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中国における日本語教育の実態―中国浙江省寧波職業技術学院を事例として―

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Academic year: 2021

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中国における日本語教育の実態 ―中国浙江省寧波職業技術学院を事例として― 孝婿斗・領域教育専攻 言語系コース(国語) 山 本 和 美 1 .研究の目的 本論文では,今まであまり研究対象にならな かった中国の高等教育機関のひとつ職業技術学 院の日本語専攻を取り上げた。具体的には筆者 が2013 年9 月から2017 年6 年まで所属した中 国浙江省寧波市にある寧波職業技ラ畔院の学生 の実態を探り,学生の興味・関心を授業に生か せないカ模索し, 日本の動画を学生に吹き替え させる授業を実践した。本稿は,その授業実践 の分析と学生を対象とした質問紙調査の結果を まとめたものである。その上で寧波職業技術学 院の学生の特徴を明らかにし,日本語習得によ り効果的な方法を検討した。 2 .論文の構成 第I 章 はじめに U 章 中国の教育制度 知章 学半完における新しい取り組み 第N章 質問紙調査の集計と分析 第V章 おわりに 3 .論文の概要 第I 章では筆者の教育経験をもとに課題と目 標をあげ,職業技術学院の日本語専攻を文像と した先行研究の少なさを示した。 細章では先行研究をもとに中国の教育制度, 中国教育部が求める職業技術棠;完の教育や,社 会的地位を述べた。中国では学歴社会志向が強 n それが学生の四年制大学志向を強め,職業 技術学院への進学は敗北を表す事になる。この 指導教員 廣田 知子 ため学生の一部は進学後も四年制大学編入を目 指す。また,中国の入試制度の特徴として学生 の希望専攻とは異なる専攻ノ酒己属されることが 多い傾向にある。 次に,寧波職業技術学半完の概要および同学院 の日本語専攻の特徴を述べた。観察と聞き取り の結果,日本語専攻の学生はすべて日本語を第 一希望にした学生ではないことがわかった。し かも,入学後も四年制大学へ編入を希望する学 生がいた。その結果,それらの学生は日本語学 習に動機がないことが分かった。そういう学生 を重馴幾なき学習者と名付けた。しかし,多くの 学生が日本語専攻を希望するしないにかかわら ず,日本への興味・関心を持っているようであ った。 日本の動画に対する興味・関心は特に強 い傾向がみられた。 知章では第~章で得た情報をもとに寧波職 業技術料完の学生の関心に基づいて新たに授業 実践を行った。その新たな授業科目名は「日語 配音」であり, 日本の動画を使い,学生が音声 を吹き替えるという授業である。動画を使うこ とで日本の文化・習慣を映像から学び,実際の 音声からは生きた日本語を学ぶb 日本語を聞く 力と日本語らしく表現する力を養成しようとし た。学生の興味・関心のある動画を使うことで (酬受業に興味を持ちクラスが活陛化した②自主 的な練習が目立った③学生間で相互評価するよ うになったなどの成果があった。また,授業後 - 179 -

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のアンケートではおおむね良かったという学生 の評価を得た。そして,わずかながら出席率が アップした。学生の関心の高い身近なものが日 本語学習に役立つことが分かった。臓責上位の 学生を配音授業のグループリーダーにし, 日本 人教員と授業の打ち合わせをすることで彼らの 日本語の運用力が養われるという効果もあった。 学生が配音で使いたい動画と授業の意図との相 違があるなど,使用する動画の選択には課題が 残ったC 教師主導型の授業に噴れた学生は受け 身的で指示がなければ行動しない。しかし配音 の授業では学生の自主陛が養われた 第TV章では日本語専攻に所属する学生の現状 や関心の所在を明らかにするための質問紙調査 による分析を行った。 調査日時 : 2016 年6 月20 日~24 日 調査対象者: 2015 年入学の1年生132 人 2014 年入学の2 年生 92 人 合計224 人 質問紙の設問項目の概要は,以下の通りである。 個人属性(学年・性別・出身地・出生年) 専攻希望(日語専攻希望の有無・第一希望 の専攻・日本語専攻への両親の態度など) 学習経験(日本語学習経験の有無など) 日本への関心(関心の契機・入学前後の日 本への印象・日本への関心項目など) 調査票集計分析の結果,第一希望として日本 語を選択した学生は41. 5%であった。日本への 関心を持つようになった契機は,日本のアニメ, ドラマ,映画などの動画が上位を占めた。また, 多重回答による日本への関心は1 位日本食,2 位アニメ,3 位ファッション,4 位観光, 5 位日 本の生活様式の順となった。 クロス表分析からは,学年別,性別,日本語 専攻希望の有無で有意と出たものがあった。 日 本語専攻を希望しなかった学生の日本への関心 度が日本語専攻を希望した学生より上回ったこ とは意外な結果であった。寧波職業技術料完日 本語専攻の学生は,総じて日本への関心は高い が日本語学習への意欲は低いということがわか った。その理由としては他の専攻を希望したに もかかわらず,日本語専攻ノ酒己属された学生, すなわち動機なき学習者が約6 割も存在するこ とによると考えられる。このような学生に対し, 日本文化への関心を日本語学習の関心へと振り 向ける方策が必要である。それには,学生たち の日本への関心の高い項目を授業に利用すべき であろうとの結論に至った。 4 .今後の課題 まず,本稿では中国の教育制度や入試制度か ら不本意入学が発生し,動機なき学習者が存在 することを確認したが,寧波職業技術桝完のあ る浙江省の入試制度の検証はできなかった。浙 江省の入試制度を調べることで,寧波職業技術 学院の不本意入学の原因をより明らかなものに していく必要がある。また, 日語配音授業の成 果は筆者と学生の感想から作成されており,授 業の前後を音声データなどで比較するなど可視 化することができなかった。今後は,授業成果 を客観的なデータで評価する基準や方法を考え 出すことで,深い分析に結び付ける必要がある だろう。さらに,質問紙調査は学生の興味・関 心の所在を調べようとしたものだが,学生の実 態を知ろうとするならば,より多くの項目が必 要であった。例えば生活形態,将来の展望,四 年制大学への進学希望の有無,学習方法などで ある。筆者が行ったのは2016 年の調査であるた め,項目を増やした調査を新たに行うことによ り,最新の中国における日本語教育の実態に迫 ることができると思われる。 - 180 -

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