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日立ガスタービンの歩みとシリーズ展開

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(1)

日立ガスタービンの歩みとシリーズ展開

Hitachi’s Gas Turbine Product Range and Development Background

世界のエネルギー需要に応える発電・送電技術

feature articles

後藤

仁一郎  久芳

俊一  寺西

光夫

Gotoh Jinichiro Kuba Shunichi Teranishi Mitsuo

神野

賢治  広瀬

文之

Kamino Kenji Hirose Fumiyuki

1966年の初号機導入以来,日立ガスタービンの総受注台数は 600台に至る。1960年代から1970年代は日立ガスタービンビジ ネスの創成期であり,GE社との技術提携による海外を中心としたガ スタービンの拡 販を行い, 今日の礎を築いた。1980年 代から 1990年代はコンバインドサイクルブームとなり,日立グループは日 本初の排熱回収方式のコンバインドサイクルを納入するなど,国内 ビジネス拡大のきっかけとなった。一方,1988年には,設計から製 造までのすべてを初めて自社技術のみで行ったH-25形ガスタービン を開発した。その後,2000年以降,H-25形ガスタービンの海外 拡販を開始し,今日のグローバルビジネスへの展開につながってき た。日立グループのガスタービンビジネスは,日立製作所の創業の 精神の一つである「開拓者精神」に支えられてきたとも言える。 1. はじめに

日立ガスタービンは,

GE

社(

General Electric Company

) との技術提携以来,不況や円高など幾つもの困難に直面し ながらも,その受注実績は

600

台に至り,火力発電の主力 としての位置を不動のものとしたと言える。初期の日立―

GE

型ガスタービンにおいては,

30

年を超えて運転中のユ ニットもあり,その信頼性は高く評価されている。続く国 内コンバインドサイクルの萌(ほう)芽期においては,培っ た経験と国内の厳しい規制をクリアする環境技術によって 市場をリードし,現在の火力発電事業の基礎を築いた。こ の間,日立独自の技術によるガスタービン

H-25

形を開発 し,その高い性能と信頼性で納入実績は

151

台に至る。そ の後,姉妹機

H-15

形の開発に続き,

100 MW

級中型ガス タービン

H-80

形の開発が続く。 ここでは,

40

年を超える日立ガスタービンビジネスの 歴史と,近年の開発動向について述べる。 2. 沿革 2.1 日立ガスタービン製作の起源 日立グループにおけるガスタービンの歴史は,

1938

年 に海軍航空技術廠(しょう)から試作研究を命じられて製 作した

500 HP

1 HP

=約

0.7457 kW

)用排気タービン加 給機に始まる。排気タービンは,その後徐々に大型化し,

1945

8

月の終戦までに

800

台が製作された。さらに, ジェットエンジンの試作・研究が進められ,「ネ

-20

」の製 作協力,「ネ

-230

」の試作などが行われた。

1954

年には開 放形

2

軸再生高圧出力式

1,100 kW

発電用ガスタービン試 作機が完成した。

1959

年まで,この試作機を基に各種の 研究改良が進められたが,当時のガスタービン市場はまだ 熟するに足りず,商用機の生産には至らなかった。 2.2GE社との技術提携 (

1

)第

1

号機の製作

1964

年,世界のトップメーカーである

GE

社と共同製作 協定に調印し,

1966

年に日立―

GE

型ガスタービンの第

1

号機を日本石油化学株式会社(当時)に納入した。この

1

号機は

MS3002

形,

6,000 kW

2

軸機であり,タービン 入口温度は

800

℃であった。 (

2

MS5001

MS5001

形の第

1

号機は,

GE

社から受注して

1967

年に 完成し,米国のインディペンデントオイルカンパニーに納 入した。出力は

16,250 kW

であった。その後は全世界へ 進出し,累計納入台数が

286

台と日立グループの主力機種 となった(図1参照)。 (

3

)機械駆動用ガスタービン 機械駆動用ガスタービンは,

1977

年に

GE

社経由で現在 のロシア連邦向けに

MS3002

形を

8

台,アルジェリアの国 営石油・ガス公社のソナトラック社向けなどに

MS5002

(2)

featur e ar ticles を完成させ,累計

12

台を納入した。 (

4

)大容量・高性能ガスタービン 大容量・高性能ガスタービンの需要の高まりを受け,

MS5001M

形から比例拡大した

60 Hz

MS7001

形が誕生 し,さらに

50 Hz

MS9001

形が誕生した。

MS9001B

形 は第

1

段動静翼に空冷方式を採用しており,日立の第

1

号 機は,現在の東日本旅客鉄道株式会社川崎火力発電所向け に受注し,

1981

年に納入した。同発電所は,日本におけ る排熱回収方式のコンバインドサイクル発電設備の第

1

号 機でもある。

MS7001E

形は,燃焼器ならびにタービン冷却方式(第

2

段動静翼も空気冷却)などを改良し,

1981

年に完成した。

1990

年代に入ると,高いプラント熱効率と運用性が評

価される

LNG

Liquefi ed Natural Gas

)焚(だ)きコンバイ ンドサイクル発電設備が主流となり,その主機用として, ガスタービンのニーズが高まった。

1990

年,中国電力株 式会社柳井発電所に

1,100

℃級

MS7001EA

形を

3

台,

1992

年 に

3

台を納入した。

1991

年には,九州電力株式会社新大 分 発 電 所 に

MS7001E

形 を

6

台 納 入 し た。 こ れ ら は ガ ス タービン,発電機および蒸気タービンが

1

軸につながった

1

軸形コンバインドサイクル発電設備である(図2参照)。

1994

年,中国電力柳井発電所に

1,300

℃級

MS7001F

形 を

2

台,

1996

年に

2

台を,

1

軸形コンバインドサイクル発 電設備として納入した。 この時期,既設汽力発電設備にガスタービンを追加設置 して短期間にリパワリングできる排気再燃形コンバインド サイクル発電設備が注目され始め,

1994

年に

1,100

℃級

MS9001E

1

台を,東京電力株式会社五井火力発電所に 納入した。一方,定格負荷での高効率に着目し,

1996

年 に

MS7001FA

3

台に蒸気タービン

1

台を構成する多軸形 コンバインドサイクル発電設備を,関西電力株式会社姫路 第一発電所に納入した。同年,高効率で負荷運用性に優れ た

1

軸形コンバインドサイクル発電設備として,中部電力 株式会社川越火力発電所に

MS7001FA

形を

7

台納入した。

1998

年には,九州電力新大分発電所に

MS7001FA

形を

3

台納入した。これら

1990

年納入の

MS7001EA

形以降の

LNG

焚き燃焼器はすべて,日立グループが自主開発した 乾式低

NOx

(窒素酸化物)燃焼器を用いた。また,

1,300

℃ 級

MS6001FA

形 を

GE

社 と 共 同 開 発 し, 日 立 第

1

号 機 を

2000

年に日立臨海発電所に導入した。 3. 日立ガスタービン開発の歴史 3.1H-25形ガスタービンの開発 出 力

25,000 kW

MS5001

形 は 熱 効 率 が

27

% 程 度 で あったため,将来,熱効率の面でさらに市場競争力のある 機種が必要になることを想定し,同出力級で高効率のガス タービンの自主開発を進めてきた。高性能圧縮機,タービ ン,および燃焼器の要素開発によって,燃焼器出口温度

1,260

℃の

25,000 kW

級高性能ガスタービン(

H-25

形)を

1988

年に開発した。圧縮機は,研究設備において検証さ れたモデル圧縮機を比例拡大したものであり,圧力比

15

2│大容量・高性能ガスタービンコンバインドサイクルの例 九州電力株式会社新大分発電所1号系列発電所の外観を示す。1990年代に大 容量・高性能ガスタービンコンバインドサイクルの多数の納入実績があった。 累積出力 累積台数 20,000 累 積 出 力( M W ) ガ ス タ ー ビ ン 運 転 開 始 台 数( 台 ) 運転開始年度 形式 出力 台数 MS1002 5,050 HP 2 MS3002 15,140 HP 28 H-15 16,900 kW 6 H-25 32,000 kW 151 MS5001 26,300 kW 286 MS5002 38,000 HP 12 MS6001B 39,160 kW 28 MS6001FA 70,140 kW 4 MS7001B/E/EA 85,400 kW 31 H-80 99,260 kW 12 MS7001F/FA 171,700 kW 30 MS9001B/E 123,400 kW 6 MS9001FA ※出力はISO条件,ガス燃料。

※GE社(General Electric Company)より購入して 納入する機器も含む。 (2012年10月時点。) 255,600 kW 4 合計 600 18,000 16,000 14,000 12,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000 0 196 6 196 8 197 0 197 2 197 4 197 6 197 8 198 0 198 2 198 4 198 6 198 8 199 0 199 2 199 4 199 6 199 8 200 0 200 2 200 4 200 6 200 8 201 0 201 20 100 200 300 400 500 600 700 図1│日立ガスタービンの累積実績 1966年以降,現在までに600台に至っている。

(3)

の軸流圧縮機を用いた。初号機を

LPG

A

重油焚きコー ジェネレーション発電設備として,出光興産株式会社徳山 製油所に納入した。燃焼器は拡散バーナ付き標準型であ り,蒸気噴射付きであった(図3,図4参照)。 3.2H-25形ガスタービン技術 (

1

)圧縮機 ガスタービンの高効率化に向け,圧縮機には圧力比と効 率に関して高い性能が要求される。また,圧縮機開発では 旋回失速やサージングといった不安定現象の防止が課題で あり,起動から停止に至るまでの広い流量範囲で安定して 運転できる信頼性の確保が必要である。多段軸流圧縮機の 性能と信頼性を両立する設計技術を確立するために圧縮機 の自主開発を進め,

1983

年に

17

段で圧力比

15

という,当 時としては高圧力比の多段圧縮機を試作し,目標性能を達 成した。また,試作機での実測値を基に旋回失速の特性を 解明し,多段圧縮機の設計技術を確立した。

H-25

形ガスタービンの軸流圧縮機は,この試作圧縮機 の相似設計をベースに開発した。その後,さらなる高効率 化が要求され,世界最高レベルの高圧力比をめざした軸流 圧縮機(平均段圧力比

1.19

)の開発に着手した。この圧縮 機の空力性能と強度信頼性の実証を目的として

1999

年に 全段縮小モデル機を試作し,実証試験では目標性能をほぼ 達成し,高圧力比,高負荷化の設計技術を確立した。開発 には遷音速段の設計技術に加え,多段の流れ解析を適用 し,圧縮機翼列のマッチング評価によって高性能化を図っ た(図5参照)。 (

2

)タービン

H-25

形ガスタービンのタービンは

3

段で構成される。 第

1

段翼の冷却構造を図6に示す。第

1

段静翼はインピン ジメント冷却,フィルム冷却,および後縁部のピンフィン 冷却を組み合わせた冷却構造で,高い冷却効率を達成し た。第

1

段動翼の冷却構造には,開発当時としては最新式 のリターンフロー方式を採用した。冷却流路内部の表面に はタービュレンスプロモータを設け,冷却空気を大量に消 費することなく高性能化をめざした構造とした。 (

3

)燃焼器

H-25

形ガスタービンに搭載の

LNG

焚き低

NOx

燃焼器 の概略構造を図7に示す。

1,300

℃級ガスタービンに搭載 吸気プレナム 17段軸流 空気圧縮機 多缶式燃焼器 (10缶) 衝動式3段タービン 排気ディフューザ 後側サポート 前側サポート カップリング タービンベース 図4│H-25形ガスタービンの断面図 H-25形は,日立グループが本格的に自主開発を行った初のガスタービンであ る。この3年後に,比例縮小機であるH-15形を開発した。 図3│H-25形ガスタービン H-25形ガスタービンの上半ケーシング開放時の外観を示す。 冷却空気 ピンフィン冷却 インピンジメント 冷却 フィルム冷却 前側流路 後側流路 冷却空気 第1段静翼 第1段動翼6│H-25形ガスタービン用タービン翼冷却構造 第1段静翼はインピンジメント冷却,フィルム冷却,および後縁部のピンフィ ン冷却を組み合わせている。第1段動翼の冷却構造には,開発当時としては 最新式のリターンフロー方式を採用した。 0.0 1.5 図5│ガスタービン用軸流圧縮機の多段流れ解析の例 ガスタービンの高効率化には,圧縮機の高圧力化,高負荷化が必要である。

(4)

featur e ar ticles した第三世代燃焼器を縮小設計し,大型機で培った経験と 技術を凝縮した。拡散パイロット付き予混合低

NOx

燃焼 器でリング状の保炎器を踏襲しており,このクラストップ レベルの

NOx

排出量

25 ppm

以下を実現した。さらに,燃 料多様化対応として,油焚きも可能で,ガス焚き時の性能 はガス専焼機と同等のガス・油デュアル焚き低

NOx

燃焼 器を開発した。この燃焼器では,ガス焚き時には安定に予 混合火炎を保持し,油焚き時には空気と油の混合を促進す る放射型保炎器を採用し,ガス・油の単独燃焼時,混焼時, 燃料切り替え時の安定燃焼を実現した。 4. ガスタービンビジネスの拡大 4.1 海外ビジネスの拡大

H-25

形ガスタービンは,

1988

年の初号機納入から約

10

年間は,主に国内石油化学会社向けのコージェネレーショ ン用として納入された。一般にガスタービンのユーザーは 実績を重視し,新しい機種の導入には慎重になる傾向にあ る。とりわけ,同クラスのベストセラー機である

GE

社の

MS5001

形ガスタービンの存在は大きく,営業,技術,設 計が一体となった拡販活動が開始された。

H-25

形ガス タービンは

2000

年,日本での約

10

年間の経験と実績を ベースに,海外向け初号機の韓国への納入を実現し,以降, 世界各国に数多くの納入実績を重ねてきた。現在,

H-25

形/

H-15

形ガスタービンは高性能,高信頼であることが 評価され,累計受注台数は

150

台を超える。また,総運転 時間も

140

万時間を超え,世界各地で順調に運転中である (図8参照)。 4.2H-25形ガスタービンのアプリケーション

H-25

形ガスタービンは,電力会社から石油化学会社ま で,多彩なアプリケーションが特徴である。 近年の電力会社向けの適用例として,

2007

年に運転開 始 し た ハ ン ガ リ ー

E.ON

社 ハ ン ガ リ ー

NYKCE

Nyíregyházi Kombinált Ciklusú Erőmű

)プロジェクトがあ る(図9参照)。

NYKCE

プロジェクトは,

H-25

形ガスター ビン

1

台,追い焚きバーナ付き排熱回収ボイラ

1

台,蒸気 タービン

1

台から構成される多軸コンバインドサイクルプ ラ ン ト で あ る。 送 電 端 コ ン バ イ ン ド サ イ ク ル 出 力 は,

29.5

49.5 MW

である。このプラントは,ガスタービン の排熱を利用して地域暖房用温水を供給するとともに,付 近の工場向けに

26 bar

1 bar

0.1 MPa

)の高圧蒸気と

7.5

bar

の 低 圧 蒸 気 を 供 給 す る 熱 電 併 給 シ ス テ ム で あ り,

89.3

%のコージェネレーション効率を持つ高効率プラント である。さらに,環境面においても,低

NOx

型燃焼器を 採用し,定格運転時

25 ppm

Dry

)以下(

15

O

2換算値) フロースリーブ タービンへ 圧縮機吐出し空気 燃焼器ライナ トランジションピース 拡散燃焼(F1)ノズル 予混合器 予混合燃焼(F2)ノズル 図7│LNG焚(だ)き低NOx燃焼器とデュアル焚き低NOx燃焼器 H-25形ガスタービン用燃焼器の外観を示す。当時,クラストップレベルの NOx排出量25 ppm以下を実現した。 図9│ハンガリーE.ON社ハンガリーNYKCEプロジェクト この発電所は系統に連系されており,付近にある工場に電源を供給するとと もに,暖房熱源を供給するために建設された。 国内 注: 150 50 40 30 20 198 8 198 9 199 0 199 1 199 2 199 3 199 4 199 5 199 6 199 7 199 8 199 9 200 0 200 1 200 2 200 3 200 4 200 5 200 6 200 7 200 8 200 9 201 0 201 1 201 2 10 0 輸出初号機運転開始 運転開始年 海外拡販開始 累積台数 年 間 運 転 開 始 台 数 累 積 台 数 120 90 60 30 0 海外 図8│日立ガスタービン開発の歴史 2012年5月までの国内外におけるH-25形ガスタービンの納入実績を示す。最 低気温−48°Cの極寒のロシアから,気温が50°Cを超えるイラクまで,さまざ まな環境の下でH-25形ガスタービンは順調に運転を続けている。

(5)

を達成している。 石油化学会社向けの適用実績には,ペトロチャイナ社の ベタラ地区ガス田開発プロジェクトがある(図10参照)。 このプロジェクトは,インドネシア共和国スマトラ島内に あり,電力系統から遠く離れているため,

H-25

形ガスター ビン

3

台をサイトの電源設備とする,アイランドオペレー ションの形をとる。このサイトには,数千キロワットクラ スの多数の電動機駆動圧縮機がある。従来,これらの圧縮 機駆動設備は機械駆動型ガスタービンを用いるのが主流で あったが,運転やレイアウトの容易さ,メンテナンス作業 の軽減,予備品の負担軽減,およびコストダウン効果など のメリットが評価され,電源設備を

H-25

形ガスタービン に集約する提案が認められた。圧縮機をすべて電動機駆動 に変更することで,システム全体としての運用性も高めら れた。

H-25

形ガスタービンは,世界の主要な

LNG

基地におい ても活躍している。エジプトのダミエッタプロジェクト, ロシア連邦のサハリンⅡプロジェクト,ならびにナイジェ リアのボニープロジェクト向けに

12

台の納入実績を重ね,

製油所,肥料プラント向けを含めた

Oil & Gas

の世界にお いて,安定した性能,信頼性が高く評価され,全受注台数 の半数を占めている。 このうち,ロシア連邦のサハリンⅡプロジェクトは,外 気温度が−

48

℃にもなる寒冷地に適用した例であり,排 熱回収装置を含めて

H-25

形ガスタービン

4

台が屋内設置 となっている(図11参照)。

4

台中

2

台にガス専焼の乾式 低

NOx

燃焼器を採用し,残り

2

台にガス・油のデュアル 乾式低

NOx

燃焼器を採用することにより,プラント運用 性の向上を図っている。 中東地区においては,一般財団法人日本国際協力システ ムから,イラク戦争後の復興事業としてイラク向け天然ガ ス・軽油焚き

H-25

形ガスタービンを受注した(図12参 照)。

2007

年にタジ発電所に

3

台,

2008

年にモスル発電所 に

2

台を納入した。治安上の問題を背景に,日本からイラ ク国内のサイトに据付け・試運転指導員を派遣することが できなかったため,ガスタービンの遠隔据付け・試運転を 試みた。現地作業は必ずしも順調には進まなかったが,プ ロジェクトに参加したイラクの人々のみずからの手で建設 するという意気込みと,イラク復興のために貢献したいと いう日立グループのエンジニアの思いが結実し,運転開始 にこぎ着けることができた。 図10│インドネシア共和国ペトロチャイナ社ベタラプロジェクト 近隣の数十か所のガス井からのガスと液をパイプラインで受け入れ,気液分 離した天然ガスを精製する設備である。プロセスガス中の水分を除去するド ライヤの吸着材(Molecular Sieve)を再生するために高温のガスが必要とさ れ,H-25形ガスタービンの排気熱を利用している。 WHRU 排熱回収ユニット 排気サイレンサダクト ガスタービン建屋 吸気ハウス H-25形ガスタービンコンパートメント 発電機 (H-25形ガスタービン+WHRU)×4台11│ロシア連邦サハリンⅡプロジェクト H-25形ガスタービンとして寒冷地向けの実例となった。

注:略語説明 WHRU(Waste Heat Recovery Unit)

12│イラク復興支援プロジェクト

日立グループの指導員を派遣せず,イラク人のみで据付けから試運転までを 完遂した。

(6)

featur e ar ticles 5. 近年の動向 5.1H-80形ガスタービンの開発

H-25

形で培った技術を基に

H-80

形ガスタービンを新 たに開発し,

2010

年,九州電力新大分発電所に納入した (図13参照)。新大分発電所

1

号系列は

1991

年に運転開始 したコンバインドサイクル発電設備であり,最新の発電設 備と比較すると効率が低く,主に負荷調整用として運用さ れていた。そこで効率と利用率の向上をめざし,ガスター ビンのリプレースを提案した。これにより,プラント効率 で

3

%(絶対値)の向上を図ることができ,さらに,

CO

2 削減にも大きく寄与した。今回は,顧客ニーズにより,ガ スタービンのリプレースだけで効率を向上するために,軸 出力の変更をせずに既設配置へ納める必要があった。この ため,圧縮機駆動軸(回転速度:

4,580/min

)と出力軸(回 転速度:

3,600/min

)の回転速度が異なる

2

軸構造を採用 した。

H-80

形は,世界最大容量※)の

2

軸型ヘビーデュー ティ(重構造)形ガスタービンでもある。 5.2 高湿分空気利用ガスタービン 高効率で運用性に優れたガスタービンシステムである

AHAT

Advanced Humid Air Turbine

:高湿分空気利用ガ

スタービン)を開発中である。

AHAT

は再生サイクルに改 良を加えた新型ガスタービンシステムであり,圧力比と燃 焼温度の上昇によらずに高効率化が可能である。また,ボ イラや蒸気タービンを利用しないため,高い負荷変化率と フレキシブルな運用が期待できる。これまでに出力

3 MW

クラスのシステム検証機による試験を行い,システムの成 立性を確認した(図14参照)。また,

2011

年度後半から

40 MW

級実用化要素技術試験設備による試験を実施中で ある。 将来,中容量クラスでの市場投入をめざしている。 6. おわりに ここでは,

40

年を超える日立ガスタービンビジネスの 歴史と,近年の開発動向について述べた。 日立グループのガスタービンビジネスの歴史は,創業時 から受け継がれる「開拓者精神」の歴史でもある。今後も 中容量ガスタービンのトップメーカーをめざし,さらなる イノベーションにチャレンジしていく。 後藤仁一郎 2000年日立製作所入社,電力システム社火力事業統括本部火力事 業部火力グローバル事業推進本部グローバル戦略企画部所属 現在,グローバル事業戦略の企画に従事 博士(工学) 日本機械学会会員,日本材料学会会員,日本ガスタービン学会会員 久芳俊一 1979年日立製作所入社,電力システム社日立事業所ガスタービン 設計部所属 現在,ガスタービンの設計および海外受注活動に従事 工学博士,技術士 寺西光夫 1979年日立製作所入社,電力システム社火力事業統括本部火力事 業部火力サービス技術本部所属 現在,ガスタービンサービスの受注活動に従事 日本ガスタービン学会会員 神野賢治 1980年日立製作所入社,電力システム社電力統括営業本部国際電 力営業本部所属 現在,火力発電設備の受注活動に従事 広瀬文之 1973年日立製作所入社,電力システム社火力事業統括本部火力事 業部火力サービス技術本部所属 現在,火力発電設備サービスの受注活動に従事 執筆者紹介 フィルタハウス 発電機 冷却塔 排水処理装置 負荷抵抗器 全長 : 2 6 m GTエンクロージャ 高さ : 11.5 m AHATシステム検証機設置場所城県ひたちなか市) 増湿塔 水回収 装置 再生器交換器 給水加湿器 排気筒 図14│高湿分空気利用ガスタービンAHAT 3 MW級システム検証機 AHATシステムの成立性を確認した。

注:略語説明 AHAT(Advanced Humid Air Turbine:高湿分空気利用ガスタービン)

13│九州電力株式会社新大分発電所に納入したH-80形ガスタービン

世界最大級の2軸型ガスタービンである。老朽化したガスタービンの効率向

上に貢献している。

図 12 │ イラク復興支援プロジ ェ クト
図 13 │九州電力株式会社新大分発電所に納入した H-80 形ガスタービン 世界最大級の 2 軸型ガスタービンである。老朽化したガスタービンの効率向 上に貢献している。

参照

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