学 力 不 足 ・ 学 習 意 欲 欠 如 の 学 生 の 指 導 法
‑実践報告を中心として‑
松本忠雄 永藤壽宮 西村治 山本行雄
(平成8年 10月24日 受理)
How to Teach Low‑Motivated And Low‑Grade Students
‑Practice in Nagano National College of Technology‑
Tadao Matsumoto Toshimiya Nagato Osamu Nishimura and Yukio Yamamoto
Recently fey studentsstudyveryhardathome.Somestudentscannotconcentrate on class activities through poorpreparations.Theydonotunderstandwhatis being taughtandtheyrepeatandfinallydropout.
Many teachersareawareofthepresentsituationand theymay have ideasabout howtomotivatethestudentsandhowtoraisetheirachievement levels. We have asked severalteachersto sharetheirknow‑how. Wehavealsodiscussedhowvecan combineoureffortsin tacklingthepresentsituation.
1 . さま し:め 古こ
バブル経済 の崩壊,不況,産業の空洞化,急激な円高などを背景に した日本経済 は,雇用 吸収力 を失 い,就職氷河期を迎えた。 日本 の産業界の要望 は,技術者 の量か ら質への転換を 求めている。 このよ うな状況下で,高専は専攻科設置の方向へ向かい,国際化時代 に対応で
きる創造性豊 かな技術者 の育成をめざ して努力 してい る。
ところが,現在 の学生達を取 り巻 く環境 は,テレビ,テレビゲーム,アルバイ ト, オー ト バイ,乗用車 などの誘惑の渦 の中にお り, しっか りしないと安易 な生活 に流 され,予習 ・復 習の家庭学習の時間を取れない者が増 えて きている。その結果,毎 日の教科 の内容が理解で きな くなり,成績不振 に陥 り,学習意欲を失 い,留年,退学 の道 を歩 む者 も多 くな って きて いる。
これ まで本校では,昭和49年度 よ り学科 の枠を超 えた学級編成 を試 み,学科 による学力格 差の解消 とや る気 を起 こさせ る混合学級制度 を実施 した. また,昭和50年度 よ りしば らくの 期間, 1・2学年の英語 と数学の成績不振者 を対象 に,週1回60‑90分 の補習授業 を行 うな どの試 みが行 われた。平成6年度 には入学者 の全体 の学力向上 のために推薦入学制度 を導入 した。
平成7年度厚生補導研究会第2分科会で 「学力不足 ・学習意欲欠如 の学生 の指導法 」につ
*一般科 教授
‡*環境都市工学科 助教授
*‡*電子情報工学科 助手 書‡**電子情報工学科 教授
238 松本忠雄 ・永藤毒宮 ・西村 治 ・山本行雄
いて話 し合いが行われ ることになった。そ こで,学力向上を図 るための教科 の教育方法,学 習意欲高揚 ・成績不振者 の学力向上対策な どについて,日頃か ら工夫 されている教授方法の 実践例 を報告 していただ き, さらに,カ リキュラム,そのはかの制度 の改革な どを含め学校 全体で取 り組む事柄 について ご意見 を提出 していただいた。それ らの実践例や ご意見 は分科 会 の話 し合 いの基 となると同時 に,多 くの先生方が参考にされ, 自分 の授業 に取 り入れ一段
と実 りのある授業 になることを願っている。
2 ‑ 学 力 l司 」ニ ー 学 習 意 欲 高 揚 の た め の 教 育 方 法 ア ニ/ ケ ー ト
2‑1 調査時期 ・対象 調査時期 平成7年7月
調査対象 長野工業高等専門学校 全教官 (内地研究員 は除 く) 表1 対象者数 ・回収率
学 科 一 般 機 械 電 気 制 御 情.戟 環 境 計 ‑
対象者 (名) 26 . 9 10 9 9 10 73
回収数(名) 16 7 6 4 5 6 44
回収率(%) 61.5 77.8 60.0 44.4 55.6 60.0 60.3 2‑ 2 ア ンケー ト調査項 目および調査結果
ア ンケー ト調査項 目の内,学力向上を図 るための教科の教育方法 (実践例)ならびに学習 意欲高揚 ・成績不振者 の学力向上対策 (実践例)については,アンケー トに記載 された文章 をで きるだけ忠実 に表 にまとめた。学力向上のために学校全体で取 り組む事柄および学習指 導 についての教官の自己点検評価については,実践例 の表の間に貴重 な意見を紹介 した り, 分科会の討論内容のまとめの中に入 れました。
2‑ 3 学力向上を図 るための教科 の教育方法 (実践例)
一般科目は1‑ 3学年で主 に学んでおり, これ らの科 目の基礎学力は専門科 目を理解す る ために役立 ち,その内容 は就職試験 ,公務員試験,大学編入学試験な どに多 く出題 されてい る。卒業後 の学習の基礎 にな り,社会人の教養 として2‑ 3垂 に役に立 っている。
基礎学力の充実のために各教科の授業担当者 は,それぞれ工夫を し努力 している様子が実 践例で示 されている。 さらに, これ らの学力を確かな ものにす るために, 3学年末 に4学年 進級試験を主要科 目共通試験 として行 うことを提案す る意見が見 られた。
今回は主 に教科の指導方法 について ご意見 を求めたが,学校教育 はどのような人間を育て るかが一番大切 である。その方面の意見 として,以前 は成績評価を厳 しくす ることが万能薬 のよ うに考 えていた。その ことによ りアルバイ トや生活の乱れに対 して自律で きる学生 を育 てることがで きると思 っていた。 しか し,種々のタイプの学生 を画一 の枠で教育す るのは難 しい と思 うよ うにな った。厳 しい先生 あり,優 しい先生あ り,「種々の人徳」を持 った先生 が必要 と思 う。知育,体育を通 じて徳育を行 うことが大切で,徳育 こそ白律 させることにつ
表2 ‑般科 目実践例
国 章五
Flコ ・基礎的学力 (漢字)の向上策 として,毎週1回漢字小 テス トを行い,誤字 は3回 訂正 させ,提出 させているo長期休業 中に読書感想文 を課 し,読書を させ,感想文 を書 くことによ り表現力向上をめざしているo
美 章左
PEl ・土 .日に英語 の学習参考書の読む個所を指定 し,毎週 レポー トを提出 させてい る
・新学期 スター ト時に於 ける学習方法 のガイダンスの徹底o副教材 (演習問題) の 導入 による応用力 のア ップo講義調の授業か らの脱却一一一>学生 を主体的 に動か し 発言 させ る授業〇年間 シラバ スを授業時間だけでな く,長期休業中,検定試験等 も 組込 み立案す るo
・基本的には,「テキス トを教 える」 というよ り,「テキ ス トで教える」 とい うこ とで,重要単語を含む英語諺の紹介 とその精神を示す とか,.常識 に直結 して いる補 足 .脱線を行 うことで,学生 の興味を高揚 させ,集中力を育成 し,居眠 り防止 に も なるo
・英語 は技能 を修得す る科 目,つまり演習を必要 とす るが,現在 の授業時間数で は 少なす ぎる.積極的な学生 は外部q)英語学校 に通 った り,放送 を利用 してい るo授 業で足 りない ところを補 うために,英検の受験を勧めた り,英語弁論大会 に参加す るよ うに勧めた り,少 しで も関心のあ る者には相談に応 じているoある程度能力 の ある者 は更 に伸 ばすよ うに指導 しているo
数
学 ・選択の数学では,応用上学生 の興味 ある講義をするように しているo
・数学 の基礎学力や問題解決能力を養 うために問題演習を重視 しているo授業中の 演習 の他 に,低学年には定期的に課題 を与え, レポー トを提出 させてい るo また, 章 ごとにまとめのテス トを実施 しているo
・時 々小 テス ト(5‑10分)を行い,毎 日学習す る習慣をつけ させるo
・な るべ く平易でわか り易い授業を心授 けている.
・具体的な ものを通 して,理解できるように工夫 している..
・定期 テス ト以外 にも試験を実施 し,学力の定着 を図 っているo
理
料 ・カ リキュラムの中で,具体的に教育 目標を学生 に示 し,全員が達成す るよ うに心 掛けているその長めに ドリルと呼び,各段階で各 々の学生 の理解度をcheckす る.
・授業時間数が少 ないので,各論を少 し省略 して も,物 に接す る実験 の時間を多 く とり自然科学 に興味を持たせ,起 こつ1た現象 を考察す る態度を養 ってい る.
・問題集を使 い教科書の問題 を補充 し,理解 を深 めるために演習を行 ってい るo ま た,大学編入学試験 .公務員 Ⅱ種試験受験者 には, この問題集 を全問回答で きるよ
うに学習指導 しているo
・年4回の定期試験以外 に夏季休業 .冬季休業後試験 を行 っているo
体 ・体力 ■.技能共長野県は全国平均値を下回 っているo少 ない時間 に集中 して取 り組
なが るので はないか。学生に対 して包容力を もって,成長期 にあ る学生 への 「しつ け」 もで
240 松本忠雄 ・永藤毒宮 ・西村 治 ・山本行雄
きる教育者 であ りた い。特 に20代30代 の教官 に徳育 の必要性 を 自覚 して欲 しいと感ず る。教 育 は教室 と教官室のみで行 うもので はない。あ らゆ る機会 (オ リエンテー ション,修学旅行, 見学旅行,部活 ,合宿等 )を通 じて,人格形成 の手助 けをす るのが肝要 と思 う。
表3‑1専門科 目実践例
機
械 ・製 図 は3週 間で図面を仕上 げる短期 目標があ るので真剣 に取 り組んでいるo講義 は先ず いかに学生 にや る気を持たせ るかだが, うまい方法がないo
・今何が問題 にな ってい るか,最新情報 を トピックス的に話 しているo これが学力 向上 に直接関係す るとは思わ ないが,高等教育で は必要である し,興味を持 って く れれ ば良 いo
・基礎科 目は編入試験 に出題 され るので,過去 に出た問題 を配布 しているo
・講義 はOH Pを用 いて図で理解 させ る方法 を とり,現物 を見 せた り,実習工場 を 見学 す る.など,で きるだ け物 を媒体 と して教 えるよう心掛 けて いるo
・シラバ スを作成 し実行 して いるo アルバイ ト,部活 ,基礎学力不足 などが原因 と なってい るた めか,必ず しも効果を挙げていないo
電
気 ・講義内容をその 日の内 に演 習 し,演習 を通 して理解 を深 め,必ず提 出 させ,成績 評価 の参考 と しているo
・具体例 を挙 げて説明 したり,言葉 で説 明す ると共 に板書 を心掛 けているo前回の 授業 の要点を授業 のは じめに説明 してい るo
・自分 で考え る習慣 をつ けさせるために,演習問題を与 え, レポー トを提出 させて いるo
・電磁気学で は暗記を少 なくし,あ る現象 の結論 まで 自分で導 く勉強法を奨励す る 試験 で は数式 の途 中経過 を手 を抜かず 自分で解 いて.い るか細か く採点す るo
・高学年 では採点 した試験問題を学生 に戻 した後,回収す るo過去問題が出回 るの を防 ぐo
・4年生 の実験で大実験 を実施 し,個人個人のや る気 と理解がなければ実験 で きな いテーマを与 え,効果を挙げているo
・あ る程度講義が進んだ ら,復習の時間を設 け,質問を受 けている〇一
・先ずconceptを全員 に理解 させ (この段階 は数式 が入 らないので,誰で も理解可 鰭),その後targetにaccessす るためのskillを教 えるo
刺御 ・出席 の点呼代わ りに小 テス ト (問題1題) を実施 してい る (不定期).
・講義科 目は過 1回程度 で演 習を主 としたReportの提 出を課 している060分 の定期 試験 で暗記力 を試 され るので はな く,時間はかか つて も.じっくりと考察 し,確 かな な学 力 を身 につけ るよ うに話 していますが、他人 のReportを写 し (写 して も内零 を 理解 すれば可)提 出す る事が 目的のよ うで、問題 を含 みますo
・実験 は理解度 の個人差 が大 きいので,実験 中のあいてい る時間は個人的に説 明を
・全講義 に出欠表 (B5,半期で 1枚)を学生 に配 り,そ の時間でq)質問や感想 を書
表3‑2 専門科 目実践例
・3年生では出席点を20%とす る事を学生に伝え,出席率 を高 くするよ うに してい る。
・基礎 的な科 目は成績が良いが,応用的な科 目は成績が悪 い。基礎的な部分が忘れ て しま っているので,定期的に復習を含めた内容を行 っている。
・1単位の教科 は隔週, 2単位 の教科 はほぼ毎週演習を行 っている。
・実験 ・実習 はで きるだけ学生 自らが考え, 自分で行動で きるよ うにア ドバイス し てい く。
・授業 において学んだ実験 ・解析 ・設計の手順を,一台の機械を試料に して,最初 か ら最後 まで一連 の レポー トを作成 し,自動制御 の全体的把捉を させている。 レポ ー トは各 自30‑40ペー ジ'になる (5年E, ∫)。
・講義 の中に適度 に緊張感の もてる課題を配置す ると共 に,その報告書 をトト形式 に し学生 と教官の問で何回 もや りとりす る方式を とっている。
・製図 :ダンボールで座標系の模型を数個作成,そこに平面や立体,直線や点 を置 いて, どう描かれ るか,個人の理解度 に合わせて, 自分で納得で きるよ う,抽象概 念だけでな く教 えたC理解力促進のためテス トも行 ったo
・水理 :小 ・中や本校低学年で学んだ ことや経験済みの事柄を例 に,微分方程式 に おける各項の物理的意味 と結 び付けて理解 させる。
・河川:単なる式 の暗記や理解だけでな く,長期休業を利用 した現地踏査を取 り入 れ,総合化の訓練や報告書のまとめの基礎等 の訓練を行 い,内容的に変化を持 たせ ている。
・講義 :例えば,最適解を得 る方法 について,演習の形で各人異 なる数値 による計 算を分担 させ,その結果を集 めてグラフ化す ると,数式がよ く理解で きる。
・実験 ・実習中は,「ただ作業 だけす るので はな く,考察の種 を捜す ことを心掛 け る」指導を している。評価 も 「考察の記述」 に重点をお く。
・設計製図 :毎回その時間内に完成す るような課題を与 え提出 させる (1年生)0
・oHP等を利用 して,文章 としてよ りも図 または絵 として,教科内容 を理解 して もらう。
・演習問題を解かせて,理論 ・計算式 を理解 させ る。
・図面 と対応 した実構造の写真を見せる。
・居眠 り,内職等 している学生 を指名 して答 えさせる。
・講義 の ビジュアル化を コンピューターなどを使 って実施 している。
・設計製図 :一人一人に寸法の異なる課題を与えている。そのため他人 の丸写 しは で きず,自分 白身で計算,製図を行 う。設計 に当た り,数学,構造力学 ,鉄筋 コン
ク リー ト工学,土質工学 な どを総合的に勉強 し,完成時の喜 びが大 きい。
また,画一的な教育である学年制を廃止 して,単位制 を導入すべ きだ との意見があ った。
学習者 自身の 「自由意志 による」勉強への参加が学習意欲高揚 と学力向上につなが る.その ためには、 「単位制」の導入 と授業の選択の自由を増す。そ こに 「飛 び級」,「低学年で も
242 松本忠雄 ・永藤幕富 ・西村 治 ・山本行雄
高学年 の単位が とれ る仕組み」を入れ る。「学生 は教師の背中を見て育 っている」 ことを考 えやる気のある,向上心 のある学生 を育て るためには,教員が率先 してやる気 (研究心 ・探 求心 ・勉強意欲)を持つ ことが大切であろ う。
2‑4 学習意欲高揚 ・成績不振者 の学力向上対策 (実践例) 表4 ‑般科 目実践例
国 を付 けるなど改善 し,理解 しやすい授業 に変えた (・古典学習について,前年度実施 したア ンケー ト回答 により教材 の精選,現代語訳学習意欲の高揚 につなが つたか 壬五
FIE) 否かは今後の検討課題)o
・2学年 の成績不振者15人を春休み中,再試験前 に3日間補習授業を行 ったo
英 幸五
J)。 ・英字新聞で興味ある記事を適宜印刷 し,興味の喚起 に努めている○
・成績不振者 の対策は,学級担任 と教科担任が連絡をとり,ー学生 の現状を早めに把 接 し対策 をとると良いo
・テス トのみで評価せず,学 び方を学 ばせる中で レポー ト,課題 を積極的に評価 し てやる多角的,形式的評価の実践
・ノー トの取 り方 の指導,辞書の引 き方 の指導,予習 .復習の仕方の指導を懇切 に イ丁つo
・夏の英語セ ミナーとか校内英語弁論大会な どを行 うことにより,学生に刺激 を与 えたい○
・成績不振者 に対 しては課題 を小 さく,また,具体的にするのが効果的と考え,単 語小 テス ト,教科書付属のワー クブ ックの点検などを行 っているO
数
学 ・低学年 の成績不振者 仁は特 に課題を与えているo
・2学年当初 に一斉テス トを実施 しているo クラスによ りかな り学力差がでるo
・数学概念の直観的把握力や学習意欲 を育て るために, コンピューターを中心 に し 1たこユ‑ メデアを積極的に活用 し, A V C室で授業を行 っているO
・定期 テス トで,で きない学生 にもう一度 テス トをやることあ りo
・パ ソコンを利用す ることによ り,数学 の概念 を視覚的,動的に表現 し,学習意欲 の高揚 や直観力の向上 に努めているo
・試験後,必ず不振者 に対 して再試験 を実施 し学力の定着を図 っているo
・不振者を教官室 に呼 び,補習を行 っているo
哩
料 ・成績不振者 の早期対策,課題, ドリルなどで注意 し,補講を含め早 く手を打 つ (特 に1年生 は大切)o
・試験 で80点以上 の学生を発表 し,はめてや ることは励 みになるo
・成績不振者 を集 め年数回,土曜 日に補講を しているo
・昨年度1年生全体に対 して,定期試験 の他 に救済テストを3回実施 したo
体
育 ・単位数が少 ないので,比較的意欲のある学生が 目立つが,天候,時間割などによ り出席率が落 ちる者 もいるo学生の能力 .希望 .個性等 に見合 った種 目を実施で き
表5 クラス指導実践例
・反省記録,目標 を不振者か ら提出 させた り,学習時間のcheckをす る。
・活躍 している進学 ・就職 した先輩 の様子 を話 し,後 に続 くよ うに励 ま している。
・クラスの学生 と成績 について面談 し,生活状態を把握 した り,学習方法 の話 しをす る 前期 ・後期中間終了時 の成績をみなが ら,成績不振,生活態度が改 まらない学生 には家 庭連絡を とり協力を求 めている。
・クラスの雰囲気作 りが大切 と考え る。教室をきれいにす ること,勉強に取 り組 む雰囲 気 を作 りたい。特 に,成績不振者 とは個別 に話す機会を持 っている。
・遅刻,欠席 に目を配 り,早めに本人 と話 しを し,時 には保護者 と話すO担任の目が絶 えず本人 に向いていることを意識 させ,白律で きるよ う努 める。
表6‑1 専門科 目実践例
機
械 ・授業 の終わ りにその 日のポイ ン ト (重要な公式 の整理な ど)を要約す るよ うに し ているo
・身近 な現象 と教科の結びつ きを説明 し,興味を持 って もらうように してI、るo
・会社での仕事の話 しを しなが ら,身近な製品などと関連付けなが ら説明を してい るo
・企業での体験談 や産業界の現況などを交えて,将来の進路や社会の高専卒への期 待度 な どを話 して,今学生 は何をすべ きか考 え させ,仲間意識 を引 き出 し,全員が やる気 を起 こす よ う指導 しているo
・定期試験 ごとに追試験を行 っている.演習問題を解かせて; レポ‑ トさせている
・以前 よ り少 しレベルを落 とし,で きるだけ分か りやすい説明を心掛 けてい るo
局気 ・学年末 に各単元毎の理解度のアンケー トを取 り,次年度 の授業 に反映 させ るo
・AV
c教室 を積極的に利用 しているo・無断欠席は成績 か ら減点す ることを学年始めに伝えてお く○
・早 い時期に専門 の電気 に興味を持たせ畠ために 「電子 タイマ‑」を実際に製作 し ている (1年)o
・試験成績がある点数以下の者 に,一定期間後,試験問題 と同 じ問題 を解かせ,全 問正解だ とある点数を与えるo
・自分 の人生経験 とか時事問題 の話 とかを話 していますo
・技術者 としての意識 を持たせ るため,興味 のあるビデオ 「電子立国」「アポ ロ13 号危機か らの脱出」などを見せていますo
・講義だけが教育ではないと思 い,年 に一皮一般教養 として, クラシック音楽 の鑑 賞を しているo
・skill重点主義 を改めているo
刺 いるo・電子回路 :中間試験後,成績不振者 に毎週月曜 日放課後, 1時間の補講を行 らて 御 ・学生 と話 し合い,何を考えているか理解す るo欠席 などの理 由の把握 o
244 松本忠雄 ・永藤詩宮 ・西村 治 ・山本行雄 衰6‑2 専門科 目実践例
・具体例 を挙 げて分か りやす い授業 をす る。
・初 めての内容,慣 れていない教科 は導入時 の進度を遅 くす る。あ る一定の内容が 全員 に理解 され るまで進 まない (マイコ ン)0
・専門教科 の内容,応用,科学的な話 しを して,興味 を持たせ るよ う努力をす る。
・はつ らつ と授業 をす る。
・覚 え る,覚 え させ る授業で な く,理解 させ る,考え させ る授業 に徹 し,成績不振 者が発言 で きる場 を作 るように心掛 けて いる (成績優秀者 よ り優れた答 を出す こと が多 い)0
・余 り難 しす ぎず,簡単す ぎない内容 を選択 し,多少学習内容 が減 って も, じっく りと考 え ることに重点 を置 くよ うに して いる。
・簡単 な練習問題 を沢山出 し, レポー トを提 出 させ, 日常 の学習理解 の補充 に して いる (2年)。現実 には成績不振者 の レポ‑ ト提 出状況 が悪 く,学力向上に結 びっ かない。
・成績不振者 について は課題 を通 じて個人指導を行 ってい る。部活 の練習後 になる ことが多 い。
・学習意欲高揚 のためには,課題 と して独 自性 (独創性)が発揮 し易 い ものを選定 す ると効果が あ る。
・あ る程度学生 が線型 で予想 で きる成績 をっ ける。
・不 明な点 は授業時間内 また はその 日の内に しっか り理解で きるよ うに指導 してい る。終了後や放課後質 問 に来 る学生 が多 い (3年 )0
・クラスの成績不振者 について,専門科 目の個別指導 を試験前 に行 っている。
・出来 るだけ学生 と接触する機会を多 くし,本人 の特徴 を知 り, 自覚 を啓発す る努 力が必要。
・学校で習 うことは技術者 と しての基本 中の基本 であることを承知 させ,身 に付 け るよ う心掛 け させてい る。
・先輩達 の進学 の話 しを し, 日槙を持 って努力す るよ う心掛 け させている。
・ 「技術者 は高 い品格 を備えた紳士淑女 であ るべ し」 と自覚 を促 している。
・環境論 :一 人20分程度 の持 ち時間で教材を下調 べ して きて,発表す る形式 を採 っ てい る。ゼ ミ形式 の授業であ るが,形 ばか りの者 , しっか りと他 の参考資料 を用意 す る者等 おおむね興味 を持 っている者が多い。
・放課後個人的 に教官室 に呼 んで補習をやる。
・担任 に連絡 して保護者 とも協力 して頑張 らせ る (3年以下 の成績不振者)0 高専 の将来像 につ いての意見 として,地域 のエリート校 にす るための提言,①普通高校 か らの 編入 を受 け入 れ る。②3年で大学受験を受 けさせ,不合格の場合 はそのまま在籍 させ る。③ 地学,生物 ,第2外 国語 を充実 させ,将来学生 が どの方 向に も進 めるよ うに,また,時代の 変化 に対応 で きるよ うに基礎教育に重点 を置 く。④ 高専 を早期 に大学 に昇格 させ, 1‑ 3年 を付属高校 とさせ る。 この場 合 も7年間の一貫教育 は継 続 させ る。⑤将来 は長野県の産業, 芸術方面 を担 う総合教育 ・研究機関 にす る。
3 ̲ ま と め
平成7年度 厚生補導研究会 第2分科会 「学力不足 ・学習意欲欠如の学生 の指導法教育 活動 の充実 と白己点検評価 について (主 に学習指導 について)
司会 永藤寿宮,記録者 西村 治,発冠者 松本忠雄,出席者 山本行雄,佐野秀則, 風間悦夫,小林義一 ,山田達朗,松島久夫,堀込泰雄,芳賀 武,中島隆行,小野伸幸,和 崎克 巳,柴原信雄,上傾直秀,服部秀人,上村与四郎,中村護光,中村博雄,前田菩文,小 揮志朗,堀内泰輔,岡村謙司,米持 進。
3‑ 1 学力向上 ・学習意欲高揚のための教育方法 (1)わか り易 い授業
授業 自身をわか り易い授業,興味を持てる授業な ど工夫す ることも大切だが,学生 が分か ったか どうかいっ もチェックす ることが一番重要である。チェ ックの方法 は口頭での質問, 演習問題を解かせる,宿題 に して レポー トを提出させる,授業中に小 テス トを行 う,授業の 終わ りに感想 を書かせ るなどの方法で学生の理解度や授業 に対す る反応をみて,次の授業 に 反映 してい く。
(2)クラスの学習に取 り組む雰囲気作 り
授業中静か に勉強 に集中で きるクラスの雰囲気作 りに担任 と して一番苦労 している。担任 として授業,特活,清掃時間などで きるだけ学生 と接す る機会を多 くし,良 いクラスづ くり を している。 ところが, 1‑2名の留年者を受け入れた ことで クラスの欠席者が多 くな り, 落ち着かない クラスに一変 して しま うことがある。また,中学 などで生徒会 , クラブ活動 の 役員を経験 し,優れた リダー シップを発揮す る学生 に恵 まれた りす ると担任が苦労 しな くて も素晴 らしいクラスにな ることもある。同 じクラスで二年間過 ごす と,学力 に大 きな クラス 格差がで きることを多 くの教科で経験 している。
(3)入試制度 の修正
平成6年度 よ り,広 く全県下の中学校か ら成績優秀者を入学 させよ うと,推薦入学制度を 導入 した。 ところが学力検査 は5科 目 (国語,数学,英語,理科,社会),各科 目100点満点 の試験が長年続 けられている。果た して この方法で高専 に適性 のある学生を入学 させ ること がで きるのか,今後検討 してい く必要があろ う。例 えば,入試 の段階で数学 や理科 にウエイ
トを置いた配点 を してみてはどうか。
(4)単位制 の導入
3学年 までに修得 しなければならない基礎科 目は,専門の科 目を理解す る上で重要であ り, 社会人 としての一般教養 として も役立つので,低学年 はほとん ど必修科 目にな り,大学 の単 位制のようにはいかない。 もし導入す るとすれば, 4 ・5年当た りで履修単位を増加 させ, 選択で きるよ うに してい くことがよいだろう。
(5)仮進級制 の導入
学年制では,成績不振者が留年 しているが,最近 の留年者 は, 1年重ねて履修 して も成績 を向上 させる学生が少な く,良 い結果を得ていない。また,留年 は前年度成績優秀で修得 し た科 目も再び履修 しなければな らない。
低学年では仮進級制を導入 し,翌年末修得 の科 目を個別指導 を して合格 させ, どうして も
246 松本忠雄 ・永藤寿宮 ・西村 治 ・山本行雄
不適応 を起 こ した学生 は 3学年 で進路修正 で きる道 を創 るこ とが必要 で あろ う。
(6)施設設備
単位制導入 によ る選 択科 目の履修 ,小 人数 によるゼ ミ形式 の授業導入 な どを行 うには教室 数 が不 足 して い る。図書館 に付属 の学習室 を設 け,学 生 同志 が教 え合 った り, 自由 に勉 強が で きる場 を創 る。関東信越地 区合宿所で あ る黒姫山荘 を2ク ラス定員 で男女 が宿泊 で き,80 人収容 の特別講演室 を設 けた り,セ ミナー用 の教室 を2‑ 3重備 え,勉 強合宿 ので きる施設 に充 実 させ る。
3‑ 2教育活動 の充実 と自己点検評価 (主 に学 習指導 について)
(1)各時間 あ るいは各章 ごとに演習 , レポー ト,小 テス トな どを通 して, シラバ スに明記 し た教 育 目標 に到達 して い るか,学生 の理解度 を知 ると共 に自己の授業方法 の改善 に努 め る。
(2)学生 に授業方法 の ア ンケー トを と り,教科 内容 ,教 え方 「理解 し易 いか」「実力 向上が 実感 で きるか」 な ど学生 の声 を授業 に反映 させ,役立 ててい く。
4 . お わ り iこ
実践報告 を詳細 に報告 して いただ いた り,学校全体 で考 えて行 か なければな らな い貴 重 な ご意見 をお寄 せ にな った全教 職員 の皆様 を個 々 にご紹 介 で きなか った ことを深 くお詫 びす る と共 に分科会 で討論 に加 わ った方 々同様深 く感謝 いた します 。
実現 可能 な項 目を個 々の先生方が取 り入 れ,学校全体 で制度 を改善す ることなどはそれぞ れの委員会 で検討 して い くことにな るで しょう。 しか し, どん なに制度 を変 えて も 「勉 強 し ない学 生 はや らない」最後 はマ ンツーマ ンの指導で理解 させ,実力 をっ ける努 力が必要 にな るだ ろ う。 との意見 を 申 し添 え ます 。
参 考 二ゞこ 献
1)長野 高専, 2)長野 高専. 3)長野 高専. 4)長野 高専, 5)長野高専, 6)長野 高専, 7)長野高専, 8)梅津善雄,
「工 業高等専門学校教育改善 一試行結果 の報告‑」,pp.69‑82.pp.83‑100,1977
「工 業高等専門学校教育改善 一試行結果 の報告 一続編」,pp.33‑42.1979
「混 合学級制実施 の評価 」.1990
「昭和60年度厚生 補導研究会報 告書 」,p.17,P21.P.33.1986
「昭和62年度厚生 補導研究 会報 告書」.pp.10‑23.1988
「平成5年度厚生 補導研究 会報 告書 」.pp.24‑35,1994
「平 成7年度厚生 補導研究 会報告書 」.pp.36‑61,1996
「中学校 生活 と高専入学後 の学 習態度」高専教育 .第10号,pp.123‑130,1987 9)野 田童太郎 .他 3名,「本校学生 の学業成績 に関す る一考察 (宮城高専 ) 一成績の推移 とそ
の特徴‑」,論 文集 ・高専教育.第16号.pp.134‑138.1993
10)大 蔵茂生.「私達 の教授法 一豊田高専 におけ る教育実践報告‑」,論文集 ・高専教育 ,第18 号.pp.209‑216,1995