Title
着霜のメカニズムと熱的評価に開する研究( 内容の要旨
(Summary) )
Author(s)
下村, 信雄
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(工学) 甲第199号
Issue Date
2003-03-25
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/1920
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。氏名(本籍) 学 位 の 種 類 学位記号番号 学位授与年月日 専 攻 学位論文題 目 下 村 信 雄 (京都府) 博 士(工学) 甲 第 199 号 平成15年 3月25日 生産開発システム工学専攻 者霜のメカニズムと熱的評価に関する研究 (AStudy皿theXechani弧OftheFro$tFo耽tionand the TherblEY&lⅦ止ionYithFro8ting) 学位論文審査委貞 (主査) 教 授 熊 田 雅 蒲 (副査) 教 授 若 井 和 意 教 授 格和 田 宗彦 教 授 青 木 和 夫
論文内容の要旨
本論文は、7章によって構成されている。 第1章は、序論で、本研究の背景について述べている。熱機器における身近な着霜現象 は、冷凍冷蔵庫の低温熱交換券やエアコンの冬期暖房運転時の室外熱交換器などへの霜の 付着があげられる。霜層は、その大部分が空気である多孔質体であるため、断熱性に富む 物質であるが同時に、熱抵抗の増加をもたらす。さらに、霜層の成長は熱交換器の流動抵 抗を増大させるため、運転を続けると熱交換量が減少し、冷却システムの効率低下を招く ことになる。従って、着霜を効果的に制御する方法や冷却システムの熱効率低下の少ない 除霜方法の開発が望まれるところである。具体的に、普及率の高いフィンアンドチューブ 型熱交換器において、種々の着霜制御方法の検討が行われている。最も一般的な、着霜に よる風路閉塞の緩和方法として、熱交換券の設計形状による対策が挙げられる。例えば、 フィンの一部に切欠き部を設けたり、フィンピッチを変化させてステージングを設けたり する方法、偏心フィンにより着霜皇の局所的な増加を抑制する方法、更に熱交換器の多列化により着霜量を分散させる方法などである。一方、機能性表面処理により熱交換器の着
霜耐力を向上させる方法もある。しかし、広い動作条件を有する熱交換器に用いることは 現時点では困難と言える。着霜した熱交換券では、除霜運転を避けることができない現状 にあり、除霜運転を前捷として着霜対策を講じなければならない。すなわち、着霜・除霜 の運転サイクルを前捷として、熱効率向上を試みることは着霜対策として重要である。 第2章では、従来の着霜に関する研究を総括し、本研究の位置付けについて述べている。 まず、強制対流下の霜層成長に伴う伝熱特性の把握を、実験・数値解析的に行っている。 具体的には、強制対流下における平板上の着霜時の成長方向密度分布と熱・物質伝達と通風抵抗の実験的解析を、霜層の成長予測を行うための密度分布を考慮した不均質モデルに
よる数値解析を、また、フィン付伝熱面に着霜時の伝熱特性の把握と性能評価を、さらに、
フィンアンドチューブ型熱交換器におけるオフサイクル庫内空気循衆型除霜の検討し考 察している。革3章は、強制対流下の平板上の着霜について実鼓結果をまとめたものである。まず、
霜層の高さ方向に密度分布が存在し,霜層構造を均質とみなすことはできないことを明確 にしている。次に、霜高さと圧損の変化は対応し、摩擦係数はRe数と相当直径比を用い て整理されることを確課している。また特徴的なことは、物質伝達率は時間と共に低下傾 向を,熱伝達率は逆に増加僚向を示し、熱・物質伝達の相似則が見かけ上成立しない。そ の主因は,霜層成長に伴って前縁近傍が4分円状突起周りの伝熱機構になり熱伝達は増加 するが,物質伝達は,前縁部の温度上昇による部分融解により水蒸気の内部浸透が阻害さ れ増加しないためであることを示した。箸箱進行中の伝熱特性を見積もる設計指標の一因 子として、霜層を固体であると見なした時の熱抵抗の比であるビオー数:Biを評価した。 平板上の伝熱機構は、着霜初期の比較的疎な霜層では熱伝導が支配的で,その後の比較的 密な霜層になると,上流側は熱伝達支配に移行し,下流側は熱伝導支配が継続することを 示した。 第4章では、以上の結果に基づいて、霜層の構造的メカニズムである高さ方向の霜層密度分布を考慮した計算モデルを提案し、霜層高さの時間変化に対し、従来の均質モデルよ
り実験値に近い結果を得ている。霜層高さは、流速に逆比例して高流速ほど低くなる。ま た、本実験範囲においては、霜層成長による通風抵抗の時間変化が実験整理式の精度(± 12%以内)で予測可能であることを示した。また、計算結果の霜層の高さ方向密度分布は 実験とかなり良好な一致を示し、その要因が霜層内の質量バランスを考慮したモデルであ るため、質量流束分布が時間積分されるためであることを示した。 第5章では、フィンピッチがあ'る程度大きくないとフィン間が着霜により閉鎖し熱効率 が著しく低下してしまう。そこで、着霜時の適切な設計指標を得るために着霜時のフィン 仕様の評価が重要であるとの観点から、着霜を伴うフィン付伝熱面の伝熱特性について実 験的に検討し評価を行った。除霜運転によるエネルギーロスを考慮した、着霜・除霜をサ イクルとした実効熱量を検討し、着霜時の最適フィン仕様を決定すると共に無着霜時の最 適フィンとの不一致を確落した。 第6章では、フィンアンドチューブ型熱交換器のオフサイクル庫内空気循環型除霜は、 外部エネルギを投入せずに、冷蔵庫内のプラス温度帯の空気を循環させて除霜して、さら に霜層を庫内加湿源として有効活用する方式で、_過去の研究例は皆無で、適切な除霜条件の酸計指標としての活用を目的に実験を行らている。その結果、融解終了時間は、着霜量
と風量および空気温度をパラメータとして実験整理式として±10%以内に整理されることを示した。また、表部融解水の内部浸透による霜層の熱伝導率上昇により融解時間が短
くなるほど、融解熱効率は単調に増加し、風量と空気温度を増加させて短時間で融解させ
た方が空気熱源を有効に利用できることを示した。 第7章は、以上の研究成果を総括したものである。本論文の学問的、工業的意義を明確 にしている。論文・ノ審査結果の要旨
着霜現象は、工業的に冷凍冷蔵庫の低温熱交換器やエアコンの冬期暖房運転時の室外熱 交換器などへの霜の付着があげられる。霜層は、その大部分が空気であることにより、断熱性に富む反面、熱抵抗の増加を引き起こす。さらに、霜層の成長は熱交換辞の流動抵抗
を増大させるため、運転を続けると熱交換皇が減少し、冷却システムの効率低下を招くこ とになる。従っ七、着霜を効果的に制御する方法や冷却システムの熱効率低下の少ない除 霜方法の開発が望まれている。 普及率の高いフィンアンドチューブ型熱交換器において、種々の着霜制御方法の検討が 行われている。最も一般的な、着霜による風路閉塞の緩和方法として、熱交換器の形状に よる対策が挙げられる。例えば、フィンの一部に切欠き部を設けたり、フィンピッチを変 化させてステージングを設けたりする方法、偏心フィンにより着霜量の局所的な増加を抑 制する方法、さらに熱交換蕃の多列化により着霜量を分散させる方法などである。一方、 機能性表面処理により熱交換器の着霜耐力を向上させる方法もある。しかし、広い動作条 件を有する熱交換器に用いることは現時点では困難と言える。着霜した熱交換器では、除 霜運転を避けることができない現状にあり、除霜運転を前捷として着霜対策を講じなければならない。すなわち、着霜・除恵の運転サイクルを前捷として、熱効率向上を試みること
は着霧対策として重要であるとの観点に立っている。 本研究では、強制対流下の霜層成長に伴う伝熱特性の把握を、実験及び数値解析的に行 った。具体的には、強制対流下における平板上の着霜時の成長方向密度分布と熱・物質伝 達と通風抵抗の実験的解析を、霜層の成長予測を行うための密度分布を考慮した不均一物 性モデルによる数値解析を、また、フィン付伝熱面に着霜時の伝熱特性と性能評価の把握を、さらに、フィンアンドチューブ型熱交換蕃におけるオフサイクル庫内空気循環型除霜
を、それぞれ検討し考察している。 得られた結論を要約する。①強制対流下の平板上着霜においても,霜層の高さ方向密度分布が存在し,霜層構造を均質とみなすことはできないことを明確にした。②霜高さと圧
損の変化は対応し、摩擦係数はRe数と相当直径比を用いて並理した。③また、物質伝達
率は時間と共に低下傾向を,熱伝達率は逆に増加傾向を示し、熱・物質伝達の相似則が見 かけ上成立せず、その主因は,希層成長に伴って前縁近傍が4分円状突起周りの伝熱機構になり熱伝達は増加するが,物質伝達は,前縁部の温度上昇による部分融解により水蒸気
の内部浸透が阻害され増加しないためであることを示している。④着霜進行中の伝熱特性
を見耕もる設計指標の一因子として、蒋層を固体であると見なした時の熱抵抗の比である Biで評価した。⑤着霜初期の比較的疎な霜層の熱移動は熱伝導が支配的で,その後の比較 的密な霜層になると,上流側は熱伝達支配に移行し,下流側は熱伝導支配が継続すること を示した。 以上の結果に基づいて、霜層の構造的メカニズムである高さ方向の霜層密度分布を考慮 した計算モデルを提案し霜層高さの時間変化に対し、従来の均質モデルより実験値に近い 結果が得られ、霜層高さは、流速に逆比例して高流速ほど低くなり、本実験範囲においては、霜層成長による通風抵抗の時間変化が実験整理式の精度(±12%以内)で予測可能で あることを示した。また、計算結果の霜層の高さ方向密度分布は実験とかなり良好な一致 を示し、その要因が霜層内の質量バランスを考慮したモデルであるため、質量流東分布が 時間積分されるためであることを示した。