中学生におけるインターネット依存傾向に関する研究―感情制御及び,依存に向かうプロセスに着目して―

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− 133 − 中学生におけるインターネット依存傾向に関する研究 一感情制御及び,依存に向かうプロセスに着目して一 人間教育専攻 臨床心理士養成コース 坪 島 佑 季 1.問題と目的 近年,インターネットに過度に没入すること で心身の健康状態や日常生活に悪影響を及ぼす 「インターネット依存傾向」が深刻視されてい る。総務省情報通信政策研究所 (2016a) の調 査では,既に生活に支障をきたすほどの高いイ ンターネット依存傾向を示す中学生が報告され ている。また,経済産業省 (2015)の調査によ ると,中学生は携帯ゲーム機や音楽プレーヤー など、のデ、ジタル樹諾号を用いてインターネットを 利用していることが報告されている。今後更な るインターネット利用者の若年化が予測される が,中学生を対象者としたインターネット依存 傾向に関する研究は数少ない。 また, Young (1998) は,インターネットそ のものに中毒性があるのではなく,使用者のセ ルフ・コントロール(種融制御)の問題である と主張している。インターネット依存傾向とセ ノレフ・コントロールとの関連について,青山・ 五十嵐 (2011) は海外研究を中心にその重要性 について論じているが, 日本での先行研究は報 告されていない。 中学生がどのようにインターネットを利用し, インターネット依存傾向を高めているのか。そ のメカニズムを明らかにすることは,インター ネット依存が他の依存症と比較して治療のきっ かけを早期に見つけやすし、点(樋口, 2013)を 踏まえると,大変意義があると考えられる。ま 指導教員 小 倉 正 義 た,竹内 (2014) は,子どもはインターネット に関して保護者や教師と異なる「常識jを持っ ていると述べている。 そこで本研究では,中学生の何故をより明確 にするために,質問紙調査(研究1)ならびに インタビ、ュー調査(研究II)によって,大学生・ 大学院生との比較検討を行う。

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.

研究

I

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)

中学生のインターネット利用の実態及び,イ ンターネット依存傾向と感情制御(セルフ・コ ントロール)との関連を量的データによって検 討する。具体的には,①「中学生は大学生・大 判完生と比較して,ゲーム機と音楽プレーヤー を使用したインターネット利用の何故がみられ る

J

,②「感情制御が不十分なほど,インターネ ット依存傾向を高める」という

2

つの仮説を検 討する。 (2)方法 ①調査時期 :X年 10月"-'11月 ②調査対象者:中学生 130名(男子 67名,女 子57名,その他・不明

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名)と,大学生・大 学院生92名(男性 44名,女性 47名,その他・ 不明

1

名)を対

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訣とした。 ③質問紙:フェイスシート(年齢,↑拐IJ),イ ンターネットの利用機器(6項目),利用目的(18 項目),利用時間,日本語版インターネット中毒 テスト,日本語版感↑青制御困難性尺度を使用し

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− 134 − た。 (劫結果と考察 中学生の鞘教的なインターネット利用機器と して,ゲーム機

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と26.38,d

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l, pく.01)と 音楽プレーヤー匂と5.69,d

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が挙 げられたことから仮説

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は支持された。経済産 業省

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の調査報告に概ね沿った結果とな り,個人の所有物を用いたインターネット利用 によって,保護者の管理が届き難い可能性が考 えられた。 また,感↑青制御困難がインターネット依存傾 向に影響を及ぼしており(企.26,p<.01),仮 説

2

は支持された。従って,インターネット依 存傾向とセルフ・コントロールとの関連性は示 唆され,今後の研究介入の重要性が予期される。 3.研究E

ω

目的 インターネットの利用時における行動や感覚 を質的データによって検言すずる。

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2

)

方法 ①調査時期 :X年 10月, 11月 ②調査対象者:中学生

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名(男子

1

名,女子

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名)と,大学生・大学院生 10名(男性 5名, 女性

5

名)を対象とした。 ③方法:

1

グループ。

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4

5

人)あたり

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3

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分のフォーカス・グノレープ・インタビ、ューを行 い,インターネット利用時の『はまった体験』 と『困った体験とその対策』について尋ねた。

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レコーダーから作成した逐語内容について,

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樋口,

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を用いた 内容分析を行った。 (ゆ結果と考察 『はまった体験』と『困った体験とその対策』 に共通する中学生の鞘擬吾として「スマートフ ォン」が抽出され,中学生のインターネット利 用及び,インターネット依存傾向にはスマート フォンの利用が関連していることが示唆された。 また,共起ネットワーク分析を行った結果, 『はまった体験』では<休日の長時間利用>の カテゴリーとの共起開系が認められた。学校生 活や部活などで平日のインターネットを利用す る時間が制限され,休日の長時間インターネッ ト利用となっていることが考えられた。従って, 中学生のインターネット利用には,種言動的な側 面があることが推測された。 一方, ~困った体験とその対策』に関して,中 学生は,親にスマートフォンを預ける・没収さ れるなどの他律的な刺激によって,インターネ ット利用時の行動を制限している状況がみられ た。自発的に自己の感情明子動を統制する力が 未熟な中学生の鞘教に該当したことから,セル フ・コントロールとの関連が示唆された。 4.まとめと今後の課題 ゲーム機,音楽プレーヤーなどを用いたイン ターネット利用は,中学生自身にもセルフ・コ ントロールの必要性が求められる。セルフ・コ ントロールが未熟とされる中学生には,保護者 や学校関係者など,周囲の大人がサポートする ことが必要であり,サポートする側も中学生の インターネット利用の実情について理解するこ とが重要であると思われる。インターネットの 適切な利用方法を身につける為には,中学生と 周囲の大人がインターネットの利用について話 し合い,お互いの常識を理解することが求めら れるだろう。 また,本研究では,インタビ、ューに十分な時 間及び調査協力者との開系性を構築できずにイ ンタビューに臨んだ。より自由な発言を求める ためにも,今後は十分な時間,関係性を構築し てインタビューを行うことが求められる。

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参照

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