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2石橋模型の設計と製作 (1)目的:

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Academic year: 2021

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(1)

熊本大学エ学部附属ものづくり創造融合エ学教育センター平成20年度年次報告書

石橋の強さと長持ちの構造特性に迫る

社会環境工学科4年楠隆志担当教員:山尾敏孝 1.はじめに

九州の中で熊本は,大分,鹿児島に次いで三番目に 多くの石橋が造られ,通潤橋や霊台橋などを始めとす る有名な石橋が当時の形で多く存在している.図-1 はその一例である.現在ではこれらの石橋はほとんど 建設されていない.これは,石橋の構造の違いや,石 の種類による強度が異なるため挙動が明確にならず不 安定なこと,現在使われている基準に適応できないこ となどが挙げられている.しかし,現存の石橋は現在 建設されている橋に劣らないくらいの耐久性や耐震力 があると考えられているが,まだ明確な挙動解明には いたっていない.そこで,本プロジェクトでは,実際 に石材を加工して石橋模型を製作し,これらを用いて 載荷試験を行い石橋の強さと長持ちの構造特性を明ら かにすることを試みた.

2石橋模型の設計と製作 (1)目的:

裁荷実験が可能な範囲の大きさと形状を有する石橋 模型を製作することにした.実際の石橋に使用されて いる石材を切り出し,それぞれの部材を加工し石アー チを製作することによって昔の人たちが行っていた加 工の大変さも学ぶ.

(2)模型の設計と製作:

製作する石橋模型は実物の1/15~l/20程度の大き さとし,スパンライズ比は,0.2,0.5,04の三種類 とした.表-1には製作した3体の模型の寸法を示 した.なお,スパンライズ比は,図-2(a)に示すよ

うに,アーチスパ ンとアーチ高さ

(ライズ)と比で ある.これらの石 橋は,すべて三列 アーチで,石材の 組み方は隣り合う 列の構成部材の隙 間が連続しないよう にした.アーチ形状 は図-2に示すよう にライズ比が0.5,0.4 のものは円形形状の アーチ,0.2のものは 放物線形状のアーチ とした.その後こ

図-1鴨籠橋

放物線形状のノーナ図-3使用した石材 とした.その後,こ

れらの設計をもとに石橋模型の設計図面をCADで作 製した.作製した図面を図-2に示す.

石橋模型は実物の石橋の挙動特性により近づけるた めに,使用石材は図-3のような熊本に現存する石橋に 用いられている阿蘇の溶結凝灰岩を使用した.

表-1各石橋の寸法(単位、、)

スパン|高さ|ライズ比|幅員|リング厚|部材数 石橋11590111810.2’270160

51

石橋2145011801041200140

57

石橋3159012951051270160

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(c)石橋3(0.4)

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(a)石橋1(0.2) (b)石橋2(05)

図-2製作した各石橋の図面

121

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スノミョ〆 高さ ライズ比 幅員 ソング;寝 石橋1

590 I:8 270 6()

石橋2

450 180 ZOO 40

石橋3

590 295 0.5 270 60

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(2)

熊本大学エ学部附属ものづくり創造融合エ学教育センター平成20年度年次報告書

鰯 図-4石材の加工と組立て 図-5完成した支保工と石橋 石材を加工して構成部材の製作を行なった.まず,

四角柱状の石材に必要な構成部材の寸法を罫書きし,

切断機で切り出す.この際切断機のブレードの厚さも 考慮してけがきを行なう.使用する凝灰岩は軟らかく 加工しやすいが,切断時に欠ける恐れがあった.欠け ると部材同士が密着する面の表面積が小さくなり,組 んで載荷する際に作用する応力が変化する恐れがでて くるので,細心の注意を払って行った.次に模形状に けがいて,グラインダーで側面を削り,平面に加工し た.(図-4)削り易かったが,硬さが不均質なため加 工には注意を要した.実際の石橋の石材はノミと金鎚 を用いてこの作業を行なうため表面は必、ずしも滑らか な平面ではない.このため構成苔|I材の密着面は滑らか な平面とはせず,比較的実物に近いものとした.全て の構成部材を削り終えると,一端石橋を組んでかみ合 わない箇所や全体のバランス,構成部材の大きさ,ば らつき等を確認して再度グラインダーで削り直し,組 み上げて確認した(図-4参照)最後に,石橋を組み 上げる際に,構成部材を支える役目を果たす支保工を 図-5に示すように製作した.

3.模型の載荷試験

製作したスパンライズ比02と05の石橋模型を使用 して,アーチクラウン部に集中載荷実験を行った.実 験の様子を図-6に示す.載荷試験機上に組み立てら れた石橋のアーチ両端を単純支持し,そのアーチクラ ウン部に荷重を加える方法で行った.アーチ両端部を 支える拘束具はシャコ万力によって固定し,加圧には センターホール油圧ジャッキを使用した.

石材アーチのみの構造では,集中荷重により中央の 載荷点と支点との間に篭によるふくらみが生じる.特 にスパンライズ比が大きくなるほど,ふくらみが大き くなることから,スパンライズ比05の模型においては L/4点に拘束板を設置して載荷実験を行った,荷重を かけるアーチクラウン部では3列の石材のいずれかに 荷重が集中しないよう,金属板を橋軸直角方向に配置

し,均等に荷重を作用させた・

スパンライズ0.5の石橋模型は,荷重を載荷した直後 は,全ての位置で鉛直下向き方向に変位したが,しば らくたった後,中央部分以外は全て鉛直上向き方向に 変位し始めた.また,23tから石材にひび害||れが入り,

盲卿→! 荷重載荷点

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図-6集中載荷試験(0.2模型)

2.7tで最大強度となった.そのとき,変位位置がスパ ンの中央(L/2点)において最大変位が8.69mmとなっ た.図-7はスパンライズ比が02と0.5の模型のそれぞ れのL6t付近での鉛直方向の変位分布を示した.変位 計2の石橋中央ではスパンライズ比が0.5と02では約2 倍の違いが出てくる.このことからもスパンライズ比 が小さい放物線のアーチの方が石橋の強度が強いとい うことが確認できた.なお,05の模型では,L/4点に,

ふくらみを抑える拘束板を付けたが,これによりアー チは安定し,大きな強度増加がみられた.つまり,実 石橋では壁石がこれに相当することから,壁石の役割 が確認できた.

到丑

計1

弓41

変位計C

ここ曰尉 変位計4

変位計2

(中央部) …噂一スパンライズ比05

-葡一スパンライズ比02

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模型の中央からの8日熟(m、)

図-7荷重16tでの鉛直方向の変位分布 4.おわりに

本物のスケールの1/15~l/20程度の模型石橋を,工 作機械を用いて初めて作ったが,精度の良い石橋模型 を作ることができなかった.昔の石工はノミと金鎚だ けでスケールが大きな石橋を作り,それが何百年たっ た今でも人々の役に立っていることに改めてその技術 に感心した.また,石橋の強さや耐久性の秘密が実験 を通してある程度であるが明らかにできた.

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