ちょう集めをすることで、自分の評価を上げよ うとしている。 エーミールはなぜ僕を 軽蔑的に見たのか エーミールは、ちょうを粉々にした「僕」に対して「悪漢」と いうイメージと「軽蔑」された屈辱を一生負わせてやろうと考 えたから。 母はなぜ根掘り葉掘り 聞かなかったのか まず、母は謝りに行く前の僕が反省していないことに気づいて いた。しかし、帰ってきた僕は「一度起きたことは償いのでき ないことだ」と悟ったことに気づいていたので、そっとしてお いた。
それぞれの答えは、本文中の記述を根拠に答えを導くことができている。それらの答えの 共通点などをつなぎ合わせ、学習者 C の班は大きな課題に対し、次のように班の意見をま とめた。 各班の意見をホワイトボードにまとめ、意見を発表させた。その際、教科書のどの記述を 参考にしたのかということや、なぜその考えに至ったのかということを明確にさせるように した。補助発問をしたり、その際のキーワードなどを板書したりすることで、見方・考え方 を整理しながら、それぞれの意見を発表させた。 発表されたそれぞれの班の意見を聞いた のち、最終の自分の意見を書く「練り直し」 の時間を設定した。意見を聞き、自分なり の最終意見を決定することで、これまでの 話し合いを振り返らせ、さまざまな根拠か ら自分の最終解釈を明確にさせた。また、 足跡シートを活用し、読み深める前の自分 の意見と最終意見を比較して、自らが変容 した姿を確認することで、それまでの話し 合い活動の学びを実感させた。その後、「決別」「償い」「忘却」「その他」などのマトリック スにそれぞれのネームプレートを貼らせ(図 3)、各意見を明確にさせることで、文学的作 品には多様な読みがあり、根拠をもっていろいろな読みをしていくことが、豊かな読書生活 にもつながっていくという汎用的なまとめをした。 全 5 時間を終えた生徒の振り返りには、次のような記述があった。 ジグソー学習を通して、新たな話し合いの方法を習得したと同時に、言葉というものに注 目しながら物語を読み進めていくことのおもしろさを実感することができたように感じる。 誰からも罰を与えられなかったため、自分への戒めとしてちょうをつぶした。 ・エーミールも母も怒ってくれないことから、「ちょう」をつぶすことで反省しようと 考えた。 ・自分も「ちょう集め」で自分の評価を上げようとしていたことに気づき情けなく思った。 図 3 最初考えた大きな課題の答えと、最後に考えた答えとでは、大きく意見が変わりました。 何人かの人で一つの小さな課題について話し合うことで、より深い意見を出すことがで きました。だから、ジグソー学習を通して、より深く「少年の日の思い出」を読むこと ができました。 ちょっとした言葉の違いだけで、読み取れる内容が変わってくるのはおもしろいと思い ました。また、人によって捉え方が違うのも、物語の魅力の一つなのかなと思いました。
4.授業実践を通して 本実践の実践事例 1 は 2017 年 6 月に実践し、実践事例 2 は 2017 年 12 月に実践した。6 月段階では、生徒の見方・考え方がまだ育っていないため、「象徴物」「主人公以外の登場人 物の言動」という見方・考え方を育むことを中心に授業を進めた。また、その他の文学的文 章でも、心情描写、情景描写やクライマックス、表現技法などに着目させながら学習を進め てきた。その集大成として、実践事例 2 を設定し、実践を行うこととした。ジグソー学習と いう話し合いを通して、生徒が一年間で学習してきたさまざまな見方・考え方を駆使しなが ら、思考を働かせることができたと感じる。見方・考え方は育てるものではないという意見 もあるが、文学的文章(その他の文章でも)に、どのようにアプローチしていくかを生徒た ちに学ばせていくことで、今後の読書生活にも大いに生かされることと思う。 「言葉による見方・考え方」を中心に授業を構想することで、授業で育成したい資質・能 力が明確になった。国語教育の本質からそれることない授業が展開でき、授業中につまずい ている生徒に対する手立てなども、事前に想定することができたり、つまずかないような工 夫も施すことができた。これからの実践でも、「言葉による見方・考え方」を中心に据え、 より社会に生きる資質・能力を育む授業を実践していきたい。 【引用・参考資料】 文部科学省『中学校学習指導要領解説 国語編』教育図書、2017 年 文部科学省『幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善 及び必要な方策等について(答申)』 文部科学省『中学校学習指導要領解説 総則編』教育図書、2017 年 鳴門教育大学附属中学校『第 62 回中学校教育研究発表会 研究紀要』2017 年 (きどころ かつや・鳴門教育大学附属中学校)