Title
Effects of troglitazone on hepatic and peripheral insulin resistance
induced by GH excess in rats( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
杉本, 美雪
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学)甲 第372号
Issue Date
1998-03-25
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/14745
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氏名 (本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 員 杉 本 美 雪(岐阜県)
博 士(医学)
甲第 372 号 平成10年
3 月 25 日学位規則第4条第1項該当
Effects oftroglitazone on hepatic and peripheralinsulin resistance
induced bY GH excessin rats
(主査)教授 安 田 圭 吾 (副査)教授 江 崎 孝 行 教授 森 脇 久 隆 論文内容の要旨 遺伝子組み換え技術を使用した成長ホルモン(rhGH)の合成によりGHの供給上の制限は克服され排卵誘発 や骨組しょう症の治療,外傷や手術後の組織回復を早めるといったGHの新しい治療上の使用が可能になった。 このようなGHの新たな臨床使用に際して,GHの催糖尿病作用が危惧される。成長ホルモン分泌不全性低身長 症の児に生理学的量のGHを投与しても,治療中には糖尿病発症の危険性は増加しないが.慢性的な高GH血症 をみる末端肥大症の患者は.高率に耐糖能障害を伴う。GH不足のない健常者にGHを長期間投与した時の糖代 謝に与える影響は不明であるが,短期間のGH投与によりインスリンの肝糖産生の抑制作用や,末梢糖利用促進 効果が阻害されることが知られている。 チアゾリジン系誘導体は,標的組織でインスリンの作用を増強することが知られている新しい糖尿病治療薬で ある。これらの薬剤は,肥満や2型糖尿病に伴うインスリン抵抗性や食餌性因子によるインスリン抵抗性に対し ても効果があることが証明された。今回の研究で我々は,臨床的に最初に導入されたチアゾリジン系誘導体であ るトログリタゾンが,ヒト遺伝子組み換えGHを投与したラットに生じたインスリン抵抗性を改善し得るか否か を検討した。 研究材料と方法
体重200g前後のWistar系雄性ラット(n=23)にrecombinant human growth hormone(rhGH)2 IU/100g(rhGH軌n=8)を朝夕2回に分割して2日間皮下投与した。Troglitazone(T)治療群(rhGH+T群,
n=7)にはrhGH投与の5日前から投与終了時まで計7日間胃ゾンテでT20mg/dayを朝夕2回分割投与した。対 照群(n=8)には生食を皮下および経口投与した。さらに正常ラット(n=5)にTを同量投与し(N+T群)対照
ラットと比較した。
石頭動・静脈にカニュレーションを行い4日後に無麻酔下で実験を行った。一晩絶食後に3-3H†glucoseを持続
注入し肝糖産生率基礎値(basalhepatic glucose output)を測定した後t euglycemic hyperinsulinemic
glucoseclampを2時間実施し,90分から120分の糖注入率glucoseinfusion rateと,糖消失率glucose disposal rateを計算した。インスリン注入速度は8mU/kg/minで.ブドウ糖注入速度は5分毎に測定した血糖値に基づ き既報のalgorithmを使用して調節した。 標識ブドウ糖特異放射活性は.Somogyi法に基き測定した。血祭ブドウ糖濃度はglucoseoxidase法,血祭IRI 値はラットインスリンを標準として市販のRIAキットで,血中遊離脂肪酸(FFA)は酵素法にて測定した。 研究結果と考案 1)血糖基礎値および血祭インスリン値は対照群(各6.5±0.2mmol/B,182.3±31.Opmol/B),rhGH群 (各6.6±0.1.187.5±24.1)の両群で差がなく.かつT投与によっても(rhGH+T群)有意の変化を認めなかった (各6.1±0.3,206.4±24.1)。また血柴FFA基礎値にも3群間で差はなかった。 同様に,肝糖産生率基礎値も対照群(10.4±0.6mg/kg/min),rhGH群(8.8±2.8),rhGH+T群(9・1±1・7) の3群間で有意の差を示さなかった。これらの結果は,2IU/100g 2日間,GH投与下では空腹時血糖値,血祭
-55-インスリン値は増加せず,肝糖産生率も変化しないことを示した。 2)クランプ実験時には血糖値は6.1mmol/ゼにクランプされた。クランプ実験時血柴インスリンにも3群間で 善はなかった(対照群;1339.9±74.0,rhGH群;1260.8±74.0,rhGH+T群;1228.1±87.7pmol/B)。肝糖産 生率は,対照群で6.3±0.9mg/kg/minと基礎値の60.3%まで有意に抑制された。rhGH群では6.6±1.2mg/kg /minと基礎値の75.1%に抑制されたが有意ではなかった。一方,rhGH+T群では3.5±1.4mg/kg/minと基礎 値の39.1%まで抑制された。 糖注入率も,rhGH群では13.5±4.5mg/kg/minと対照群の24.1±4.1mg/kg/minに比べ有意に低下して いたが.T投与によって,22.4±5.9mg/kg/minと正常化した。 クランプ時の糖消失率は対照群に比べrhGH群では,有意に低値であったが(30.3±5.2,VS18.1±5.8mg/kg /min,p<0.05),T投与により対照群と同レベルにまで増加した(24.7±7.1mg/kg/min)。 3)N+T群では.肝糖産生率基礎値(1l.3±l.8mg/kg/min)も,クランプ時糖注入率(25.4±2.2mg/kg/ min).糖消失率(35.5±2.2mg/kg/min)も対照群と有意の差を示さなかった。 以上の結果から.rhGH2IU/100g 2日間の投与は空腹時血糖凰 血焚インスリン値および肝糖産生率基礎 値の有意の変動をきたさないが,インスリンの末梢組織における糖取り込み促進作用および肝における肝糖放出 抑制作用を減弱し.結果としてインスリン抵抗性をきたすことが明らかとなった。トログリタゾンは,これらの rhGI引こよるインスリン抵抗性を改善した。さらにトログリタゾンのインスリン作用増強作用は正常ラットでは 認められず,トログリタゾンがrhGHの催糖尿病作用の抑制に特異的に作用していることが示唆され,トログリ タゾン投与がrhGHの臨床応用において問題となる催糖尿病作用への有効な対策となり得ることが示された。 今後さらにトログリタゾンの作用機序を解明することが重要な課題として残された。
輸文事査の結果の要旨
申請者 杉本美雪は,ラットにおいてrhG日投与がインスリン抵抗性を惹起することを明らかにし,そのイン スリン抵抗性が,新しい糖尿病治療薬であるトログリタゾンにより解除されることを明らかにした。 本研究の成果は,近年成人においても用いられるrhGH投与時に問題となる催糖尿病作用に対して,トログリ タゾンが有効な予防,治療薬となる可能性を示唆する新知見であり,内分泌学,糖尿病学の発展に少なからず寄 与するものと認められる。 [主論文公表誌]Effects of troglitazone on hepaticand peripheralinsulin resistanceinduced by GH excessin rats
1998年発行予定 Metabolism 印刷中