• 検索結果がありません。

ペースメーカー植込み100症例の遠隔成績について

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "ペースメーカー植込み100症例の遠隔成績について"

Copied!
7
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

(東女医大誌 第44巻 第12号頁996∼1002昭和49年12月)

ペースメ.一カー植込み100症例の

遠隔成績について

講 師 教 授 東京女子医科大学日本心臓血圧研究所(所長 広沢弘七郎教授)

横山 正義・ 講師

ヨコヤマ マサヨシ 細田 瑳一・大学院学隼 ホンダ サイチ 遠藤 昌ンドウ 今井 イマイ

真弘・ 教授 林

蟹マサヒロ ’、ヤシ

健雄・ 教授 堀

ヤス オ’ . ポリ

久恵

ヒサ 工

原リ

モト カズ (受付 昭和49年8月27日)

Lo路9・ter血Pro9凱os丑s・f 100 Patients with Pacemake野1mpla櫨s

Masayosh孟YOKOYAMA, Masahir①ENDO, Hisae HAYASH1, SaicLi HOSODA, Yasuo IMAI and Motokaz腿HORI

Heart Institute ofJap包n(Director:Pro£Kos恥ichiro HIROSAWA) TQkyo Wo聡R,s Medical CoUege

One hundred patients had been treated with pcrmanent pacelnaker implants in the Heart Institute of Japah. The R)110w−up was carried out ill August,1973.

Twenty心ne patients h&d passed away。 The twelve of 21 patients died of c註diac disease. One patient died of p鼠cemaker runaway. The.rest died of non−cardiac diseases.

The dislocation of catheter electrode tip had occurred in 24f per cent. The行acture of electrode

was lloted in 2 patients out of l OO cases. Skin Recrosis was fbund in 5 patients. Infbction was i且4.7 per cent・

Seventy−nine鼠live patients were examilled ill out.patientdinic.490f 79 patients showed pace− maker rhythm of ECG recordings.300f 79 patients showed patient,s own beat. Thus, authors pre一 艶rred demand type to fixed type pace血aker.

Li琵一span of electric cell in Medtronic pacemaker w舗27.31nonths in average.

はじめに 本邦のペースメーカー植込み術は年々増加し, 昨年(1972年)1年間には約600コのペースメー カーが使用されている1). われわれは昭和42年にペースメーカー植込み術 の第一症例を経験して以来,昭和48年1月までに 106症例に!72コのペースメーカーを植込んだ. この100症例につき,植込み後の合併症,電池の 寿命,患者の症状等につき,昭和48年8月31日現 在の遠隔成績を検討した, 研究対象および方法 ペースメーカー植込み術を施行した100症例の性別 は,男61例,女39例である.初回のペースメーカー植込 み時の年令は表1のごとく,平均52.2才である・ ペースメーカー植込みの適癒となった患者の原疾患 は,本態性(高血圧症,冠硬化症等を含む)と思われる もの70例,外科手術後房室ブロック78例,心筋症による もの10例,先天性房室ブロック3例,心筋硬塞後の慢性 房室ブロック.3例,異型狭心症と関連した房室ブロック 3例,WPW等の不整脈3例である.

(2)

9 表1 初回植込み時の年令 0∼20才 2!∼40才 41∼60才 61∼80才 80才以上 9例 16例 34例 39例 2例 100例 表2 Follow up期間 4年以上 22例 2年以上∼4年未満 47例 8ヵ月以上∼2年未溝 31例 100例 100例の初回植込み時の心電図では,皿∼年度房室プ

ロヅクを呈したもの88例,Sick sinus synnromeとみな

されたもの9例,不整脈・頻脈を示したもの3例であっ た, 100例中,Adams・Stokes発作の病歴のあるもの83例, この発作の病歴のないもの17例であった.100熱中の約 40%に,高血圧症,心不全,糖尿病,狭心症等の合併症 を認めた. 100例のfoUow up期間は表2のようであるが,最長 6年2ヵ月,最短8ヵ月であり,100例の平均follow up 期間は35ヵ月であった. 100例の患者に使用したペースメーカーの数は172 コで,その内訳はMedtronic 84コ口 Teletronics 33コ, Devices 33コ, General E!ectric 15コ,その他7コであ

る. ペースメーカー植込みに先立ち,少なくも2∼3日間 はカテーテル電極と体外ペースメーカーで一時的ペーシ ソグを行った.植込み手術は全身麻酔下で施行し,カテ ーテル電極は携側皮静脈より挿入し,右室心尖部の肉柱 聞に襖入固定した. 小児例,右心室拡大例,心内膜肥厚焔心では心筋電極 とした. ペースメーカ「本体は大胸筋下におさめたが,小供で は腹直筋内,または腹直筋下にペースメーカー本体を移 植した. 退院後;患者は最初の3カ月は毎月1∼2回外来通院 し,その後は3ヵ月に1回程度ペースメーカークリニッ クに来診した.また手術後2年を経過してからは毎月来 院、した. ペースメーカー本体の交換は,患者の日程による都合 など社会的適応の場合は別として,電池消耗の徴候が認 められるまでペースメーカー本体は交換せず,でぎるだ け長期聞使用する方針とした・ これら100症例にっき,昭和48年8月31日現在,次の 事項につき検討した. 1)死亡症例とその死因 2)電極の離脱・移動 3)電極の断線 4)皮窟の壊死・感染 5)その他の合併症 6) 自発心拍の有無

7)New York Heart Associat三〇nの機能分類.

患者の職業(仕事)の有無 8) デマンド機能不全の有無 g)Medtronic電池の寿命 10)患者の精神状況,医療費給付率 研究結果 1,死亡症例とその死因 100例中21例カミ死亡,79例が生存している.21 例の死亡中,心疾患で死亡したもの12例,・心疾患 以外の原因で死亡したもの8例,ペースメーカー の故障(Ru舩way)で死亡したもの1例であっ た. 心疾患で死亡した12例中,不整脈の頻発をみて 死亡したもの5例,心不全症状があらわれて死亡 したもの5例,心内膜炎1例,急性心筋硬塞1例 であった, 21例中14例はペースメーカーを植込んでから1 年以内に死亡し,7例は1年以上経てから死亡し ている. 手術死はなかったが,2例は手術後早期に死亡 した.その1例は74才男性で,手術の翌日に急性 心筋硬塞を薄発し死亡し,他の1例は29才男性で 手術の2日後,急性心不全状態から肺水腫をおこ し死亡している. 2.電極の離脱・移動 電極の離脱・移動は心内膜電極に著明にみら れた. 100畑中,心内膜電極を使用したものは84 例,心筋電極を使用したものは16例であった.心 内膜電極では84例中20例(24%)『に総計27回の電 極離脱・移動を認めた.この20例中の5例には, 2回以上の離脱・移動を認めた,

(3)

表3 電極の離脱・移動の認め られた時期 手術後1週間以内 〃 1週間∼1ヵ月 〃 1ヵ月∼6ヵ月 〃 6カ月∼1年 〃 1年以上 11例 3例 3例 1例 2例 20例 電極の離脱・移動の生じた時期は,表3のよう に約半数は1週以内であるが,1年以上経過して からの電極離脱もありうる. 電極の離脱・移動をきたした20例のうち,5例 は心筋電極に変更した.その他の15例はカテーテ ル電極を再固定している. 一方,心筋電極を使用した16例(心内膜電極の 離脱・移動のため心筋電極に変更した5例を加え れば21例となる)では,当然のことながら電極の 離脱はゼロであった. 3..電極の断線 電極の断線は100症例中に2例認められた.1 例は(56才,男)心筋電極であり,植込み後9カ 月で心筋電極の先端の部が断裂した.他の1例は (55才,男)心内膜電極であるが,植込み後21カ 月でペースメーカー本体の近くで断線が認められ た. 4.皮膚の壊死・感染 100例中5例にて,皮膚の壊死をみた.この5 例については皮膚の壊死が明らかに感染に先行し ていた.壊死の時期は手術後1ヵ月1名,12ヵ月 2名,18カ月1名,24ヵ月1名であった.これら 5例の機種はいずれもMedtronic社製のものであ った.やせ型の日本人にはMedtronicペースメー カ』はサイズが大きすぎるものと考えられる. 感染は8例に認められたが,このうちペーメメ ーカー本体の感染が4例,電極の感染が4例であ った.電極の感染4例のうち,2例では手術的に 創部を掻爬することによって感染を治療できた. その他が6例では感染のためペースメーカーを交 換した. 100症例172コのペースメーカー植込み 術に対する感染の頻度は,8/172(4.7%) と なる. 5. その他の合併症 ペースメーカーによる合併症のなかで最も重篤 なものの一つはRunawayである. Runawayの定 義を,脈拍数がペースメーカー・レートの2倍以 上となったものとすると,われわれの100症例の なかに1例認められた.患者は56才の女性でsar・ coidosisを合併していたが,突然死している2)。 またペースメーカー・レートの2倍には達しなか ったが,脈拍数が100/分以上となった症例が2 例あった.この2例では緊急交換を施行し救命し ている. 心筋電極は心表面のどの部位に縫着してもよい といわれている3)僧5).しかしこれに反して,電極 の位置によって心拍出量などに差があるという意 見もある6)∼9)。われわれは21例の心筋電極を経験 したが,そのうちの1例(8才,男,単心室)に て,電極を心臓前壁の右側に縫着したところ,著 明な心不全症状が出現した,ペースメーカー移植 後2ヵ月間,いろいろな利尿剤,強心剤を投与し たが,心不全症状は増悪の一途をたどった.この 患老にて心筋電極を心尖部につけなおしたとこ ろ,心不全症状が劇的に軽快し,その後1ヵ月で 患者は退院している10). 武内11)は心筋電極を植込む際,開胸はもちろん のこと胸骨切開も行なわず,左下部胸骨傍小切開 で心嚢を開き,右心室壁に心筋電極を植込んでい る.この方法は手術侵襲も少なく,良い方法と思 われるが,画室流出路に電極を縫着することが, かならずしも安全でない場合があることを銘記し ておく必要がある. カテーテル電極で心内膜炎を再燃あるいは誘発 することがあるが12),われわれのカテーテル電極 84症例のなかで,心内膜炎を生じた例は25才・男 の1例であり,このために移植手術後2カ月で死 亡している.しかしこの症例はFriedbergら12)の 報告したカテーテル電極が三尖弁に癒着したもの と異なり,移植前から存在していた弁膜症による 心内膜炎であった. われわれはペースメーカー植込み時に刺激閾値 の測定を必ず施行しており,カテーテル電極の場 合は1.omA以下,心筋電極の場合は2.OmA以

(4)

11 下の部に電極を固定しているが,この刺激閾値が なんらかの理由で上昇し,ペーシング不良となる ことがある.われわれは刺激閾値が上昇しペー シング不良をきたした例を,100例中1例経験し た.刺激閾値上昇によってペーシング不良となる 場合の多くは,電極の離脱・移動・穿孔が関与し ていると考えている. カテーテル電極挿入後,静脈炎をおこし,現 在,皮下の静脈が著明に怒張している症例が2例 ある. カテーテル電極による心室穿孔は危険凝合併症 であるが13),われわれは経験して、いない,ただ 、し,植込み前に一時的ペーシングのために使用す

るUSCIの双極カテーテルでは心室穿孔は多

い.この一時的ペーシングに使用するUSCIカ テーテル電極は,植込み用のカテーテル電極に 比し,固いために,心室穿孔になるものと考え る14)26). 植込み後の胸壁筋の野壷は単極電極の場合,多 くみられるが,漸縮は植込み後1適間でほぼ消失 している.!00症例中横隔膜李縮を訴えているも めはない. 三尖弁閉鎖不全症の発生もなかった.また,植 込み後の著明な貧血を生じた例もなかった. 6. 自発心拍の有無 生存している79名四,49名では外来にて心電図 をとったさい,ペースメーカーリズムのみであっ た.残りの30名では自発心拍,またはペースメー カーリズムに自発心拍が混じていた.

7.New York Hea舵4ssotiatio臨の機能分

類患者の職業の有無

生存79名をNYHAの機能分類でわけると,

Class I 49名, Class亙26名, Class皿4名であっ た.これら79例のうち,現在,職業・学業をも つているもの45例で,他の34例はとくに仕事はせ ず,ぶらぶらしている. 8.デマンド機能不全の有無 100例中,レート固定型ペースメーカーを使用 したもの24例,デマンド型を使用したもの76例で あった,76例のうちデマンド機能不全をみとめた ものが8例(約10%)にみられた, この8例のうち,2例ではデマンド機能不全は 1日以内に自然に治癒し,1例では2ヵ月問くら いでデマンド機能が作用するようになった.また 1例ではほぼデマンド機能をはたすので経過を観 察している.残りの4例ではデマンド機能せず, 固定型のように作用するので,ペースメーカー本 体を交換した. デマンド機能が1日以内に回復した2症例で は,ときどきペーろメーカーの刺激間隔が延長す る型を呈しており,筋電図などが,量nhibitorとし て働らくものと推定された.

g.Medtmnic電池の寿命

われわれの使用した機種のなかでもっとも多い のはMedtronic二二である.他の機種では使用 例が少なく,また植込み後の期間が短かいので, ここでは各種モデルを含むMedtronic社製につ き電池の寿命をしらべた.これまで使用した84コ のMedtronicペースメーカーのなかで,電池の 消耗を理由に交換したものは20コである.この20 コの交換の時期は表4のように平均27.3ヵ月であ る.4例では24カ月以内に交換した.最:短は13カ 月,最長は40カ月であった. 表4・Medtronlcペースメーカーの 電池の寿命 24ヵ月以内 25∼27ヵ月 28∼30ヵ月 31ヵ月以上 4例 6例 5例 5例 2G例 なお現在,患者に植込まれているMedtronic ペースメーカーの数は37コで,植込み後!∼12カ 月を経たもの11例,13∼24ヵ月を経たもの14例, 25∼36カ月を経たもの10例,37ヵ月以上を経たも の2例である. 10.患者の精神状況,医療費給付率 心蘇生のような経過を経て行なわれたペーシン グは患者の複雑な精神・心理面がつきまとう15)と いわれるが,われわれの生存者79名の精神状態を しらべると,ペースメーガーのことが心配ではな う いと答えたものは全体の約9割にあたる70例であ

(5)

つた1しかし79例のうちの6例は心配∼不安を感 じていた.また3例ではかなりの精神症状があ り,精神科を受診している,この精神科を受診し ている3例では,ペースメーカー植込み術そのも のよりも病気から生ずる家庭的,経済的要因がそ の精神症状に大きく関与していた. 健康保険別にみると,76例中64例は健保本人, 身体障害者,老入などの理由で,医療費の全額給 付をうけていた.12例ほ70%給付,3例のみが50 %給付であった. 考 按 ペースメーカー植込み術は,老人が対象になる ことが多いが,われわれの100症例の平均年令は 52才であった.これは先天性の症例,心臓手術後 房室ブロックの症例,心筋症の症例が多かったた めと考えられる. 遠隔成績にて,死亡率や合併症の頻度を論ずる

とき,foUow up期間の長短が問題になる. follow

期間が長ければ当然,死亡率や合併症発生頻度が 多くなるであろう. また,房室ブPックのなかでも重症な心疾患を 合併している症例が多ければ,ペースメーカー植 込み術後の死亡率も原疾患に影響され,当然,高 率となろう.100症例の平均35ヵ月間のfollow up では,21名が死亡しているが,原疾患が重篤なら ぼやむをえないことであり,死亡率のみでペース メーカー植込み術の効果を論ずることはできな い16). 電池の寿命や故障を知るのに最もよく,しかも 簡単な方法は,ぺ「スメーカー・レートを測定す る・ことである17)創19).心電計のペーパースピード は5%以内の誤差が許され.ているので,正確な脈 拍数は心電図から計算するよりも,1∼2分間, 料亭の脈拍数をかぞえるほうがよい.われわれは ペースメーカー・レートが2∼3コ/分変化した ら要注意とし,5フ/分の変化で交換す.ることに している1). また,われ:われはペースメーカークリニック で,ペースメーカーパルスを陰極線オッシロスコ ープで観測し,Polaroidカメラで撮影し,パルス の高さ,幅を計測しているが,これは現在のとこ ろ,レートの変化に比し補助的な投割となってい る. 高圧X線撮影で電池構造のボケの程度を比較す る方法もあるが,水銀電池の層構造は2年くらい で不鮮明になっても,その後さらに,6∼12ヵ月 は使用可能であるので,電池の層構造はペース メーカー電池寿命の判定にはほとんど役にたたな い. ペースメーカー植変え時期の決定は,むつかし い問題であるが,約24ヵ月で選択的交換を施行す るのも一つの方法13)20)であろう.われわれは現在 まで植込んだペースメーカーをできる限り長期間 もたせようと努力してきたが,最:長40ヵ月もつ た症例も経験している,最:近ペースメーカー電池 の寿命は延長しており,24ヵ月の選択的交換は多 少,早すぎるのではないかと考えている. またペースメーカー機種の改善によって,寿命 も製品のばらつきも少なくなっている.患者と病 院との連絡が密に保たれる場合は,できるだけ長 期の使用が患者の負担を軽減させよう. われわれも初期のうちは21),植込み後24ヵ月以 内に交換することが多かったが,現在ではほぼ2 年の寿命は確実となっている. 最:近,人工ペースメーカーの適応範囲がひろが り,反復性心室頻拍・粗細動をおこすような症例 にも使用されている.われわれもかかる症例を2 例経験しているが,原疾患の重症度がペースメー カー植込み後の予後を大きく左右している. ペースメーカー刺激により一定の心拍数を保た せることにより,心周期におけるresponsive phase の異常な延長を防ぎ,異所性刺激の介入をさまた げるのである.われわれは一時的ペーシングであ るが,心臓手術後患者の不整脈に対し,pacemaker overdriveを施行し著効を得ている28). またWPW等の頻脈の治療にペースメーカーが 使用されるようになり,われわれも100症例のう ち,かかる1例を経験している. これら頻脈に対するペースメーカーの使用は今 後の課題であろう. 現在,世界的にカテーテル電極が植込みに用い られる傾向が強く,1972年,米国ではカテーテ

(6)

13 ル電極が全ペースメーカー植込み症例の95%とな り,スウェーデンやオランダなどでは99%となっ ている.わが国でも例外でなく,1970年ごろ67% であったカテーテル電極の比率が,現在では82% にのぼっているD. しかし,カテーテル電極の最も大きい合併症 は,電極の離脱・移動であり,われわれの経験で は約1/4の症例にこれを認めた∴またカテーテル電 極には右心室穿孔・血栓症・肺塞栓症・三尖弁閉 鎖不全症・心内膜炎・横隔膜奪縮などの合併症が おこり得る.一方,われわれの経験では,心筋電 極にては電極による合併症として断線を21雪中1 例に認めただけなので,もっと心筋電極の適応が 拡大されてよいものと考える. 100例のうち2例に須磨・戸川ら24)の考案した 誘導型ペースメーカーを植込んだ.1例は6才の 女児で手術後の房室ブロックであった.この例で は皮膚表面に固定する受信コイルが移動しやす く,1そのため患者はときどきAdams−Stokes徴候 を呈し,手術後12カ月目に動悸を訴えて急死し た.他の1例は29才男子で,皮膚上の受信部コイ ルを円形に改良したため,固定が容易となり,手 術採35ヵ月の現在,元気に仕事をしている,誘導 型ペースメーカーは体外で電池の交換が可能であ り,容易にレート変更ができ,on一・ffが自在で あるなどの特徴があるが,レート固定型である点 と,常に受信コイルを皮虜の上に密着させておか なけれぽならない点が欠点として指摘される. ペースメーカー植込みのとき,レート固定型と するか,デマンド型を選ぶかは,従来より議論の あるところであるが,入院中の経過のみでは恒 久性完全房室ブ揖ックと思われても,その数ヵ月 後,または1年後に洞整脈になる症例もしばしば 経験される.したがって,われわれは原則として 全症例にデマンド型ペースメーカーを丘rst choice にしている.われわれの79例の生存下中,39例に て多少とも自発心拍が生ずることからも,レート 固定型では,植込み後,遅かれ早かれ競合をみる ことが多い.自発心拍とペースメーカー心拍との 競合は,冠状動脈硬化のある場合はshort run型 心室性期外収縮や心室性頻拍を誘発することがあ り,また心室細動につながる可能性もある25).ま た最近はデマンド型の技術的信頼性も向上し,電 池寿命もレート固定型とほとんど変らなくなって いる1). 結 論 昭和42年か.ら昭和48年1月までに100例の患者 にペースメーカー植込み術を施行し,昭和48年8 月31日の時点で遠隔成績を検討した, 1)死亡例は21例で,そのうちの12例は心疾患 で死亡した. 1例はペースメー・カーのRunaway で死亡,のこりの8例は心疾患以外の原因で死亡 した. 2)電極の離脱・移動はカテーテル電極の場合 24%に認められた.心筋電極では認めなかった. 3) 電極の断線は, 100例中2例,皮膚の壊死 は100例中5例認められた. 4)感染の頻度は4.7%であった. 5)心筋電極の縫着部位により心不全が生じた り,改善したりした症例が1例あった. 6)生存している79名のうち,ペースメーカー リズムのみのものは49例,のこりの30例では自発 心拍を認めた.このことから,ペースメーカーの 植込み術ではデマンド型を丘rst bhoiceとすべき である. 7)Medtronic極製のペースメーカーの電池の 寿命は平均27.3ヵ月であった. 今野草二主任教授の御校閲に深謝する. 文 献 1)堀 原一:不整脈の治療.長期ペーシングの 実際を中心として.第26一日胸外会総会,乱世 教育セミナー.昭48年9月(福島) 2)宮田捷信・ほか:Runawav pacemakerにより 突然死したsarcoidosisの1剖検例.心臓3389 (1971)

3)FletcLer, F.W。, E。0.丁血eilen, M。S. Law・

rence and J.w. Evans 3 E鎚ect Qf pacemaker Iocεしtion on c4rdiac fhnction in cQmplete

A・vheart block. Amer J physio12051232

(1963)

4)Bencbhno1, A. and M. Ligge傭 Cardiac

helnodynamics during stimulatlon of、the right

(7)

normal and abnor皿al hearts. Circulation 33

933 (1966)

5)Barold, s・s・, J・w・L董nhart, F・J・H蓋1面e塗

&nd P. Samet=宜enlodynamic compariso耳

of endocardial p皐cing of outflow and inHow tracts of the right.ventride. Amer J C呂rdiol

23.、697 (1969)

6)Lister,」.W., D.H。 Klotz, S.L Jomain,

J.H. Stuc匙ey.and B.瓦Hoffma蹴 E跳ct 6f

pacernaker site on cardiac.output and ven−

tricular aρ毛ivation in dogs with.cQmplete heart

block. A皿er J c包rdiol 14494 (1964)

7)Finney, J・0・=Hemodynalnic alteratiorls in

le丘 ventricular fU血ctioh co且sequent to ven− tr三cular pacing. Amer J physiol 208275(1965)

8)Tyer台, G。F.0.; Optlmal electrode implanta・ 亘on site貴)r asyuchrouQus dipolar cardiac pac−

ing. Ann Surg l67 168 (1968)..

9) Tyers, G・F。0。= Coruparison of the.ef迅……ct on cardiac function of single−site and sim血ltaneoUs multip正e−site vehtricμ1ar sti卑μ1atioぬaf毛er A−V

block・J.Thorac cardiovasc surg 59211(1970)

10).横山正義・他:ペースメーカー電極の位置を 移動することによって心不全症状が改善した 1症’例.第69回日循関東甲信越北陸地方会,昭 48年9月(東京) 11)武内敦郎:心筋電極付ペースメーカー植込み の手術手技.胸部外科23568(1970)

12)Fr董edberg, H.D。 and G.F. D,C姐ha 3みd−

hesioπ再s Qf p耳。垣g catheter to tricuspid valve:

Adhes二ve endocarditis. Thorax 24498(1969) 13)川上敏晃・他:カテーテルペースメーカーの

植込み治療.胸部外科26457(1973)

14)竹田泰雄・佐藤元一:心臓.ペーシングの臨床,

医学出版祉東京.(1972)

15)町owne,1.W.即d T.P. Hackett=E魚otional

reacdons to threat of i1皿pending death:Sεudy of pa重lents..on monitor cardiac. pacemaker. Irish∫M.ed sci.6177.(1967)

16)三井利夫1遠隔成績からみたペースメーカー

の諸問題.人よ臓器2!27(1973)

17).堀原 一:心臓ペースメーカーと患者のアフ ターケア.一.呼吸と循環19331(1971)

18).Esc恥er,.D・J・W・and S・Fu躍m碑叫 Modern

methods of fbl.low−up of the patient with an

implantabユe cardiac pacemakers. Amer J

Cardiol 28359 (1971>

19)Rgckland, R.,.V. Parso聡蝕et and G.H. Myers 3 Failure Inodes of America且pace一

.makers. ln vitr・.analys1s. Amer Heart J 83

481 (1972) 20)川田志明・.他:ペースヂーカー植込み術52例 の臨床知見’胸部外科.26.533(1973) 21)丁 栄市・他:ペースメーカー植え込み62例 の治療経験.「心臓3890(正971) 22)川崎建市・.他=発作性.心室頻拍・粗細動に奏 効.した植込み型ペースメーカー使用の1例.心 臓41665(1972) 23)横山.正義・堀 原一:人工Pacemaker overd・ r三veで治癒せしめた手術後・重症不整脈の一 .例.第11回入ユ:臓器学会 昭48年10月(仙台) 24)須磨幸蔵・他:刺激休正期に電力を送信する 誘導型ペースメ』・カ』の臨床応用.心臓3 1170 (1971)

25)Sowto皿, E.3 Arti且cial pacemaking and sinus rhythm. Brit He象rt J 27311(1965)

参照

関連したドキュメント

The inclusion of the cell shedding mechanism leads to modification of the boundary conditions employed in the model of Ward and King (199910) and it will be

Answering a question of de la Harpe and Bridson in the Kourovka Notebook, we build the explicit embeddings of the additive group of rational numbers Q in a finitely generated group

Next, we prove bounds for the dimensions of p-adic MLV-spaces in Section 3, assuming results in Section 4, and make a conjecture about a special element in the motivic Galois group

Maria Cecilia Zanardi, São Paulo State University (UNESP), Guaratinguetá, 12516-410 São Paulo,

Then it follows immediately from a suitable version of “Hensel’s Lemma” [cf., e.g., the argument of [4], Lemma 2.1] that S may be obtained, as the notation suggests, as the m A

In our previous paper [Ban1], we explicitly calculated the p-adic polylogarithm sheaf on the projective line minus three points, and calculated its specializa- tions to the d-th

Applications of msets in Logic Programming languages is found to over- come “computational inefficiency” inherent in otherwise situation, especially in solving a sweep of

Our method of proof can also be used to recover the rational homotopy of L K(2) S 0 as well as the chromatic splitting conjecture at primes p > 3 [16]; we only need to use the