シンポジウム「教育の現代的課題―中国・日本の場
合―」
雑誌名
アジア・アフリカ文化研究所研究年報
巻
28
ページ
111-148
発行年
1993
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00011231/
Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja︿
報
告
﹀
シンポジウム
教育の現代的課題
│ │ 中 国 と 日 本 の 場 合 ! │ 日 t .=
主 総合司会 通 はじめに 本 研 究 所 は 、 時 一九九三年一一月二二・ニ三日 場 (中国)華中理工大学学術交流中心 催 (日本)アジア・アフリカ文化研究所 (中国)華中理工大学高等教育研究所 銚 啓 手 口 訳 俊 慶キ
艮
森 王 陳 一九九一年から﹁アジアの教育改革と課題ーーーその理念と その一環として毎年シン 実際 1 1 ﹂というテ l マで研究を進めているが、 一九九二年には ポジウムを開催している。 一九九一年にはインドネシア、 韓国・台湾を中心に討論している。今回は中国を中心に行うことにし、両 研究所および本研究所の研究者を中心に、 国の研究者が報告・討論をすることにした。(中国)華中理工大学高等教育 日中両国の教育、特にその現代 ︿ 報 告 ﹀ 教 育 の 現 代 的 課 題 的な課題について究明しようというものである。 報 告 第 一 日 ( 一 一 月 一 一 一 一 日 ) 一、中国高等教育における学科構造の改革と総合化の動向 華中理工大学 挑 啓 手 口 訂をめぐって │li 東 洋 大 学 ニ、社会構造の変化と大学教育改革の現状││大学・大学院設置基準の改 清 人 三、中国高等教育の構造の現状とその改革 華中理工大学 四、現代化と高等教育の目標 華中理工大学 玉、日本の教育および企業における創造性開発 東 洋 大 学 童 十 陳 文 居、 生 田 敏 輔 中 日 彰 六、アジアの教育改革の動向!
l
韓国・台湾・インドネシアを中心にーーー 典 東 洋 大 学 七、中国の現代化過程と道徳教育(病気の為未発表﹀ 華中理工大学 第二日(一一月二三日﹀ 八、経済発展と情報教育 東 洋 大 学 九、中国の高等教育投資の現状と課題 華中理工大学一
O
、 ハイテク技術の発展と中国高等教育 華中理工大学 言サ 論 比 張 阿 顧 沈 嘉 部 佑 暁 明 照 男 f青 揚 紅社会構造の変化と大学教育改革の現状 ││大学・大学院設置基準の改訂をめぐって
ll
東洋大学 針 生 清 I 学校による公共的国民教育制度は西欧近代社会の生み出したものである。 ここでいう近代社会とは一八世紀に提唱された所謂市民社会思想を基礎と して一九世紀に実現された社会であり、 そこで生み出された思想と諸制度 は世界に伝播して世界を覆っている。現代はその近代の生み出したものの 延長にあり、一一一世紀に向けて大きく変貌しつつある。教育制度について も 同 じ で あ る 。 日本はこの﹁西欧型近代﹂を開国(一八六八年)以来一貫して追走して 来た。そして日本は西欧近代の論理や制度を定着させて﹁近代化﹂を達成 したが、西欧近代の論理を追走する限り西欧近代の生み出した矛盾を日本 も生み出し、西欧近代の犯した誤りを日本も同様に犯して来た。確かに、 西欧近代の思想、制度の導入は日本の近代化を進め、社会構造を一変させ、 日本の近代化は非西欧世界で唯一成功した例と評価するむきもあるが、 こに至る迄の歴史は貧困、抑圧、軍国主義、対外侵略の負の面が強い。特 ︿ 報 告 ﹀ 教 育 の 現 代 的 課 題 に西欧型の学校教育制度は当時の国家目的実現のための道具として強力な 国家統制下におかれていた。 そもそも非西欧世界の近代化とは、﹁西欧化即近代化﹂といわれるよう に、西欧から伝播する文化によって、自国の伝統文化を改編することであ った。特に日本において著るしかった。 西欧において達成された近代化は、次の通りである。 (1) 経済面。自律的で効率の高い組織による﹁近代経済成長 L を達成す 人 るメカニズムの確立。社会の産業化。 (2) 政治面。民主主義的な手続きによる政治的意志決定を実行する高度 に専同化された官僚組織の整備。社会の民主化。 (3) 社会面。機能的に分業化された社会集団の形成。普遍主義、業績主 義の制度化。自由平等の実現。 (4) 文化面。科学技術の制度化の進行。教育の普及による非合理的、前 近代的要素の縮少、解体。合理主義の実現。 これら諸方面での近代化は、非西欧社会においても追走されるが、同時 的ではなく経済面が先行し、伝統的な文化価値との対立で、社会面が最も 遅 れ る 傾 向 に あ る 。 このような近代化へ向けての運動は社会構造そのものを変化させる。所 謂﹁社会変動しである。すなわち、経済、政治、法、家族、組織、村落、 社会階層、人間関係その他一切の変動である。 日本において、西欧教育制度の導入は近代社会に相応しいものとして他 そ の諸制度と共に導入されたが、自律的な個人を形成するためというよりは、 国家に忠実なっ臣民 L を形成するためであった。すなわち、幕藩体制下の一
一
/ 車 十 U E F ¥ # 苦 ↓ F U Z J 4 1 日 現 WE 応 個々の藩民意識を天皇国家における国民意識に統合するための国民教育制 度として導入され、厳しい政府管理の下に置かれたのである。近代化に果 す学校教育の役割は大きいが、戦前の日本の教育は国家に盲目的に従う、 無批判的な人聞を形成したという負の面も大きかったのである。 教育も社会の営みであり社会の一制度である以上、社会意識、社会構造 の変化に伴なって変化する。教育は社会の反映である。教育はどのような 形をとって行なわれるにしても、社会に孤立してその機能を発揮し得ぬの であり、外的な諸条件に左右されるのである。教育が社会的条件に影響さ れるということは、教育目的、教育方法、教育制度、教育内容その他が変 化するということに他ならない。 日本の近代化は、国民国家の統一に始まり、敗戦(一九四五年﹀を境に して市民国家を形成して今、福祉国家を目指している。それは経済に即し ていえば、初期資本主義Q ロ 昨 担 問 符 日 宮 崎 町 の整備を促進し、消費・蓄積・ 生産に保護・管理を必要とする。欲望の合理的制限に基礎を置く経済)か ら、高度資本主義(拡張、投機、新しい欲求の産出、信用購入、流通性の 発達。欲望の不合理な迄の充足に基礎に置く経済) へと進み、産業に即し ていえば重厚長大型産業から﹁軽薄短小型しのハイテク産業へと移行して いる。それは既に日本の今後が情報化社会、高齢化社会へ移行することを 示 し て い る 。 時代の要求、社会環境に適応すべく絶えず変化して止まぬことが教育の 特徴であるとすれば、社会構造の変化に際して教育制度等の改革は必至で あ る 。 E 11 現 在 、 日本では教育の制度的改革が著るしい。特に時代と社会の要求す るところは大学教育の全面的改革であり、既に﹁大学設置基準﹂は改訂 ( 一 九 九 一 年 ) さ れ 、 各 大 学 は 、 ここつこ年の内に整備を完了すること に な っ て い る 。 今 回 の 改 革 は 、 日本教育史における第三次の大改革であり、一二世紀に 向けての改革である。 註 ﹁ 今 後 に お け る 学 校 教 育 の 総 合 的 拡 充 整 備 の た め の 基 本 施 策 ﹂ ( 一 九 七 一 、 中 教 審 ) で は 、 一 八 七 二 年 の ﹁ 学 制 し を 第 一 次 改 革 、 一 九 四 五 年 以 降 の 改 革 を 第 二 次 、 こ の 答 申 に よ る 改 革 を 第 三 次 改 革 と す る が 、 こ れ は 挫 折 し た 。 明治維新(一八六八﹀は幕藩体制を否定して、国民国家としての統一を 実現し、国際競争に加わる道を聞いたが、 その政治形態は古代天皇制の復 活であり、﹁古代化﹂であった。 古代天皇制という最も伝統的な価値が日 本の近代化の精神的原動力となったことは、新しい教育制度を確立するに ついても、﹁天皇制﹂の枠内でのことにした。 新しい近代的教育への指針 を一不めす﹁学事奨励に関する被仰出書﹂︿一八七二﹀も、 教育制度を方向 づけた﹁学制﹂(一八七三)も、教育の根本精神を示めす﹁教学聖旨 L ( 一 八 七 九 ) 、 ﹁ 教 育 勅 語 ﹂ ( 一 八 九
O
)
も 、 全 て 、 天皇の名によって与えられ たものであり、﹁法﹂を超越したものであった。 開国以来、西欧列強に追っくために、政治体制の確立、国内産業の発展、 それに必要な一切の知識、科学、技術の急速 な導入、それに必要な人材の養成が教育に課せられたが、﹁王政復古﹂と ﹁文明開化﹂の矛盾が深くかっ重くあった。 軍備の整備が急がれたとき、 近代化をすすめる当時のスロー ガ ン 、 が 、 ﹁ 富 国 強 兵 ﹂ 、 ﹁ 殖 産 興 業 ﹂ で あ っ た よ う に 、 教育の目的は﹁忠 良なる臣民﹂の造成であり、教育の方向は国家主義、軍国主義に向けての 修身を重視した画一教育であり、大学も﹁国家の須要に応ずる学術技芸を 教授し其の菰奥を攻究する L ( 一 八 八 六 、 帝国大学令)とされ、 政府の直 轄の下での高級官僚の養成機関とされていた。 ﹁忠良なる臣民﹂造成を目的とする初等、中等教育と、高級官僚養成を目 的とする高等教育の二分は、文化と教育を構造的に、初等教育・大衆文化 対高等教育・専門家向けの文化という二重構造を必然とし、歴史教育に即 し て 言 え ば 、
ω
学問研究の成果に立って書かれた知識人向け歴史、ω
大衆 小説、芝居、講談等で語られる卑俗な歴史、ω
文部省教則に従って書かれ る 歴 史 、 に 三 分 さ れ 、ω
と川仰が庶民に与えられた(現在の﹁教科書問題 L の淵源も実はここにある)。﹁大正デモクラシーしの時期のように、真の意 味での近代化を目指し、平和主義に立った教育運動も確かに存在したが、 全体的には文化、情報の国家統制の中で、学校は寸兵営﹂と化し、学生、 生徒は﹁兵士﹂とされたのである。 軍事教練を含む戦前教育を﹁極東国際軍事裁判 L ( 一 九 四 六 ﹀ は 、 以 下 のように総括している。﹁超国家主義、 侵 略 的 軍 国 主 義 、 国家に対する狂 信的な忠誠、権力に対する盲目的服従、 日本文化の優越観念、八紘一宇へ の信念等を強めるという役割を果した。﹂ 軍事優先の国策が社会構造を規定したときの教育の姿である。1
1
1
戦 後 教 育 会 九 四 五l
一九九一)は﹁新日本建設の教育方針﹂(一九四 ︿ 報 告 ﹀ 教 育 の 現 代 的 課 題 玉 、 ム 九 、 一五、文部省)に依って始まった。それはなお﹁国体護持﹂を述 べてはいるが、世界平和、人類福祉、知徳の一般水準の向上、文化的平和 国家建設を目指したものである。 以下、戦後教育史の重要事項を列挙する。 一 九 四 五 、 一O
、ニ二日連合 軍最高司令部(
G
H
Q
)
指示日憲法の自由主義化、人権確保、婦人解放、 労働組合結成奨励、秘密審問司法制度撤廃、経済機構民主化、学校教育民 主 化 これに対応してつ日本教育制度に対する管理政策﹂(
ω
軍 国 主 義 的 、 国 家主義的イデオロギー普及の禁止、軍事教育・教練の全廃、ω
議 会 政 治 、 国際平和、個人の権威の思想・集会・信教の自由等の基本的人権思想に合 致する諸概念の教授と実践の確立の奨励)が指示されたが、ここでは﹁女 子教育・科学教育・公民教育﹂が強調されている。 一九四六二日本国憲法﹂公布。﹁新教育指針 L ( 文部省 ) H 戦前教育の反 省に立って、人間性、個性の尊重、科学的水準の向上、民主主義の徹底を 示 め し た 。 一九四七五教育基本法﹂公布(前文及び一一条)。前文目民主的、文化 的国家の建設、世界平和と人類福祉への貢献の強調。 教育の目的・方針H
H
ω
教 育 の 機 会 均 等 、ω
普通教育の向上と男女差別の 撤 廃 、ω
学 校 制 度 の 単 純 化 ( 六 ・ 三 ・ 一 二 制 ) 、ω
学術文化の進展(大学・ 大 学 院 の 拡 張 、 充 実 ) 。 一九五一一対日平和条約。軍需産業の解体、軍事技術の民間転用に依り ﹁ 特 需 景 気 L の生来。産業躍進に対応した職業教育の強化。 一 九 六O
H
日米新安保条約。所得倍増を目指す経済成長政策の実施。 一 一 五︿ 報 告 ﹀ 教育の現代的課題 一九六二ぃ人間的成長よりは経済成長の効率を優先させる﹁教育投資 論 L ( ﹁ 教 育 白 書 ﹂ ) 。 一九六三二経済発展における人間的能力開発の課題と対策﹂(経済審議 会答申)日高度経済成長下の教育政策の基調。能力主義の徹底、 自らの能 力、適性に応じた教育に依って得た職業能力を評価、活用するを良しとす る教育観、職業意識に徹することを求める。 高校職業教育は国民経済の高度成長の条件であるとする中等教育の完成 を 目 指 す 。 一九六三二大学教育の改善について﹂(中教審答申)日科学技術の進歩、 産業経済の発展、社会生活の高度化、国民大衆の教育水準の向上に依り要 請される改革は、倒高度の学問研究と研究者養成、
ω
上 級 の 職 業 人 の 養 成 、 同職業人養成と実際生活に必要な高等教育、 で あ る 。 ( 註 、 これにより高 校進学率上昇。四八年四OM
←六一年六OZ
、以後、高校全入が論ぜられ る 。 ) 六OI
七0
年代の学校改革の焦点は後期中等教育であり、中教審の提示 した寸期待される人間像 L もこれに対応して、多様化の必要、適切な進路 選択、生徒の観察・指導体制の整備入試制度の改善を求めた(模擬テスト、 偏 差 値 に よ る 選 別 、 進 学 塾 ) 。 一九七一三今後における学校教育の総合的な拡充整備のための基本施 策﹂(中教審答申﹀リ幼児教育から大学院に至る全体系の改革←五歳児全員 を入園させるため市町村に幼稚園設立義務、養護学校での義務教育の実施、 中等教育の多様化、学校内管理組織の確立、高等教育の大衆化と学術研究 の高度化の社会要請に応えるため高等教育機関の種別化。 ム ノ、 一九七一三急激な社会構造の変化に対処する社会教育のあり方﹂(社会 教育審議会答申)、生涯教育の提唱。 七0
年代はω
教 員 統 制 、ω
徳育強化、制生涯教育の提唱。 経済高度成長の影響二車化学工業等の大型開発、農村の変貌、公害・交 通事故の激増、新薬開発、工場汚水、光化学スモッグの多発。 TVH 映像文化一文化に対する受身姿勢の助長、興味迎合の低俗番組、 遊 び 場 の 減 少 。 一九八二百教科書検定しの国際問題化。歴史の歪曲。IV
一九八七二大学等における教育研究の高度化、 個性化及び活性化のた めの具体的方策について L ( 文 部 大 臣 諮 問 ﹀ H 学術の進展、技術革新、国際 化、情報化の進展、産業構造の変化に対処し得る能力の育成を問う。すな わ ち 、 日本の社会経済の変化、国際的役割の進展に伴ない、高等教育に対 する社会・国民の期待が大きく多様化した。高等教育に関し、教育研究の 高度化、個性化、多様化、組織運営の活性化を図り、社会との連携の促進、 国際化の推進を行なう等の諸課題についてこの具体的方策の検討。 一九八九一文部大臣の審議要請。 大学院の充実と改革←学部から独立した教育研究組織として専任教 唱i 員、専用施設・設備の整備充実、大学院の理念、特性の明確化。 (2) 学部教育の充実と改革←一般教育と専門教育の区分廃止、生涯学習 体系を念頭に社会人の大学への編入学の機会の実質的獲得。 q d 学位授与機関の創設←単位累積加算制、大学外の高等教育機関での授 与 機 構 の 創 設 。 (4) 入試制度のあり方 一九九一二大学審議会答申﹂ 一 、 ﹁ 大 学 教 育 の 改 善 に つ い て ﹂ ←
ω
大学設置基準の大綱化、ω
学習機会 の 多 様 化 、ω
大学の自己評価、自己点検の提唱。 二、﹁学位制度の見直し及び大学院の評価﹂←大学院制度の弾力化、学位 制度の見直し、大学院の量的整備目標の策定、大学院学生の処遇、大 学院認可システムの改善と評価システムの確立、留学生の教育体制の 充実、自己評価の確立等を提唱。 これによって学部を持たぬ独立大学院設置が可能となる。例、総合研究 大学院大学(一九八八創設)。←高エネルギー物理学研究所、 国立遺伝学 研究所、統計数理研究所、岡崎国立共同研究機構(分子科学研究所、基礎 生 物 学 研 究 所 、 生 理 学 研 究 所 ) 、 国立民族学博物館を基盤に博士後期課程 の 教 育 研 究 に 当 る 。 その内容は文化科学研究科(地域文化学専攻、比較文 化学専攻)、数物科学研究科(統計科学、加速器科学、 放 射 光 学 、 構造分 子 科 学 、 機 能 分 子 科 学 の 各 専 攻 ) 、 生命科学研究科(遺伝学、 分子生物機 構 論 、 生 理 科 学 の 各 専 攻 ﹀ 。 、﹁学位授与機関の創設について﹂ 四、﹁短期大学教育の改善について L 玉、﹁高等専門学校教育の改善について﹂ 以上の五穫の答申に基づいて、各種の﹁設置基準が改訂 L さ れ 、 目 下 、 各校において教育課程等の改革が鋭意すすめられている。 ︿ 報 告 ﹀ 教育の現代的課題 V 以 上 の 記 述 は 、 日本の社会変動と教育制度の変遷を概観したものである。 す な わ ち 、 (1) 戦前一近代化の準備 (2) 戦後日近代化の促進、向上 (3) 現在日ポスト・モダンへの移行、 と 捉 え 得 る が 、 そのとき次のこと が 問 題 で あ る 。 他の先進諸国と同様に、 日本はポスト産業化(句 0 2・
2
仏 ロm
E
即 日 町 田 昨 日 0 ロ ) の 時 代 に 入 り つ つ あ り 、 その過渡期にあって経済不況に陥っているが、 そ れは﹁構造的不況﹂といわれている。現在の日本ではすでに、福祉、教育、 広告、情報といったサービス産業での一雇用が支配となっている。経済的に 見れば、産業化社会はかつて最も有力な雇用部円であった農業が工業によ って押しのけられ、現在では製造業(工業)での一雇用がサービス(ポスト 産業化)雇用に押しのけられているということである。 一 九 八0
年代の技術革命が﹁ポスト・サービス社会﹂を生み出しつつあ る 。 こ の 社 会 で は 、 きまりきった繰り返しの多いサービス(駅の改札、庖 頭での販売、写真撮影、 etc﹀での一雇用は激減するか、機械化によって 消滅しつつある。この変化は未経験の人間的な諸問題を引き起している。 それ故、時間利用、個人の生活目標、経済・政治・文化と人々との全体的 な関係が再検討されねばならぬのであり、教育においても事情は同じであ る 産 業 文 化 社 会 は 、 エネルギーを蒸気力、電力、原子力と変えることによ って為された三つの産業革命を経て現在に至っている。 七ハ 恭 押 止 口 、 ﹀ 輔 教 育 F L 務代民課題 従来の大学教育は産業化社会に合致、対応するもので、 それなりの成果 が あ っ た 。 しかし、現在起りつつあるポスト・産業社会、ポスト・サ
l
ピ ス社会、情報社会に於いても現行の大学教育がどれほど対応し得るかは予 測 困 難 で あ る 。 従来のような物的生活資材の生産の重視、肉体労働に対する代替として の機械化の拡充、雇用も例えば自動車産業、 その関連産業等の製造業に集 中するような産業社会の特徴は今後も持続するとは思われず、先端科学、 先端技術の駆使、知的生産性の重視、頭脳労働の代替の進行、情報機能の システム化に基く情報産業、知識産業、 システム産業を特徴とする社会構 造へと変換するものと思われる。 このような来たるべき社会に対応するための大学教育改革は必須であり、 今回の寸大学設置基準しの改定(一九九一年)はこのことを視野におさめ て い る 。 寸大学設置基準﹂改定の内容の要約は次の通りである。 一、寸設置基準﹂の大綱化(カリキュラムの見直し)一旧﹁基準 L で は 、 一般教育科目、外国語教育科目、保健体育科目、専門教育科目に枠組 され一一一四単位以上の修得を卒業要件とするものであり、これは国公 私立の別なく全ての大学に適用されるので、各大学はその枠内に閉じ こめられ画一教育の弊害を免れ得なかった。今回の改定は教育科目の 枠 組 を 撤 廃 し 、 カリキュラム編成の自由化を行なうものである。その 意図、目的とするところは、各大学(各学部、各学科﹀の創立の精神、 教育理念に照らした個性ある教育の実施にある。 その基本に則して教 育科目の内容の適正化をはかり、 それを実施するに当つては各大学の 八 創意工夫を求めている。東洋大学では、創立の理念と今後の展望から、ω
広義の哲学を教育の基底に置き、ω
国際化の深化に伴ない外国語教 育 の 拡 充 拡 大 、ω
情報化社会に対応する情報科学教育の重視、 の ,占 を 柱 に し て 、 一般推薦入学、附属高校推薦、体育優秀学生推薦、他大 学との単位互換制度、副専攻制度の検討を行ない、 一部はすでに着手 し た 。 二、学習機会の多様化い社会全体が教育的機能を発揮している現在、社 会に開らかれた教育が求められており、大学も又積極的にこれに呼応 せねばならぬとする。現在、東洋大学は一部、二部、通信教育部で構 成されているが、高齢化社会への突入を目前にして東洋大学では社会 人 教 育 ( リ カ レ ン ト 、 科 目 等 履 習 生 ) 、 地域・企業との連動(公開講 座、講演会﹀を実施すると共に社会福祉学科を新設した。また、教育 学専攻の大学院(二部)の新設を計画中である。 一二、大学の自己点検、自己評価一大学の質的向上を推進するため、各大 学は自らにおいて教育内容、設備、施設等の点検に努めなければなら ぬとされた。削教員に関しては、 シ ラ パ ス ( 授 業 計 画 書 ) 、 教員プロ フ ィI
ル、研究業績等の学期前の公表。自己点検委員会等の設置。ω
学生に対しては、海外留学制度、単位互換制、 セ メ ス タi
制 ( 半 期 ) 、 飛 び 級 、 の新規導入。肋大学の設備・施設についての常時点検。 また、大学院についても同じく改革が要求されており、東洋大学で は 次 の こ と に 着 手 し 、 一部を実施している。すなわち、社会人教育、 企業からの委託学生の受け入れ(工学研究科では、修士(又は前期課 程)を経ずして博士後期課程に進学し論文を提出し得る)。 年からの飛び級、ゼメスタ
l
制の採用。院生に対しては奨学制度の拡大(日 本育英会、東洋大学奨学生制度、 井 上 円 了 研 究 基 金 ) 。 研究指導の強 化 。 、 H ,g
n
E
ロぬ﹀∞富山口同制度の実施。推薦入学の実施、他大学院との 単位互換制、交換留学生制度の実施。これらを通して大学院の量的及 び質的向上を推進中である。 ︿ 報 告 ﹀ 教育の現代的課題 九日本の教育および企業における創造性開発 東洋大学 恩 回 一、日本の教育における創造性開発 創造性の問題は、古くから取りあげられているが、 また新しい問題でも ある。人間の生活にとって創造性が重要であることが再認識され、本格的 に研究されるようになったのは、 一 九 五
O
年 頃 心 理 学 者 の の 口 町 民O E
u
し ﹁ ・ M M ・ を中心として、創造性、が実証的に研究され始めてからのことである。わが 国での創造性の開発と教育は、 一九六四年頃から、産業界において創造性 開発の要求が高まり、 その研究と実践が活発に行われるようになった。そ の 後 二 J 一一一年遅れて、学校教育界において、創造性教育の研究と実践が始 められ、現在ようやく定着し始めている。 一九七八年に創造性の教育と評価で著名なアメリカの吋2
2
E
P
円 り 教授が来日された時、私は教授と対談したが、これからの社会でなぜ創造 性の教育が必要かとたずねたことがある。その時博士は第一に現代社会が 急速に変革しており、新しい問題が沢山出てくる。それらを解決する能力 ︿ 報 告 ﹀ 教育の現代的課題 を養うためである。第二に自分の持っている能力を十分に伸ばすために、 各人の強い要求に対して、対応できるようなたくましい心の健康を保って いることが必要である。第三に子供が未来の計画を実現できるように動機 づけと能力を育てるためであると述べている。この発言の中で、心の健康 と 創 造 性 、 および未来の問題解決について述べていることに注目したい。 一九九二年にアメリカの農業技術の専門技師で学校教育や産業教育で創 造性の開発について指導しているω
r
g
B
B
p
k
t
・ ∞ ・ が 来 日 さ れ 、 東洋大 学 で 講 演 し た が 、 その中で J 向い学力(高い知能)の持主は、自分の生活 彰 を豊かにし、富ませるが、高い創造性の持主は、世界の人々の生活を豊か にし、富ませる﹂といっていたことが印象的であった。すなわち創造性の 高い人が創造したものは、世界の人々が共有することができ、 したがって 世界の人々を豊かにするということである。 一九八三年の中央教育審議会の﹁審議経過報告﹂では、今後重視すべき 事 項 と し て 、 自己教育力の育成、 文化の伝統の尊重 基礎・基本の徹底、 と共に﹁個性と創造性の伸張﹂をあげている。この個性と創造性について は; 一人一人の持つ能力や個性を尊重し、これを最大限に伸ばし、創造性 豊かな国民の育成を図ることであるとしている。次に臨時教育審議会の一 九八五年の﹁教育改革に関する第一次答申しでは、個性重視の原則のもと に、基礎・基本の重視、教育環境の人間化、生涯学習体系への移行、国際 化、情報化への対応などと共に、﹁創造性、 表現力の育成しを 考 え る 力 、 あげている。そして一九八七年の教育課程審議会の答申・では、自ら学ぶ意 欲と社会の変化に主体的に対応できる能力の育成を重視し、特に﹁新たな 発想を生み出すものとになる論理的な思考力と想像力、直観力などを重視︿ 報 告 ﹀ 教育の現代的課題 しなければならない﹂としている。すなわち創造性的思考を分析して、創 造性の育成の重要性を強調している。 そこで日本の学校では、子供の創造性をどのように育てようとしている の か 、 また実際に行なっているのか述べてみたい。 (1) 創造活動では、独創性(独自性)が尊重される。そ 個性を伸ばす こで個性の開発と育成が基本となる。
ω
創造的思考を育てる創造性開発 の技法は、種々の方法が創り出されているが、これらは主として、想像力、 直観力、発散的思考の開発に重点をおいている。特に学校では想像力や発 散的思考の開発に力を入れているところが多く、連想←想像力←創造的思 考 と い う よ う に 、 まず連想の練習をし、次に想像力の訓練をして創造的思 考(創造的想像と同じで、 いずれも想像と思考の両方の機能を持つ﹀を育 成しようとしている。また多面的思考(発散的思考)から創造的思考を育 成 す る た め 、 ある小学校では創造的発聞を田意し、子供が多様な応答をし、 それらが展開するように指導している。川間 視覚的イメージを利用する 視覚的思考の利用である。視覚的思考は、視覚的イメージを使って思考す る方法である。これは想像力特に創造的想像といってよい。視覚的イメ l ジは、絵画制作、作文、詩の創作、 スポーツ、発明工夫、創作舞踊等の本 質的なものであり、グl
ム、視覚パズル、幾何学の問題解決や設計に役立 っ。絵のスケッチは、精密な観察を必要とし、視覚的イメージを養うのに 役 立 つ 。ω
体験はイメージ、言葉よりはるかに情報量が多い。 体験学習 創造活動に必要な気づきゃイメージは、この体験から主として生ずること が多い。ある中学校では、生徒たちが自然や社会環境に対して、自ら感じ、 考え、行動することに注目し、新鮮さや感動の高まる体験学習を重視して一
いる。そこで創造性の育成には、豊かな体験を、特に感動を覚えるような 体験をさせたい。同 直観力を開発する 直観力(直観的思考﹀の開発の ためには、比較の発想法が有効である。金野正らは、 そ れ を 対 比 、 類 推 、 止揚の三つに分けている。対比とはある事象を他の事象と比較して、 そ の 共通点や相違点を調べて、 その特徴をつかむのである。類推は異なった事 象 を 比 較 し て 、 そこから共通の原理を引き出して利用するのである。鳥か ら飛行機の発明のヒントを得るのがそれである。止揚は異なる矛盾したこ つの考えを高次の立場から統合することで、弁証法はこれに相当する。川 喜回二郎の K J 法や中山正和のN
M
法では、この止揚を状況によって使つ て い る 。 K J 法は社会科などの学習に利用されているが、NM
法は発明学 習に適用できるとと思う。附 創造的問題解決学習 その学習過程は、問 題発見、課題形成、仮設設定、検証、発展の段階に分けられる。問題発見 は、新しい問題を見つけ、 または創り出すことである。これは創造への欲 求を生み出す。課題形成は、問題を分析し、実際に処理しやすい具体的な 課題にすることである。この作業をやっていると、自然に課題解決の仮設 が生まれてくる。仮設設定では、特に直観力、想像力や発散的思考を使つ て発想することが大切である。間 精神集中力を高める ある対象に注意 を集中することを精神集中︿注意集中)というが、これは仕事の効率を高 めるのみならず、観察力、記憶力、思考力を高め、また創造性に必要な直観、 ひらめきをひき起こし、想像力を高める働きがある。教師が作品を読んだ nノ 、 本 白 し こ り 、 ﹃ ノ ざ ロ I L ナ J また子供が読んだ内容について、感じたことや考えたこと を 発 表 さ せ た り 、 ノートに書かせる・このような傾聴と読書または言語表 現 活 動 、 また問題解決学習、音楽の鑑賞や表現、造影的表現活動、運動やスポーツなども精神集中力を養うのによい。同 発見学習と発明学習 供に発見させ、発見の方法を学ばせ、発見の喜びを味わせ、 それによって 好奇心を伸ばし、未知の世界を探究していく人聞を育成するのである。こ れと同様に重要なのは発明学習である。これは課外活動であるが、 日本各 地に少年少女発明クラブがあるが、豊田少年少女発明クラブでは一九九
O
年からアメリカの。身ー印認可丘岳町冨宮仏(。冨)創造性g
ロZ2
決勝大会 に中国を含め七ヶ国と共に参加している。川間 創造的、受容的雰囲気 供の創造性を育てるには、学級の全員が互いに相手の人格を尊重し、創意 を 重 ん じ 、 アイデア(丘町田)を出し合い、これを励まし合う雰囲気が創ら れることが大切である。また受谷的、共感的に理解し、思いやりのある温 かい雰囲気も必要である。 ニ、日本の企業における創造性開発│研究開発を中心にしてl
企業において新技術の開発のため、 どのように研究開発を進めたらよい か、どのようにしたら研究者︿科学技術者)の研究意欲を高め、研究能力 を向上させることができるか、 また研究者の創造成を開発することができ る か 、 日本の企業の状況に基づいて考察する。 (1) 独創的な研究をする場合、 その理論 研究テi
マ 公Z
B
m
)
の選定 や技術またはその研究過程に独創性があるかどうかが最も重要な問題 であるが、さらにさかのぼって研究テ l マ自体が独創的かどうかとい うこと、が大切である。そこで研究には、最適なテi
マ を 選 ぶ こ と 、 が 必 要である。最適テi
マは、研究者の研究意欲を高めるものである。研 究テi
マの選定に関して大切なことは、﹁新しい問題を発見する能力 L ︿ 報 告 ﹀ 教育の現代的課題 子 の開発である。研究テl
マを見つけるに文献を読む場合、﹁文献を理 解すること﹂は大切だが、 それよりも﹁文献を読んでそれから問題を 見つけること﹂の方が大切である。 研 究 テl
マを見つけるのに、 ﹀ 寸 回 同 同 同 三 を 読 ん だ り 、 。0
5
宮昨日己主白回同認を用いて検索すること ができるが、先ず自分が考えてから文献で調べることだ。また非常に 多い文献はとうてい読み切れるものではない。そこで問題を見つける 子 ことができるように直観力を養っておくことも必要である。独創的な 研究テーマは研究者個人が最初に発案するぎ同85
・ 己 喝 の も の が 、 fr!!; 日 理 職 に よ っ て 始 め ら れ る 吉 田 ︼ ・ 仏0 4
5
のものよりも多く出ているという ことである。雪印乳業の堀友繁は、独自の研究テl
マ を 持 っ て い た が 、 三年問機関から承認されず、後に研究テi
マに理解のある上司に認め られて公式研究となり、 チーズ製造工程白動化プロジェクトとして結 実 し て い る 。 (2) 研究活動への動機づけ 研究者の希望を究明し、これらの充足をは かることは、研究活動を促進するために必要である。研究者が望んで いるものは、研究の方針や計画が確立して、適切な研究経営が行われ ること、自分の意欲にかなった研究活動ができること、十分な研究設 備と予算などである。そのほか若い研究者にとって指導がよく受けら れ る こ と 、 また匂B
Y
R
研究では、研究リーダーの指導力が要求され る。また研究の行動的環境としては、 失敗を恐れず3
w
を許容する 風土、過去にとらわれない発想を認める風土、異質な意見を認める風 士、社内、社外のみならず国外からの評価や励ましなどが研究者から 求められている。一
一
一
一
一
(3) 創造技法の利用 ︿ 報 告 ﹀ 教育の現代的課題 問題を創造的に解決する方法として創造技法が生 み出されているが、これらを通して直観的思考力、想像力、発散的思 考力、創造的態度を養うことができる。その意味では、創造技法は創 造性開発法ということができる。企業で使われている創造技法は三
O
O
種以上あるが、高橋誠が技法を創造過程によって分類し、次のよう にまとめている。(一部恩閃が修正した﹀ 発散技法一「自由連想、法 Brainstorming, Brainwriting 1) 一強制連想法一一-checklist法,形態分析法 法一一一N M法, Synectics 比 類 法一一一図書分類 緯 収 束 技 法 型-
l
;
2) 法一-KJ
法 「 因 型-
1
」 時 系 列 法 一 一PERT法,関連樹木法 法一一一特性要因図 車 内 果 間 ;7iJ 一一ゲ己二工ニム ー系 統 合 技 法 一-ZK法, RSVP Cycte,等価変換理論 3) 法一一禅, Yoga,気功法,自律訓練法, CMT 想 、 態 度 技 法 ー 「 膜 4) 法 counseling,交流分析 法一一-,心理劇, Role playing 流 期j ー一一方失f y、 -i寅 四 発散技法はアイデアやイメージ︿山吉田関与を出す方法、 自由連想法 は、連想によって自由にアイデアやイメージを出していく方法、強制 連想はテl
マに対して考えるべき方向を示して思いつかせる方法、 ま た 類 比 法 は 、 一 ア l マと本質的に似たものをヒント(
E
E
)
とする方法 で あ る 。 収束技法はアイデアやイメージをまとめる方法、 演 緯 法 は J アl
タ ( 門 目 白 昨 日 ) を 既 存 の 分 類 で 集 め る 、 帰 納 法 は 親 近 性 の あ る デ l タ を 集 め 新概念をつくる方法である。因果法は原因結果でまとめる。時系列法 は時間の流れでまとめる方法である。統合技法は、発散と収束を繰り 返していく技法である。態度技法は、創造的態度を身につけるための 技法である。膜想法は調身、調息、 調心に基く心身をB
E
E
-す る 技法である。交流法は、 カウンセリング(
8
5
M
田 町 ロ ロ 巴 、 心理療法な どの技法である。演劇法は、劇を演ずることによってアイデアや新し い活動を生み出す方法である。 日本で最も多く用いられているものは、 一 九 七 三 年 、 一 九 八 三 年 、 一九八九年の調査によると、回日吉田昨日白山口ぬと阿己法が群を抜いて いる。これについで円} M
E r
-a
法 、N
M
法 で あ る 。 K J 法は元東京工 業大教授の川喜田二郎が考案し、N
M
法は創造工学研究所長の中山 正和が考案し、 等価変換理論は元同志社大学教授の市川亀久弥の考 案 し た も の で 、 何れも日本を代表する創造技法である。n
r
E
区 間 同 法 はn
r
R
E
由同を用いて観点を変換する基本的方法であり、 可 一 切 河 吋 法 は手順計画を系列的にまとめる方法である。そこで研究リーダーは、 自己の発想のみならず、新しいアイデアを出させる創造会議を運営するためにもこれらの創造技法を習得することが必要である。 (4) 創造性を開発するリーダー Q 白 色 白 ) 研究所のリーダーを大別す ると研究
5
2
諸問ス研究経営者﹀と研究- g
骨ス研究指導者﹀とに分 けられる。研究所長、研究次長は研究経営者として区別できるが、研 究部長、研究室長あるいは主任研究員などは両方を兼ねているので区 別 は 難 し い 。 ① 望ましい研究5
8
お
2
の特徴O
すぐれた研究業績を持ち、研 究活動に広い知識と深い洞察力を持っている。しかも研究経営の能 力を持っている。O
研究経営者の中には、研究を自ら率先して行い、 研究指導を積極的に行なっている人もいる。しかしその本務は、研 究者の実態を把握し、研究条件を整えて研究がうまくできるように することである。O
研究者の個性を理解すると共に、研究に対する 評価ならびに研究者の能力の評価が適切にできる。O
上 司 へ の 報 告 、 他部門との連絡、部下への方針伝達、運営会議の主催のため、判断 力、決断力、説得力、忍耐力が必要である。 ② 望ましい研究- z r
吋の特徴O
すぐれた研究能力を持ち、 研究 者の研究活動の指導や助言ができる。O
研究者の研究能力や個性を 理解し、創造性開発の刺激をする。O
創造的な研究を進めていく活 発な雰囲気をつくることができる。O
研究者の研究意欲を高めるこ と が で き る 。O
研究活動の評価と研究者の能力の評価が適切にでき る 。O
研究者のアイデアを支持したり激励したり、個人的に相談に の る こ と が で き る 。O
上司、同僚、部下との8
5
5
ロ ロ 山 口 阻 止 Oロがう ま く で き る 。O
研究者の意見を聞いて整理し、研究計画をたてるこ ︿ 報 告 ﹀ 教 育 の 現 代 的 課 題 と が で き る 。O
文献をよく調べ、豊富な知識と適確な判断力を養つ ている。このことは新しい研究テi
マを探し、新しい研究計画をた てるために必要である。 ⑧ 望ましい研究者の特徴O
探究心(好奇心)
O
判断力O
独創性 柔軟性・撤密性O
企画力O
問題発見力・問題解決力O
分析力・総合 力O
責任感O
精神集中力O
主体性・積性極O
協調性O
根気・根性O
説得力O
指導力O
思いやり・共感性O
心身の健康 アジアの教育改革の動向 ││韓国・台湾・インドネシアを中心に││ 東洋大学 裏 佑 典 比 現代世界は変革期にある。激変する国際社会の中で、各国は自らの国 家・社会の存続と発展のために最大の努力をしている。特に国家の将来の 発展にとって、重要な鍵ともいえるのが教育である。教育は、 それぞれの 国家が自らの経済的発展、文化・社会の発展をにない、創出していく人間 を育成する重要な働きがある。激動する国際社会にあって、二十一世紀を 目前にひかえ、各国は様々な教育改革を試みている。それは、未来へ向け ての壮大な教育戦略と呼んでいいだろう。こうした状況下で、ここでは特 にアジアの教育改革の動向について、韓国、台湾、 インドネシアを中心に 取り上げたいと思う。 アジアの教育改革をみていく H 視座 μ として、次の四点の観点が必要で L︿ 報 告 ﹀ 教 育 の 現 代 的 課 題 あ ろ う 。 一点は、先端技術と情報化の進んだ日本の場合。二点は、共産主 義国家体制下の中国の場合。三点は、 アジアの中でも小規模地域で比較的 発展の著しい韓国、台湾の場合。四点は、宗教国家、 つまりイスラム教社 会、多民族社会のインドネシアの場合。中国と日本については、他の発表 者 が 報 告 す る の で 、 そこにゆずりたいと思う。 一、韓国の教育改革の動向 大統領直属の諮問機関であるつ教育改革審議会しは、 一九八五年から 九八七年にかけて韓国教育界の総力を結集して、教育改革構想をまとめた。 最終報告書として﹃十大教育改革片司教育改革総合構想﹄、コ一十一世紀に 向 か う 韓 国 教 育 ﹄ 、 そ の 他 を ま と め た 。 報 告 書 で は 、 現代韓国の教育病理 醸成の背景と原因・結果を鋭く分析・診断し、 その解決的改革に力点をお いて、教育改革構想を立てている。 病理の背景として、価値観の未定立、経済第一主義、国家財政貧弱、政 治的未成熟、画一主義等。 病理の原因として、無分別な大学進学観、誤った教育観、不合理な教育 慣行、脆弱な教育行政、学校教育制度運営の硬直性、学校及び教育の自律 性制約、非人間的な教育施設・設備、教員の激務及び士気低下等。 病理的症状として、教育内容・方法の不適切、入試準備一辺倒の教育、 口先だけの全人教育、個性無視等。 その結果として、生徒の情緒不安、学校教育の荒廃化、受動的な平均的 人間の量産、国家社会が求める人力養成不十分等をあげている。このよう な現代の教育問題に立脚して、 その解決と二十一世紀の新しい教育を展望 」 ノ する改革構想が打ち出されている。そのことは、報告書﹃十大教育改革﹄ にみることができる。 それによると、来る二十一世紀の韓国社会を民主・福祉社会、 高度産 業・情報化社会、開放・国家化社会と特徴づけ、この新しい時代をリ!ド していく青少年は、自主的・創造的・道徳的人間でなければならないとし ている。教育改革の基本原則として、次の九点をあげている。①韓国人と しての誇りを植えつける教育の強調、⑧全人教育の実現、⑧創造性を養う 教育の強調、④二十一世紀に能動的に対処する教育の設計、⑤教育の卓越 性の追求、⑥多様性の助長、⑦教育運営における自律性の伸長、⑧教育環 境の人間化、⑨社会の教育的機能の強化。 これらの基本原則の下は、次の十大教育改革が樹立された。①高度産業 社会に適した学制の定着、⑧適性と能力本位の学生選抜、⑧個人差を考慮 した教育方法、④楽しく居心地の良い教育環境、⑤皆が羨ましがる教職、 ⑥ノーベル賞受賞者を輩出する科学教育、⑦世界的レベルの大学教育、⑧ 全ての国民が学習する社会、⑨民主化された教育行政、⑩画期的な投資で 教育福祉を実現。 教育改革の推進状況と未来展望 一九九五年から施行される予定の新中学校教育課程が告示されたのを皮 切りに、幼稚園、国民学校(九月三十日﹀、 高等学校(十月三十日﹀を含 む第六次教育課程改定が告示された。改定の重点として、①教育課程決定 の分権化、②教育課程構造の多様化、③教育課程内容の適正化、④教育課 程運営の効率化をあげている。 特に、二十一世紀をめざす韓国の教育改革は、次の項目に示されている。
① 教育改革の基本志向(全人性、卓越性、教育の自律性の伸長、教育 の均等性の具現、教育の未来指向性の強化) ② 初・中等教育の充実(中学校義務教育の拡大実施、特殊教育の振興、 幼児教育機会の拡大・充実、潜在力開発のための特殊才能教育実施、 国民学校の給食の拡大・支援) ③ 教育内容・方法の改善と学校運営の民主化(教育課程改定および教 授・学習方法の改善、民主市民の資質と道徳性描養教育、学校運営の 民主化) ④ 地方教育自治の実施(大幅な権限移譲、地方教育自治の自律性・独 自 性 ﹀ ⑤ 高等学校教育体制の改革(生徒の適性と能力に見あう進路選択) ⑥ 教育環境の持続的改善 ⑦ 科学技術教育の強化 ⑧ 教員総合政策の推進 ⑨ 大学教育の発展基盤構築 ⑩ 大学入試制度の改善 ⑪ 専門大学(短期大学)の育成 ⑫ 私学に対する政府支援の拡充 ⑬ 平生教育︿生涯学習)体制の拡充 ⑭ 教育放送の運営 ⑮ 在外国民教育及び国際教育協力の活性化 ニ、台湾の教育の現状と改革概況 ︿ 報 告 ﹀ 教 育 の 現 代 的 課 題 近年、台湾は各国から注目されている。それは主に、 n 驚異的な経済成 長 H と n 外貨準備高世界一 μ また、中国大陸との関係においても n 一 中 一 台論 μ など政治・経済の側面でも、 その発展はめざましいものがある。し かも、台湾はいわゆる四条龍(四頭の竜、韓国、台湾、ホンコン、 シ ン ガ ポールを指す﹀の一国として、今や一人あたりの
GNP
が一万米ドルを越 す経済先進地域である。その経済的発展を支えているのは、言うまでもな く 教 育 で あ る 。 今 日 の 台 湾 の 繁 栄 は 、 その寸建教一致﹂(産学協同)の教 育政策が時代的要求に適合し、 その教育行政・制度改革・実践が功を奏し たことによるといえよう。 かつての臨戦体制下の、﹁反攻大陸 L をかかげた軍事中心の反共的政治 教育の強調から 一 九 七0
年代になると、教育政策が軍事中心から経済中 心に移行し、﹁建設台湾﹂のスローガンの下に、 教育体制・制度の改革が 行われた。そして﹁建教一致 L の教育政策がとられ、職業教育が重視され た。特に、後期中等教育段階の高級職業学校及び高等教育に将ける各産業 別の実務・技術の教育の充実が図られるようになった。この教育政策下で、 職業・技術教育制度の改革ーl
五 年 制 、 三年制の専科学校、技術学院(単 科大学)等の設置とそれらの教育が効を奏し、 それが台湾の経済面での飛 躍的な発展の原動力になったといわれている。この経済的発展に伴って、 更に国民の資質を高めるという社会的要求が生じ、政府は、 一 九 七 八 年 よ り九年制国民学校義務教育を実施している。 次に、台湾の現在の教育制度の特徴と最近の状況についてみてみよう。 まず第一に、国民教育(初等前期中等教育、義務教育)では、 九 七 八年に九年制に切り換えて以来、就学率は九九・八%を保持しており、国 七︿ 報 告 ﹀ 教 育 の 現 代 的 課 題 民全体の知的水準が向上してきている。さらに五育(徳育、知育、体育、 群育及び美育)の均衡的な発展をめざす﹁公民教育﹂を中心として教育課 程が展開されている。 一九九一年には、﹁教育課程標準﹂を全面的に改訂 し 、 ﹁ 社 会 科 L の充実と﹁部定課本(国定教科書﹀制度﹂の見直しを行っ て い る 。 第二は、後期中等教育についてであるが、台湾では、 それらを﹁高級中 等教育 L と位置づけ、大学進学を主目的とするつ高級中学 L と中堅技術者 を養成するためのつ高級職業学校 L に大別している。政府の経済発展計画 に合わせて、両者の在学生徒数の比率は、約三対七になっている。また、 高級専門学校の各専門分野も﹁建教一致﹂策により、産業構造上の要求に 従って対処されている。さらに、後期中等教育段階にある師範学校(初等 教育養成機関)を、小学校教師の資格を向上させるために、 一 九 六 二 年 よ り徐々に五年制の師範専科学校に昇格・拡充し、教員養成制度史上大改革 を 行 っ て い る 。 第三に、高等教育についてみてみると、経済発展の加速に伴って、 八
0
年代に入ると高等教育機関が急増した。ちなみに一九八七年と一九九 二年とを比較してみると。 大 学 ( 巴 巳 ︿0
2
5
)
が一六校から一一一校に。学 院 ( h o -- m ぬるが二一校から二九校に。 専科学校は七七校から七三校(昇 格)となっている。 一九九七年の予定数では、大学二五校、学院四三校、 専科学校八九校の増設をみこんでいる。 これらの増設は、﹁国家建設六ケ 年計画﹂にそって、すでに就職している高級職業学校の卒業生の再教育と 進学の機会を増やすために、技術教育制度を改革して、 各県に技術学院 ( 吋 町 内 ﹃ ロ 目 白 色 。 。 -m -m m ) と二年制専科学校(
(
U
O
B
B
Z
E
q
h
。 - r m m ) の増設と J¥. も関連している。高等教育への進学率は、 一 九 八 七 年 は 四 八 % 、 一 九 九 二 年は六一・五%、同計両が完了する一九九七年には七OM台に上昇すると 予 想 し て い る 。 数十年来ほとんど手つかずの﹁大学 注 目 す べ き こ と は 、 法﹂が大幅に修正され、 ついで関連法律﹁私立学校法 L 、﹁師範教育法(教 員養成制度に関する法律)﹂等の改訂も行う予定になっている。 第四に、社会教育についてみてみると、近年一般の社会教育施設に関し ては、経済発展に伴って、人びとの文化的生活に対する欲求が高まり、政 府は各種の施設の拡充に力を入れている。例えば、各地の公共図書館の建 設、社会教育会館の拡充、各県・市に新たに文化センターの建設が予定さ れ て い る 。 三、インドネシアの教育制度と職業教育 インドネシアは、約二OO民族、二OO言語からなる多文化・多民族国 家である。しかも、国民の約九O%がイスラム教徒である。したがって、 九 このこ点、がインドネシアの教育を見ていく場合のパックグランドである。 政府は、多民族を統一するために、﹁国民統合﹂をめざす教育を強力に推 進している。その方法として、パンチャシラ・玉原則(神への信仰、人道 主義、民族主義、民主主義、社会正義)をかかげ(一九四五年憲法の前文 にうたわれた﹀て、パンチャシラ精神に基づき国民教育を行っている。 第一原則として﹁神への信仰﹂をあげていることから、 またイスラム教 社会である関係上、宗教教育の積極的推進もこの国の特徴である。 J R -申 込 T L + J 4 H N って、教育も宗教省管轄のプサントレンやマドラサ等の宗教学校と、教育 文化省管轄の普通の学校教育とに分かれている。普通一般の教育制度は、小学校 ( S D ) 六年間、普通中学校 ( S M P ) 三年問、職業中学校 ( S M K P ) 四年間、普通高校 ( S M A ) 三年間、職業高校 ( S M K A ) 四 年 と 年問、大学 ( S I ) か ら な っ て い る 。 われわれの過去二回にわたる調査・視察は、宗教省管轄のプサントレン、 マドラサと教育文化省・職業中等教育局管轄の職業技術学校である。まず 職業技術教育について、若干述べたいと思う。 政 府 は 、 一 九 六 九 年 に 司 由 民 仲 間 と 呼 ば れ る ﹁ 五 カ 年 計 画 ﹂ を 発 表 。 現在 は、第五次五ヶ年計画
H t
- g
︿(一九八九年 J 一九九四年﹀が実施され ている。こうした中で、インドネシアが解決しなければならない問題は三 つ あ っ て 、 一つは人口問題、二つには環境問題、三つにはマンパワ l ( 人 的資源の開発・能力開発﹀である。特に三つめの問題は、教育で解決しな ければならない問題である。そのマンパワ!としての資質は、神の信仰、 高 潔 さ 、 よい人格、規律正しさ、勤勉さ、真面目、責任感、自信、頭脳明 断、器用さ、身体的・精神的健全さ、愛国心、社会的連帯感といったもの である。(国民協議会E
、 一 九 八 八 年 ﹀ 特にわれわれは、産業面でのマンパワ l の開発をめざす職業技術系の学 校を視察した。視察校は、次の通りである。四年制の開発技術高校 ( S T M ﹀、技術教育訓練センター ( B L P T ) 、ジェパラ工芸高校 ( S M I K ) 、 公立家政高校 ( S M T K ) 、公立商業高校 ( S M E R ) 、 ジ ャ カ ル タ 信 用 口 工 業高校 ( S T M U ) 。 ロンボク島の公立家政高校 ( S M K K ﹀、公立工業高 校 ( S T M )、
公立商業高校 ( S M E R -公立農業高校 ( S M T ) 。パリ 島では、公立現代音楽学校、公立工芸高校、公立美術高校、これらの学校 には、様々なコ l ス が 設 置 さ れ て い て 、 そこで個々の職業技術教育が行わ ︿ 報 告 ﹀ 教育の現代的課題 れ、主として実用的な技術・技能の訓練を行っている。 つまり、中堅技術 者 養 成 で あ る 。 職業技術教育は、全体的にみて、不足の状態であり、今後増設が望まれ る。しかし、職業技術教育は、人的能力開発について、二つの問題をかか え て い る 。 一つは、技術革新による新しい技術の訓練のための施設が不足 しがちで、産業界からのニ l ズにこたえられず、後手にまわっていること。 二つには、社会の産業構造の急激な変化に対応しきれないことである。さ らには、施設・設備に膨大な費用がかかる点も合わせて、困難な状況にお かれている。インドネシアのこれからの、第六次五カ年計画(一九九四 ﹀にとって、最も重要な点は、 マンパワーに関する教育戦略をどう打 ち立てるかである。高度のマンパワl
の育成は、教育によらねばならない か ら で あ る 。 次に宗教教育改革の動向であるが、 われわれは、プサントレンやマドラ サの宗教学校をいくつも見てまわった。 その結果、明らかになったことは、 宗教学校でも最近は職業技術教育に力を入れるようになったことと、特に 女生徒の入学者の増加傾向であった。 いずれも、科学・技術時代の、 ま た 女性開放の時代の影響を受けてのことだろう。 インドネシアの教育改革については、今年十二月に再度調査する予定で あ る 。 い ず れ に し て も 、 インドネシアの教育改革にとって最も基本的なこ とは、教員養成及び教員の待遇の問題である。小学校教員の平均給与が日 本円にして五000
円 程 度 で あ り 、 それは普通のサラリーマンの賃金水準 と比較して劣悪である。国民統合の教育を推進していく実践母体は、教師 であり、教員の役割は重大である。そのためには、教員の待遇・地位の改 九︿ 報 告 ﹀ 教育の現代的課題 善が望まれる。 以上、韓国、台湾、 インドネシアの教育改革の動向について述べたが、 それらの地域の教育改革は、主に現実の教育問題から出発してその改善と 発展に力点がおかれている。 し か し 、 日本の場合は、教育の根本をくつが えす大胆な改革が進行している。この点も含めて、今日アジアの教育改革 を検討してみる必要があろう。 経済発展と情報教育 東洋大学 阿 部 黒 一、経済発展と情報化 経済発展と情報化の三段階 他の多くの新技術・新素材と同じように、 コンピュータもアメリカで軍 事・国防術技として開発され、 それがやがて民政化していった。ただ、違 っていたのは、他の新技術・新素材が旧来の﹁物﹂にとって代わるだけだ っ た の に 対 し て 、 コンピュータは人間の﹁頭脳﹂にとって代わる性質をも っていたことであった。人間はコンピュータを作ることによって、自分自 身をいらなくする可能性を作り出したのである。 コンピュータはこのよう な﹁人間の自己否定﹂という性質を持つが故に、人聞社会に与える影響も 他と比較にならないほど大きいのである。 コンピュータが社会に浸透してゆく状態を﹁情報化﹂と呼んでいる。 本のこれまでの情報化は三つの段階に分けて考えることができる。 C 第一段階 禁明期││日本では六
0
年代にコンピュータが導入され、来た るべきっ情報化社会﹂についてのヴィジョンが語られ始めた。 第二段階 産業の情報化期!│七0
年代になると、労働力不足も手伝って F A や O A など産業の情報化が一気に進んだ。 第三段階 社会の情報化期 1 1 八0
年 代 に な る と 、 コンピュータの小型 化・高機能化・低廉化が進み、 コンピュータは分散型利用・個人 利用(パーソナル化)中心となり、 それとともにネットワーク化 が進展した。これによって情報化は、 社会全体を覆い始めた。 ﹁高度情報化社会 L が 到 来 し た 。 男 単純な工業化社会と情報化社会 ﹁ 情 報 化 L する以前の工業化社会と情報化社会とを経済の分野を中心にし て対比してみると、ーー -重厚長大型産業から軽薄短小型産業へ 同一品種大量生産から多品種少量生産へ -コストダウン志向から高付加価値志向へ -単一技術志向から複合技術志向へ -生産管理重視から市場管理ハマーケティング﹀重視へ -大衆大量消費市場から分衆少量消費市場へ -中央集中型個別管理から分散型ネットワーク管理へ -物財経済(第二次産業)から情報経済(第三次産業) J、、 日 ハードウェア重視からソフトウェア重視へ二、情報化と教育 情報化と教育の関係は、三一面的に把えることができる。①教育の対象と しての情報化。②教育の手段としての情報化。⑤教育環境としての情報化。 教育の対象としての情報化 情報化社会に適合できる能力(情報リテラシ
l
﹀を育成したり、情報化 社会が必要とする人材・専門家を育成する。また、情報化社会のルl
ル や 倫 理 、 問題点などをも教育する。 通 常 、 寸 情 報 教 育 ﹂ 、 ﹁ 情 報 処 理 教 育 ﹂ と よばれているものである。一
一
.
一
教育の手段としての情報化L
L
教室を使った語学教育やA
V
教 室 で の 授 業 、 P C 教室やネットワ! クを使った宿題授与・宿題提出・レポート提出など、 コンピュータやA
V
機器を活用した教育である。一
.
一
一
教育環境としての情報化 広義に考えると二・ニをも含むことになるが、二・こよりもずっと広い 意味での情報化である。インテリジェント教室、図書館情報システム、情 報センター、学術情報センター、ネットワークによる各種データベースへ のアクセスなど、教育・学習の支援体制である。 、情報化と情報教育 二・一で示した﹁情報教育﹂は、 どのような形で行われているのであろ ︿ 報 告 ﹀ 教 育 の 現 代 的 課 題 うか。①学校教育として。②企業による教育として。③社会教育として。 ④特別の教育機関で。⑤資格試験制度として。一
一
一
.
一
学校教育としての情報教育 日本の学校教育に情報教育に相当するものが初めて導入されたのは一九 五0
年代後半であるが、組織的な振興が図られたのは日本の情報化社会へ の移行が進んだ七0
年代に入ってからである。八0
年代後半になると、情 報化の著しい進展にともなって学校教育の中での情報教育の一層の振興の 必要性が増大し、臨時教育審議会の答申においてもこの点が強調された。 文部省教育改革実施本部情報化専門部会は、 一九八八年、﹁情報技術者養 成確保のあり方に関する報告﹂をまとめたが、 それによると、二OOO
年 に必要とされる情報技術者数は二一二O
万i
三OO
万 人 で あ り 、 そ の う ち 一 五O
万i
二二五万人を学校教育で養成する必要があり、九二年度まで大学 等の情報関連学部・学科の入学定員の増加を続ける必要がある。(﹁情報化 白書 L 九二年版二四八ページ﹀一
一
一
.
一
一
企業における人材育成 一般企業も情報サービス産業も、自社内にシステムエンジニア(
S
E
﹀ 的人材を養成する制度をもっているところが多い、例えば、松下電器産業 制では﹁S
E
研修所L
をもち、﹁開発S
E
L
(
﹁ 作 るSEb
、 ﹁ 営 業S
E
L
( っ 売 るS
E
L
)
、 ﹁ 応 用S
E
﹂ ( ﹁ 使 うS
E
L
﹀の三つのタイプのS
E
を 、 そ れ ぞ れ ジ ュ ニ ア 、 シ ニ ア 、 エキスパートのレベルで養成している。一
一
︿ 報 告 ﹀ 教 育 の 現 代 的 課 題
一
一
.
一
一
社会教育(生涯学習)としての情報教育 地方自治体や大学などがおこなう市民大学・公開講座の中でも、情報リ テ ラ シ l 教育がおこなわれている。 四 特別の教育機関による情報教育 寸中央情報教育研究所 L ( C A I T ) による情報処理教育 ここでは、①企業内研修リーダー養成研修、②専修学校等における教員 養成研修、⑧高度情報処理技術者研修などのコl
スを設けて教育している。 ﹁地域ソフトウェアセンターしによる人材育成 一九八九年の第一一四回国会で﹁地域ソフトウェア供給力開発事業推進 臨時措置法﹂が一0
年間の時限立法として成立した。これは各地域におけ るソフトウェア供給基盤の整備・強化のための人材育成を目指すものであ る。﹁地域ソフトウェアセンター﹂は、 毎年六カ所 八 九 年 度 か ら 五 年 間 、 ずつ認可されることになっており、 その一つの例が、﹁制浜名湖国際頭脳 センター﹂である。(前掲寸白書 L 二 玉 七 ペ ー ジ ﹀ コ 了 五 資格試験制度による人材育成 ﹁ 情 報 処 理 技 術 者 試 験 ﹂ 一九六九年に通産省による国家試験としてスタートして以来、 四OO
万 人の応募総数があり、三七万人が合格している。九一年には六一万人が応 募した。試験には五区分ある。①情報処理システム監査技術者試験、③特 種情報処理技術者試験、③オンライン情報処理技術者試験、④第一種情報 処理技術者試験、⑤第二種情報処理技術者試験。一
一
一
一
-﹁マイクロコンピュータ応用システム開発技術者試験 L 同日本情報処理開発協会が実施するもので、 マイクロコンピュータ応用 システム開発技術者に対する社会的認知を確立し、技術者に対し技術水準 い る 。 向上への努力に指針を与えることを目指す。初級と中級の試験が行われて 回、日本の高等教育および初等中等教育における情報教育 四 高等教育における情報教育 情報専門学科を有する学校等の推移 区 分 119ー
198問
1990i
f
.
f
i
t
1199峨 学 校 数 42 67 156 168 大 学 学 科 数 50 78 190 212 入学定員 2,629 5,320 15,974 20,088 学 校 数 8 12 47 50 短 大 学 科 数 9 13 51 53 入学定員 385 5,590 7,095 学 校 数 2 7 34 36 高 専 学 科 数 2 7 34 39 入学定員 90 280 1,485 前掲「白書J92, 92年版 資料この表にみられるように、情報の専攻に限っても、この一五年余りの間 に学生数が激増している。 この他に、学部・学科・専攻を問わず、情報関係の教科目や履修者が大 幅に増加している。 情報関係の施設設備も大幅に増加している。また、 ﹁拙私立大学情報教育協会﹂が設立され、 大学・短大の情報教育の充実の ために活発に活動している。同協会の調査によれば、 一九九二年度の数字 で、多くの大学が、教育・研究の為の情報化支出(人件費は除く﹀として 全消費支出の二