博士学位論文
循環水装置に存在する細菌の分析および 除去に関する研究
Studies on Analysis and Elimination of Bacteria in Devices for Water Circulation
日本大学大学院 生産工学研究科 応用分子化学専攻
石﨑 麗
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目 次
第 1 章 本 研 究 の 背 景 と 目 的 ... - 5 -
1-1 循 環 水 装 置 に つ い て ... - 5 -
1-2 食 品 分 野 に お け る 衛 生 管 理 ... - 5 -
1-2-1 国 内 の 食 中 毒 発 生 状 況 ... - 7 -
1-2-2 食 品 分 野 に お け る 有 害 微 生 物 ... - 9 -
1-3 食 品 分 野 に お け る 機 械 洗 浄 ... - 12 -
1-3-1 日 本 に お け る 業 務 用 食 器 洗 浄 機 の 歴 史 ... - 13 -
1-3-2 業 務 用 食 器 洗 浄 機 の 原 理 ... - 13 -
1-3-3 業 務 用 食 器 洗 浄 機 の 種 類 ... - 14 -
1-3-4 業 務 用 食 器 洗 浄 機 用 洗 浄 剤 ... - 19 -
1-3-5 食 器 洗 浄 機 に お け る 洗 浄 剤 の 除 菌 効 果 ... - 20 -
1-3-6 食 器 洗 浄 機 庫 内 の 汚 染 実 態 ... - 20 -
1-4 循 環 浴 槽 の 配 管 に お け る 水 環 境 ... - 21 -
1-4-1 レ ジ オ ネ ラ 感 染 症 ... - 21 -
1-4-2 レ ジ オ ネ ラ 属 菌 ... - 23 -
1-4-3 バ イ オ フ ィ ル ム と レ ジ オ ネ ラ 属 菌 ... - 24 -
1-4-4 循 環 浴 槽 で の レ ジ オ ネ ラ 属 菌 の 増 殖 メ カ ニ ズ ム ... - 25 -
1-4-5 循 環 浴 槽 の 構 造 と 洗 浄 ... - 26 -
1-4-6 過 酸 化 水 素 と 過 炭 酸 ナ ト リ ウ ム ... - 27 -
1-4-7 金 属 錯 体 の 活 用 ... - 27 -
1-5 本 研 究 の 目 的 ... - 30 -
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1-6 本 論 文 の 構 成 ... - 30 -
第 2 章 業 務 用 自 動 食 器 洗 浄 機 内 の 細 菌 の 解 析 ... - 32 -
2-1 緒 言 ... - 32 -
2-2 実 験 方 法 ... - 36 -
2-2-1 施 設 別 食 器 洗 浄 機 の 使 用 状 況 の 調 査 ... - 36 -
2-2-2 検 体 の 採 取 と 生 菌 数 測 定 ... - 37 -
2-2-3 16S rRNA 遺 伝 子 解 析 に よ る 菌 株 の 同 定 ... - 39 -
2-2-4 各 種 細 菌 に 対 す る 食 器 洗 浄 機 用 洗 浄 剤 の 除 菌 試 験 ... - 40 -
2-3 結 果 お よ び 考 察 ... - 42 -
2-3-1 施 設 別 食 器 洗 浄 機 の 使 用 実 態 ... - 42 -
2-3-2 食 器 洗 浄 機 の 生 菌 数 ... - 47 -
2-3-3 16S rRNA 遺 伝 子 解 析 に よ る 菌 株 の 同 定 ... - 51 -
2-3-4 各 種 細 菌 に 対 す る 食 洗 機 用 洗 浄 剤 の 除 菌 効 果 ... - 87 -
第 3 章 過 炭 酸 ナ ト リ ウ ム の 除 菌 力 に 対 す る 銅 錯 体 の 効 果 ... - 93 -
3-1 緒 言 ... - 93 -
3-2 実 験 方 法 ... - 95 -
3-2-1 MGDA-Cu の 調 製 ... - 95 -
3-2-2 各 種 細 菌 に 対 す る 除 菌 試 験 ... - 96 -
3-2-3 レ ジ オ ネ ラ 属 菌 に 対 す る 除 菌 試 験 ... - 97 -
3-2-4 ア ル ギ ン 酸 ナ ト リ ウ ム に 対 す る 分 解 試 験 ... - 98 -
3-2-5 ポ リ-γ-グ ル タ ミ ン 酸 ナ ト リ ウ ム に 対 す る 分 解 試 験 ... - 98 -
3-2-6 実 配 管 を 用 い た 洗 浄 試 験 ... - 99 -
3-2-7 銅 錯 体 に よ る 過 酸 化 水 素 の 分 解 試 験 ... - 100 -
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3-3 結 果 お よ び 考 察 ... - 100 -
3-3-1 各 種 細 菌 に 対 す る 除 菌 効 果 ... - 100 -
3-3-2 レ ジ オ ネ ラ 属 菌 に 対 す る 除 菌 効 果 ... - 105 -
3-3-3 ア ル ギ ン 酸 ナ ト リ ウ ム の 粘 度 へ の 影 響 ... - 106 -
3-3-4 ポ リ-γ-グ ル タ ミ ン 酸 の ナ ト リ ウ ム 粘 度 へ の 影 響 ... - 107 -
3-3-5 実 配 管 で の 洗 浄 効 果 ... - 109 -
3-3-6 銅 錯 体 に よ る 過 酸 化 水 素 の 分 解 効 果 ... - 110 -
第 4 章 循 環 水 環 境 下 で 形 成 し た バ イ オ フ ィ ル ム の 菌 叢 解 析 ... - 113 -
4-2 実 験 方 法 ... - 115 -
4-2-1 循 環 水 配 管 モ デ ル に お け る バ イ オ フ ィ ル ム の 形 成 と 採 取 (1) - 115 - 4-2-2 循 環 水 配 管 モ デ ル に お け る バ イ オ フ ィ ル ム の 形 成 と 採 取 (2) - 115 - 4-2-3 16S rRNA 遺 伝 子 の ア ン プ リ コ ン シ ー ケ ン ス 解 析 ... - 118 -
4-3 結 果 お よ び 考 察 ... - 118 -
4-3-1 バ イ オ フ ィ ル ム 中 の 菌 叢 ... - 118 -
第 5 章 総 括 ... - 124 -
参 考 文 献 ... - 126 -
論 文 リ ス ト ... - 137 -
謝 辞 ... - 138 -
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Studies on Analysis and Elimination of Bacteria in Devices for Water Circulation
Urara Ishizaki
Devices for water circulation are often contaminated by organisms such as bacteria, viruses and fungi, and the hygiene should be maintained especially in washing and bathing facilities. Dishwashers are one of the sources of bacterial contamination in dishes despite they comprise extreme environments such as high temperatures, high pHs, and the presence of detergents during their operation. Viable bacteria were isolated from 6 door-type and 8 conveyor-type dishwashers that were being used in food service facilities. Thermophilic bacteria, which grow at 60˚C, were obtained from most sections of door-type rather than conveyor-type tested. The 16S rRNA sequences of the cultured isolates revealed that fewer Gram-negative bacterial strains were found in door-type dishwashers than in conveyor-type dishwashers. The most frequently identified bacterial species in the samples tested were spore-forming bacteria, such as Bacillus and Anoxybacillus species.
Sodium percarbonate (SP) is often included in pipe cleansers and laundry bleach, although the bactericidal effect is lower than that of chlorine-based agents. Effect of 2-[Bis (carboxymethyl) amino]
propanoic acid-chelated copper (MGDA-Cu) on the bactericidal effect of SP was evaluated. The addition of 12 mM MGDA-Cu increased the bactericidal effect of 0.5 wt% SP against S. aureus even in the presence of BSA, which is model of organic stain to protect bacteria from SP. MGDA-Cu was effective against E. coli only in the absence of BSA and showed little effect against B. subtilis. It enhanced the effect of SP to decrease the viscosity of sodium alginate, which is one of the major components of biofilms. The effect of MGDA-Cu on sanitization was also evaluated by 16S rRNA amplicon sequencing of the bacterial flora of the biofilm on an experimental model of a circulating water pipe. The structure of the bacterial flora was more influenced by a cleanser containing both MGDA-Cu and SP than a cleanser with only SP, suggesting that MGDA-Cu increases the sanitization effect.
- 5 - 第 1 章 本 研 究 の 背 景 と 目 的
1-1 循 環 水 装 置 に つ い て
循 環 水 装 置 に は 水 を 循 環 さ せ て 利 用 す る 業 務 用 洗 浄 機 と 浴 場 施 設 で 設 置 さ れ て い る 循 環 式 浴 槽 等 が 含 ま れ る 。 食 品 工 業 分 野 に お い て は 、 厨 房 で 使 用 さ れ る 業 務 用 食 器 洗 浄 機 、 食 品 工 場 で 原 材 料 や 加 工 食 品 を 保 管 ・ 輸 送 す る コ ン テ ナ を 洗 浄 す る た め の 容 器 用 洗 浄 機 、 野 菜 を 洗 浄 す る 野 菜 洗 浄 機 、 飲 料 水 分 野 で ウ ォ ー タ ー サ ー バ ー に 使 わ れ る リ タ ー ナ ブ ル ボ ト ル 洗 浄 機 な ど が 挙 げ ら れ る 。 いず れも装 置 内 に 洗 浄 剤 と 水 を 循 環 さ せ て 対象物 を 洗 浄 す る 装 置 であ り、 装 置 本 体 と 循 環 ラ イ ン の 衛 生 保持が課 題と なって い る 。 食 器 は人が直 接 口に す る 食 品 と 接 触す るもの である た め 、これ ら を 洗 浄 す る 装 置 に は 環 境 水 や 食 品由 来の 有 害 微 生 物 の制 御が求め ら れ る 。 循 環 式 浴 槽 で は 、 浴 槽 の 水 をろ過 と 加温を繰 り 返 し再利 用 す る た め 、 水系 由 来の レ ジ オ ネ ラ 属 菌 が問 題と な る 。 レ ジ オ ネ ラ 属 菌 に よ る レ ジ オ ネ ラ 症 を防 止す る た め に 、薬剤注 入に よ る 循 環 水 の殺菌維 持や 、 洗 浄殺菌 に よ る 配 管 内 の バ イ オ フ ィ ル ム の 発 生制 御と いった 衛 生 管 理 が求め ら れ る 。
1-2 食 品 分 野 に お け る 衛 生 管 理
食 品 に よ る 食 中 毒事 例や事 故は後を絶たず、消 費 者の 食 の安 心・安 全に 対 す る 関 心は益 々 高まって い る 。国 内 で は 2018 年に 食 品 衛 生 法 が一 部 改 正さ れ 、2020 年 6 月に は「食 品 を 取り 扱 うすべて の事業者は 、食 品 衛 生上の危害 発 生防 止の た め に HACCP(Hazard Analysis Critical Control Point:危害 分 析重 要管 理点) に基 づ く衛 生 管 理 に つ い て計 画を 定 め な け ればな ら な い」と す る 、HACCPの制度 化 が 施行さ れ て い る 。従 来の 衛 生 管 理 は 、製 造 に関わ る 施 設 や 設備、食 材 の 取り 扱い 方 法 等 を 定 め 、最 終製 品 のこの基 準に 対 す る適 合を 検 査 に よって確 認す るもの
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であ った 。HACCP に基 づ く衛 生 管 理 で は 、製 造 に関わ ることだけ で なく、原 材 料 の受け入れから 、製 造 、製 品 の出 荷ま で の 各 工程に お い て 、食 中 毒 な ど の健 康 被害 を引 き 起 こす可 能 性のある危害要 因を 分 析 す る 。HACCP はこれ ら の危害要 因を科 学的根 拠に基 づ き管 理 し 、最 終製 品 が安 全であること を証 明す る手法 で ある 。 国 内 で は 、1995 年に特定 の 業 種 を 対象と し た「総合衛 生 管 理 製 造 過程の 承 認 制度」が 、HACCP に よ る 衛 生 管 理 の ス タ ー ト である が 、今 般 その 対象 範 囲 が 食 品 を 取り 扱 う 全 事業者に広がった 。注 意すべ きは 、HACCPに よ る 衛 生 管 理 はあ くま で手法 であ り、食 品 衛 生 の基本 である「 一 般衛 生 管 理」が土 台と し て浸 透し て い な い と意 味を 成 さ な い と いう 点である 。
一 般衛 生 管 理 は 、食 品 の 取り 扱いから 、従業員、施 設 設備、機 械 器具類 、使 用 水 、排水・廃 棄物 の 衛 生 管 理 に至る ま で多 岐に わ たって い る 。環 境 微 生 物 検 査 は 、 一 般衛 生 管 理 の重 要な 管 理手法 のひと つ であ り、 測 定 し た デ ー タ は 汚 染源の特 定 や 汚 染 実 態 の把 握、危害 分 析 、環 境改 善 策の立 案、日常の 洗 浄殺菌作業 の 効 果 検証・改 善な ど に役 立て ら れ る 。食 品 製 造現場 で広 く用 い ら れ る 環 境 微 生 物 検 査 に は 、 微 生 物 の 数 や 種 類 を 測 定 す る培 養法 、清浄 度 を評 価す る ATP(Adenosine Triphosphate ; ア デノシ ン三リ ン 酸 ) 測 定 法 、 タ ンパ ク 質測 定 法 な ど があ り、 目 的 や 場面に よって 使 い 分 け さ れ て い る 。培 養法 で は 、表 面 付 着菌 や液中 微 生 物 、 空中浮 遊微 生 物 を サ ン プ リ ン グ し て培 養し 、菌 数 や病原 菌 の 有無を 調べる 。更に 汚 染源の特定 や 対策が必 要な 場合は 、属 ま た は 種 レベル ま で 同 定 を行 う。ATP 測 定 法 は 、微 生 物 を 含む汚 れ の 度合い を 測 定 す る 方 法 である 。ATP は 生きて い る す べて の 細胞内 に 含 ま れ る 物質で 、熱にも 比 較的安定 な た め 、生 菌 体 を迅 速に 検 査 できる 。細 菌 の ATP 量と 菌 数 に は相 関 性がある た め 1) 2) 3)、微 生 物 や 食 品残 渣な ど の 汚 れ の指 標と な る 。ホタ ル の 発光原 理 を 利 用 し 、ATP が ル シ フェリ ン と共に ル シ フェラ ーゼに よって 加 水 分 解 さ れ る際に 発光す る フ ォ ト ン を光 電 計に て 測 定 し 、発光 量と し て 数値化 さ れ る 。非 常に短 時 間で清浄 度 の確 認が できる た め 、
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迅 速検 査 法 と し て 食 品 製 造現場 な ど で最 も 汎用 的 に 用 い ら れ て い る 。 タ ンパ ク 質測 定 法 は 、スワブ 法 に より 残 留タ ンパ ク 質を 検出す る簡 易検 査キ ット で 、洗 浄 作業 の 効 果確 認に 用 い ら れ る 。
1-2-1 国 内 の 食 中 毒 発 生 状 況
日 本 国 内 に お け る近 年の 食 中 毒 の 発 生 状 況 は 、発 生件数 は横 ばい で 2019 年は 1,061 件、患 者数 は や や減 少 傾 向にあ り 2019年は 13,018 人であ った(Fig. 1-1)。
原因物質別 にみる と 、発 生件数 は ア ニ サキス 、カ ンピ ロバクタ ー・ジェジュニ/ コ リ 、ノ ロウ イ ル ス の順で多 く(Fig. 1-2)、患 者数 はノ ロウ イ ル ス 、カ ンピ ロバ クタ ー ・ ジェジュニ/コ リ 、 ウエル シュ菌 の順で多 か った 4)(Fig. 1-3)。
Fig. 1-1. Outbreak of food poisoning in Japan.
The number of food poisoning cases and the number of patients in Japan since 2003 are shown.
0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 35,000 40,000 45,000
0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400 1,600 1,800
2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019
Number of patients
Number of cases
year
Number of cases Number of patients
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Fig. 1-2. Number of food poisoning cases in 2019.
Anisakis, Campylobacter jejuni and Campylobacter coli caused most cases of food poisoning in 2019.
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Fig. 1-3. Number of food poisoning patients in 2019.
Most patients of food poisoning are infected with norovirus.
1-2-2 食 品 分 野 に お け る 有 害 微 生 物
食 品 に お い て 取り 上げ ら れ る 微 生 物 に は 、 食 品 を腐 敗す る 微 生 物 と人体 に 影 響 を与 える病原 微 生 物 がある 。こ こで は 、食 中 毒 の 原因菌 と な る病原 微 生 物 に つ い て述 べた い 。食 中 毒 に は 細 菌性と ウ イ ル ス性のもの があ り、細 菌性食 中 毒 に は 黄 色ブドウ球菌 、腸管出 血 性 大 腸菌 、サ ル モ ネ ラ 属 菌 、カ ンピ ロバクタ ー・ジェ ジュニ/コ リ 、腸 炎 ビブ リ オ 、セレ ウ ス 菌 、ウエル シュ菌 、ボツリヌス 菌 な ど 、
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ウ イ ル ス性食 中 毒 に はノ ロウ イ ル ス が 挙 げ ら れ る 。
黄 色ブドウ球菌 (Staphylococcus aureus) は 、ヒト や 動 物 の皮 膚(特に 化膿し た傷)や鼻 腔内 、喉な ど に 分布し て い る 。健 康なヒト でも約 4 割のヒト が鼻や髪 の毛、皮 膚に 本 菌 を 保 菌 し て い る 5)。S. aureus は グ ラ ム陽性 球菌 で 、食 品 中 で 増 殖 す る際にエン テロトキシ ン と いう毒 素 を産生 し 、この 毒 素 に よって 食 中 毒 が 引 き 起 こさ れ る 。エン テロトキシ ン は耐熱 性が強く、100℃・20 分 の 加熱でも分 解 さ れ な い 5)。潜 伏 期間は喫食から 30 分から 6 時 間で 、 症 状 は激し い吐き気・ 嘔 吐・下痢・腹 痛な ど である 5)。原因食 品 は 、調 理従 事 者の手 指を介し て 汚 染 さ れ た 食 品 (弁 当、 お にぎり、 サ ンドイッチ、 生菓子 ) が多い 。
大 腸菌(Escherichia coli)はヒト や 動 物 の腸管 内 に 生育し て おり、 グ ラ ム陰性桿 菌 である 。E. coli の大 部分 はヒト に は無害 である が 、病気を引 き 起 こす病原大 腸 菌 が 5 種 類あ り、腸管出 血 性 大 腸菌(Enterohemorrhagic E. coli; EHEC)、腸管病原 性 大 腸菌(Enterophathogenic E. coli; EPEC)、 細胞侵入 性 大 腸菌 (Enteroinvasive E.
coli; EIEC)、毒 素 原性 大 腸菌(Enterotoxigenic E. coli; ETEC)、腸管付 着 性 大 腸菌
(Enteroadherent E. coli; EAEC)に 分 類 さ れ る 6) 7)。その 中 でも強い病原性を持つ の が EHEC である 。EHEC の血 清型は 100種 類以上 あ り、国 内 に お い て 分離さ れ た EHEC の血 清型は O157 が最 も 多 く、次 い で O26、O111と なって い る 7)。少 量 の 菌量(10 から 100 個程度 ) で 発 症 す る た め 、 食 品 のみで なくト イ レから 感 染 す ることも ある 。EHEC 潜 伏 期間は喫食から 4 から 8 日 で 、 症 状 は 、 下痢・血 便・激し い腹 痛・嘔 吐・吐き気・発熱な ど である 6)。EHEC が産生 す るベ ロ毒 素 と いう強力 な 毒 素 が大 腸の血管壁を破 壊し 、血便が出る 。原因食 品 は 、糞 便に 汚 染 さ れ た 食肉やその 加 工 品 、その牛 糞 堆 肥で 汚 染 さ れ た土壌・ 水 な ど である 。 サ ル モ ネ ラ 属 菌(Salmonella spp.)は 、鶏、豚、牛等 の 動 物 の腸管 内 に 分布す る 、 通性嫌 気性グ ラ ム陰性桿菌 である 。ヒトから 分離さ れ る サ ル モ ネ ラ はほとんど が Salmonella enterica subsp. enterica で 、乾 燥に強く、少 量の 菌 で 感 染 す ること
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も ある 。 サ ル モ ネ ラ 属 菌 の潜 伏 期間は喫食から 12 から 48 時 間で 、 症 状 は 、腹 痛、38 から 40℃の 発熱・ 下痢・嘔 吐な ど である 8)。 原因食 品 は 、卵やその 加 工 品 、鶏 肉、 食肉、 内臓 肉、 ウ ナ ギ 、 スッポ ン な ど である 。
カ ンピ ロバクタ ー 属 菌(Campylobacter spp.)は 、鶏、牛、ペット 、野鳥、野 生 動 物 な ど の腸管 に 生息す る 、 グ ラ ム陰性桿菌 の 微好 気性菌 である 。Campylobacter spp. に よ る 食 中 毒 は Campylobacter jejuni、Campylobacter coli に よ るもの が多 く、 少 量の 菌量の接種 で 発 症 す る 6)。潜 伏 期間は喫食から 2 から 7 日 と比 較的長く、 症 状 は腹 痛・下痢・発熱・頭 痛・嘔 吐な ど である 。Campylobacter spp.は熱に弱く、 増 殖温度域は狭い が 、Campylobacter jejuni は低温でも生存できる 6)。 原因食 品 は 、鶏の た たきや鶏レ バ ー な ど 調 理時に 加熱が不 十分 なもの が 原因と な ること が多い 。
腸 炎 ビブ リ オ(Vibrio parahaemolyticus)は 、海 底の泥の 中 に 生息す る 細 菌 で 、海 水温度 が高 くな る夏場 に海 産 魚 介類 な ど に付 着す る 。V. parahaemolyticusは好 塩 性で 、塩分 2から 5 %で良く生育し 、真水 に弱く、増 殖速度 が速い の が特徴であ る 。潜 伏 期間は喫食から 8 から 24 時 間で 、 症 状 は激し い腹 痛・ 下痢・ 発熱・嘔 吐な ど である 。 原因食 品 は刺 身な ど の 生鮮 魚 介類 やその 加 工 品 が多い 。
セレ ウ ス 菌(Bacillus cereus)は 、土壌や河 川な ど 自然 界に広 く分布す る 、グ ラ ム 陽性芽胞形 成 菌 で 、強い耐熱 性を持つ 。B. cereusは 毒 素 を産生 し 、この 毒 素 が 食 中 毒 を引 き 起 こす 。B. cereus に よ る 食 中 毒 に は嘔 吐 型と 下痢 型があ り、国 内 で は 嘔 吐 型に よ るもの が大半を占め て い る 。嘔 吐 型は 、食 品 中 で作ら れ るセレ ウ リド と呼ばれ る 環 状ペプチドの 毒 素 に よ るもの で 、 下痢 型は 体 内 に入 った 菌 が小腸 で 増 殖 す る際に作ら れ る蛋 白質の 毒 素 に よ るもの である 6)。嘔 吐 型の潜 伏 期間は 喫食から 1 から 5 時 間で 、症 状 は嘔 吐・吐き気である 。下痢 型の潜 伏 期間は喫食 から 8 から 16 時 間で 、 症 状 は 下痢・腹 痛・腹部痙 攣・吐き気である 9)。 原因食 品 は米や小 麦な ど の穀類 が多い が 、 本 菌 は様々な 原 材 料から 検出さ れ る 。
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ウエル シュ菌(Clostridium perfringens)は 、土壌、ヒト の 動 物 の腸管 内 な ど 自然 界に広 く分布し て い る 。C. perfringens は グ ラ ム陽性芽胞形 成 菌 で 、無酸 素 状 態 で 増 殖 でき、酸 素存 在下 で は 増 殖 できな い偏性嫌 気性細 菌 である 。本 菌 は 、増 殖 す る際に ウエル シュ菌エン テロトキシ ン と いう毒 素 を産生 す る 。この 毒 素 は易 熱 性の タ ンパ ク 質で 加熱(60℃・10 分 ) に より容易に不活 化 さ れ る 10)。潜 伏 期 間は喫食から 6 から 18 時 間で 、症 状 は 下痢・腹 痛である 10)。原因食 品 は 、大 量 調 理 さ れ 保存さ れ た カ レ ー や ス ー プ な ど で 、 加熱撹 拌 不 足に よ るもの が多い 。 ボツリヌス 菌(Clostridium botulinum)は 、土壌や河 川、海な ど 自然 界に広 く分布 し て い る 。C. botulinum は グ ラ ム陽性芽胞形 成桿菌 で 、偏性嫌 気性菌 である 。非 常に 毒性の強い神 経毒 素 を作る が 、易 熱 性で 、加熱処理(80℃・30 分 )で失活 す る 11)。潜 伏 期間は 、喫食から 12 から 24 時 間で吐き気、嘔 吐、 下痢に 次 い で 、 脱力 感・倦 怠感・め ま い・嚥下障害・便 秘・視力障害・呼 吸 困 難な ど の神 経 麻 痺 症 状 が起 こる 6)。原因食 品 は 、缶 詰め 、瓶 詰め 、真空 パ ッ ク食 品 、発酵食 品 な ど が多い 。
ノ ロウ イ ル ス(Norovirus)は 、 プ ラ ス 1 本 の プ ラ ス鎖 RNA を 有 し 、エンベ ロー プ を持た な い ウ イ ル ス である 。Norovirus は 細 菌 より も小さく、粒子径は 30 から 38 nm で 、ヒト の腸管 で しか増 殖 し な い 。ヒト の腸管 内 や カキな ど の 2 枚 貝に 分 布し て い る 。 環 境 中 で抵 抗性が強く長 期間生存でき、少 量の ウ イ ル ス量(10 か ら 100 個)で 感 染 す る 。潜 伏 期間は 、喫食から 24 から 48 時 間で 、下痢・嘔 吐・ 発熱・吐き気・腹 痛な ど である 。原因食 品 は 、加熱不 足の二 枚 貝の喫食 である が 、 調 理従 事 者の手 指な ど を介し て二次 汚 染 さ れ た 食 品 がこの ウ イ ル ス に よ る 食 中 毒 の全体 の 8 割を占め て い る 。
1-3 食 品 分 野 に お け る 機 械 洗 浄
食 品 分 野 に お け る 機 械 洗 浄 は多 岐に わ た る 。ホテ ル 、レ ス ト ラ ン 、事業所 給食
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な ど の大 量調 理 施 設 に お い て は 、短 時 間で大 量の 食 器 類 を 洗 浄 す る た め の 業 務 用 自 動 食 器 洗 浄 機(以下 、食 洗 機 と略す )が 使 用 さ れ て い る 。食 品 工 場 で は 、原 材 料 や 加 工 食 品 を一次 保 管 す る た め の 内 コ ン テ ナ や流 通で 用 い ら れ る外コ ン テ ナ を 洗 浄 す る た め の 容 器 用 洗 浄 機 や 、ホー ル 野 菜 や カット 野 菜 洗 浄 に 用 い る 野 菜 洗 浄 機 な ど がある 。
本 研 究 で は 、業 務 用 食 洗 機 の 微 生 物 に よ る 汚 染 実 態 に つ い て 調 査 を行 った 。有 害 微 生 物 に よ る健 康 被害 と し て は 、細 菌性、ウ イ ル ス性、カビ毒 に よ るもの があ る が 、カビ毒 に よ る 食 中 毒 は限定 的 であること と 、ウ イ ル ス は 食 品 中 や 食 洗 機 等 の 環 境 中 で は 増 殖 し な いことから 、 対象を 細 菌 に絞り分 析 し た 。
1-3-1 日 本 に お け る 業 務 用 食 器 洗 浄 機 の 歴 史
日 本 に お い て 食 洗 機 の普 及が 本格化 し た の は 第 2 次世 界大戦後のこと である 。 学校 給食 の普 及、事業所や病院で の集 団 給食 が始まった頃は 、大 量の 食 器 を 中性 洗 剤 で手洗 い を行 って い た が 、す すぎ作業 に労力 がか かることから 、す すぎ工程 で 食 洗 機 を 利 用 す る ように なった 。その後、1964 年の東 京オ リ ンピ ッ クを 機 に 国 内 でホテ ル ブ ー ム が起 こ り、ホテ ル の 厨 房 内 に米国産の 食 洗 機 が 次々と導入 さ れ た 。現在で は 、客 席数 の少な い小 規 模 店 舗を 除くと 、集 団 給食 、ホテ ル 、レ ス ト ラ ン 、チェー ン店で の 食 洗 機 の普 及 率はほ ぼ 100 %である 12)。
1-3-2 業 務 用 食 器 洗 浄 機 の 原 理
現在の 食 洗 機 の主 流は ス プ レ ー(噴 射)タ イ プ である 。温水 の噴 射に よ る ウ ォ ー タ ー ナ イ フ と呼ばれ る 物 理 的 な 力 を 利 用 し て おり、 食 器表 面に付い た 汚 れ を 削り取 る 効 果 がある 。洗 浄 水 は上下 の 洗 浄ノズ ルから噴 射さ れ 、温度 、水圧( 物 理 力 )、洗 浄 剤( 化学力 )の 3 要素 の相乗効 果 に よって 汚 れ が落 ちる仕 組みであ る 。洗 浄 工程の後、す すぎノズ ルから す すぎ 湯が噴 射さ れ 、食 器表 面の 洗 浄液が
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す す が れ る す すぎ工程がある 。
業 務 用 食 洗 機 の 各 工程の所要 時 間は 、 洗 浄 工程 から す すぎ工程を合わ せ ても わず か 1 分程度 である 。各 工程に お け る温度 は 、洗 浄温度 が 60 から 70℃、仕上 げ す すぎ温度 が 80 から 85℃に 設 定 さ れ て い る 。 洗 浄温度 が 60 から 70℃に 設 定 さ れ て い る 理由は 、油 脂、タ ンパ ク、デ ン プ ン な ど の 食 品 汚 れ が最 も効率よく除 去できる温度帯である た め である 。 ま た 、仕上げ す すぎの温度 が 80℃以上に な る と 、食 器 の乾 燥が促 進さ れ 、熱に よ る 除 菌 効 果 で 食 器 を より衛 生 的 に 保 つこと が可 能と な る 。
1-3-3 業 務 用 食 器 洗 浄 機 の 種 類
業 務 用 食 洗 機 は 、 食 器 の処理能力 に よって小 型のものから大型のもの ま で 種 類 は様々であ り、バッチ式 洗 浄 と コ ンベア 式 洗 浄 機 に 分 類 さ れ る 。バッチ式 に は 、 ア ンダー カ ウ ン タ ー タ イ プ 、フ ードタ イ プ 、ドア タ イ プ があ り、装 置 の 内側に 食 器 を並べた ラッ クを据え置き、洗 浄から仕上げ す すぎま で を 同区画で行 う(Figs.
1-4, 1-5)。洗 浄 タ ンクの 洗 浄 水 は繰 り 返し 使 用 さ れ 、す すぎ 湯(新水 )が入るこ と に より洗 浄 水 が オ ー バ ー フロー し 、一 部が 置き換わ る仕 組みと なって い る 。ア ンダー カ ウ ン タ ー は小 型で 場所を と ら な い た め 、喫 茶 店な ど の小 規 模 店や グ ラ ス 洗 浄専用 と し て 使 用 さ れ ること が多い 。ドア タ イ プ は小 規 模から 中規 模の 飲 食店・レ ス ト ラ ン な ど で幅広 く使 わ れ て おり、フ ードタ イ プ は ア ンダー カ ウ ン タ ー とドア タ イ プ の 中間である 。
一方 、コ ンベア 式 に は 、ラッ クコ ンベア 、ラッ クレ ス タ イ プ があ り、食 器 は ラ ッ クま た は コ ンベア に並べら れ 、 洗 浄から仕上げ す すぎの 各 工程を移動 し な が ら 洗 浄 さ れ る(Figs. 1-6, 1-7)。機 種 に よって は 、洗 浄 、仕上げ す すぎの 2 工程の ものから 、予備洗 浄 、洗 浄 、循 環 す すぎ、仕上げ す すぎの 4 工程を備 えたもの ま である 。コ ンベア 式 の 水 の流れ は向流式 と なって おり、最 終工程の仕上げ す すぎ
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槽 に は タ ンクが なく、使 用済みの す すぎ 湯は 、前工程の 循 環 す すぎタ ンク、洗 浄 タ ンク、前洗 い タ ンクへ と戻さ れ再利 用 さ れ る 。食 器 自 体 が移動 す る た め 、連 続 処理 が できる と いうメ リット があ り、短 時 間で大 量の 食 器 を 洗 浄 す るホテ ル の 宴 会場 や 、事業所、学校、病院な ど の給食 施 設 な ど で 利 用 さ れ る 。
近 年は 、省エネ や 洗 浄 剤 の 使 用量削減の観点 から 洗 浄 タ ンクの 容量が徐々に 小さくなり、 す すぎ水量 も 従 来の半分以下 の節水 タ イ プ が主 流と なってきて い る 。持ち 込ま れ る 汚 れ の量は変わ ら な い た め 、新水 に よ る 洗 浄 水 の入れ替わりが 少なくな る と 、洗 浄 水 が 汚 れ や すくな る た め 、より優れ た 洗 浄 力 を 有 す る 洗 浄 剤 が求め ら れ て い る 。 ま た最 近で は外食産業 の人 手不 足に 対応す る た め に 、AI ロ ボット な ど無 人化 を手助け できる シ ス テ ムも開発 さ れ て い る 。
Fig. 1-4. Diagrammatic representation of door-type dishwasher.
Washing process and rinsing process are performed in the same room. In the washing process, the detergent solution of washing tank is ejected from the top and bottom washing nozzles. In the rinsing process, fresh water is ejected from the top and bottom rinsing nozzles. Part of rinse water is reused for the detergent solution.
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(a) (b)
(c) (d)
Fig. 1-5. Exterior and inside of door-type dishwasher.
(a)Exterior of door-type dishwasher. (b) Inside the door. (c) Washing nozzle and rinsing nozzle.
(d) Washing tank
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Fig. 1-6. Diagrammatic representation of conveyor-type dishwasher.
Washing process and rinsing process are separated for each process, and the tableware moves on the rack rail. In the washing process, the detergent solution of washing tank is ejected from the top and bottom washing nozzles. In the rinsing process, fresh hot water is ejected from the top and bottom rinsing nozzles. Hot water used for final rinsing process is reused for rinsing process and part of water in the rinsing tank is reused for the detergent solution.
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(a) (b)
(c) (d)
(e) (f)
Fig. 1-7. Exterior and inside of conveyor-type dishwasher.
(a) Exterior of rack-conveyor-type dishwasher. (b) Rack rail and washing nozzle of rack- conveyor-type. (c) Exterior of flight-conveyor-type dishwasher. (d) Slot of tableware of flight- conveyor-type. (e) Washing nozzle of flight-conveyor-type. (f) Rail of flight-conveyor-type.
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家 庭用 食 洗 機 と 業 務 用 食 洗 機 で は 、工程とその所要 時 間が異な る 。家 庭用 の 場 合は 、洗 浄 、す すぎ、乾 燥工程がある が 、業 務 用 の 場合、洗 浄 、す すぎ工程のみ で乾 燥工程は な い 。所要 時 間は 、食 洗 機 の 場合、洗 浄 工程に 15 から 20 分 、す す ぎ工程に 20 から 30 分 、乾 燥工程に 30 分 で合 計 70 から 80 分か かる の に 対 し 、 業 務 用 の 場合、 洗 浄から す すぎま で の すべて の 工程に必 要な時 間は わず か 1 分 程度 である 。
1-3-4 業 務 用 食 器 洗 浄 機 用 洗 浄 剤
業 務 用 食 洗 機 で は短 時 間で大 量の 食 器 類 を 洗 浄 し な け ればな ら な い た め 、 洗 浄 工程で は強力 な 洗 浄 力 を 有 す る ア ル カ リ性の 洗 浄 剤 が 使 用 さ れ る 。 洗 浄 剤 が 溶け た 洗 浄液の pH は 10 から 12 と非 常に高い 。洗 浄 剤 の 形 状 に は 、液体 、粉体 、 固体( ブロ ッ ク状 の固形 、ペレット 、タ ブ レット な ど )があ り、これ ら は専用 の 自 動供 給装 置 を 用 い て 、食 洗 機 庫 内 の 洗 浄 タ ンクに所定量添加 さ れ る 。洗 浄 剤 の 濃度 は 、定量供 給方 式 ま た は電気伝導度 に よ る濃度 感知方 式 に より 制 御さ れ る 。
洗 浄液は高圧で ス プ レ ー噴 射さ れ る た め 、その泡で 機 械 力 を妨げ な い よう、洗 浄 剤 は低起泡性であること が必須 条件である 。主成 分 は 、水溶性の無機塩( ア ル カ リ )とキレ ー ト 剤 である 。ア ル カ リ 剤 の 化学 作用 に より、タ ンパ ク 質は より低 分 子量のペプチドや ア ミノ酸 に 、油 脂は ケ ン 化反応に より石 鹸に 分 解 さ れ 除去 さ れ る 。ア ル カ リ 剤 は 、水 酸 化 ナ ト リ ウ ム 、水 酸 化 カ リ ウ ム 、珪酸塩、炭 酸塩な ど が 用 い ら れ る 。特に タ ンパ ク 質汚 れ に 対 す る 洗 浄 力 は 、ア ル カ リ 剤 の ア ル カ リ 強度 や濃度 に比 例し て向 上す る 。キレ ー ト 剤 は 水質調整剤 の役割を担い 、カ ル ボ ン 酸塩な ど が 用 い ら れ て い る 。食 洗 機 は高 温と な る た め 、使 用 水 中 の カ ル シ ウ ム イ オ ン やマグ ネ シ ウ ム イ オ ン の濃度 が高い(硬度 が高い )と 、水 分 が蒸発 し た際 に 庫 内 に 水垢( ス ケ ー ル )が付 着し や すくな る 。ま た ア ル カ リ 剤 自 体も 空気中 の 二酸 化 炭 素ガス を吸収し て 炭 酸 ス ケ ー ル を 生 成 し や す い 。更に 、油 脂汚 れ が ア ル
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カ リ に よって鹸化 さ れ て 生 成 す る石 鹸は 、 水 中 の 金 属 イ オ ン と 結 び つ い て 金 属 石 鹸に なり、洗 浄 を阻害 す る 。キレ ー ト 剤 は 水 を軟化 す ること で 、ス ケ ー ル付 着 防 止と 洗 浄 力 の維 持に寄与し て い る 。これ ら の 成 分以 外にも、分 解 さ れ た 汚 れ に よ る 発泡 抑制や 洗 浄 の補助の た め に低泡性 ノニ オ ン界面活性剤 を 用 い たり、 食 器 の漂白やくすみ 防 止の た め に塩素系漂白剤 を 用 い たりす る 場合がある 。
す すぎ工程で は 、食 器 類 を より素早く衛 生 的 に乾 燥さ せ る た め に 、す すぎ 湯に 乾 燥 仕上げ 剤( リ ン ス 剤 と呼ばれ る )を添加 す ること が多い 。リ ン ス 剤 の 成 分 に は 、 グ リセリ ン脂肪酸エス テ ル やソルビタ ン脂肪酸エス テ ル な ど の 食 品添加 物 グ レ ードの非イ オ ン型 界面活性剤 が 用 い ら れ る 。リ ン ス 剤 は 、食 器表 面に付 着し た す すぎ水 の表 面張力 を 下 げ て 水滴を均一に薄くのばすこと で 、乾 燥の促 進と ウ ォ ー タ ー ス ポット の 発 生 を抑制す る 効 果 がある 。最 近で は 洗 浄 剤 に表 面 改 質 ポ リマー を添加 し て 、洗 浄 と 同時に リ ン ス 効 果( 水切れ促 進と ウ ォ ー タ ー ス ポッ ト抑制) を付 与さ せ た リ ン ス 剤不要洗 浄 剤も市場 に受け入れ ら れ て い る 。
1-3-5 食 器 洗 浄 機 に お け る 洗 浄 剤 の 除 菌 効 果
市 販の 洗 浄 剤 を 用 い て 、ドア タ イ プ 洗 浄 機 お よ び コ ンベア タ イ プ 洗 浄 機 に て 、 食 器 に 食 品 汚 れ と 菌液(大 腸菌 E. coli O55 と土壌菌 ) を付 着さ せ 、その 除 菌 効 果 を 試 験 し た報 告例がある 。この 実 験 に お い て 洗 浄後すべて の大 腸菌 は 除去さ れ た が 、土壌菌 は わず かに残存し た 12)。
1-3-6 食 器 洗 浄 機 庫 内 の 汚 染 実 態
家 庭用 食 洗 機 の 衛 生 実 態 に関す る報 告例が いくつか ある 。浜 田ら は 食 器 洗 い 乾 燥機 の カビ汚 染 に つ い て 調 査 し て おり、家 庭用 食 洗 機 で は乾 燥工程があるも の の 、パ ッ キン部分 や 洗 浄 水から カビの一種 である Exophiala dermatitidis が多数 検出さ れ た と報 告し た 13) 14)。 検出さ れ た カビは 、好温 性のもの が大 多数 である
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こと が 分か って い る 13) 14)。 ま た 、Raghupathi ら に よ る 研 究 で は 、 微 生 物 は 、 食 洗 機 の ような高 温、高 pH、高塩濃度 、 洗 浄 剤 がある極限状 態 でも生育でき、 食 洗 機 のゴム 製 シ ー ル部分 の バ イ オ フ ィ ル ムから は 細 菌 や真菌 が 分離さ れ たこと が報 告さ れ て い る 15)。Zupančič に よ る と 、ゴム 製 シ ー ル部分 に 形 成 さ れ た バ イ オ フ ィ ル ム に は多種多様な 細 菌 と真菌 が存 在し 、特定 の 細 菌 の組み 合わ せ で バ イ オ フ ィ ル ム 形 成 の相乗効 果 が認め ら れ 、Exophiala dermatitidis が 含 ま れ る と 細 菌 数 と真菌 数 が 増 加 す ること が確 認さ れ て い る 16)。
1-4 循 環 浴 槽 の 配 管 に お け る 水 環 境 1-4-1 レ ジ オ ネ ラ 感 染 症
世 界で初め て レ ジ オ ネ ラ 症(Legionellosis)が認知さ れ た の は 、1976年米国 フ ィ ラ デ ル フ ィ ア の在郷 軍人会で集 団肺炎が 発 生 し たこと に遡る 17)。この 感 染源 と し て 、会場 と なったホテ ル の冷 却 塔が推定 さ れ て い る 18)。その後、海 外で は レ ジ オ ネ ラ 症 の集 団感 染 が毎年の ように 発 生 し て い る 。国 内 で は 1981年に レ ジ オ ネ ラ肺炎の 症例が報 告さ れ て い る が 、その認知度 が高まった の は 2000 年以降 で 、届出数 が 増えてきた の は近 年に なってから である 。
レ ジ オ ネ ラ 症 の病原 菌 である レ ジ オ ネ ラ 属 菌 は 、 自然 界の 水系や土壌に広 く 存 在す る 。この 菌 は冷 却 塔や 循 環 式 浴 槽 、温泉、給水・給 湯設備、噴水 等 の 水 景 施 設 、人工 的 な 水 利 用 施 設(人工 環 境 水 )で 増 殖 し 、これ ら の 菌 が 感 染源に な る こと が知ら れ て い る 。
レ ジ オ ネ ラ 症 は 、Legionella pneumophila を代表と す る レ ジ オ ネ ラ 属 菌 に よ る 四類 感 染 症 で 、レ ジ オ ネ ラ 属 菌 を 含む水 しぶき(エアロゾル )や粉塵を吸入す る こと に より感 染 し 発 症 す る 。 レ ジ オ ネ ラ 症 の潜 伏 期間は 、2 から 10 日 である 。 レ ジ オ ネ ラ 症 に は重症 の肺炎型と軽症 の ポ ン テ ィ アッ ク 熱型があ り、肺炎型で は 、全身 倦 怠感 、頭 痛、食欲不振、筋肉 痛な ど の 症 状 に始まり、咳や 38℃以上の
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高 熱、悪 寒、胸痛、呼 吸 困 難が見ら れ る ように な る 。ポ ン テ ィ アッ ク 熱型で は 、 発熱、寒気、筋肉 痛な ど の 症 状 で 、数 日 で治ること が多い 。肺炎を起 こす危険性 が高い高齢者や新生児喫煙者、大酒家、透析患 者、移植患 者、免 疫機能が低下 し て い る人は 、 レ ジ オ ネ ラ 属 菌 に よ る 感 染 リ スクが高い と さ れ て い る 。
日 本 国 内 に お け る レ ジ オ ネ ラ 症 の 発 生件数 は年 々増 加傾 向にあ り、2019 年に は 2,300 件に達し て い る (Fig. 1-8)。 過去 39 年 間に 発 生 し た レ ジ オ ネ ラ 症 の 感 染源で 発 生件数 が最 も 多い の は 循 環 式 浴 槽 で 、全体 の 70%を占め て い る 19)(Fig.
1-9)。
Fig. 1-8. Transition of Legionella infection.
The increase in the number of reports of Legionella infection in Japan.
56 154 86 167 146 161 281
519 668 893
717 751 818 899
1,124 1,248
1,592 1,602 1,733
2,142 2,314
0 500 1,000 1,500 2,000 2,500
1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019
Numberofreport
Year
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Fig. 1-9. Source of infection for Legionnaires’ disease (1980-2018).
Sources of infection for Legionnaires’ disease during 39 years are shown. More than 70% of the infections occurred in bathing facilities.
1-4-2 レ ジ オ ネ ラ 属 菌
レ ジ オ ネ ラ 属 菌 は好 気性の グ ラ ム陰性桿菌 であ り、鞭毛を持つ 。レ ジ オ ネ ラ 菌 は河 川、池、沼、温泉、土壌な ど に広 く分布し 、環 境 中 で は ア メ ー バ な ど の 原虫 や藻類 内 に寄生 し て 増 殖 す る の が特徴である 。この 菌 の至 適発育 pH は 6.9±0.1、 至 適発育温度 は 36℃前後で 、45 から 50℃以上で は 増 殖 し な いか死 滅す る 。これ ま で に報 告さ れ て い る レ ジ オ ネ ラ 属 菌 の 菌 種 は 60種 類 を超えて おり、その 中 で も冷 却 塔水 や温泉水 、 循 環 式 浴 槽から 検出さ れ る頻度 が高い の が Legionella pneumophila である 。感 染 菌 と し てヒトから 分離さ れ る 菌 種も この L. pneumophila が多い 。
Bathing facilities 70%
Cooling tower 9%
Water supply / Hot water supply system
6%
Humidifier 3%
High pressure clasning equipment
3%
Unkown 9%
Bathing facilities Cooling tower
Water supply / Hot water supply system Humidifier High pressure clasning equipment Unkown
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1-4-3 バ イ オ フ ィ ル ム と レ ジ オ ネ ラ 属 菌
バ イ オ フ ィ ル ム(Biofilm)と は 、微 生 物 が固体表 面に付 着し て 増 殖 す る時に 形 成 す る 、 生 物膜である 。 バ イ オ フ ィ ル ム は 、多糖類 、 タ ンパ ク 質、DNA な ど の 細胞外高分 子基 質(EPS;Exopolymeric substances)や無機塩類 な ど が 、微 生 物 細 胞を包み込 んだ構 造 を 有 し て い る 。固体表 面に お け る バ イ オ フ ィ ル ム の 形 成 過 程に つ い て示す 。 まず固体表 面が 汚 れ 等 に よって 微 生 物 が付 着し や す い 状 態 に な る と 、コ ン デ ィ ショニ ン グ フ ィ ル ム が 形 成 さ れ 、微 生 物 が更に可逆的 に付 着す る ように な る 。微 生 物 は鞭毛運動 や ブ ラ ウ ン運動 に よって表 面に近 づ き、その運 動 を停止し 、より強い不可逆的付 着に移行す る 。そ こで 細胞外に多糖や タ ンパ ク 質、DNA な ど の EPS を排 出し 、マイク ロコロニ ーから バ イ オ フ ィ ル ム へ と 成長 し て いく。バ イ オ フ ィ ル ム は巨大化 す る と崩壊し 、微 生 物 は新し い 環 境 に移動 す る 20)。EPS は 微 生 物 細胞同士や 微 生 物 細胞と固体表 面の接 着、抗菌 剤耐性に関 わって い る 。緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)の EPS に 含 ま れ る 細胞外多糖の 主成 分 は 、ア ル ギ ン 酸塩(D-マンヌロン 酸 と L-グ ルロン 酸 が直鎖重 合し た ポ リマ ー )と Psl 多糖( グ ル コ ー ス高含 有 す る ポ リマー )、Pel 多糖(D-グ ル コ ー ス 、D- マンノー ス 、L-ラ ムノー スから 成 る 分岐状 の 5 多糖体 ポ リマー ) である 21)。
バ イ オ フ ィ ル ム は 、細 菌 や真菌 、原 生 動 物 な ど の 微 生 物 の温床と なり、レ ジ オ ネ ラ 属 菌 に とって格 好の 増 殖 の 場 と な る 。 バ イ オ フ ィ ル ム 内部に 生育す る 微 生 物 は 、その膜に守ら れ て い る た め 、洗 浄 剤 の 除 菌作用 が低下 し 、物 理 的 ス ト レ ス にも抵 抗性を示す 。よって 、バ イ オ フ ィ ル ム を制 御す る た め に は 、形 成 を抑制す る 環 境 を 保持す るか、物 理 的 な 除去ある い は 化学的 な 洗 浄 除 菌 しか方 法 が な い 。
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1-4-4 循 環 浴 槽 で の レ ジ オ ネ ラ 属 菌 の 増 殖 メ カ ニ ズ ム
レ ジ オ ネ ラ 属 菌 は 、 循 環 式 浴 槽 で は 配 管 内 に 発 生 す る バ イ オ フ ィ ル ム の 中 で ア メ ー バ に寄生 し 増 殖 す る た め 、除 菌 が不 十分だと 浴 槽 中 に浮 遊し出てくる 。循 環 式 浴 槽 に お け る レ ジ オ ネ ラ 属 菌 の 増 殖 メ カ ニ ズ ム に つ い て示す (Fig. 1-10)。
水 中 に は 細 菌 や 汚 れ が多 く存 在す る 。まず、一 般細 菌 や従属栄養細 菌 が 増 殖 し 、 バ イ オ フ ィ ル ム が付 着し始め る 。徐々に バ イ オ フ ィ ル ム は厚くなり、ア メ ー バ が 定着す る 。ア メ ー バ は 食胞内 に レ ジ オ ネ ラ 属 菌 を 取り込 んで いくが 、レ ジ オ ネ ラ 属 菌 は消化 を免れ 、食胞内 で 増 殖 を開 始す る 。レ ジ オ ネ ラ 属 菌 の 増 殖 に より、食 胞は大 き くなり、宿主ア メ ー バ は 細胞と し て の 機能を失い破裂す る 。これ に より、 レ ジ オ ネ ラ 属 菌 は ア メ ー バ の外に放出さ れ 、再び新し い宿主へ と 感 染 す る と い うサ イクル を繰 り 返す 。
Fig. 1-10. Growth of Legionella in the circulating bath.
The growing process of Legionella in the circulating bath is shown. 1) First, general bacteria and heterotrophic bacteria grow and biofilm starts to attach. 2) Biofilm thickens and amoeba settles. 3) Amoeba uptakes Legionella into cells. 4) Legionella starts to grow in cells. 5) Cells swell by the growth of Legionella. 6) The host amoeba loses its function as a cell and bursts.
7) Legionella is released and infects a new host.
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1-4-5 循 環 浴 槽 の 構 造 と 洗 浄
循 環 式 浴 槽 の模式図を示す(Fig. 1-11)。浴 槽 の お湯は 、集 毛器 、循 環 ポ ン プ 、 ろ過 装 置 を通り、熱交換器 で 加温さ れ て再び 浴 槽 に戻る 。配 管 内 に は 、皮 脂汚 れ 、 石 鹸カ ス 、ス ケ ー ル な ど の 汚 れ が蓄 積し て い る た め 、バ イ オ フ ィ ル ム が多 く 付 着 し て い ること が多い 。通常 時に 浴 槽 水 に注 入さ れ る塩素濃度(0.2 から 1.0 mg/L) で は 、バ イ オ フ ィ ル ム 中 の レ ジ オ ネ ラ 属 菌 の 除 菌 に は不 十分 である た め 、日常的 に バ イ オ フ ィ ル ム の 除去を行 う こと が重 要である 。
Fig. 1-11. Schematic diagram of circulating bath.
The hot water in the bath is passed through the hair catcher, circulation pump, and filter, is warmed by the heat exchanger, and is returned to bathtub. In the circulation line, a biofilm includes a large amount of dirt such as sebum stain, soap scum, scale.
循 環 浴 槽 の維 持管 理 に お い て 、週に 1 回以上の高濃度塩素ある い は 過 酸 化 水 素 を 配 管 内 に注 入し て 洗 浄 ・消毒 す ること が レ ジ オ ネ ラ 症予防 指針に 定 め ら れ て い る 22)。ま た 、循 環 配 管 内 に は バ イ オ フ ィ ル ム が 形 成 さ れ や す い た め 、年に 1 回以上の バ イ オ フ ィ ル ム 除去が必 要と さ れ 、過 酸 化 水 素(Hydrogen peroxide)(2 から 3 %使 用 )に よ る処理 が推 奨さ れ て い る 23)。しかし な が ら 、過 酸 化 水 素 は 毒 物及び劇物 取締法 で劇物 に指定 さ れ て おり取り 扱い に注 意が必 要であること 、 コ ス ト面で高 価である と いった課 題がある 。
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1-4-6 過 酸 化 水 素 と 過 炭 酸 ナ ト リ ウ ム
過 酸 化 水 素 は 、化学式 H2O2で示さ れ る無 色 透 明の液体 である 。家 庭用 で は衣 料 用漂白剤 や 工 業 分 野 で は 循 環 浴 槽 の 配 管 洗 浄 剤 や 飲 料 用 ボ ト ル の殺菌 剤 な ど と し て広 く使 用 さ れ て い る 。 炭 酸 ナ ト リ ウ ム 過 酸 化 水 素付加 物 (Sodium carbonate-hydrogen peroxide (2/3)) は 、通称 、 過 炭 酸 ナ ト リ ウ ム (Sodium percarbonate ; 以下 、SP)と呼ばれ る 。化学式 2Na2CO3・3H2O2で示さ れ 、炭 酸 ナ ト リ ウ ム と 過 酸 化 水 素 が 2 mol:3 mol の比率で混合さ れ た付加 化合物 である 。 SP は 、水 に溶解 す る と 炭 酸 ナ ト リ ウ ム と 過 酸 化 水 素 に 解離し 、1%水溶液は ア ル カ リ性(pH 10.5) を示す 。 過 酸 化 水 素 は 水 中 で 水 と 酸 素 に 分 解 す る た め 、塩素 系漂白剤 と比 較し て 環 境負荷が低い 。
SP は 、粉末状 の固体 である た め 、液体 の 過 酸 化 水 素 に比 べて安 全 性とハンド リ ン グ性に優れ て い る 。この た め SP は 、洗濯機 の 洗濯槽クリ ー ナ ー や 浴 槽 のパ イ プクリ ー ナ ー と し て よく使 用 さ れ て い る 24)。綿の漂白工程に お け る SP の適切 な 使 用濃度 は 、0.6 wt%である 25)。食 品 業界で は 、SP は 食 器 類 の漂白剤 と し て 使 用 さ れ て い る 。 SP の漂白効 果 は高 温で は高い が 、低温で は低下 す る 26)。 SP の 酸 化能力 は塩素系漂白剤 より も弱い た め 、衣類 用途で は漂白活性化 剤 と併用 さ れ ること が多い 。漂白活性化 剤 は 、それ 自 体 は漂白効 果 を持た な い安定 な 化合物 である が 、過 酸 化 水 素 や SP と併用 す る と 酸 化 力 の高い 有 機 過 酸 が 生 成 し 、この 有 機 過 酸 が漂白効 果 を 発揮す る 27)。
1-4-7 金 属 錯 体 の 活 用
漂白活性化 剤 は 、過 酸 化 水 素 や SP と 化学 量論 的反応に よって漂白効 果 を高め る の に 対 し 、金 属 錯 体 は触媒的 にその 効 果 を高め る 。金 属 錯 体 は 、鉄、マンガン 、 亜 鉛、銅 な ど の 金 属 イ オ ン に 配位子 が 結合し た 化合物 である 。配位子 と し てエチ
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レ ン ジ ア ミ ン四 酢酸(EDTA)な ど のキレ ー ト 剤 が 用 い ら れ る 。衣類 用 洗 浄 分 野 で は 、漂白効 果 を高め る た め に漂白活性化 剤 が 活 用 さ れ てきた が 、更に 除 菌 活性 向 上の た め 金 属 錯 体 が併用 さ れ て い る 。真島ら は 、過 酸 化 水 素 と 、漂白活性化 剤 のひと つ である ア ル カノイ ル オキシベンゼン ス ルホン 酸 ナ ト リ ウ ム (OBS)、 お よ び亜 鉛と メチル グ リ シ ン二酢酸 2-[Bis (carboxymethyl) amino] propanoic acid
(MGDA)の 錯 体(MGDA-Zn)と の併用 効 果 に つ い て報 告し て い る 28)。OBS は 過 酸 化 水 素 と の反応に より有 機 過 酸 を 生 成 す る が 、この報 告に お い て MGDA-Zn は 、有 機 過 酸 の 菌 体 へ の 細胞膜透過 を促 進さ せ 、有 機 過 酸 を 分 解 す る 菌 体 内酵素 の 活性を阻害 す ること が示さ れ た 28)。 ま た 、 錯 体 を 形 成 す るキレ ー ト 種 に つ い て は 、EDTA や ニ ト リロ 三酢酸(NTA)、ク エン 酸 、イ ミノ二酢酸(IDA)な ど が 検討さ れ て い る が 、MGDA が最 も膜透過率が高いこと を示し て い る 28)。
今回循 環 洗 浄 用途と し て着目 し た 金 属 錯 体 は 、 除 菌 活性 向 上とキレ ー ト 剤 の 生 分 解性の点 から 、MGDA と 銅 の 錯 体 MGDA-Cu(2-[Bis (carboxymethyl) amino]
propanoic acid-chelated copper)である 。除 菌 効 果 を 発揮す る の は 、過 酸 化 水 素 が 分 解 す る際に 生 成 す るヒド ロ キシ ル ラ ジ カ ル ( ・OH) やヒド ロペル オキシ ル ラ ジ カ ル ( ・OOH) な ど の 活性酸 素 種 (Reactive Oxygen Species:ROS) である 。 ROS の 生 成 は 、 過 酸 化 水 素単 独で は進行し にくい が 、 銅 イ オ ン の触媒作用 に よ り促 進さ れ る 。この反応速度 は 配位子 と な るキレ ー ト 種 に よって制 御が できる 。 ROS は反応性が高 く、微 生 物 の タ ンパ クや DNA な ど の周囲の 化学物質を非選 択 的 に 酸 化 し 、損傷を与 える 29) 30)。 銅 錯 体 は 、 過 酸 化 水 素 が存 在す る限り、触媒 と し て ROS の 生 成 に繰 り 返し 使 用 さ れ る 。 汚 れ を 分 解 し た 過 酸 化 水 素 は 、最 終 的 に 酸 素 と 水 に 分 解 さ れ る た め 、非 常にクリ ー ン な 洗 浄 方 法 である(Fig. 1-12)。
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Fig. 1-12. Formation of reactive oxygen species by hydrogen peroxide and MGDA-Cu.
1) First, hydrogen peroxide is activated by the copper complex. 2) Next, copper complex activates hydrogen peroxide to remove the stain which is stable in the presence of hydrogen peroxide alone. 3) Next, the hydrogen peroxide that decomposed the stain is broken down into oxygen and water. 4) Copper complex repeatedly activates hydrogen peroxide.
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1-5 本 研 究 の 目 的
国際社会に お い て は 、2015 年に持続可 能な開発 目標(SDGs)が 国連サ ミット で 採択さ れ 、日 本も積 極的 に 取り組 んで い る 。循 環 水 装 置 の 衛 生 保持を 研 究 す る こと は 、 すべて の人 々に健 康な 生 活 と安 全な 水 を提供す る と いう 点で貢献 でき る と 考える 。そ こで 本 研 究 で は 、循 環 水 装 置 に存 在す る 細 菌 の 分 析 お よ び 除去に 関す る 研 究 と題し 、業 務 用 自 動 食 器 洗 浄 機 お よ び 循 環 式 浴 槽 に着目 し 、その 微 生 物 環 境 を 解 析 し 、 衛 生 保持に 有 効 な 洗 浄 に つ い て提 唱す ること を 目 的 と す る 。
業 務 用 食 洗 機 で は 、 食 品 衛 生 の観点 から 食 洗 機 を より衛 生 的 に 保持し 使 用 す る た め に 、実際の 厨 房 で 使 用 さ れ て い る 業 務 用 食 洗 機 を 対象に 、その 汚 染 実 態 に つ い て 調 査 し た 。培 養に よって得ら れ た 菌 株 の 同 定 を行 う こと に よって 、食 洗 機 の部位 毎に 生育す る 微 生 物 の 種 類 を 解 析 し 、ヌメ リ の付 着 要 因の 解明に役 立て る 。更にそれ ら の 細 菌 に 対 す る 洗 浄 剤 の制 御効 果 を評 価す る 。
循 環 式 浴 槽 で は 、 レ ジ オ ネ ラ 症 の 原因菌 である レ ジ オ ネ ラ 属 菌 が産生 す る バ イ オ フ ィ ル ム の 除去が課 題と なって い る 。 循 環 浴 槽 の 配 管 に付 着す る バ イ オ フ ィ ル ム の 除去に は 過 酸 化 水 素 が推 奨さ れ て い る が 、高 価でハンドリ ン グ性が悪 い 。そ こで 、過 酸 化 水 素 に代わ る 洗 浄 方 法 を提 唱す る た め に 、過 炭 酸 ナ ト リ ウ ム とその 除 菌 効 果 を高め る 銅 錯 体 に つ い て 検討し 、 銅 錯 体 の 効 果 を 菌 体 へ の 除 菌 効 果 と バ イ オ フ ィ ル ム 除去の側面 から ア プローチす る 。更に 、モ デ ル 配 管 で作成 し た バ イ オ フ ィ ル ム を 用 い 、 銅 錯 体 の 有無が 菌 叢 に与 える変化 を 解 析 す る 。
1-6 本 論 文 の 構 成
本 論 文 は以下 の 第 1 章から 第 5章 に て 構 成 さ れ て い る 。 第 1 章 本 研 究 の 背 景 と 目 的
第 2 章 業 務 用 自 動 食 器 洗 浄 機 内 の 細 菌 の 解 析
第 3 章 過 炭 酸 ナ ト リ ウ ム の 除 菌能力 に 対 す る 銅 錯 体 の 効 果
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第 4 章 循 環 水 環 境 下 で 形 成 し た バ イ オ フ ィ ル ム の 菌 叢 解 析 第 5 章 総 括
第 2 章 で は 、2 つ の タ イ プ の異な る 業 務 用 食 洗 機 14 台(ドア タ イ プ 、 コ ンベ ア タ イ プ )から 汚 れ を 採 取 し 、培 養法 に よって 中温細 菌 、好熱 性細 菌 、真菌 の 菌 数 を 測 定 し た 。さ ら に 生育し た コロニ ー を単離し た 株 を 16S rRNA遺 伝 子 解 析 に よって 属 を 同 定 し た 。同 定 さ れ た 株 を 食 洗 機 の区画や 工程別 に 菌 叢 解 析 し 、その 傾 向を 考 察 し た 。
第 3 章 で は 、過 炭 酸 ナ ト リ ウ ム に 対 す る 銅 錯 体 の添加 効 果 に つ い て 、大 腸菌 、 黄 色ブドウ球菌 、枯 草菌 、レ ジ オ ネ ラ 菌 を 用 い て 検証し た 。ま た バ イ オ フ ィ ル ム の 構 成 成 分 である ア ル ギ ン 酸 ナ ト リ ウ ム を 用 い 、 銅 錯 体 の添加 有無に よ る バ イ オ フ ィ ル ム 分 解速度 へ の 影 響 を 検証し た 。更に 、実際の 循 環 浴 槽 配 管 を サ ン プ リ ン グ し 、付 着し た バ イ オ フ ィ ル ム で の 除去試 験 を行 った 。
第 4 章 で は 、循 環 水 実 験 モ デ ル を 用 い て バ イ オ フ ィ ル ム を 形 成 さ せ 、過 炭 酸 ナ ト リ ウ ム のみの 場合と 過 炭 酸 ナ ト リ ウ ム に 銅 錯 体 を併用 し た 場合と で 循 環 洗 浄 を行い 、バ イ オ フ ィ ル ム 中 の 菌 叢 の比 較を行 った 。菌 叢 解 析 は 、培 養が不要でか つ網 羅的 な 遺 伝 子 解 析 が できる 次世代シ ー ケ ン サ ー ( ア ン プ リ コ ン シ ー ケ ン シ ン グ ) を 用 い た 。
第 5章 で は 、総 括 と し て 本 研 究 で得ら れ た知 見を ま と め 、今 後の展 望に つ い て 述 べた 。
- 32 - 第 2 章 業 務 用 自 動 食 器 洗 浄 機 内 の 細 菌 の 解 析 要約
業 務 用 自 動 食 器 洗 浄 機 は 、家 庭用 のもの と比 較し て 、より 高い pHの 洗 浄 剤 で 且つ高い温度 で 洗 浄 さ れ る 。 細 菌 に はこの ような 過酷な 環 境 でも生育できるも の があ り、これ ら 細 菌 は被洗 物 を 汚 染 す る可 能 性がある 。ホテ ル 、レ ス ト ラ ン 、 病院な ど で 使 用 さ れ て い るドア タ イ プ 6 台と コ ンベア タ イ プ 8 台の計 14 台の 業 務 用 食 洗 機 をふき取りし 、SCDLP 寒 天培地で 35℃お よ び 60℃で培 養し 生 菌 数 を 測 定 し た 。得ら れ た 細 菌(94 株 )の 16S rRNA の 遺 伝 子 解 析 を行 った とこ ろ、23 属 84 株 に 分 類 さ れ た 。ドア タ イ プ で は グ ラ ム陽性菌 が 9 属 31 株 、 グ ラ ム陰性 菌 が 3 属 8 株 であ り、 コ ンベア タ イ プ で は グ ラ ム陽性菌 が 10 属 27 株 、 グ ラ ム 陰性菌 が 7属 18 株 であ った 。ドア タ イ プ は コ ンベア タ イ プ より もグ ラ ム陰性菌 が少な いこと が明らかと なった 。高 温(60℃)で 生育可 能な好熱 性細 菌 はドア タ イ プから4属14株 が得ら れ た が 、コ ンベア タ イ プから は 1属 1株 のみ得ら れ た 。 今回調 査 し た サ ン プ ル に お い て 、 検出頻度 が高 か った 細 菌 は Bacillus 属 や Anoxybacillus 属 な ど の芽胞形 成 菌 であ った 。グ ラ ム陰性菌 に 対 し て は 、す すぎ工 程の高 温や 水圧に よって抑制が可 能と 考えら れ る が 、 グ ラ ム陽性菌 の制 御は難 しく、 食 洗 機 用 ア ル カ リ 洗 浄 剤 に よ る 除去効 果も低い 。
2-1 緒 言
食 中 毒 の 原因のひと つ に 、二次 汚 染 に よ るもの が多 く見ら れ る 。これ は 食 材 を 取り 扱 った 調 理 器具類 の 洗 浄殺菌 が不 十分 であ ったこと に より、そ こで 有 害 微 生 物 が 増 殖 し 、それ を介し て他の 食 品 を 汚 染 す る と いう もの である 。直 接 口に入 る 食 材 の 衛 生 的 な 取扱い 方 法 はマニュア ル 化 さ れ 定着し てきて い る が 、 食 器 や 調 理 器具類 の 洗 浄 な ど の サ ニ テ ー ション に関わ る部分 に つ い て は疎かに なりや す い 。そ ういった 中 で 、調 理 器具類 を 洗 浄 す る た め の 食 洗 機 に つ い て は 、特に清
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掃が十分 に行 き届い て い な いこと が多 く、 庫 内 にピンク から赤色のヌメ リ が付 着し て い る ケ ー ス が多 く見ら れ る 。これ ら は バ イ オ フ ィ ル ム であ り、通常の 洗 浄 工程で は 除去でき ずに残 って い る と 考えら れ る 。その た め 食 器 類 な ど の被洗 物 を介し て人体 に入 った 場合の 有 害性が懸 念さ れ る 。 実際に 、Wernersson ら や Francis ら の 研 究 で は 、病院で の 食 器 洗 浄 機 の 使 用 に お い て 、 食 洗 機 の 汚 れ が 食 器 類 に移り、交 差汚 染 を招く ことも報 告さ れ て い る 1) 2)。Yoshida ら は 、 レ ジ オ ネ ラ 属 細 菌 に より汚 染 さ れ た 水道管 の蛇口と接続し た 食 洗 機から の Legionella spp.の 検出に つ い て報 告し て おり、食 洗 機 が レ ジ オ ネ ラ 属 細 菌 の潜 在的 な 汚 染源 に な る可 能 性を示 唆し て い る 3)。し た がって 、食 洗 機 とその 中 で 洗 浄 さ れ る 食 器 類 の 衛 生 状 態 を維 持す る必 要がある 4)。 業 務 用 食 洗 機 は 、高 温、高 pH であ り、 細 菌 に とって は極限な 環 境 下 である にも か かわ らず、菌 株 が 分離さ れ て い る 。家 庭用 食 洗 機 のゴム 製 シ ー ルから 分離さ れ た バ イ オ フ ィ ル ムから 、微 生 物 叢 が 16S rRNA の 次世代シ ー ケ ン シ ン グ を 使 用 し て 分 析 さ れ て い る 5)。微 生 物 叢 に は多種 多様な 細 菌 お よ び真菌 の存 在が示 唆さ れ て おり 6) 7) 8)、その 構 成 は 食 洗 機 の 種 類 に よって異なって い た 9)。しかし な が ら 、様々な タ イ プ の 食 洗 機 で の 細 菌 汚 染 の 傾 向に関す る報 告は な い 。細 菌 汚 染 を 効 果 的 に予防す る に は 、細 菌 の 菌 叢 と 食 洗 機 の タ イ プ と の関係を 解明す る必 要がある 。
庫 内 の清浄 度 調 査 を行 うにあたり、食 洗 機 はドア タ イ プ と コ ンベア タ イ プ の 2 つ の異な る タ イ プ をパーツ別 に 実 施 し た 。 ア ル カ リ 洗 浄 剤 に よ る 微 生 物 の 発育 抑制度合い を把 握す る た め 、洗 浄 水 と の接 液 部分 と非 接 液 部分 を比 較し た 。ま た 、 80℃で の す すぎ工程の 除 菌 効 果 を把 握す る た め 、 洗 浄 と す すぎが 同 庫 内 で行わ れ るドア タ イ プ 洗 浄 機 と 、 洗 浄 と す すぎが仕切ら れ て い る コ ンベア タ イ プ 洗 浄 機 と の違いも調 査 し た 。
環 境 微 生 物 の 測 定 と 菌 叢 解 析 にあたり、その 測 定 方 法 に つ い て述 べる 。食 品 衛 生 法 に基 づ く細 菌 数 の指 標のひと つ に 生 菌 数 がある 。生 菌 数 は 、食 品 や 製 造 環 境
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の 微 生 物 汚 染 の程度示す 汚 染指 標菌 、且つ 衛 生 的 品質を示す 衛 生指 標菌 と さ れ て おり、菌 数 の多 少が評 価軸と さ れ て い る 。生 菌 数 は 、標 準寒 天培地を 用 い て好 気的 な条件で 発育し た 中温 性の 細 菌 数 のこと で 、一 般生 菌 数 と呼ばれ て い る 。今 回は 食 洗 機 の 汚 染 菌 を 調 査 す る た め に 、この 方 法 に則り 一 般生 菌 数 の 測 定 を行 った 。尚、食 洗 機 で は 洗 浄 剤 が 使 用 さ れ ることから 、その 除 菌 成 分 が 細 菌 の 生育 を阻害 す る懸 念がある 。その た め 、除 菌 成 分 を 中和す る た め の不活 化 剤(Lecithin、
Polysorbate) が 配合さ れ た Soybean Casein Digest Agar with Lecithin & Polysorbate 80(SCDLP寒 天培地) を 用 い て い る 。
次 に 微 生 物 の 分 類 に つ い て述 べる 。微 生 物 は 細胞 学的 に 分 類 す る と 、真核生 物 と 原核生 物 に 分 け ら れ る 。真核生 物 に は 、核や 細胞内 器官があ り、藻類(algae)や 原 生 生 物(protozoa)、菌 類(真菌 )(fungi)がそれ に該当す る 。原核生 物 に は核や 細 胞内 器官は なく、細 菌(bacteria)と古細 菌(archaea)が該当す る 。リ ボソー ム RNA の塩基配列に基 づ く進化系で 分 類 す る と 、細 菌 、古細 菌 、真核生 物 の 3 つ のドメ イ ン に 分 類 さ れ る 。ウ イ ル ス は 、核酸 とそれ を包むタ ンパ ク 質 から 成り、自己 複 製 が できな い た め非生 物 である 。細 菌 の 分 類 体系は 、上位から界(kingdom)、門
(phylum)、綱(class)、目(order)、科(family)、属(genus)、種(species)と なって おり、種 が最小単 位である 。例 え ば枯 草菌(Bacillus subtilis)の 場合、門 は Firmicutes、綱は Bacilli、目 は Bacillales、科は Bacillaceae、属 は Bacillus、種 は subtilisの様に概 念的 なもの である 。菌 株 の 株(strain)は 、実在す る個体 を指 し て い る 。
細 菌 の 同 定 は 、培 養に より 培地上に 生育し た コロニ ー 形 状 の観察から始まり、 光 学顕微鏡に よ る 形 態観察 や グ ラ ム 染色、生 理・生 化学的性状 、化学分 類 的性状 に基 づい て行わ れ てきた 。生 化学 性状 を元に 同 定 す るキ ット( アピ(ビオ メ リュ ー ・ ジャパン㈱) や BBL CRYSTAL( 日 本ベ クト ン デ ィッ キンソン㈱)、ID テ ス ト ( 日 水 製薬㈱) な ど )も 多 く市 販さ れ て い る 。