帆下売買(La vente sous voile)について : 1850年 代白国アントワープ港を中心として行われた海上売 買慣習
その他のタイトル Antwerp Seaborne Sale Custom "Sous Voile"
1850‑1860
著者 賀屋 俊雄
雑誌名 關西大學商學論集
巻 2
号 5
ページ 413‑434
発行年 1957‑12‑31
URL http://hdl.handle.net/10112/00021820
4, 13
帆下売買
( L a
v e n t e s o u s v o i l e
) U
つい て︵ 賀屋
︶
概
帆下売買
説
v e n t e
賀
屋
│
︱ 八 五
0
年代白国アントワープ港を中心として行われた海上売買慣習ーー
白国﹁ブラッセル﹂控訴院弁護士︑同国﹁ブラッセル﹂自由大学講師
Ja
cq
ue
s
He
en
en
氏ほ︑其著
La
Ve
nt
e e t
Co
mm
er
ce
a M
ri
ti
me ﹂︵一九五二︶に於て︑次の如く述べている︑十九世紀中葉﹁アントワー︒フ﹂港を中心とし
て慣行された︑所謂﹁帆下売買﹂
(L
av
en
te
s o
us
o i v
l e )
なるものに於て︑現行C.I.F売買最初の痕跡が見出
される︑此売買に於ては︑海上運送中の物品危険は︑買主側負担に属し︑売主は約定品に関する船荷証券併びに保 険証券を買主に移転する義務を負ふ︵後掲一八五
0
年八月八日﹁アソトワープ﹂商事裁判所判例︶︑•I.F
売買の特徴をなしているものである。且つ「帆下売買」慣用の末期に於ては、
﹁帆下売買﹂契約に於て
C o t i
t ,
As
su
ra
nc
e,
r e f t ( C o s t ̀ i n s u r a n c e ,
r e f i g h t )
なる
価裳
臼織
宝曲
gの表示語が使用されたものが存在する︵後掲
一八五九年九月六日﹁アントワー︒フ﹂商事裁判所判例及び一八五九年十二月十七日﹁ガン﹂市裁判所判例︶︒
の諸点より察するに﹁帆下売買﹂はCif売買の揺壁をまずものならんかと︒
( L a
s o u s o i v l e )
について
俊
叙上 是等原則はC
雄
414
これは正しき意味に於ての
此題目に関する研究の公にされたものは︑筆者寡聞にして︑いまだ︑これを手にし得ない︒たゞ︑希服﹁アテネ﹂
裁判所弁護士︑同国﹁テッサロニカ﹂大学教授
P a
n a
j o
t i
s
P e
r d
i c
a s
が
Do
r"
R.
D.
M.
C.
(比較海法雑誌︶第三十
四巻序文﹁国際慣習に於ける海上売買の起源及び其法的性格﹂中に
c ^ L a
ve
nt
e s o u s v e
rg
ue
s "なる売買条件を
と同義であって︑共に﹁帆下売買﹂を意味するものである︒同
売主側は︑海上運送を提供する義務を有せずと説いてはいるが︑﹁S
ou
sV
o i
l e ﹂ 市冗 買が
F. o.
B売買と同一のものであるか︑或は既稼運送中の商品
( g
o o
d s
a f l o a t )
斯くの如く﹁帆下売買﹂なるものに関する文献の寡少にして︑其実相を把握し難きに鑑み︑筆者︑直接
He
en
ne
氏に出状して︑これに関する示教を求めると同時に必要なる資料の供与を申出でたのである︒これは対し︑書状を
以て此売買に関する同氏の見解を披擢すると同時に︑
る判決文写し数種を割愛されたのである︒此国境を越えて示された好意に対し本誌を通じて深甚の謝意を表明する
ことを許されたい︒
以下書状を以て示された同氏の見解と︑此売買に関する判決文の概要を紹介して︑これに対する若干の卑見を添
へて大方の参考にしたい︒先ず︑
He
en
en
氏の所説を引用すれば﹃此売買に関する最初の判例は︑
八日付のものであって︑此係争事件に於て︑これを﹁
So
us
V o
i l
e ﹂と呼んでいるが︑
﹁帆 下売 買﹂
( S
o u
s v o
i l e )
には該当しない︑唯単なる﹁先渡し売買﹂
(L
v a
en
te
a l i
v r e r )
契約上︑物品引渡しの場所は︑物品仕向地とせられたものであった︒ 転売形態であるかについては︑何等説述されていない︒ 教授は此
So
us
ve
rg
ue
s
はF
.o .B
と同 様︑
関説している︒此
o S
us
ve
rg
ue
s
は
So
us
v o i l e
帆下売買
( L a
v e n t e s o u s v o i l e )
! d .
つい て︵ 賀屋
︶
﹁アントワープ﹂裁判所に於ける此種売買の係争事件に関す
一八
五
0
年八月に属するものである︒
﹁アントワープ﹂裁判所の示した見解より察 に関する
415
帆下売買
( L a
v e n t e s o u s v o i l e ) につ いて
︵賀 屋︶
すれば︑所謂﹁帆下売買なるものは﹁Cif﹂売買に酷似するところ極めて多きものがあるとしているのである︒
而して︑第二の判決︵一八五六年六月九日︑アントワープ判例︶に於ては︑此売買と﹁cif﹂売買との間に存
する差異が明確に解明されている︒即ち﹁cif﹂売買の湯合︵少くとも仏国及び白耳義国に於ては︶船荷証券面
に記載された数量が︑約定数量に足らざるとき或は其数量が虚偽である場合には︑買主としては︑契約所定の数量
に於ての引渡し不履行ありと主張する権利を有する︒反之﹁帆下売買﹂に於ける売主は︑契約上︑約定の船荷に関
する船荷証券及び保険証券を買主に移転することによって︑其義務を履行したこと4なり︑船積重量が契約所定の
重量に合致せるやいなやは問題とはならない︒若し︑此解釈に誤りなしとせば︑﹁帆下売買﹂なるものは︑﹁書類の
売買﹂である︒Cif売買に於ては︑物品を目的とするものであって︑これに関する書類なるものは︑物品引渡履
次ぎに
He
en
en
氏によって供与された一八五
0
年代に於ける判例の概要を挙げて︑H•Koenigs対A.
De Be
dt
s
係争事件
︵一
八五
0年
八月 八日
︑
﹁ア ソト ワー プ﹂ 商事 裁判 所判 例︶
此係争事件に於ての原告は︑その訴状に
"
Se
th
Pr
ag
ue
"
号梢一八五
0
年産にか4る米国産加里一級品︑倉庫渡し五〇廷につき四一法ニ︱仙替の売買を﹁帆下売買﹂
( S
o u
s V o i l e )
条件に於て締結したりとなした︒提訴の理由
︵ 一 ︶
する
︒
﹁アントワー︒フ﹂港に於ける帆下売買に関する諸判例
行を簡易化せんとするに外ならぬ﹄と︒
些かの参考に供することと
416
一級 品ふ
^
Se
th
Pr
ag
ue
"
﹂ 上記に対する法廷の見解は次の如きであった︒即ち︑ とには同意を与えたのである︒ 帆下売買
(L
av e
n t e s o u s , v o i
l e )
につ いて
︵賀 屋︶
其表現は誤謬で ﹁被告︵買主︶は原告︵売主︶より一八五0年米国産加里 は︑上記船舶が﹁アントワープ﹂港に到着したとき︑提供された加里二十五樽の受諾を︑買主側が拒否したと云うにある︒争点は︑物品々質に係るものであった︒売主側の主張するところは紐育に於て︑各樽に添附された﹁貼紙﹂或は﹁刷り込み﹂は是等物品品質を担保するものであって︑これ等の添附せられたることによって︑売主側は︑其内容物の品質に関するすべての保証責住から解放される︒斯くの如きが﹁ア>トワープ﹂港に於ける慣習であると主張した︑尚︑附随的ではあるが︑化学者のみによってなさるべきことを条件として現品々質の鑑定を実施するこ
号積二十五樽を︑物品置場渡し︑
告︵売主︶は︑最初提出に係る訴状に於て此売買を﹁
So
us
五〇廷につき四一法ニ︱仙替を以て買約を行った︒原
V o
i l
e ﹂売買と呼称したのであるが︑
あった︒此﹁
So
us
V o
i l
e ﹂なる条件下に於て︑売買取引を行はんとする場合には︑被告︵買主︶は原告︵売主︶の
立場に置かる4ものであって︑売買成約後に於ての︑物品運送は︑買主側の危険に於て続行されること4なるので
ある︒其結果として︑保険証券は︑買主に移転せられるか︑或は︑買主側が自己の勘定に於て附保すべぎことAな
るのであらう︒而して︑船荷証券の移転によって︑物品到着のとき︑買主が︑これによって運送人に対し︑物品引
渡しを要求し得ること4なるのである︒上記の如き意味と性格が︑所謂﹁帆下売買﹂
( S
o u
s V o i l
e )
もの であ る︒
﹂と
︒
然るに︑係争の売買を見るに︑此売買に於ては︑物品が﹁アントワープ﹂港荷揚げの上引渡しの行はる4︑所謂
﹁先 渡し 売買
﹂ (L av
n e
te
a
l i v r
e r )
に属するものであって︑代金ほ五〇妊につ蓉四一法ニ︱仙替︑而して現地の慣
四
の特徴をなす
lJ 17
帆下売買
(L a ve nt e s ou s v o i l e ) につ いて
︵賀 屋︶
慣習が﹁アソトワープ﹂港に億存するや否やの立証を許容`する︒
五
習に従って︑風袋引併に割引つき条件下に於て︑荷揚数量に基いて代金支払が行わる4
売買 であ る︒
尚一般原則に従えば︑すべての物品は︑引渡しの時に於て︑契約上定められたる品質に一致することが要求され
︵ 註 一
︶
︵ 註 二
︶
る︒而して︑民法︱︱五九条によれば︑契約上意義不明瞭なるものは︑慣習によって解釈せられる︒尚民法︱︱六
0条に従えば︑斯かる湯合一般慣用の約款を以てこれを補ふべきこと4
なっ てい る︒
被告︵売主︶の主張するところは︑此売買即ち米国産加里の売買取引に於ては︑売主としてほ︑買主に対し︑唯
単にそれ等樽上に添付せられたる貼紙又は荷印を保証する義務を負うのみである︑と︒而して︑該物品は一八五〇
年産の一級品であるからには︑買主としては︑これを受諾する義務あり︑となしているのである︒
然るに︑斯の如き慣習の存在は被告︵買主︶によって否定されているが故に︑斯の如き条件が慣習化せるや否や
の立証義務は原告︵売主︶にある︒而して︑此係争売買に類似するものに於て同様の条件が黙示されありや否やを
も立証の義務を負うものである︒
これ等理由よりして裁判所は︑原告︵売主︶が加里二五樽の売買に﹁帆下売買﹂の性格を賦与せんとしたことは
誤りであって︑此売買は︑
^' Se th P ra gu e"
号積船荷の﹁アントワープ﹂港陸揚げの上︑同港に於て引渡しの行は
る4
﹁先 渡し 売買
﹂ (L a ve nt e
a
l iv r e r)
に外ならぬ︑法上の決定に先ち︑裁判所は原告に対し︑其主張するが如き
︵註
一︶
Co de Ci v i l ( Be i g e)
`
1 1 5 9
ー
Ce qu i e s t am bi gu s̀ i n t e r p r e t e p ar e c u q i e s t d' us ag e d an s l e p ay s o u l e c on tr at es t p a s s e .
︵ 註
1 1 )
1 1 6 0 ‑ '
‑
On do i t su pp le er d an s l e co nt ra t l e s cl au se s qu i
y
s on t d ' u sa g e , q u o i q u ' e l l e n 'y s oi e n t p as ex pr im ee s.
418
仰
So
hn
"
号によって﹁ルーマニア﹂国﹁イプライル﹂
を行った︑売主ほ買主に対し該荷物に関する船荷証券の提供を行った︒此船荷証券は一九八﹁ラスト﹂換算すれば
五七四
0
﹁ヘクトリットル﹂に該当する数量の記載がなされてあった︒而して︑此数量に対する代金は︑ト﹂につき二六五和蘭陀﹁フローリン﹂替を以て決済が行われた︒
次いで十二月十日本船は﹁アソトワープ﹂港に到着したのであるが︑実際に引渡しされたる数量は︑
スト﹂換算すれば五七三
0
﹁ヘクトリットル﹂にすぎなかった︒加之︑其品質状態は不良であって︑を蒙り︑残余は︑過熱と膨脹の結果著しき重量上の損失を生じていたのであった︒
買主
Da
vi
dV
e r
b i
s t
&
C0
提訴の目的ほ︑此損失を回復するため︑送状の訂正によって二︑五五七法
0
六仙併に金利の支払を要求するにあった︒ 一八五五年十一月﹁アムステルダム﹂市
G o l l 商会 より
︑
より到着予定の玉蜀黍約一九八﹁ラスト﹂の積荷の買付け
一部分は損傷
これに対する被告︵売主︶側の主張は︑﹁
So
us
V o
i l
e ﹂売買に於ては︑約定積荷の移転に対して︑売主側の負ふべ
き義務は船荷に対する権利の存在を証明し︑其譲受人をして︑此船荷に対する権利を行使し得せしむるにある︒其権
利の行使は︑船荷証券の引渡しによって実現し得るのである︒而して︑もし当該積荷が船荷証券記載の詳細と合致
せざる場合ありとすれば︑問責さるべきものは︑物品の船積発送者であって︑此契約に於ける売主ではない︑と︒
原告
Da
vi
d
V e
r b
i s
t &
Co は ︑
︵ 二 ︶
︵一 八五 六年 六月 十九 日﹁ アソ トワ ープ
﹂港 裁判 所判 例︶
Da
vi
d V
er
bi
st
&
Co
.
対
G o
l l
&
Co
.
帆下売買
( L a
v e n t e s o u s v o i l e ) i l つい て︵ 賀屋
︶
ーユ
ノ
一九
﹁ ラ ﹁
ラス
船長
Re
bi
en
"
Ih
n
419
帆下売買(La
v e n t e s o u s v o i l e ) M つい て︵ 賀屋
︶
So hn
"
号から陸揚された後に於て確定された数量を対象とするものではない︒
七
以上に対する法廷の見解は︑次の通りである︒即ち︑売買阿当事者間に交換された通信の内容︑提供されて受諾
された送状︑傭船契約書︑船荷証券及び保険証券併びに原告︵売主︶の行為等を考慮すれば︑此売買は︑当事者間
所謂﹁
So us v o i l
e ﹂条件を以てなされた売買である︒
"
Ih n
e t
﹁S
ou s V o i l
e ﹂条件を以てする物品の移転は︑売主の地位に買主が置かる4ものであって︑買主の危険に於て行
わる
4ものである︒而して︑此場合︑売主の義務は民法︑一六九三条の規定によって︑﹁移転された権利の存在を保
証すれば足る︒而して︑数量の不足に対し責任を負い︑或は︑超過数量に対して利益をうくるが如き効果は生じな
いのである︒﹂本件に於て︑原告︵買主︶としては︑稽荷重量の概数の記載された送状記載数字を援用して︑其引渡
しを要求することは無効である︒送状面に記載された物品の数量は︑船荷証券面に示された数量を基礎とするもの
であって︑契約締結の当時︑運送途上にあった積荷の総価格を決定せんがために挙示されたものである︒後日に至
って行わるべき計量作業の結果にまって代金額の決定を行はんとすることは含意されていない︒
当事者間に於て︑上記の如き約定が存在するとせば︑上記船舶の荷揚げに際し確定された玉蜀黍の数量上の過不
足ほ︑此売買契約に於ては問題視さるべき要素ではない︒代金額の決定は︑荷揚港に於て﹁引渡さるべき数量﹂に
よるものではなく︑原告︵買主︶に移転されたる書類に基き﹁船積されたる物品の数量﹂によるべきである︒
物品が外国海港より到来する湯合これを﹁
So us V o i l
e ﹂条件による単純なる買付けを行うことは︑これに伴う危
険頗る大なるものが存在する︒このことは過去に於ける経験の教えるところである︒此場合原告︵買主︶としては︑
其申立にか4る不利は自己に於て負担することが当然とせられる︒他面被告︵売主︶側に於ても︑取引上の誠実性 に於ての単純なる船積品の移転契約であって︑
鼻20
請求権も︑これを認め得ず︑訴訟上の費用も原告に於て︑これを負担すぺきものと決定する︑と︒
︵ 三 ︶
︵一 八五 九年 四月 一八 日﹁ アソ トワ ープ
﹂商 事裁 判所 判例
︶
Mi
ch
ie
ls
,L
oo
s
以上の理由よりして︑原告︵買主︶の提起にかAる訴訟は︑何等根拠を見出し得ざると共に︑要求金額に対する
Co
de
Ci v
i l
( B e i g e )
16
93
│C
el
ui
q u v i
en
d
un
e
c r e a n c e
ou
a u t r e d r o i t i n
c o r p o r e l
d o
i t
en
g a r a n t
i r
l ' e x i s t e n c e
au
t
em
ps
d u t r a n s p o r
t ,
q u o i q u ' i s o l
i t
f a i t s a n s g a r a n t i
e .
本件に関する売買は︑
Hi
nt
z
&
Co
なる商社が
Mi
ch
ie
ls
,L
oo
s より
"
Vi
ck
in
ge
n' ` 号︵ 船長
Ne
rn
ec
ho
w)
! l .
よ
って運送中に属する米殻の既穣船荷
( a f l
o a t
Ca
rg
o)
を買い求め︑これを
Cl ae ss en s及 びL au we rs
に転売した
のである︒而して︑其転売品が
Hi
nt
z
&
Co
. よ
り
Cl
ae
ss
en
s
に引渡しされたとき︑同時に移転されたる保険証券
は ︑
Hi
nt
z
&
Co
.
が最初の売主
Mi
ch
ie
ls
,L
oo
s
より移転されたものであって︑此保険証券には︑
Mi
ch
ie
ls
‑L
oo
s
の所有した荷口に対する損害填補金の受取部分が包含せられある旨の主張がなされたに対し︑最後の買主
C l a e
s s ,
en
s
としては︑該保険証券は︑単純且つ無留保の状態に於て移転さるべきものなりとの理由より︑
の要求を拒否した︒
Cl
ae
ss
en
s
側の此拒否が
Mi
ch
ie
ls
,L
oo
s
側に於ける提訴の理由となったものである︒
此係争問題に対する裁判所の見解は次の如くである︒
ビルマ國産﹁アキャプ﹂米積荷が︑英国に於て﹁帆下売買﹂条件によって売買される場合には︑新旧二種の条件
Mi
ch
ie
ls
,L
8S
対
F.
Cl
ae
ss
en
s.
に関して︑同様の責任感は︑これを有すべきである︒ 帆下売買
( L a
v e n t e s o u s v o i l e )
! J .
ついて︵賀屋︶
F.
C
la
es
se
ns
対
La
uw
er
s
Fr
er
es
.
八
lf.21
帆下売買
( L a
v e n t e s o u s v o i l e )
I J .
ついて︵賀屋︶ は議論の余地なきところである︒
Hi
nt
z &
C o .
九
いずれかによって行われていることは一般周知の事実である︒旧条件による場合は︑売主側は︑良好なる状態に於
ける物品を︑荷揚港に於て︑自己の危険に於て引渡しを行うのである︒代金支払に関しては︑物品概算価格の四分
の三或は八分の七に該当する金額を前貸の形に於て︑船荷証券併ぴに此前渡金を包括附保された保険証券の提供に
対し︑船舶到着地に於て︑決済される︒而して︑送状金額残額の支払は︑積荷全部の陸揚げ完了後︑良好なる状態
に於て引渡しの行われた重量に基いて行われる︒物品の損害は︑売主の勘定に帰すること4なる︒而して︑新条件
によるものは︑船舶が仕向地に到着したとき︑当該売買が完成されるものであって︑穣荷に発生した損害には何等
考慮の要は存在しない︒物品の重量は売主によって仕切られ︑買主これを受諾する建前である︒買主側は︑船舶が
仕向地に到着したとき︑正規の船荷証券併びに保険証券引換へに送状金額の支払を行うのである︒此保険証券は︑
支払代金の全額が附保されたものであって︑保険条件は︑特担分損不担保を以てすることが許される︒而して︑売
主は︑船舶が安全到着の湯合︑荷揚港に於て引渡しが行われた重量と送状に記載された重量の合致に対してのみ責
任を負うのである︒此条件に従えば︑海水による損害或は他の原因による品質の劣化の補償として︑売主は買主に対
し総価格の四彩に該当する総括値引を興えている︒此値引は送状金額より控除されることになっているのである︒
而して︑本係争事件に於て︑買主
の権 利を 超え て︑
C l
a e
s s
e n
s
La
uw
er
s
と
Hi
nt
s
&
C o .
との間に於ける取極めの如何に拘ら
ず︑最初の売主
M i
c h
i e
l s
, L
o o
s
が保険契約を締結して︑これを
より大なる保険上の利益を
C l
a e
s s
e n
s 及び
La
uw
er
s
~
Hi
nt
z &
C o .
而して︑買主
C l
a e
s s
e n
s 及び
La
uw
er
s
は
Hi
nt
z
&
C o .
へ移転したとき︑その保険契約上
より獲得し得ざること
よりの権利継承者の立場に於て︑海上保険証券の移
422
一八五七年十一月二十一日附書状を以て次ぎの如き要求をなしたのである︒
対し
"
Vi
ck
in
ge
n"
号︵船長
J.
F.
Ne
rn
ec
ho
w)
積物品に対する保険証券を御届けする︒証券上記載の通り︑保険
金額は六
0
︑0 0
0
マルク即ち四︑六00
ボンドに該当する︒此積荷に対する貴方分送状金額は約二︑六六0
ボン
ドであって︑保険上貴方えの割当て金額は︑三八︑
0 0
0
マルクである︒当方は︑積荷一部の所有者として二ニ︑0
OOマルクに対する損害填補金受領に参加する権利を有する︒依って︑該保険証券は︑貴着の上﹁ハンブルグ﹂市
F•Ertel氏宛送附せられたし、
をとってくれるであろう﹂︒ われわれ各々のために其割当て損害金請求手続併びに填補金受取りの労
斯くの如き指図と留保に対し
C l
a e
s s
e n
s t !
特に異議の申立ては行わなかったが︑此間一八五八年中
C l
a e
s s
e n
s 及
ぴ
La
uw
er
sF
er
e
に対し保険金の支払が行われた︒しかるに︑被告は︑此保険損害填補金中に包含せられありと主
張さるA割当て部分に対しての
M i
c h
i e
l s
, L
o o
s
の要求は︑これを拒否したのであった︒被告
C l
a e
s s
e n
s と して は︑
原告
M i
c h
i e
s l
‑ L
o o
s が︑其買主であり又物品の転売者であるところの
Hi
nt
z
&
C o .
に対して移転すべき保険上の
権利を超えて︑それより尚大なる利益を享受し得ざることは︑既に︑黙示的に︑これを表意してはいたのであるが︑
更に
M i
c h
i e
l s
, L
o o
s
の要求に対しては︑慣習に従って︑即刻これを拒否して︑此売買は
Hi
nt
z
&
C o .
との間にな
されたものであって︑
M i
c h
i e
l s
‑ L
o o
s とは何等契約上の関係存在せずとして︑その介入を拒否したのであった︒
M i
c h
i e
l s
, L
o o
s は ︑
同人 は︑
それ は︑
単純且つ無留保の移転ではなかった︒該証券を 転を最初の物品所有者
M i
c h
i e
l s
, L
o o
s
に対して要求したのであった︒
其結果として︑
C l
a e
s s
e n
s
及び
La
uw
er
s
は
M i
c h
i e
l s
‑ L
o o
s
帆下売買
( L a
v e n t e s o u s v o i l e
) M
つい て︵ 賀屋
︶
C l
a e
s s
e n
s 及び
La
uw
er
s
に送付するにあたって︑ より当該保険証券の送附をうけたのであるが︑
10
﹁本書同封貴方に
423・
l i v r e r )
帆下売買
( L a
v e n t e s o u s v o i l e
)
u
つい て︵ 賀屋
︶
に於 ては
︑
本件に於ける売買は︑これ等条項より観て︑﹁倫敦新条件﹂による﹁先渡売買﹂
(L
av
en
te
a l i
v r e r )
るものと考えられる︒﹁買主を保険金受取人とする保険証券の引渡し﹂なる約款を伴う﹁先渡し売買﹂
(L
a
ve
nt
e a
斯かる保険証券の引渡しによって︑買主は︑其保険契約上の権利﹁全部﹂に対する受益者とな
るものであると解することが出来る︒然るに︑
M i
c h
i e
l s
, L
o o
s
と
Hi
nt
s
&
C o .
との間に締結された契約に於ては
上記の如き簡単なる取極めに代えて︑下記の如き約款を挿入したものである︒即ち﹁代金支払いは︑船荷証券及び
保険証券の提供に対して行わるべきであって︑此保険証券は︑物品送状記載金額が充分に附保されたものでなけれ
(5) (4) 勿
論︑
C l
a e
s s
e n
s
は
Vi
ck
in
ge
n"号積船荷を対象として
M i
c h
i e
l s
, L
o o
s
と
Hi
nt
z
&
C o .
の間に左記の如き
売買契約が締結されありたることに就いては異論を狭まなかったのである︒其契約の内容は次の如くであった︒
物品の引渡しは︑傭船契約に従って︑仏国﹁ル・アーヴル﹂港と独国﹁ハンプルグ﹂港︵両者を含む︶間の
荷揚港は︑買主の自由選択に委せられる︒但し︑其指定は︑当該船舶が英仏海峡の寄港地に到着のときに於
て行わるべきこと︒
③
主あて送状記載金額より運賃及び船長前渡金を控除した金額に対して︑船荷証券併びに保険証券引換えに︑現 売買代金の支払地は︑英国﹁ロンドン﹂市であって︑傭船契約に従って︑本船が仕向地に到着したとき︑買
保険は支払代金総額に対し︑充分なる金額が附保せられ︑条件は︑単独海損不担保たることが許される︒
船荷の損害に関しては︑其程度如何に拘らず買主の利益のため︑四彩の包括値引が与えられる︒ 金を以て決済が行われる︒
9 ,
ー
' ,
英国又は大陸側の一港に於て行はれる︒
②
の範疇に属す
424
立証がなされてない点に鑑み︑ い
ると
︒
斯くの如き条項は︑﹁帆下売買﹂
(S
ou
s v o i l e )
条件による﹁先渡売買﹂
(L
a
ve
nt
e a
l i v r e r ) その意味に於て︑相憧着するものがある︒即ち︑係争中の売買に於ては︑売主は︑船荷が︑船稼後︑著しき下落を 来したるがため︑自己の責任を売買額の限度に止め︑其結果として生ずることあるべき保険価額の超過分を自己の
称権利に由来したものであって︑其主張は不当なり﹂と︑
原被両造の主張如何に拘らず︑上記約款の効果に関しては︑若千の疑義がある︒此場合︑契約締結地に於ける現 行慣習が上記約款に関する判断の指針として役立つものである︒
Mi
ch
ie
ls
,L
oo s
原告側よりする証拠の提出が要求せられた︒
(G
oo
ds
af l o a t )
の﹁先渡売買﹂
(L
a
ve
nt
e a
l i v r
e r )
のみならず︑﹁新条件﹂による米穀船荷の全部又は一部に関す
る売買に於ては︑売主より買主に対して移転さるべき保険証券の附保金額は︑支払金額の全額が包括され︑其金額 が支払金額を超過する場合は︑其超過分は売主側の利益に帰するものなりと解釈され︑此意味に於て︑実行されて しかしながら︑斯かる慣習の存在することに対してほ︑被告側に疑義があり︑特に︑米穀取引に関して詳細なる
の主張するところによれば︑
したのであったが︑原告側の承服するところとならなか
﹁ロ ンド ン﹂
t
つこ ︒ しかして︑被告Cl
ae
ss
en
s
の謂うところによれば︑ 利益として保留せんとするものであるからである︒ ばならない﹂と︒
帆下売買
( L a
ve
nt
e s o u s v o i l e )
について︵賀屋︶
これに関する調査及び反対調査は︑
に於て確立せる慣習によれば︑砂糖︑珈琲の既積品
﹁売主側の主張する留保なるものは︑
に於 ける もの と︑
事実上第三者側の自