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Microsoft Word - 2次校正_H _H27シンポ原稿案(ダムWG)

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Academic year: 2021

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a 連続性の良好な層状地質体 b 連続性の不良な層状地質体 a 乱雑な地質体 b 粒度や成分などの不均質 a 断層 b 褶曲 a 不整合 b 流体の浸入 A-1  等方均質な地質体 A-2  層状の地質体 A-3  不均質な地質体 B-1  変形を受けた  地質体 B-2  地質単元の相互関  係による複雑さを  持つ地質体 A 初生的 な構造 B 後生的 な構造

重力式コンクリートダムの基礎掘削面における地質分布及び岩級区分の

調査精度に関する検討

日本応用地質学会土木地質研究部会ダム WG 長 ㈱建設技術研究所 綿谷 博之 1.はじめに 日本応用地質学会土木地質研究部会ダムワーキング グループ(以下,ダムWG)では,地質タイプに応じ た適切な地質調査手法,調査密度を明らかにし,それ らに対するリスク評価の指標を作成することを目的と した活動を行っている.上記指標作成にあたり,まず, 土木地質図作成に際しての地質調査のあり方について, 調査段階の想定と施工段階の実績を比較することで, 調査の内容・数量と地質図の精度との関係に着目した 検討を進めている. 具体的には,表-1に示す永田1)が区分した地質タイ プ別に竣工ダム事例を収集し,それらのダム基礎掘削 面における地質分布,岩級区分及び断層分布の実施設 計段階と施工段階を比較し,後述する一致率と調査密 度の関係等について定量的な検討を行っている2) 本論では,現在収集している31 事例のうちの 12 事 例の検討結果を報告し,ダムの地質調査で物理探査に 期待する内容について述べる. 表-1 地質単元の分布の様式分類1) 2.検討対象ダムの地質概要 当ダムWG では,ダム事例収集とその内容整理を継 続的に行っている.地質情報が電子化されているダム から整理しているため,本論で紹介する表-2 の 12 ダ ムで最も古いダムは1998 年竣工である. 12 ダムのダム型式は全て重力式コンクリートダム で,基礎掘削面の地質分布や岩級区分は縮尺1:100 程 度の詳細な掘削面スケッチが実施さている. なお,本河内高部・低部ダムは再開発ダムである. 12 ダムの地質は,初生的な構造に着目して以下のよ うに大別される. 1) 地質タイプ A-1 に対比される花崗岩類(No.1, No.2,No.3). 2) 地質タイプ A-2a に対比される層状に連続する堆 積岩・変成岩(No.4,No.5,No.6) 3) 地質タイプ A-2b に対比される新第三紀火山岩類 (No.7,No.8,No.9) 4) 地質タイプ A-3a に対比される付加体の堆積性メ ランジュ(No.10,No.11) 5) 地質タイプ A-3b に対比される第四紀火砕流堆積 物(No.12) これら初生的な構造に加えて,後生的な構造である 断層(B-1a)や不整合(B-2a)等も見られる. 表-2 情報収集した 12 ダムの概要 (収集事例は全て重力式コンクリートダム) No. ダ ム 名 ダム高 (m) 竣 工 年 度 地 質 時 代 地 質 ( 帯 ) 名 称 [ 岩 種 ] 地 質 タ イ プ1) ( 初 生 的 構 造 ) 地 質 タ イ プ1) ( 後 生 的 構 造 ) 1 志 津 見 ダ ム 81.0 2011 古 第 三 紀 石 見 花 崗 岩 類 [ 花 崗 岩 , 花 崗 斑 岩 , 閃 緑 岩 ] 貫 入 岩 [ ひ ん 岩 ] A-1 B-1a 2 尾 原 ダ ム 90.0 2012 白 亜 紀 ~古 第 三 紀 因 美 期 迸 入 岩 類 [ 花 崗 岩 , 閃 緑 岩 ] 貫 入 岩 [ ひ ん 岩 ] A-1 B-1a B-2b 3 嘉 瀬 川 ダ ム 97.0 2012 白 亜 紀 佐 賀 花 崗 岩 [ 花 崗 岩 , 閃緑 岩 ] A-1 B-1aB-2b 4 本 ダ ム大 保 77.5 2010 白 亜 紀 ~古 第 三 紀・ 国 頭 累 帯 名 護 層 [ 千 枚岩 , 緑 色 岩 ] A-2a B-1aB-1b 5 井 手 口 川ダ ム 43.7 2012 古 第三紀 ・ 杵 島 層 [ 砂 岩 , 頁 岩 , 砂 岩 頁 岩 互 層 ] ・ 佐 里 砂 岩 層 [ 砂 岩 ・ 礫 岩 ] A-2a B-1a 6 西 之 谷 ダ ム 21.5 2012 第 四 紀 ・ 城 山 層 [ 砂 岩 , 凝 灰 岩 ] ・ 一 部 に 入 戸 火 砕 流 堆 積 物 [ 軽 石 凝 灰 角 礫 岩 ] A-2a B-2a 7 本 河 内 高 部ダ ム 28.2 2006 新 第三紀 ・ 長 崎 火 山 岩 類 [ 安 山 岩 溶 岩 , 自 破 砕 溶 岩 , 凝 灰 角 礫 岩 ] A-2b B-2a 8 本 河 内 低 部ダ ム 22.7 2010 新 第三紀 ・ 長 崎 火 山 岩 類 [ 安 山 岩 溶 岩 , 自 破 砕 溶 岩 , 凝 灰 角 礫 岩 ] A-2b B-2a 9 大 山 ダ ム 94.0 2013 新 第三紀・ 釈 迦 岳 火 山 岩 類 [ 安 山岩 ・ 自 破 砕 安 山 岩 ] A-2b B-1a 10 瓜 田 ダ ム 42.0 1998 白 亜 紀 ・ 四 万 十 帯 [ 砂 岩 , 泥 岩 , 砂 岩 泥 岩 互 層 , 緑 色 岩 ] ・ 一 部 に 新 第 三 紀 の 宮 崎 層 群 [ 砂 岩 ] A-3a B-1aB-1b 11 大 津 呂 ダ ム 40.6 2011 石 炭 紀 ~ジ ュ ラ 紀・ 丹 波 層 群 [ チ ャ ー ト ,緑 色 岩 , 粘 板 岩 , 砂 岩 ] A-3a B-1aB-1b 12 稲 葉 ダ ム 56.0 2010 第四紀 ・阿蘇火砕流堆積物[溶結 凝灰岩,軽石凝灰角礫岩] ・今市火砕流堆積物[溶結 凝灰岩] ・間隙堆積物 A-3b A-3b 3.一致率・調査密度の算出方法と検討結果 3.1 堤敷の地質分布及び岩級区分の一致率算出方法 一致率は実施設計段階の想定掘削平面と施工段階の 実績掘削平面をGIS で重ね合わせて,想定と実績が一 致する範囲の面積の堤敷面積に対する比率と定義した. なお,尾原ダムについては,実施設計段階で設定した CL 級 1 区分を施工段階で新たに 2 区分(CLH 級と CLL

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級)としたため,本論では同一岩級条件で比較可能な 河床部の10 ブロックのみを検討対象とした. 表-3 に示すように岩級区分については,堤敷面積に 対して,想定と比較して実績が上位岩級となった面積 の比率(A)と,実績が下位岩級となった面積の比率(R) についてもGIS で重ね併せて算出した.また,想定と 実績が一致する比率は「完全一致率(K)」,K と A の比 率の合計を「安全側一致率(K+A)」と定義した. 図-1 に安全側一致率(K+A)と完全一致率(K)の関係 を示す. K+A,K とも 100%に近い場合はリスク小で 経済性が高い理想的な調査結果である.K+A は高いが K が低い場合は経済性に劣り,K が低く,かつ K+A も 低い場合にはリスク大で経済性が低い. 3.2 調査密度の算出方法 調査密度は他ダムとの比較が容易な調査ボーリング を対象として堤敷100m2に対するボーリング孔数と定 義した.なお,対象とした調査ボーリングは施工前の ものであり,施工段階で実施したものは本論では含ま ない. 調査密度算出の対象ボーリング孔数は,堤敷内と堤 敷直近の調査ボーリング孔数とした.堤敷直近は,一 般的なブロック幅である 15m の半分程度を目安とし, 堤敷から7.5m の範囲とした. 3.3 地質分布の一致率に対する考察 表-3 に示すように,地質分布の一致率は,65%より 低いダム,70%~80%程度のダム,85%以上のダムの 3 つのグループに分けられる. 地 質 分 布 の 一 致 率 が 65%よりも低かったダムの要 因について記載する. 図-2~図-5 には,瓜田ダムと,大津呂ダム,尾原ダ ム,大山ダムにおける基礎掘削面の地質分布及び岩級 区分の想定と実績を示す. 地質タイプA-3a に対比される瓜田ダム(図-2

一 致率50%

は付加体の堆積性メランジュをダム基礎と し,数m~数 10m 規模のオリストリスの大きさ,形状, 分布の他,複雑な分布をなす断層(シヤーゾーン)の 正確な把握が困難であったことが地質分布の一致率低 下の主な要因である.なお,大津呂ダム(図-3,一致率 71%)の基礎掘削面にも堆積性メランジュが分布する が,瓜田ダムほど地質分布が複雑でないため,一致率 が大きく低下しなかったものと考えられる. 地質タイプ A-2a に対比される西之谷ダムと地質タ イプA-2b に対比される本河内低部ダムの基礎岩盤は, 堆積岩と火山岩で異なっているが,概ね水平かつ層状 に分布するという点で類似している.水平かつ層状に 分布する地質については,鉛直ボーリング孔間の情報 を比較的精度良く推定し易く,西之谷ダムや本河内低 部ダムも粗掘削段階においては概ね想定通りの地質分 布が確認された.しかし,河床部において薄皮状に残 留した地質については仕上げ掘削段階で掘削除去して おり,想定地質の下位の地質が露出したことが一致率 を大きく低下させた要因となっている. したがって,付加体の堆積性メランジュの場合が, 真の意味で地質分布の一致率が低い地質タイプと考え ることができる. 表-3 一致率と調査密度の算出結果 実 績 が 上 位 岩 級 へ ( A ) 完 全 一 致 率 ( K ) 実 績 が 下 位 岩 級 へ( R ) 安 全 側 一 致 率 ( K + A ) 1 志 津見ダ ム A-1 11,206 89 38 42 20 80 40 0.36 2 尾原ダ ム A-1 10,779 80 20 46 34 66 55 0.51 3 嘉 瀬川ダ ム A-1 24,960 100 30 56 14 86 42 0.17 4 大 保本ダ ム A-2a 14,146 99 32 61 7 93 28 0.20 5 井 手口川 ダム A-2a 6,682 86 15 78 7 93 39 0.58 6 西之谷ダム A-2a 3,840 58 1 99 0 100 42 1.09 7 本河 内高部 ダム A-2b 3,139 70 3 92 5 95 17 0.54 8 本河 内低部 ダム A-2b 904 63 31 60 9 91 24 2.65 9 大山ダ ム A-2b 15,867 81 22 57 21 79 55 0.35 10 瓜田ダ ム A-3a 5,417 50 29 52 19 81 53 0.98 11 大 津呂ダ ム A-3a 4,715 71 24 56 20 80 26 0.55 12 稲葉ダ ム 第四 紀火砕 流 A-3b 10,112 95 3 92 5 95 27 0.27 花崗 岩類 層状 の 整然 層 新第 三紀 火山 岩類 付加体 堆積 性メ ラン ジュ 地質タイプ1) (初生的構造) 一致率(%) 堤敷全体の調査密度 地質 分布 岩級区分 堤敷+7.5m内 のボーリング (本) 調査密度 (本/100m2 ) No. ダム名 堤敷 面積 (m2 ※表-3 中のカラーバーは各々の一致率の割合を示す 0 20 40 60 80 100 0 20 40 60 80 100 完全 一致率 (K) (% ) 安全側一致率(K+A)(%) A‐1(花崗岩) A‐2a(整然層) A‐2b(火山岩) A‐3a(メランジュ) A‐3b(第四紀火砕流) 井出口川 大保 本河内低部 嘉瀬川 西之谷 稲葉 志津見 尾原 大山 大津呂 瓜田 リスク 大 小 経 済 性 高 低 本河内高部 ① 井出口川 大保 本河内低部 西之谷 稲葉 大山 大津呂 瓜田 リスク 大 小 経 済 性 低 本河内高部 ① ② 図-1 安全側一致率と完全一致率の関係 3.4 岩級区分の一致率に対する考察 3.4.1 一致率の特徴 完全一致率(K)は,表-4 に示すように,80%以上の グループ①と40~60%グループ②に分けられる.なお, 地質タイプが等方均質(A-1)である花崗岩は,地質分布

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の一致率が80~100%と高いのに対し,岩級区分の完 全一致率が最も低い. 完全一致率40~60%のグループ②を対象として,実 績が上位岩級の分布比率(A)と下位岩級の分布比率(R) の割合をみると,表-5 に分類するように,志津見ダム, 嘉瀬川ダム,大保本ダム,本河内低部ダムはA が R よ り明らかに大きく,大山ダム,瓜田ダム,大津呂ダム はA と R が同等ないしは A が R より若干大きい.ま た,尾原ダムはA より R が大きい. 表-4 完全一致率によるグループ分けと地質タイプ グループ 完全一致率 地質タイプ ① 80%以上 整然層・火山岩・第四紀火砕流(水平層) ② 40~60% 花崗岩類・火山岩・ 堆積性メランジュ 表-5 グループ②の A/R の割合による分類 A/R の割合 ダム名 ※( )内は A/R 値 A>>R 志津見本河内低部(1.9),嘉瀬川(2.1),大保(4.6), (3.4) A≒R~A>R 大山(1.0),瓜田(1.5),大津呂(1.2) A<R 尾原(0.6) 岩級区分の安全側一致率(K+A)は,A に比べてR の割合が多い尾原ダムは66%と低く,それ以外のダム は80%程度以上の一致率を示す. リスクと経済性の観点では,グループ①はリスクが 低く,経済性が高い.グループ②はグループ①に比べ てリスクが大きく,経済性がやや低い.グループ②の なかでも尾原ダムは,完全一致率(K)が 46%と低く, A より R の割合が多く,かつ K+A が 66%であること から,最もリスクが大きく経済性が劣る. 3.4.2 リスクが大きく,経済性が低くなった要因 グループ②の地質タイプ別に代表的な4 ダムについ て,リスクが大きく経済性がやや低くなった要因を考 察する. 1) A-1(白亜紀花崗岩類)尾原ダム(図-4) 調 査 時 に ボ ー リ ン グ や 横 坑 で 捉 え て い た 高 角 度 の F-2,F-4 断層といった主断層の他に,それらと共役系 の断層が数条分布し,この共役系断層沿いの岩級が想 定よりも下位であったため安全側一致率が低下した. 共役系の断層は幅 5~最大 30cm 程度と小規模であっ たが,断層沿いはD 級,周辺部は CL 級評価となり, 高角度であったため,既往調査ボーリングでは捉える ことができなかった.また,調査時には,主断層の方 向のみにとらわれた調査を行ってきたことも安全側一 致率および完全一致率の低下に繋がったと考えられる. 2) A-2b(新第三紀火山岩類)大山ダム(図-5) 施工段 階で D 級岩盤 を伴 う 複数の 高角 度 断層が 河床 部で確認されたため,岩級区分の安全側一致率は79% とやや低い結果となった.河床部の高角度断層を想定 できなかった要因は,ダムサイト全体に局部的な脆弱 部が存在しており,調査時のボーリングコアでは細粒 分を流出したコアが多く,コアの評価を断層による破 砕部ではなく,局部的な脆弱部と評価していたことで ある.また,鉛直ボーリング主体の調査であったこと, 断層が民家のあった段丘面の下位に伏在していたこと から調査坑による確認が難しかったため,高角度断層 を捉えることができなかったものと考えられる. 3) A-3a(メランジュ)瓜田・大津呂ダム(図-2,3) 瓜田・大津呂ダムは,地質タイプに起因した地質分 布の複雑さと小規模な断層(シヤーゾーン)の把握が 困難なことが要因である.また,へき開の発達した泥 質岩はボーリングコアでは分離しているが,掘削面で は密着している場合が多く,調査時に比較して掘削面 では上位岩級に区分されたことも要因である. 3.4.3 A>>R となった要因 グループ②でA が R より圧倒的に大きい 2 ダムにつ いて,その要因を考察する. 1)A-2a(層状の整然層)大保本ダム 大保本ダムは千枚岩をダム基礎とする.河床部に分 布する未風化の千枚岩はボーリングコアでは分離して いるが,掘削面では密着している場合が多く,調査時 に比較して掘削面で上位岩級に区分されたことが要因 である. 2)A-2b(新第三紀火山岩類)本河内低部ダム 本河内低部では,前述のとおり河床部に薄皮状に残 留した地質を仕上げ掘削段階で掘削除去しており,そ の下位に分布する上位岩級の地質が掘削面に分布した ことが要因である. 3.5 一致率と調査密度に関する考察 図-6 に調 査 ボーリ ングの 調査密 度と堤 敷面積 の関 係図を示す.調査密度は,堤敷100m2に対するボーリ ング孔数と定義した関係上,ダム規模に応じてまちま ちであるが,ダムサイトの地質調査は一般的に 20 な いし40m グリッド方式で実施され,40m グリッドで調 査が実施された場合,調査密度は0.25(本/100m2)とな る.今回の事例では,概ね調査密度0.25 程度もしくは それ以上であり,相当の調査が実施されている. 堤 敷 面 積 が大き い ほ ど 調査密 度 が 小 さくな る 傾 向 が 読 み 取 れ る が , 例 え ば , 地 質 タ イ プ が 等 方 均 質(A-1) である花崗岩のサイトにおいて,嘉瀬川ダムは,他の 尾原ダムや志津見ダムと比較して,調査密度は低いに も関わらず,地質ならびに岩級の安全側一致率が高い 結果となっている.これは,左右岸堤敷内に横坑が適 切に配置され,調査精度が向上したためと考えられる. 一 方 , 尾 原ダム や 志 津 見ダム で は , 嘉瀬川 ダ ム と 比 較して調査密度は高いものの,断層(変質帯)の膨縮 や周辺の劣化部を適切に把握することができなかった ことや主断層から派生する複数の断層の存在が岩級の

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地 質 分 布 岩 級 区 分 実施設 計 段階 の 想 定 施工段 階 の 実 績 一致率 50% 完 全 一 致 率 52% 安全側一致率 81% 地質 凡例 地質 凡例 図-2 瓜田ダム基礎掘削面の地質分布及び岩級区分の想定と実績 地 質 分 布 岩 級 区 分 実施設 計 段階 の 想 定 施工段 階 の 実 績 一致率 71% 完 全 一 致 率 56% 安全側一致率 80% 地質 凡例 岩級 凡例 図-3 大津呂ダム基礎掘削面の地質分布及び岩級区分の想定と実績

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地 質 分 布 岩 級 区 分 実施設 計 段階 の 想 定 施工段 階 の 実 績 一致率 80% 完 全 一 致 率 46% 安全側一致率 66% 地質 凡例 岩級 凡例 図-4 尾原ダム基礎掘削面の地質分布及び岩級区分の想定と実績 地 質 分 布 岩 級 区 分 実施設 計 段階 の 想 定 施工段 階 の 実 績 一致率 81% 完 全 一 致 率 57% 安全側一致率 79% 地質 凡例 岩級 凡例 図-5 大山ダム基礎掘削面の地質分布及び岩級区分の想定と実績

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0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 0 5000 10000 15000 20000 堤高 (m) 弾性波全長(m) ダムタイプ別 堤高と弾性波全長 重力(n=47) アーチ(n=6) フィル(n=30) 22 40 35 4 15 13 6 25 32 3 10 7 27  62  91  75  66  53  0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 1960年代 1970年代 1980年代 1990年代 2000年代 2010年代 弾性 波探 査 実 施割合 (%) 竣 工 ダ ム 数 と弾 性波 探査 実施 ダ ム 数 竣工年 年代別の弾性波探査実施ダムの推移 竣工ダム数 弾性波実施ダム数 実施割合% 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 0 20 40 60 堤高 (m) 弾性波測線数(測線) ダムタイプ別 堤高と弾性波測線数 重力(n=44) アーチ(n=2) フィル(n=28) 安全側一致率を低下させた要因と考えられる.つまり, 比較的調査ボーリングの調査密度が高い場合でも,高 角度断層やこれらの高角度断層から派生する小規模な 断層や劣化部の範囲を現状のような鉛直を基本とする 調査ボーリングのみで適切に把握するには限界がある と考えられる. 0.00 0.25 0.50 0.75 1.00 1.25 1.50 1.75 2.00 2.25 2.50 2.75 3.00 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 調査密度(本 /1 002堤敷面積(m2) A‐1(花崗岩) A‐2a(整然層) A‐2b(火山岩) A‐3a(メランジュ) A‐3b(第四紀火砕流) 本河内低部 西之谷 瓜田 大津呂 井出口川 本河内高部 嘉瀬川 大山 大保 志津見 尾原 稲葉 図-6 調査ボーリングの調査密度と堤敷面積の関係 4.ダム地質調査における物理探査 ダムサイト全体を対象とした調査としては,ダムサ イトに内在する地質的課題を予察段階から実施設計段 階に向けて着実に狭めていくよう実施されるべきであ るが,近年はある程度調査が進んだ段階で大規模断層 や岩盤緩み等の地質的に大きい課題が発見される場合 も少なくなく,その課題対応のための調査が当初の調 査数量(予算)や事業工程の見込みから大きなずれと なることもある.したがって,調査の初期段階までに ダムサイト全体を対象とした地質的に大きな課題の有 無あるいは可能性を把握しておく必要性は高い. ここで,ダムサイトを対象とした弾性波探査の実施 状況を把握するために,当ダムWG で情報収集してい る31 ダムに加えて土木学会3)で紹介されている98 ダ ムの情報を加えた129 ダム(重力式コンクリートダ ム:73,アーチ式コンクリートダム:17,フィルダム: 39)における弾性波探査の測線数と測線延長を整理し た.その結果,弾性波探査を実施しているダムは64% に該当する83 ダム(重力式コンクリートダム:47, アーチ式コンクリートダム:6,フィルダム:30)で あり,図-7 及び図-8 に示すように,堤高が高くなる ほど探査測線数も測線延長も増加する傾向にあること がわかる(このうち,重力式3 ダム,アーチ 4 ダム, フィル2 ダムについては測線数が不明). 次に竣工年別に弾性波探査の実施率を図-9 に示す. 1960 年代竣工ダムの実施率が 27%と著しく低いが, 実際に弾性波探査の実施時期が竣工年の遙か前である ことと,ダム建設を目的とした屈折波法弾性波探査が 国内で初めて実施されたのが1931 年(東北電力(株) の梵字川ダム)であることを考慮すると,発展期とし て当然とも言える.その後,1970 年代竣工ダムでは実 施率が62%まで上昇し,1980 年代竣工ダムでは 91% とピークを迎えている.しかし,その後は徐々に実施 率が低下し,2010 年代には 53%まで低下している. 1990 年代以降の竣工ダムで弾性波探査を実施して いないダムは12 ダムであり,9 ダムが火山岩分布域, 3 ダムが火砕流分布域で建設されたダムである.いず れも硬質岩盤(溶岩の塊状部や溶結凝灰岩等)の下位 に軟質岩盤(溶岩の自破砕部や間隙堆積物等)が分布 する地質特性があるため,深部ほど速度値が増す単純 モデルで表現する屈折波法弾性波探査に不向きである ことが弾性波探査を実施しないという判断に結びつい た主な理由であると考えられる.また,調査ボーリン グにおいてコアパックの利用などコア採取技術向上に 図-7 弾性波探査測線数と堤高の関係 図-8 弾性波探査測線延長と堤高の関係 図-9 竣工年代別の弾性波探査実施ダムの推移

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より,地質調査におけるボーリングの依存度合いが増 したことも一つの要因と考えられる. しかし,このような状況下において前述した河床部 の断層の位置情報の見誤りや見落としが招く岩級区分 の安全側一致率の低下が生じていることは事実であり, 風化層の厚さや岩盤緩みの有無把握の他に,鉛直ボー リングでは捉えられないことがある高角度断層の存在 を調査初期段階までに行われる物理探査で捉えること への期待は大きいと考える.無論,物理探査で捉えた 断層やその他の地質的課題が存在する可能性がある箇 所に対しては,後続のボーリング調査等で確認する必 要はある. また,地質技術者はダムサイトに内在する可能性の あるリスクを事前に想定し,適切な調査計画を立案す るとともに,物理探査結果を他の様々な地質調査結果 などと対比したりするなど地質的な解釈を踏まえて物 理探査結果を有効的に活用していく必要がある. 5.まとめ 本論では,ダムWG で収集した竣工ダム 12 事例の 基礎掘削面及び調査ボーリングの数量に関する情報に 基づき,地質タイプ1)に応じた調査精度(一致率、調 査密度)について検討を行った.また,129 ダムを対 象とした弾性波探査の実施の有無や実施数量を整理し, 調査初期段階で地山内部に存在する地質課題を発見す るために物理探査への期待が大きいことを述べた. 検討結果は,以下のようにまとめられる. (1) 収集した 12 ダム(5 つの地質タイプ)の基礎 掘削面上における地質分布の一致率について,付 加体の堆積性メランジュが一致率の低い地質タイ プと考えることができる. (2) 岩級区分の安全側一致率(A+K)と完全一致率 (K)の関係から,収集した事例において,整然層や 第四紀火砕流の水平堆積層では,リスクが低く(安 全側一致率高い),経済性(完全一致率高い)も 高い傾向がある.一方,花崗岩類,火山岩類,メ ランジュ類はリスクがやや大きく,経済性がやや 低くなる傾向がある. (3) 岩級区分の安全側一致率(A+K)は 80%前後の ダムと90%以上のダムに分けられ,80%前後の 4 ダムは共役系の小規模な断層の分布位置や破砕規 模が想定と異なっていたことや想定外の断層が分 布していたことによる岩級評価の低下がその要因 となっている.泥質岩の未風化部のボーリングコ アはへき開や片理面,層理面沿いに分離している が,掘削面では密着し,調査時点に比較して掘削 面の実績が上位岩級に区分される場合が多い. (4) 調査密度については,各ダムで相当の調査ボー リングが実施されているが,比較的調査ボーリン グの調査密度が高い場合でも,高角度断層や高角 度断層から派生する小規模な断層や劣化の範囲を 現状のような鉛直を基本とする調査ボーリングの みで適切に把握するには限界があると考えられる. (5) ダムの地質調査における弾性波探査の実態に ついて,既往事例等から整理を行い,近年,弾性 波探査を実施していない理由として,ダムサイト が火山岩や火砕流堆積物分布域であり,屈折波法 弾性波探査が不向きであったことや調査ボーリン グコアの採取技術の向上により調査におけるボー リング調査への依存度合いが増加したことが未実 施の理由と考えられる. (6) ダムの地質調査における物理探査では,岩級区 分の安全側一致率の低下の要因となりうる河床部 の高角度断層の存在など,鉛直ボーリングでは捉 えられないことがある高角度断層の存在を調査初 期段階までに捉えることへの期待は大きいと考え る.また,地質技術者は内在する可能性のあるリ スクの事前想定,適切な調査計画の立案及び地質 的解釈を踏まえた探査結果を有効的に活用してい くことが求められる. 6.おわりに 今後は,既に情報収集している31 ダム中の残り 19 ダムの情報整理を進めるとともに,地質タイプ別に見 た個々の断層の一致率に対する検討や地質タイプ別に 見た調査密度を上げるべき箇所の検討を行うとともに, 地質タイプ別や断層の存在に対して,調査時点でリス クに対する担保をどの程度見込んでおくべきか(安全 側に評価すべきか)について定量化することを検討す る予定である. また,ボーリング情報,調査坑情報,止水処理段階 におけるパイロット孔情報を取り込んだ鉛直断面図で の一致率や調査密度の検討も進めながら,土木地質図 作成に際しての地質調査のあり方を検討していく予定 である. 引用文献 1) 永田秀尚(1990):予測性の観点からの地質体の分類 と記述,応用地質,Vol.31,No.1,pp.29-36. 2) 日本応用地質学会土木地質研究部会ダムワーキン グ(2014):ダム基礎掘削面における地質タイプ別 の地質図の一致率と調査密度,日本応用地質学会平 成26 年度研究発表会講演論文集,pp.189-190. 3) (社)土木学会(1991):ダムの地質調査,土木学会 岩盤力学委員会,pp.29-32.

参照

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