高校生の名詞句把握における 言語能力とライティ ングの関連性
著者 伊藤 泰子
雑誌名 言語教育研究
号 30
ページ 13‑32
発行年 2019‑11
URL http://id.nii.ac.jp/1092/00001644/
高校生の名詞句把握における 言語能力とライティングの関連性 1
伊藤 泰子
要 旨
本研究では、日本人高校生の英語力の実態調査として、名詞句把握能力とライ ティング力の関係に焦点をあてた。金谷他(2015)では、英語の基礎基本を「英 語の基礎的語順の定着」と考え、語順と密接に関係している「名詞句の把握」の 習得プロセスを調べるために、主語名詞句把握テスト(Billy’s Test)を開発した。
本調査では、Billy’s Test で扱われていた名詞句に、分詞や関係節に修飾された名 詞句を加えた「Koukousei Billy’s Test(KB Test)」(鈴木・臼倉、2018)を関東圏の 学校に通う高校生(約400名)に受験してもらった。その結果、名詞句内の文法構 造の種類によってスコアの伸びが大きく異なる傾向が見られた。さらに、パフォー マンステストとしてライティングテストも並行して実施したところ、KB Testのス コアとライティングテストの評価の相関は
.63
となった。この分析結果を通して、名詞句把握能力とパフォーマンスとの関連性を探る。
1.はじめに
新学習指導要領では、「聞くこと」「読むこと」「話すこと[やり取り]」「話すこと [発表]」「書くこと」の
4
技能5
領域を身につけることが求められているが(文部科 学省、2017)、それらを身につけることは容易ではない。その原因のひとつに、基礎 となるものの定着が不十分であることが挙げられる。文部科学省は、日本の英語教 育の実態を調査するため、2013年度から公立の小学校・中学校・高等学校を対象に「英語教育実施状況調査」を行っている。それによると、ヨーロッパ言語共通参照 枠(CEFR)の
A2
レベル(英検準2
級)相当以上と思われる高校3
年生は40.2%と
1 本研究は、関東甲信越英語教育学会研究推進委員会が
2017
年から実施している研究の一部である。いう結果が出ている(文部科学省、2019)。日本英語検定協会のウェブサイトによる と、英検準
2
級とは「高校中級程度」となっており、高校3
年生の時点でそこに到 達している生徒の割合が4
割というのはなかなか厳しい状況であることがうかが える。また、金谷他(2017)では、高校生が中学英語をどの程度使いこなすことができ るのかを調査するため、約5300人の高校生に速読、Listening、Dictation、和文英訳、
Picture Description
の5
種類のテストを受けてもらった。その結果、日本の高校生の多くは中学英語の定着が不十分であるという結論に至った。高校英語は中学英語を 土台としているため、中学英語が定着していないとそれ以上の力を身につけること は困難となる(金谷他、2017)。したがって、中学英語は英語の基礎力であると言え るであろう。しかし中学英語と一言で言ってもその内容は様々であることは言うま でもない。そこで、本研究では金谷他(2015)にならって、「基礎英語力=名詞句把 握能力」ととらえ、名詞句把握能力に焦点をしぼって「基礎力」の定着について 探る。
では、なぜ「基礎英語力=名詞句把握能力」なのだろうか。その理由として
4
つ 挙げられる。まず1
つ目の理由は、英文を理解しようとする際に重要となるのはSVO
やSVC
といった語順であるが、そもそもS、V、O、C
というかたまりがどこか らどこまでなのかを把握できなければ語順の理解にたどりつけない(金谷他、2015)。 例えば、I am a student.という文の場合、IがS、am
がV
であることは明確である。そして
C
にあたるa student
は、2語でひとつのまとまり、すなわち名詞句になっている。一方、主語が複雑になった場合、例えば
The store at the station opens at 7
o’clock.という文の場合、The store
だけでなく、The store at the stationまでが主語とな る名詞句であることをつかめなくてはならない。したがって語順をとらえる前にか たまりの把握が必須となる。そこで、そのかたまりを把握しやすいものとして名詞 句、特に主語の位置にある名詞句に着目した。2 つ目の理由として、後置修飾が挙げられる。日本語では「駅にある店」というように、「店」を修飾する語句はその単 語の前に置かれる(前置修飾)。それに対して、英語では
The store at the station
とい うように、the storeを修飾するat the station
は後に置かれていて(後置修飾)、日本 語にはない順番になっている。したがって、日本人英語学習者にとっては後置修飾 の把握は困難であると考えられる(金谷他、2015)。3 つ目の理由は、名詞句は英語 の4
技能を支える言語知識であるという点である。4 技能すべてにおいて名詞句が 使いこなせることは重要となる。初級英語では主語にI
やHe、She
といった人称代 名詞や短い名詞句が使われるが、英語のレベルが上がるにつれて主語の位置にくる 名詞句は構造が複雑になり、4 技能すべてにおいてそれらが多く使われるようにな る。そしてこのことは4
つ目の理由にもつながる。4 つ目の理由としては、高校英 語教科書における長い名詞句の頻度が挙げられる(Tsunashima、2018)。以上の理由から、本研究では名詞句把握に限定して、高校生の基礎力の定着につ いて調べることを目的とするが、名詞句把握ができているということはいったい何 を意味するのか、それはパフォーマンス力にもつながっているのか、という疑問の 声が中学校・高等学校で教えている教員から上がった。そこで、名詞句把握能力、
すなわち基礎力とパフォーマンス力との関係についても調べるため、パフォーマン ス力としてライティング力に着目して、ライティングとの関係も調べることを目的 とする。以上のことから、以下の
3
つのリサーチクエスチョンを立てた。RQ 1.
高校生の名詞句把握能力はどの程度で、1年間でどう変化するのか。RQ 2.
名詞句把握能力は、その構造の違いによって変化の仕方に違いが出るのか。
RQ 3.
名詞句把握能力とパフォーマンス(ライティング)との関係はあるのか。
2.研究の方法 2.1 参加者
参加者は、首都圏の私立中高一貫校
2
校に通う、443名の生徒である。内訳は、1 校(A校)が211
名、もう1
校(B校)が232
名であった。ただし、テストの実施日 に欠席していた生徒もいたため、それらの生徒はデータ分析には含まれていない。さらに、学校の諸事情により、B 校ではテストが実施できない時期があったため、
本論文では主に
A
校にしぼって分析結果を報告する。A 校にしぼり、さらに欠席者 などテストを受験しなかった生徒を除くと、分析対象者として残った人数は203
名 となった。2.2 マテリアル
2.2.1 名詞句把握能力テスト
本研究で使用した名詞句把握能力を測定するテストは、金谷他(2015)にある
Billy’s Test
がもととなる。このテストは、be 動詞の挿入問題と和訳問題から構成されていた。be動詞の挿入問題は以下のような形式である。
例:This picture very beautiful. (is)
ア イ ウ
かっこに入っている
be
動詞をア~ウのどこに入れるのかを選択する形式である。テ スト問題に含まれた名詞句は以下の4
通りである(金谷他、2015、p. 76)。表
1:Billy’s Test
に含まれる名詞句例 文
This
タイプThis
で始まる名詞句This picture is very beautiful.
Which
タイプWhich
で始まる名詞句Which singer is popular in China?
PP
タイプ 前置詞句による後置修飾 を含むものThe new DVD about Kyoto is interesting.
to
タイプto
不定詞句による後置修 飾を含むものThe park to play baseball is very large.
Billy’s Test
に出てくる名詞句は中学校の前半で扱われるもののみで、分詞や関係節による修飾を含めた名詞句は含まれていない。名詞句構造を把握する力を測るため には、名詞句の構造の種類を増やす必要がある。そこで開発されたのが
Koukousei Billy’s Test (KB Test)である(鈴木・臼倉、2018)
。KB Testには、表2
にあるような 名詞句の問題が含まれている。表
2:Koukousei Billy’s Test (KB Test)に含まれる名詞句
例
Group 1:前置修飾 This +
名詞This book
Which +
名詞Which girl
Group 2:後置修飾・句
前置詞句The cat on the sofa
現在分詞
The girl reading a book
Group 3:後置修飾・節
関係代名詞・主格The student that reads many books
関係代名詞・目的格The man that I liked
名詞句構造の処理の難易度によって、3つの
Group
に分けられた(Pienemann, 2005;酒井, 2006)(詳しくは鈴木・臼倉(2018)を参照)。Group 1と
Group 2
の前置詞句 がBilly’s Test
で使われた構造であるのに対し、Group 2の現在分詞とGroup 3
がKB Test
としてあらたに加えられた構造である。Billy’s Test
では挿入する単語がbe
動詞のみであったが、KB Testでは様々な動詞が使われた。以下に例題を示す。
例:This nice big present my father’s . (is)
① ② ③ ④ ⑤ ⑥
The teacher who likes basketball the piano . (plays)
① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦
縦断的研究のため、複数回テストを実施する必要性から、名詞句の構造は同じで違 う語彙を使った
4
種類のTest Form(Form A~D)を作成して、それらを順番に使った。
2.2.2 ライティングテスト
パフォーマンステストを実施するにあたり、ライティングとスピーキングのどち らのスキルに着目するかということについて検討した際、実施の便宜性からライ ティングテストを実施することにした。このテストを実施する目的は、ライティン グにおける名詞句の使用を調べることではなく、基礎力である名詞句把握能力が身 についている場合に、それがどの程度英語を「使う」ことにつながるのかを調べる ことである。そのため、ライティング力全般を測ることを目的としたテストを作成 した。
ライティングのトピックは「10万円を
1
週間で使い切る計画とその理由」として、解答時間に制限をもうけて
25
分とした。また、解答をする際の注意点として、「貯 金する」という回答は禁止であること、使用目的をできるだけ複数にしてそれぞれについて詳しく書くこと、なぜその目的で使いたいのか理由も書くこと、そして辞 書の使用は禁止であることを参加者に伝えた。ライティングテストは 1 年間の期間 を空けて
2
度実施したが、2回とも同じ問題を使用した。テスト実施後、評価者によるライティングの評価が行われた。評価者は、中学 校・高等学校の教員や大学教員など、普段から英語教育に携わっている
7
名で、1名 の解答につき2
名の評価者が評価基準にしたがって評価をした。評価基準は、GTEC のライティング採点基準(ベネッセコーポレーション、2019)を参考にしながら、7 名で話し合いを重ねて完成させた。3つの項目をもうけ、1つ目は、テストの指示に 従ってお金を使う目的やその理由について述べているかという「内容」に関するも の、2つ目は文法や語彙に関する「言語的な豊富さ・正確さ」、3つ目は「文章全体 の流れ」で、それぞれの項目をもとに7段階に分けた。以下がその基準である。表
3:ライティングの評価に使われた評価基準
内容(指示に従っているか) 言語的な豊富さ・正確さ 文章全体の流れ
「目的」が書か れているか
「(その目的の)理 由」が書けているか
容易に理解できる英語で 書けているか
文章全体の流れ がよいか
6
・目的を書いており、さらにそれぞれの目的に対して理由を詳しく書いている。
・豊富な語彙や文のパターンをほぼ正確に使用しており、容易に理解できる。
・文と文のつながりがよく、文章全体の流れがとてもよい。
5
・目的を書いており、さらにそれぞれの目的に対して理由を詳しく書いている。
・様々な語彙や文のパターンを使用しており、ところどころ文法的な誤りも見られる が、理解できる。
・文と文のつながりがよく、文章全体の流れがよい。
4
・目的を書いており、理由を添えている。
・様々な語彙や文のパターンをある程度使用しており、文法的な誤りは多いが、理解 は可能である。
・文章全体の流れがある程度よい。
3
・目的を書いており、理由を添えている。
・限られた語彙や文のパターンを繰り返し使っており、文法的な誤りも多いが、理解は可 能である。
・文章全体の流れがあまりよくない。
2
・目的のみ、あるいは目的と理由が書かれている。
・語彙や文のパターンは限られており、文法的な誤りも多く、理解が極めて難しい。
・文章量が極めて少なく、文章全体の流れを判断することが難しい。
1 日本語が混ざっている、英文になっていない、などの理由で、理解が不可能である。
0 白紙である。
評価者の都合上、評価は高
2-1
学期のライティング解答に対してのみ行った。2.3 手 順
KB
テストは高校1
年生1
学期より毎学期末に実施している一方、ライティングテ ストは年1
回、高校2
年生1
学期初めと高校3
年生1
学期初めにのみ実施した。そ のため、本研究ではライティングテストを実施した時期と近い時期に実施されたKB
テスト、すなわち高校1
年生3
学期と2
年生3
学期に実施されたKB
テストとライ ティングテストの関連性に着目する。ライティングテストとKB
テストとでは、実 施した学期は違うが、ライティングテストは1
学期初め、KBテストは各学期末に実 施であったため、1学期末のKB
テストよりも前年度3
学期末のKB
テストのほうが ライティングテスト実施時期と近いということになる。3.結 果
3.1
KB Test
の結果まず、A校と
B
校で実施したKB Test
の点数の変化について述べる。図1
は、合 計点の推移を示している。点数はパーセンテージ換算されたものである。図1:KB Testの合計点の推移(2校合計)
高
2-1
学期は、B校での実施ができなかったため、53.4という点数はA
校のみの結 果である。この時点の点数が高めになっているのは、A 校のみということで参加者 に偏りが出たからということが考えられる。全体的に見ると、高1-1
学期から高2-
3
学期にかけて、およそ2
年間で約9%の伸びが見られた。
ここからは、A 校のデータにしぼって詳しく見ていくが、ライティングとの関連 性を見るために、ライティングテストを実施したのと同じ時期、すなわち高
1-3
学 期と高2-3
学期に実施したKB Test
の結果に限定して詳しく分析する。まず、KB Testの合計点の変化を見る。図
2
に示されるように、1年間で7.2%の
伸びが見られた。図
2:KB Test
の合計点の推移(A校のみ)次に、名詞句の
Group
ごとに見てみる。Group 1は、3つのGroup
のうち処理が一 番容易なものであり、一番難しいのがGroup 3
と考えられるが、図3
を見てもその ことが結果に反映されている。図
3:KB Test
のGroup
ごとの点数の推移(A校のみ)高
1-3
学期の時点でGroup 1
の正解率が7
割ほどだったのに対し、Group 3の正解 率は2
割程度であった。1年後の高2-3
学期には、それぞれ4.1%、10.5%の伸びを
示した。一番伸びを示したのはGroup 2
で、12.8%伸びた。それでは、それぞれのGroup
内ではどのような傾向が見られたのであろうか。図4
にその結果を示す。図
4:KB Test
の名詞句構造ごとの点数の推移(A校のみ)Group 1
のThis +
名詞以外の項目すべてにおいて、1年間で伸びを示している。This +名詞の構造については、天井効果の表れかもしれないが、それでも正解率が
8
割程 度にとどまっていることを考えると、まだ伸びる余地があるにもかかわらず伸び悩 んでいるのには、何か理由があるのかもしれない。それについてはここでは検証す ることはできないが、今後の検討課題となるであろう。表
4
は、2回のKB Test
の点数の差を表している。表
4:2
回のKB Test
の点数の差高
1-3
学期 高2-3
学期 差Group 1:前置修飾 This +
名詞83.6 83.4 -0.2
Which +
名詞62.0 70.4 8.4
Group 2:後置修飾・句
前置詞句52.3 65.1 12.8
現在分詞
45.0 57.6 12.6
Group 3:後置修飾・節
関係代名詞・主格25.7 36.2 10.5
関係代名詞・目的格
22.3 32.8 10.5
これによると、Group 2、すなわち後置修飾・句が一番大きな伸びを示している。次 に大きな伸びを示したのは
Group 3
となっている。3.2 ライティングテストの結果
A
校の生徒による解答の平均語数と標準偏差、最大語数、最小語数は表5
の通り となっている。表
5:ライティングテストの語数の結果(A
校のみ)平均語数 語数の標準偏差 語数の最大値 語数の最小値
高
2-1
学期84.9 50.0 323 7
高
3-1
学期91.8 45.9 242 5
1
年間で約7
語の平均語数の伸びが見られたが、最大語数は1
年後には減ってしまった。ライティングの評価の結果は表
6
に示す。表
6:ライティングテストの評価の結果(A
校、高2-1
学期のみ)平均 標準偏差 最大値 最小値
3.1 0.9 6 1
注:評価の点数は0
点~6点となっている。ライティングの評価の幅が広いことがわかる。ライティングの解答例を以下に示す が、スペリングエラーや文法間違いはそのままとなっている。解答例は、すべて評 価者
2
名から同じ評価を得たものである。表
7:高 2-1
学期に「1点」と評価された解答高
2-1
学期の解答 高3-1
学期の解答 生徒A Buy a shoes, clothes, birthday present, Live
DVD
Go to karuizawa OUTLET, USJ, Live
(14語)
I buy a shoues and clothes.
I went to Hawaii.
I went to karuizawa’s OUTLET.
Because I want clothes.
I went to USJ. Because I like USJ’s atraction.
I eat Yakiniku.(31
語)生徒
B I will give present for my preant. Because always take care(11
語)I use present for my pearents.
My pearents get up eariy, so very tired.
I present for pearents bed and massage cheir.
Because bed is good slepp. massagecher is
(29語)
生徒
A
の場合、高2
のときには主語がない文になっていたが、高3
のときには主語 にI
が入るようになった。生徒B
は、さらに文の数も増えている。表
8:高 2-1
学期に「3点」と評価された解答高
2-1
学期の解答 高3-1
学期の解答 生徒C I will buy for my brother many books
because my brother likes books. I will buy for my sister a new bicycle because my sister’s bicycle is old. I will buy for my mother a new shoes because my mother wanted new shoes. I will buy for my father a T-shirt because my father likes excercise.
I will go to restaurant with my family because my family like eating.(69
語)First, I will buy a food mixer. It’s because I love smoothies. I want make vegetable smoothies using it. I’ve wanted to use it for a very long time.
Second, I will buy a rabbit’s house. I have two rabbits. But one of them grew up fast.
So now his house is too small for him to live in confortably. I want to give bigger house to him.
Third, I want to go to Tokyo Disney Sea with my family. In this spring vacation, we planed to go there. But accidently my father should have gone to work. So we couldn’t go there. If we were to go there, we would ride a rollar coaster. All of my family really like to ride rollar coasters.(125
語)生徒
D I want to use these money to do a lot of things. First, I want to buy some gifts for my friends and my family, because they’re so kind to me. Second, I want to buy some games in my computer, because it’s too expensive for me until I get hundred thousand yen. Third, I want to buy a new camera becaus, I want to take pictures of animals. Forth, I want to eat French food with my family, because I think it’s very.
(84語)
I want to buy Lalisa’s DVD, because I like her for a long time, but I don’t have money enough.
I want to buy some gifts to my parents, because they always worried about me and my sister if we are fine.
I want to buy various books, because Japan’
book is much expensive than China. It is
difficult for me to buy a lot of books. I
want to join Lalisa’s fans club and use this
money for her to buy goods, because she
is so cute.
I want to help cats and dogs which don’t have a place to stay, because they are poor.
I hope they can find a kind family. I want to help them as possible as I can.
This is what I want to do if I have 100 thousand.(136
語)生徒
C
とD
について詳しく見てみると、内容に関しての上達が見られる。すなわち、ひとつの目的に対する理由の説明が高
2
のときよりも高3
のときのほうが多くなっ ている。表
9:高 2-1
学期に「6点」と評価された解答高
2-1
学期の解答 高3-1
学期の解答 生徒E If I get the money, I will use it in many
ways. First, I will buy a new guitar. I’m in theschool band club and I’m playing the guitar in the band. The guitar I already have is good enough, but I want the guitar that looks cool. Second, I will go to Hokkaido and Okinawa for a trip with my family. The reason that I chose Hokkaido and Okinawa is because their culture and weather are very different. In winter, Hokkaido usually have snow but Okinawa doesn’t have snow. I have lived in Okinawa for about five years and I know things like culture and background of Okinawa but I’ve never been to Hokkaido and I don’t know a lot of things about Hokkaido so I want to go there. Finally, if
If I get 100000 yen, I will buy Shinkansen tickets for me and my mother. My mother was talking about going to hot springs in Japan since last year so I wanted to go on the hot spring tour with my mother. This season, tickets for Oita are about 2.5000 yen So I will use 50000 yen for tickets.
With the remaining money, I want to eat delicious food in Oita. My family doesn’t go out for dinner so often so I want to take my mother to the expensive dinner.
I also want to buy clothes because I don’t have enough clothes for spring and summer, since I was in New Zealand last summer.
(115語)
the money left over, I want to stay in a good hotel in Tokyo because in the future, I want to work in a good hotel so I want to learn what the people in the hotel do.
There are many things I want to do, but these three things are the things I want to do if I get the money.(195
語)6
点を得た生徒のライティングを見ると語数が減少したケースがあったが、評価者2
名から6
点の評価を得た解答件数はもともと少なかったため、語数の減少について は一般化しづらい。3.3
KB Test
とライティングテストの相関最後に
KB Test
の点数とライティングテストの評価点との関係を示す結果につい て述べる。図5
は両テストの散布図を示したものである。図
5:KB Test
の点数とライティングテストの評価点の散布図相関係数は0.63であった。中程度の相関と言えるであろう。このことは、KB Testに よって測られた名詞句把握能力は、学習者のライティング力と何らかの関係性があ ることを示唆していると言えるであろう。
4.考 察
まず、KB Testの結果について考える。高
1-3
学期から高2-3
学期までの1
年間 で、名詞句を把握できる率が高まっていることがわかった。名詞句把握能力は、本 研究においては英語の基礎力とみなしているので、この1
年間で基礎力が向上した と言えるであろう。しかし、名詞句の構造によってその伸び方には違いが見られた。表
4
によると、Group 2(後置修飾・句)が一番大きな伸びを示していて、次に大き な伸びを示したのはGroup 3(後置修飾・節)であった。構造の処理の難易度を見る
と、Group 1が最も容易で、Group 2、Group 3の順番で難しくなっていく。最も容易な
Group 1
は、天井効果の表れなのか、伸びはあまり見られなかった。それでも、正解率が
8
割程度にとどまっているのには何か理由があると考えられる。Group 2とGroup 3
とでは、Group 2のほうが大きな伸びを示したのには、Pienemannの教授可能性仮説が関係していることが考えられる。教授可能性仮説とは、ある言語項目に 関する指導や学習が効果を持つためには、学習者がその項目を学習する準備段階に いないといけない、とするものである(Pienemann, 1989)。多くの生徒が
Group 2
の 項目を身につけられる準備段階にあったが、Group 3についてはまだその段階には達 していない生徒が多かったのではないかと予測できる。しかし、高
2-3
学期の時点で8
割に到達した項目もあれば、まだそこまで到達し ていない項目もあり、名詞句の構造が「定着している」とは言えないであろう。た とえ中学で学習するものであっても、定着までには時間のかかることが、ここから 読み取れる。ライティングテストの点数とKB Testの点数の関係については、中程度の相関が見
られた。機械的に見える
KB Test
であるが、ライティング力にも関連している可能性 があることがわかった。名詞句把握能力は、英語力の一部分のみを測っていると考 えられるが、それが基礎力であると考えた場合、ライティング、さらにはパフォー マンス全体の基礎力なのではないか、と考えることができる。今後さらなる検証が 必要であろう。今後の研究課題としては、まずは天井効果と思われるKB Testにおける
Group 1
の 名詞句について、なぜ正解率が8
割にとどまってしまっているのか、その理由を探 らなくてはならない。また、Group 2とGroup 3
の伸びの違いについてもさらなる検 証が必要であろう。さらに、ライティングの解答内にある名詞句の分析が挙げられ る。名詞句把握能力とパフォーマンスとしてのライティング力に関連性があること は示唆されたが、実際にライティングの中でどのように名詞句が使われているのか を調べる必要があるであろう。今回は高校生を対象としたが、「定着」までにはまだ 時間がかかることがわかり、それならば大学生の場合はどうか、ということも今後 検証する必要がある。5.結 論
英語力の基礎力として位置づける名詞句把握能力について、日本の高校生はどの 程度身についているのか、その経年変化をみる目的で始まった研究プロジェクトで あるが、その過程で、中学校・高等学校で教える現場の教員から出た「パフォーマ ンスとの関連性はどうなのか」という疑問に答えるべく、本研究は行われた。その
2
つに関連性がある可能性がわかったが、さらなる課題も見えてきた。引き続き検 証を重ねて行きたい。参考文献
金谷憲,小林美音,告かおり,贄田悠,& 羽山恵.(2015).『中学英語いつ卒業?
中学生の主語把握プロセス』.東京:三省堂.
金谷憲(編著),臼倉美里,大田悦子,鈴木祐一,& 隅田朗彦.(2017).『高校生は 中学英語を使いこなせるか?』.東京:アルク.
酒井英樹.(2006).文法.In 金谷憲(Ed.),『英語診断テスト開発への道』.東京:
ELPA.
鈴木祐一,& 臼倉美里.(2018).「日本の高校生の英語名詞句構造の把握能力―
Koukousei Billy’s (KB)テストの開発―」.外国語教育メディア学会(LET)関西
支部 メソドロジー研究部会第11
号報告論集,23-47.ベネッセコーポレーション.(2019).GTEC Writing採点基準について
https://www.benesse.co.jp/gtec/fs/pdf/GTEC_WritingScoringCriteria.pdf
文部科学省.(2017).中学校学習指導要領(平成29
年告示)解説:外国語編http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/
2019/03/18/1387018_010.pdf
文部科学省.(2019).平成
30
年度「英語教育実施状況調査」の結果についてhttp://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/gaikokugo/1415042.htm
Pienemann, M. (1989). Is language teachable? Psycholinguistic experiments and hypotheses.
Applied Linguistics, 1, 52-79.
Pienemann, M. (2005). Cross-linguistic aspects of Processability Theory. Amsterdam: John Benjamins Publishing Company.
Tsunashima, Y. (2018). Analyses of noun phrases appearing in junior or senior high school
textbooks. (Unpublished BA thesis), Dokkyo University, Saitama, Japan.
謝 辞
本研究は、関東甲信越英語教育学会研究推進委員会が 2017 年から実施している研究 の一部であり、その過程で研究推進委員会の委員に様々なところで参加・協力して 頂いた。特に鈴木祐一先生、臼倉美里先生、矢部隆宜先生、冨水美佳先生には、研 究プロジェクト開始時から中心となって進めて頂き、加藤嘉津枝先生、砂田 緑先生、
青田庄真先生、井戸聖宏先生、大關 晋先生、後上雅士先生、駒形知彦先生、佐藤 選先生、高木哲也先生には研究を進める上でご協力を頂いた。先生方に心より御礼 を申し上げる。本研究は神田外語大学言語教育研究所の研究助成金により行われた。
言語教育研究所にも御礼を申し上げる。