先進国経済発展の計測的模型(一)
その他のタイトル A Statistical Model of Economic Development in Advanced Countries (I)
著者 瀬尾 芙巳子
雑誌名 關西大學商學論集
巻 6
号 3‑4
ページ 196‑223
発行年 1961‑10‑30
URL http://hdl.handle.net/10112/00021688
196
I V
結 5 4 3 2 ー
語
理論的傾向曲線
実測的趨勢模型
成長率の逓減
﹃コンドラチェフの波﹄の仮設
実測的長期波動模型︵以上本号︶
﹃キチンの波﹄の仮設︵以下次号︶
実測的景気循環模型
﹃ジュグラーの波﹄の問題 m
循 環
3 2 ー
I I長期趨勢
I開
題 先
進 国 経 済 発 展 の 計 測 的 模 型 曰
先 進 国 経 済 発 展 の 計 測 的 模 型 日
︵ 源 尾 ︶
瀬
尾
芙
巳
子
197
本稿における計測的模型とは︑
た と え ば
︑
本稿の目的は︑資本制的な先進諸国における経済発展過程についての統計的資料の解析の結果得られた計測的模
型についての考察を試み︑そこからある仮設の提供を試みることである︒かかる作業は︑既にこれまでに筆者の手
によって︑主にアメリカの工業発展について試みられ︑
そ の 結 果 は ︑
いわゆる構造方程式を 一九五八年の﹁米国工業生産発展の歴史的趨
勢と循環に関する統計的考察﹂︵本論集第三巻第三号所収︶および一九五九年の﹃米国工業における産業循環の変型
とその構造﹄︵本論集第四巻第一号︶の二つの論文において発表してきた︒その後における筆者の分析はイギリスエ
業の発展過程に向けられたが︑それによって︑みぎの既出の二つの論文において提出してきた主な命題は︑イギリ
スにおいてもひとしく妥当し︑それによって先進国の一般的な計測模型として定式化することが可能であるという
結論に導かれることができた︒それゆえに︑本稿においては︑資料の提出の重複を避けるために︑主としてイギリ
スの資料に依拠しているが︑そこから引き出される命題がすぺて︑先進国の経済発展の実測的模型として一般化さ
れているのは︑それが︑ いづれもその一般性において既出の二つの論文において提出されたアメリカの模型に合致
したものであるからにほかならない︒こうした理由において︑本稿では︑ イギリス工業についての分析が︑その一
般性において︑すなわち先進国型の経済発展過程の計測的モデルとして︑提起されている︒
(1 )
K l e i
n ‑ G o
l d b e
r g e r
o M
d e
l
にみられるような︑
用いた計量経済学的模型をいみするものではない︒それゆえにいかなる経済的要因ないし︒ハラメーターの数値がこ
こで提示されるような帰結に寄与したかという問題は扱われない︒その理由は︑
先 進 国 経 済 発 展 の 計 測 的 模 型 日
︵ 瀬 尾 ︶
I
開 題
いわゆる国民所得分析の手法によ
198
殊的性格は︑必要な場合に言及されるほかは︑ る構造方程式が︑ダイナミックな資本制蓄積の長期的発展過程の内的諸連関の理論的分析にとって︑どこまで有効 であり得るかという疑問がなおすくなからず重要なものと考えられているためである︒しかしながら︑それにも拘 らず︑以下にみるような作業の目的のひとつは︑成長理論や変動理論したがってまたマルクス的な再生産論に導入 されねばならないであろうところの経済的諸要因の機能の総合的な方向のもっある定性を確定するということであ
(2 )
る︒これは従来の理論のモデルに対してのある批判基準を形成するであろう︒
本稿の視角は︑ いわば単純モデルにおける資本主義発展の典型的形態を︑ できるだけ一般的に抽出して模型の構
築を行なおうとするところにある︒それゆえに特定の一国モデルがそれとしてもつであろうところの︑独自的︑特
各国特有の形態論に解消しえないところの︑
いるものである︒その限りで︑以下に提起される問題は︑﹃現状分析﹄を各国の特殊的形態からのみ︑かつ︑外部世
(3 )
界としての社会主義圏の出現からのみ︑考察しようという立場に対しての方法上の批判視角をも構成するであろう︒
もちろんこのことは︑現実世界の複合的構成についての認識を排除するものではないが︑しかし︑
タイプのモデルとして︑典型としての﹃先進国型﹄モデルとの対照において︑内生的に構成されているものである︒
ここで﹃先進国型﹄としてイギリス︵およびアメリカ︶に依拠する理由はつぎの通りである︒すなわち︑第一に︑
もっとも長期に亘る資本制的発展径路を自生的に経過してきていること︑第二に︑資本主義の発展が典型的で︑前
臣的なウクラードの存在やその動向がもたらす攪乱がなく︑純粋な資本制発展のモデルを考えるうえに適切である
こと︑第三に︑信頼できる統計指の数作成が既に進歩していること︑かつ資料の堆稼が豊富なこと︑などである︒
先 進 国 経 済 発 展 の 計 測 的 模 型 日
︵ 瀬 尾 ︶
一般に捨象されている︒それゆえにここでの問題は︑現実分析を︑
いわば抽象的な内部的法則の史的展開としての角度から︑提出されて
一 四
それは︑別個の
年代に数多くの業績を挙げた
H a
r v
a r
d C
o m
m i
t e
e o
n E
c o
n o
m i
c R
e s
e a
r c
h が 用 い て い る
︑
( 4 )
と﹃循環
c y c l
e ﹄との分離の方法である︒これに対して一九四六年に
A .
F .
B u
r n
s
と
WいC .
M i t c
h e l l
とによって
( 5 )
発表され︑わが国においても追随された
N B E R
M e
t h
o d
の得失については︑
測方法について
lミッチェル
バーンズ方式批判﹂︵本論集第四巻第五号︑第六号︑
1 1いて詳細に吟味した通り︑古典的なハーバード方式
( 1 1
︒ハーソンズ方式︶に優位するメリットをもつものとは見倣
し難い︒それゆえに︑本稿においても依然として︑
先 進 国 経 済 発 展 の 計 測 的 模 型 日
︵ 瀕 尾 ︶
統計的解析の手法は︑ た生産力指標として︑補完的に利用されている︒
既に私の論文﹃産業循環の実証的計 さらに以下においては資料を人口で除した製造工業生産高指数︑および銑鉄生産高指数に依っている︒人口で除
するのは領土上の変化を加味するためであるばかりでなく︑生産力指標としての生産高は︑社会構成体である人口
との関連をはなれてはあまり意味がないものとなるであろうということによるのである︒こうしてみぎの二つの資
料 は
︑
いづれも実現された生産力の指標として用いられている︒実現された生産力とは再生産構造の総体において
表現されるゆえに︑それは︑当然消費財をもふくむ全製造工業生産高としてとられねばならない︒鉱業や農業が除
去されているのは︑ それらは原料として大部分が製造工業に入り込んでいるうえに︑
一 九 一 七 年 以 来 ︑
一 五
一 九 五 九
i
一 九
六
0年︶にお それらは衰退産業または定常
産業としての規定性をもっているために︑資本主義発展の生産力表現にはなりえないからである︒また銑鉄生産高
をとったのは︑それが尚依然として主要な生産財であり︑かつ景気変動に敏感な指標であるからである︒主として
生産財のみに用いられる単一産業は︑尚銑鉄に代わるべきものは見出されない︒それゆえこれは生産財に表現され
w 月
e n
M .
P e r
s o n s
をリーダーとして組織的な活動を行ない一九二〇
古典的な﹃趨勢
t r e n
d ﹂
トレンドとサイクルとの分離という解析技術を踏襲し︑
そ れ
に
200
視されていない︒
統計的時系列の解析において﹃趨勢
tr en
d
﹄を除去する問題は︑
C yc l e s, 19 51
ー
I I長 期 趨 勢
( 5 )
( 4 )
( 3 )
( 2 )
( 1 )
よって︑問題の所在の発見へと立ち向うことにしよう︒ 先 進 国 経 済 発 展 の 計 測 的 模 型 日 ︵ 瀬 尾 ︶
LR•Klein
&
A .S . Goldberger,
A n
E co no me tr ic Mo de l o f T he Un it ed
States•1929~
1 9 5 2 . ; 1 95 5
この点については︑拙稿﹁経済成長と産業循環ー資本制蓄積の長期的過程についての考察﹂︵経済理論学会機関誌第二号
﹃ 経 済 肢 長 と 産 業 循 環 ﹄ 仮 題 一 九 六 二 年 所 収 ︶ の 第 一 章 第 二 章 を 参 照 の こ と ︒
こ れ は ︑ ﹁ 現 代 資 本 主 義 論 な い し 国 家 独 占 資 本 主 義 論 は ︑ 具 体 的 な 個 別 的 な 現 状 分 析 と し て お こ な わ れ な け れ ば な ら な い で
あ ろ う ︒ ﹂ と す る 立 場 で あ る ︒ 長 坂 聡 ・ 戸 原 四 郎 ﹁ 帝 国 主 義 論 と 現 代 資 本 主 義 ー 経 済 学 に お け る そ の 研 究 方 法 に つ い て ー ﹂
︵ ﹁
思 想
﹂ 一
九 六
0
年
十 二 月 号 所 収
︶ 参 照 ︒
Wa rr en M. Pe r s on s I n , d ic e of Bu si ne ss gn di ti on s, T he Re vi ew of Ec on om ic St a t i s t i c s , 19 1 9 , D o .,A
no n, Te ch ni ca l Ex pl an at io n o f t he In de x o f G en er al Bu s i ne s s C o n di t i on , i b i d .
1 9 2 0 .
A. F . Bu rn s
&
W. C . M i t ch e l l, Me as ur in g B u si n e ss C yc l e s, 1 9 4 6
W. C .,
M i t ch e l l, Wh at Ha pp en s D ur in g B u si n e ss
いう前提の下で︑
理論的傾向曲線 いわゆる﹃定常状態﹂の運動形態を明らかにしようというところから出発したものであった︒す
なわちいわば定常的な状況の下での﹃循環
cy cl
トレンド自体の分析はあまり重
e﹄の検出が主たる目的であって︑
一九二七年に
W .
C. Mi tc he ll
が︑経済学や経済統計学は︑.みぎにおいて﹁同じに止まる﹂と仮 ﹁他の事情を同じとすれば
c et e r is pa ri bu
﹂と
s一 六
201
先 進 国 経 済 発 展 の 計 測 的 模 型 日
︵ 瀬 尾 ︶
Y
ナ ー 図
(A)・ ム が 砂 k
゜ 且
4
4む
Y= K l+,ea+bt or= l+,K ea+bt +c
dY Y
...芦‑=
‑bY(1‑‑f‑)但し一般に
,ea=mb=‑bとして
Y= K l+m,e‑bt
の形がいられる。
etc
Y CB)
q~戸令切匹•
一 七
0 、
(初吟4)Y=Kabt (a<O b<l)
dY Y
:.言
=Ylog b log‑y定されたところの当の対象︑すなわち発展経路の成長過程それ自体には︑あまり大きな注意を払ってきていないと
(l )
いうことを指摘したが︑その後動態理論において著しい発展がみられたにも拘らず︑その裏附けとなるべきはずの
経済統計学におけるトレンド分析には︑見るべき発達がなかったといえる︒この分野での業績ではむしろ一九二〇
2)
年代においてすぐれた着想が現われたのであった一九二
0
年代に発展したトレンド分析のうちで代表的なものは︑
一八四五年に
V e r h
u l s t
の創始した
L o g i
s t i c
C u
r v
e の ︑
R a
y m
o n
P e d
a r l
&
L . J
R
.e e
d
によるアメリカの人口成長
(3 )
曲線に対する適用と︑ 一八二五年に
B e
n j
a m
i n
G o
m p
e r
t z
のはじめた
P r e s
c o t t
による﹃成長の法則
L a
w o f
』、への応用とである。 Growt~
LogisticC u
r v
も e
G o
m p
e r
t z
C u
r u
e も と も に
︑ い ま
︱ つ は ︑
G o
m p
e r
t z
u C
r v
e の
R .
B .
上下に漸近線をもった︒成長テンポの逓減を示すところの非線型の曲線である︒それは︑それぞれ第一図に示され
て い る よ う に ︑
L o g i
s t i c
C u
r v
e は︑変曲点に対して対称であるが︑ 日
G1 p e r
C t z
u r
v e
は対称的ではない︒かつ
L o g i
s t i c
202
ては下に凸な拗物線または下向直線を検出し︑単純な
L o g i
s t i c
C u
r v
e
あるいは
G o
m p
e r
t z
C u
r v
e が︑成長産業の
(7 )
長期的運動をよく記述するものであることを指摘した︒しかしながら︑
K u
z n
e t
s は︑かれの各シリーズについての
(8 )
一々克明な作図にも拘らず︑﹁長期的トレンドラインのなんらかの特定の形態
f o r m
や 型
s h
a p
e には関心がない﹂と
(9 )
それがなんらの成長の法則や予測をもあらわすという推論に導かれるべきではない︑といって︑
g g
i s
t i
c C
u r
v e
は﹁単に制限された過去にわたるある一般化としてのみ意味をもつ︒﹂ということを強調し︑観察の
︑ ︑ ︑
, " ` ' >
か つ
︑
験の時期
' p e r
i o d
o f
e x p e
r i m e
n t a t
i o n '
一 九
三
0
年
に ︑
S. S.
国安定の時期せ
p e r i
o d 国 成
る と
し ︑
先 進 国 経 済 発 展 の 計 測 的 模 型 日
︵ 瀬 尾 ︶
C
日v e
は︑絶対的な増加量
t h e
r a t e
o f
a b
s o l u
t e
が、Yの大きさと限界値Limitkとに単純な算術的関係increa~e(5 )
﹁条件を満足するすべてのもののうちでもっとも単純な曲線﹂であるが︑
C u
r v
e
は︑絶対的な増加量が︑
yと ︑
Y
の K に対する比率の
l o g
との積の函数で表現される︒
出発点からカーヴの変曲点にかけて増大し︑ 他方
G o
m p
e r
t z
そこから上方の漸近線に接近するにつれて次第にゼロに減少するよう
な比率で︑成長することを意味するのである︒こうして両者の曲線は︑半対数スケール上に現われるとき︑それは
成長率の増加︑および減少を表現するところのものである︑ということができる︒
一九二二年に︑産業の成長曲線が︑ このような
G目p e r t
z
C u
r v
e
によって計測的に表現され
これをかれの﹃成長の法則﹄
L a
w
o f
G r
o w
t h
によって定式化した︒それによれば︑産業の成長は︑日実
は社会組織への伸長期
' p e r
i o d
o f
g r
o w
t h
n t i
o t h
e s o
c i a l
f a
b r i c
'
o f
s t a b
i l i t
y '
の四つの諸段階を経過するのが法則的な傾向である︑ 長率の減少期^
t h
r o
u g
t h h
e p o
i n t
w h
e r
e t
h e g r o
w t
h i
n c r e
a s e s
b u
t a t a
d i
m i
n i
s h
i n
g r
a t e '
(6 )
とするのである︒さらに︑
k g : p
. e t s
は ︑
五七シリーズに及ぶ各個別的産業部門について︑ 生産高については
L o g i
s t i c
C u
r v
e
を︑価格につい
R . B .
P r
e s c o
t t は ︑
これは産出量
yが ︑
におかれているゆえに
一 八
先 進 国 経 済 発 展 の 計 測 的 模 型 日
︵ 瀬 尾 ︶
ボトル・ネックが想定されてくるのであるから︑ わち
K u
z n
e t
s の 分 析 も ま た
︑
除去されるべき対象としてのみのトレンド分析の域を出なかったわけである︒
一 九
個別産業について﹁成熟﹂段階における成長の﹁減速﹂ 重点をむしろ︑長期的運動からの一次的
P r
i m
a r
y
および二次的
S e c o
n d a r
トレンドの分離にうつしている︒すな y
一 九 二 七 年 に
W .
C .
M i t c
h e l l
が指摘したように︑明示的な循環運動の検出のために
一八八四年から一九三七年にわたる工業生産指数について︑
と算出している︒この計算には︑
G .
77 .0 65 64
1+S9.
27
e o
•1063555 t
L o g i
t i c
C u
r v
e
をあてはめ︑その完全な方程式は
Y 1
1
T i n t
n e r
が批判している如く︑上方漸近線の値が低いゆえにいく分疑わしいものであるし︑また﹁ある系列の﹁真﹄
( 10 )
の 長 期 傾 向 は
︑
l o g i
s t i c
なものよりもっと複雑なものであるということもありうることである︒﹂しかしこのことを
認めたうえでも︑われわれはなおかつ
L o g i
s t i c
C u
r v
e
ないし
G o
m p
e r
t z
C u
r v
e の提起する問題に執着するのであ
る ︒
S. S.K
u z
n e
t s
の実証的に検出したこの曲線の現実妥当性は︑果して︑かれが断定したように︑個別的産業に
ついてのみ妥当するものであって︑経済全体の長期趨勢についてなんらの﹁法則﹂性をも提供するものではないの
で あ ろ う か ︒
A .
M a r s
h a l l
の巨視的分析によれば︑諸産業の隆替に︑生長力と衰退力との﹁諸力の均衡﹂が想定さ
( ll )
れるが︑かかる﹁反対諸力の均衡﹂
11
﹁ 力 学 的 均 衡
m e c h
a n i c
a l
e q u i
l i b r
i u m
﹂は︑規則的な成長径路を自足的に追
( 12 )
随しうるものであろうか︒
W ̀
. W
R .
o s
t o
w
の 成 長 段 階 説 は ︑
を重要なフアクターとして導入しているが︑同時に新産業による代替という視点が入っているので
e x p l
i c i t
に は
︑
経済全体としての成長過程には経済成長の逓減問題はでてこないようにみえる︒しかし
i m p l
i c i t
に は
︑
この段階に
は︑旧来の産業の成長の減速とともに﹁バランスと撰択とに関する徹底的問題を提起する﹂とされて︑成長過程の
依然として成長曲線が一次型
l i n e
a r
でない悩みがその基調を貫
D a
v i
s が ︑
いわゆる
H o t e
l l i n
M g
e t
h o
d に 依 拠 し て ︑
しかるに一九四一年には︑
H . T .
204
( 7 )
( 6 )
( 5 )
( 4 )
( 3 )
( 2 )
( 1 )
検討されねばならないであろう︒
先進国経済発展の計測的模型日︵瀬尾︶
らぬくものであるといえる︒こうして
L o g i
s t i c
C u
r v
e の提起する理論的仮設が︑さらに実証的吟味の対象として︑
W .
C .
M i t
c h e l
l .
B u s i
n e s s
C y c
l e s ;
t h
e P
r o
b l
e m
a n
d I
t s
Setting•1927.
P .
2 1 3
マルクス経済学においても︑拡大再生産の展開過程がどのような成長径路を辿るかという問題については︑いわゆる崩壊
理論︵ローザ・ルクセンプルグ︑グロスマン︶以外には自覚的に取り上げることがなかった︒また崩壊理論においても︑
静態論
( 1 1
実現理論︶から直ちに動態的命運論を引き出そうとするものであったために︑結局トレンドの分析は無視され
て い た と い い う る
︒
R .
P e a r
l ,
S t u d
i e s
i n
H u
m a
n
Biology•1924•Do.,T h
e B
i o l o
g y o
f P o
p u l a
t i o n
Growth•1925.
R .
P e a r
l a
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L . J
. R e
e d ,
O n t h
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u m
m a
t i
o n
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L o g i
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C u
r v e s
J o ,
u r n a
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t h
e R
o y
a l
S t
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l
Society•1927.G.U•Yule•The
G r
o w
t h
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P o p u
l a i o
a n
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t h e
F a c
t o r s
W h
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o l
I t
J o u r
n a l
o f
t h e R o
y a
l S
t a t i
s t i c
a l
Society•January.
1 9 2 5
.
R a
y m
o n
d
B .
Prescott•Law
o f
G r
o w
t h
i n
F o r e
c a s t
i n g
Demand•Journal
o f t
h e
A m
e r
i c
a n
S t
a t i s
t i c a
l A s
s o c i
a t i o
n ,
D e c .
1 9 2
2 .
かれのモデルは自動車産業における需要予測という企業家的実践の課題に捧げられたものである︒
s.s•Kgmets,
S e c u
l a r
M o
v e
m e
n t
i n
P r o d
u c t i
o n a
n d
Prices•1930•P.
6 4 . R .
B .
Prescott•ibid.,
P .
4 7 1 ・ s .
s•Kgnets,
o p .
c i t .
クヅネッツの利用したシリーズの産業部門は︑アメリカ合衆国の小麦︑トウモロコシ︑馬鈴薯︑
棉花︑木棉︑無煙炭︑猥青炭︑原油︑銑鉄︑鋼鉄︑セメント︑銅︑亜鉛︑鉛︑塩︑木棉消費︑生糸輸入高︑銀行手形交換
高︵デフレート済︶︑機関車︑イギリスの石炭︑銑鉄︑鉄鋼︑生糸輸入高︑出港船舶︑茶消費︑ベルギー・ドイツ・フラン
スの石炭︑銑鉄︑鉄鋼︑亜鉛︑ドイツの銅︑小麦︑木棉︑フランスの石油︑小麦︑塩︑その他︑アルゼンチン・オースト
ラリヤ・日本の小麦︑日本・カナダ・イギリスの銅などでいずれも一九世紀中葉から一九一五年ないし一九二五年頃まで
の 資 料 を 利 用 し て い る ︒ な お ︑
C a r l
S n
y d
e r
は︑半対数グラフ上にアメリカの穀物生産︑綿花消費︑無煙炭︑漉青炭︑銑 二
0205
先進国経済発展の計測的模型日︵源尾︶ 船可l
•
二 • ,
( A )
汁
鉄︑鋼塊の生産高︑鉄道輸送量︵マイル︶について二次の放物線をトレンドとしてあてはめ︑乗用車生産にはロジスチッ ク曲線を︑生糸輸入︑石油生産︑タバコ消費については一次直線をそれぞれトレンドとしてあてはめている︒かれの二次
放物線は︑修正指数曲線に近いものである︒
C . Snyder,
u s B s in e s s Cycles
n a d B u si n e ss Mea
sure me nt ,
19 27 .
s .
s•Kuznets,
i b i d . , P .
60
.
i b i d . P . 1 9 8
Ha ro ld Ho t e ll i n g, D if f e re n t ia l Equations
S ub j e ct t o E rr o r , an d P o pu l a ti o n E s t im a t es , J o u rn a l o f t h e Am er ic an S t a t i s t i c a l A ss o c ia t i on ,
1
92 7.
H.T•Davis,
A na l y si s o f E co no mi c T im e S e r i e s ,
19 41 .
p p .
252
f f . G er ha rd T i n t ne r , E c o no m e tr i c s,
19 52 .
p p .
208 f f
A .
M ar s h al l , P r i nc i p le s o f Economic
s,
1
89 0. Reprin
te d
19 56 .
P .
26 3.
W. W. Rostow
, Th e S t ag e o f s E co no mi c Gro
wt h, a No n C om mu ni st Ma n i fe s t o,
19 60 .
尚ロストゥ・モデルの吟味 を︑異なった生産体制における成長曲線の場に視点を据えて行ったものとしては︑拙稿﹁米ソ経済成長の問題点ーロスト
ゥ・モデルの吟味﹂︵世界経済評論一九六0
年四月号所収︶を参照されたい︒そこでは︑リターデーションを含む成長モ デルが︑両国の生産高指数についての最近の研究水準によって︑
Nu tt er 型の平行的成長曲線型囚から
Gr ee ns l ad e 1 1 Wa ll ac e 型の交叉的成長曲線型圏に移行しているが︑後者には︑平行移動型⑱から歴史的成長型cへの認識の推転の
問題を含むことを指摘している︒︵第二図︶
1
3 孤
w
]
九 成 釦 勿 必 姐
、 g
一
( 1 0 ) ( 1 1 ) ( 1 2 )
( 8 ) ( 9 )
初 舛 磁 初 心 砿
拙稿「米ソ経済成長の問題点」より
206
y
沈 四 図修正指敷曲線
ま ︑
~'
ガ
ス ︑
︒ ︒
Y=K‑ab' (a>O O<b<l)
実測的趨勢模型
( 13 )
第三医は、
W•Hoffmann
の作成した銑鉄および鉄鋼生産高指数、および建築を除いた全工業生産指数を、人口 で割って一人当りについて作成した指数を基礎とした時系列図表であって︑
そこに引かれている傾向線は︑
一 九
三
八年までの
H o
f f
m a
n n
の指数について算出したところの原資料の対数に最小自乗法をあてはめた直線である︒
九三九年以後についても︑ 2
このトレンドラインは引き伸ばされている︒戦後の指数は︑銑鉄のみと︑および建築︑
水道を除いた工業生産指数を
A n
n u
a l
A b s t
r a c t
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S t a t
i s t i
c s および
M o n
t h
l y
D i
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f o
S t a t
i s t i
c s より人口
一人当りについて算出したものが用いられている︒銑鉄は鉄鋼産出高指数とほぼ︒ハラレルに動いているので︑
四七
i一 九
五
0年平均の両指数換算比率によって︑二つのシリーズが連結されている︒また工業生産指数について 一 九 四 八
l
一 九
五
0年平均の両指数換算比率によって︑
t 先進国経済発展の計測的模型日︵瀬尾︶
二つのシリーズが連結されているが︑ これは﹁製造工
業﹂の概念にもっとも近いものとみなされるであろう︒このように して得られた時系列図表は︑実線で示された製造工業生産高につい ては︑明らかに半対数目盛のグラフ上において
L o g i
s t i c
C u r v
e に
近 い曲線を示している︒銑鉄生産高については︑
L o g i
s t i c
C u
r v
e ある
い は
G o
m p
e r t
C z
u r
v e
によりはむしろ︑修正指数曲線に近いが︑
こ
れは入手しうる指数の遡及期間が比較的短かくて︑産業革命以前に さかのぽりえない資料上の制約によるものといえるであろう︒しか しいづれにしても︑対数グラフ上における
L o g i
s t i s
C u
r v
e あるいは
一 九
成長率にも拘らず︑
この異常なダウンを末尾に含む最小自乗傾向線をなお押しあげるに至っていないということは︑
この傾向線じたいが︑
L o g i
s t i c
C u
r v
e あるいは修正指数曲線型の実測線を内包するということをも含めて︑
る長期停滞
S e
c u
l a
r
S t
a g
n a
t i
o n
の問題をなお揚棄し得ていないということを示す︒それゆえにこれまでのところの
するものではない︒しかるに︑
一 般 的 な
L o g i
s t i c
C u
r v
e の反復的︑波状的な模型の現実妥当性を実証
いわゆる﹃コンドラチェフの波﹄の仮設こそは︑
C u
r v
e の容認にほかならないである︒この点はさらに後段において独立に考察されるであろう︒ここでは︑
にあてはめられるものであり︑ ス工業について算出された実測的趨勢模型は半対数グラフ上に表わされた︑
L o g i
s t i c
C u
r v
e あるいは修正指数曲線
( 14 )
その基本型はアメリカ工業の発展模型に一致するものであるが︑それは︑経済成長 率の逓減傾向を表現するものである︑ということを確認するにとどめる︒
先 進 国 経 済 発 展 の 計 測 的 模 型 日
︵ 瀬 尾 ︶
時系列のみからでは︑第五図にみるような︑
サ五~図
Y
・一船的な必子ユと釦楳
k
t Y= K
1+£c/>(t)
q,(t)=a0+a1t+a
田+・・・十
amtmdY
dt
―‑=
-,p'(t)•Y•(1--f-k Y )
れている線型
l i n e
a r
の傾向線は
すぎたことであり︑戦後の上昇がそれと対照的に高いものと 第一次大戦以後のダウンがイデアル・ティ︒フスに照らして深 型通りの曲線を示すものではない︒容易にみられる特徴は︑ の逓減傾向にほかならない︒しかし勿論それは﹁きれいな﹂︑
なっていることである︒だが注意すべきことは︑ ここに引か
一九三八年までの期間のも
のを引き伸ばしたものであるということである︒戦後の高い
いわゆ
正にこの波状型の一般的な
L o g i
s t i c
イギリ
修正指数曲線型の実測的模型の提起する内容は︑経済成長率
208
さらに考察すれば︑みぎにみた経済成長率の逓減傾向は決して偶発的に現われているのではなく︑
造
11
社会体制の歴史的推転と対応しているということが明らかになるであろう︒まづ︑全発展過程を︵一︶時期︑
A0
2
ー産業革命以前
11
マニュファクチュア段階・︵二︶時期
A 0
1
ー産業革命期・︵三︶時期
A
│
︱八二五年の﹁最初の
資本主義的恐慌﹂から一八五八年の恐慌までの期間・︵四︶時期
B
ー一八五八年の
る ﹁ 大 合 併 運 動 G r e a t
M e
r g
e r
o v e m e n t ﹂ に 先 行 す る 一 八 九 三 M 年 恐 慌 ま で の 期 間 ・ ︵ 五 ︶ 時 期 ー一八九三年恐慌
Cから第二次世界大戦までの期間・︵六︶時期
Dー第二次世界大戦以後の期間と︑
ごとの年平均成長率を時系列の対数に直線をあてはめた最小自乗法による傾向値によって算出してみると︑第一表 凶のようになるであろう︒成長率の計算期間には︑産業循環の時点を斉一的にとる必要があり︑
ゆる恐慌の底から底までをとっている︒みられるように︑時期
A
を頂点として成長率は︑それまでは逓増
11
加速化
を︑それ以後は逓減
11D
の成長率の高さに注目されるが︑その意味は前節で 減速化を示していが︑︒イギリスでは時期
( 16 )
ふれたように︑全体の時系列図表のなかで正当に位置づけられねばならない︒この表において注目されることは︑
﹁ 大 合 併 運 動 G r e a t M
e r
g e
r M
o v
g 1
e n
t ﹂
11
独占成立の劃期をふくむ時期
C
において成長率が著しくダウンしている
( 17 )
ことである︒かかる現象は︑通説に反するかのようにみえる︒いわゆる﹁世紀転換期﹂における成長率の高さは一
( 14 )
( 1 3 )
3 成長率の逓減
先 進 国 経 済 発 展 の 計 測 的 模 型 日
︵ 瀬 尾 ︶
それぞれに区分したうえで︑各時期
こ の 例 で は ︑
﹁ 最 初 の 世 界 恐 慌 ﹂ からいわゆ
w•Hoffmann,
B r i t
i s h
I n d u
s t r y
,
1 70 0195 0.
拙 稿
﹁ 米 国 工 業 生 産 発 展 の 歴 史 的 趨 勢 と 循 環 に 関 す る 統 計 的 考
察 ﹂
︵ ﹁ 関 西 大 学 商 学 論 集
﹂ 第 三 巻 第 三 号 所 収 ︶ 参 照
>
ニ 四
一定の経済構
い わ
209
CA)
先進国経済発展の計測的模型日︵瀬尾︶ 3 % ゜ ゜
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の 0
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6 1 4 6 6 0 1 9 6 9
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フ 階 命
ュ 段 革 年 主
芹ご翌璽胡唸翌に輝 1 8 年的年合すら不第メ次
世界史的区分
2.28 4.85
(年平均)
ア メ リ カ United States of America
l 讐 嬰 l 貞娼璽&沿誓
生 産 高 生 産 高
2.18 2.96
1.08
CB)
英米工業生産の各循環別成長率
>
イギリス United Kingdom アメリカ UnitedStates of America循現別年次 一 製 生 人 造 産 工 当 高 業 り 銑 一 鉄 人 生 当 産 り高 循環別年次 一 製 生 造 人 産 工 当 高 業 り
l1銑 一 鉄 人 生 当 産 り高
屡
a 18261837 2.9496 (18253.0337%) A b 18371847 1. 91 (183745)
5.34
C 18471858 2.45 (184558) 5.53 d 18581867 1. 23 (185866)
2. 98
B e 18671879 0.80 (186678) a 18651876 2.43 3.68彩 5.60彩 f 18791886 0.80 (18783.185 6) b 18761885 4.85 8.23 g 18861893 0.60 ‑0.68 C 18851896 1. 73 2.94 h 18931908 0.85 1. 83 d 18961908 3.15 5.78
1 19081921 ‑1.25 ‑1.93 e 19081921 2.08 0.48
C
j 19211932 2. 75 0.53 f 19211932 ‑0.55 ‑5.13 J • I 19321938 4.92 13.10 fl 19321938 9.25 18.78 k *g 19381946 10.00 7.45 D I 1 I 19461960 I 3.60 I 4.30 h I 19461960 I 2.03 I 0.03出所、イギリスは第二図に同じ。 アメリカはHistoricalStatistics of the United
States, Economic Almanac, Statistical Abstract.
210
( 1 5 )
ることがあきらかにみられるのである︒
先 進 国 経 済 発 展 の 計 測 的 模 型 日
︵ 瀬 尾 ︶
A
種の仮設として伝説的に信奉されているようであり︑
Cの な
か に
一 ︱
‑ 0
年代の不況をふくめていることにかかる帰結
を引き出した責があるかのようにみられるかも知れない︒しかしこれは全くの幻想に過ぎない︒そのことを調らベ
るためにさらに第一表園において︑主要循環期別の経済成長率を︑おなじく最小自乗法によって算出してみよう︒
みられる通りこの場合にも︑各循環期を通じて成長率の逓減は傾向的に貫徹している︒ここで注意すべきことは︑
イギリスにおいては︑循環・
Jは
fと同様に︑回復局面がそれ自体として︱つの循環をなすという︑副次的循環を示
しているということである︒それゆえにそこにおける成長率の回復は﹁正常的﹂なものではありえない︒このこと
は第三図の時系列図表を参照することによって容易にみられる︒おなじことはアメリカの循環 r についてもいえる
の で あ っ て ︑
アメリカの循環
gが第二次大戦期間そのものに一致する特殊的循環であることもいうまでもない︒こ
れらの循環を考慮の外において︑問題をその正常的循環についてのみみるならば︑各循環を通じての成長率の傾向
的逓減は規則的である︒そしてこのことこそ前節にみた時系列図表の実測的模型がLogistic
C u r v
e
あるいは修正指
数曲線を示すということの内容にほかならない︒とくに時期
Bから
Cにかけての成長率のダウンは傾向的に存在す
W a l t
h e r
G•Hoffmannは、イギリスについて、①一七01~一七八一年には工業生産の成長率が二。ハーセント以内であり、