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「低炭素社会型木造住宅」の検証と提案 [ PDF

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(1)「低炭素社会型木造住宅」の検証と提案. 冨田 昌平. 1.はじめに. 度を上昇させることはない。一方、化石資源から排出. 地球環境問題の深刻化を受け、我が国でも低炭素社. される炭素は一度排出されたら吸収されず、一方的に. 会の確立が喫緊の課題となっている。特に建築分野の. 大気中の二酸化炭素濃度を上昇させる。ただし、次世. 二酸化炭素排出量は全体の約 3 分の 1 を占め、一刻も. 代の吸収量が減少すればその分循環炭素も減少するた. 1). 早い低炭素化が求められている 。その中で、木造住. め、低炭素社会の確立に向けては、非循環炭素の排出. 宅はエネルギー集約度の低い木材を主要構造体として. を抑えることと、地上生態系による吸収量を増やすこ. いることから、他の構造形式に比べて資材生産時の二. とが重要である ( 図1)。. 酸化炭素排出量が少なく、加えて木材利用の拡大や、. 3−2.低炭素社会の確立に向けた我が国の動向. 炭素固定能力の観点. 2). からも、低炭素社会を確立する. 1997 年に「京都議定書」が採択され、現在は 2008. 上でその社会的役割は大きいと考えられる。. 年から 2012 年までの第一約束期間に属すが、この期. しかし、既往研究では木造住宅の低環境負荷性に関. 間で我が国は 1990 年比で 6% の温室効果ガス排出削減. しては明らかにされているが、炭素貯蔵効果に関して. を約束している。2002 年に定められた「地球温暖化. は十分に明らかにされていない。低炭素社会の確立に. 対策推進大綱」( 以下「大綱」) には、「国内排出量の. 向けては、木造住宅の炭素貯蔵効果を評価し、木造住. 削減」「森林吸収源対策」「京都メカニズム」の 3 つの. 宅への木材利用方法に関する具体的な指針を確立する. 施策によって目標を達成することが示されている。. ことが重要である。. また、2008 年には内閣に設置されている「地球温. そこで本研究では、低炭素社会における木造住宅の. 暖化対策本部」内に「低炭素社会づくり推進連絡会議」. 要件を整理するとともに、要件に基づいた木材利用方. が置かれ、「低炭素社会づくり行動計画」が作成され. 法を検証することによって、低炭素社会の確立に資す. たが、この中で 2050 年までに現状から 60% 〜 80% の. る木造住宅「低炭素社会型木造住宅」の実現に向けて. 温室効果ガス削減の目標が示されている。. の知見を得ることを目的とする。. 3−3.低炭素社会の確立に向けた森林・林業の動向. 2.研究の方法. 3−3−1.森林・林業基本計画. まず、第一に、近年の低炭素社会と木造住宅に関す. 2001 年に「林業基本法」の改正に伴い、「森林・林. る論点を整理し、低炭素社会における木造住宅の要件. 業基本計画」( 以下「基本計画」) が策定され、森林・. を明らかにする。第二に、炭素収支を用いて、要件に. 林業政策はそれまでの木材生産を主体とした政策か. 基づいた木材利用方法の検証を行う。. ら、環境機能を重視した森林の有する多面的な機能. 3.低炭素社会と木造住宅. の持続的発揮を図るための政策へと転換した。また、. 3−1.低炭素社会の定義. 2003 年からは「基本計画」の目標達成と、「大綱」に. 地球温暖化は大気中の温室効果ガス濃度が増加し、. おいて目標とされた森林吸収量を確保することを目指. 大気による温室効果が強化されることで起るとされて. して、「地球温暖化防止森林吸収源 10 カ年対策」が実. 3). いる 。低炭素社会とは、地球温暖化の進行を緩やか. 施されており、2004 年度から 2006 年度まで毎年 58. にする、もしくは止める仕組みを持つ社会のことであ. 万 ha 程度の森林整備が行われたが、2007 年度からは. り、温室効果ガス、特に二酸化炭素の排出量が少ない. 更に毎年 20 万 ha 程度の追加整備を実施する予算が組. 社会のことである。そのなかで、炭素には循環する炭. まれた。追加の 20 万 ha のほとんどは間伐等の森林整. 素 ( 以下循環炭素 ) と循環しない炭素 ( 以下非循環炭. 備となり、20 万 ha 分、約 840 万㎥の間伐材が発生する。. 素 ) があるとされており 4)、生物資源から排出される. 森林整備を持続的に進めるためにはこれらを消費する. 炭素は大気中に排出されても次世代の生物による吸収. 需要を産み出さなくてはならず、間伐材の利用を拡大. が保証されている限り循環し、大気中の二酸化炭素濃. する必要がある。. 1) 我が国の建築関連 CO2 排出量の 2050 年までの予測—建築・都市の環境負荷に関する研究−、伊香賀俊治他、日本建 築学会計画系論文集、2000 年 2) 木材利用による二酸化炭素排出削減と炭素貯蔵効果、有馬孝礼、日本建築学会大会学術講演梗概集、2007 年 3)IPCC 第四次評価報告書 第一作業部報告書 技術要約、気象庁翻訳、2007 年 4) 日本林業のための木材利用、外崎真理雄他、日本エネルギー学会誌 84 巻 12 号 P973-979、2005 年. 23-1.

(2) 3−3−2.二酸化炭素吸収源としての森林. 1中央下 )。長期的にすべての国のカウントを見れば、. 二酸化炭素を吸収する森林は、森林が成熟するとと. 貯蔵量 ( 吸収量 )、排出量の合計はすべての方式で同. もにその吸収量は少なくなり、最終的には見かけ上吸. じとなる理屈であるが、どの方式を採用するかによっ. 収も排出もしていない平衡状態となる ( 図1左下 )。. て木材輸出国と輸入国では吸収量、排出量のカウント. 吸収量を維持するためには森林内に一定量の若齢木を. に大きな差が生じ、各国の木材貿易による利害が発生. 含んでいる必要があり、そのためには森林の適切な維. するため、第二約束期間以降の取り決めについては現. 持管理が必要であるが、我が国の林業は輸入材に押さ. 在 (2010 年 1 月時点 ) でも合意に至っていない。重. れ衰退し、適切な維持管理を行うことが難しい状況に. 要なことは木材利用にインセンティブが働く方式を採. ある。森林に適切な維持管理を施すためには、国産材. 用することであり、我が国においては国産材の利用が. の利用を拡大することで我が国の林業に経済的なイン. 拡大するような方式の採用を主張するべきである。. センティブを与える必要がある。. 3−4.低炭素社会の確立に向けた建築分野の動向. 3−3−3.木材の炭素貯蔵効果. 建築関連分野では 2000 年に関連 5 団体により「地. IPCC 第三次評価報告書では、森林などの陸上生態. 球環境・建築憲章」が作成され、長寿命、自然共生、. 系には気候変化緩和のポテンシャルがあることが示さ. 省資源・循環など 5 つの基本理念が示された。また、. れており、有馬. 5). はこれらを木材利用の二酸化炭素削. それを受けて 2009 年には建築関連 17 団体により提言. 減効果として①炭素貯蔵効果、②省エネルギー効果、. 「建築関連分野の地球温暖化対策ビジョン 2050」が発. ③エネルギー代替効果とまとめ直している。中でも①. 表され、低炭素化に向けて、将来的には新築、既存を. の炭素貯蔵効果は、樹木の光合成を通して大気中の二. 問わず全建築物においてカーボン・ニュートラル化に. 酸化炭素を炭素として地上に固定することにより、大. 取り組むことが示された。. 気中の二酸化炭素量を直接的に減らす重要な効果で. 住宅分野では、2006 年に「住生活基本法」が公布. ある。ただし、長期的な視点で見れば効果は永続的に. され、ストック重視の住宅政策へ転換した。また、. 発揮されるものではなく、「ほかのオプションのさら. 2008 年には住宅の長寿命化は環境負荷の低減と国民. なる開発や実施を行う時間の猶予を与える可能性があ. の暮らしの向上につながるということから、「長期優. 6). る」 ということであるが、一刻も早い低炭素社会の. 良住宅促進法」が公布され、長期優良住宅の普及が進. 確立が求められている現在においては、木材利用によ. められている。. る炭素固定は有効な手段であり重要である。. 3−5.低炭素社会における木造住宅の要件. 3−3−4.伐採木材製品の取り扱い. 以上より、低炭素社会の確立に向けては二酸化炭素. しかし、京都議定書の第一約束期では樹木は伐採さ. 排出量の削減と吸収量の増加が不可欠であるが、その. れた時点で排出と見なされるため、伐採木材製品によ. なかで、木材を主要構造材とする木造住宅においては、. る炭素固定能力は評価されない。そのため、現行の「デ. 非循環炭素の排出量を抑えることはもちろん、木材利. フォルト法」に代わる評価方式が提案されている ( 図. 用の拡大と炭素貯蔵効果を大きく長く発揮することが 大気. NEE. EEX ED. EIM. ΔCEX. IM. EX H ΔCD. ΔCIM. 陸上 海洋. 若齢段階. 成熟段階. 老齢段階. 地中 沈殿物. 炭素貯蔵量 (t-C/ha). 炭素固定速度 (t-C/ha/ 年 ) 時間 ( 年 ). 森林の炭素固定速度. ΔCF=NEE-H ΔCD=H-ED-EX ΔCIM=IM-EIM ΔCEX=EX-EEX. デフォルト法(D):D=NEE-H. 短期的な炭素移動. NEE:森林の正味炭素吸収量. E:炭素排出量. プロダクション方式(P):P=NEE-ED-EEX. 長期的な炭素移動. H:伐採炭素量. EX,IM:輸出(入)炭素量. ストックチェンジ方式(SC):SC=NEE+IM-EX-ED-EIM. 添字F,D,EX,IM:森林、国内の国産材、輸出(入)材. 大気フロー方式(AF):AF=NEE-ED-EIM. 不定期な炭素移動. ΔC:炭素蓄積変化量. HWP に関わる炭素移動. 伐採木材製品 (HWP) の評価方式. 図1.地球上における炭素循環 6)7)8) を元に作成 5) 木材産業から見た温暖化対策と資源の持続性、有馬孝礼、月刊 学術の動向 2008 年 11 月号、財団法人 日本学 術協力財団、2008 年 6)IPCC第三次評価報告書 第三作業部報告書 気候変化2001:緩和対策 政策決定者向け要約、 経済産業省 他要約、 中央法規出版、2001 年. 23-2. 7) ポスト京都議定書における「伐採木材製品の取り扱い」に関する補足説明、シンポジウム《ポスト京都議定書に おける伐採木材の取り扱い》資料、HWP シンポジウム、2009 年 8) 木が守る地球と暮らし、社団法人 全国林業改良普及協会編、財団法人 日本木材総合情報センター、2000 年.

(3) 重要である。従って、低炭素社会における木造住宅の. 表1.炭素収支の原単位一覧. 要件として、1) 建設時から解体時、さらには解体材 の二次利用時において非循環炭素の排出を抑えるこ. 段階. 項目. 材料調達. と、2) 木材利用を拡大することで森林吸収源対策に 貢献し、森林吸収量を増やすこと、3) 新規の貯蔵炭 部材加工. 素量を増やすとともに既存の貯蔵炭素を維持・保全す. エネルギー消費量. 炭素排出量. 値. 単位. 値. 単位. 伐採・伐出(※1). 300.00. MJ/㎥. 5.85. kg-C/㎥. MJ/㎥. 86.51. kg-C/㎥. 製材製造(※1). 2778.75. 集成材製造(※2). -. 合板製造(※1). 6910.00. 鋼材製造(※1). 66.93. kg-C/㎥. MJ/㎥. 156.00. kg-C/㎥. 35000.00. MJ/t. 700.00. kg-C/t. 48,000.00. MJ/㎥. 120.0. kg-C/㎥. (2,000.00). (MJ/t). ることで、炭素貯蔵効果を大きく長く発揮することの. コンクリート製造(※1). (50.0). (kg-C/t). 3 点が挙げられる。なかでも、1) の非循環炭素の排出. 木材輸送(※3). -. 0.13. kg/㎥・km. 住宅建設. に関しては、既往研究において木造住宅の優位性が明 らかにされていることから、次章では 2) の木材利用 の拡大と 3) の炭素貯蔵量の増加と維持・保全のため の木材利用方法について、炭素収支を用いて検証する。. 施工工事(※4). -. 0.42. kg-C/㎡. 住宅使用. 住宅使用(※5). -. 4.28. kg-C/㎡/year. 住宅解体. 解体工事(※6). -. 二次利用. PB製造(※1). 10610.00. MJ/㎥. 2.48. kg-C/㎡. 224.00. kg-C/㎥. ※1 9)の値を参照。一部修正。※2 10)の値を参照。※3 11)の値を参照。※4 12)の値を参照。※5 13)の値を参照 ※6 14)の値を参照。. 表2.炭素収支の条件設定一覧. 4.木材利用方法の検証. 項目. 値. 幹材歩留り(※1). 64.90. %. 幹材量. 443.46. ㎥/ha %. 段階. 4−1.炭素収支算出方法の概要. 材料調達. 既往研究 9) の炭素収支モデルを参考に、新たな原単 位 ( 表1) と条件 ( 表2) の下で、1 戸の木造住宅建. 部材加工. 製材加工歩留り(※1). 60.00. 集成材加工歩留り(※7). 33.60. %. 住宅延床面積. 125.86. ㎡/戸. 0.22. ㎥/㎡. 設に関わる炭素収支 ( 以下住宅の炭素収支 ) と、森林. 木材使用量(※8). 吸収量も含めた大気中の炭素収支 ( 以下大気の炭素収. 合板使用量(※1). 住宅建設. 支 ) を算出した。住宅の炭素収支については、炭素排 出量 ( 以下排出量 ) と炭素貯蔵量 ( 以下貯蔵量 ) を表 現し、排出量に関しては循環炭素と非循環炭素とに区 別した。大気の炭素収支については、大気中の炭素量. 二次利用. の増減を表現した。森林吸収量に関しては、熊本県の. 単位. 6mm未満. 0.64. 6mm以上. 1.04. ㎡/㎡. 鋼材使用量(※8). 14.00. kg/㎡. セメント使用量(※8). 81.00. kg/㎡. コンクリート使用量(※8). 0.21. ㎥/㎡. 解体材歩留り(※1). 60.00. %. PB製造歩留り(※1). 80.00. %. ※1 9)の値を参照。一部修正。※7) 15)の値を参照。 ※8) 国土交通省の建設資材・労働力需要実態調査(平成18年度)の値を参照。. 森林を想定し、既往研究 16) を参考に森林 1ha 当たり の年間吸収量と総吸収量を算出した。森林の伐採サイ. 植林. 生長. クルに関しては、吸収効率が最も良いとされる 50 年 16). 伐採. 植林. 生長. 伐採. 植林. 生長. 伐採. 植林. 建設. 使用. 解体. 建設. 使用. 解体. 建設. 製造. 使用. 廃棄. 製造. 森林伐採 1 サイクル. と、その倍の 100 年を設定し、住宅の寿命について. 住宅寿命. も森林の伐採サイクルに合わせ 50 年と 100 年を設定 二次利用. し、森林から伐採された木材は全て住宅建設に使用さ 50 年 (100 年 ). れると設定した ( 図2)。なお、大気の炭素収支にお. 50 年 (100 年 ). 50 年 (100 年 ). 図2.森林伐採と住宅寿命のサイクル. いては、値がプラスであれば吸収量が排出量を上回っ. 表3.製材と集成材の炭素収支 ( 単位:t-C). ているため大気中の炭素量の減少を意味し、マイナス. 集成材. 製材. であれば逆に大気中の炭素量の増加を意味する。. 段階. 4−2.住宅の炭素収支による検証. 炭素排出量 循環. 非循環. 小計(累計). 4−2−1.歩留りと排出原単位の影響 材料調達. まず、住宅の炭素収支として製材と集成材の炭素収 支を比較すると ( 表3)、使用木材量が同じであるた. 部材加工. め貯蔵量に差はないが、「材料調達」段階と「製材加. 住宅建設. 工」段階において、製材よりも集成材の排出量が多く 住宅解体. なっている。これには集成材の歩留りの低さが影響し ていると考えられ、加工歩留りが低い集成材は多くの. 二次利用. 幹材を必要とし、それにともなって「材料調達」段階 における木材廃棄量とエネルギー消費量、「部材加工」. 最終廃棄 合計. 段階における木材廃棄量が多くなり、その結果排出量 が多くなっていると考えられる。. 4.74. 0.27. 5.01(5.01) 3.51. 2.40. 5.90(10.91) 0.00. 5.18. 5.18(16.10) 0.00. 0.31. 0.31(16.41) 2.74. 2.98. 5.71(22.12) 2.53. 0.00. 2.53(24.65) 13.51. 11.14 24.65. 循環:木材の廃棄によって発生した炭素排出量. 9)地球環境保全と木材利用、大熊幹章、林業改良普及双書、2003 年 10) 現地調査に基づく地場産構造用集成材の環境影響評価、津田公平他、日本建築学会技術報告集第 24 号、2006 年 11) ウッドマイルズ関連指標算出マニュアル Ver.2008-01、ウッドマイルズ研究会、2008 年 12) 木質系建材の環境評価のための基礎的研究−その 9 研究の総括−、 吉田弥明他、 日本建築学会大会学術講演梗概集、 2009 年. 23-3. 炭素 貯蔵量 8.77 5.26 5.26 5.26 2.53 0.00 0.00. 炭素排出量 循環. 非循環. 小計(累計) 8.47. 0.48. 8.95(8.95) 10.40. 1.85. 12.25(21.20) 0.00. 5.18. 5.18(26.38) 0.00. 0.31. 0.31(26.70) 2.74. 2.98. 5.71(32.41) 2.53. 0.00. 2.53(34.94) 24.13. 10.81 34.94. 炭素 貯蔵量 15.66 5.26 5.26 5.26 2.53 0.00 0.00. 非循環:エネルギー消費によって発生した炭素排出量. 13) 環境共生住宅における省エネルギー性並びに環境性評価に関する研究 その 3 LCCO2 に基づく環境性評価、小 椋孝二他、日本建築学会中国支部研究報告書 第 30 巻、2007 年 14)解体段階におけるエネルギー使用量及び二酸化炭素排出量調査 その 1.解体工事におけるエネルギー使用に 伴う二酸化炭素排出量、福田俊之他、日本建築学会大会学術講演梗概集、2001 年 15)建築知識 2007 年 07 月号 P100 − 101、建築知識編集部、株式会社エクスナレッジ、2007 年.

(4) 4−2−2.木材使用量の影響. 造住宅の炭素収支を算出することで検証した。その結. 次に、木材利用を拡大した場合の影響を検証するた. 果、効率的に加工した木材を多く使用した木造住宅を. めに、製材と集成材それぞれの木材使用量を 2 倍、3. 長期間使用することによって、森林吸収源対策に貢献. 倍とした炭素収支を算出し、比較した ( 表4)。その. するとともに、大気中の炭素の増加を抑えることが可. 結果、木材使用量が増えるに従って貯蔵量とともに排. 能になると考えられる。従って、「低炭素社会型木造. 出量も増加するが、ここで、各段階の累計排出量を貯. 住宅」の開発にあたっては、“いかに多くの炭素を貯. 蔵量で除することで貯蔵量当たりの排出量を算出して. 蔵し、長時間保持するか”ということを念頭に置いて. みると ( 表5)、製材、集成材ともに木材使用量が増. 開発を進めていくことが重要である。 表4.木材使用量 2 倍と 3 倍の炭素収支 ( 単位:t-C). えるに従って少なくなっていく。. 製材. 4−3.大気の炭素収支による検証. 集成材. 2倍. 4−3−1.1 サイクルの炭素収支. 段階. 炭素排出量 循環 非循環. まず、1 サイクルの炭素収支を算出し、比較した ( 図. 3倍 炭素排出量. 炭素. 循環 非循環. 貯蔵量. 小計(累計). 3)。寿命が 50 年の住宅 ( 以下 50 年住宅 ) と 100 年. 9.48. 材料調達. 7.01. 部材加工. 年住宅の方が使用時間が長いため使用時における排出 量が多くなり、最終的な炭素収支は小さくなるが、総. 0.00. 0.00. 住宅解体. 次利用以降は 1 倍の方が大きくなる。. 合計. 次に、50 年住宅と 100 年住宅のサイクルを連続さ. 5.95. 5.05. 0.00. 27.02 16.84. 10.52. 7.19. 17.71(32.74) 0.00. 5.30. 5.30(38.04) 0.00. 0.31. 0.31(38.36) 8.21. 5.05. 0.00. 0.81. 15.04(15.04). 8.93. 17.14(55.50) 7.58. 0.00. 5.05(43.86). 43.86. 10.52. 14.23. 10.52. 11.43(38.81). 最終廃棄. 4−3−2.連続サイクルの炭素収支. 0.31. 5.47. 17.54. 10.52. 0.31(27.38). 二次利用. 増えると、住宅解体時までは 3 倍の方が大きいが、二. 5.24. 5.24(27.07). 排出量を寿命で除した年間当たりの排出量 ( 図6) で は、50 年住宅の方が多くなる。また、木材使用量が. 4.79. 11.81(21.83). 住宅建設. 炭素 貯蔵量. 小計(累計). 0.54. 10.02(10.02). の住宅 ( 以下 100 年住宅 ) を比較すると、当然、100. 2倍. 0.00. 7.58(63.07) 40.53 22.54 63.07. 3倍. 炭素排出量 循環 非循環. 貯蔵量. 小計(累計) 26.30. 15.78. 15.78. 15.78. 7.58. 0.00. 0.00. 16.94. 31.32. 3.71. 10.52. 24.50(42.40) 0.00. 5.24. 10.52. 5.24(47.64) 0.00. 0.31. 10.52. 0.31(47.95) 5.47. 5.95. 5.05. 11.43(59.38) 5.05. 循環 非循環. 炭素 貯蔵量. 小計(累計). 0.96. 17.90(17.90) 20.79. 炭素排出量. 炭素. 0.00. 0.00. 5.05(64.43) 48.25 16.18. 0.00. 64.43. 25.40. 1.45. 26.85(26.85) 31.19. 5.56. 36.75(63.60) 0.00. 5.30. 0.31. 15.78. 0.31(69.21) 8.21. 8.93. 17.14(86.35) 7.58. 0.00. 7.58. 0.00. 7.58(93.93) 72.38 21.55 93.93. 15.78. 15.78. 5.30(68.90) 0.00. 46.97. 0.00. 表5.炭素貯蔵量当たりの炭素排出量 ( 単位:t-C). せた場合の炭素収支を算出し、比較した ( 図4)。ど ちらも時間が経ちサイクル数が増えるにしたがって炭. 段階. 素収支の値は小さくなるが、年間あたりの排出量が少. 材料調達. ない 100 年住宅の方がその傾きは緩やかである。また、 木材使用量が増えると、3 倍の方が炭素収支がプラス である時間は長いが、その後の傾きは急である。. 製材. 集成材. 1倍. 2倍. 3倍. 1倍. 2倍. 3倍. 0.57. 0.57. 0.57. 0.57. 0.57. 0.57. 部材加工. 2.07. 2.07. 2.07. 4.03. 4.03. 4.03. 住宅建設. 3.06. 2.57. 2.41. 5.02. 4.53. 4.37. 住宅解体. 3.12. 2.60. 2.43. 5.07. 4.56. 4.39. 二次利用. 8.76. 7.68. 7.33. 12.83. 11.76. 11.40. 表6.年間当たりの炭素排出量 ( 単位:t-C/year). 4−4.検証結果. 50年. これまでの検証から、1) 歩留りが高い建材を用い ることで、循環炭素の排出を抑え、排出量を削減でき 60. ること、2) 木材使用量を増やすことで貯蔵量当たり. 100年. 1倍. 1.03. 0.78. 3倍. 1.80. 1.17. (t-C). 40. の排出量が少なくなり、長い時間大気中の炭素を削減. 20. できること、3) 住宅の寿命を延ばすことで年間当た. -20. 100 年住宅 3 倍. -40. 100 年住宅 1 倍. -60. 50 年住宅 3 倍. -80. 50 年住宅 1 倍. 0. りの排出量が少なくなり、大気中の炭素の増加を緩や かにできることを明らかにした。. 50. 100. 150. 200. 250. 300. (年). 350. -100. 図3.1 サイクルの炭素収支. 以上より、木材利用を拡大するにあたっては、1 戸 当たりの木材使用量を上げることによって大気中の炭. 60. 素量の増加を抑えることが可能であり、加えて歩留り. 20. (t-C). 40. の高い木質建材を用い、使用時間を長くすることで、. 0. 50. 100. 150. 200. -20 -40. 木造住宅の炭素貯蔵効果をより効果的に発揮させるこ. -60. とが可能であると考えられる。 5.「低炭素社会型木造住宅」の提案 本研究では、低炭素社会における木造住宅の要件を. -80. 100 年住宅 3 倍. -100. 100 年住宅 1 倍. -120. 50 年住宅 3 倍. -140. 50 年住宅 1 倍. -160. 図4.連続サイクルの炭素収支. 整理するとともに、要件に基づいた木材利用方法を木 16)木造専用住宅と森林資源との循環型モデルに関する研究 ( 砺波平野散居村におけるケーススタディー )、高口 洋人他、日本建築学会計画系論文集 第 516 号、1992 年. 23-4. 250. 300. (年). 350.

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1 低炭素・高度防災 都市を目指した環境

1 低炭素・高度防災 都市を目指した環境

添付資料 4.1.1 使用済燃料貯蔵プールの水位低下と遮へい水位に関する評価について 添付資料 4.1.2 「水遮へい厚に対する貯蔵中の使用済燃料からの線量率」の算出について

添付資料 4.1.1 使用済燃料貯蔵プールの水位低下と遮へい水位に関する評価について 添付資料 4.1.2 「水遮へい厚に対する貯蔵中の使用済燃料からの線量率」の算出について

○堀江座長