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シロイヌナ ズナ

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Academic year: 2021

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博 士 ( 農 学 ) 原 □ 雄 飛

学 位 論 文 題 名

シロイヌナ ズナ CGS1 遺伝子の翻訳停止と 共 役 し た mRNA 分 解制 御 機構 の 研 究

学位論文内容の要旨

  シス タチ オニ ンァ・ シンターゼ(CGS)は高等植物 のメチオニン生合成経路において鍵 と なる 反応 を触 媒する 酵素である.シ口イヌナズナにおいてCGSをコードするCGsi遺伝 子 の 発 現 は , メ チオ こン の代 謝産 物で あ るSアデ ノシ ルヌ チオ ニン(SAM)に応 答し て 負 のフ イー ドバ ック制 御を受ける.これは,CGSl mRNAの分解が促進されることによる 転写後制御で ある.灰1′^5 mRNA分解制 御は翻訳中に起こり,CGS1第1エキソン内部に コ ード され る制 御領 域(MT01領 域) の新 生ベ プチ ドが , 自身 をコ ード するmRNAの分解 に のみ 関与 する ,CGsiの制御は小麦胚芽試験管内翻訳系で再現され,SAM添加によって 生体内で産生 されるものと同様のmRNA分解中間体が蓄積する.最近, この試験管内翻訳 系 での 解析 によ り,CGS1第1工 キソ ンの コー ド領 域内 部 で,MT01領域 に依存した翻訳 制御が起こる ことが示され,この翻訳制御とCGSl mRNA分解との関連が考えられている,

  真核生物に おいてはCGsi遺伝子の発現制御のように,新生ベプチド として機能する制 御領域がmRNA分解と翻訳制御の双方に関与する例は無い,その一方で ,終止コドンを欠 い たmRNA, 通 常 の終 止コ ドン に加 えて コ ード 領域 内部 にも 終止 コド ンを 持っmRNAな ど , 異 常 なmRNAを 排 除 す る 機 構 で あ るmRNA品 質 管 理 機 構 の 研 究 か ら , 異常 なmRNA の分解がりポ ソームの動態と密接に関連して起こることが明らかになってきている.しか もこの機構は 単に異常なmRNAを排除するに留まらず,真核生物の多く の遺伝子の発現を 調節している ことも示された.このように翻訳とmRNA分解との相互関 係に注目が集まる 中 ,CGS1遺 伝子 で見 られ る 翻訳 制御 の性 質を理解 し,それがmRNA分解に対して何らか の意義を持つ のかを明白にすることは,遺伝子発現制御の研究分野に新たな展開をもたら しうる重要な 課題である.

  MT01ベプチ ドに依存して起こる翻訳制御が,コード領域内における 翻訳の中途終結で あるのか,あ るいは翻訳の一時停止であるのかは明らかにされていなかった.翻訳制御の 基本的性質と も言えるこの点を理解するため,翻訳制御の指標となる部分翻訳産物に着目 してパルス・ チェイス実験を行い,その挙動を経時的に解析した,その結果,CGSlm RNA で見られる翻 訳制御は翻訳の中途終結ではなく,翻訳の一時停止であることが示された,

こ の 翻 訳 停 止 とmRNA分解 との 関連 性を 把 握す るこ とを 目的 とし て,mRNA分解 中間 体 の蓄積と部分 翻訳産物の蓄積を経時的に比較した,これにより,mRNA分解中間体は部分

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翻 訳産 物よ りも遅れて蓄積 することが明らかとなり,翻訳停止の後にmRNA分解が起 こる こ とが 示唆 された.アミノ 酸置換などの導入により翻訳停止を強く阻害した場合, その mRNAの 分解 中間体は検出さ れなかった.また,翻訳停止を弱く阻害するアミノ酸置 換を 導 入 し たmRNAで は ,mRNA分 解 中 間 体 の蓄 積量 は 通常 より も滅 少し た. これ らの 結果 は , 翻 訳 停止 とmRNA分解 が強 く相 関す るこ とを 示す もの であ った ,以 上に よ り,SAM に 応答 して 起こる翻訳の停 止がmRNA分解の引き金となることが示唆された,このよ うに 新 生ペ プチ ドによる翻訳停 止と共役してmRNAが分解される現象は珍しく,高等真核 生物 では初 めての例である.

  試験 管内 に おけ るmRNA分 解の 解析 過程で,CGS1遺伝 子の発現制御では5 領域を 欠い たmRNA分解中間体が複数種類産生されることを発見した.これ らの5 末端をプライマ一 伸 長法 で解 析 した とこ ろ, それ ぞれ のmRNA分解中間体 の5 末端位置は約30塩基ず つ離 れ てし ゝる ことが明らかに なった,真核生物のりポソームがmRNAを覆う範囲が約30塩基 で あ る こ と か ら , 複 数 種 類 のmRNA分 解中 間体 の 産生 には ,mRNAに 結合 した りボ ソー ム の数 が関 係 する との 仮説 を立 てた ,翻訳開始阻害剤 の添加などによって1分子のmRNA に 結 合 す る り ボ ソ ー ム の 数 を 制 御 し たと ころ ,mRNA分解 中間 体の 種類 はmRNAに 結合 したり ボソームの数に相関して増減した.また,ショ糖密度勾配遠心法により試験管内翻 訳 後の 反応 液をりボソーム の数に従って分画し,それぞれの画分に存在するmRNA分 解中 間体を 解析したところ,長い分解中間体にはより多くのりボソームが結合していることが 明らか になった.これら一連の結果から,S問岨に応答して停止したりボソームを先頭にし て,複 数個のルボソームが連なって停止し,停止したそれぞれのりボソームに対応した位 置 でmRNA分 解 が起 こる こと が示 唆さ れた .新 生ペ プチ ドに よるmRNA分解系におい て,

仇 珊遺 伝子 の よう にり ポソ ーム の 交通 渋滞 が 複数 種類 のmRNA分解中間体を産 生す     丶 ノ

るとい う報告はない.

  mRNA分解 経 路の 決定 を目 的と して ,RNaseによる分解を受けにくいチオ化ヌクレ オチ ドをmRNAの5 末端に導入し,エキソヌクレアーゼによる5 う3 方向の分解を阻害した条 件 下 でmRNA分 解 中 間 体 の 解 析 を 行 っ た. その 結 果,mRNA分解 中間 体の 種類 や蓄 積量 は通常 と変わらなかった.さらに,小麦胚芽抽出液中で機能す るRNase阻害剤を用いた解 析 な ど に より ,末 端 位置 がほ ぼ一 致す るそ れぞ れ2種 類の5 側mRNA断 片と3 側mRNA 断 片 の 存 在 が 明 ら か に な っ た , 以 上 の結 果か ら ,攻 珊mRNA分 解制 御が 起こ る際 に,

mRNAは 少な く とも2箇 所に おい てエ ンド ヌクレアーゼにより切断されることが示唆 され た ,RNase阻 害剤 を添 加し た条 件下 でmRNA分解 中間 体を 解析 した ところ,1種類の 分解 中 間 体 の 蓄 積 量 が 減 少 し た . こ の 結 果 か ら ,SAM添 加 に 応 答 し て 起こ る灰 籾mRNAの 分解に は,特定のRNase阻害剤の影 響を受ける機構と影響を受けない機構が働くことが示

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る.従って,CGS1遺伝子発現制御機構は稀なものではなく,同様の分子機構が多様な生物 種に存在すると考えられる.

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学位論 文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 教授 准教授

内藤 伴戸 木村 尾之内

学 位 論 文 題 名

    哲 久徳 淳夫     均

シ ロ イ ヌ ナ ズ ナ CGS1 遺伝 子 の 翻 訳停 止 と 共 役 し た mRNA 分 解 制 御 機 構 の 研 究

本 論文は, 和文70頁 ,18図から なり, 参考論文3編が添付されている。

  シ ス タチ オ ニ ン丁 ‐ シ ンタ ー ゼ(CGS)は高 等 植物 のメチオ ニン生 合成経路 におい て鍵と な る 反 応 を 触 媒 す る 酵素 で あ る。 シ ロ イヌ ナ ズ ナに お い てCGSをコ ー ド す るCGS1遺 伝 子 の 発 現 は , ヌ チ オ ニ ンの 代 謝 産物 で あ るS‑ア デノ シ ル ヌチ オ ニ ン(SAM)に 応 答 して , 負 の フ イ ー ド パ ッ ク 制 御を 受 け る。 こ れ は,CGSl mRNAの 分解 が 促 進 され る こ とに よ る 転 写 後 制 御 で あ る 。CGSl mRNA分 解 制 御 は 翻 訳 中 に 起 こ り ,CGS1第1エ キ ソ ン 内 部 に コ ー ド さ れ るMT01領 域 と 名 付 け た 制 御 領 域 の 新 生 ペ プチ ド が ,自 身 を コ ード す るmRNAの 分解 に 関 与す る 。 この 制 御 は小 麦 胚 芽試 験 管 内 翻訳系で 再現され ,SAM添加によ って生 体 内 で 産 生 さ れ る も の と 同 じmRNA分 解 中 間 体 が 蓄 積 する 。 こ の制 御 に お いて は ,CGS1第 1エ キ ソ ンの コ ー ド領 域 内 部で ,MT01領 域 の新 生 ペプチド に依存 した翻訳 制御が起 こる。

   本論文は,この翻訳制御とCGSl mRNA 分解との関係,およびCGSl mRNA の分解機 構 を 論 じ た も の で あ る 。 論 文 の 内 容 は 以 下 の よ う に 要 約 さ れ る 。

  まず ,MT01新 生ペ プ チ ド に依 存して起 こる翻 訳制御が ,翻訳の 中途終 結である のか, あ る い は一 時 停 止で あ る のか を 調べ た。翻訳 制御の 指標とな る部分翻 訳産物 に着目し てバル ス ・ チ ェ イ ス 実 験 を 行 い ,そ の 挙 動を 経 時 的に 解 析 した 結 果 ,CGSl mRNAの 翻 訳 制御 は 翻 訳 の中 途 終 結で は な く, 翻 訳の 一時停止 である ことを示 した。次 いで, この翻訳 停止と

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ら,翻訳停止とmRNA分解が強く相関していることを明らかにした。新生ペプチドによる 翻 訳停止と 共役してmRNA分解が起 こるのは ,高等真核生物では初めての報告である。

試験 管内にお けるmRNA分解 の解析過程 で,CGS1遺伝 子の発現 制御では5 領域を欠い たmRNA分解中間体が複数種類産生されることを発見した。これらの5 末端をプライマー 伸長 法で解析 し,それぞれのmRNA分解中間体の5 末端位置が約30塩基ずっ離れている こと を明らか にした。 真核生物の りポソームがmRNAを覆う範囲が約30塩基であること か ら ,複 数 種類 のmRNA分解中 間体の産 生にはmRNAに 結合した りポソーム の数が関 係 する との仮説 を立てた。翻訳開始阻害剤の添加などの方法によって1分子のmRNAに結合 する りボソー ムの数を 制御したと ころ,mRNA分解中間体の種類はmRNAに結合したりポ ソームの数に相関して増減した。また,ショ糖密度勾配遠心法により試験管内翻訳後の反応 液をりポソームの数に従って分画し,それぞれの画分に存在するmRNA分解中間体を解析 することにより,長い分解中間体にはより多くのりポソームが結合していることを明らかに した。これら一連の結果から,SAMに応答して停止したりボソームを先頭にして,複数個 のルポソームが連なって停止し,停止したそれぞれのりボソームに対応した位置でmRNA 分解が起こると考察した。新生ペプチドによるmRNA分解系において,本研究のようにり ポソームの 交通渋滞 が複数種類のmRNA分解中間体を産生するという報告は初めての ものである。

  mRNA分解経路を明らかにするため,RNaseによる分解を受けにくいチオ化ヌクレオチ ド をmRNAに導入 し,エキソ ヌクレア ーゼによ る分解を 阻害した 条件下でmRNA分解中 間体 の解析を行った。チオ化ヌクレオチドを導入したmRNAにおいても,SAMに応答して CGSl mRNA分解中間体が観察され,この制御は正常に起こることを示した。さらに,小 麦胚芽抽出液中でRNase阻害効果を持っポリGを用いた解析などにより,末端位置がほぽ 一致 する2対の5 側mRNA断片 と3 側mRNA断 片の存在を 明らかに した。これらの結果 か ら ,CGSl mRNA分解 制御におい て,mRNAは少 なくとも2箇所にお いてェン ドヌクレ アーゼにより切断されると考察した。さらに,ポリG感受性を比較した結果などから,SAM に 応 答し て 起こ るCGSl mRNAの 分 解に は ,少 な く とも2種 類 のmRNA分 解機 構が働く ことを明らかにした。

  本研究で明らかにしたCGS1遺伝子発現制御の分子機構は,真核生物においては非常にュ ニークなものであり,学術的に高く評価できる。また,一連の成果はヌチオニン含量の高い 作物の分子育種を考える上でも重要な成果である。よって審査員一同は,原ロ雄飛が博士(農 学)の学位を受けるのに十分な資格を有するものと認めた。

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参照

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